US Market Recap

知っておきたい二つのルール

打撃を受けた株を買え、しかし打撃を受けた企業を買ってはいけない。これは、ジム・クレーマー氏がよく口にする言葉だ。ウォールストリートはデパートとは違う。買った製品に欠陥があっても、全額払い戻しなど期待できない。だから、慎重な銘柄選びが必要になる。

打撃を受けた株、打撃を受けた企業、この二つを混同したら大変だ。どうやって二つを見分けるのだろうか。クレーマー氏は、こんな例を挙げている。1998年、ニューヨークに本拠地がある不動産サービス会社、センダント・コープが36ドルから12ドルに大暴落した。ほぼ一直線の下げだったから、超割安な株価に魅せられて買った投資者も多かった。しかし、下げの原因はインチキな会計報告だから、この株を買うのは間違いだ。

2005年が始まって間もない頃、イーストマン・ケミカルは収益がアナリストの予想以下になることを発表した。悪いニュースだから売り物が殺到し、株価は簡単に4ポイントの下げとなった。実情を正確に把握してない大衆のパニック売りだから、この場合は明らかに買いだ。イーストマン・ケミカルの収益減少は、施設の一部に問題が起きたためで、経営陣も早い修復の可能性を語っていた。その後株価は、施設正常稼動ニュースで8ポイントのラリーを展開した。

宿題を忘れるな、というのもクレーマー氏の好きな言葉だ。銘柄を大して調べもせず買ってしまう投資者が多い。その原因は二つある、とクレーマー氏は言う。先ず、ほとんどの投資者は、長く持ちさえすれば、株は上がると信じている。そして二番めの理由は、時間が無い、というものだ。

1990年代のようなブルマーケットなら、トレンドに乗って株を保持し続けることは正しい。しかし、マーケットはいつも同じトレンドにあるわけではない。宿題を怠っていたら、トレンドの波に飲み込まれてしまう。時間が無い、と言い訳する人に、クレーマー氏はこう警告する。「時間が無いからピアノの練習はしない。時間が無いからゴルフの練習はしない。そんな態度では、何も身に付けることはできないでしょう。」

上位ニュースレターが推す2銘柄

2006年度、もっとも期待できる銘柄は何だろうか。アナリストやファンドマネージャーが、既に来年の有望銘柄をテレビなどで発表しているが、これでは物足りなさを感じる投資家が多い。皆が知っている情報だから、あまり儲かりそうにない。それに、顧客でもない大衆に、ファンドマネージャーがテレビで本音を語るだろうか?

誰かが素晴らしい銘柄を発掘しているはずだ。株式市場の秘密を解き明かした天才がいてもおかしくない。そんな訳で、投資者たちは決まったように数々のニュースレターを購読することになる。言うまでもないが、ニュースレターの質にはピンからキリまである。はたして勝率の高いことで有名なニュースレターは、どんな銘柄を推奨しているのだろう?

先ず、来年の全体的な見通しから始めよう。ジェームズ・ポールソン氏(ウェルズ・キャピタル)によれば、多くの投資者は、インフレと住宅市場の下落を心配しすぎている。たしかに連銀は、13回連続で金利を引き上げたが、歴史的に見れば現在の金利は決して高レベルではない。不動産が冷え込めば、住宅ローンの借り換えが減り、その結果個人消費も落ち込むかもしれない。しかし、現在の雇用状況や製造業の伸びが個人消費低迷を防ぐだろう。

比較的割安な株が多いため、2006年度、株式市場から10%から15%の利益が期待できそうだ。景気に敏感な小売銘柄、それにテクノロジー株がマーケットを引っ張ることが予想される。今年好調だったエネルギーセクターは、原油や灯油価格の安定で3月過ぎまで冴えない動きになるだろう。もちろん、このセクターは長期アップトレンドが崩れていないから、4月頃から買っていけそうだ。

個別銘柄に移ろう。25年間、トップの座を保ち続けた、プルーデント・スペキュレーター・ニュースレターはアメリカン・イーグル・アウトフィッターズを推奨している。ティーンエージャー向けのファッション小売店だが、来年予想される利益で計算すると、株価収益率は魅力的な10.7だ。また、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズは一株に換算すると3ドル70セントの現金を保有し、経営内容も安定している。

