Christmas Songs 2000
2000年版歌手・曲名リスト
01 Vanessa Williams - Baby, It's cold
Outside
02 Baby Face - Rudolph The Nosed Reindeer
03 Larry Carlton - The Christmas Song
04 Celine Dion - Blue
Christmas
05 Chicago - Good Rest Ye Merry
Gentlemen
06 Aaron Neville - Let It Snow, Let It Snow,
Let It Snow
07 Gloria Estefan - Have Yourself A Merry Little Christmas
08 Kenny G - Sleigh Ride
09 Jon Bon Jovi - Please Come Home for
Christmas
10 Luther Vandross - Have Yourself A Merry
Christmas
11 Amy Grant - Have Yourself a Merry
Christmas
12 Fourplay - Snowbound
13 Yutaka Yokokura - This Christmas
14 Natalie Cole - The Christmasu Song
15 Vanessa Williams -
Angel We Have Heard On High
16 Baby Face - It came upon a
Midnight
17 Celine Dion - Christmas Eve
18 Lou Rawls - Merry Christmas Baby
19 Spyro Gyra - I'll Home for Christmas
各曲の詳細
01 Vanessa Williams - Baby,
It's cold Outside
まず最初はバネッサ・ウイリアムス。黒人ですが確か元ミスアメリカでしたからとても美人。デュエットで絡むのは、この声ですからすぐにわかりますね。ボビー・コードウェル。管のバッキングもよいですねえ。間奏はハモンド。最後だけレズリーを回すというなかなか渋いこともやってくれます。ミディアムテンポですが、バックのギターをよく聴くとなかなかの職人芸のバッキングをやっています。はい。アレンジャーのRob
Bathes の指定でしょうけれどね。
Cold Outside
のハモリですが、ボビー・コードウェルのメロディーラインが降りてゆくのが、たまらなくお洒落です。
Bobby : Oh It's Cold
Vanessa : It's Cold out there.
Bobby : Can't you stay while long Baby
Vanessa : Well....
最後の方で音楽をバックに、二人が話すのですが・・この続きがまたいいのです。
クリスマスのアルバムを一枚だけというのなら、迷わずこれをお勧めします。
Vanessa Williams - Star Bright - 1996 / Mercury 314 532 827
・ 2
02 Baby Face - Rudolph The Nosed Reindeer
プロデューサーとしてもかなりの力量を持つベビーフェイス。この曲は日本ではたしか「赤鼻のトナカイ」とかいう邦題になりますが、当然コード進行は普通では有馬温泉。アレンジを勉強する人にはとてもいい教材になるでしょう。ドラムのスネアのタイトさとコーラスのやわらかさの対比というかバランスがとてもおしゃれです。ドラムもリムショットを使い分けたりと、こういうアレンジのセンスが、「黒人らしくない」ベビーフェイスのよさでしょう。バッキングにはハモンドを使っています。ベビーフェイスのフレーズの「崩し方」が、只者ではありません。女性の方はシャンパンを飲みながら聴いてください。立てなくなりますから・・
03 Larry Carlton - The Christmas Song
3曲目はいわゆるエレキ・ギターの演奏。Four
Play
でのプレイで最近ますますよく耳にするラリー・カールトンですが、メロディーラインの聞かせ方がとても丁寧。それでいて、端々ではラリー節が聞けます。ギターってちょっと地味になってしまうのですが、途中の転調などのアレンジでこのあたりをうまくカバーしています。このクリスマスアルバムは1989年のリリースですが、古さを全く感じさせません。ベースは、Abraham
Laboriel。途中の 生ピアノソロは、Clare Fischer。ベテランで固めていますから、安心してクリスマスのムードを楽しめます。
04 Celine Dion - Blue
Christmas
イントロからいきなりクリスマスの雰囲気が濃厚に漂ってきます。しっとりとした、ミディアムスローのリズムに乗って、丁寧に歌い始めるのは歌姫セリーヌ・ディオン。音を伸ばすところのノンビブラートとビブラートの使い分け、また高音の地声とウラ声の声の使い方などは、ほんとうまいですね。途中から厚すぎないストリングスが絡み、彼女の美しいヴィブラートとあいまって、夢見心地の世界へと導いてくれますから、やがてそういったことさえ忘れてしまいます。
05 Chicago - Good Rest Ye Merry
Gentlemen
クリスマスソングを、いきなりこう言う風に演奏されると、言葉を失います。
最初は、ちょっとスティング風ですが、ホーンが入ると、まさにシカゴ!
ハードな肌合いのコーラスがまたいい。ギターソロの音色も彼らの全盛時代のままです。シカゴの文法そのままですし、キャリアが持つ魅力と個性がストレートに胸に突き刺さってくるような演奏で、とてもエキサイティング。普通こういういわゆるアクの強いグループはクリスマスソングでは大体失敗するのですが、このアルバムは例外です。古さを感じさせないアレンジの工夫が随所にちりばめられているというのも、その理由のひとつかもしれません。
06 Aaron Neville - Let It Snow, Let It Snow,
Let It Snow
ミディアムアップテンポの4ビートにのり、ハモンドソロから始まり、アーロン独特の歌声から始まるこの曲もクリスマスには欠かせない曲です。
ジャズフレーバーたっぷりの濃いサックスソロは、Plas
Johnson。
合いの手のハモンドも、どこでどうやればいいのかがちゃんとわかった演奏です。途中からオーケストラも加わり、一気に最後まで聞かせてくれます。
最後のハモンドソロの終わり方を聞くと、彼はネビル・ブラザーズというグループのカナメになる人ですが、こういうクリスマスアルバムもいいものですね。
07 Gloria Estefan - Have
Yourself A Merry Little Christmas
Singers Unlimited
のアカペラから始まる、この曲は何とマイアミの歌姫グロリア・エステファンとの組み合わせです。この意表をつくような組み合わせがまた泣かせてくれます。プロデューサーは
Phil Ramone。なるほどね・・
コーラスのストレートさに、グロリアの少しクセのあるフレーズ回しが絡むというのは、思わぬ効果で初めて聴いたときは、その新鮮さに驚いた記憶があります。途中までは何とバックの演奏なしですが、間奏からは厚いオーケストラが入り、リッチで豪華なサウンドに変身します。まさに映画音楽のようです。グロリアの「ひたむき」な歌い方がとてもかわいいです。
08 Kenny G - Sleigh Ride
このメロディーを、このリズムに乗せるのはとても難しいのですが、さりげなく吹いているように聞こえますが・・途中から、早い4ビートに乗って展開するソロの疾走感は、聴くものを興奮の坩堝へ誘い込んでゆきます。でもこれだけ、途中からアドリブでメロディーをバラバラにしても、その「かけら」のフレーズのメロディーは信じられないほど、ナチュラルで美しく、元のメロディーへのつなぎも違和感がありません。底知れぬ実力がよくわかります。サックスプレーヤーも、いろいろな人がクリスマスアルバムを出していますが、この人のが白眉。個性が強いので好き嫌いはあるでしょうけれど・・。余談ですが彼はシアトルの湖畔のすばらしい家に住んでいます。
09 Jon Bon Jovi - Please Come Home for Christmas
いきなりアカペラから入るのはボン・ジョビ。ははは。まさかここで登場するとはお釈迦様でもご存じなかったはずです。スローな3連の8ビートに乗って、ブルースフレーバー溢れる世界を展開してくれます。バックのピアノの3連の刻みもいいですね。この重いノリは少し古めのロックやブルースが好きな人にはたまらないはずです。ドラムのシンプルなオカズでの盛り上げ方は、ホントたまりません。ギターソロはDon
Felder。ここでもバックに流れるハモンドのサウンドは欠かせません。でもあっという間に終わってしまうのが難点かな。もうちょっと長くてもいいのですけれど・・
10 Luther Vandross - Have
Yourself A Merry Christmas
ソウルフルにグイグイ引っ張るのはルーサー・ヴァンドロス。スローなリズムに乗って・・でもほんといい声ですねえ・・ファルセットと地声のコンビネーションがセクシーです。アメリカの一流歌手は、声が個性的。うまいのは当り前。
聞いた瞬間に誰かわかるくらいの個性が声そのものにないと、一流として生き残れないという厳しい世界のようです。バックのピアノもツボを押さえたフレーズで、間奏のサックスソロは、Gerald
Albright
ですから安心して聞けます。黒っぽいファンキーさを出しながら、それでいて全体的にしっとりとした味を出しています。アレンジが秀逸なんですが、で、誰だろうとクレジットを見ると、クインシー・ジョーンズ・・失礼しました。所々に入るシンセの音もほんといいです。
11 Amy Grant - Have Yourself a Merry
Christmas
エイミー・グラントは、その素朴で飾らない表現がとても素敵です。カントリー畑出身ですが、この曲を聴いている限り全くわかりません。丁寧に歌うという姿勢が、歌にとても説得力を与えています。それでいて、さらっとした風合いで歌うのだけれど、長いキャリアと実力に裏打ちされているため、ダシがまたよく効いているのです。このあたりが、カントリー畑だけではなく、誰からも好かれる理由だと思います。アタマから響くオーケストラのサウンドがまた甘美で、ラストは、アメリカの田舎の郊外の牧場に広がる澄み切った星空を想像してしまいます。寒さで瞬く星空のような余韻を残しながらで消えて行きます・・
12 Fourplay - Snowbound
