US Market Recap

不安定な世の中を好む金

金の1オンスあたりの価格が700ドルを突破した。こんな高レベルに達するのは、1980年10月以来初めてだ。「世の中が不安定になるほど、金は値上がりします」、と金ディーラーのジョン・ナドラー氏は言う。5月だけでも、金は既に29ドルも上昇している。インフレ懸念、イランの原子力プロジェクト、下降が止まらないドル、それにミューチュアルファンドによる買いが主な金急騰の原因だ。

シティグループの調べによると、4月末における商品市場の総ロングポジションは、オイルが300億ドル、ガソリンも300億ドル、そして金が第3位の130億ドルだ。「多数の人たちが、ドルベースの口座を保有していますから、とにかく口座を守ることが最優先されています。ですから投資者は、上昇する金を追いかけることを、全く気にしていません」、とナドラー氏は述べている。

上記した、イランの原子力問題も、なかなか思ったような解決方向へ進んでいない。AP通信によれば、マフムード・アフマディネジャード(イラン大統領)が米国政府に送った書簡には、何ら新しい事項が見つからなかったという。書簡は公表されていないが、ブッシュ大統領のイラク攻撃を非難する、いつもと変わらない陳腐な内容だったようだ。また、国連もイラン問題に対して大きな助けにならない。イギリス、フランス、それにアメリカは対イラン貿易制裁に賛成だが、中国とロシアの同意が得られない。

マシュー・パリー氏(エコノミー・ドット・コム)も、最近の派手な金の値動きに驚く一人だが、こんなことを言う。「700ドルを突破ですから、ここから更なる大きな上昇は見込めないと思います。もしイラン情勢が好転し、インフレの抑制にもめどがつけば、金は600ドル以下に落ちることでしょう。既にかなりの高レベルに達している金ですが、更に上昇するためには、こんなシナリオが考えられます。もしアメリカがイランに対して軍事力を行使するなら、金は爆発的な上げを記録することでしょう。こんなシナリオが現実化すれば、金は1000ドルを突破するはずです。」

金属市場で買われているのは金だけではない。銀7月限は+4.3%、銅7月限は+2%、そしてめざましいのが、1オンスあたり1239ドル50セントの新高値をつけたプラチナだ。

月曜に発表された供給量を見てみると、金は2万3484オンス減って763万オンス、銀は59万2836オンス増えて総供給量は1億2400万オンス、銅は326トン減少して1万4876トンだ。

起業家のための5項目

起業家を夢見るサラリーマンが多い。スモール・ビジネス・アドミニストレーションの統計によれば、三分の一のビジネスは2年以内、そして半分以上が5年以内に倒産するという。まことに厳しい現状だが、だからといって夢を捨てる必要は無い。何故、そんなに高いパーセンテージの失敗率なのだろうか?CNNニュースは、ビジネスオーナーが犯す、5つの大きな間違いを挙げている。

1、不十分な資金
ビジネスが破綻する最大の原因は、十分な資金を持って起業しなかったためだ。経営コンサルタントの、ダグラス・ロング氏はこんなことを言う。「ビジネスを始めるほとんどの人たちは、あまりにも経費を少なく見積もっています。もし少なくとも10万ドル必要と思うのであれば、その3倍の金額を用意することをすすめます。特に、予期していなかった事態が発生した場合、余剰資金の有る無しでは致命的な違いが出てきます。」

2、会社のサイズを気にしすぎる
顧客を得るために、大手企業に売り込みをしなければいけない時がある。ハーピット・シング氏がコミュニケーション会社を始めたのは、氏がまだビジネス・スクールに通っていた頃だ。「ある日のことですが、パートナーと私は何百キロも運転して、大手保険会社に製品とサービスの売り込みに行きました。社長をはじめ皆ひじょうに乗り気になったのですが、私の会社のサイズを説明したら、皆とつぜん豹変したように冷たい態度になってしまいました。これは良い勉強になりました。自分の会社が小さいこと、資金が乏しいことを説明した私が完全に間違っていました。」

