US Market Recap

持ち株を減らせ!警戒論が目立つ週末

「ウィークエンド・アナリスト」、という言葉がある。毎日仕事に忙しい人でも、週末なら経済欄に目を通す時間がたっぷりある。先週の主なニュースや、アナリストの発表を振り返って投資戦略を練るわけだ。はたして、米国個人投資者たちは、どんなニュースに目を留めるだろうか。さっそく、新聞や経済サイトを見てみよう。

嫌でも目につくのが、AT&Tのベルサウス買収記事だ。今後も電話業界では、頻繁な吸収合併が起きるだろう、という内容だから投資ヒントになる。直接AT&Tを買ってみよう、と思う人もいるだろうが、それでは面白みに欠ける。もっと良いアイディアはないだろうか?

更に調べて行くと、投資者たちはハリー・ドマッシュ氏(投資アドバイザー)の記事にぶつかることだろう。とかくAT&Tのような巨大電話会社ばかりが注目されやすいが、投資者たちは小さな電話会社の存在を忘れている、とドマッシュ氏は指摘する。

大手電話会社は、ニューヨークやシカゴなどの都市マーケットを独占する。多くの企業が、大都市やその周辺に所在するわけだから、都市マーケットが重要であることは理解しやすい。資金的に大手と競争ができない小型電話会社は、農村や人口の少ない田舎が主な市場だ。利用者が少ないわけだから、大手にとって田舎のマーケットは全く魅力が無い。それが事実なら、小型電話会社に投資する意味があるのだろうか?

ドマッシュ氏を引用すれば、小型電話株には成長株に期待できない要素がある。それは高配当金だ。人口の少ない地方マーケットでビジネスを展開する小型電話会社は、市場の拡張には最初から興味が無い。だから自然とキャッシュフローが良くなり、自社株の買い戻しや、高い配当金の支払いが可能になる。

ドマッシュ氏が勧めるのは、6%以上の配当金を払う小型電話会社に狙いを定めることだ。なぜ6%以上を選ぶのだろうか?6%以上の配当金があれば、たとえ悪いニュースが発表されても、株価が回復しやすいからだ。ドマッシュ氏はこう説明する。20ドルで取引されている電話会社があるとしよう。6%の配当なら、年間で支払われる配当金は、一株当たり1ドル20セントになる。さてこの電話会社、運悪く予想を下回る四半期の決算を発表した。失望売りが続出して、株価は20ドルから15ドルに転落してしまう。ここで単純計算をすると、15ドルの株が1ドル20セントの配当を払うということは8%の配当利回りだ。この数値は新たな買い手を呼ぶことになり、下がった株価が回復することになる。

実際の銘柄だが、ドマッシュ氏は5つを挙げている。アラスカ・コミュニケーションズ(ALSK、配当利回り7.5%)。シチズンズ・コミュニケーションズ(CZN、配当利回り7.5%)。コモンウェルス・テレフォン(CTCO、配当利回り6.3%)。アイオワ・テレコミュニケーションズ(IWA、配当利回り9.1%)。バラー・コミュニケーションズ(VCG、配当利回り11.6%)。念のために記しておくが、これは買い推奨ではなく、一つの投資アイディアだ。

全体的に言えることは、今週末は株警戒論が多い。これは米国株だけでなく、海外市場も含めてだ。特に、ファンドマネージャーのマーク・ブシェー氏は、持ち株を最低限に減らすことを強く勧めている。金曜、米国株式市場は反発を見せたが、出来高は平均以下だった。以前ならアップル・コンピュータやグーグルなどのリーダー株があったが、現在のマーケットに強いリーダーは存在しない。それに半導体セクターの低迷も気になる。必要以上に、慎重な銘柄選択が重要になりそうだ。

日米デイトレーダー事情、日本はアメリカの後を追う?

