そこに広がる景色も、やはり見たことのあるものだった。
綺麗に配列された机の上には何台ものモニターが、そしてその前には、さまざまな人種のトレーダーが、景色のなかに、何一つの違和感なく溶け込んでいた。
web上で見る景色と何ひとつ変わらない。
今まで見た写真の一つ一つが、ここで撮られていたことを証明している。
奥行きのあるトレードルームは、窓から差し込む光で、暖かみを増していた。
入り口から遠ければ遠いほど、上級とレーダーになっているらしい。
はるか、かすんで見える奥の席にたどり着くには、さまざまな壁を乗り越えなくては行けないのだろう。
いつか、あそこからフロア−を眺めてみたいものだ。
きっと世界がすばらしいものに見えるのだろう。
り口で受付の方(キャシーさん?)にRISAさんを呼んでもらう。
RISAさんとは数回のメールのやり取りのなかで、イメージができあがっていた。
とても感じのよい人。
トレードフロア−から受付の角を曲がって、颯爽と現れ、さわやかに挨拶をされたとき、自分の想像が正しかったことを確信した。
あのRISAさんに出会って、いよいよ現実味を帯びてくる。
WEB上の世界にとうとう、やってきたんだと。
RISAさんの案内でセミナールームへ。
8台あるモニターはつい先日セミナーが行われていたことを感じさせる。
そのうちの一台に電源を入れREAL TICK を起動。例の画面がパッと、19インチのモニターいっぱいに広がる。
待ちに待ったこの瞬間。
早速、食い入るにして、その画面を見ていた。
おそるおそる、いろいろな機能を試してみる。
EXの日本語の説明を読んでいたので、ある程度はわかっているつもり。
いろいろなチャートがDRUG and DROP で間単に展開されていく。
それぞれのチャート、レベルUが生き物のように躍動している。
まるで、自分の意思で、好き勝手に飛び跳ねてるようだ。
予測不能の今のマーケットが、このモニターを通せば、簡単に観察できる。
しばらく、画面に集中していた。
今日は見ているだけで精一杯のようだ。
時は刻みつづけ、気が付くと一時の終了の時間になってた。
おとなしくなったモニターを眺め、こいつをどう使いこなしてやろうかと考えていた。
今はまだはっきりとつかめない奴だが、何十時間、何百時間とこいつと格闘してやろうと覚悟した。
その夜
YHで昨日と同様に夜遅くまで、みんなと話していた。
夕方寝たせいか、頭は冴えている。
みんな旅人だ。
D.T の世界とは無縁の人たちばかりで、気分転換にはもってこいだ。
みんな、いろんな都市を周っていたし、これから周ろうとしている。
旅人と旅人の接点である。
このY.Hでそれぞれの話を聞いているだけで、世界のイメージができあがってくる。
得した気分になる。
みんなが部屋に戻ったあと、明日の戦略について考えた。
というのも、hatchさんが今日、お休みで会えなかったし、ペーパートレードをどうしてもやってみたかったので、RISAさんに頼んで、もう一日訪問させてもらうことになったからである。
明日はとにかく、一日しかないので、スカルピングもどきで、何回もトレードして、とにかく、慣れていこう、と心に決めた。
9月7日 hatchさんとの出会い
なぜかこっちにきてから、早起きできる。
時差ぼけなのだろうか。
しかし、これ幸いに準備して、6時30分頃、YHをでる。METRO 251 に乗り込み、窓から入る朝の空気を吸い込んだ。
体の中に新鮮な空気が、隅々までいきわたっていく。脳もそれを確認し、活動体制に入る。
昨日の方針を思い出しながら、今日に反映させようと、イメージを膨らます。
ふと、外を見ると、バスは湖にかかる大きな橋を渡っていた。
それはまるで、映画のワンシーンのような美しい
景色。水と緑の多いシアトルを斜めに照らす朝日は、バスの窓を突き抜け、湖面へとすべり、伸びている。
一瞬だが、今からトレードに行くことを忘れてしまう。
ここは日本ではないことをこの広がる景色が教えてくれた。
Officeには7:30ごろには到着した。
RISAさんの笑顔が、この場所にすでに馴染んだかのような感覚を与えてくれる。
昨日とはかなり違う心境に自分でも驚く。
