US Market Recap

最高経営責任者に要求される最も大切な要素

業績が目覚しく伸びているなら、最高経営責任者の高額年俸やボーナスは納得できる。しかし、最近の傾向を見ると、経営者の手腕は年俸を決定する要素になっていない。こんな皮肉を言う人たちがいる。「高給を得るために、優れた業績を上げる必要はありません。最高経営者に求められているのは、鼓動する心臓を持っていることです。」

どの最高経営責任者が、並外れた正当評価額以上の年俸を手に入れているのだろうか?経済コラムニスト、マイケル・ブラッシュ氏はこう語っている。「毎日出社してくるだけで、多くの最高経営責任者は多額な収入を得ています。調査会社のポール・ホッジソン氏は、先日発表したレポートの中で、不法に高い年俸を受け取る、5人の最高経営責任者を暴いています。」

ホッジソン氏の言う「年俸」には、サラリー、ボーナス、ストックオプション、それに数々の特典(社有機、専用ドライバーなど)が含まれている。年俸の正当性を判断する手段として、ホッジソン氏は2001年から2005年までの株価成長を使っている。この期間、S&P500指数は+1%の低迷だったが、挙げられている5人の最高経営責任者の株は、同セクター企業の株と比較すると成績が一様に悪い。ブラッシュ氏の話に戻ろう。

「ファイザー社(製薬会社)の株価は、最高経営責任者、ヘンリー・マッキンネル氏の年俸とは正反対の動きです。この5年間で、株は35%の下落ですが、マッキンネル氏は7800万ドル(約89億円)の収入がありました。AFLーCIO(米労働総同盟産業別組合)のブランドン・リース氏は、株が下がっただけでなく、こんな馬鹿げた金額を最高経営責任者に払っているのだから、株主はハンマーで2度殴られたようなもの、と憤慨しています。」

株主からの非難に対して、ファイザー側はこう回答している。「製薬会社の業績を正確に評価するには、5年間という期間はあまりにも短すぎる。新薬品の開発、マーケティングにはかなりの時間を要するから、長期的な観点で会社成績を判断する必要がある。たしかに最近の株価は低迷しているが、1993年以来、ファイザー株は年間平均で13.3%の伸びがある。しかし同期間、S&P500指数は+10.6%だから、ファイザー株はマーケット以上の成績を上げている。」

残りの4人も記しておこう。メルク(製薬会社)のレイモンド・ギルマーチン氏(去年5月辞任)、AT&T(電話会社)のエドワード・ウィタカー氏、ベルサウス(電話会社)のF.デュアン・アッカーマン氏、そしてセイフウェイ(スーパーマーケット)のスティーブン・バード氏だ。

大した手腕の無い最高経営責任者に、なぜ高額な年俸を払い続けるのだろうか?ブラッシュ氏によれば、会社役員と最高経営責任者は、あまりにも親しい関係にありすぎることだ。役員は株主の利益を守らなければいけないのだが、現在役員の頭にあるのは、自分たちの利益を確保することのようだ。

ガソリン高、大統領はどう対処した?

ガソリンスタンドに行くのが嫌になる。先週だけで何と4.7%も跳ね上がり、1ガロンあたりのレギュラー・ガソリン価格は、全米平均で2ドル91セントになった。(1リットルあたり約90円)ロイターの報道によれば、これは史上4番目の高水準だ。

高いガソリンは政治家の直接責任ではないが、中間選挙を秋に控えて、共和党の議員は頭が痛い。そんな議員たちからの圧力に応えるように、ブッシュ大統領はオイル会社による、不当なガソリン価格操作がないかどうかを取り調べることを約束した。

PFCエネルギーのアナリスト、ジョージ・ベラネック氏はこう述べている。「政治的な対策が、実際にガソリンスタンドに反映されるには、かなりの時間がかかります。ですから、ワシントンの政治家たちは、現在のガソリン価格に何の影響も与えることはできないでしょう。」

ケイトー・インスチチュートのアラン・レイノルズ氏は、こんなことを言う。「ガソリンの値段が安定している時や、下がっている時には、誰も何も言いません。しかし、今日のように値段が上がり始めると、オイル会社が暴利をむさぼっている、と皆で非難の声を上げます。」