「毎月10万円は夢じゃない!株で3000万円儲けた私の方法」、と言えば主婦トレーダー、山本有花氏の本だ。アメリカで山本氏の名を知る人は先ずいないが、実は先日、ニューヨーク・タイムズ紙に山本有花氏に関する記事が載った。内容を見てみよう。

「毎朝自宅のコンピュータを使って、山本氏は株、為替、そして先物を分析し、デイトレードで素早く稼ぐ。セミナー講師、そして著作活動もする氏は、今や時の人となっている。山本氏によれば、日本には夫に内緒で株のオンライントレードをする主婦が増えているという。

証券業界自由化による手数料の大幅引き下げ、そして高速インターネットの普及が、日本にデイトレーダーを増やした大きな原因だ。日本証券業協会の資料によれば、オンライン証券会社が保有する口座数は790万に及び、1999年の29万6941から飛躍的な伸びを見せている。

日本経済を牛耳る巨大企業の体制側は、デイトレーダーに対して冷ややかな態度だ。今のところデイトレード人気は、体制側にあまり貢献することが無い、若者や主婦に限られている。「デイトレードでは全ての人が平等です。成功の鍵を握っているのは、あなただけです」、と山本有花氏は言う。」

更にニューヨーク・タイムズは、29%の取引がオンライン証券を経由し、この大量な個人投資者参加が、東京市場のボラティリティを高めていることを説明している。また、現在の日本は1990年代後半の米国市場に似ているようだ。正確に言えば、1999年の状況に近い。米国のオンライントレーダーはドット・コム熱に冒され、暴騰するインターネット銘柄を追いかけていた。最終的にバブルは弾け、信用取引を積極的に利用していたオンライントレーダーは大怪我をした。

ニューヨーク・タイムズ紙は、ライブドア事件も取り上げている。三週間で90%以上の下落という凄まじさだが、これは一時的にデイトレードに水を注した程度で、1999年にアメリカを襲ったインターネット株急落とは比べ物にならない。ようするに、日本のオンライントレード人気は、まったく衰えていないわけだ。

強い上げ相場が続く時は儲けやすい。確かに、ドット・コム銘柄が総崩れになり、相場全体の冷えこみが始まった時、次々とアメリカのデイトレーダーたちは廃業し、サラリーマンの生活に戻った。日本には、まだそんな厳しいマーケット環境は訪れていない。松井証券取締役マーケティング部長、矢吹行弘氏の言葉がニューヨーク・タイムズに引用されていた。「デイトレーダーにとって、真のテストは下げ相場です。難しい相場が到来した時、はたしてどの程度のトレーダーが生存することができるでしょうか。」

「9時から5時まで」、という映画があったが、アメリカ人のほとんどは9時から5時まで会社勤めだ。90年代にデイトレードが流行った理由の一つは、この単調なサラリーマン生活から抜け出し、自由なライフスタイルを獲得することだ。日本の雑誌などで優雅な生活を送るデイトレーダーが持てはやされるように、90年代のアメリカも同じだった。午前中でトレードを終え、午後は毎日好きなゴルフを楽しむ。デイトレードは、正に企業という階級組織からの解放手段だったわけだ。

アメリカの真似をして、日本でデイトレードが流行った、と思っている人もいるが、「日計り」という表現は「デイトレード」という言葉が生まれる前から存在していた。アメリカに追従というよりも、日本の社会自体が大きく変わっている。終身雇用など死語になり、サラリーマンには過酷な世の中だ。低手数料、高速インターネット、それに最も重要な上げ相場と揃ったのだから、デイトレードに人気が集まっても当然だ。あとは矢吹氏が言うように、真のテスト、下げ相場が来た時、どう乗り越えるかだけだ。

安全なのはスーパーマーケットだけ!?

先ず、ナスダック指数の日足チャートを見てほしい。

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高値圏で横ばい状態なのだが、CNNの報道によれば1月から個人投資者たちは、積極的に株式市場へ資金を移動させているという。いつ終了するか分からない金利引き上げ政策、今年後半に予想される企業収益の減退、最近下げてはいるが、依然として高レベルなエネルギー価格、急騰する国債利回りとインフレ懸念、株には厳しい環境だ。