第3位のOTCインサイト紙は、ハンセン・ナチュラルを推している。栄養ドリンク剤を製造販売するハンセン・ナチュラルは、ニューエージ・ドリンクのイメージで爆発的な売上を記録した。株価も既に4倍の成長だが、更なる上昇が期待できるという。大手飲料品会社も、ハンセン・ナチュラルに注目しているから、買収の可能性もあるようだ。

逆イールド現象が見え始めたアメリカ

2006年、アメリカの不況は間違いない、と断言する人たちがいる。理由を聞くと、イールド・カーブ、という単語が即座に返ってきた。国債利回りが、米国経済に悪影響をおよぼすのだろうか。その前に、少し説明しよう。

イールド・カーブとは、国債の利回り曲線のことだ。国債には3カ月、6カ月で満期になる短いものから、10年、30年といった長いものがある。普通の状況なら、短期のものほど利回りが低くなるから、30年物が一番高い利回りになる。問題なのは、この利回り曲線に異常な事態が起きている。

今日の利回りを見てみると、2年物が4.35%、5年物が4.30%、10年物が4.34%、そして30年物が4.50%だ。なんと2年債券利回りが、5年物と10年物を上回っている。たしかに30年物が最も高い率を示しているが、2年物国債と大した差は無い。

このように、短期債券の利回りが長期債券利回りを上回ることを逆イールド現象と呼び、これが米国経済の不安材料になっている。1970年以来、アメリカは6回の不況を経験した。サンフランシスコ連邦準備銀行のレポートによれば、これら6回の不況が訪れる前には、逆イールド現象が起きていたという事実がある。

6戦6勝、的中率100%だが、「今回は状況が違っています」、と言うのはJPモルガンのスチュアート・シュワイツァー氏だ。「以前6回の逆イールド現象は、短期と長期利回りの両方が上昇しました。今日の場合は、短期利率が上がりましたが、長期金利はほとんど動いていません。心配されるインフレも、実際の物価上昇はおだやかですから、米国経済に大きな悪影響をおよぼすことはないはずです。それに、クリスマスの小売売上は順調でしたから、個人消費が急速に冷え込むことはありません。」

逆イールド現象をそれほど気にする必要がないなら、2006年度の心配材料は何だろうか。投資アドバイザー、ヒュー・ジョンソン氏を引用しよう。「米国経済が最も恐れるのは連銀です。インフレ退治を目標に、連銀は短期金利を上げすぎてしまう可能性があります。連銀が10年物国債利回りに注目していることを願います。」

投資者はどう動いたら良いだろうか。アナリストたちは、銀行などの金融機関を避けることを勧めている。銀行は短期金利で借りた金を、長期金利で消費者に貸し付ける。だから、現在の金利状況ではローンビジネスが不利になるわけだ。また、米国経済を正しく把握するには、国債の利回り曲線だけでなく、新規就業者数や失業率などの雇用統計に注意を払うことが重要だ。

先入観の排除

株価は安値を更新した。しかし、MACDは逆に少し上がっている。値動きと指標が不一致だから、ひょっとしたらここが底かもしれない。たしか株の本にも、これはブリッシュ・ディバージェンス、という買いシグナルとして紹介されていたような気がする。よし、買いだ。

おかしい、まだ反発ラリーが来ない。ブリッシュ・ディバージェンスのシグナルは相変わらず有効だから、そろそろ株価は底を打つだろう。だが、一転反発が訪れないだけでなく、信じられないことが起きてしまった。上昇していたMACDが下げ始め、点滅していた買いシグナルが消えてしまった。何ということだ。あんな本を信じるのではなかった。

こんなケースもある。ここ数日間の壁を突破して、A株は上放れに成功した。分かりやすい買いシグナルだが、買わないことにした。たぶん、たいした上昇はないはずだ。なぜなら、ストキャスティクスは既に買われすぎのレベルを示している。こんな位置で買うのは素人のすることだ。

あれからA株は7%も上げた。勢いは一向に衰える兆しを見せない。もちろんストキャスティクスは、いぜんと買われすぎを表示したままだ。何故こんな過熱しているものが買われるのだろう。どうしてストキャスティクスは無視されたのだろう。どちらにしても、大きな獲物を取り逃がしてしまった。

似たような例なら、まだまだあるが、MACDなどのオシレーターが役に立たないわけではない。致命的だったのは、自分で作り上げた意見に縛られてしまったことだ。ストキャスティクスが買われすぎの位置にある、というのは実際の数値だから、間違った情報ではない。ただ、これを見てしまったために買わない、という決断をしてしまった。