さて、4人の大統領は、どのように高いガソリン問題に対処しただろうか。さっそく見てみよう。

リチャード・ニクソン大統領(1969ー1974):1973年、アラブ原油禁輸措置で、ガソリン価格が40セント以下から1ドル以上に高騰した。大統領は、価格コントロール、ガソリン配給制度、そして高速道路の最高スピードを55マイル(88キロ)に引き下げた。そして、アラスカ・パイプライン建設を許可した。

ジェラルド・フォード大統領(1974ー1977):ニクソン政権時代の、アラブ原油禁輸措置問題を引き継いだ。基本的に、ニクソン大統領のやり方を継続したが、1975年、エネルギー・ポリシー法案を通過させ、新車の燃費が設定された。

ジミー・カーター大統領(1977ー1981):イスラム革命、イラン・イラク戦争で原油の生産が大幅に減り、オイル価格は1バレル34ドル、そしてガソリンは1ガロン1ドル50セントに急騰した。大統領は、オイル輸入量制限、エネルギー省の設置、そしてオイル会社に対して超過利潤税を課した。

ジョージ・ブッシュ大統領(2001ー現在):イラク、ナイジェリア、そしてメキシコ湾からのオイル生産量が、戦争、政治不安、そしてハリケーンで減産している。また、イランの原子力開発問題が、原油高騰につながっている。そこで大統領は、中東からのオイル輸入を2025年までに75%減らすことを提唱し、代替エネルギー開発として21億ドルの政府資金を割り当てた。

繰り返しになるが、11月には中間選挙がある。いったいガソリン高で、何人の共和党議員が落選するのだろう。どちらにしても、エネルギー銘柄は注目だ。

2006年冬、オンラインで海外株式市場へ直接アクセス時代が来る

グローバル化の時代、と言われるようになってから、もうかなりの年数が経つ。毎日、人、物、金、情報などが国境を越えて、急速に移動している。そんな時代なのに、米国投資家たちは、外国株をアップル・コンピュータのように簡単に買うことができない。もちろん、外国株専門のミューチュアルファンドに投資すれば良いことかもしれないが、外国の個別銘柄を売買するのは楽でない。

外国株の成績が素晴らしい。最近12カ月間の米国市場(S&P500指数)は+14%だが、こんな数字がある。
コロンビア+138%、ロシア+128%、アルゼンチン+138%、ブラジル+62%、インド+90%、トルコ+74%、韓国+51%、ノルウェー+58%、オーストリア+56%、フィンランド+54%、日本+59%、カナダ+33%。

こんな状態だから、アメリカ人の目は、どうしても海外に向いてしまう。今のところ、米国証券市場に上場されている、限られた数の外国株への投資、そして上記したように、外国株専門ミューチュアルファンドに頼る米国投資家だが、この状況が変わろうとしている。2006年の暮れまでに、Eトレードは外国証券市場に直結した、オンライン・トレードを計画している。まだ細かい内容は公表されていないが、これで個人投資家が直接外国市場へ参加できるわけだ。

多くの米国証券会社は、海外市場へのアクセスに関して、Eトレードのように積極的になれない。その最も大きな理由は外国為替だ。「アメリカの個人投資家たちは、ドルをベースにした投資が中心ですから、先ず外国為替に関する情報を十分に整える必要があります」、とEトレードのジャレット・リリエン氏(社長)は言う。

為替市場の動向は、外国株専門ミューチュアルファンドに大きな影響を与えるから、ファンドには為替のスペシャリストがいる。しかし、不慣れな個人投資家には、為替が難題になる可能性が高い。リリエン氏は、こう付け加える。「ヨーロッパのクリスマス休暇は長いですから、株式市場が休みの間に為替の影響で、株が下がっていなくても口座の価値が減るような事態も起きることでしょう。」

ただでさえ難しい株なのに、外国株投資には為替相場もからんでくる。そんな危険までおかして、オンラインで直接海外の証券取引所で、株を買う意味があるのだろうか?問題は為替だけでない。国々によって、独自の証券取引法があるから、トラブルが起きた時が面倒だ。

