US Market Recap

考慮したい5項目

エドセルというフォード社の車があったのをご存知だろうか。発表されたのは1957年9月、すべての消費者に満足されることを目的に作られた車だ。そんな車だから、ありとあらゆる趣向が凝らされていたのは言うまでもない。それなら、さぞたくさん売れただろう、と思われるかもしれないが、エドセルは大失敗に終わった。そんな訳で、アメリカ人はよくこんな事を言う。「コックは一人で十分。人数が多すぎると、肝心な料理が台無しになってしまう。」

見事な空振り三振となったエドセルだが、この実例から投資者たちは学ぶ必要がある、と指摘するのはMBHコモディティのジェーク・バーンスタイン氏だ。先ず、氏は5項目の検討を勧める。

1、株や商品売買には、いったいどれくらいの情報を集めたら十分と言えるのか?
2、十分に考えた上で売買判断を下すが、何を根拠にしたら十分考えたと判定できるのか?
3、客観的に売買判断の正しさを判定をする方法はあるだろうか?
4、売買判断に費やした時間と、投資結果には何らかの関係があるのだろうか?
5、徹底した分析が好結果に結びついているだろうか?

既にお分かりのように、長時間かけて分析したからといって、投資で勝てる保証は無い。シンプルなトレードを第一とするバーンスタイン氏から、もっと話を聞いてみよう。

「トレードは簡単であること。それが最も重要なことです。決してインテリトレーダーになってはいけません。たいした時間をかけずに、即席判断が投資に好結果を生むことは多々あります。考えてみてください。長時間の分析や会議での議論を通してファンド会社は銘柄を選びますが、その全てが高リターンという結果になっているのではありません。投資用ソフトウェアが発達した今日、売買判断は迅速にできます。あとはソフトウェアの判断に従った売買を実行するだけです。ここで本当に買って大丈夫だろうか、などと躊躇してはだめです。それは買わない言い訳を探そうとしているだけです。」

誤解されると困るので、少し付け加えておこう。バーンスタイン氏は、ただ闇雲に投資用ソフトウェアを信じて売買しろ、と勧めているのではない。順番は、先ず自分なりにマーケットの勉強をする。ざっと一通り相場の知識を身に付けて、初めてソフトウェアが有効になる。広告を鵜呑みにするのではなく、できれば実際にソフトウェアを使っている人たちの話を聞いてみることも大切だ。繰り返しになるが、いきなりソフトウェアに飛びつくのではなく、先ず基礎の習得から始めよう。

自社株買戻しは買い材料?

250億ドルにおよぶ巨額な自社株買戻しを発表したのはインテルだ。これだけの金額だから史上最高、と思われるかもしれないが、ナンバー1はマイクロソフトの300億ドルになる。トムソンファイナンシャルの調べによれば、2003年、ハイテク企業による自社株買戻し総額は197億ドル、2004年は723億ドル、そして今年は607億ドルにのぼる。

「自社株買戻しは、投資者にとって本当に良いニュースでしょうか」、と疑問を投げかけるのは、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェストのマーク・ハルバート氏だ。「自社株買戻しを発表した企業の株は、マーケット全体の伸び率を上回る、という学術的なレポートがあります。有名なものでは、イリノイ大学のデービッド・アイケンベリー教授とジョセフ・ラコニショック教授が発表したレポートです。」

しかし、ハルバート氏は、両教授によって出されたレポートを鵜呑みすることができない。「ウォールストリートは、自社株買戻しは株価に好影響、というイリノイ大学の研究結果を信じていますが、二教授によって出されたレポートは10年以上も前の話です。ご存知のように、投資方法はあまりに多数の人たちに知れ渡ってしまうと、その効力が失われる傾向があります。」

早速ハルバート氏はアイケンベリー教授をインタビューした。教授の言葉を要約すれば、自社株買戻しニュースは、今日もほぼ10年前と同様な好影響を株価に与えている、ということだが、こんな付け加えがある。「単に自社株買戻しを発表した企業を買うだけなら、リターンはマーケット全体の成績を4年間で平均3.53%上回ります。これ以上の利益を得たいのであれば、次の二点を考慮する必要があります。

