US Market Recap

周期的に正しい投資?

アメリカ株に投資するなら、何月に買って何月に売るのが良いだろうか?こんな統計がある。トレーダーズ・アルマナックによれば、1950年から毎年11月1日にダウ指数を買って4月30日に売ると、年利で7.9%の利益が上がった。だから、1950年に1万ドル投資していれば、今日現在約50万ドルに膨れ上がっている。同様なやり方で、5月1日に買って10月30日に売ると、資金の1万ドルは今日9498ドルに減っている。

なるほど、それなら夏の相場は休もう、と結論したくなるが、本当にそうすることは正しいだろうか?「株式市場には一定のパターンが繰り返される、というカレンダーに基いた周期論がありますが、それは重要なことを無視しています」、と言うのはMSハウエルズのマイク・ハーレイ氏だ。「マーケットサイクルばかりに気を取られると、肝心な現在の市場分析を怠ってしまいます。」たしかに、現状を正しく把握することは大切だ。以前、アバロン・リサーチでアナリストを務めた、マーク・リクテンフェルド氏に現況を解説してもらおう。

「これも周期論で説明できることかどうかは分かりませんが、金利が上がり続けています。木曜、10年物国債の利回りが、2002年以来初めて5%を超えました。テクニカルアナリストのジョン・ローグ氏は、既に利回り6%を予想しています。金利に敏感な貴金属、電力、ガスなどの業種は注目です。

電力会社やガス会社などの公共株は、多額な変動利率の債務があります。金利が上昇すれば支払いも上がるわけですから、電力会社にとって金利上昇は悪材料です。積極的な投資家には、公共株の空売りを推奨します。公共株と言っても沢山ありますが、簡単な方法はユティリティーズ・スパイダー(XLU)を空売ることです。XLUは公共株に投資している上場投信ですから、これを空売るだけで十分な効果を得られます。

空売りはしたくない、そんな方々には二つのミューチュアルファンドがあります。ライデックス・ジュノ・インベスターは、国債の利回りが上がると、価格が上がる仕組みになっています。また、プロファンズ・ライジング・レイツ・オポチュニティも金利が上昇すると価格が上がるので、現在の経済環境に適したファンドです。

1970年以来、金利と同方向に金価格は推移しています。利益を上げることが投資の最大目的ですが、インフレ対策として、資金の一部を金投資にあてることをすすめます。金の現物を買っても悪くないですが、金価格に連動する、ストリート・トラックス・ゴールド・シェアズ(GLD)という便利な上場投信があります。株と同様に売買できますから、これが一番楽な金投資方法です。」

それ以外にリクテンフェルド氏は、株式市場が下がると上がるベア・プロファンドを推薦している。5月も近い。やはり持ち株を調整した方が良さそうだ。

需給関係に気がついた大リーグ

ボーイズ・オブ・サマー、いよいよプロ野球シーズンが始まった。ひいきチームが勝っても負けても、実際に球場でゲームを観戦するのは楽しい。大画面テレビで見る野球も悪くないが、やはりそれでは現場の雰囲気を肌で感じることができない。ということは分かっているのだが、またチケット代が上がった。選手に高い年俸を払いすぎるからだ、と思うかもしれないが、CNNのクリス・イシドー氏はこんなことを語っている。

「今日、大リーグの平均年俸は290万ドル(約3億4200万円)ですが、ここ5年間で25%上昇しています。。球場のチケット代も5年間で、ほぼ選手の年俸と同率の上げですから、一見両者には相関関係があるように思われます。一つ付け加えますが、5年間で25%上昇した年俸は、米国インフレ率の2倍に相当します。

選手の年俸が、本当にチケット価格を決定しているのでしょうか?一般のビジネスを考えてみましょう。フォードやGMが、社員の給料を3%上げたからといって、車の値段を直ぐ3%引き上げるでしょうか?給料が5%減れば、ユナイテッド航空はチケット料金を5%値下げするでしょうか?答えは「ノー」です。航空チケット代や、車の値段を決めるのは社員の給料ではなく需給関係です。

野球のチケット代が上がったのは、ようするに、チケット需要が増えたからです。去年もチケット代は上がったわけですが、観戦者数は史上最高を記録しました。毎年発行できるチケット数は限られていますが、この供給量に関する面白い実例を紹介しましょう。

