ダイレクトアクセスによるトレード、これはイントラデイトレード(デイ・トレード)も含めてだが、いわゆるバクチつまりギャンブルとどう違うのだろうか?
イントラデイ・トレードに対して、何となくラクに短時間で儲けることができるといようなイメージを持つ人にとっては、ギャンブルと見分けがつきにくいのかもしれない。
トレードをするフロアにはパソコンが並び、ディスプレイをじっと眺めているトレーダー達を見ていれば、パソコンのゲームをやっているようにも見えるのだろう。
また、マーケットが強い場合、適当なハイテク株の名前を書いた紙に向って、猿にダーツを投げさせて、その株を買うシミュレーションをしたら、数百%の値上がり率だったなどというハナシもある。
こういう話を聞くと、どの銘柄を買っても、アメリカの株式市場なら、同じように儲かると勘違いするのも無理はないのかもしれない。
そうして、一度でも、たまたま儲かる経験があれば、この勘違いに拍車がかかることになる。
そして、そのイメージと思い込みで、ギャンブルまがいのトレードにのめり込む人が増えることになる。
米国証券取引委員会が、オンラインブローカーに対して、デイ・トレードのハイ・リスクを徹底させようという動きがあるのは、こうした感違いトレーダーが増え、その結果として大損をする人が続出しているという現実があるからだが。
イントラデイ・トレードは基本的に取引を1日で終えるという方式のため、1日で何千ドルも安易に儲かると考えるのだろう。
1日で何千ドルも簡単に損をする人の方が圧倒的に多いという事実があるのに、何故勘違いをするのだろうか?
それは、実際に日本で本当のデイ・トレードができないということにも原因があるのかもしれない。
現在、日本からできるトレードは、基本的にはスウィングトレードだと思ってほぼ間違いないだろう。
ディスカウント・ブローカーを使って、インターネットでリアルタイム・チャートと称するチャートを見ながら取引しても、それはあくまでもハイテクでチューンした市販車でしかないということだ。
イントラデイトレーディングでも、いわゆるスカルピングという、1分前後の保有時間でのトレード方法では、豊富な経験に加え、熟練した技術と良く訓練された判断力がないと、コンスタントに利益を出すのは非常に難しいのだ。
マーケットにオーダーを出すための部分のシステムを、インターネットのディスカウントブローカーに頼る限り、本来のデイ・トレードをすることは不可能なのだ。
ディスカウント・ブローカーの売買の指令を出すシステムはスウィング・トレードを前提にしているものが多い。
金額が少ないから、レスポンドつまり、マーケットに対する反応という性能が遅くてもいいというのは理屈にはならない。
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一般の株式投資はバクチとどう違うのか?
ギャンブルは、負けた人の賭け金から諸経費とテラ銭という胴元の儲けを引いて、勝った人で分配する。
パチンコでも、玉を買ったお金を、勝った人にだけ、還元しているわけだ。
これは競馬でも、宝くじでも、ポーカーでも同じこと。
ただ、お金が負けた人から勝った人へ移動するだけだ。
株式投資は、自分の投資に対する判断や、その株式を発行している会社の運営能力や素質、さらに時の流れという運に近い要素が組み合わされることで、新しい価値が産み出される。
その産み出された価値は投資者にも分配される。
株主が、他の株主との資金をあわせて、その資金を取り合うわけではない。
自分の持分という投資の量と、さらに保有する時間を調節することによって、自分の資産を大きく成長させることができる。
新しい価値観を産み出せる企業へ投資をして、その企業の社員にならなくても、その会社を成長させるという行為に参加できるのだ。
そうして、その富の分配を受けることもできる。
こういう自由度と成長性を求めて、アメリカの株式市場へ、多くの投資家が参加している。
アメリカは、自由の国だ。
このように、参加の方法として投資の量の増減に加え、以前からの、時間のかけ方による成長率を変えることができるという要素、いいかえれば、参加する時間を短くするという、より自由度の高い手法の追求が、イントラデイ・トレード(デイ・トレード)という新しい選択肢を生み出したのだ。
つまり、保有する時間を長くしたいのか、短くしたいのかという選択の自由を使って、自分の目的やライフスタイルに合わせた投資スタイルを構築することができるのだ。
正しいトレードの教育を受けて理解し、十分な経験があれば、ディスカウントブローカーのソフトを使って、スウィングトレードで自分の投資目的を達成することもできる。
これが、スカルピングなどのトレードの環境を構築することが難しい現在の日本でできる、最もリスクの少ない、また賢い投資法だろう。
いわゆるデイ・トレードにこだわる必要は全くないのだ。
もちろん、やり方によってはギャンブルのように、いちかバチかのトレードをすることもできる。
バカとはさみは使いようというが、まさにあなたのやり方次第。
その時の、自分のまわりの環境にあわせて、無理をしないでトレードを楽しむというスタイルがお勧だ。
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