先ず、自社株買戻しが発表される前の株価推移を見てください。大きく下落しているものほど、買戻しニュースは好材料になります。第二の要素は、買戻しの理由です。会社側は、株価がいかに大きく正当評価額を下回っているかを、株主たちに納得できるように説明しなければいけません。」

それでは、膨大な額の自社株買戻しを発表したインテルは買いだろうか。買戻しニュース以前の株価はパッとしないが、最近ダウントレンドから抜け出ているから、他社と比較して格別悪いとは言えない。記者会見でも、インテルは現在の株価と正当評価額については一切触れなかった。ようするに、インテルの買戻しニュースは、特に美味しい話ではないようだ。

経験のプレゼント

そろそろクリスマスセールがやって来る。年商の半分が、この季節に集中している店もあるから、正に真剣勝負だ。何を贈ろうかと迷うものだが、子どもたちは、そろそろ今年欲しいクリスマスプレゼントのリスト作りを始めることだろう。さて、大切な人のために、一味違ったクリスマスプレゼントをお探しのあなたに、CNNMoneyはこんな提案をしている。

金に糸目はつけない、そんなあなたならエルトン・ジョンはいかかだろうか。必要経費は150万ドル(1億7700万円)。赤いグランドピアノを弾きながら、今や生きる伝説となったエルトン・ジョンが、あなたとゲストのために、たっぷりと一時間半のプライベートコンサートを開いてくれる。もちろん、赤いピアノは、あなたの物だ。

高価なギフト、といえば宝石や車だった。しかし、最近のトレンドは上記のエルトン・ジョンの例に見るような、経験や体験をプレゼントすることだ。「消費者は流行ファッションのように、直ぐ消えて無くなってしまうものに物足りなさを感じています。ですから、貴重な時間を使って、一生忘れることのない思い出が最高のプレゼントなのです」、とエクスペリエンス・デイズ社のミッシェル・ガイブ氏は言う。

ガイブ氏が経営する会社は、予算が50ドルから11万ドルまでの、経験体験ギフトを販売している。「最も人気があるのは、お互いに楽しみや喜びを分かち合うことができるものです。豪華客船でロマンチックな夕食、小型飛行機から眺める夜景、サンフランシスコでダンスパーティー、と様々ですが、変わったものでは戦闘機に乗って架空の空中戦を楽しむこともできます。」

たしかに普通のプレゼントと比べれば、経験体験ギフトは値段が一般庶民向きではない。だが、高級車や豪邸、それに別荘を持つ人たちは手に入れられるものは既に手に入れてしまった。もう一つダイヤモンドが増えても、そんなことは全く嬉しくない。だから、たとえ5百万ドルかかっても、宇宙旅行に申し込む人たちがいるわけだ。

「経験体験ギフトは、これから更にエスカレートしていくことでしょう」、というロイス・ハフ氏(小売コンサルタント)の言葉どおりになることだろう。安売りで知られるサムズ・クラブでさえ、今年はこんなギフトを始めた。デイトナ500ツアーなのだが、単にフェンスの向こうからレースを眺めるわけではない。費用は4万ドル(大人4人)で、特別な許可証が付いている。だからピットやガレージへの出入りが自由にでき、レーサーたちにも会えるわけだ。物を贈るのはもう古い、そんな時代が来たようだ。

ノーベル賞受賞者が語る5つのルール

「ウォールストリートは単なるステージにすぎません」、と言うのは経済コラムニストのポール・ファーレル氏だ。「証券会社、ミューチュアルファンド、アナリスト、投資ストラテジスト、出演者は多彩です。皆それぞれ脚本に従って役を演じますが、だれ一人として自分が役者であることを認めようとしません。けっきょく、皆、何も分かっていないのです。」

更に氏はこう付け加える。「投資者も、専門家たちの意見を分かったふりをしているだけです。米国経済、株式市場のことなど全く理解できていないのですが、いつも微笑みを浮かべて、自分たちをごまかしています。既にマネー誌が取り上げましたが、今こそ経済学でノーベル賞を受賞した、ダニエル・カーネマン氏の言葉を思い出すべきです。」さっそく投資に役立つ、カーネマン氏が指摘する5つの事項を紹介しよう。

1、全てのデータを信用するな。
正確に言うと、データそのものに問題は無い。悪いのは、私たちのデータ解釈方法だ。たとえば有名ファンドマネージャー、ビル・グロス氏の言葉がウォールストリートジャーナルに引用されていたとしよう。それを読んだあなたは、グロス氏の意見をどう取るだろうか。氏の言うことだから間違いない、と簡単に鵜呑みしてしまわないだろうか。

2、いつも冷静に。
証券会社の作戦にはまってはいけない。思い出して欲しいのは、90年代のインターネット株ブームだ。多数の投資家が、いい加減なレポートに熱狂してしまい、ドット・コム銘柄は常識を超える暴騰になった。冷静な頭で判断すれば、収益ゼロの会社を狂ったように買うことはなかったはずだ。

3、投資アドバイザーの意見を頼るな。
テレビに出ているからといって、アドバイザーを信じる必要はない。彼らの興味は購読者を増やすことだから、アドバイザーたちの言うことはセールストークだ。

4、口座残高ばかりを気にするな。
残高の動きだけを見ていると、感情的な投資家になってしまう。上記2でも述べたが、大切なのは冷静さだ。

5、総合的な立場で投資しよう。
一つの銘柄やセクターだけに集中投資するのではなく、バランスのとれた投資を心がけよう。これなら一つの銘柄がダメでも、他セクター銘柄が損を補ってくれる。

ドル高は終わった!?

二桁勝利を目標にするピッチャーが多い。9勝と10勝の差はたった1ゲームだが、桁数が一つ増えただけで、10勝の方がかなり重々しく見える。投資の世界でも、9%の利益より10%増の方がずっと優秀に映る。ドル高が話題になっているが、今年ドルは円に対して約14%、そしてユーロに対しては13%ほど上がっている。

ドル高を作り上げた一番の原因は短期金利だ。容赦ない連銀による金利引き上げで、現行の米国短期金利は4%ちょうどになった。日本の金利は0.1%、そして欧州ユーロ圏内の金利は2%だから、いかに米国金利が突出しているか分かっていただけると思う。

しかし、このドル高パーティーも終わりに近い、と警告する為替アナリストが出始めている。2003年6月以来、欧州中央銀行は金利を据え置いてきたが、いよいよ金利引き上げに踏み切る可能性があるようだ。これが現実となれば、少なくとも一時的なユーロ買いが起き、ドルの上伸に圧力をかけることができる。

広がる米国金利と海外金利の差が、ドルをベースにした投資を魅力的なものに変えた。これがドル人気の理由だが、ほとんどのアナリストは12月と1月にも連銀による金利引き上げを予測している。一方、ロイターからは、次のような報道がある。60人のエコノミストにインタビューした結果、ほぼ全員が来年の6月までに欧州中央銀行による金利引き上げを予想している。また、MGファイナンシャルグループのアシラフ・ライディ氏は、「たぶん75%から80%の確率で、中央銀行は12月に金利を上げることでしょう」、と述べている。

たとえヨーロッパが金利を12月に引き上げても、一気に米国金利に追いつくことはない。ドル高は更に進むのだろうか。為替アナリスト、デービッド・ソリン氏を引用しよう。「金利引き上げ政策は最終段階に入っていますから、あと1ヶ月から2ヶ月でドルの上昇サイクルは終わると思います。」もしドル安が訪れると、アメリカへの輸入品が値上がる。ドル高の逆になるのだから、ユーロや円をベースにした投資が有利になる。ということは、来年の米国株式市場は低迷する可能性が多分にあるわけだ。

企業に鳥インフルエンザ対策はあるか?

推定されるアメリカ国内での死亡者数は190万人。これが、鳥インフルエンザの最悪シナリオだ。既に11月1日、ブッシュ大統領は鳥インフルエンザ対策として、71億ドルを投入する計画があることを発表している。しかし、正直なところアメリカ国民には、実感として鳥インフルエンザの怖さが分からない。本当に、この病気はそれほど深刻なのだろうか。経済ジャーナリスト、ジョン・カリー氏が指摘する、いくつかの重要な点を紹介しよう。

普通のインフルエンザ予防接種は、鳥インフルエンザに効きますか?

「一般的なインフルエンザと、鳥インフルエンザは根本的に違いますから、普通の予防接種では効き目がありません。鳥インフルエンザのような病気は、100年に一度といった頻度で起きる希な病気です。1918年の鳥インフルエンザは、米国内に67万5000人の死亡者を出しました。全世界では、5000万人の死亡者です。」

鳥インフルエンザを警戒する必要が、本当にあるのですか?

「1918年の鳥インフルエンザは、ウイルスが鳥から人間に突然感染することで蔓延しました。現在アジアは、鳥インフルエンザの危機に直面していますが、このウイルスは鶏やアヒルだけでなく、渡り鳥にも感染します。既に感染した渡り鳥がヨーロッパで発見されていますから、アメリカに来るのも時間の問題です。」

鳥インフルエンザはどのように人へ感染するのですか?

「ウイルスに感染した鳥に接触しない限り、人にうつることはありません。ですから、今でもアジアへの旅行が禁じられていないわけです。」

でも、念のためにアジアへの旅行禁止、そしてアジアからの旅行者の米国入国を拒否するべきではないでしょうか?

「現時点で、そのような措置は全く必要ありません。重要なことは鳥との接触を避けることで、人の出入国の規制ではありません。」

もしアジアへ行った場合、卵を食べても大丈夫ですか?

「生はダメです。料理された卵なら大丈夫です。」

鳥インフルエンザは、どうやら感染しにくい病気のようですね。やはり、あまり警戒する必要は無いのですね?

「1918年の鳥インフルエンザは、感染した人たちの約2.5%から5%が死にましたが、感染者の50%が死亡した前例もあります。今のところ感染は鳥から人ですが、何らかの変異が生じて人から人への感染が将来起きる可能性もあります。」

ハリケーンと違い、鳥インフルエンザが工場やオフィスビルを破壊することはない。しかし、病気が蔓延すれば、半分近い従業員が欠勤することは十分有りえる。最高経営責任者、社長、そして会長が同時に倒れたら、その会社の指揮はだれがとるのだろうか。経営陣が大丈夫でも、製品配達担当者が皆休んでしまうことだって考えられる。万が一のために、あなたの会社は準備が整っているだろうか。

分かりきった理由トップ3

コールオプション、プットオプションという言葉を耳にされた方は多いと思う。個別銘柄オプション、インデックスオプションなどの種類があるが、ルールは簡単だ。上がると思えばコールオプションを買い、下がると思うならプットオプションを買う。人気銘柄のヤフーで説明しよう。

金曜、ヤフーは37ドル87セントで取引が終了した。もし、ヤフーが40ドルに行く、と確信するならコールオプションの40ドル物を買う。ただ、時間制限があるから、11月限にするか12月限にするかを決めなければならない。当然、時間に余裕があった方が良いから、ここでは12月限を買うことにしよう。

ヤフーの12月限40ドル物は、1枚(1コントラクト)60ドルで金曜の取引を終えた。1枚=100株だから、たった60ドルの資金でヤフー100株分をコントロールできるわけだ。株が上がれば、当然コールオプションの値段も上がる。12月限を買ったからといって、何も制限時間が来るまで持っている必要はない。株と同様に、値上がれば利食い、ダメなら損切るだけだ。

一見だれでも勝てそうなオプションだが、現実は厳しい。統計によれば、90%の人たちが損を出しているという。何故これほど成績が悪いのだろうか。ある証券会社が、「あなたは何故オプションでロスを出したと思いますか」、という意見調査をした。10以上の主な理由があげられていたが、上位の3つを紹介しよう。

1、すぐ損切りが出来ず、小さな損を大きくしてしまった。
なぜ素早い損切りが出来なかったのだろうか。ある投資家は、正直にこう語っている。「あらかじめ設定しておいた損切りの値段が来たのですが、オプションを処分することができませんでした。損切ることは、自分が間違っていたことを認めることであり、私はプライドを傷つけたくなかったのです。」

2、難平買い。
損切りをするかわりに行きつくのが、この下がったところでの買い増しだ。たしかに平均価格を下げることになるが、結果はかんばしくないようだ。

3、投資アドバイザーやニュースレター情報に頼ってしまった。
オプション歴1年半のFさんに説明してもらおう。「最初は少し投資の本などを読んで勉強したのですが、中々そう簡単ではないことが分かりました。ですから、この世界で成功している人たちの意見を聞いて、手っ取り早く儲けようと思ったのです。6種類のニュースレターを購読してますが、まだうまく行きません。」

成功している人たちは損切りが素早く、決して難平買いをせず、そして自己判断で投資をしている。こんなことを書くと、「当たり前なことを言うな」、と怒鳴られそうだが、株の世界では9割近い人たちが、肝心なところで当たり前なことができなくなってしまうようだ。

ポッドキャスティング

iPodの登場で、ポッドキャスティングに人気が集まっている。iPodは音声録音をいっそう簡単にし、だれでも楽に音声をホームページにのせることができるようになった。その結果、オンラインのラジオショーが身近になり、ポッドキャスティングが誕生したわけだ。ポッドキャスティングは、単に音楽だけではない。話題はスポーツ、釣り、日曜大工、とにかく豊富だ。

これだけ人気のポッドキャスティングだから、これをビジネスに応用できないだろうか。当然のことながら、既に企業はポッドキャスティングの有効な使い方を研究している。アダム・カリー、という名前には馴染みがないと思うが、カリー氏はポッドキャスティングのパイオニアだ。今月、氏はポッドキャストネットワークを開始し、30から50の番組を計画している。シリコンバレーにあるベンチャーキャピタル会社が、約980万ドルの資金をポッドキャストネットワークに投資したようだが、「絶好なビジネスチャンスだ」、と大きな期待をよせている。

ポッドキャスターの収入はスポンサーからのコマーシャルだ。ほとんどの場合、番組の開始前に、15秒から30秒のコマーシャルを流す。コマーシャル料金は、一月数千ドルが相場になるが、4万5000ドルといった高額な料金も現れている。ビジネスウィークの報道によれば、ボルボ社はウェブログインクのオートブログに、6万ドルのコマーシャル料金支払いに同意している。

サンタモニカのラジオ局、KCRWは従来のラジオ番組と平行して、ポッドキャスティングも開始した。さっそく、南カリフォルニアのレクサスディーラーからコマーシャルが依頼され、ポッドキャスティングは順調なスタートを切った。放送を始めた最初の週は、約2万件ほどダウンロードされたようだが、このダウンロード数は、あっというまに10万以上に膨れ上がってしまった。そのためラジオ局は、コマーシャル料金を1000回のダウンロードに対して25ドルへの変更を考慮している。

スポンサーの広告に頼らないポッドキャスティングも存在する。This Week In Techは20万の聴取者を持つポッドキャスターだが、毎月2ドルの寄付を呼びかけ、現在月々1万ドルの収入を上げている。まだまだ若いポッドキャスティング、はたしてこれからどう変貌していくのだろうか。

海外に目を向ける米国の投資家たち

ダウ指数の1万ドル割れを予測するのは、JPモルガンのアブヒジット・チャクラボーティ氏だ。更に氏は、2006年度の企業収益成長率は0、という見方も発表している。年末ラリーを期待する投資家には嫌な意見だが、上昇の続く金利が、いよいよ企業利益を低下させるようだ。こんな見解のチャクラボーティ氏だから、とうぜん株を避けてマネーマーケットファンドのような現金ポジションを勧めている。

成長率0%には賛成しないが、アナリストのバリー・ハイマン氏も、2006年度の企業収益低下を予想している。「物価と金利上昇が悪影響なのは言うまでもありませんが、どちらにしても、2006年は企業の利益が下がります。過去3年間を振り返ってみると分かりますが、企業収益は予想以上に好調でした。ですから、このような伸びを4年連続で期待するのは無理です。」

トムソン・ファイナンシャルのデービッド・ドロップシー氏によれば、2002年の企業収益成長率が0.1%だった。これと同じことが来年再現されるためには、かなり破滅的なシナリオが必要になるという。ドロップシー氏を引用しよう。「成長率0が現実化するには、超異常な物価高、失業率の大幅増加、それに急激な金利引き上げが必要です。現状を見る限り、まずそのような事態が発生することは考えられません。」

連銀は12回連続の金利引き上げを実施したわけだが、この金利上昇がドル高という状況を作りあげている。ドルが上がれば、米国からの輸出品が高くなり魅力が落ちる。そうなれば売上の減少が起き、ただでさえ膨大な貿易赤字を抱える米国経済にマイナスだ。もちろん、米国内企業のリストラを更に進めて、労働賃金の安い国外での製造量を大幅に増やす対抗手段もあるが、これも結果的には国内企業収益を減らしてしまう。

暗い見通しだが、株はやめて本当に現金化した方が良いのだろうか。最後に、経済ジャーナリスト、ジム・ジューバック氏の見方を紹介しよう。「アメリカではなく、国外に目を向けることが大切です。ドル高が海外企業に有利な環境を生み出しています。もし連銀の金利引き上げが終わると、ドルの下降が始まるわけですが、そのような状況ではドルではなく、外貨をベースにした投資が有効です。ですから現時点では、日本株に投資をするファンドが最適と思われます。」

希少価値

株式市場は、スーパーマーケットのレジにできる列のようなものだ、とファイナンシャルタイムス紙のティム・ハートフォード氏は言う。「だれでも一番短い列に並びたい、と思うものですが、将来性のある株を選ぶのも、それに似ています。馬鹿らしい、と言われるかもしれませんが、そう簡単にできることではありません。この列が一番短い、と自分が発見するのと同時に、他の人たちも一斉にその列に殺到します。ですから、あっというまに一番短い列が、一番長い列になってしまうわけです。」

いつも一番短い列を選ぶためには、レジにできる列の習性などを調べる必要がある。例えば、あの人は仕事がテキパキと速い。だから列も直ぐ短くなる。この時間帯は、真ん中の列が一番遅い。そのようなことが分かっていれば、待ち時間の短い列が選びやすくなることだろう。それでは、ハートフォード氏に、銘柄の選び方について語ってもらおう。

「株を適切に選ぶためには、それなりに準備や勉強をしなくてはいけません。そのような時間は無い、と言う方にはインデックスファンドをお奨めします。繰り返しますが、マーケットで利益を上げるためには宿題を怠ってはダメです。最初に指摘したいことは、ファンドマネージャーやアナリストを頼ってはいけません。統計に表れているように、ほとんどのファンドマネージャーはインデックスファンド以上の成績をあげることができません。

この会社を買ってみよう、と思ったら「希少価値」という言葉を思い出してください。この会社には希少価値があるだろうか。この企業には、ライバル会社が真似できない何かを持っているだろうか。もし、投資者たちが、真剣にこれらの質問に答えていたなら、あのようなインターネット株バブルは起きなかったことでしょう。自宅の物置が本拠地になっているような会社では長続きしません。そんな会社なら、だれにでも作れます。」

希少価値のある会社として、ハートフォード氏は次のような例を挙げている。「イーベイは希な企業です。ネット上でオークションを成立させるには、買い手と売り手を同時に引き込む必要があります。これは簡単にできることではありません。他にはヤフー、アマゾン・ドット・コム、それにグーグルです。どの会社も、他社がた易く真似できません。」

最後に、人気商品iPodでお馴染みのアップルについて氏に聞いてみよう。「売る時期だと思います。企業収益は既に去年の4倍にもなっています。このような伸びを継続するのは無理です。たしかにiPodは希少価値のある商品ですが、確実に競争相手が接近しています。ソニーのWalkmanと同じです。永久に市場を独占することはできません。もう一つ付け加えれば、アップルの株価収益率は35倍に達しています。これは、とても割高なレベルです。」

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