MACDの場合でも、もしこの指標を見ていなければ、わざわざ買うことはなかっただろう。ニュースも同じだ。有名アナリストの買い推奨や格上げは素早く報道され、多くの投資家がそれらの銘柄に殺到する。言うまでもないが、そんなニュースを聞いていなければ、きっと買うことはなかっただろう。

株トレーダー養成で知られる、ベネット・マクドウェル氏の言葉を引用しよう。「100%確実に値動きを予知できる指標などありません。もしそのようなものを探しているのでしたら単なる時間の無駄です。よく考えてください。これだけコンピュータが発達した今日ですが、ほとんどの人たちは損を出しています。コンピュータのなかった50年前と状況は全く変わっていません。」

繰り返しになるが、情報や指標を見るのは悪くない。ただ、それに縛られてはいけない。影響されやすいタイプの人なら、株価だけを頼りに売買するのも一案だ。

チャート分析のルール

威勢の良い東京市場、「こんな大相場は初めて。チャートの上昇トレンドが崩れるまで行くしかない!」、そんな声が聞こえてくる。売上、新製品、一株利益などのファンダメンタルズだけを頼っていた人が、チャート分析に興味を持ち始めたようだ。

チャートを分析すると言っても、どこから手をつけたらいいのだろうか。さっそくテクニカル分析の大ベテラン、ジョン・マーフィー氏から、いくつか重要なポイントを説明してもらおう。

1、長期チャートから分析を始めること。月足チャート、そして週足チャートの順番で過去数年間の株価動向を観察しよう。こうすることで、銘柄の大きな流れを把握することができる。長期トレンドが確認できたら、日足、さらに60分足などの日中足に移ろう。私は短期投資専門だから、週足は要らない、という意見もあるが、短期トレンドは中期トレンドから大きな影響を受ける事実を覚えておきたい。

2、長期トレンド、中期トレンド、短期トレンドがつかめたら、どのトレンドで投資するかを決めよう。もし中期トレンドを選んだなら、利用するチャートは週足と日足だ。週足チャートが銘柄のトレンドを表し、日足で売買タイミングを計る。週足トレンドが上向きなら、空売りをしてはいけない。

3、支持線、抵抗線の位置を確かめよう。支持線近辺で買い、抵抗線近くで売ることが基本になる。支持線は以前の安値付近、そして抵抗線は過去の高値あたりにできやすい性質がある。

4、たとえ棒上げ状態な銘柄でも、休みなく永遠に上昇することはない。もし下げ始めたら、どのあたりで止まりそうかを予測しておこう。一転反発が起きやすい場所は、高値から1/3下げた所、次が半値戻しレベルだ。

5、トレンドラインを引いてみよう。上昇するトレンドラインは、切り上がる安値を結び、下降するトレンドラインは右下がりの高値を結ぶことで引ける。単純な方法だが、これで銘柄のトレンドが明確になる。

6、移動平均線を利用しよう。トレンドの転換は、二本の移動平均線を入れることで確かめることができる。4日と9日移動平均線、9日と18日移動平均線、それに5日と20日移動平均線が人気のある組み合わせだ。株価が横ばいの時は、移動平均線が役に立たないことを覚えておきたい。

7、ストキャスティクスなどのオシレーターも使ってみよう。株にトレンドが無い時は、移動平均線が当てにならないことを上記したが、こんな状況で力を発揮するのがオシレーターだ。ストキャスティクスが80以上なら株は買われすぎ、20以下なら売られすぎを示す。

8、トレンドが明確な時は移動平均線、そして横ばいの時はオシレーターを利用することを説明したが、この使い分け方はADXをチャートに表示させることで明瞭になる。ADXが上昇中なら移動平均線、下降中ならオシレーターが適した環境だ。

9、オシレーターや移動平均線の他にも、出来高の分析を忘れないようにしよう。出来高は、投資者のマーケット参加状態を表す重要な指標だ。新高値が記録されても出来高が平均以下なら、その銘柄が更に大きく上昇することはない。膨大な出来高で安値更新なら、それは売りのクライマックスになる可能性がある。もちろん、連休直前などは出来高は極端に減るから、全ての出来高を同様に扱ってはいけない。

2006年度、株式市場はどう動く

「花火を期待してはいけません」、と語るのはチャールズ・シュワブでチーフ・インベストメント・ストラテジストを務める、リズ・アン・ソンダース氏だ。退屈な2006年度の米国株式市場を予想する氏は、新興成長市場、日本、大型成長株、そしてヘルスケアへの投資を勧めている。