すぐさま、hatchさんこと馬渕さんを伴って、再び現れたRISAさん。
いよいよ、あのhatchさんとの対面である。
何を言おうか考える間もなく、早足に歩いてこられ、手を差し伸べられた。
ガッチリとしたいい握手だった。
そして、活舌のよいしゃべりで二言三言話され、間髪いれずに、モニターの電源を入れた。
ここは、昨日と同じセミナールーム。
ただ昨日と大きく違うのは隣にhatchさんがいることだ。
”これなんかがいいでしょう” とすばやく、SUNW をcheck。
そうこうしてるうちに、軽くペーパートレード。
まるで魔法をかけられたような chart は、clickの合図とともに上がっていく。
ほんの5分と経たないうちに2戦2勝。
こんなにも簡単なのかと勘違いしそうになるほどの手際のよさだった。
ここで、hatchさんとは経験値が違うことを自分に言い聞かせ、今日は自分にできることを実験しなくてはならない。
”がんばってください”と声をかけられ、再びフロアーに消えていくhatch氏を呆然と見送るのであった。
さすがは DAY TRADER 動きにもしゃべりにも、切れがある。
さあ、気合を入れなおしてペーパートレードをやろう。
折角だから、hatchさんのやってた、SUNW に挑戦。
慣れないながら、今まで読んできた、market by chart を思い出しつつ、タイミングを計る。
ブンブンブンとtojiが出たので、エントリー、1000株が素早くfillされていく。
指標と見比べながら脱出の時を待つ。
が、我慢しきれず1/8をGET。
最初にしては上出来か?これで気持ちも楽になったので次々とトレードを繰り返す。
習うより慣れろ、だ。執行のタイミングは数をこなして覚えていこう。
そう心に決め、画面を食い入るように眺め,集中していった。
結果としては,トントンよりちょっとプラスぐらいかなあ。
あれだけトレードして、このぐらいなら上出来だろう。
マーケットも強かったし,割といい環境だった。
hatchさんに帰りの挨拶をしようと思い、デスクを立つ、”どうでしたか?”と聞かれて”早かったです”と答える。
いろんな意味で早かった。marketの動き、執行のスピード、時が経つの・・ん〜〜〜ん
まだまだ、乗りこなせない,当たり前だが。
hatchさん ”いつまでいるのですか?” 僕、 ”日曜までです。”
”じゃあ明日もどうです?” ”本当ですか!”
いや〜なんていい人なんだろう。チャンスは明日にも続く。
その夜
例によって、YHの夜の座談会はすでに始まっていた。一人が,Mt.レーニアという、国立公園に行って来たらしくその話で盛り上がっていた。
シアトルはダウンタウンに観光するところは,ほとんどなく,その近郊に見所たくさんといった感じだ。
このYHにいる人もそう言ったパターンが多い。
”いや〜よかったよ〜”自慢げに話す彼。
”めっちゃよかったわぁ”大阪弁でまくし立てる”きれいなとこでさ〜フイルムたらんかったわぁ”
うなずくまわりのみんな。明日、知り合った一人がシアトルから旅立っていくこともあり、今日も夜遅くまで談笑は続いた。
一時を過ぎたころ、別れを惜しみつつ、さすがにみんなBEDへむかった。
明日のことはすでに夕方考え済み。
SWINGを想定し、朝から終わりまで、ずっと持ってみる。
そして、スカルピングで執行の練習だ。
がんばろっと。
9月8日 最終日
こんなに早起きが苦にならないのは,生まれてはじめてか.目覚ましよりも,早く起きるおかげで,他の同部屋の人に,迷惑がかからない。
今日は,朝からマーケットを見ようと朝一番のバスに乗る.6:00ちょうどのバス。
到着は6:30ぐらいだったか。時間と気持ちに余裕があったので,スターバックコーヒーで,ラテを買ってから,オフィスに向かった。
RISAさんより早くオフィスに着いたみたいで、hatchさんの横でしばらく様子を見ることにした。
僕の見ている傍で、2回執行のボタンをクリックされた。
どの長期チャートを見ても、今までmarket by chartのなかで言われたこと、そのままの安心できる形のものばかりだった。さすがhatch先生。
しばらくしてRISAさん登場。