オークランド・アスレチックスは、球場の最上階スタンド席を今年完全に閉鎖しました。このため、今年発行されるチケット数は20%以上の減少です。アスレチックス関係者は、最上階席を削ることで、ファンがもっと近づいて座ることになるから、ゲームを観戦するムードが良くなると言いますが、球団側が期待しているのは、チケット売上の上昇です。最上階席が無くなり、供給量が減ったわけですから、これで前売り券販売が伸びます。今年オークランドは、チケット料金を25%引き上げています。

席の数を減らしたのは、オークランドが最初ではありません。前例があります。2004年、シカゴ・ホワイトソックスは最上階席の一部6600を閉鎖して、観戦者数上昇に成功しています。

もうひとつ、チケット代が上がっている理由は、新球場の建設です。ここ14年間で、26球団中14球団が新しい球場を造っています。問題は、新球場の席数は古いものより21%少ないのです。単に席数が少ないだけでなく、外野席を大幅に減らして、チケット代の高い内野席が増えています。ですから、平均チケット価格が上がっても当然です。」

1990年代から始まった新球場建築ブームだが、2009年、ニューヨーク・ヤンキースの新スタジアムが完成する。観客席数は、現在の球場より10%少なくなるそうだ。

バスケットに入れたい2銘柄

バスケット・アプローチ、という投資方法をご存知だろうか?バスケットボールのバスケットではなくて、この場合のバスケットは、果物などを入れる「かご」を想像してほしい。だれでも新鮮な果物で、かごをいっぱいにしたいように、バスケット・アプローチも、複数の有望銘柄だけに集中投資するのが狙いだ。

銘柄の選び方は一様ではないが、スティーブン・ブルワ氏(リアル・マネー・ドット・コム)のアイディアを聞いてみよう。「バスケットに入れる銘柄は、割安であることが重要です。割安株の利点は、思惑と反対に動いても下げ渋ることが多いですから、損が少ないことです。さっそく、二つのアイディアを紹介したいと思います。

最近、老化防止が人気投資テーマになっています。多くの関連銘柄は既に割高になっていますが、ていねいに探してみると、まだ大衆に発見されていない株が残っています。歳をとるのは嬉しいことではありませんが、確実に高齢者人口が増えています。米国を例に挙げれば、2030年には65歳以上の人口が、現在の2倍になると予測されています。

つい数日前ですが、私は複数の鏡を持って風呂に入りました。うまく角度を調整して、頭のてっぺんを見たのですが、なんとも惨めな状態です。そんなわけで、帽子を手放すことはできません。

具体的な銘柄ですが、ストライカー、ジマー、アラガンなどの大型株は避けるべきです。悪い会社ではありませんが、速い成長スピードが見込めません。私が好きなのは、予期しなかった成長の可能性がある、ニューベイシブ(NUVA)とバイアセル(VIAC)の二つです。

投資態度について少し話しましょう。あなたは「強気」ですか、それとも「弱気」ですか?よくそんな質問を耳にしますが、一つの見方だけに固執するのは危険です。経済環境が良くないから株はだめだ。このセクターは嫌われているから、それを買うことはできない。そのような考え方に慣れてしまうと、せっかくの投資チャンスを逃してしまいます。最終的に株を上げるのは需給関係ですから、くれぐれも先入観を排除することが大切です。」

次に、上記二銘柄の説明をしてもらおう。「歳をとると、腰や背骨に問題を起こしやすくなりますが、それがニューベイシブ(NUVA)の専門分野です。医療機器の販売もしていますが、一番の特色は独自のソフトウェアを使った、回復時間の早い手術です。現在20ドル以下の銘柄ですが、40ドルあたりを狙えると思います。

バイアセル(VIAC)は、幹細胞の分野から老化防止を研究しています。問題は、幹細胞研究に対する倫理問題という障害があります。それに幹細胞研究に関する偏見もあり、これはかなり長期投資になると思います。しかし、スペインで好結果が得られているように、バイアセル(VIAC)は注目に値する銘柄です。」高齢化する社会、たしかに幹細胞分野は面白そうだ。

二つの消費者信頼感指数

新規雇用の増大、5年ぶりの低失業率、生産性の向上、米国経済は好調だ。しかし、なぜか人々の顔色がすぐれない。表面だけを見れば、3月分の消費者信頼感は107.2と発表され、2月分の102.7を上回った。それなら、皆さん機嫌が良いはずだが、どうもそうではないらしい。

