US Market Recap

ブルの鼻息

2006年度の米国相場を悲観する必要は無い、とウォール・ストリートのブルたちは言う。あたりまえだ。ブルが弱気になったらベアになってしまう。ブルの言いたいことは、ある程度見当つくが、ひょっとしたら見落としていることがあるかもしれない。そんな訳で、最後まで話を聞いてみることにした。

マーケットは5年来の高値を記録するだけでなく、企業収益も堅調に4年連続の伸びとなるだろう。今年の夏、70ドルに達したオイルも下降基調になり、インフレを主張していたアナリストたちの声も聞こえなくなるはずだ。それに、心配されている住宅市場の大幅下落も有りえない。これがブルの要点だ。

現実を無視した夢物語だろうか。ゼネラル・モータースに代表される不振米国自動車産業、経営破たん続出の航空会社、南部を襲ったハリケーン、クレジットカードの借金に苦しむ消費者、そしてオイル価格の上昇、とにかく嫌なニュースの多い2005年だった。しかし、それらの悪材料には、株式市場を脱線させるだけの力は無かった。それだけではない。13回連続の金利引き上げにもかかわらず、第3四半期アメリカ経済は、予想を超える4.3%の成長を記録した。

「多くの投資者は、横ばいマーケットに不満の声をあげていますが、この厳しい環境での横ばいは、マーケットの底力が表れています」、とメロン・ファイナンシャルのロナルド・オーハンリー氏は語る。11月からのラリーで高値を更新する銘柄が増えているが、S&P500指数に属する銘柄の平均株価収益率はまだ16だから更なる成長が望める、と言うアナリストも多い。

ウェストウッド・ホールディングズの、デービッド・スパイカ氏も強気な一人だ。マーケットは比較的割安なレベル、と述べる氏は、2006年度のS&P500指数に約7%上昇を予測している。終了が近い金利引き上げ、エネルギー価格の安定が好材料になるようだが、同じテーマが2006年度の相場を崩す可能性もある。クレジットカードの借金に苦しむ消費者のことは上記したが、これは個人破産増加の原因になるから、小売セクターは投資対象から外した方が良さそうだ。

小型株に遅れていただけに、来年は大型株の年になる、という見方が多い。だから、推奨されている銘柄を見ると、ゼネラル・エレクトリック、コカコーラ、それにゼロックスといった消費者に馴染みの深いものばかりだ。ウォール・ストリートのブルたちとは裏腹に、個人投資家たちは極端に悲観的な来年の相場を予想している。シティグループの調べによれば、個人投資家がこれほど弱気になったのは、1994年以来初めてのことだという。これもプロを強気にさせる一因だ。

不安材料?それとも無視?

3.6対1が最近8週間の状況だ。売り株数が買い株数を上回ったことを示す数字なのだが、これは個人投資家から得たデータではない。機関投資家でもない。対象になったのはインサイダーだ。言い直せば、ここ8週間を振り返ると、最高経営責任者や役員は、積極的に自社株を売っていたことになる。

S&P500指数は10月13日の安値から順調に回復し、4年ぶりの高値を記録したのだから、インサイダーの売りは当然、と思うかもしれない。ここで、はっきりさせなければいけないのは、3.6対1の持つ意味だ。さっそく、ビッカース・ウィークリー・インサイダー・レポートの、デービッド・コールマン氏に説明してもらおう。

「前回11月の数値は2.7対1でしたから、インサイダーによる売りが加速しています。先週だけの様子を見てみると、売りが更にエスカレートし、比率は5.2対1に達しました。ほとんどの場合、売買レシオは2対1から2.5対1の間に落ち着きます。2.5対1を超える数字は、マーケットを弱らせる可能性があります。携帯電話用チップを製造するクワルコム、それに高級デパート、サックスのインサイダーによる売りが目立ちます。」

アナリスト、マイケル・ペインシャウド氏も、最近2週間のインサイダーによる売りが活発だと言う。「歴然としているのが、大手銀行のインサイダーです。例えば、サンフランシスコに本拠地がある、ウェルズ・ファーゴー銀行の最高経営責任者は合計で12万91株売っています。他の銀行では、バンク・オブ・ニューヨーク、それにノースカロライナ州のワコビア・コープです。」