3、設備投資にケチケチしすぎる
経費を低く抑えるのは大切だが、適切なラップトップ、ブラックベリー、それにワイヤレス機器抜きでビジネス成功はありえない。最新のテクノロジーは顧客とのコミュニケーションに必須なだけでなく、セールスマンにも大きな助けになる。小さな企業が大手に勝つためには、設備投資を惜しんでいてはいけない。

4、セールスの重要性が理解できていない
新ビジネスが伸びるために最も大切なのがセールスだ。売上が上がれば、月々の出費を簡単にカバーすることができる。どんなに小さなサイズのビジネスでも、プロのセールスマンを雇うことが必要だ。もちろんセールスマンを雇うだけの余裕が無く、オーナー自らセールスをしねければならない場合もある。しかし、どんなにアイディアが画期的なものでも、オーナーに売り込み能力が欠けていたのでは話にならない。繰り返すが、新ビジネスで最も重要なのはセールスだ。有る程度むりしても、プロ・セールスマンの採用をすすめたい。

5、明確なゴールが無い
単に儲けたいだけでは目標にならない。今日の売上目標、今週の売上目標、そして今月の売上目標などを設定して、常に具体的なゴールに向かって走ることが肝心だ。

凍りついた南フロリダ住宅市場

注目される水曜のFOMC(連邦公開市場委員会)だが、金利は0.25ポイント引き上げれて5%ちょうどになる、というのが大方の意見だ。米国大和証券のエコノミスト、マイケル・モラン氏は、「米国経済は堅調なペースで伸びていますから、インフレが悪化する恐れが十分にあります。ですから、水曜の会議で金利引き上げがあったとしても、全く不思議ではありません」、と述べている。

今月の金利引き上げがほぼ確実なら、6月はどうだろうか?17回連続の引き上げの可能性は、どの程度あるのだろうか?アクション・エコノミクスのマイケル・エングランド氏は半々だと言う。「たぶん、バーナンキ議長は、5%で一旦金利引き上げ政策をストップすると思います。しかし、それを既成事実として完全に受け入れ要るのは危険です。」

執拗な利上げのおかげで、不動産ローンの金利も上がっている。週末の会議で、大投資家ウォーレン・バフェット氏はこんなことを述べている。「住宅市場の冷えこみは一部的な現象ではなく、アメリカ全体に広がっている。特にフロリダ州のような、値上がりの激しかった地域での冷えこみが顕著だ。一時は、マンションがデイトレードされるほど投機熱が上がっていたが、住宅価格は大幅に下げることになりそうだ。」

バフェット氏が指摘するフロリダの住宅市場は、去年の冬頃から状況が大きく変わっている。「まるで凍ってしまったようです。物件を売るのが、非常に難しくなっています」、と不動産業者のピーター・セルニッカー氏は言う。好調な住宅市場に目をつけて、セルニッカー氏がフロリダにやって来たのは5年前だ。順調に住宅売買を繰り返して、去年の夏、氏はミリオネアのステータスを達成した。

「しかし、フロリダの住宅市場は一夜のうちに変わってしまいました」、とセルニッカー氏は続ける。「本当にあっと言う間の出来事です。以前なら、物件は24時間以内に売れてしまいましたが、今日は少なくとも3カ月から4カ月の時間がかかります。こんなに冷え込んでしまったのは、上昇が続く不動産ローンの金利が原因です。とにかく買い手がいません。私も物件を売るのを諦めて、全て貸すことで現状を切り抜けています。」

冷え込むフロリダ住宅市場について、セルニッカー氏と同業の、マーク・ジルバート氏はこう語っている。「新しいマンションが出来上がったので、さっそく不動産投資家たちに案内書を送りました。しかし、誰からも返答が無いのです。本当に突然のことでした。仕方がないので、直接何人かの投資家に電話をしました。返事は皆同様でした。フロリダの不動産は行き過ぎだ、と言うのです。」

去年完成したデルレイ・ビーチのマンションは、まだ40%以上が売れ残っている。素早い利益を予想した投資家も、物件が売れなくてイライラしている。物件の投げ売りが始まるのだろうか?