「たしかに消費者信頼感指数は上昇しましたが、この指数には二つの要素が含まれています」、と経済コラムニストの、マーシャル・ローブ氏は言う。「先ず、現状に対する消費者信頼感は、最近5年間で最高の133.3でした。もう一つの消費者信頼感は、3カ月から6カ月先を考慮した場合の指数ですが、これは去年の93.7から89.9の冴えないレベルに落ち込んでいます。」ようするに、米国消費者は現在の状態には満足しているが、将来にかなり不安を感じているようだ。

「これは不思議な現象です。現在のアメリカ経済が、強いことに間違いはありません。しかし、消費者は将来を楽観視できないのです。何故そんななに心配なのでしょう?こんなことが考えられます。不動産ブームが終わり、実際に住宅価格が下がっている地域があります。ですから、以前のように消費者はリッチな気分になれないのでしょう」、とゴールドマン・サックスのロバート・ホーマッツ氏は語っている。

更に、ホーマッツ氏の説明によれば、住宅価格が下落し始めると、消費者は前のように金を使わなくなるという。極端に消費が冷え込んでしまえば企業収益に響く。だから、最終的には株式市場にも悪影響になるわけだ。

バンク・オブ・ニューヨークの、マイケル・ウールフォーク氏は、こんな意見を述べている。「消費者が将来に対して悲観的な大きな理由の一つは、短期金利を上げ続ける連銀の金利政策です。住宅担保ローンの利子も当然上がっていますから、2年前のように簡単な資金繰りができません。金利引き上げは、はたしていつ終了するのでしょうか?強い経済、ほぼ完全に近い雇用状況を考えれば、連銀は金利を5%以上に引き上げるでしょう。(現在4.75%)」

消費者が不安になる、もう一つの理由として、ウールフォーク氏はエネルギー価格を指摘している。「クルードオイルは、1バレル68ドルですが、これは80ドルから90ドルに跳ね上がる可能性があります。サウジアラビア、イラン、イラク、ベネズエラ、ナイジェリア、それにボリビアなどの内政が安定しない産油国を考慮すれば、オイルが突然急騰しても、決して不思議ではありません。」

将来の不安材料なら、まだまだある。増え続ける国家予算赤字に貿易赤字。破綻しそうな社会保障給付金制度。それに、ニューヨークを襲ったような大々的なテロ事件が、またアメリカ国内で発生するかもしれない。どちらにしても、今のアメリカ人に一番痛いのは、ウールフォーク氏が挙げた金利上昇だ。貯蓄率0%のお国柄だから、何を買うにもクレジットカードが使われる。もちろん、クレジットカードの金利は極めて高い。やはり、アナリストが言うように、今年の後半は個人消費が低迷しそうだ。

守ってほしいトレードのタイムフレーム

儲けよう、と意気込んで投資するべきだろうか?それとも、損を出さないことを第一にするべきだろうか?「トレードの心理学」の著者、ブレット・スティーンバーガー氏は、こんな話を紹介している。

「三人の投資家が、それぞれ10万ドルずつファンドマネージャーに資金を運用してもらうことにしました。このファンドマネージャーは、独自の投資スタイルで優れた成績を上げていることで有名です。もちろん、期待どおりに行かないこともありますから、3.5%以上の損が出た銘柄は直ぐ処分するのが、ファンドマネージャーのモットーです。

さて三人の投資家ですが、Aさん、Bさん、Cさん、と呼ぶことにしましょう。旅好きのAさんは、10万ドルをファンドマネージャーに預けると、さっそく世界一周旅行に出かけました。14カ月後、旅から戻ったAさんの家には、毎月の投資状況を報告する、14通の明細書がありました。全部の封筒を開けるのが面倒だったので、Aさんは一番最近の報告書を見ることにしました。嬉しいことに、10万ドルで開始した投資は、なんと22万7000ドルに膨れ上がっていました。

Bさんも、毎月の報告書を見て喜んでいました。4カ月連続で資金は増え、残高は17万ドルです。しかし、次の2カ月は、Bさんの期待を裏切るものでした。17万ドルあった資金が、13万3000ドルに減っているのです。こんな状態では、10万ドルを割ってしまうかもしれません。心配になったBさんは、翌日ファンド会社に電話して、投資を解約しました。