なぜ方向性の無い、横ばい市場が予想されるのだろうか。ソンダース氏はこう説明する。「上昇マーケットが継続する可能性もありますが、平均以上の伸びを展開するのは難しい状況です。最近の強い経済指数を検討すると、具体的にいつ連銀が金利引き上げを終了させるかが予測できません。これでは投資者が積極的に買うことは無理です。」

オイル、ガソリンなどのエネルギーセクターを推すのは、オーク・アソシエーツのエド・ヤーデニ氏だ。「2006年度に大きな心配材料はありません。インフレ懸念はありますが、実際に米国経済を脅かすことはないでしょう。2006年、米国経済は3.5%増が見込まれ、2%のインフレ率を予想しています。」

どうしてヤーデニ氏は、これほど低いインフレ率が予測できたのだろうか。「鍵は生産性です。過去10年間、アメリカの生産性は年間3%の割合で向上しています。来年も同様な伸びが期待できます。高い生産性はインフレを抑えるだけでなく、企業の利益を上昇させます。もちろん、それは労働者の収入を上げ、更に生活水準を高める結果になるわけです。」

これだけ明るい見方のヤーデニ氏だから、米国株式市場から簡単に8%以上のリターンが望めるという。「グローバル化が急テンポで進む2006年は、引き続きエネルギーセクターが注目です。物資や人が今以上に頻繁に世界を動き回ることになるのですから、ガソリンやオイルの需要が増大します。関連したオイルサービスセクターも伸びることでしょう。」

それでは、2006年の心配材料はなんだろうか。ヤーデニ氏の希望的観測を、地政学的な出来事が台無しにしてしまう可能性がある。ニューヨーク世界貿易センター、ロンドン地下鉄が最近の例だが、テロリストが一時的にマーケットに与える影響を無視することはできない。ハリケーンなどの自然災害も、経済に強烈なダメージを与える。地域的に特に注目したいのは、北朝鮮とイランの核兵器プロジェクトだ。正確な情報を集めて、敏感な投資家を目指したい。

投資者が頻繁にくり返す8つの間違い

三人が同じ日に同じ銘柄を買った。しかし、投資結果は三様だった。この違いは、何が原因になったのだろうか。これだけでは、各投資家の経験年数や売買スタイルが分からないから、不公平な質問かもしれないが、感情が投資成績を大きく左右することが多い。

感情的な売買は投資に悪影響を与える一つの要素だが、その他に投資者たちは、どんな間違いを頻繁に犯しているのだろう。マーケットアナリスト、ジム・ワイコフ氏は、投資者の持つ悪い癖8つを説明している。

1、全く計画性の無い売買

あらかじめ利食いのポイント、そして損切り値が設定されていないため、せっかくの利益を損に変えてしまうことが多い。

2、非現実的なゴール

株や先物だけで食っていこう、といきなり仕事を辞めてしまう人がいるが、これはあまりにも無謀だ。先ず実績を作ること。それが肝心だ。

3、トレンドを無視した売買

だれでも良いものを安く買いたいと思う。株価が大きく下げた後、ここが底だ、とばかり積極的に買ってみるが、そのようなやり方が好結果になることは少ない。逆の場合なら、天井と思われる位置での空売りも、中々うまくいかないものだ。上げ基調にある銘柄は空売ってはいけない。空売りは、下げ基調の銘柄だけに絞るのが基本だ。

4、頻繁すぎる売買

これは、月に50回の売買は多すぎる、といった売買回数の問題ではない。短期投資が専門なら、毎月50回の売買は決して多すぎるとは言えない。投資に損は付き物だが、早く損を取り戻すために頻繁な売買をしてしまう人たちがいる。損の後だけに冷静さが無く、まるで復讐戦にでも臨むような態度だから負けを連発する結果になってしまう。こうなると更に頭に血が昇り、いたずらに売買回数が増えていくわけだ。

5、適切でない資金管理

たとえ口座に50万ドルあっても、いつも信用取引で買えるだけ買っていたのではダメだ。リスクに合わせて、適切な株数で売買しよう。

6、損切りができない

計画していた位置に株価が下がっても、株を処分できない人たちがいる。これでは、売買計画を立てた意味がない。マーケットは、あなたが損を出していることなど何とも思っていない。買い注文が成立したら、直ぐ損切り注文も入れることを勧める。