何故こんな悪条件の下で、個人投資家は株を選んだのだろう?2000年のインターネットバブルで分かるように、歴史を振り返ると、個人投資家は上げ相場の最終段階でマーケットに押し寄せる傾向がある。今回も大衆は間違っているのだろうか。マネー・マネージャーのウィリアム・ハンマー氏は、こんな見方をしている。「個人投資家たちは、いつもタイミングが悪いと言われますが、それは単なる一般論です。低位株が徹底的に狙われているなら話は別ですが、そんな様子は全くありません。不動産が冷えこみ始め、投資者たちは株に資金を移動させているようです。」

株と不動産を比較したら、株の方が魅力的だろうか?人気株番組「マッド・マネー」の司会者、ジム・クレーマー氏はこう語る。「今日の株式市場は、2000年の4月に似ています。連銀の金利引き上げ政策で、株式市場の利益は100%消滅してしまいました。今回も連銀は、米国経済を破壊することでしょう。こんな状況で生き延びることができるのは、スーパーマケットだけです。」

スーパーマーケットだけ、というのは大袈裟だが、クレーマー氏の狙っている銘柄を紹介しよう。2005年、68万6000の被害者を出した、個人情報泥棒が社会的な問題になっている。インターセクションズ(INTX)は、個人情報の管理、個人情報盗難防止、そして犯人捜査を専門に行う企業だ。

時流に乗ったビジネスだから行ける、ということだけがインターセクションズの強みではない。グーグルのような人気株は多くのアナリストによって追われているが、インターセクションズを調査するアナリストの数は少ない。ようするに、この会社はまだ投資者には馴染みが無く、頻繁な買い推奨も出ないから株価はまだ割安だ。

数カ月前、インターセクションズは収益面の問題で株価が下落し、低迷が今日まで続いている。しかし、悪材料は既に株価に織り込まれ、低位株だけに株価は動きやすい、とクレーマー氏は力説する。間違っても成り行き注文をしないように、との注意もクレーマー氏は付け加えている。

もう一つクレーマー氏の推奨銘柄を記そう。「ニューヨーク・タイムズからの記事ですが、東アジアでヌードルブームが起きています。このブームで恩恵を受けるのは、東京証券取引所に上場されているハウス食品(2810)です。直接海外のマーケットで投資することはあまり好きではありませんが、ハウス食品には大きな伸びが期待できます。」

難しい問題を抱えた米国株式市場だが、トレーダーズ・アルマナック社の、ジェフリー・ハーシ氏の言葉を書いておこう。「3月にマーケットが何回かピークになったことがあります。大幅な下げが10月頃まで続きますが、投資家にとって秋は、絶好の買いチャンスになります。」

金利引き上げはいつ終わる?

3月28日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、短期金利が4.75%に引き上げられることを疑うマーケット関係者はいない。これが最後の引き上げになる、といった声も全く聞こえてこないから、5月の会議でも金利が上げられることことだろう。

いったい、いつになったら金利引き上げ政策が終わるのだろう?セント・ルイス連邦準備銀行のウィリアム・プール氏は、ロイターとのインタビューで、こんなことを言った。「悪質なインフレに襲われるよりも、金利は上げ過ぎになるところまで上げてしまった方が無難です。今後も予想以上の経済成長が続くなら、連銀はもっと強くブレーキを踏まなくてはいけません。」

経済が減速しない限り、連銀は金利引き上げ政策をやめそうにない。これでは最後の利上げが、いつになるか見当がつかない。投資戦略家のブライアン・スタイン氏も指摘しているが、現在マーケット関係者を一番悩ませているのが金利動向だ。

株投資者は、金利上昇を嫌う。上がる金利は好調な経済を示しているが、利子の支払いも上昇するわけだから、企業収益に悪影響だ。「少なくとも、あと2回金利が引き上げられることでしょう。企業の収益も減少する可能性があります。実際に第1四半期の決算が公表されるまで、金利が企業に及ぼした結果を正確に把握することはできません。ですから投資者にとって、現在のような環境で積極的に株を買うことは難しい、と言えます。」、とエコノミストのジョン・ノリス氏は語る。

急騰する国債利回りにも注目が必要だ。10年物国債利回りは4.75%を記録し、2004年6月以来の高水準に達した。これが意味することは、投資者は高インフレを予測し、金利引き上げサイクルは予想以上に長引く、と読んでいることだ。