投資を始めた一カ月後、Cさんの10万ドルは12万ドルになっていました。オンラインでも口座が見れると知ったCさんは、二カ月目から、毎日口座をチェックすることにしました。しかしCさんは、一日一日の口座残高の動きが、こんなに荒っぽいとは思ってもいませんでした。ある日1万5000ドル上昇したかと思えば、次の日は5000ドルのマイナスです。いったいファンドマネージャーは何をしているのだろう。こんなに残高が大きく動いたのでは、資金が無くなってしまうかもしれない。今なら4万ドルの利益がある。Cさんは、翌日投資を解約しました。

三人の投資結果を決めた要素は何でしょうか?もともと長期計画で始めた投資なのですが、BさんとCさんは、突然短期投資に変更してしまいました。実際に、同様な間違いを、多くのトレーダーたちも犯しています。数日間の値幅を取るはずのトレードが、目先の値動きに翻弄されて、ごくわずかな利益で銘柄を処分してしまうのです。」

日足を基本にしている投資者が、5分足チャートを活用する必要は全くない。日中の激しい動きに目を奪われて、ただ動揺してしまうだけだ。アンダーグラウンド・トレーダー・ドット・コムのジェイ・ユー氏も、必要の無いチャートを見る危険性を指摘している。日足から得た買いシグナルなら、売りシグナルも日足チャートから得るのが基本だ。ただでさえ感情的になりやすいトレード、自分のタイムフレーム以外のチャートはあまり見ないようにしよう。

インフレ対策、何に投資したら良い?

連銀はインフレのコントロールに失敗した、そんなアナリストたちの声が聞こえるようになった。たしかに、インフレ対策として人気のある金が、ここ8カ月で38%上昇している。「金は炭坑内のカナリアに例えられますから、これは警報シグナルとしての意味があります。金価格の動きを観察することで、現在デフレ懸念なのか、それともインフレ懸念なのか、といった大衆心理を理解することができます」、とエコノミストのブライアン・ウェスベリー氏は言う。

先回のFOMC(連邦公開市場委員会)で、値上がるガソリンやオイルなどの商品価格がインフレ原因の一つに数えられていたが、バンク・オブ・アメリカのピーター・クレッツマー氏は、こんな見方をしている。「1990年以来、商品価格とインフレには、はっきりとした相関関係がありません。金の上昇が始まったのは8月からですから、連銀が金利引き上げ政策を開始してから1年も経っています。1980年から1999年の間に、消費者物価は119%上がりましたが、金は逆に64%の下落でした。ですから、最近の金人気は、悪質なインフレ到来を予測しているわけではありません。

今日の商品価格は、世界的に需要が伸びているオイル、ガソリン、セメント、それに工業用金属に影響されています。オイル高、ガソリン高が話題になりますが、商品価格を示すCRB指数は1月に天井となりました。商品価格が経済全体を占める割合は、労務コストに比べたら小さなものです。ですから、インフレを予測する上で、最も重要なのは労務コスト分析です。」

と言われても、急騰する金価格は気になる。ひょっとしたら、アナリストが言うように、連銀はインフレを抑制できないかもしれない。やはり、万が一のためにインフレ対策投資をした方が良さそうだ。では何に投資するのか?ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェストの、マーク・ハルバート氏の意見を聞いてみよう。

「インフレ連動債券を考えてみることを勧めます。インフレ対策として金が一般的ですが、金投資ではインフレ連動債券のように利子収入を得ることはできません。簡単にインフレ連動債券を説明しましょう。支払われる利子ですが、これは国債や社債のように利率は固定されていますから変動することはありません。10年債を買えば、向こう10年間毎年同額の利子が受け取れるわけです。

単に利子だけでは国債と変わりありませんが、名前が示すように、この債券が持つ大きな特色は、インフレに連動することです。毎年2回、投資者に対する支払額は、消費者物価指数に合わせて調整されます。物価指数が上がれば当然支払いが増え、指数が下がれば支払いが減ることになります。年に2回の調整は、5月1日と11月1日に行われます。先回は、ハリケーンの影響でオイルやガソリンの急騰がありましたから、消費者物価指数は予想以上に上がり、投資者への支払いも増えました。」

よし、さっそくインフレ連動債券を買ってみよう。だが、ハルバート氏はこんな忠告を付け加えている。「今直ぐ買うのはうまい方法ではありません。ハリケーンのように、消費者物価指数を大きく上昇させるような出来事は最近起きていませんから、今は様子を見るべきです。毎年2回の調整日に注意して、物価指数に影響を及ぼしそうな事件が起きた時が買いのタイミングです。」

金価格上昇で迷惑するのは誰?

先ず、下のチャートを見てほしい。

0408gold.gif

何回か50日移動平均線を割ることもあったが、これは先日25年ぶりの高値を記録した、金の日足だ。長い冬眠だっただけに、金投資者はさぞ喜んでいることだろうが、コインには裏と表があるように、喜んでいる人の影には苦々しく思っている人たちもいる。

結婚式シーズンが近づいているが、CBSニュースは、若いカップルが高い指輪の値段に驚かされるだろう、と報道している。異常な速度で金が上昇だから、指輪、ネックレス、ブレスレットなども値上がっているわけだ。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によれば、金を使った宝石価格は、去年同時期と比較すると10%から20%高くなっている。

「商品市場で金が25%上がったからといって、小売店も同様に25%値上げするわけではありません」、とティファニー社のマーク・アロン氏は言う。「金属価格の上昇は、たしかに小売店での値上げにつながりますが、マーケットでの価格が上がる度に小売店も値上げしていたのでは、売上が低下してしまいます。ですから、他社に負けない魅力的な値段を設定することが鍵です。」

こんな意見もある。「大手宝石店は、今のところ目だった値上げをしていません。ほとんどの大幅値上げは、独立系や小型小売店で起きています。例えば大手ティファニーですが、巨大な購買力がありますから、ある程度までの金価格上昇に耐えることができます。もちろん限度がありますから、更なる金の上昇は、ティファニーだけでなく、他の大手宝石店を値上げに踏み切らせることでしょう」、とモーニングスター社のキム・ピキオラ氏は述べている。

宝石は生活必需品ではない。結婚指輪なら話は別だが、消費者は高くなった宝石を避けることだろう。カリフォルニア州バークレー市で宝石店を経営する、アナ・フレクサー氏の話を聞いてみよう。

「当店には、ティファニーのような店で高価な宝石を買えない方々や、格安品を求めるお客様が訪れます。ですから、派手なものが選ばれることはなく、最低限の要素を満たす宝石が中心です。以前は、指輪やイヤリングを誕生日プレゼントとして購入する方が多かったのですが、最近の値上がりでデジカメなどが選ばれるようになってしまいました。

指輪の場合ですが、お客様の指にフィットするように、サイズを調整する必要があります。これには金を足すことになるので、40ドル余分に費用がかかります。前なら20ドルで済んだのですが、金価格の急上昇で、当店でも最小限の利益を確保するために値上げすることになりました。たったこの20ドルの差が売上に悪影響ですから、小売店経営者には厳しい状況です。」

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の統計によると、2005年度、アメリカでは180億ドルの金を使った宝石の売上があり、これは2004年度を5%上回った。全世界を見ると、売上の三分の一はインドと中国で占められている。重さで換算すると、589トンの売上があったインドが世界最大の金宝石市場だ。(アメリカは353トン)

アジア太平洋地域での売上は、今年も好調になる、と予測しているティファニー社は更なる中国市場開拓を計画している。現に、第1四半期、ティファニーの売上は米国内でやや減少したが、海外での売上は予想以上に増大した。特に伸びたのは、二桁台の成長を記録した日本での売上だ。

ジョン・ネイダー氏(金アナリスト)は、「金価格は上昇することはあっても、現在の価格から大きく下げることはないでしょう」、と言う。また、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のジョン・キャルノン氏は、海外では金を自国の貨幣より重要視する傾向が見え始める、と指摘しているから、まだしばらく金人気は続きそうだ。

アメリカの高校生と株

米国の将来が心配だ、そんな声が聞こえてくる。アメリカの高校三年生を対象に、経済知識がテストされたのだが、結果があまり芳しくない。問題は合計で30。一問紹介しよう。

子どもの誕生祝いとして、ケリー夫妻に現金が手に入りました。さっそく、それをもとにして、ケリー夫妻は子どもの大学教育のために投資することにしました。次のどの方法が、最も資金を大きく増やすことができるでしょうか?(投資期間は18年)

A、国債 44.8%
B、定期預金 34.8%
C、普通預金 6.3%
D、株 14.2%

数値は、生徒が実際にどう選択肢を選んだかのパーセンテージを示し、正解はDの株。

テスト結果は不合格。平均正解率は52.4%と発表され、初めてこのテストが実施された、1997年の57%を下回った。もっとも2年前は52.3%だったから、わずかながら向上した、と冗談を言うこともできる。「高校生の経済知識不足は深刻な問題です。社会保証給付金制度が不安定な今日、国民は積極的に401K(確定拠出型年金)などを活用して、自分の判断で投資をしなければいけません。テスト成績を見る限り、今の高校生には一般的な投資知識が欠乏しています」、とニューヨーク州立大学のルイス・マンデル教授は語っている。

今回のテストについて、連邦準備銀行で行われた記者会見の要点を記しておこう。

・テストに参加したのは、37州の合計5775人の高校三年生。

・白人生徒の平均正解率は55%、黒人生徒は44.7%、そして中南米系生徒が46.8%だった。黒人生徒と白人生徒の成績が、こんなに離れたのは今回が初めてになる。

・家庭収入が、年間8万ドル以上ある生徒の平均正解率は55.6%、そして家庭収入が年間2万ドル以下の生徒は48.5%の平均正解率だった。これほど二者間の数値が開いたことは、今までに一度も無い。

・2004年、20%の高校三年生は財産管理や、パーソナル・ファイナンスに関する授業を受けたが、2005年、このパーセンテージは17%に減少した。驚くべきことは、これらの授業を受けた生徒達のテスト結果は、受けなかった生徒のテスト成績に劣っている。授業以外に、株投資クラブ(実際の資金を使うのではなく、株ゲームのような形で他の生徒と競う)に参加していた生徒のテスト結果は、クラブに属していない生徒の成績を上回った。

・性別で比べると、結果には歴然とした違いは無い。男子生徒の平均正解率は52.6%、女子生徒は52.3%だった。

上記の問題に、正しくD(株)と答えられた生徒は14.2%にすぎなかったが、こんなに正解率が低かったのはテスト史上初だという。また、経済知識を欠いているのは高校生だけではない。先月、ファイナンシャル・サービス・フォーラムで報告された統計によれば、43%の社会人が投資知識の乏しさを認めている。情報化社会、という言葉が使われるようになってかなりの年月が経つが、経済情報は相変わらずうまく活用されてないようだ。

世界的なウラン不足がやって来る!

世界には、どのくらい原子炉があるかご存知だろうか?国際原子力機関のレポートによれば、その数は441だ。一旦稼動が始まった原子力発電所は、電気スタンドのように、簡単にスイッチを切ることができない。それに、現在建設中の原子力発電所が130あるから、ウランの需要はますます増える一方だ。

「金と銀ばかりが話題になりますが、金属市場でホットなのはウランです。あまり皆さん知らないのですが、去年ウランは80%の上昇、そして今年は既に13%も上がっています」、とマネー・アンド・マーケッツのショーン・ブロードリック氏は言う。そんなにウランが人気なら、何かうまい投資方法はないものだろうか。ブロードリック氏の話を続けよう。

「今日、中国には3つの原子力発電所があります。実際の発電量はまだ低く、中国で使われる電気の2.3%が原子力発電所で生産されています。最近の報道によれば、中国政府は原子力発電に本腰を入れて、2020年までに発電量を5倍以上に増大させる計画です。このゴールを達成するために、中国は毎年2つの原子炉を建設するようですから、ウランの需要量も現在の300万ポンドから1800万ポンドに膨れ上がることが予想されます。

インドのウラン需要も大幅に上昇することでしょう。毎年インドは100万ポンドのウランを消費していますが、2010年には200万ポンドの消費が予測されます。インドで生産されるウランは100万ポンドですから、インドはウラン輸入国になるわけです。」中国はオーストラリアからウランを輸入し、インドはロシアから輸入できるようだが、ロシアでの生産量が低下しているため、近い将来ロシアもウランを海外から輸入しなければならない日が来るようだ。ブロードリック氏の話に戻ろう。

「ロシア、中国、インドがウランの輸入国になるのですから、世界的なウラン不足時代がやって来るはずです。狙いはウラン鉱山関連株の、フロンティア・ディベロプメント・グループ(FRG)です。FRGの主な業務は、カナダ、トルコ、そしてメキシコでのウランと金の探鉱開発です。