7、自分で責任をとれない

損をしたのは証券会社のせいだ。自分は正しかったが、ディーラーの株価操作にやられてしまった。投資は自己判断でするものだ。言い訳はやめよう。

8、全体的な流れを見ない

投資を始めたばかりの人は自分の銘柄だけに目がいってしまい、マーケット全体を眺めることを忘れている。たとえ持ち株が好調でも、マーケットが崩れ始めたら、持ち株が影響を受けるのも時間の問題だ。もう一つ重要なのは、チャートは日足だけでなく、週足や月足も利用してほしい。日足が見事なアップトレンドでも、週足がダウントレンドなら注意しなくてはいけない。一つの方向だけからマーケットを観察していると、思わぬ反転に巻き込まれてしまうものだ。

見切りをつけられたGM

なぜこんな安いところで売ったのだろう。報道によれば節税対策ということだが、どうも納得できない。経済新聞などで読まれた方もいると思うが、大株主のカーク・カーコリアン氏が、ゼネラル・モータース(GM)を1200万株売却した。10%近いGM株を買い占めていた氏だったが、これで率が7.8%に下がった。

一口に節税対策と言っても、水曜に23年来の安値をつけたGMだけに、カーコリアン氏の損額は少なくとも5億ドルにのぼる、と見られている。メリーランド大学のピーター・モリキ教授は、「これは、カーコリアン氏の本格的なGMからの撤退開始です。たぶん、全く姿勢の変わらない経営陣に見切りをつけたのだと思います」、と述べている。

カーコリアン氏の真意は分からないが、GMに非難を浴びせる投資者は多数いる。単に最高経営責任者の能力を疑問視するだけでなく、GMをダウ銘柄から削除せよ、という声も聞こえる。今年、GMの株価は半分以下になった。この下げは、ダウ指数を160ドル下落させ、もしGMが無ければ指数は2%以上の上昇だった。

著しい売上の低下、減少が続くマーケットシェア、おまけに社債はジャンクボンドと呼ばれる、屑社債に格下げされてしまった。会社側は、その心配は無いと断言するが、アナリストはGM倒産の可能性を真剣に語っている。

ダウ銘柄は、誰が選ぶかご存知だろうか。ダウ指数は1896年に生まれ、指数に入れる銘柄は、ウォール・ストリート・ジャーナルの編集者たちが決定する。「銘柄の入れ替えは滅多にありませんが、企業収益の悪化を理由に、銘柄が削除された実例もありますから、GMがリストから落とされても不思議ではありません」、とダウ・セオリー・フォーキャスツのリッチ・モロニー氏は言う。

50%以上の株価下落、貧弱な経営内容、GMがダウ指数から外される日が本当に来るかもしれない。しかし、単なる大幅な下げなら、2002年インテルとホーム・ディポが5割以上の下げを記録したが、指数から取り除かれることはなかった。経営危機ならデルタ航空とノースウエスト航空があるが、これら二社が実際にダウ輸送指数から削除されたのは倒産が発表されてからだ。

もしGMを外した場合、どの銘柄と入れ替えるのだろうか。フォード・モーターもGMと同様な内容だから、まずそれはありえない。ならトヨタ・モーター、それともダイムラー・クライスラー?もちろん、そんなことが起きるはずがない。言うまでもなく、両社とも外国企業だ。それとも、グローバル化する社会を反映させて、ダウ銘柄に外国企業が組み込まれる日が訪れるのだろうか。

来年アメリカ人が一番実現したいこと

2005年、アメリカ人はどんなことを考え、そして何を2006年の目標にしているのだろうか。さっそくギャラップ世論調査や、大手新聞社からのアンケート結果を紹介しよう。

先ず、政治経済関連を見てみると、現在のアメリカは間違った方向に進んでいる、と62%の人たちが回答している。70%が親の世代よりも、アメリカンドリームを達成することが難しくなったと答え、経済的な不満が圧倒的に多い。ブッシュ大統領は、徹底的に民主党支持者から嫌われている。なんと91%が、大統領は誤解しやすい情報を使って国民を欺いている、と大非難だ。

テロリズムに質問を移すと、ニューヨークを襲った9月11日の惨事が、アメリカ人に深い傷を与えていたことが分かる。いまでも69%の人たちが、週に一度は崩れ去った世界貿易センターのことを思い出すようだ。テロリストのリーダー、オサマ・ビン・ラディンは捕まるだろうか。回答はほぼ半々のイエスは45%、ノーが55%だ。