だが、米国個人投資家たちはこんなことを言う。「韓国のサムスンは、ロンドンに上場されていますが、アメリカには上場されていません。サムスンは、ここ一年間で60%も上げています。直接海外市場にアクセスできなければ、このような成長株を逃してしまいます。」

ビジネスマンが怖いのは妻

資産家が財産を失う大きな原因は何だろうか?株や先物市場の暴落だろうか?それとも失業や倒産だろうか?経済コラムニストのマシュー・リン氏によれば、正解は離婚だ。「イギリスでは、宝くじの賞金並みの金額が、離婚条件として法廷で言い渡されるケースが増えています。ですから離婚後は、単に快適な暮らしではなく、億万長者の生活ができるのです。」リン氏の話を続けよう。

「ニュー・スター・アセット・マネージメントで、ファンドマネージャーを務めるアラン・ミラー氏は、裁判所から離婚条件として、妻に500万ポンド(約10億円)を支払うことが命ぜられました。3年にも満たない結婚生活でしたが、これでミラー氏は、向こう20年間、毎年25万ポンドを払わなければいけないのです。

WPPグループの最高経営責任者、マーチン・ソーレル氏も、3000万ポンドという膨大な金額を払っています。裁判所は、どの程度の支払いを夫に命じるのでしょうか?ロンドンの離婚専門弁護士、バーバラ・シンプソン氏によると、夫は少なくとも50%の財産を失うことになるようです。」

険悪な仲になってしまった妻と夫だから、たとえ半分でも財産は手放したくない。そこで夫はどうするか?リン氏の話に戻ろう。「3000万ポンドの支払いを命ぜられたソーレル氏は、お金以外にも妻のために、高級百貨店ハロッズの地下駐車場を手配することも離婚条件に加えられています。とにかく離婚は高くつきますから、グラント・ソーントン社の調べによると、16%の夫は外国の銀口座を設けて、妻から財産を隠そうとしています。しかし、ほとんどの場合、妻は夫の外国銀行口座の存在に気がついています。

財産は公平に分けられなければいけません。離婚の結果、妻の生活水準が極端に下がるようなこともあってはいけません。特に子どもがいる家庭なら、離婚は慎重に進めるべきです。

それでは、ソーレル氏が妻に3000万ポンドも支払う理由は、本当にあるのでしょうか?たしかに、ロンドンは生活費がかかります。しかし、数百万ポンドあれば、妻は十分に暮らしていくことができます。資産家の夫に対する巨額な判決は、極めて懲罰的で、完全に夫が犯罪人扱いされているとしか言いようがありません。」

離婚専門弁護士の、シンプソン氏はこう付け加える。「昔なら、妻は夫との関係を修復することに努力しました。しかし、今日、資産家の夫を持つ妻たちは迷うことなく離婚を選びます。夫の財産が2000万ポンドなら、妻には1000万ポンドの金が手に入ります。これだけの金が銀行口座にあれば、独身女性として優雅がライフスタイルを楽しめます。」

金利引き上げ終了は良いニュース?

先週最も目立ったのは、火曜日に展開されたダウ指数195ポイントの上げだ。3月27、28日に開かれたFOMC(連邦公開市場委員会)の議事録が公表され、マーケット関係者は、金利引き上げ政策がほぼ終わりに近いことを確信した。

議事録によれば、労働賃金の上昇は穏やかであり、好況が続いていた住宅市場には減速の兆しが見える。エネルギー価格が高騰しているが、それは全体的な物価高に結びついていない。現時点において、たしかに米国経済には強い成長力があるが、これ以上の金利引き上げは経済に悪影響になる可能性がある。

連銀が、更なる金利引き上げを躊躇しているのだから、マーケットには買い手が殺到した。アナリストたちも、5月10日の連邦公開市場委員会が、最後の金利引き上げになるという見方に一致した。これで、今年の米国株式市場の上げは約束されたのだろうか?

