アメリカ株に投資するなら、何月に買って何月に売るのが良いだろうか?こんな統計がある。トレーダーズ・アルマナックによれば、1950年から毎年11月1日にダウ指数を買って4月30日に売ると、年利で7.9%の利益が上がった。だから、1950年に1万ドル投資していれば、今日現在約50万ドルに膨れ上がっている。同様なやり方で、5月1日に買って10月30日に売ると、資金の1万ドルは今日9498ドルに減っている。
なるほど、それなら夏の相場は休もう、と結論したくなるが、本当にそうすることは正しいだろうか?「株式市場には一定のパターンが繰り返される、というカレンダーに基いた周期論がありますが、それは重要なことを無視しています」、と言うのはMSハウエルズのマイク・ハーレイ氏だ。「マーケットサイクルばかりに気を取られると、肝心な現在の市場分析を怠ってしまいます。」たしかに、現状を正しく把握することは大切だ。以前、アバロン・リサーチでアナリストを務めた、マーク・リクテンフェルド氏に現況を解説してもらおう。
「これも周期論で説明できることかどうかは分かりませんが、金利が上がり続けています。木曜、10年物国債の利回りが、2002年以来初めて5%を超えました。テクニカルアナリストのジョン・ローグ氏は、既に利回り6%を予想しています。金利に敏感な貴金属、電力、ガスなどの業種は注目です。
電力会社やガス会社などの公共株は、多額な変動利率の債務があります。金利が上昇すれば支払いも上がるわけですから、電力会社にとって金利上昇は悪材料です。積極的な投資家には、公共株の空売りを推奨します。公共株と言っても沢山ありますが、簡単な方法はユティリティーズ・スパイダー(XLU)を空売ることです。XLUは公共株に投資している上場投信ですから、これを空売るだけで十分な効果を得られます。
空売りはしたくない、そんな方々には二つのミューチュアルファンドがあります。ライデックス・ジュノ・インベスターは、国債の利回りが上がると、価格が上がる仕組みになっています。また、プロファンズ・ライジング・レイツ・オポチュニティも金利が上昇すると価格が上がるので、現在の経済環境に適したファンドです。
1970年以来、金利と同方向に金価格は推移しています。利益を上げることが投資の最大目的ですが、インフレ対策として、資金の一部を金投資にあてることをすすめます。金の現物を買っても悪くないですが、金価格に連動する、ストリート・トラックス・ゴールド・シェアズ(GLD)という便利な上場投信があります。株と同様に売買できますから、これが一番楽な金投資方法です。」
それ以外にリクテンフェルド氏は、株式市場が下がると上がるベア・プロファンドを推薦している。5月も近い。やはり持ち株を調整した方が良さそうだ。