金こそ本物の通貨!?

「米ドルが死んだことを知らないのは、米ドルだけだ」、と言うのはグランディック・レターでエディターを務める、ピーター・グランディック氏だ。ウィズダム・ファイナンシャルの、エマニュエル・バラリー氏(マーケット・ストラテジスト)はこう付け加える。「最近のドル下落で、通貨の代用となる金は、いっそう投資者たちに注目されることになるでしょう。」

金はバラリー氏が指摘するように、代替通貨して昔から利用されてきただけでなく、インフレ対策投資として人気がある。4月半ばからドルの下げ足が速まり、ユーロに対しては1年ぶり、そして円に対しては7カ月ぶりの安値を記録した。こんな不安定なドルを背景に、金は今年に入ってから、既に1オンスあたり150ドルを超える上昇だ。

先日、連銀のバーナンキ議長は金利引き上げ政策を一時停止する考えがあることを述べ、この発言もドル売りを呼ぶ原因となった。中東には、イランの原子力プロジェクト問題もあるから、万が一に備えての投資として、金人気がさらに上がっている。「世界中にドルが溢れています。人々は紙幣を捨てて、金と銀に交換しています。ドルはもはや信頼できる通貨ではありません。金こそが本物の通貨です」、と投資戦略家のピーター・スピナ氏は言う。

直接、金貨や金地金を買う他に、金の先物、金鉱株、金専門ミューチュアルファンド、そして金専門の上場投信を通して金投資をするのが一般的だ。

25年ぶりの高値を記録している金だが、いったいいくらで2006年を終了するだろうか。1月、金は519ドルで取引が始まり、現在約680ドルの値段が付いている。いくらなんでも行き過ぎの声もあるが、アナリスト達の予想は1000ドルだ。「資金の一部を、金に回す投資家が増え続ける一方ですから、800ドル台が達成されると思います。しかし、こんな状況ですから1000ドルを突破してもおかしくありません」、とジョン・パーソン氏(ナショナル・フューチャーズ)は語る。

893ドルが金の記録した史上最高価格だが、この数値を鵜呑みにするのは間違いだ、とバラリー氏(ウィズダム・ファイナンシャル)は言う。「今日の金価格と、25年前の最高価格を、ただ比較するだけではダメです。正確に比べるためには、インフレ率を考慮しなくてはいけません。ですから893ドルは単に893ドルではなく、実際には2195ドルに相当します。」

強気なアナリストが多いが、スティーブ・カプラン氏(トゥルー・コントラリアン・ドット・コム)の反対意見も記しておこう。「金が現在のレベルから100ドル下方修正する、と言うアナリストはほとんどいません。まるで争うように、アナリストは金価格を上方修正しています。こんな時ほど天井が形成されているものです。」

アメリカ版、近代ジプシー生活

「家出のすすめ」、という本があったと思う。読んだような気がするが、どんな内容であったかは忘れてしまった。毎日同じことを繰り返し、マンネリ化した生活が嫌になることがあるが、たまたまこんなコラムをバンクレート・ドット・コム(金融サイト)で見つけた。タイトルは「単調な生活に終止符、さあ出かけよう」だ。さっそく概要を紹介しよう。

「仕事がつまらないですか?毎日の通勤に疲れていますか?もっと刺激が欲しいですか?そうなら、そんな生活を止めるべきです。インターネット、携帯電話が発達し、在宅勤務が広く受け入れられている今日、両親と同様なライフスタイルを繰り返す必要はありません。

思い切ってジプシーになってみるのはどうでしょうか?魅力的なアイディアだが、現実的でないと思いますか?コリーン・シコラスさんと夫のボブさんは、現在ジプシー生活を送っています。ジプシーといっても、ホームレスになったわけではありません。お二人が住んでいるのはRV車(レクリエーショナル・ビークル)です。

「こんな放浪生活をするようになってから、もう10年以上の年月が経ちました」、とコリーンさんは言います。一体どうやって収入を得ているのでしょうか?それとも、十分なお金が銀行にあるのでしょうか?シコラスご夫妻は、「ハウ・ツー・RV」という旅行本の出版、そして「在RV車勤務」というニュースレターの発行で収入を得ています。」

シコラスさんが、実際にRV生活を開始したのは1992年だ。仕事を辞め、家を売り大きなRV車を購入した。多くの人たちから反対されたようだが、少数の人たちは、シコラスさん夫婦を羨んだという。現在、二人の暮らしは決して贅沢なものでない。夫のボブさんは水道局勤務、そしてコリーンさんはソーシャルワーカーだったから、膨大な貯金なども無い。ニュースレター収入も安定していないようだから、RV車で行く先々でパートタイムの職を探すこともある。

それでは、放浪の旅に出るにはいくらかかるのだろうか?先ず住居になるRV車の値段は、4000ドルから7万4000ドルだ。シコラスさんの話によれば、1万2000ドル程度のもので十分な暮らしができる。毎晩RV専用の施設を利用するが、一晩7ドルが平均的な値段だ。RV車はガソリンで走るから、だいたい1000キロで300ドルほどのガソリン代が要る。あとはRV車の保険代、携帯電話料金、医療保険代、そして食費などがある。

現代人は、今日のライフスタイルの奴隷になってしまった、という言葉をよく聞く。現状の暮らしに満足なら別だが、思い切って放浪生活を始めるのも面白いかもしれない。ヘッセの小説に「クヌルプ」というのがあるが、ひょっとしたらシコラスさんは、クヌルプになりたかったのだろうか?

ドル安は止まらない

「夏休みはヨーロッパ旅行ですか?それなら、いまのうちにドルをユーロに替えた方がいいですね」、というのはファイナンシャル・コラムニストのマイケル・ブラッシュ氏だ。ユーロだけに限らず、円に対してもドルは下げている。4月14日、118.72円で取引されていたドルだが、5月1日、112.32円が記録され円高が顕著になった。

膨大な貿易赤字で分かるように、アメリカは、おびただしい量の品物を海外から輸入している。性能の良い日本車、安い中国製品、そして中東からのオイル、とにかく外国製品の需要は増えるいっぽうだから、世界の国々にドルが溢れてしまった。その他にもドル安になる原因はあるのだが、ブラッシュ氏の話を聞いてみよう。

「特に日本が好例ですが、外国の経済成長が目立つようになりました。ですから、アメリカよりも海外株式市場の方が魅力的です。また、連邦準備理事会は一時的に金利引き上げを止める可能性があるようですから、これもドル安に結びつきます。更に、米国政府はアンバランスな貿易状況を改善するために、中国政府に対して人民元を適切なレベルに調整することを要求し続けることでしょう。」

エコノミストのジム・ポールソン氏によれば、向こう5年間で、ドルは20%近い下げがあってもおかしくないと言う。マーク・ハード・カレンシー・ファンドのアクセル・メルク氏は、「毎年5%から10%の下げを予想しています」、と悲観的な見方だ。ブラッシュ氏の話に戻ろう。

「既に述べたように、アメリカは海外から物を買い過ぎです。去年末での貿易赤字額は8000億ドルですが、他の国々が毎日米国製品を22億ドル相当買わないと、ドル安を防ぐことができません。問題は中国です。人工的に人民元を低く抑えて、安い品物をアメリカに輸出し続けています。米国政府もこんな中国の態度にウンザリですから、中国政府に更なる圧力をかけることでしょう。

投資家は、成長が最も望める国に資金を移すものです。ここから数年間、外国の経済成長率がアメリカを上回ることでしょう。今年、新興経済国の平均成長率は7%、そしてアメリカは5%が予想されています。アメリカ経済には疲れが見えますが、日本の成長はまだ始まったばかりです。」

もう一つ、ブラッシュ氏はアメリカが外国ビジネスに対して、非友好的になっていることを指摘している。「去年ですが、アメリカは中国国営オイル会社による、Unocal買収を認めませんでした。そして、議会や国民は米国港湾をドバイに本拠地を持つ会社に管理させることに、大きな非難の声を上げています。」自由なビジネスを提唱するアメリカだが、どうやら閉鎖的な国になり始めたようだ。

新しいエピソードを書くのは投資者

「猿の惑星」に今日の株式市場を例えることができる、とポール・ファーレル氏(経済コラムニスト)は言う。9500万のナイーブな投資者が人間、そしてウォールストリートの支配者たちが猿だ。猿たちは、「ハリケーンは経済活動を刺激する」、「貿易赤字は悪材料にならない」などと発言し、投資者はいつも支配者たちの意見に左右されてしまう。氏の話を続けよう。

「猿たちは、人間が株式市場で大きな財産を築くことができるように、適切な情報を絶えず提供している、と言います。しかし、相変わらずアメリカ人の貯蓄率はゼロに近い状態です。政府も、投資者たちに無知のままでいてほしいようです。2004年、議会はミューチュアルファンドの改革法案を検討していましたが、けっきょくこの法案は成立しませんでした。法案には投資教育も含まれていましたが、議会はその必要性を認めなかったわけです。

投資者の無知ぶりが、最も顕著だったのが90年代のブルマーケットです。猿たちは、まるで羊飼いのように、いとも簡単に投資者たちを荒れ狂うインターネット銘柄に導きました。そして、バブルが弾けるのですが、人間は猿たちのように進化していませんから、ベアマーケットに対する準備などあるはずがありません。多くの投資者は50%を超える損を出しましたが、ウォールストリートの支配者たちは、平均サラリー50万ドル(5700万円)の高給を得ていたのです。」

ウォールストリートは、投資者たちを食い物にしている、といった観があるが、猿の餌食にならないようにするためにはどうしたら良いだろうか?ファーレル氏の話に戻ろう。

「正しい知識や情報が無いことを問題にする前に、私たち投資者が、自ら進んで無知な投資者のままでいることを選んだ事実に先ず目を向けてください。私たちには仕事があります。子どもや、両親の面倒を見なければいけない人たちもいることでしょう。人それぞれ違った境遇ですが、誰もがリッチな老後生活を望んでいます。そのためには、投資知識を身につけなければいけないのですが、私たちは投資の勉強をしようともしません。こんな怠け者の私たちですから、猿たちが私たちをコントロールすることなど簡単です。

猿たちは、投資者が無知であり続けることを好みます。正しい投資知識で武装などされたら、ウォールストリートに反乱が起き、猿による支配体制が崩れてしまいます。ウォールストリートの支配者たちは、自分たちの富を増やすことだけで頭がいっぱいです。私たちは、いつまでも無知のままではいけません。私たちの手で、新しい「猿の惑星」エピソードを書きたいものです。」

ガソリン高はアメリカ人に好影響?

経営コンサルタントのスティーブ・シュトラウス氏には、最近こんな相談が増えている。「助けてください!ガソリンが急ピッチで上がっていますが、車を頻繁に使うセールスマンに、ガソリン代が大きな負担になってきました。ガソリンは自己負担という条件で雇ったのですが、先日、経営者の私にガソリン代を払ってほしいとセールスマンから強い要求がありました。小さな会社ですから、私にはガソリン代を払う余裕はありません。しかし、要求を呑まないと辞めてしまうかもしれません。何か良いアイディアをください。」

