今さら何を言っているのだ。全く呆れて物も言えない。とにかく、あまりのタイミングの悪さに、憤りを感じることすらバカらしくなってしまった人が多い。問題になっているチャートを見てみよう。
相変わらずスランプの住宅市場、上昇する失業率、パッとしない株式市場、嫌なニュースばかりが毎日報道されている。これでは、ますます投資意欲が減退してしまうが、こんな時こそ次の有望株を見つけるチャンスだ、とジム・ジュバック氏は言う。
「景気の良い時は、企業の戦略が次々と成功し、経営陣が天才のように見える。しかし、今日のように景気が低迷する状況では、本当に優れた経営陣と、そうでない経営陣の違いが明確になる。」
この言葉を読んだら、ジェイ・ユー氏の話を思い出した。相場が強い時は、多くの人たちが、さほど努力しないで利益を上げることができる。問題なのは、やり方が間違っていても儲かることがあるから、投資家たちは、そのやり方が正しいものとカン違いしてしまう。ユー氏は、先ず、こんな例え話をしている。
地雷原を目前にして、男は途方にくれてしまった。しかし、どうしても向こう側まで行かなくてはいけない。男は祈り、そして目を閉じて歩き始めた。正に奇跡が起きた。男は、全く地雷を踏むことなく、この地雷原を渡ってしまった。この出来事で、男は自信満々になった。もし、また地雷原に直面したら、同じやり方をすればいいのだ!
もちろん、相場が悪い時でも、たまたま運良く儲けてしまうこともある。これが怖い。本人は、自分の実力で利益を手に入れたと信じているから、当然の結果として同じやり方を繰り返す。言い換えれば、大きな損を出すまで、やり方が間違っていたことに気がつかない。
単にラッキーだったことに気付かず、最終的に大損を出すパターンとして、ユー氏は次のような例をあげている。
・一つの銘柄に、全資金をつぎ込んで大きな利益を上げてしまう。
言うまでもなく、一つの銘柄に、全資金を割り当てるのは賢いやり方ではない。しかし、一度ホームランの醍醐味を味わってしまうと、いつも一発勝負を狙うようになってしまう。
・好決算発表を期待しての投資が見事に当たってしまう。
決算発表の前日に株を買う。翌日、予想以上の決算結果で、買った株は20%も上昇する。一旦こんな形で儲けてしまうと、ニュース、掲示板、チャットルーム、と材料探しに夢中になる。新薬が発表される、何々社は中国へ進出する、最高経営責任者が辞任するかもしれない、そんな話に振り回され、待っているのは大損だ。
・絶望的だった持ち株が回復してしまう。
諦めていた株に、格上げや買い推奨が出て、損が一瞬にして利益に変わってしまう。こんな事が起きると、株は長く持っていれば必ず儲かるという言葉を信じる結果になり、損切りのできない投資家になってしまう。
(情報源: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/JubaksJournal/5-stocks-for-riding-the-rebound.aspx
http://www.trade2win.com/knowledge/articles/general_articles/trading-on-borrowed-time/?r)
MSNBCの報道によると、今年の夏、企業による人員削減は、ここ6年間で最も多かったという。先日発表された雇用統計(8月分)によれば、8万4000人に及ぶ人たちが職を失い、これで8カ月連続で非農業部門雇用者数が減少した。
もし、米国経済が73年のような悪い状態に陥るなら、企業は更に積極的な従業員削減を実施して、失業率は8%から9%に達する可能性がある。下記は、247wallst.comが予想する、1万人を超える大幅人員削減を実行しそうな企業だ。
・フォード・モーター(F): 8月の自動車販売台数は26%の大幅下落、そして今年後半の売上は、更に悪くなることが予想されている。去年、フォードは1610万台の自動車を米国で販売し、今年、この数値は1400万を割ることになるだろう。売上の低下で、フォードの保有する現金も減り、倒産の可能性があることから信用格付けが格下げられている。
・シアーズ(SHLD): 低迷する住宅市場、ガソリン高、食品高の影響を受けて、シアーズ(百貨店)で買い物をする人たちが減っている。30万人という大量な従業員を抱えるシアーズだけに、人員削減は避けられそうにない。
・シティグループ(C): 既に1万7000人をカットしたシティグループだが、目標にしている150億ドルのコスト削減を実現するためには、まだまだ多くの社員を解雇する必要がある。
・ワシントン・ミューチュアル(WM): 住宅ローンを中心業務とするワシントン・ミューチュアルは、株価を見る限り、倒産を避けられそうにない。(現在の株価は3ドル15セント。最近52週間の高値、39ドル25セントから大きく下げている。)企業として存続するには、1万人解雇という厳しい選択をするしかないだろう。
・サーキット・シティ (電化製品店、CC): 最近の決算発表によれば、サーキット・シティの保有する現金は9000万ドルほどだから、既に倒産が近い状態だ。もちろん、破産法第11章を利用して、企業の再生手続きをすることもできるが、当然これは大幅人員削減に結びつく。買収される、ということも考えられるが、これも大幅に従業員が削られる結果になる。
・ブロックバスター(BBI): インターネットの普及で、映画を小売店に足を運んで借りる時代は終わった。ブロックバスターは、7600の店を抱えているが、利益を向上させるためには、多くの店舗を閉鎖する必要がある。
・IBM(IBM): 収益が順調に伸びている企業が、なぜ人員を大幅にカットする必要があるのだろうか?去年の動きを見てみると、IBMはインドでの雇用者数を、52000人から73000に増やしている。明らかにIBMは、コストの高い米国での社員を減らして、アジアでの採用者数を増加させていくことになるだろう。
(情報源: http://robertreich.blogspot.com/2008/09/todays-jobs-report-and-what-it-means.html
http://www.247wallst.com/2008/09/a-dozen-compani.html)
ちょっと待て、何かの間違いだろう、と思った人が多かったことだろう。しかし、もし本当なら、たったの10分間で資金を3倍にすることができた。問題になっているのは、ユナイテッド航空の親会社、UAL Corp(UAUA)だ。
(ヤフー・ファイナンスから)
赤で囲った部分に注目してほしい。Day's Range 3.00 - 12.45と表示されているが、これは月曜の安値は3ドル、そして高値が12ドル45セントという意味だ。どう考えても上下幅がありすぎる。
念の為にMSNマネーも見てみた。
こちらも同じだ。高値は12ドル45セント、そして安値は3ドルと表示されている。繰り返すが、一日で、こんなに株価が変動することはありえない。大手証券会社が、間違ったコンピュータのボタンを押して、大失敗トレードをしてしまったのだろうか?