今どんなことが心配になりますか?鳥インフルエンザの回答が63%、そして約半数が、実際に冒されるだろうと思っている。ほぼ100%が、アメリカ政府の鳥インフルエンザ対策に懐疑的だ。政府の準備は完璧、と答えた人は4%にすぎない。カトリーナの記憶が新しいだけに、ハリケーンや竜巻などの自然災害を恐れる意見も多い。特にハリケーン被害者の救助が遅かっただけに、45%が連邦政府の不能さを訴えている。

ストレスの解消方法は?ポーカーブームのせいだろうか。ギャンブルの回答が25%だ。その次が飲むことなのだが、ビールがトップの座をワインに初めて奪われている。セックスもストレス解消法の一つだ。25%が週に3回のセックスをする、と答えている。

次は宗教的道徳的な質問だ。67%の人たちが、毎日必ず一度は祈るという。53%は自分を神の僕、と思っている。あなたは宗教的だと思いますか、の問いに対しては21%が「イエス」だった。35%は道徳的絶対真理の存在を認め、32%は道徳的真理は状況に左右されると言う。道徳的真理の判断を聖書だけに頼る、と答えたのは16%だった。

まだまだ他にも、「あなたは自分自身に満足してますか」、「老後の準備はできていますか」などの質問があるが、アメリカ人が、来年もっとも実現したいことを記そう。ナンバー1は、家族と過ごす時間を増やすことだ。そうするためには、何かをやめて時間を作らないといけない。平均的なアメリカ人の一日は、7.9時間の睡眠、5.5時間の仕事、2.3時間のテレビ、1時間の食事、49分間の風呂や洗面、47分間の電話、10分間の考え事、それに7分間の祈りや宗教的行動だ。さて、どの時間を削ろうか。

2006年、グーグルに強敵出現!

どうしたらグーグルに追いつくことができるだろうか。グーグルの成長速度を鈍らせる方法はあるだろうか。競争相手なら、いつもそんなことを考えているはずだ。時価総額1270億ドル、急ピッチで巨大企業の一員となったグーグルが、2006年行き詰まりになる、とフォーチュン誌が報道した。

特に浮き沈みの激しいテクノロジー業界で、常に首位を走り続けることは難しい。事実グーグルは、既に新コンセプト分野でヤフーに遅れを取っている。コミュニティー・パワーサーチが主流になることが予測され、先週ヤフーはdel.icio.usを推定3500万ドルで買収した。

コミュニティー・パワーサーチを理解するには、人気サイトのマイスペース・ドット・コムを見てもらうのが一番早い。メンバーがメンバーを助ける。これがコミュニティー・パワーサーチの基本になる。だからデートの相手探し、同好会の結成、それに好きな音楽やホームページの情報交換が簡単にできる。今回ヤフーが買収したdel.icio.usは、役立ちそうなホームページがメンバーによって満載された、コミュニティー型情報サイトだ。

アマゾン・ドット・コムで買い物をされた方は多いと思うが、アマゾンではコミュニティー・パワーサーチのアイディアが利用されている。例えば、芥川賞受賞の「土の中の子供」に興味があったとしよう。クリックして直ぐ支払いページに行くこともできるが、目に入ってくるのが「この本を買った人はこんな本も買っています」、という一文だ。「花まんま」、「悪意の手記」などの本が紹介され、他の読者が「土の中の子供」以外に何を買ったかが分かる仕組みになっている。

さらにアマゾンが優れているのは「カスタマーレビュー」が読めることだ。実際に本を読んだ人からの感想文だから、買おうかどうかと迷っている人には決め手になるかもしれない。このようにコミュニティー・パワーサーチは、単に情報を提供するだけでなく、どの情報に一番人気があるかも瞬時で分かり、大衆の意見を把握することもできる。まだベータ版の段階だが、コミュニティー型のサーチエンジンとして、ヤフーはMy Web 2.0を発表している。

ヤフーがグーグルに対抗できるなら、ホットメールなどでお馴染みのMSNはどうだろうか。以前ライコスで最高経営責任者を務めたボブ・デービス氏によれば、この業界で生き残れるのはグーグルとヤフーの二社だけだと言う。また、先日SGコーウェンが主催した会議でも、MSNにはグーグルに追いつくだけの技術が無い、という発言が何度かあったようだ。来年は、グーグルファンとヤフー派が大きく争うことになりそうだ。

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