金利の上昇は、単にアメリカだけの出来事ではない。最近金利を上げたヨーロッパ中央銀行は、更なる利上げを示唆し、多くのアナリストは日銀も長期続けてきたゼロ金利ポリシー終了を予想している。

それでは、投資者はどうしたらいいだろうか?ヘッジファンド・マネージャー、バリー・リットホルツ氏の意見を聞いてみよう。「米国株式市場は、先ず一旦下げてからラリーを展開することになりそうです。現在低迷する株を持っているなら、早い処分を勧めます。」

レイモンド・ジェームズのジェフリー・サウト氏も消極的だ。「金利引き上げの幽霊に、ウォールストリートは脅かされることでしょう。完全に金利引き上げが終了するまで、買いは控えるべきです。早ければ夏、遅くても秋には株が買える環境が出来上がると思います。もちろん、現在のマーケットでも利益を上げることはできます。肝心なのは、銘柄選びを極めて慎重にすることです。」

もし夏まで株を休むなら、ジョン・ノリス氏はマネーマケット・ファンドを勧めている。「以前は1%そこそこのマネーファンドでしたが、今日では4.3%から4.4%の利子が得られます。マネーファンドは、金利が上げれば自動的に利子も上がるので、定期預金より有利です。」

巨大電話会社の出現で恩恵を受けるのは誰?

「何のために解体したのだ?」早速そんな声が聞こえてくる。電話会社AT&Tは、670億ドルでベルサウス買収計画を発表した。これが実現すれば、年間売上1200億ドルの巨大電話会社が出来上がる。ここで歴史を振り返れば、1984年、裁判所の命令でAT&Tは長距離専門の電話会社になり、更にベル・テレフォン・システムは7つの会社に分割され、事実上ベル・テレフォン・システムによる市場の独占が終わった。

しかし、それから20年以上経った今日、電話業界は大きく変わっている。2005年1月、SBCはAT&Tを160億ドルで買収し、新社名はSBCではなくAT&Tに決定した。同年5月、べライゾンは長距離電話会社MCIを84億5000万ドルで買収し、そしてスプリントとネクステルが合併した。最近ではレベル3がプログレス・テレコムを吸収したが、どれも今回のAT&Tとベルサウスの規模には遠く及ばない。

ジーン・キンメルマン氏(消費者保護団体)は、「これは完全に独占禁止法を無視した行為です」、と語りAT&Tのベルサウス買収阻止運動を開始するようだ。USAトゥデイによれば、買収が成立すると、AT&Tは22州から7000万件の電話サービス、5400万の携帯電話サービス、そして1000万のインターネットサービスを獲得する。そうなれば、全サービス料金が一斉に値上げされる可能性があるわけだ。

この買収は独占禁止法に違反するだろうか?一株当たりに換算すると、ベルサウスの買収価格は35ドル80セントだ。現在ベルサウスは+9.7%の34ドル50セントで取引され、買収価格に近づいている。ようするに、投資者たちは、買収がほぼ間違いなく成立すると見ているわけだ。テレコム業界に詳しいデービッド・カウト氏も、この買収は比較的やさしい条件付きで許可が下りるだろう、と述べている。

メリル・リンチのデービッド・ジャナゾ氏もカウト氏に賛成だ。「政府側は、AT&Tの状況説明に納得することでしょう。電話会社は、毎年数パーセントの顧客をケーブルテレビ会社に奪われています。それに、たとえ買収がうまく行ったとしても、心配されているようなAT&Tによる携帯電話市場独占は起きません。」

買収で恩恵を受けるのは誰だろうか?今日、AT&Tには13州に700万の高速インターネット顧客がいる。高速インターネットサービスの名前は、AT&Tヤフーだ。2000年からAT&Tは、ヤフーだけをパートナーとして、高速インターネット市場の開拓を進めてきた。

ゴールドマン・サックスのアンソニー・ノト氏の意見を紹介しよう。「買収成立後も、ヤフーが現在と同様な契約をAT&Tと結んだとしましょう。85%のマージンで計算すると、ヤフーはベルサウスの顧客が増えることで、年間売上が1億ドルほど上昇しそうです。ですから、キャッシュフローも9000万ドルの増加が見込めます。」どちらにしても、現時点では憶測にすぎない。買収が認可されるには、長ければ12カ月の時間が必要なのだから。

名声は富を約束する?