株価乱高下の原因は新聞記事だった。
2002年、ユナイテッド航空は、連邦破産法第11章に基いて破産申請をしたことがある。その古い記事が、どういうわけか、今日のニュースとしてSouth Florida Sun Sentinel紙のウェブサイトで報道された。
下は、UAL Corpの10分足チャートだ。
1、新聞記事: 高値 12ドル6セント、安値 3ドル71セント
2、出来高: 7396181株
3、反発: 高値 9ドル98セント、安値 3ドル
4、出来高: 16960483株 (これは、1日の平均出来高の8割に相当する。)
5、取引停止
6、取引再開
どちらにしても、これは裁判沙汰になることだろう。
(情報源: http://news.moneycentral.msn.com/ticker/article.aspx?Feed=AP&Date=20080908&ID=9112566&Symbol=UAUA)
食品価格の上昇で、アメリカでは、冷蔵庫ではなく冷凍庫の売上が伸びている。NPDグループの調べによると、今年1月から6月の冷凍庫売上数は110万を超え、去年の同時期を7%上回っている。
「日本のサラリーマン山本」、と自称する山本氏から、「トレードのビジネスプラン」と題されたメールが送られてきた。精神面の話、それに具体的なトレード方法までが詳細に記され、とにかく熱気のこもったメールだった。さっそく抜粋してみよう。
2006年8月にトレードを開始し、約2年間、現物、信用、先物、FX、オプションと、一般的トレーダーが歩むお決まりのコース(奈落の螺旋階段)をたどってきたようだ。過去2年間の累計損失額は自分だけが知っていればよい。過去100冊以上の株本を読み、オンラインを含めてどれだけのセミナーに参加したことだろう。
現時点において、自らのトレーディングスタイルがあいまいである点、マネーマネジメント(リスク管理)が甘い点(ストップロスオーダーで満足している点)、さらに人生の目標が明確でなく、単に惰性でトレードしている面を憂慮している。トレーディングをビジネスとして捉えれば、ビジネスプランは詳細かつ明確でなければならないはずだ(そうでないと資本は集まらないし融資も受けられない)。そこで、長期的な人生の視野に立ち、いまこのプランを作成し、トレーディングをビジネスとして真摯に行い、継続的なプラスキャッシュフローを積み重ね、ひいてはこれを通じて人生の自己実現を図ること、上記3点を大目的としてこのプランを作成するものである。
マインド(心のありよう): 常にマーケットニュートラルの視点を維持すること。材料がすべて織り込まれたのが現在時点の市場合意価格であることを常に忘れず、強く認識し続ける。 したがってバイアスは一切持たず、感情・希望を排除し、チャートシグナルのみを判断材料としてスイングトレーディングを実践していく。
マネーマネジメント(資金管理、リスクマネジメント):
・1トレードのリスクを、ストップアウト基準で資金額の3%に「常に」限定する。
・総ポジション(片方向)のリスクを、ストップアウト基準で資金額の10%に「常に」限定する。
・両方向(ロング・ショート)をあわせたリスクは、ストップアウト基準で資金額の15%に「常に」限定する。(少なくとも暴落はヘッジされているので、むしろ好ましく15%を許容できる、という考え方に基づく。)
・上記「3ー10ー15」はアレキサンダー・エルダー著「投資苑3」の推奨する「2ー6ルール」よりかなり高いリスクを享受することを認識するが、本プラン作成時点での「絶対的な自信、恐るべき燃え」から、あえて高いリスクを許容し、緊張感と真剣味を維持し、ひいては高水準のリターンを追及していくものとしている。
見るべきもの:
・日経225、およびダウの日足。その他の複合判断材料として原油、ドル円、ナスダック、TOPIXもちょろちょろ参照。
・騰落レシオ。
・外人動向。
・MA、日足で8ー21ー89を見続ける。たまに週足でよい。
・MACD、 初期設定12ー26ー9でよい。ヒストグラムのダイバージェンスを重点チェックしていく。
・RSI、7期で見ていき、水準はともかく、何はともあれダイバージェンスをチェックしていく。特に日経225のダイバーだけはもう二度と、絶対に、死んでも見逃してはならない。
・プットコールレシオ。$VIXもたまに見て感覚を少しずつ養う。
・価格フシ 指標のフシ、個別のリトレースメント水準は意識しておく。
・出来高 個別銘柄毎にチェックしていく。
・需給 信用残の推移を個別銘柄毎にチェックしていく。
これで終わりではない。更に、ダイバージェンスの買い、売り、ローソク足の仕掛け、整然とした押し、と具体的な方法に話は進んでいく。「移動平均線の熱くぬれた毛布」、という面白い手法もあった。最後に、山本氏は「トレードは自己責任」と強調しておられたことを記しておきたい。