早速ペーパートレードのパスワードを頂き、トレードを開始。
朝からマーケット弱い、難しい感じがする。
がしかし、よさそうな銘柄を見つけ、朝方からしこんでみる。2つ。
これは終わりまでほかって置くとして、昨日と同じように執行の練習をする。
今までで、学んだことだが、このDTというのは執行が、だいぶ、有利に入れる。
このことだけでも、大きな、アドバンテージをもらった感じだ。
その有利さを生かしながら、スカルピングをやるのだろう。
しかし、今日はなるべくセオリーどうりにトレードしてみたい。
回数を減らしていく。
ちゃんとした形のものを適正なタイミングで執行するのだ。
がしかし、しばらくすると、見ていることに我慢できなくなる。
忍耐が足りないのか、ついつい、無駄なエントリーが増えていく。
マーケットが軟調なのも手伝って、散々足る結果を招いてしまった。
待つという、DTの有利さを捨てると、こうなるのだ。
唯一の光明をあげるとすると、9月8日の market by chart にこれまた取り上げてもらいましたが、CMGI の下にGO が取れたぐらいだった。
なかなか奥深い世界である。
弱かった一日は、最初から仕込んだ2銘柄を、一ポイントぐらい、下げさせた。
こんな日に仕込むこと事態が間違っているのだろうか。
元気な銘柄は、指数を無視する快進撃を見せる。
MOST ACTIVEの上位付近の強い銘柄である。
銘柄の選択が5割以上の世界なのだろう。
ペーパートレードを終え、hatchさん、RISAさんにあいさつ。
2人して、一月の再会を約束する。
というのは、今回は一月のセミナーを受講、そして、フロア−にしばらく居座る計画の布石なのである。
一月までにやる宿題が、たくさんありそうだ。
それらを全部やっつけて、一回り大きく成長して、ここシアトルに、登場したい。
最後に、申しこんでおいた、EXの口座開設とペーパートレードの設定を頼み、オフィスから去っていった。
外は雨が降っていた。シアトル特有の灰色の空からの、滴たち。
突然の雨だったらしく、傘も差さずに、小走りに走っている人たちが目立つ。
幸い、バス停には、屋根があり、雨宿りにはちょうどよかった。
バスが3本ほど通り過ぎ、本命が止まった。
閑散とした車内の窓側に座り、振りかえって、オフィスを見る。
"またここに来てやる”と決意を新たに、グレーの空に浮かぶ建物が、小さくなるのを見守っていた。
その夜 マリナーズ
シアトルといって、日本人が一番最初に思いつくのはなにか?それは、シアトルマリナーズの佐々木だろう。
その夜、僕は、球場に行けることになった。ここで紹介しなくてはならないのが、日本人フロアートレーダーの Sさんである。
はじめて、オフィスを訪れたとき親切に、声をかけてくださり、フロア−の現地情報、とにかくいろいろ、教えていただいたのだ。
緊張で張り詰めていた自分を取りもどすことができたのも、その出会いが、あったからだろう。
気持ちも若く、なんとなく、兄貴分のような方だ。
そのSさんに誘って頂き、夜、セフィコフィールドにマリナ−ズの応援に行くことになった。
球場の方はというと、とてもきれいだった。
数年前に創られただけあって、開閉式の屋根がついている。
そして、なにより日本の球場と違うのは、その開放感である。
視界をさえぎるネットはなく、ファールグランドも狭い。
選手に手が届きそうなくらいの一体感がある。
ファンも回の合間合間のアトラクションに踊ったり、歌い出したりして、本当にお祭り騒ぎだ。
Sさんに連れられ,球場の見所をまわっていった.中でもブルペンは,一押しだろう.
佐々木が見れる。しかも近くで,この日はマリナーズが僅差で負けていたので,軽く,ストレッチをやってる姿だけだったが,それでも,一見の価値はある。
地元ファンにとっては,身近なヒーローといった感じだ。
この日チームは負けたのだが、そのにいるだけで楽しい思いを味あわせてくれる、球場だった。
その後、Sさんと、シアトルの在米日本人がよく集まるという,バーに行き,一杯飲む。Sさんにはいろんな人たちから声がかかる。
さすが,知り合いも多い。ここでは、いろんな年代層の男女が,一緒に時を過ごしている.