「金利の上昇はこれからも続きます」、と言うのは経済コラムニストのジム・ジューバック氏だ。アナリストの見方は間違っているのだろうか?さっそく説明してもらおう。

「連銀がコントロールできる金利は短期金利だけです。長期金利をコントロールすることはできません。それでは、いったい誰が長期金利を決めるのでしょうか?正解は、米国債を大量に保有する日本、中国、それにサウジアラビアです。外国人の手によって、5年債、10年債の長期金利(利回り)が決定されるわけですが、現況を考慮すると、利回りは更に上昇するはずです。」

ジューバック氏は、国債利回りが上げ続ける理由を3つあげている。

1、2006年、米国経済の成長スピードは、外国の経済成長速度に劣ることが予想される。過去15年間、米国経済成長率は、常に日本を上回っていたが、今年は逆転することになりそうだ。バーンスタイン・リサーチによると、今年の米国経済は2.9%の伸び、そして外国経済は平均で3.4%の成長が予測されている。外国人投資家は、成長率が高い国へ資金を送るから、アメリカからは資金が流出しそうだ。

2、ヨーロッパ、日本での国債利回りが上昇し始めている。これは、米国債の利回りを押し上げる原因になる。4月18日、7年ぶりに日本の10年債は2%に復帰した。そして、欧州中央銀行は、6月に短期金利を現行の2.5%から2.75%に引き上げることになるだろう。

3、減速する米国経済はドル安に結びつく。ドルが下がると、ドルをベースにした投資リスクが高まるから、米国株や米国債が売られる結果になる。だから、海外からの資金を集めるには、どうしても高い利回りが必要だ。バーンスタイン・リサーチは、2006年、ドルは円とユーロに対して5%から7%の下落を予想している。

短期金利の引き上げは、来月で本当に終わるかもしれない。しかし、ジューバック氏が指摘する3点を考えると、火曜日の195ポイントラリーは行き過ぎだ。現に3月、日本は200億ドルに相当する米国債と株を売った、とジューバック氏は言う。単なる懸念だけでなく、外国人は米国から資金を移動させているようだ。

ファンドマネージャーの廃業は近い!?

コンピュータが、ファンドマネージャーを失業させる時代が来るだろうか?「多くのマーケット関係者は、株式投資で良い成果を出そうと努力していますが、ほとんどの場合、時間と資金を無駄にしているだけです。しかしコンピュータには、私たち人間の持つ弱みが無いだけでなく、人間が犯す間違いを利用することもできるのです」、とマネー誌のインタビューでジョージ・サウター氏(バンガード社、チーフ・インベストメント・オフィサー)は力説する。

マネー誌によれば、サウター氏の意見を支持する、ウォールストリート関係者が確実に増加している。現在チャールズ・シュワブ(大手総合オンライン証券会社)には、9種類のクアント・ファンドと呼ばれるミューチュアルファンドがある。このファンドと、従来のミューチュアルファンドの決定的な違いは、売買判断から実際の売買までが全てコンピュータが行うことだ。まだシュワブのクアントファンドの歴史は浅いが、9種類のうち5つが3年間の実績があり、そのうちの4つは上位25%に入る成績を上げている。

ストラテジック・エクイティ・ファンドは、バンガード社が運用するクアント・ファンドだ。過去3年間の実績を見てみると、年間平均で27%の利益を出している。中型株投資が中心になり、このカテゴリーではトップクラスの成績だ。先月バンガード社は、小型株専門のクアント・ファンドも開始した。こんな他社の成功に刺激され、ジャニス・キャピタル、それにアライアンス・バーンスタインもクアント・ファンド運用に乗り出した。

インターネット株が棒上げ状態だった90年代、投資家たちは利益の少ないミューチュアルファンドに不満の声を上げていた。しかし、そんな熱狂的なマーケットも過ぎ去り、地味なマーケットが展開される今日、クアント・ファンドは平均以上の利益を上げている。ファンド調査会社のリッパーによれば、過去5年間、従来のミューチュアルファンドは年間で平均+4.3%だが、クアント・ファンドは+6.1%だ。

最近5年間だけの記録で判断するのは早すぎるかもしれないが、サウター氏は、「コンピュータは、人間特有の危険を犯すことなく、コンスタントに利益を上げることができます」、と述べている。また、コラール・ゲーブル氏(投資アドバイザー)は、「クアント・ファンドは、機関投資家の間に急激に広まっていくことでしょう」、という見方をしている。

サウター氏の言う、「人間特有の危険」を説明しよう。一般のミューチュアルファンドは、マネーフロー、一株利益、売上などを徹底的に調べてから投資判断をするが、経営陣に直接会って話を聞くことも重要な調査のひとつだ。しかし、クアント・ファンドは経営陣に会うことは無い。必要なのは数字だけだから、ファンドマネージャーのように、経営陣の人柄を気にすることはありえない。

シカゴ大学教授、リチャード・テーラー氏はこんなことを言う。「コンピュータには、今日は行けそうだ、などといった偏見を持つことはありません。まったく感情はありませんから、ダメなものを即座に損切ることができます。」バンガードのサウター氏は、こう付け加えている。「コンピュータに、高いボーナスや年俸を払う必要はありません。クアント・ファンドが主流になれば、ファンド会社の人員は現在の三分の一程度に減ることでしょう。」

20世紀の遺物、Buy And Hold

「もうひとつ投資成績がパッとしない、といったメールが最近増えています」、とティム・ミドルトン氏は言う。経済コラム、そしてラジオで活躍する氏には、多くの相談や悩みが持ち込まれる。「驚くことですが、いまだにBuy And Holdの、長期投資が正しいと信じている投資者が大勢います。このやり方は、90年代の強烈なブルマーケットで通用した方法です。」

たしかに、株式投資というと長期投資が強調される傾向がある。しかし、ミドルトン氏は投資で成功したいなら、Buy And Holdを、完全にやめるべきだと言う。もっと説明してもらおう。

「買った株を長く持ち続ける、それは20世紀の話です。もし、2000年から去年の終わりまで株を持っていたとすると、年間での利益は4%にも満たない結果です。これでは、満足できるはずがありません。マイケル・キットセス氏(ピナクル・アドバイザリー・グループ)は、投資で好結果をあげる4条件を、ジャーナル・オブ・ファイナンシャル・プランニング誌で発表しています。

1、多くの銘柄に投資するのではなく、銘柄を厳選すること。
2、弱いセクターを避けること。
3、株だけに固執せず、商品市場も選択肢に含めること。
4、売買タイミングを習得すること。

なぜこれら4項目が重要なのでしょうか?1990年代終盤が好例ですが、株式市場に贅肉が付き過ぎると、マーケットは単に平均値へ戻るのではなく、以前の安値をテストする傾向があります。このテストによって起きる下げ相場が、一般に言われるベアマーケットです。ここ三年間、マーケットは上げが続いています。ですから、ここから更なる上昇を期待するのではなく、下げ方向に備えることが重要です。」

ミドルトン氏は、多くの銘柄に投資することを、巨大なミューチュアルファンドにたとえている。あれもこれも、と様々な株を買うのは、正にミューチュアルファンドがしていることだ。一見バランスがとれているように見えるが、マーケットが下げ始めると、つられたように下落してしまう。だから、銘柄を少数にしぼる必要があるわけだ。ミドルトン氏の話に戻ろう。

「悪いマーケット環境だからといって、全てのセクターがダメになることはありません。優れたセクター選びで有名な、ジャック・バワーズ氏は、先日次のような投資内容を発表しました。(注:これはフィデリティのセクターファンドの組み合わせ)

1、Fidelity Select Brokerage & Investment (FSLBX 証券会社を中心に投資) 20%
2、Fidelity Select Energy (FSENX エネルギー関連)17%
3、Fidelity Select Telecommunications (FSTCX テレコミュニケーション、通信関連) 17%
4、Fidelity Select Wireless (FWRLX ワイヤレス関連) 14%
5、Fidelity Select Technology (FSPTX テクノロジー関連) 14%
6、Fidelity Select Biotechnology (FBIOX バイオテクノロジー関連) 13%

インフレ対策も必要です。株だけに固執しないで、資金の一部を金に回すことも考えてください。」

4番目の売買タイミングの習得だが、これに欠かせないのがローソクチャートだ。日足と週足を中心にして、定期的に持ち株の、トレンドチェックを忘れないようにしよう。

高い育児費、求められる企業側の協力

「こんなに育児費が高いとは思ってもみませんでした」、とUSAトゥデイのインタビューに答えるのは、マーガレット・シュウォーツさんだ。できれば、週に2、3回、自宅で息子たちの面倒をみたいのだが、現実がそれを許さない。そろそろ4才になる二人の子どもには、保育所も含めて、毎月少なくとも1330ドル(15万6940円)の育児費が要る。