最近超人気の金と銀ですが、フロンティア・ディベロプメント・グループはトルコに大きな金鉱と銀鉱を発見しました。推定される金は160万オンス、そして推定される銀は860万オンスです。さっそく金と銀のチャートを見てください。素晴らしい上げ方に驚かれることでしょう。フロンティア・ディベロプメント・グループの強みは、単にウランだけではなく需要度の高い金属にも手を伸ばしていますから、ビジネスに多様性があります。また先日の発表によると、フロンティアはユーコンにある銅、金、ウラン鉱を買収し、実際に調査が今年の夏から開始されます。」

ブロードリック氏は、こんなことも付け加えている。「たしかにフロンティアは毎年損失がありますが、重要なのはフロンティアには借金がありません。時価総額は2億1500万ドルの会社で、株価は5ドル20セントです。少なくとも倍になってもおかしくない株だと思います。」

柔軟性が求められる企業

社員の都合に合わせて、勤務時間を調整してくれる企業が増えている。子どもを幼稚園に迎えに行きたい。毎週火曜と木曜は大学に行きたい。そんな望みが、かなうようになったのだから、たしかに時代は変わった。しかし、ABCニュースによれば、一見思いやりのある企業の態度は親切心から出たものでは無いという。

社員のスケジュールを配慮した、柔軟性がある会社側の姿勢は企業イメージ改善に役立っている。これで優秀な人材が集めやすくなっただけでなく、優れた社員を他社に引き抜かれる可能性も減る。結果的に働きやすい職場になるのだから、生産性も向上するわけだ。

一口に勤務時間の調整といっても、やり方は一つだけではない。実際の例を見てみよう。

1、一週間40時間労働が一般的だが、ほとんどの場合、毎日8時間働いて週五日勤務することになる。義務付けられた40時間を4日間で消化するなら、毎日10時間働けばよいことになる。これで休みが一日増えるから、正に週休三日制だ。

2、在宅勤務(テレコミューティング)
職種によるが、毎日会社へ行かなくても仕事は自宅で出来る。コンピュータ、ビジネス専用電話、ハイスピードインターネットなど揃えば週二日は在宅勤務が可能だ。現に在宅勤務と通常勤務を組み合わせることで、仕事の能率が上がっている。それに通勤日数も減るから、ガソリンが節約できる。

3、休暇の数え方
普通なら有給休暇年10日、といった形で休暇の数え方は日数が基本だが、これを時間に変える企業が増えている。休暇の一日分は8時間に換算され、有給休暇年10日なら計80時間だ。何故これが社員に便利なのか?時間制が採用されることで、社員は4時間だけの休みが取れるから、休暇日数を無駄にすることがない。

4、既に連邦政府機関でも実施されているが、支障の無い範囲で、社員や職員が仕事の開始終了時間を決定できる。とにかく毎日8時間働けば良いのだから、それは9時から5時までに限らず、8時から4時、7時から3時など好きな時間帯を選べる。

5、単なる雑用なのだが、どうしても勤務時間中に会社から抜け出さなければならないことがある。例えば、車の修理だが、自分で行かなくても会社側がやってくれる。残業で遅くなる時は、会社が自宅へ家族のために夕食を届けてくれる。忙しくて床屋に行く暇が無ければ、会社が理容師をオフィスまで呼んでくれる。これなら、勤務時間の無駄使いを防げそうだ。

6、フルタイムからパートタイムに転向
給料が減ることになるが、子どもの面倒をみなければいけない人には良い方法だ。会社側にしても、新しい人を雇って一から仕事を教えるよりも、経験のある人をパートでおいておく方が効率的だ。

勤務時間を11時から7時に変更してほしい、週二日在宅勤務したい、などと頼んでも直ぐ会社側に受け入れられないかもしれない。昔ながらのやり方に慣れた上司なら、先ず首を縦に振ることはないだろう。しかし、社内で仲間を集めて、2週間だけ在宅勤務をテスト的にやることを上司に頼んでみるのも一つの手だ。

<< < 78  79  80  81  82  83  84  85 >>

本マガジンは客観的情報の提供を目的としており、投資等の勧誘または推奨を目的としたものではありません。各種情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いかねます。

発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット