US Market Recap

改善を求められるアメリカ食品産業

スポンジボブやスクービードゥーは、健康的な食品のコマーシャルだけに使われるべきだ。こんなレポートが、米医学研究所から発表された。子どもの肥満が社会問題になっているから、人気キャラクターは、子どもに正しい食生活を教える義務がある、というわけだ。米医学研究所は議会の認可によって設立された機関であり、その影響力は各界のエキスパートや議員に広く及んでいる。

今回のレポートを要約しよう。「企業は子どもたちに、もっと高質な栄養を含んだ食品や飲み物を提供するべきだ。そのためにはカロリーを抑えて、脂肪、塩、そして砂糖の使用量を制限する必要がある。子どもたちの健康管理は最優先されるべきものであり、現在の食生活を継続することは、将来的に大きな問題がある。幼少時に形成された食習慣は、結果的にアメリカの食習慣を作り上げる。健全な食生活を米国に定着させるには、各界からの強力が必須だ。」

米医学研究所が指摘するように、子ども向けに放映される食品コマーシャルは、たしかに高カロリーなものが圧倒的に多い。このような食品製造を即刻停止せよ、といった極端な勧告はなかったが、米医学研究所はコマーシャルの模範基準を設定して、それに違反する企業を罰することを提案している。具体的には、2年の期間が過ぎても事態が改善されない場合は、子ども番組の時間帯には、非健康的な食品コマーシャルを全て禁止することが推薦されたようだ。

コマーシャルが子どもに与える影響力を無視することはできない。毎年100億ドル以上の資金が、子ども向けコマーシャルに使われ、ほとんどの食品は大した栄養のない、つまらないものばかりだ。その結果、上記した肥満問題に発展するのだが、既に31%の子どもは太りすぎだから、早く手を打たないと大変なことになる。ついでに言えば、大人の40%以上が肥満だから、正にアメリカは肥沃な国だ。

規制対象になるのは、食品コマーシャルだけではない。米医学研究所は、レストランや食品小売店の協力も要請している。メニューにカロリーを記している店も既にあるが、もう一歩進めて、健康的な材料だけを使った料理が好ましい。もっと重要なのは、家庭での教育だ。先ず親が先頭を切って、適切な食生活の見本にならなければいけない。テレビの影響も大きいが、何と言っても、子どもは親を見て育つ。と書いたら心配になった。4割以上の大人が太りすぎのアメリカで、本当に家庭教育は可能なのだろうか?

今回の東京は違う!

日本の経済回復は本物だ、とアナリストたちは自信満々に言う。2003年の5月から2倍になったジャパン・インデックス、さすがに皆さん強気に転向だ。ソニーやトヨタは知っていても、東京株式市場に詳しいアメリカ人は少ない。しかし、連日好調な東京マーケットを黙って見ているのは面白くない。そこで、日本株専門のミューチュアルファンドに資金を回すことになる。

一口に日本専門ファンドと言っても、その数は多い。ファンドも個別銘柄と同じで、有望な優れたものを選ばなくてはいけない。ティム・ミドルトン氏(経済コラムニスト)の意見を紹介しよう。「T.ロウ・プライス・ジャパンは、2006年度、最も成績優秀なファンドになるでしょう。9月に再選された小泉首相は、日本の経済問題を初めて直視した政治家です。再選を合図に買っているのは、日本の投資家だけではありません。海外の資金も東京へ向かっています。」

アメリカ人が日本へ投資するときの注意点は何だろうか。ミドルトン氏を引用しよう。「過去15年間を振り返ってみると、東京市場はラリーの後、急降下することがしばしばありました。これが原因で、多くの投資者が日本株専門ファンドを売却したのも事実です。ですから、これから初めて日本に投資する方々は、急落にあううかもしれません。しかし、今回のラリーはいつもと違います。モーニングスター社の調べによれば、ミューチュアルファンドはまだ本格的に日本株を買っていません。」

米国以上に、日本を注目しているのがヨーロッパのファンドマネージャーたちだ。先日、短期金利引き上げがあったが、ヨーロッパ経済は全体的に弱々しい。来年早々から、ヨーロッパ資金が更に日本へ流れ込むことが既に予測されているから、今年中に日本株専門ファンド購入を推奨するアドバイザーも少なくない。