現在アメリカには、1200万人に及ぶ5才以下の子どもたちが、保育園や幼稚園に通っている。ナショナル・アソシエーション・オブ・チャイルドケア・リソースによると、子どもを一人育てるには、年間で3803ドルから13480ドル(44万8754円ー159万640円)の育児費が必要だ。

両親が揃っている家庭なら、育児費が収入を占める割合は、平均で10.6%ほどになり、母子家庭や父子家庭の場合なら、その割合は約30%に跳ね上がる。もちろん、住んでいる場所によって育児費には大きな差がある。例えばニューヨーク州を見てみよう。両親がいる家庭は、収入の11.5%が育児費にあてられ、母子家庭や父子家庭なら、収入のほぼ半分の40.4%だ。

ジョージア州は、比較的育児費が低い。両親の揃った家庭における、育児費が収入を占める比率は6.2%になり、父子家庭や母子家庭の比率は20.3%だ。

カリフォルニア州の幼稚園は異常に高い。ファイト・クライムは、こんな報道をしている。「毎日ではなく、パートタイムで子どもを幼稚園に通わせると、年間平均で4022ドルから5000ドル(47万4596円ー59万円)の費用がかかる。しかし、フルタイムでカリフォルニア州立大学に行くと、年間に必要な授業料は3164ドル(37万3352円)だ。(注:カリフォルニアには二つの州立大学システムがあり、3164ドルは安い方の授業料。)」

高騰する育児費は、中間所得階級にとって頭痛の種だ。マサチューセッツ州に住む、リサ・リベロさん(31才)には、今年1才のサムエル君がいる。マサチューセッツは、ニューヨークと同様に育児費が高いのだが、リベロさんは毎月デイケア・センター(育児所)に2000ドル(23万6000円)を払っている。全く不動産ローンのような金額だから、たとえ夫婦共稼ぎでも経済的な負担が大きい。そんなわけで、リベロさんは夫と相談して、安いデイケアセンターのある地域に引っ越すことにした。

小さな子どもを持つ親にとって、会社側からの協力は嬉しい。例えばサン・マイクロシステムズ社は、積極的に在宅勤務を取り入れている。現に、サンで働くメリー・スマガラディスさんは、こう語っている。「育児所は超過時間に対して、1.5倍の料金を請求してきますから、在宅勤務は本当に助かります。」

携帯電話、コンピュータ、それに高速インターネット、これだけあるのだから、もっと在宅勤務者の数が増えることだろう。

消費者物価指数はウソ!?

アメリカ政府は、インフレに関する情報を正確に公表しているだろうか?そんな質問をするのは、「ザ・キッチンテーブル・インベスター」の著者、ジョン・ワシック氏だ。最近激しく推移する金と国債市場を見ていると、政府は何か重要なことを隠しているのではないだろうか?それがワシック氏の疑問だ。

インフレを測る物差として一般的なのが消費者物価指数(CPI)だが、先ずこの指数をよく理解する必要がある。ワシック氏に説明してもらおう。「消費者物価指数の23%は、住宅価格で占められています。労働省によって住宅の値段が推定されますが、税金、住宅ローンの金利、それに実際に買った時点での価格などは無視され、推定価格はかなり低めに割り出されています。屋根を新しくしたり、増築などすれば住宅価格は上昇するのが普通ですが、労働省は一切そのようなことを考慮していません。

アナリストのジム・フロイト氏によれば、もし政府が正確に住宅価格を反映させると、消費者物価指数は現在の数値より1.5ポイント高くなるそうです。

住宅価格と同様に、医療費と大学教育費が、正しく物価指数に表れていません。カリフォルニア州メンローパーク市にある、カイザー・ファミリー・ファウンデーションの調べによると、2005年度、医療保険代は9%上昇しています。この上昇率は、個人所得上昇率の3倍以上にあたり、インフレ率を2.5倍も上回っています。

大学の授業料も大きく上がっています。2005ー2006学年度を見ると、私立大学は6%、そして州立大学の授業料は7%の上昇です。

エネルギー価格も忘れてはいけません。クルードオイルは、今年既に12%の上昇です。アメリカがイランを攻撃する可能性が報道され、オイル価格はとうとう70ドルを突破してしまいました。ただでさえ供給量が足りないのですから、まったく悪いタイミングでニュースが出たものです。

