もうこれ以上金利を上げないでほしい、と8割の米国消費者がギャラップ世論調査に答えている。残念なことに、連銀の金利政策には、まだ何の変化も見られない。新任の連邦準備理事会議長が就任するまで、あと二回の連邦公開市場委員会がある。だからグリーンスパン氏は、短期金利を4.5%まで引き上げることができるわけだ。
火曜の利上げ後に発表された声明書には、累積的に上昇するエネルギーと他のコストは、更なる物価上昇の原因になることが考えられる、という一文がある。こんな心配が消えるまで、連銀は金利を上げ続けることになるが、ここで最近目立ち始めた物価の動きを見てみよう。
エネルギー価格と言えば、筆頭に来るのがオイルとガソリンだ。アメリカエネルギー情報局のデータによれば、8月、1バレルあたり70ドル85セントまで急騰したオイルは、現在59ドル85セントで取引されている。9月、1ガロン3ドル7セントだったガソリンも、今日は2ドル48セントまで下落している。ビジネスウィーク誌の調べによれば、ほとんどのエコノミストは、オイル価格が50ドル台に落ち着くことを予想しているようだ。
住宅バブルと騒がれてから、かなりの月日が経つ米国不動産マーケットだが、いよいよ冷え込みが始まった。9月に販売された新築住宅の中間価格は21万5700ドル、と発表され、これは8月の22万8800ドルを下回った。また、売りに出されている新築住宅数が史上最高の49万3000件に達し、需要の低下が表れている。「中古住宅の在庫量も増加しています。ここ3ヶ月間ですが、多くの住宅は値下げをしないと売ることができません。住宅市場の下降が始まったようです」、とアナリストのディーン・ベイカー氏は言う。
もうインフレを心配する必要はなくなったのだろうか。「まだ安心は早すぎます。たとえばガソリンですが、これは株と同じです。どんなに強い株でも、休みなしで上がることはありません。必ず利食いによる、一時的な下げがやって来ます。再上昇は、売り物が完全に終わってからです」、と経済ジャーナリストのジム・ロジャース氏は説明する。
たしかに、去年と比べればオイルもガソリンも値上がっている。12回連続の金利引き上げで、クレジットカードの利子は18%を超えた。これでは肝心なクリスマスセールが危ない。そんなわけで、大手小売のウォルマートは、大幅な値下げを発表した。HPパビリオン・ノートブック・コンピュータが398ドル、HPフォトスマート・デジタルカメラが98ドル88セント、それにコーヒーメーカーが4ドル24セントなどだ。当然、他の小売店も値下げに踏み切ることだろう。有難い、今年のクリスマスプレゼントには、あまり金を使わずに済みそうだ。