名声は富を生むだろうか?そんな特集が、バンクレート・ドット・コムにあった。アカデミー賞やノーベル賞を取ったら、一生楽をして食っていけそうだが、どうやら必ずしもそうではないらしい。早速いくつか紹介しよう。

アカデミー賞と富
いつ、どのように、そしてどのカテゴリーで受賞したが重要になる。映画評論家のエマニュエル・レビー氏は、こう語る。「映画俳優の年齢は、受賞後の収入に決定的な要素になります。若ければ若いほど有利です。初めてのノミネートで受賞することも、収入を大きく増やす結果になります。典型的な例は、ダスティン・ホフマンです。1967年、「卒業」で29才の時アカデミーを受賞しましたが、出演料は1万7000ドルでした。しかし、受賞後は一気に40万ドルに跳ね上がっています。

映画俳優としてスランプ状態にある時の受賞も、収入に素晴らしい効果を与えます。好例はヒラリー・スワンクです。1999年、「ボーイズ・ドント・クライ」でアカデミーを取りましたが、その後まったく良い映画に恵まれず、俳優としてスランプに陥ります。そんな状況で現れたのが、スワンクの女優としての才能を正しく評価していたクリント・イーストウッド監督です。結果は、イーストウッド監督の目に狂いはありませんでした。「ミリオンダラー・ベイビー」で、スワンクは2度目の受賞をはたし、トップスターの座も獲得しました。」俳優や監督の受賞は収入を大幅に伸ばすが、それ以外の部門での受賞は単なる名声に終わるようだ。

トニー賞と富
トニー賞は、ブロードウェイ俳優に与えられる最高の賞だ。「アカデミー賞は直ぐ収入に影響しますが、トニー賞が直ぐ高収入に結びつくことはありません」、と演劇評論家のデービッド・シェワード氏は言う。「トニー賞は名誉ある賞ですが、受賞後の収入は5%から10%上がる程度です。受賞後、映画に出演して収入を大きく増やす道もありますが、ラスベガスでの公演も割りの良い収入になります。現にブロードウェイのスターは、ラスベガスで2万ドルから3万ドルの収入が一週間で得られるようです。」

ノーベル文学賞と富
「大きな賞は本の売上を上昇させますが、ノーベル文学賞は売上には好影響になりません」、と指摘するのはプレーリー・ライツ社のポール・イングラム氏だ。「ノーベル賞は作家の全作品が評価された上で与えられる物であり、一つの作品だけが対象になるわけではありません。ノーベル賞を受賞した作家に共通しているのは、受賞前に一定の読者層が既にあったという事実です。ですから受賞が原因となって、読者数を更に大きく伸ばすことは稀です。」本の売上は増えないかもしれないが、ノーベル賞の賞金額は魅力的だ。1千万スウェーデン・クローナだから、約1億5000万円になる。

詩人と富
詩を書くだけでは食べていけない。だが、詩人にも賞金が得られる賞がある。ノーベル賞とは比べ物にならないが、ウォレス・スティーブンズの賞金額は約1600万円だ。受賞後も各出版社から引っ張りだこ、ということは無いから、詩人の重要度は低い。

誰もが映画スターになれるわけではない。スターになったからといって、アカデミー賞が約束されたわけでもない。好きこそものの上手なれ。好きなことをして食べていけたら幸せだ。

行動経済学が教える5つのルール

投資者に共通して見られることは、非論理的になりやすく、自分たちの意見を過剰評価することだ、とエール大学教授、そしてイボットソン・アソシエーツ創始者のロジャー・イボットソン氏は言う。効率的市場という理論があるが、これは投資者に先入観が無く、論理的に適切な判断ができることを仮定している。もしこの理論が事実なら、株価は正当評価額を上回ることは決して無い。

1990年代の終わり、米国投資者は超割高になったインターネット銘柄に殺到した。長年にわたる心理学者たちの研究によれば、私たちが何かの決定をする時は、決まったようにに不合理な判断をする傾向がある。心理学と経済学が結びつくことで、行動経済学という新部門が誕生した。

行動経済学は、既に私たちが気がついている、現実の投資者は非論理的であり、状況を自分たちの都合の良い方向だけでしか判断できないことを証明した。投資者の近視的な行動が、結果的に不動産バブルやインターネット株バブル、そして季節的に起きる株の1月現象などを作り上げるわけだ。

投資で成功するためには、不合理な道理に合わない行動を排除しなくてはいけない。投資者が陥りやすい、5つの悪い癖を、イボットソン氏に説明してもらおう。

1、投資者は身近な株に引きつけらる。
米国投資者の401K口座(企業年金制度、確定拠出型年金)を見てみると、ほぼ25%が自社株で占められ、外国株はたったの7%しかない。海外マーケットを無視することは大きな利益を逃すことになり、自分に身近な株だけではバランスのとれた投資ができない。

2、投資者は感情に支配される。
後悔することを避けるために、投資者は中々損切りができない。どんなに株価が下がっても、もとの値段に戻ることを信じて持ち続ける。また、首尾よく株価が上がってもジックリと株を保持することができない。これも後悔を避けるためが原因だ。今売らなければ、明日は下がってしまう。そうなる前に利食っておこう、というわけだ。

3、投資者は自分の能力を過剰評価する。
これは女性よりも、男性が犯しやすいミスだ。自分は他の投資者よりも優れている。絶対に自分は、平均的な投資者ではない。ウヌボレと言うこともできるが、これは頻繁すぎる売買に結びつき、結果的に多額な手数料を支払うことになる。

4、近視的な状況判断。
有望な銘柄を見つけると、投資者は必要以上の資金をそれに割り当てる傾向がある。これで勝負だ、と大きな賭けに出るが、これは投資資金を分散させることを忘れた不適切な行動だ。ホームラン銘柄が、そう簡単に発見できることは無い。常にバランスを考慮して、衝動的な売買を避けたい。

5、貯蓄意識が無い。
株やファンドに投資していても、投資者には長期的な目標が無いから、儲かると直ぐ使ってしまう。現に、アメリカ人の貯蓄率は大恐慌以来初めてマイナスになり、貯蓄意識の欠乏が明確に表れている。長期的な視野に基いて、老後や子どものために着実な投資をしたい。

人気スイングトレーダーが語る8つのルール

トレンド・ノックアウト、ダブルトップ・ノックアウト、蝶ネクタイ。変な名前だが、これらはスイング・トレーダー、デイブ・ランドリー氏の得意技だ。単にトレードだけでなく、投資アドバイザーとしても活躍する氏には、さまざまな質問や相談が持ち込まれる。ここで、最も多い相談の一つをランドリー氏に語ってもらおう。

「見るからにボディービルダー、まるでアーノルド・シュワルツェネッガーのような男性からの相談でした。仕事を辞めて、来週からデイトレーダーになると言うので、どの程度の経験と実績があるかを聞いてみました。回答は、全くの初心者なので来週からセミナーなどを受けて徹底的に勉強するつもり、というものでした。

いきなり会社を辞めるのではなく、少しずつトレードの勉強をしていくことを勧めましたが、よほど決心が固いと見え、なかなか説得することができません。その時、ふとある考えが浮かびました。夕食を兼ねての相談だったので、私は少し突き出た腹を軽き叩きながら、こう言いました。今夜はダイエットを忘れて、大いに食べよう。来週からボディービルディングを始めて、来月の大会で優勝を狙うことにしよう。この言葉で、彼は納得してくれました。」

先ず夢を持つこと。そして現実的な計画に従ってゴール達成に向けて歩み続ける。ここで、トレードを成功に導く8つのルールをランドリー氏から紹介してもらおう。

1、理論的に正しいトレード方法を身に付けること
火星と金星の並び方が悪いから、今日は株が下がる。天秤座の位置が株式指数に好影響を与えそう。占いのような手法に頼るのではなく、統計の裏付けがある、確率の高いパターンだけを習得しよう。

2、株数は少なめに
どんなに確実に見えるパターンでも、必要以上に多い株数を買ってはいけない。たった一度のトレードが、口座残高に大打撃を与えることがあることを覚えておこう。

3、ニュースは無視
良いニュースだからといって直ぐ買うのはいけない。肝心なのはニュースではなく、ニュースに株価がどう反応するかだ。

4、トレード手法の利点欠点を理解すること
横ばいマーケットでうまく行く手法は、トレンドが明確なマーケットでは役に立たないことが多い。状況に合わせて、トレード手法を使いこなそう。

5、最善の銘柄を選ぶこと
将来に期待して、いつ上がるとも分からない銘柄を買ってはいけない。買うなら強い上昇基調にある、しっかりした株だけを狙うことだ。

6、毎日トレードする必要は無い
絶好なコンディションが毎日訪れるはずがない。トレードは、自分が設定する条件が全て揃った時だけだ。

7、全体的な流れを把握すること
個別銘柄だけに目が行ってしまうが、マーケット全体、それに各セクターのトレンドにも気をつけよう。

8、適切なトレード管理
株が買えたら直ぐ損切り注文を入れること。思惑どおり株が上がったら、一度に全部売るのではなく、分散して利食うことが大切だ。

ランドリー氏は、8番目の売りを分散させることを特に強調する。誰にでも経験のあることだが、売ったとたんに株が暴騰することがある。また、損切りの値段設定にも注意が必要だ。あまりにも見え透いた位置に損切りを入れることは、マーケットメーカーにみすみす株を奪われる結果になりやすい。それを防ぐには、買値から25セント下がったら損切る、といったように皆が好む最近の安値などを利用しないことだ。

狙いは水セクター

1995年1月17日、神戸を襲った大地震は24万の家屋を破壊し、6000人以上の命を奪った。救助隊の直接的な働き以外にも、日本全国そして海外から薬、食料品、毛布、テントなどが送られた。こんな過酷な状況で、生存者の方々が最も欲した物の一つは水だった。清潔な水を飲みたい。体を洗いたい。ご飯を炊きたい。とにかく水が切望されたようだ。

「1950年以来、世界の人口は2倍になりました。しかし、水の使用量は2倍ではなく3倍に膨れ上がっています。石油なら、新しい油田を開発することで供給量を増やすことができますが、水はそう簡単にいきません。どんなに科学が発達しても、水を生産することはできません。」、とアナリストのジョン・ディッカーソン氏は言う。

エキスパートの調べによれば、中国には水不足が見られるようだ。近代化が進む中国には、カナダとほぼ同量の水があるが、中国の人口はカナダの100倍に相当する。更に、中国の総水量を中国人一人当たりに換算してみると、その量は世界平均の四分の一しかない。そのため中国の440の市は、定期的な水不足に悩まされている。

半導体、バイオテクノロジー、エネルギー、鉄などが投資対象に選ばれることが多いが、忘れてはいけないのが水だ。投資ニュースレターのエディター、ジョン・マークマン氏は興味深い例を挙げている。

「今年の動きを見てみましょう。バイオテクノロジー指数は8%の上昇、半導体指数は+6%、エネルギー・セクター指数は2%増、そして鉄などのベーシック・マテリアルズ指数は+3%です。まだこの存在を知らない人が多いのですが、水関連株に投資する、パワーシェアズ・ウォーター・リソース・ポートフォリオ(PHO)、という上場投信がありますが、これはなんと既に15%の上昇です。

私たちは鉄が無くても生きていけます。オイルを使わなくても、死ぬことはありません。もちろん、金(ゴールド)も生活必需品ではありません。しかし、水無しでは絶対に生きていくことは不可能です。長くても、10日ともたないことでしょう。水の需要は、毎年上がっています。水は金利、インフレ、不況、そして為替レートなどに左右されることのない、誰もが必要とする貴重な物資です。

誤解を防ぐために、一つ説明しておきましょう。地球上から水が無くなってしまうことはありません。科学者たちが言うように、現在地球には1千万年前と同じ量の水があります。問題は環境汚染が進み、安心して飲める水が不足するということです。現に中国が直面する水不足も、この環境汚染が原因です。

宇宙船から地球を見ると、豊富な水があることが分かります。しかし、安心して飲めるのは1%にも満たないのです。国連の統計によると、今日10億人の人たちが水不足に直面しています。この状況は更に深刻になることが予測され、2025年には、25億人の人々が極度の水不足に陥るようです。人類はオイルをめぐって、何度も戦争を起こしました。ある専門家の意見ですが、近い将来、アフリカと中東で水権利獲得をかけて戦争が始まる可能性があるようです。」水投資、どうやら考えてみる必要がありそうだ。

株を買うなら海外市場

米国投資者は1月、236億ドルの資金を、外国株専門のミューチュアルファンドに投入した。この金額は、米国株専門ミューチュアルファンドに流入した資金の約3倍に相当し、海外の株に異常な人気が集まっている。滅多に外国株のことなど気にすることがなかった米国投資者だけに、正に投資姿勢が大きく変わったわけだ。

メリマン・キャピタルのポール・メリマン氏は、「個人投資家は、明らかに外国株の追い回しを始めました」、と語っているが、これは単に現状を説明した言葉ではなく、正確には警告だ。メリマン氏や、他のウォールストリート関係者は、1999年の再来を心配している。派手な動きに魅せられて、1999年後半、多数の個人投資家がインターネット株に押し寄せた。しかし2000年、インターネットバブルが弾け、個人投資家たちは大打撃を受けた。

「仕方ないことなのですが、大上昇の後、膨大な資金がマーケットに入ってきます。大きな動きが既に展開されてしまった後ですから、更なる大きな上げ期待が裏切られる可能性が高くなります」、とニール・バートン氏(ファイナンシャル・リサーチ・コープ)は言う。1月に外国株へ向かった236億ドルは、米国史上最高の金額だ。

外国株とは全く比較にならないが、米国株専門ファンドへ移った資金も増加している。12月は流出額が流入額を上回る状態だったが、1月、米国株式ファンドは、82億ドルの新たな資金を獲得した。2005年全体を振り返ってみると、米国投資者は1046億ドル相当の外国株専門ファンドを購入し、312億ドルのアメリカ株専門ファンドを購入した。

モーニングスター社の調べによれば、平均的な外国株専門ファンドは過去3年間、毎年29.2%の利益があった。(米国株専門ファンドは+20%)特に中南米だけに焦点を絞ったファンドの結果が目覚しく、ここ三年間で毎年+64.2%の成績を出している。2006年度だけの様子を見ると、外国株ファンドの平均は+7%、そして米国株ファンドは+4.6%だ。

今年も好調な海外市場だが、先日モルガン・スタンレーは日本株と新興成長市場への投資を控えることを推奨した。あまりにも海外の株価が割高になってしまった現在、米国株の方が魅力的、ということらしい。もちろん、外国株を運用するファンドマネージャーは、モルガン・スタンレーの意見に反対だ。アジアへの投資を専門にする、マーク・ヘッドレー氏はこう語る。「外国株を無視し続けてきた米国投資家が、やっと海外投資の可能性に気がつきました。感情的になった投資家が、外国株に殺到しているわけではありません。これは自然な投資分散です。」

ヘッドレー氏に同感するファンドマネージャーは少なくない。1999年のインターネット株ブームと、今回の外国株ファンド人気は性質が違う。1999年の場合は、投資対象がインターネット銘柄だけに限定されていた。全く投資資金の分散などなかったわけだから、投資者たちは大きな傷を受けた。現在の海外株人気は個別銘柄ではなくファンドだ。集まった資金で、ファンドマネージャーは多くの銘柄を買うわけだから、一銘柄が暴落しても大きな穴を開けることはない。それに長期投資が目的のファンドだから、個別銘柄を追うように、毎日の値動きを気にする人は少ない。アメリカ人の目は、海外にまだ向いたばかり。外国株人気は、しばらく続きそうだ。

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