インサイダーの売りは気にする必要はない、という意見もある。トリム・タブス・インベストメント・リサーチのチャールズ・バイダーマン氏によれば、企業による自社株買い戻し、それに配当金などがインサイダーの売りを十分に埋め合わせているという。そうかもしれないが、会社経営内容に詳しいインサイダーだけに、気にするな、と言われても気になる。考えてほしい。まだ上げ材料が残っているなら、わざわざここで売るだろうか。

季節的に、11月と12月はインサイダーの売りが増える傾向がる。現に2004年12月14日、AP通信は異常に膨れ上がるインサイダー売りを報道していた。インサイダーの売りは、投資者心理に大きな影響を与えるだけでなく、チャートパターンを結果的に変えてしまうこともある。新しい家の購入、車の買い換え、奥さんにダイヤモンドのプレゼント、そんな理由でインサイダーは持ち株を処分することもあるだろう。一つだけ言えるのは、トレンドが崩れないなら、インサイダーの売りに便乗することはない。

2006年、焦点はドル/円レート

皆がそっちへ行くならこっちへ行こう。あまのじゃく、と言われるかもしれないが、投資者にもそういうタイプの人たちがいる。最近の例を挙げるなら日本株だ。メリルリンチの報告によると、アメリカ人投資者が最も好む海外投資は、日本株専門ミューチュアルファンドだという。もちろん、積極的な日本株買いがアナリストによって勧められていたから、これは当然な結果かもしれない。

あまのじゃく型投資家なら、日本株は買わない。なら何を買うのだろうか。「日本株ではありません、米国株です」、と回答するのは、コラムニストのジム・ジューバック氏だ。アメリカ株?13回連続の金利引き上げで、米国経済を支えてきた住宅市場が冷え込み始めている。来年はバーナンキ氏が連銀議長に就任するが、新議長の一年目は株が低迷する傾向がある。

株選びの名人、と呼ばれるリチャード・バーンスタイン氏(メリルリンチ)は2006年の株式市場について、こんな見方をしている。「株は大した成績を上げることはできないでしょう。一ケタ台、たぶん5%以下になると思います。既に株式市場には、十分すぎる以上の資金が入り、株は上げきったものが目立ちます。こんな状況ですから、配当金を狙った投資が適しています。もう一つの問題は連銀です。連銀には、利上げをストップさせるタイミングが、全く分かっていません。」

デービッド・スコット氏(チェース・インベストメント・カウンセル)も、バーンスタイン氏と似た意見を発表している。「2006年は警戒が必要です。連銀は金利を上げ続けることでしょう。たぶん上げすぎになるはずです。インフレが企業収益に悪影響になり、S&P500指数は5%ほど下げると思われます。景気が低迷ですから、ヘルスケア関連投資を勧めます。」

アメリカ株を推すジューバック氏の要点を説明しよう。海外から膨大な資金が東京市場へ流入しているが、日本の機関投資家は日本株を売ってアメリカへ資金を送っている。これだけ巨大な金が日本から来るのは、1989年以来初めてだ。日本の国債10年物は利回りがたった1.5%だが、米国債なら4.5%ある。日本経済は上向いてきたが成長率は2.4%であり、米国の4.3%に劣っている。また、つらい経済バブルで苦しんだ経験が、アメリカを投資先に選ぶことになる。

しかし、ジューバック氏は一つ大きな警告をしている。日本からの投資は永続的に見込まれるものでなく、その運命は2006年度のドル/円相場にかかっている。「焦点は連銀の金利引き上げ政策です。上げすぎは、米国経済を減速させます。あまりに経済が弱ってしまうと、次は金利の引き下げです。これはドルを下げます。そうなっては、海外からの資金が入ってきません。」はたして、次期連銀議長は、経済を壊さずに適切なところで金利を止めるられるのか?

先に動くのは消費者、それとも小売店

まだ九日ある。それとも、もう九日しかない、と言うべきだろうか。クリスマスセールが始まった11月25日、別名ブラック・フライデイ、消費者はつかみ合いの喧嘩を起こすほど買い物に荒れ狂った。しかし、売上の良かったのはこの日だけだ。ひょっとしたら、今年のクリスマスセールは思ったほどの伸びが期待できないかもしれない。

まるで消費者は冬眠してしまったようだ、という報道を裏付けるように、アメリカズ・リサーチ・グループの調べによれば、クリスマスショッピングを終えたのは、たった25%の人たちだけだ。特に今年変わっているのが、通常クリスマスの2週間前から売上のジャンプが見られるのだが、今のところ全くその気配が無い。

メリルリンチのアナリスト、マーク・フリードマン氏を引用しよう。「クリスマス直前の2週間は、小売店にとって最も重要な期間です。40%以上の売上は、この2週間に集中するのが普通です。」また、NDPグループのマーシャル・コーエン氏はこう語る。「全く消費者にエンジンがかかりません。こんなに買う気の無い状態が見られたのは、2001年に一度あっただけです。ショッピングセンターに行っても、簡単に駐車する場所が見つかるのですから、明らかに何か変です。」

なぜショッピング熱が上がらないのだろうか。あるアナリストは、我慢比べの比喩を使って説明する。「最初に、まばたきするのはどちらでしょうか。消費者でしょうか、それとも小売店でしょうか。消費者は我慢比べが上手くなりました。今、店に行くべきか、それとも値下げを待つべきか。正に我慢比べの最中です。」

上記したフリードマン氏も、我慢比べ説に賛成する。「クリスマスイブは土曜です。消費者はこの土曜日に、大バーゲンセールが来ることを期待しているようです。」小売店経営者は、さぞイライラしているだろう、と思ったのだが、NDPグループのコーエン氏は、経営者たちに焦りの色はまだ見えないという。

泣いても笑っても残りは九日、最大手のウォルマートは積極的な値下げ作戦を既に発表している。どちらにしても、また今週末がダメなら、小売店はパニックボタンを押すことだろう。少し違った意見だが、物がそう盛大に売れなくても問題はない、と述べるアナリストもいる。「消費者に買う気がないのは、買いたい物がみつからないからです。残りの九日間は、商品券の売上が大きく伸び、これが小売店を救うことでしょう。」たしかにそうだ。へたな物を贈るより、商品券の方が無難かもしれない。

大きく外れた予想

12月13日、連銀は13回目の金利引き上げを実施した。連邦公開市場委員会後の声明文にも変化が見られ、マーケット関係者たちは、利上げサイクルが終わりに近いことを確信した。2006年度の米国経済はどうなるだろうか。投資者なら興味のあるところだが、エコノミストの意見は大きく二つに分かれている。

たとえ近未来でも、将来を正しく予測することは難しい。今年を例に挙げれば、はたしてどれほどのアナリストが、瞬時70ドルを突破したオイル価格を正確に予想していたのだろうか。ご存知のように、予想は面白いように外れる。そこで、ビジネスウィーク誌が選んだ、最も的外れだった今年の予想を紹介しよう。

予想 1

「マイクロソフトの真剣なサーチエンジン開発で、グーグルに存続危機が訪れる。」これは2005年1月に、テクノロジー・レビューの著者、チャールズ・ファーグソン氏が語った言葉だ。見事に外れた。グーグルは存続しているだけでなく、この業界では追従者を許さない圧倒的な首位独走だ。

予想 2

「積極的なリストラで経営状態が好転している。現時点で会社を解体したとしても、一株6ドルの価値は十分にある。」今年の有望銘柄として、カルパインを推奨した、ポートフォリオ・マネージャー、デービッド・ウィリアムズ氏の発言だ。その時点での株価は3ドル50セントだったが、今日たった32セントで取引されている。

予想 3

「中央銀行の売りで、金は暴落となることでしょう。」三井グローバル・プレシャス・メタルズ、アンディー・スミス氏。
暴落と正反対な展開になった。金は25年来の高値を更新し、今年20%増の大活躍だ。

予想 4

「2005年、ダウ指数は8000ドルで終了するでしょう。」バーニー・シェーファー氏(シェーファーズ・インベストメント・リサーチ)まだこの予測が達成する可能性はある。しかし、そのためには残る2週間で、ダウは25%下げないといけない。

予想 5

「将来的な不安材料です。OPECのオイル生産過剰で、オイル価格は急激な下げとなるでしょう。」イラン石油相、ビジャン・ザンゲネ氏。この発言は2004年11月の記者会見からだが、当時オイルは50ドルだった。それから2005年に入ってオイルは最高値70ドルを記録し、今日の値段は61ドルだ。

予想 6

「今年アメリカを襲うハリケーンの数は、2004年度より少なくなるでしょう。」コロラド大学からの発表だが、2005年、アメリカに上陸したハリケーンは合計14、新記録が達成された。コロラド大学は、6つのハリケーンを予想していた。

スターバックス対サムバックス

コーヒー業界の巨人、スターバックスが小さな田舎の喫茶店に営業停止を正式に申し入れた。1971年、シアトルのパイク・プレース・マーケットで誕生したスターバックスは、現在35カ国でビジネスを展開する国際企業だ。スターバックスは、いったい何が気に食わなかったのだろうか。さっそく説明しよう。

この小さな喫茶店は、オレゴン州のアストリアにある。人口はたったの1万人だ。物覚えの良い人なら、全住民の名前を記憶することができるだろう。問題は、喫茶店の名前サムバックス・コーヒーだ。何でわざわざスターバックスと似た名前をつけたのだろう。結論を言ってしまえば、別にスターバックス・コーヒーをまねたわけではない。経営者の名前はサム・バック。だから喫茶店をサムバックスと命名したまでだ。

ここで一つ注意しておこう。バックは旧姓で、1993年に結婚した彼女の正式名は、サム・ランデンバーグだ。喫茶店に旧姓を使った理由を、「この町では誰もが私のことをサム・バックと呼びます」、とサムさんは説明している。サムバックスがアストリアでビジネスを開始した時、まだスターバックスはこの喫茶店の160キロ以内で営業をしていなかった。

そして、スターバックスはサムさんを商標権侵害で訴えることになるのだが、どうもよく分からない。スターバックスとサムバックスは名前が類似しているため、消費者を混乱させた、とスターバックスは主張するが、人口1万のアストリアの住民は本当に二者を混同したのだろうか。「驚きました。あんな大きな会社が私を告訴したのです。サム・バックは私の名前です。自分の名前を使うのは違法ではありません」、とサムさんは憤慨する。

サムバックス・コーヒーは狭い。3メートル四方の店内にはビーフ・ジャーキーもおかれているが、広いスターバックスの雰囲気とは大違いだ。どう見ても、スターバックスには被害は無いと思われるのだが、商標に詳しい弁護士は、サムバックスはヒルのようなものだと言う。いったん前例ができてしまうと、次を取り締まることが難しくなる。だから、まぎらわしい名前の撲滅は、早ければ早いほどいいわけだ。

結果を記しておこう。サムバックスは負けた。7年間の結婚生活後、意図的に旧姓で喫茶店を始めた事実は、スターバックスの知名度を不法に利用した、と判断されたようだ。ここで質問。スターバックスの会社名は、どこから取ったかご存知だろうか。ホームページにはこう書かれている。Starbucks is named after the first mate in Herman Melville’s Moby Dick..モビー・ディックに登場する、一等航海士の名前がスターバックスだ。

地味な銘柄を嫌うアナリスト

退屈な銘柄は投資者の味方だ、と経済コラムニストのチェット・クリヤー氏は言う。「株がセクシーであればあるほど、株価は割高になります。そのような銘柄に投資をすると興奮するものですが、興奮は投資の敵です。長期投資で大切なことは、地味な株の中から格安なバーゲン銘柄を見つけ出すことです。」

地味で格安なら、人気株の正反対だ。そんな株に投資して、本当に儲かるのだろうか。310億ドルの資金を運用する、クリス・デービス氏は、こんなことを語っている。「私が投資対象にする銘柄は分かりにくくて複雑、それに味気が無くて華やかさに欠けるものばかりです。保険、砂と聞いて刺激される投資者はいません。しかし味気ない、ガイコやマーチン・マリエッタ・マテリアルズは大きな投資利益を生み出してくれました。」

過去10年間、S&P500指数を常に上回る成績を上げているデービス氏は、更にこう付け加える。「名門大学を卒業した若い優秀なアナリストは、保険などの退屈な業界には全く目もくれません。ですから、今のアメリカ証券業界には地味な銘柄を徹底的に調べるアナリストの数はごく限られています。これが、私たちファンドの強味です。」

地味な株には弾みや勢いが乏しいから、いったん買ったら、そう簡単に手放すことはない。違った言い方をすれば、退屈な銘柄投資で成功するには、強い忍耐力が必要だ。シニア・インベストメント・ストラテジスト、ティム・プライス氏を引用しよう。「プロと呼ばれる人たちも含めて、今日の投資家は売買が非常に頻繁です。隣の芝生はいつも青く見えるように、他人の持っている株は自分の持ち株よりずっと魅力的に映ります。証券会社からは絶えず情報が入ってきますから、投資者たちは自然に活発な売買をしてしまうわけです。」

インターネットのおかげで、株の情報は簡単に手に入る。一般的なビジネスニュースだけでなく、掲示板やチャットルームもあるから、有望そうな銘柄はあちこちに氾濫している。ジックリと腰をすえた投資などしていたら、ファンドマネージャーとしての職を失ってしまう。とにかく皆、手っ取り早い結果がほしい。

私たちは今日、長期投資の難しい時代に生きている。即席結果が求められる証券業界は、アナリストやファンドマネージャーを華やかなスター銘柄に集中させる。もちろん、地味な銘柄のレポートは極端に少ないから、個人投資家もスター銘柄に飛びつく。こうなると、重要なのは売買のタイミングだ。退屈な銘柄を狙う必要はない。必要なのは、テクニカルアナリシスを利用した、適切な売買技術だ。これが無いと、全ての投資が塩漬けになってしまう。

投資を成功させる7つの注意点

国家に財政案があるように、私たち個人も予算の割り当てをする。食費、光熱費、子どもの教育費、住宅ローン、交際費、と使い道はやたらと多い。ここで忘れてならないのが投資だが、意外と明確な投資目標を持っている人たちが少ない。とにかく増えてくれれば良い、という漠然としたゴールではなく、正しい投資目標設定方法7つを紹介しよう。

1、目標を限定すること。

あれもこれも、と目標の数が多すぎてはいけない。それに、全ての目標を一度に達成するのは難しい。個々のゴールを検討して、どれが最も重要か、そしてなぜ重要なのかを確認しよう。優先度の高いものをゴールに選ぶことが肝心だ。

2、十分な時間を与えること。

時間が最大の味方であることを覚えておこう。一見将来性がない投資でも、適切な時間を割り当てることで大きな成長が可能になる。大げさな言い方をすれば、三日間で資金を倍にするような計画を立ててはいけない。それは大切な時間を敵にしてしまうだけだ。

3、正直になること。

各目標を読み返すとき、どんな気持ちになるだろうか。これなら行ける、といった前向きなエネルギーが体内から湧き上がってくるだろうか。それとも、こんなゴールは達成できるわけがない、と最初から諦めムードだろうか。自分の気持ちを正直に見つめて、本当にやる気を起こさせるものだけを選ぼう。

4、家族の意見も聞くこと。

妻や夫、それに子どもたちの意見も聞いてみよう。一人でやるよりも、家族が団結するなら、ゴールはよりいっそう達成しやすくなる。

5、直ぐ実行すること。

目標が決まったら、さっそく行動に移すことだ。千里の道も一歩から、第一歩が大切だ。

6、小さなことを気にしない。

お金を増やすことが目的だが、小さなことでケチケチしてはいけない。古い冷蔵庫の買い替えは、もう一年待とう。無駄使いになるから、夏の家族旅行は中止しよう。これでは人生を楽しめない。大きな目標だけに焦点を合わせよう。言うまでも無いが、生きている限り思わぬ出費は必ず起きる。そんな時に備えて、緊急資金口座を作っておくのも一案だ。

7、目標変更を恐れないこと。

単に目標自体が間違っていることもあるが、時間の経過とともに目標が変化するのは当然のことだ。子どもが大学を卒業してしまえば、大学資金用の投資は無用になる。30代には30代の投資があり、50代には50代にピッタリした投資がある。何を優先させるかを考えて、状況に合った投資目標を設定しよう。

レストランで分かる米国経済

1999年12月、米国株式市場はブルマーケットのピークを迎えていた。「向こう6年間で、最も伸びる可能性がある銘柄はどれだと思いますか?」、と投資者に質問していたら、どんな答えが返ってきただろうか。たぶんインターネットのイーベイ、それにバイオテックのメッドイミューンなどが挙げられたはずだ。

しかし、事実は全く違う。投資コラムニスト、ジョン・マークマン氏の話を聞いてみよう。「実際に計算してみましたが、過去6年間で一番成長したのは、ソーダでお馴染みのハンセン・ナチュラルです。2000年の1月から、何と3739%の上昇です。次が天然ガスのKCSエネルギー、これは3251%増です。そして3位は+3248%のIRISインターナショナルです。IRISは尿検査システム機器を製造する会社です。」