日本ではなかなか見られない光景だ。
それゆえ、そこに行けば,誰か知り合いと合うし,新しく知り合いもできる。
それも年代を超えてである。
ここアメリカでは,日本人は外国人なのだ。みんながお互い助け合っていこうという,家族的な意識は日本とは比べ物にならない。
そんな、暖かい雰囲気が心地よく、遠い昔には日本にもあったんだろうと、一人感慨にふけっていた。
もふけ、身を切るような秋の風が全身にまとわりつき、酒気をからめ取っていく。
もう,ここでは,秋の最中なのだろう。
ここにいる1週間の間にも,どんどん寒くなってきたのを、肌で感じる。
本当にお世話になったSさんと1月の再会を約束し、静まり返った、YHへ、こっそり入っていった。
9月9日 休息日
久しぶりに朝寝坊をしてみた。
起きたら、すっかり日が高く、やや部屋の温度も暖かくなり始めていた。
今日はこの1週間で,唯一何も予定のない日である。
今までの疲れを癒すにはちょうどいい。
異国に訪れ,時差ぼけに悩まされながら,スケジュールをこなしていくのは,大変なことだ。
二階のベットで,まどろみの中,今日という一日をどうすごすか,考えてみた。
いい案は浮かんでこない。
リビングに行って,コーヒーを1杯。
友人たちは,ツアーに行ってて,知ってる顔はいない。
それなら僕もプチツアーに出かけてみるか!即決。
ちょうどこっちにすんでいる友人が、フェリーを薦めていたので、ランチのあと,そこに向かってみることにした.
公共の桟橋で、そこにある船も見た目にかなりの大きさだ.車も載れるので,相当だなものだ。
市民の足らしく値段も安い。往復4$くらいの ベインブリッヂアイランド 行きの船に乗り込み,早速デッキに出た。
シアトルの街が一望できる.汽笛とともに出航したその船は,かなりのスピードで,風を切っていく.
景色はどんどん,広がっていき,かもめもまわりを飛び始めた。久しぶりに旅人の気持ちがよみかえってきた.
地球の一部だということを感じるのだ。往復1時間の船旅を満喫!
YHにもどるといつものメンバーが顔をそろえていたので,それぞれの今日の話を語り合った。
新しく,カナダから降りてきた人たちも加わり、一段とにぎやかになる。
出会いと別れのプラットホームであるこのYHも今日で最後だ。
長い1週間だったし、実りのある6日間だった。
みんなとE−MAILのアドレスを交換し、いつかどこかで再会できる事を誓い合った。
みんながベットルームに帰り、僕はまだ、リビングルームに。おもむろにパソコンの前に座り1$札を入れた。
6分弱,ネットにつながる間に,メールをチェックし,最後に身内にこう送信した。
”明日,予定どうり帰る”
9月10日 帰国
おりしも、悪天候の中、名古屋空港への着陸となった。日本は台風の影響ですごい豪雨と風だ。
飛行機は一度目のランディングをあきらめ、二度目のトライに入る。
なかなかのスリルだ。
飛行機事故は,自分の力ではどうにもならない.半ば,開き直りぎみで,窓の外を見る。
霧で何も見えない.こんな中でも着陸か?!揺れたり,落ちたり,安定しない中,ドスンという大きな音がした。
少しの間,目をつぶった.。。。。。再び視界を確認すると,そこには空港の管制塔が見えた。何とか着陸したみたいだ。
この日は,東海地方に記録的な雨が降り,あちらこちらで水害が起きた。
あと少し,到着が遅れたら名古屋空港には,降りられなかったかもしれなかった。(実際、その後空港は一時封鎖された)
運がいいのか悪いのか。
家に帰って,机の前に腰を下ろす.再びパソコンを立ち上げ,いつもの作業を繰り返す。
メールがたくさんたまってるみたいだ。ざっと目を通し、早速返信。
そして、今回お世話になった人たちへ、感謝のメールを書く。ありがとう!
書類もかなりたまっている。そのなかに大切なEXからの書類が混じっていた。
目を通しながら、思う。今から1月まで独自のトレード学習が始まる。セミナーまでの間1つでも進歩してるよう努力したい。
毎日毎日、できるだけマーケットに立会い、体で覚えていきたい。
そしてお世話になった人たちに再び会うときには、当たり前にトレードの話ができるようになっていたい。
パソコンの電源を切り、久しぶりに我が家で手足を伸ばし、ベットに倒れてみた
ここは日本だという安心感のなか十分に休息を取ろう。1週間の出来事をかみしめながら・・
トレードで成功している自分を思い描きながら・・・ゆっくり目を閉じた。
明日から、また違う一日がスタートする。
最後に hatchさん、RISAさん、Sさん、本当にありがとうございました。
今度会えるのを楽しみにしております。 cool trade !!
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