まだ5月だ、と言われるかもしれないが、そろそろ本格的な夏がやって来る。夏休みでマーケット参加者が減ることを理由に、秋まで株式市場から遠ざかる投資者もいるが、完全に投資を一旦中止してしまうのは勿体ない。「今年の夏、どんなマーケットが展開されるかを、正確に予測できる人はいません。退屈な相場になる可能性もありますが、大切なことは、夏用の投資ポートフォリオを作ることです」、と投資アドバイザーのハリー・ドマッシュ氏は言う。夏用の投資ポートフォリオ?氏の話を続けよう。
「夏は横ばいする傾向がありますから、方向性のはっきりしないマーケットで、良い成績を上げることの出来る株を選ぶことが肝心です。簡単に言うと、高配当銘柄が対象になります。もちろん、企業のサイズ、収益性、アナリストによる格付け、リスク/リワード比なども考慮する必要があります。
配当の利回りは、過去の配当金を使って計算しないで、向こう12カ月で支払いが予想される金額で計算します。ですから、現在10ドルの株が、今年50セントの配当が予想される場合なら、利回りは5パーセントです。それでは株価が7ドル50セントに下がると、配当利回りはどれくらいになるでしょうか?50セント割る7ドル50セントは0.066ですから、新配当利回りはほぼ6.7%です。ひじょうに魅力的な利率ですから、とうぜん買い手が集まり、それが株価の回復につながります。もちろん、高配当があれば、株価が横ばいしてもさほど気になりません。利回りが4.5%以上ある株だけに焦点を合わせることをすすめます。
マーケットが崩れ始めると、小型株が特に大きな被害を受ける傾向があります。必要以上のリスクを避けるために、小型株をポートフォリオから外すことが大切です。小型株の定義は、時価総額が10億ドル以下の銘柄です。一般的に大型株ほど投資リスクが低くなりますから、時価総額が20億ドル以上の企業を選ぶことを推奨します。
企業の収益性を確かめるには資本収益率が役立ちます。業績の悪い会社は、資本収益率がマイナスになりますが、きわめて業績の良い会社なら25%以上の数値を記録することがあります。少なくとも過去5年平均が、10%以上ある会社だけに絞ってください。
アナリストの格付けも重要です。ほとんどのアナリストは、Strong Buy、Buy、Hold、Sell、そしてStrong Sellを格付けに使いますが、SellとStrong Sellの出ている会社は避けてください。」
ドマッシュ氏は、上記の条件以外にレラティブストレンクスや、今年後半の収益予想も考慮して、下記のような夏用銘柄を候補に挙げている。これらは買い推奨ではなく、投資の一アイディアであることを強調しておきたい。
Alliance Bernstein (AB) 配当利回り4.7%
Allied Capital (ALD) 配当利回り7.7%
Companhia Siderurgica (SID) 配当利回り13.4%
Energy Transfer Partners (ETP) 配当利回り5.8%
World Wrestling Entertainment (WWE) 配当利回り5.6%
(出張のため、12日から23日までは有名トレーダーの談話やインタビューの一部をお届けします。)