もう一つ、ミドルトン氏は興味深い指摘をする。「長期投資ならミューチュアルファンドで十分ですが、短期資金は証券取引所に上場されている、日本専門インデックス・ファンドに向かうことでしょう。インデックス・ファンドとミューチュアルファンドには、大きな違いがあります。ミューチュアルファンドに集まった資金は、直ぐ投資する必要はありませんが、インデックス・ファンドの場合は直ぐ株購入に使われます。」明るい正月になりそうだ。

あなたの口座は大丈夫?

持ち株が全て売られ、オンライン口座の残高がゼロになっている。こんなハッカーによる被害が急増し、米証券取引委員会(SEC)は、オンライン投資家たちに十分注意を払うよう警告を発した。現在取り調べが行われている口座数は公表されなかったが、SECのスーザン・ワイダーコ氏によれば捜査中の口座は、最近6カ月以内に被害を受けたものが中心だ。

オンライン証券会社の大手と言えば、Eトレード、アメリトレード、チャールズ・シュワブ、そしてフィデリティの四社がある。例えば、Eトレードの口座数は360万におよび、その約三分の一は米国外からの投資者だ。チャールズ・シュワブに口座を持つ投資家は700万人にのぼり、その半数がオンライン口座を利用している。また、80%のオンライン口座は上記四社の管理下にある。

ハッカーはどうやって口座から金を奪うのだろうか。最もよく使われるのが「フィッシング」という手口だ。一見本物のようなEメールがオンライン証券会社から届く。下記をクリックしてパスワードを再登録してほしい、といったやり方で重要な個人情報を盗むわけだが、問題はあまりにも無防備な投資家たちの姿勢だ。覚えておいてほしいのは、証券会社がEメールで細心の注意を払う必要がある個人情報を求めることはない。

口座をハッカーから守るために、次の事項も忘れないでほしい。最新版のアンチウイルス・ソフトウェアはインストールされているだろうか。スパイウェア対策は十分にできているだろうか。ファイアウォールをインストールするのも効果的な手段だ。インターネット・エクスプローラをお使いなら、バージョン更新情報も必ず入手しよう。

不幸にも被害にあってしまったらどうするべきか。先ず証券会社に即刻連絡すること。ほとんどの人はそこまでで終わってしまうが、できれば証券会社が所在する市の警察にも報告してほしい。これは個人情報泥棒犯罪として、警察でも捜査をしてくれる。しかし、SECのワイダーコ氏はこんな指摘をする。「ハッカーの多くは米国の法律が届かないオフショアを拠点にしています。ですから実際の逮捕は、とても難しいのが現状です。」

もちろん、ハッカーの心配があるからといって、オンライントレードを止める必要はない。とにかく用心すること。極端に言えば、証券会社からのEメールは無視することだ。たとえ犯人が捕まったとしても、盗まれた金が全額戻ることはない。最新なソフトウェアをインストールして、疑い深い投資家になろう。

金を買う必要は本当にあるのか

ついに500ドルを超えた。こんなレベルで金が取引されるのは1987年以来だ。好調なのは金だけでない。銀、パラジューム、プラチナ、それぞれ高値の更新だ。「世界経済はフルスピードで走っています。まるで金属を食い散らすモンスターのようです」、とマネー&マーケット誌のショーン・ブロドリック氏は言う。

金属市場の中で、最も身近に感じられるのが金だ。なぜ金が買われているのだろうか。ほとんどの人が指摘するのがインフレだ。9月の数字を上回ることはなかったが、消費者物価指数10月分は+4.3%だった。これほど高い数値を記録するのは14年ぶりになる。ご存知のように、物価上昇は紙幣の価値を下げる。歴史を振り返ると、金には究極的な貨幣としての価値があり、インフレ対策投資として常に選ばれてきた。

2004年1%だった米国短期金利は、連銀の執拗な引き上げで4%になった。これも、金人気を作り上げている一因だ。4%になった金利だが、これはまだインフレ率より低い。インベストメント・オフィサーのフランク・ホルムズ氏に説明してもらおう。「各国の中央銀行は、短期金利を実際のインフレ率以下に設定します。そうすることで、経済成長に勢いをつけることができるからです。しかし、結局これがインフレ原因になり、金が買われることになるのです。」