将来を正しく予測することは難しい。たとえば、来年のアメリカ経済はどうなっているだろうか、といった単純な疑問に適切な回答をするために、エコノミストは数多くのデータを集め分析する。失業率、新規雇用者数、耐久財受注、住宅着工件数、新築住宅販売件数、それに貿易収支などを総合して予想するのだから楽な話ではない。

エコノミストは、皆おなじ資料を持っている。それだけに、一味違った決め手になる情報がほしい。そんなものは、そう簡単に入手できない、と思われるかもしれないが、著名エコノミストたちは意外なところからヒントをつかんでいた。さっそく 2、3紹介しよう。

スティーブン・レビット氏(シカゴ大学経済学部教授)
「私の好きな風変わりな経済指標は交通量です。例を挙げましょう。インターネットバブルが弾けた時、シリコン・バレーの交通量は大きく減りました。一般的な解釈方法ですが、経済が好調な時は、ラッシュアワーの交通渋滞が極端にひどくなります。」

ナリマン・ベラベッシ氏(グローバル・インサイト社、チーフ・エコノミスト)
「レストランのウェイター、ウェイトレスのサービス度が、米国雇用状況判断に役立ちます。失業率の低い時は、質の高いウェイトレスを雇うことが難しく、レストランのサービスが悪くなります。逆に失業率が高くなってくると、レストランのサービスは向上する傾向があります。」

デービッド・ブランカキオ氏(経済ジャーナリスト)
「ミシガン州グリーンビルは、斜陽化した工業の町です。一軒の質屋があるのですが、店内に大きなソケットスパナーがおかれているのが外から見えました。この工具を使って生計を立てていた誰かが、質に入れたのです。職、仕事、これが経済を支える基盤です。古臭い言い方ですが、近所の人たちが失業中ならアメリカは不景気です。もしあなたが失業中なら、それは大恐慌です。」

経営者はカリフォルニアが嫌い

1億9千700万ドル対2千万ドル。軍配は、もちろん1億9千700万ドルに上がった。「私たちは最善を尽くしました。しかし、テネシー州を上回る好条件を用意することはできませんでした。」カリフォルニア州、ガーデナ市にあるニッサン・モーター北米本社が、テネシー州ナッシュビル近郊に移動することになった。

移転費用などの名目で、テネシー州がニッサンに示した金額は1億9千700万ドル。そして、残留を求めるカリフォルニア側が提供したのが、減税と2千万ドルの電気代やガス代の割引だった。クッシマン&ウェークフィールド社のマイケル・クトリ氏は、「企業誘致のために、これほど巨大な金額が使われることは希なことです」、と言う。

ニッサンがカリフォルニアに北米本拠地を構えたのは、1958年のことだった。ガーデナ市はロサンゼルス国際空港から20分ほどだから、交通も便利だ。年間を通じておだやかな気候にも恵まれているが、コスト削減対策の一つとして、ニッサンは移転に踏み切った。

ニッサンを得ることで、テネシー州の経済は毎年5億2700万ドルが加算される。テネシー大学の調べによれば、ニッサンに関連した供給業者、それに他のサービス業者もテネシーに移転してくることが予想され、結果的には1万1000人の新規雇用が生まれそうだ。「1ドルが2ドル50セントになる投資です。これを見逃すことはできません」、とテネシー州経済開発部のマット・キズバー氏は語る。

テネシー州がニッサン誘致に乗り出したのは1998年のことだ。既にニッサンは1982年、テネシー州のスミルナに自動車組立工場を建てた。その後テネシー州は、第二の工場建設を積極的にニッサンに呼びかけていたが、それを実現することは失敗に終わった。工場がダメなら、というわけで狙われたのがガーデナ市の北米本社だったわけだ。

カリフォルニア州知事、アーノルド・シュワルツェネッガー氏もニッサン引き止めの努力をしたが、ニッサンの要求を受け入れるためには、カリフォルニア州の法律を大幅に変更するしかない極めて難しい条件だった。問題は、第二第三のニッサンが出そうなことだ。JDパワー&アソシエーツ社のトム・リビー氏を引用しよう。「南カリフォルニアにあるホンダ・モーター、ミツビシ・モータース、そしてマツダ・モーターも他州への移動を考慮することになるでしょう。」

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