職人ドナルド・フェイゲンの名曲を、インスツルメントの職人たちが、素晴らしいサウンドに料理してくれました。イントロを聞くと、ドナルド・フェイゲン独特のサウンドとフレーズです。途中の管楽器の使い方がドナルドフェイゲン独特ですが、これを妙に変えたりせず、上手に生かしたアレンジがまた見事です。ラリーのギターもいい味を出しています。リー・リトナーもよかったけれど、ラリーのブルーノートの混ぜ方が絶妙。それも、ディレイをかけた、少し歪ませたノートでね。ボブジェームスが生ピアノではなく、わざわざと、いかにもエレピらしい音色で絡みつき、彼ならではのサウンドとフレーズを聞かせてくれます。ハービーのドラムのスネアの音とタイミングが、いいなあ・・タメの間合いもね。スネアにかけてあるディレイが音に空間を作っています。バックのブラスのカウンターフレーズも粋です。
サウンドの「間」の作り方がとてもCOOL。
13 Yutaka Yokokura - This Christmas
このアーティストは日本人です。デイブ・グルーシンのGRPレーベルからリリースされています。琴の音を生かしたすばらしいアレンジです。妙な異国情緒風にならずに、クリスマスの雰囲気をとてもよく出しています。歌もちょっと投げやりなんだけれどストレートというバランスが絶妙で、日本人だとか何人だとかとか、そういうことを考えさせないサウンドは見事です。よく聴くと琴の音は結構入っているのですが、シンセとうまく溶け合って、あまり気にならないのです。こういう手があるんですねえ。この歌手、ほとんどの日本人は知らないでしょうね。Very Special Christmas for Me... Will be
と繰り返しながらフェードアウトしてゆきます。
14 Natalie Cole - The Christmasu Song
ちょっとムーディーブルース風の、オーケストラサウンドから始まります。
それもそのはず、オーケストラはムーディーブルースの名曲「サテンの夜」と同じ、ロンドンフィルハーモニックオーケストラなのです。ナタリーのストレートな表現力に加え、途中で亡き父のナット・キング・コールのデュエットが加わるという見せ場(聴かせ場?)があります。でもこれは、父親の昔のテイクをもとにキーや、デュエットのタイミングを合わせたりしなければなりませんし、男女のキーの違いを考えたアレンジも必要ですから、この録音はかなり大変だったでしょうね。転調も忙しいのですが、気にならないアレンジはさすが。かなり編成の大きなオーケストラですが、うるさくならずに仕立て上げられています。
15
Vanessa Williams - Angel We Have Heard On
High
イントロのピアノから「しっとり」始まります。聞き惚れていたら、ドラムのオカズが左右に振られて、いきなり斬り込んできますから要注意です。アップテンポに乗ったWill
Leeの切れのいいベースに乗って、バネッサが生き生きと歌い上げ、エフェクトのかかったギターもバックで絡みますからたまりません。途中でスキャットと合わせたギターソロが登場しますが、この部分のコーラスとしてのバッキングアレンジも新鮮です。途中で聴いたことのあるフレーズも登場します。こういうアレンジは創造力がないと不可能です。ドラムのスネアがカンカンという高めのチューニングも利いています。日本人の演奏では残念ながらこういうノリは聴けません。しかし、何というアレンジ・・絶句です。
16 Baby Face - It came upon a
Midnight
生ギターの伴奏でベビー・フェイスの特徴のある歌声が、脳裏に焼き付くように、染み込んでくるといえばいいでしょうか・・とにかく彼のノドが非常に柔らかいことが、その歌の肌触りから感じとることができます。この人は黒人なのに、さらっとした肌合いの歌声で、とても知的な感触です。途中の転調でいきなり、リズムセクションが入ってきますが、この転調はないよなあ・・
その後もめまぐるしい転調で、聞く人を幻惑します。眩暈がするような、その転調に翻弄されていると、女性的とさえいってもいい、ファルセットボイスの繊細な感触とあいまって、彼の歌が独特なものに仕立て上げられているように感じますから、クリスマスソングだということを忘れそうになります。
17 Celine Dion - Christmas Eve
曲が始まって数秒で、彼女だということがわかります。シャッフル気味のアップテンポになってからも、厚いコーラスに支えられて、セリーヌはノリのいいフレージングで、どんどん持っていってくれます。途中の絶叫の後に、やさしくささやくようなフレーズを持ってきたりと、まさに変幻自在。ノリに乗っている彼女の姿が目に浮かぶようです。
18 Lou Rawls - Merry
Christmas Baby
ジャージーなビッグバンドのサウンドに続き、4ビートのピアノトリオでルー・ロウズが例の声で渋く始めます。Stormy
Monday
のアルバムの世界でクリスマスソングをやってくれるのですから、彼のファンならたまらないでしょうね。
こういうのを聴くと、ウッドベースのよさがよくわかります。ラッパがちょっと不揃いなところがまたいい。ギターソロは、まさにギブソンのフルアコサウンド。最後まで、このジャンルの音楽の約束事をきちんと守りながら、この時代のサウンドを再現し、聴くものをタイムトリップさせてくれます。
19 Spyro Gyra - I'll Home
for Christmas
この出だしのサックスのフレーズで、あのスパイロ・ジャイラだってことはすぐにわかります。その後のビブラフォンやピアノのサウンドは例のスパイラサウンド。うれしいですね。途中のブリッジもまさにあの世界です。スパイロジャイラ、個人的にはやはりこの路線で行ってくれないとと思います。いつもあの世界を期待してアルバムを買うのですが、最近は大抵は肩すかしを喰らっていますが。(笑)でもこの曲ではちゃんと彼らのサウンドを堪能させてくれます。
Christmas
Song VOL2
Christmas Songs
2000