去年の同時期と比較すると、ガソリンは20%も上昇している。とうとう1ガロンあたりの値段は3ドル(1リットルあたり91円)を突破して、消費者の不満の声がいっそう大きくなった。一時的なガソリン高に終わってほしいところだが、サム・ボッドマン氏(エネルギー省長官)は、日曜日に放映された番組の中で、ガソリン高は向こう2ー3年間続くだろう、という見方を発表している。

さて、上記の悩む経営者に、シュトラウス氏はどんな回答をしたのだろうか?さっそく見てみよう。

燃費の良い車に買い換える:ガソリン高が定着しつつある現状だから、ハイブリッドカーのような省エネ車を考慮する時期かもしれない。

オートバイ、またはモペット(自転車バイク)の利用:セールスマンの業種によって無理かもしれないが、オートバイは1ガロン(3.785リットル)のガソリンで60マイル(108キロ)は走ることができる。モペットなら160キロまではいけるはずだから、間違いなくガソリン代を節約できる。

ガソリンの代わりにエタノールを使う:ニッサン・タイタン、それにフォード・エクスプローラーは、ガソリンより安いエタノールを燃料として使うことができる。

車の共有:セールスマン同士で調整するのが難しいかもしれないが、ガソリン代を倹約するために1台の車を複数のセールスマンで共有、または相乗り方式を取り入れることが考えられる。

在宅勤務の導入:セールスマンだけに限らず、在宅勤務は燃料費削減に役立つ。

インターネットの利用:オンライン会議を実施することで、運転量を減らすことができる。

値上げ:燃料費をカバーするために、取り扱い商品の値段を上げる。

ガソリン高で頭の痛い中小企業の経営者だが、場所が変わると見方もガラッと違ってくる。「ガソリンが1ガロンあたり3ドル突破?それはお気の毒ですね。でも、イギリスでは7ドルですよ」、と言うのはロンドン近郊に住むキャロライン・グレッグソンさんだ。

イギリス人だけでなく、ヨーロッパの人たちはアメリカのガソリン高に同情することはない。もう10年以上も前から3ドルを超えるガソリン代を払っているヨーロッパ人にとって、現在のアメリカのガソリンは破格に安い。他の言い方をすれば、いままでアメリカ人には省エネ意識が全くなかったわけだ。たしかに海外から見れば、まだアメリカのガソリンは安い。しかし3ドル突破のおかげで、ようやくアメリカ人に代替エネルギーの必要性が分かり始めてきた。

重要な収益の質

成長株を見つける方法の一つとして、ウィリアム・オニール氏は、収益が少なくとも毎年15%から50%の伸びがある企業を選ぶことを薦めている。しかし、INGインベストメント・マネージメントの、フェルナンド・ガーザ氏はこんなことを言う。「2003年からの動きを見ると、収益内容の悪い株が大きく上げています。第1四半期だけでも、収益内容が悪い企業の株は、内容の良い企業の株より17%以上も伸びています。」

もはや株式投資に、収益や一株利益を考慮する必要は無いのだろうか?「収益内容の悪い会社を、怪しげな企業と呼ぶことにしましょう。もちろん、怪しげな銘柄の上昇が、いつまで続くかは誰にも分かりません。しかし、長期的な投資には、収益の質を無視することはできません」、と語るのはジョン・ワゴナー氏(経済コラムニスト)だ。

「収益の質」、「収益内容が良い」とはどういう意味だろうか。ワゴナー氏の話を続けよう。「1993年にさかのぼりますが、ボストン・チキンという株が新規公開されました。覚えている方もいるかもしれませんが、取引が開始された初日、株価は倍になってしまったのです。その後ボストン・チキンはどうなったでしょうか?1998年、ボストン・チキンは連邦破産法第7章の適用を申請しました。ようするに破綻です。言うまでもありませんが、株券は単なる紙になってしまったわけです。