いったいどこに政府が発表したインフレ率3.6%を見ることができるのでしょう?もし、あなたが手術を受け、大学の授業料を払わなければならないなら、インフレ率が3.6%でおさまるはずがありません。

適切な対策がなければ、インフレによって、あなたの投資は確実に目減りします。一般的には、金鉱株、金貨、それに金塊がインフレ対策に利用されますが、ほとんどの場合、投資者たちは極めて悪いタイミングで買ってしまいます。たしかに、金は1オンス600ドルを記録しました。しかし、20年前、金は800ドルを超えていたのです。ですから、熱狂的なブームに乗って20年前に金を買った人たちは、いまだに損をしているのです。感情的になってはいけません。今日の金ブームにも注意が必要です。」

なぜ米国政府は、実際より低い消費者物価指数を発表するのだろうか?理由の一つは、引退者に支払われる社会保障給付金だ。この金額は消費者物価指数を基準に決めるから、インフレ率は低い方が政府にとって都合が良い。特に高齢化が進み、引退者の数は増える一方だから、ますます低い物価指数が要求されるわけだ。

米国職業トップ10

将来性、収入、職場の環境などを考慮して、マネー誌とサラリー・ドット・コムが米国の職業トップ10を選び出した。さっそく見てみよう。

第1位:ソフトウェア・エンジニア
ほぼ全ての業種が、ソフトウェア・エンジニアを必要としている。コンピュータプログラムのデザイン、開発には高度な知識と、クリエイティブな頭脳が要求される。若い世代が圧倒的に多い職業だが、経験さえあれば年齢は関係ない。昇給や昇進を早めるためには、大学院レベルの教育が要る。平均年間収入は8万500ドル(949万9000円)、そして向こう10年間で、この業種は46%の伸びが予測される。

第2位:大学教授、助教授、講師
短大や市立大学が積極的に教授の採用を始めた。有名私立や州立大学には空きが少ないが、短大や市立なら、博士号が無くても職が得られる。フルタイムでなくとも、夜間大学での教職もあるから、パートタイムを考えている人には最適だ。教授の年間平均収入は、8万1500ドル(961万7000円)。この職種は、向こう10年間で31%の成長が見込まれる。

第3位:ファイナンシャル・アドバイザー
現在300の大学で、ファイナンシャル・プランニングが教えられている。弁護士や、既にMBAを取得した人たちが、ファイナンシャル・アドバイザーに転身する動きが目立つ今日この頃だ。平均年収は12万2500ドル(1445万5000円)だが、20万ドルを超える人たちも多い。向こう10年間で、この職種は26%増が予測されている。

第4位:人事アドバイザー
人事?と不思議に思われるかもしれないが、今日の人事課は、企業の利益に直接結びつく、重要な役割を果たしている。アウトソーシングや、優秀な人材のリクルートは人事アドバイザーの仕事だから、企業は常に積極的な人事アドバイザーを求めている。平均年収は73500ドル(867万3000円)。向こう10年間で、この職種は23%の成長が予想される。

第5位:フィジシャン・アシスタント(医師の助手)
医師の指示に従って、患者の治療にあたるのがフィジシャン・アシスタントだ。医療費の増大に伴い、コスト削減の一環として、フィジシャン・アシスタントの需要が増えている。平均年収は7万5000ドル(885万円)。向こう10年間で、この職種は50%の伸びが見込まれている。

第6位:マーケット・リサーチ・アナリスト
新製品は本当に売れるだろうか?こんな質問に答えるのが、マーケット・リサーチ・アナリストの仕事だ。統計学に通じていることは必須だが、学歴も大学院卒業が好ましい。平均年間収入は82500ドル(973万5000円)。向こう10年間で、この職種は20%増が予想される。

第7位:コンピュータITアナリスト
全世界がITアナリストを必要としている。平均年間収入は83500ドル(985万3000円)だが、シニア・データ・スペシャリストの年俸は10万ドル以上だ。

残りの3つは、8位が不動産鑑定士、9位が薬剤師、そして10位の心理学者へと続いている。

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