中国、インド、そして他アジア諸国からの金需要が増大している。金が伝統的な投資となっているこれらの国々は、最近目覚しい経済発展を遂げ、資金が豊富になった。しかし、需要が増えても肝心な供給が追いつかない。フランク・ホルムズ氏によれば、金精錬所を建てるには30億ドルの費用がかかり、約10年の建築期間が必要だという。また、環境保護を叫ぶ団体も多いから、そう簡単に精錬所用の土地を確保することもできないようだ。

止まる気配を見せない金需要、極めて限られている供給量。まだまだ金は買える、と思われるかもしれないが、ここでファイナンシャル・アドバイザー、ウィリアム・バーンスタイン氏の言葉を聞いてほしい。「金に投資する理由はインフレ対策ですが、本当にインフレ率以上の成績を上げているのでしょうか。答えは「ノー」です。インフレ率を考慮すると、金の実質利益はゼロです。」

インフレ対策にならないのなら、無理して金を買うことはない、と早合点する前に、もう一度バーンスタイン氏の話に耳を傾けよう。「株式投資の一部に、金鉱銘柄を入れておくことで好結果を得られます。金鉱銘柄は全体のポートフォリオの10%で構いません。残りの90%は成長株です。100%成長株だけのポートフォリオと比較すると、金鉱株を含めたポートフォリオの方が優れたリターンを得られます。もちろん、問題が一つります。たとえ成長株と金鉱株をミックスしても、売買タイミングを間違えていたら何の意味もありません。」

機関投資家の探し物

ファンドマネージャー、ビル・グロス氏は言う。「やっとつかんだぞ、これが完璧なスイングだ、と喜んでいたのは良かったのですが、13番から14番ホールに行く途中で体得したはずの秘密をすっかり忘れてしまいました。」皆さんも、似た経験をお持ちではないだろうか。難しいパットを立て続けに沈めると、完全にパットのコツをマスターできた、と思ってしまう。しかし、次のホールからは、たった30センチのパットも決まらない。あれは単なるまぐれだったのだろうか。

株式投資でも、ご存知のように同様なことが起きる。連戦連勝の波に乗ると、マーケットの秘密を手に入れた、と確信することだろう。だが、連敗の悪いリズムに襲われると、つかんだ秘密を疑ってしまう。だから投資者たちは、もっと優れた方法を求めることになるが、実はウォールストリートの機関投資家も同じだ。もちろん、100%確実なやり方は要らない。彼らの求めているものは「アルファ」だ。

アルファを持ち出すと、必ずベータが出てくる。ウォールストリートでベータと言えば、マーケットと同様なリターンを生む投資方法だ。例えば、マーケット指標に使われるS&P500指数が8%増なら、あなたの口座も8%上昇することになり、指数が6.5%減なら、あなたの口座も6.5%減る。マーケットと同様では、やはり面白くない。そこでアルファが求められるわけだが、アルファとはマーケットが低迷する時も利益を上げることのできる投資方法のことだ。

アルファ投資などと言うと複雑に聞こえるかもしれないが、実際はそう難しいことではない。100億円の投資を想定して説明しよう。先ず、マーケットと同じ動きをするベータ投資に5%の資金を割り当てる。(10%でも構わない。)インデックスファンドのような、指数に連動するものを利用するのが手っ取り早い。繰り返しになるが、ベータの部分はマーケットと同じリターンになるから儲かることもあれば、その逆に損をすることもある。

次は残りの95億円をアルファ投資に使う。マーケットが悪くても利益を上げなくてはならないから、何に資金を回したら良いだろうか。ここで、また手っ取り早い方法を言うと、優秀な成績を誇るヘッジファンドに任せることだ。なんだ、つまらない、という声が聞こえてくるが、機関投資家はより良いアルファ投資を求めて、際立ったヘッジファンドマネージャーを絶えず探している。一口に機関投資家といっても、それには銀行、保険会社、ミューチュアルファンド、年金基金、そして農業団体などあるから莫大な資金だ。

アルファ投資につぎ込まれている正確な金額は公表されていないが、年金基金のような大手機関投資家の総合投資額は1250億ドルと推定されている。「機関投資家が今日のように、ここまで積極的にアルファ投資を探していたことはありません。彼らは種類など気にせず、ありとあらゆるものに手を出しています」、とジェーン・ビュシャン氏(ヘッジファンド会社勤務)は言う。90年代のブルマーケットが派手だっただけに、満足できるアルファを見つけることは難しいことだろう。

ゼネラル・モータース復帰の鍵

ゼネラル・モータース(GM)が弱体化した最大の原因は、革新性に欠けるためだ、とMSNマネーでシニアエディターを務めるジム・ジューバック氏は言う。だから、有利な環境でビジネスを展開できる競争相手にマーケットシェアを奪われてしまった、というのは単なる言い訳であり、会社成長を刺激する新鮮なアイディアを導入できなかった経営陣の責任だ、と氏は非難する。話を続けよう。

「ゼネラルモータースに限らず、大企業の経営者たちは一つの問題解決方法しか知りません。それは、GMの3万人解雇計画が示すように、コストを削減することです。最高経営責任者は、アメリカの労働者クラスを犠牲にし、肝心な会社を成長させることを怠っています。今日の米国大企業は、まるで成長することを忘れてしまったかのようです。

しかし、グーグルとアップル・コンピュータを見てください。革新的なアイディアを取り入れることで飛躍的な伸びを記録しています。デルやシスコ・システムズも世界制覇を目指して努力しています。大した将来性が無い、と言われるスチールやコーヒー産業でも、ニューコアとスターバックスの成功例があります。

グローバル化が進む現代のビジネス界では、外国企業との戦いを無視できません。GMの経営陣は、このグローバル化を売上不振の一因にあげていますが、それは理由になりません。海外から入って来る安いスチールにもかかわらず、ニューコアは確かに業績を伸ばしています。安い労働コストを武器にする外国企業との競争で、ニューコアは好成績を上げているのですから、同じことがGMにできないはずがありません。」

それでは実際にGMはどうしたらいいのだろうか。労働組合、年金、医療保険など問題があるが、何よりも大切なのは消費者が買いたい、と思う車を作ることが先決だ。現在GMでは55種類の自動車、トラック、そしてスポーツ用多目的車が製造されている。4ドアのセダンだけでも10種類あり、いったい何がGMの顔なのかが分からない。労働組合のリーダーたちもこう語っている。「GM復帰の鍵は、消費者を引き付ける魅力的な車をデザインすることです。」

中国にデフレがやって来る!?

中国とデフレ、今では縁遠い二つの言葉だが、デフレが中国を襲う、と真剣に考えている人たちがいる。過熱する中国経済がよく話題になったものだが、シャンハイで経営コンサルタントを務めるジョン・チャン氏が言うように、最近は中国経済がニュースになっても、過熱という表現は使われることがなくなった。

「先ず、適切な中国政府の対処を称賛したいと思います」、と経済ジャーナリストのウィリアム・ペセック氏は語る。「バブル経済が懸念されていましたが、中国政府関係者はうまくバブルをしぼませることに成功しました。更に今年中国は、2.1%の人民元切り上げも問題無く実行しましたから、リーダーたちは経済状況を正確に把握しているようです。」

しかし、現在の中国にはデフレを招く危険性があるという。モルガン・スタンレーのアンディー・シェイ氏を引用しよう。「アジアで第二番目の中国経済は、早ければ来年中に物価の低下が始まると思われます。最大の原因は超過生産です。中国はセメント、アルミニウム、繊維などの例に見られるように物を余分に作り過ぎです。同じように、工場やビルも建て過ぎです。」中国政府は行き過ぎな設備投資を避けようとしているが、経済を適当な速度に減速させるような積極的な措置ではない。だから、たとえ中国経済の成長率が9%落ちたとしても、超過生産を解消するのは無理だ。

アメリカ人が貯金をしないのとは正反対に、一般中国人の貯蓄率は極めて高い。この貯蓄率も、中国をデフレに導く原因になる。「中国政府は国民に、もっと消費を奨励しなくてはいけません。そのためには、国有されている資産を私営化する必要があります。さらに、年金制度、医療システム、それに学校教育の近代化も重要な課題です」、とシェイ氏は言う。北京大学教授、ジャスティン・リン氏も2006年デフレ論に賛成だ。「このような形で、中国が経済を成長させていくことは危険です。物があまりにも生産され過ぎですから、デフレ経済に逆もどりすることは十分考えられます。」

中国がデフレに襲われたら、米国経済に悪影響を与えるだろうか。ウイリアム・べセック氏の意見を要約しよう。「必ずしもアメリカが被害を受けるとは限りません。デフレに陥るということは、政府が健全な消費経済育成に失敗したことを意味します。ただでさえ金を使わない国民ですから、中国は米国への輸出を大幅に増やそうとすることでしょう。そのため貿易摩擦が深刻化することも予想されます。もちろん、デフレに苦しみ状況を改善させた日本の実例もありますから、中国に同様なことができるかもしれません。」

中間価格増、しかし平均価格は減

何かの間違いだ、こんな筈はない。今朝発表された数字に皆おどろいた。10月分の新築住宅販売件数は、年間ベースで142万件にのぼり、予想された120万件を上回った。この数値は9月の販売高から13%増となり、これほど大きな上昇率を記録したのは1993年4月以来だ。

だれもが米国不動産は下降局面に入った、と信じていた。住宅着工戸数、それに建築申請数も減少が始まっていたから、今朝の数字はどうしても納得ができない。本当に今朝の発表は正確なのだろうか。全米住宅産業協会の、デービッド・サイダース氏はこう語っている。「住宅市場の状況は十分につかんでいるつもりでしたが、こんな統計は全く予期していませんでした。しかし、私の見通しは変わりません。数々のデータを総合してみると、米国不動産は下向きが始まっています。」

報道された売上を地域別に見ると、ハリケーンの被害を受けた南部は1.9%の上昇だったが、北東部と西部はなんと40%以上の跳ね上がりだった。実際に低迷が発表されたのは中西部だけで、新築住宅の販売数は9月分を9.5%下回った。中間価格は、9月の23万1300ドルを1.6%上回った。(中間価格は、ちょうど真ん中にあたる値段だから、半数がこの値段より高く売られ、半数がこの値段よりも安く売られていることになる。)

しかし、平均新築住宅価格は9月より低くなっている。こんな現象は高級住宅の下げ幅が、低価格住宅の下げ幅よりも大きい時に起きやすい。1年前の値段と比較してみると、平均新築住宅価格は1%の下落、そして中間新築住宅価格は1%の上昇だ。一見矛盾するような数字だが、不動産エコノミストの説明によれば住宅建築会社は、以前よりも小さな家を建てている可能性が高いという。

住宅ローンの金利上昇が、10月の好調な売上に結びついた、という説もある。9月、30年ローンの平均は5.77%だったが、今日は6.07%だ。これ以上金利が上がってしまったら、マイホームの夢を逃してしまう。だから今買うしかない。そんな理由で、買い手たちが一斉に住宅マーケットに押し寄せた、というわけだ。これが買いのピークだろうか。いよいよ本格的な冷え込みが来るだろうか。ワコビア証券の、フィリップ・ニューハート氏を引用しよう。「ピークかどうかは断言できません。しかし、今回のような伸びを継続するのは無理です。」

クレジットカードを財布に入れるな

デスクトップコンピュータ299ドル、ラップトップ型499ドル、クリスマスセールが始まった。ショッピングが大好き、という人なら、正に夢のシーズンが到来したわけだ。小売店は、あの手この手を使って消費者を誘惑する。現金が無くても、クレジットカードがあれば何でも買える。気がついた時には、3000ドル以上の支払いがたまり、衝動的な買い物が、大きな頭痛へと変わっていく。さっそく、ファイナンシャルプランナーの話を聞いてみよう。

「今これを買うことで、自分は何を成し遂げようとしているのかを確認することが大切です」、と語るのはエルドリッジ・ファイナンシャル・プランニング社のジェームズ・キブラー氏だ。「考えてください。どんなに沢山のプレゼントで子どもや奥さんを喜ばせても、あなた自身が破産裁判所行きでは、単に家族をガッカリさせるだけです。」

理想的なのは、次のようなことが、既に計画されていたことだ。2004年のクリスマスが終わった後、2005年用のプレゼントリストを作成する。ここには、誰にいくらくらいの物を贈るかが、具体的に記されている。もしプレゼントの合計金額が1800ドルなら、10ヶ月かけて毎月少しずつ貯金していくわけだ。しかし、現実は中々こううまく進まない。住宅ローンに自動車ローン、それに今年はガソリンが高くなり、月々の出費が増えた。だから、どうしてもクレジットカードに手が伸びてしまう。

愛する家族や友人のために、クリスマスには無理してでも気前の良いプレゼントをする人が多い。たとえ経済的に余裕が無くても、米国社会の風習だからプレゼントをしないと気が引ける。「クレジットカードを使うな、と言っているわけではありません。ただ、これだけは守ってください。クレジットカードの支払いは、必ず2ヶ月以内に全額を済ませてください。それ以上期間を引き延ばすことは、利子を無駄に払うだけです」、とファイナンシャル・アセット・マネージメントのスコット・カハン氏は忠告する。

どちらにしても、アメリカ社会ではクレジットカードが借金を作るナンバー1の原因だ。だから、ファイナンシャルプランナーのアドバイスは下記の4つに要約される。

1、クレジットカードは財布に入れない。
2、デパートから発行されているカードでショッピングをしない。これは一般のクレジットカードより金利が高い。
3、まだ受け取っていない収入をあてにして買い物をしない。
4、自分のためにプレゼントを買わない。

どうやら、プレゼントは現金で買うのが最善のようだ。

大幅に増える空売り残高

投資者たちに笑顔が戻ってきた。なんと言っても、ナスダック市場は4年半ぶりの高値だから、ハイテク銘柄が好調だ。売り手は完全にマーケットから撤退したのだろうか。もう空売りの心配は要らないのだろうか。ニューヨーク証券取引所のデータによれば、ショートインタレストと呼ばれる空売り残高が、2ヶ月連続で記録的なレベルに膨れ上がっている。もちろん、ナスダック市場も同様な状況だ。

マーケットが順調な時、空売り残が大きく増えることは不思議な現象でない。機関投資家やミューチュアルファンドなどのように大量な株を抱えるグループは、マーケットが上がるたびに空売りを入れて、万が一の時に備える。だから空売り残の増加は、必ずしもマーケットの下落要因になるとは断定できない。

レイモンド・ジェームズ社のジェフリー・サウト氏は、空売り残上昇について、こんな見方をしている。「最近ヘッジファンドはペアトレードを積極的に行っていますが、これが空売り残高を極端に増やしている一つの理由です。ペアトレードを簡単に説明しましょう。先ず好調な株を買います。たとえばトヨタ・モーターを買ったとしましょう。次は同業種で、低迷している銘柄を空売ります。ですから、不調のゼネラル・モータースが空売られることになります。こんなわけで、単に空売り残が増えただけで、マーケットの下げを予測するのは間違いです。」

ここで、基本的な質問をしよう。今週もマーケットが強ければ、売り手はどうするだろうか。目論見が外れるのだから、とうぜん空売った株を買い戻すことになる。買い戻しでも、買いは買いだ。これで更にマーケットの上げに弾みがつき、俗に言う踏み上げが起きる。

ストラテジスト、スボッド・クマー氏も踏み上げを予想している。「極端に高い空売り残高は、マーケットにとって好材料です。言い換えれば、現在展開されているマーケットラリーは、売り手にとって予想外な動きですから、株を買い戻すしかありません。売り手が買い手に参戦する形になりますから、これは大きな買いエネルギーになります。」

今年を振り返ると、高値が来るたびに売り手たちは空売りで成功していた。しかし、11月に入ってから様子が変わってしまった。今月もそろそろ終わりだが、12月はどんな相場になるだろうか。ストック・トレーダーズ・アルマナック社の調べによれば、1950年以来12月はS&P500指数が最も成績の良い月だという。売り手は動揺しているだろうか。

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