収益内容が分かっていれば、ボストン・チキンに投資することはありえませんでした。しかし、収益の質を簡単に説明することは楽なことではありません。なぜなら、それを理解するためには、バランスシートを細かく調べる必要があるからです。しかし、少なくともこの点に注意してください。売上が下がっているにもかかわらず、逆に一株利益が上がっているなら、それは大きな警告シグナルです。

スタンダード・アンド・プアーズ社(S&P)は、一株利益と配当金の一貫性を調べることで、収益内容の質を検討しています。例えば、S&PによってAプラス、A、そしてAマイナスの評価を受けた企業は、平均で15.7の株価収益率(PER)があります。Bプラス、B、Bマイナスと評価された企業のPERは平均で18.1です。Bマイナスだけを見るとPERは極めて高い28です。

PERは単に株価が割高か、それとも割安かを示すものではなく、収益の質を反映しています。ですから、S&PからAプラス、A、そしてAマイナスの評価を受けた株に投資対象を限定することが大切です。1990年からの成績ですが、Aプラス、A、そしてAマイナスに代表される収益の質の良い株は+453%、収益の質が悪い株は+44%です。」

 

地下ビジネス

背骨や膝の骨、それに皮膚などが盗まれたとして、1万6800以上の遺族が葬儀会社を訴えている。そんな物を盗んでどうするのか、と思われるかもしれないが、人体の部分は高い値段で売れる。連邦法は、人体の部分を売買することを禁じているが、死体取り扱い料金を請求することは許可されている。

例えば、死体を整えて医学部に解剖実習用として調達すると、最低でも5000ドル(約57万円)の死体取り扱い料金を受け取ることができる。しかし、死体不足の現状だから、料金が1万ドル以上になることも頻繁にあるようだ。人体部分の一般的な料金は、脳が600ドル(6万8000円)、そして肘と手がそれぞれ850ドル(9万7000円)だ。

死体を医学部などに提供する場合は、必ず遺族からの許可を得なければならない。しかし、上記したように、脳600ドル(6万8400円)、手850ドル(9万7000円)、そして肘850ドルの料金を請求できるのだから、人体売買という不法地下ビジネスを生んでしまった。

最近の事件では、ニューヨークの歯科医、マイケル・マストロマリノを中心とするグループが、葬儀会社と共謀して人体の部分を盗んでいた。一旦、盗まれた手や骨はバイオメディカル・ティッシュ・サービシズ(生物医学会社)に送られ、合法的に医学部へ調達する準備が整えられた。実際の数字はまだつかめていないが、少なくとも1000以上の死体から、人体部分が盗まれたようだ。

遺族が、亡くなった家族の体から、膝や肘の骨が盗まれていることに気がつくことは先ず無い。葬式では棺が開けられ、弔問者が故人の顔を見ることができても、膝が失われていることまでは確認できない。また、火葬されてしまうとDNAテストが不可能になってしまうから、灰となった骨が本当に亡くなった家族のものかも分からなくなってしまう。

合法的に死体が、無事に医学部や病院に運ばれたからといっても、それで安心することはできない。なぜなら、そこでも人体部分の盗難が起きているからだ。推定によると、毎年1万から1万2000の死体が医学部に提供されている。問題は規制機関が無いから、大学側は死体がどこから調達され、どんな目的に使われるかなどの情報を、どこにも報告する必要がない。

テキサス大学の医学部で起きた事件は、死体安置所に勤務する職員、アレン・タイラーによる犯行だった。人体がエイズにおかされているため、移植には不向きといったでたらめな書類を作成し、人体部分を盗んでいたようだ。FBIの捜査官によれば、タイラーは医師たちに盗んだ人体部分を売り、約20万ドル(2300万円)の金を手に入れていた。どちらにしても、口のきけない死人から盗むのだから、全く何と言っていいのか分からない。

<< < 76  77  78  79  80  81  82  83 >>

本マガジンは客観的情報の提供を目的としており、投資等の勧誘または推奨を目的としたものではありません。各種情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いかねます。

発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット