US Market Recap

世界はスタグフレーションに襲われる?

世界の中央銀行として知られるスイスの国際決済銀行は、最近出された年次報告書の中で、世界的なスタグフレーションの可能性を警告している。景気沈滞下でのインフレがスタグフレーションだが、本当にそんな心配があるのだろうか?

インフレ退治に躍起な連銀は、既に17回連続で短期金利を引き上げた。アナリストやエコノミストは、口を揃えてこんなことを言う。「連銀自身、いつ金利引き上げをストップさせるべきかが分かっていません。たぶん、アメリカ経済冷えこみが顕著になるまで、金利を上げ続けることでしょう。それだけではありません。ヨーロッパやアジアにもインフレ懸念がありますから、各中央銀行も連銀と同様に、経済下向きの確認ができるまで金利を上げることでしょう。」

「ケインズの経済学では、下向きな経済状況で起きるインフレ、ようするにスタグフレーションを説明することができません」、と経済コラムニストのジム・ジューバック氏は言う。ケインズの経済学によれば、需要が供給を大きく上回ると物価が上昇し、その結果労働者の賃金も上がる。賃金が上がれば、企業は値上げを実施するから、それが更なるインフレの原因になる。金利引き上げ政策は、需要の減少を引き起こすから、理論的にはインフレを抑制することができる。しかし1970年代、アメリカはスタグフレーションを現実に経験した。ジューバック氏の話に戻ろう。

「1973年から1975年にかけて、アメリカの実質国内総生産(GDP)は減りました。もう少し期間を長くして、1973年から1977年で見ると、実質GDPは年間平均で1.3%の成長がありました。注目したいのは、同時期のインフレ率は8.8%もあったのです。

そんな状況下で、株式市場はどう動いたでしょうか?イボットソン社のデータによれば、1973年から1979年までのS&P500指数の平均年間上昇率は3.2%、そして国債は3.5%でした。言うまでもありませんが、インフレ率は8.8%ですから、株も国債も目減りしたわけです。

1970年代のスタグフレーションは、なぜ起きたのでしょうか?これは、ミルトン・フリードマン氏(1976年、ノーベル経済学賞受賞)が言うように、貨幣供給量(マネー・サプライ)が問題になります。商品やサービスに対する需要が減っても、貨幣供給量が貨幣需要を上回るとインフレが起きてしまいます。

世界の銀行は、インフレの兆しが見えていたにもかかわらず、あまりに長期間にわたって貨幣供給量を増やし続けてしまいました。正にフリードマン氏や通貨主義者が述べるインフレシナリオです。確実にスタグフレーションがやって来る、と断言はできませんが、世界の中央銀行は通貨供給量をコントロールする一手段として、金利引き上げを継続することになりそうですから、経済の下降は避けられないのではないでしょうか。」

今も使える銘柄選択条件

マーティン・ツバイクという名前を聞いたことがあるだろうか?「ツバイク ウォール街を行く」、という本が出版されてから、もうかなりの月日がたつが、この本に紹介されている株式投資方法は今日も有効だ、とハリー・ドマッシュ氏は言う。「2年ほど前、2004年8月11日のことですが、私はツバイク氏の方法を使って、実際に株を選んでみました。合計で17銘柄ですが、1年後の8月には一銘柄あたりの平均伸び率は40%でした。(S&P500指数は+15%)先月6月23日時点では、一株の平均上昇率は43%です。(S&P500指数は16%増)」

ツバイク氏は、投資心理を測定するプット・コール・レシオの考案者としても有名だ。ありとあらゆる経済指標と、株式市場の関係を徹底研究したツバイク氏、いったいどう銘柄を選んでいるのだろうか。もう少しドマッシュ氏に説明してもらおう。

「コンスタントに利益を上げている会社なら業種は気にしない、とツバイク氏は言いましたが、氏が最も重要視するのは長期成長率です。4年から5年を振り返って、年間利益が毎年15%以上増えていることが必要です。単に会社の総収益だけでなく、同様に一株利益も毎年15%以上の伸びがなくてはいけません。

長期的な成長率を確かめた後は、短期的な様子を見てみましょう。たとえ毎年15%以上の伸びがあったとしても、5年前は+70%、4年前は+25%、3年前は+20%のように勢いを失っている会社はダメです。最近の決算報告書に載っている一株利益は、過去5年間の平均一株利益の75%以上あることが必須です。

会社の総収益と、一株利益を見比べてみることも大切です。総収益が大きく上がっているにもかかわらず、一株利益があまり変わらないことがあります。これは何を意味するのでしょうか?こんな現象は、マージンが減っている時に起きます。逆に、総収益は変わらないのですが、一株利益が増えることがあります。これは、コスト削減による場合が多いですから、将来的には一株利益も下がることでしょう。

どんなに良い株でも、割高なものを買ってはいけません。割高割安を測るには株価収益率(PER)を用います。S&P500指数に属する銘柄の平均PERより50%以上高い株は避けるべきです。

マーケット全体と株を比較することも重要です。過去6カ月の動きを調べて、マーケットの上昇率を上回る株だけに焦点を合わせてください。

負債比率にも注意を払ってください。ツバイク氏は具体的な数値を本の中で示していませんが、業界平均より高い負債率を持つ会社は避けた方が無難です。

それから、最近の決算報告で、アナリストの予想に満たなかった企業も外してください。」

それでは、上記条件を全て満たす銘柄を記そう。もちろん、これは買い推奨ではなく、投資一アイディアであることをお断りしておきたい。

CarMax(KMX)、Ceradyne(CRDN)、First Community Banc(FCBP)、Holly(HOC)、Manulife Financial(MFC)、Nara Bancorp(NARA)、Nicholas Financial(NICK)、O’Reilly Automotive(ORLY)、Prosperity Bancshares(PRSP)、Remington Oil & Gas(REM)。

相場のことは相場に聞け!?

ジョージ・ソロス氏のようなトレードをしたければ、先ず自分の直感を信じることだ、とフォーレックス・キャピタル社でアナリストを務めるボリス・シュロスバーグ氏は言う。「今日の天気だけを基にして旅行計画をたてるでしょうか?今、晴れていても一週間後は大雨かもしれません。」

株や先物も天候のように変わりやすい。皆さんも既に経験済みと思うが、上昇基調だったマーケットが突然崩れたり、横ばいだった株が、いきなりブレイクアウトすることがある。「目の前に見えるものだけに頼ってトレードしろ。意見は無視だ。そんなアドバイスがありますが、それは間違っていると思います」、とアナリストの肩書き意外にも、トレーダーの顔を持つシュロスバーグ氏は付け加える。もっと説明してもらおう。

「ある銘柄の15分足チャートを見ているとしましょう。もし安値が切り上がっているなら、ほとんどの人たちは上昇の継続、という結論を出すはずです。しかし往々にしてそんな予想は外れ、株価は逆にブレイクダウンしてしまいます。それでは、今度はこのブレイクダウンの起きたチャートを見て株価を予測してください。既にお分かりと思いますが、下げが顕著なチャートを目前にすると、大半のトレーダーは下げの継続を予想します。

トレードで成功するには、値動きの根本的な理解が必要です。相場のことは相場に聞け、と昔から言われているように、マーケットに対する意見を持つことの危険性が強調されています。へたな考えはトレードの邪魔、というわけですが、それは真実ではありません。どんなトレーダーでも相場観があります。意見を持つなと忠告されても、意見無しでトレードに臨むことなどありえません。トレーダーが大きな損を出すのは相場観の責任ではなく、適切な損切りをしなかったからです。

相場のことは相場に聞け。たしかに名言かもしれません。しかし、私はあえて反対します。大切なのは、先ず自分の直感や、マーケットに対する考えを信じることです。チャートだけを頼りにトレードしている、と主張する人でも、結果的には無意識に「買い」「売り」という形で自分の意見を表明しています。ですから、株式市場は意見に支配されている、と極論することもできます。

よく聞くことですが、「値動きに騙された」という表現があります。なぜ騙されるのでしょうか。ある程度、値動きにバラつきが生じても、適切な見方や相場観があれば騙されることはありません。確固とした考えがなければ、トレードに大きく役立つチャートに裏切られるだけです。」

それでは、どうしたら確固とした相場観を持つことができるのだろうか?シュロスバーグ氏は「ソロスの錬金術」(ジョージ・ソロス著)の一読をすすめている。

水先物市場が実現する!?

次世代のオイル市場になるはずだ、とアラロン・トレーディングのフィル・フリン氏は断言する。正確に言えば、オイルマーケットのような巨大市場になる、ということなのだが、いったい何の話だろうか?

生活必需品の一つとして数えられるオイルだが、水はそれ以上に重要だ。マーケットウォッチ・ドット・コムのマイラ・サフォング氏によれば、地球上に存在する水の99%は飲むことができない。そして、毎日アメリカで使われる水の量は、ガソリン消費量を1000倍近く上回っている。ガソリンは市場で取引されているが、貴重な水にはマーケットが無い。なぜだろうか?

マーケットアナリスト、ジム・ワイコフ氏はこんなことを言う。「新鮮な水は人間にとって、オイル以上に価値があることは間違いありません。しかし、オイルは天から降ってくるようなことは決してありません。」

ガソリンの値段は、1ガロン(3.785リットル)あたり約3ドル(343円)だ。「米国水道協会のデータを基に計算したのですが、コーラを一缶買うお金があれば、水を1万5000缶も買うことができます」、とサフォング氏は水の安さを強調する一方、こんなことも指摘する。「ただ同然の水ですが、人々は毎年、何十億ドルという金額をボトル入りの水に使っています。」

最新のデータによれば、毎日アメリカでは約4080億ガロンの水が消費されている。ガソリンの消費量は3億8200万ガロンだから、水の需要量が圧倒的に多い。「次世代のオイル市場になるはずだ」、と断言したフィル・フリン氏の話に戻ろう。

「水は始めであり終わりである、と言えるくらい貴重な物です。にもかかわらず、水にはオイル先物のような市場がありません。多くのアナリストは、水先物市場の現実化に否定的な見方です。アメリカの人口が3億に達しようとしているように、世界の人口も増え続けています。飲める水は減少していますから、人々は水を求めて争うのではないでしょうか?水先物市場が現れるのも、もはや時間の問題だと思います。」

ジム・ワイコフ氏は、水とオイルのこんな共通点をあげている。「水はオイルのように生活必需品だけでなく、テロリストも目をつけています。経済的ダメージを狙って、テロリストはオイル設備を攻撃します。こんなことが起きてほしくありませんが、専門家たちの意見によれば、テロリストは水道システム汚染を計画しているようです。」

「水先物市場は、決して新しいアイディアではありません」、と言うのはスタンフォード・ワシントン・リサーチグループのデボラ・コイ氏だ。「貴重な水ですが、そう簡単に水先物市場は実現しないと思います。」パシフィック・インスチチュートのピーター・グリーク氏もコイ氏に同意する。「オイルでいっぱいになったタンカーには価値がありますが、タンカーを水で満たしても何の価値もありません。輸送料金の方が水より高くつくことでしょう。」

バーナード・サバイコ氏(エコノミスト)の言葉を付け加えておこう。「水の先物市場が実現したとしましょう。だれでも水の重要性を認めていますから、買い手ばかりになるのではないでしょうか。これでは売り手が不在ですから、マーケットとしてなりたちません。」

週末話題の金鉱銘柄

金が高値を記録したのは、もう20年以上も昔の話だ。1オンス850ドルの頂点は1980年、そして1999年には、253ドルに低迷していた。こんなありさまだから、金は投資対象から外れ、長いこと話題にもならなかった。そして2005年、金が爆発した。12月500ドルを突破、翌月1月550ドル、4月600ドル、5月はピークの715ドル、現在600ドルに戻している。

激しい金の上昇が合図になり、金鉱株も人気を取り戻した。金鉱株といえば、米国投資者が真っ先に思いつくのが、ニューヨーク証券取引所に上場されているニューモント・マイニング(NEM)だ。バロンズ紙の報道によれば、コロラド州デンバーに本拠地を置くニューモント・マイニングは、単に優れた経営陣を有するだけでなく、過去4年間で膨大な鉱脈を発見している。

鉱脈を掘り当てる最高の方法は、実際に存在する金鉱の隣接地を調査するのが良い、と言われている。ニューモント・マイニングの保有する金鉱の3割以上はネバダ州、そして6割は海外の先進国にあり、その総面積は3240万エーカーだから、ほぼイギリスに匹敵する。

金の値段が上がると、金鉱株も上昇する。ここ5年間の動きを見てみると、金は122%の上げ、ニューモント・マイニングはそれを上回る186%の上昇だ。同期間、S&P500指数は、たったの+7%だった。更に強調したいのは、2001年から2004年半ばまでの値動きだ。この間、金は+45%、ニューモント・マイニングは+135%の伸びを展開し、最高経営責任者ウェイン・マーディー氏の手腕が称賛される結果となった。

今年の様子だが、金は14%増、しかしニューモント・マイニングはマイナス2%だ。「最近のニューモント・マイニングの値動きは、決して将来を予測しているわけではありません」、と経済コラムニストのロンダ・ブラマー氏は言う。説明を聞いてみよう。

「以前のような強さが見られないニューモント・マイニングですが、これは投資者にとって買いチャンスです。もちろん、金自体がベアマーケットに陥ってしまえば別ですが、今年ニューモント・マイニングには大きな収益の伸びが期待できます。三つの低コスト金鉱からの生産が本格的に始まり、現在53ドルほどの株価は75ドルから80ドルあたりを狙えると思います。

金は大豆やトウモロコシなどの商品とは違います。個人投資者だけでなく、機関投資家も含めて、インフレ対策として金は買われます。それに、不安定な株式市場や為替市場も金買いの原因となります。ニューモント・マイニング社長ピエール・ラソンデ氏は、18カ月以内に金が過去の最高値850ドルに挑戦することを予測しています。」

いつも金の上昇率を超えてきたニューモント・マイニング、今回も同様なことが繰り返されるのだろうか?RBCキャピタルのスティーブン・ワーカー氏は76ドル、そしてシティグループのアナリストは75ドルをニューモントの目標株価に設定している。

精神衛生に良い銘柄

乱高下するマーケット、胃の調子が悪くなった。そんな声が聞こえてくる。高い変動率はトレーダーには嬉しい。しかし、安定した投資を求める人には精神的に良くない。何かうまい解決策がないものだろうか?「インフレ懸念、それに金利情勢がマーケットを不安定にしています。重要なのは、連銀がどんな発表をしても、大きな影響を受けない株を選ぶことです」、と経済コラムニストのフレッド・フレイリー氏は言う。そんな銘柄が本当にあるのだろうか?説明を聞いてみよう。

「バンジージャンプのような値動きには、そう簡単に慣れることはできません。もちろん、激しい値動きは口座残高を大きく上下させる原因にもなります。どうしたら、こんなことを防ぐことができるでしょうか?当たり前なことを言うな、と腹を立てる方もいるかもしれませんが、乱高下しない株に投資すれば良いのです。

安定したポートフォリオを作るには、ボラティリティ(株価変動率)を制限しなくてはいけません。荒波の中で船を安定させるのはバラストです。適切なボラティリティのある銘柄を選択することは、極端な口座残高の変動を避けることができますから、動転せずにおちついて投資をすることができます。」

ボラティリティの低い銘柄をフレイリー氏は推薦しているわけだが、永久に横ばいしてしまったら面白くない。弱い相場で下げ渋ってくれるのは良い。しかし、強い相場が来たらそれなりに上昇してほしい。そんな銘柄があるなら買ってみたいものだ、と思っている投資者のために、フレイリー氏が提案する銘柄の中から二つ紹介しよう。

1、ウォルマート・ストアーズ(WMT 世界最大手小売業者)
「ウォルマートはイメージチェンジに力を入れています。企業は活性化され、海外への進出にも積極的になり、収益は更に上昇することでしょう」、とシティグループのデボラ・ワインスイック氏は言う。

チャートを見ていただくと分かるが、5月6月の下げ相場の中で、逆にウォルマートは上げている。正に底力が証明されたわけだ。ウォルマートは48ドルほどで現在取引されているが、ワインスイック氏は60ドル、そしてバッキングハム・リサーチ社は62ドルを目標株価にしている。

2、シェーリングプラウ(SGP 製薬会社)
既に悪い材料は出尽くし、株価は底値近辺だ。一番痛かったのは、大評判だった薬品クラリティンの特許権を失ってしまったことだ。新薬の開発が遅れていたから、2000年には60ドルだった株価は、現在20ドル以下でウロウロしている。

そして今日、シェーリングプラウには回復の兆しが見えている。プルーデンシャルのアナリスト、ティム・アンダーソン氏によれば、メルク社と共同で開発した抗コレステロール薬、バイトリムの売上は順調に伸びている。また、リストラの結果、約1億ドルの経費が節約できるようだ。アンダーソン氏は22ドル、そしてメリルリンチは24ドルをシェーリングプラウの目標株価に設定している。

日本株を推す元ファンドマネージャー

「サムライ株」、と題してジム・クレーマー氏は、米国投資者に日本株を人気番組の中で推薦した。さっそく見てみよう。

1、三菱UFJフィナンシャル・グループ
なぜこの銘柄を買いたいのか?それは現在の日本が、1991年のアメリカに似ているからだ。その時アメリカは、ようやく不動産恐慌から抜け出そうとしていた。多くの銀行は倒産し、主要大手銀行だけが生き残った。しかし、不動産市場の底打ちは銀行株買いのシグナルとなり、特にシティバンクが魅力的だった。ようするに三菱UFJは、1991年のシティバンクと同様というわけだ。短期的に見た場合、日本の金利情勢が悪材料になる可能性がある、とクレーマー氏は言う。

2、キリンビール
アメリカのビール会社は買えないが、キリンビールは別だ、とクレーマー氏は強調する。キリンの、大豆をベースにしたビールには麦芽税がかからないから収益にはプラス材料だ。このビールは2005年の4月にデビューし、8月には売上が三倍に上昇した。アサヒビールも大豆をベースにしたビールを販売しているが、キリンのような勢いは無い。一つクレーマー氏は警告する。日本政府は、麦芽税を大豆ベースのビールにも適用する可能性があるから注意が必要だ。

3、クボタ
円安で恩恵を受けるのがクボタだ。円が下がれば、アメリカに入って来る日本製品の値段が下がる。ほとんどのアナリストたちは、まだ完全に円安メリットがクボタに与える影響を把握していない、とクレーマー氏は指摘する。だから、遅かれ早かれ、アナリストたちは収益上方修正の発表をすることになる、というわけだ。

大々的なリストラが成功したクボタだが、次のような問題点をクレーマー氏はあげている。

・キャタピラーという強敵がいるため、アメリカの中型トラクター市場に食い込むのは難しそう。
・円が高くなってしまうとクボタに悪影響だから、極端に円高に動く時は要注意だ。

4、松下電器産業
大画面プラズマテレビが人気だ。コーニング(GLW)も悪くないが、松下の方がより優れた投資対象になる、とクレーマー氏は断言する。2010年までには、松下が40%のプラズマテレビ市場を獲得することになりそうだから、間違いなく松下が世界一だ。最近の株式市場は、テクノロジー銘柄が敬遠されているから、短期的に松下は冴えない動きになりそうだ。

以上4銘柄の他に、クレーマー氏はホンダとトヨタ自動車も薦めている。ガソリン高が社会的な問題になっているにもかかわらず、相変わらずゼネラルモーターズとフォードは、燃費の悪い小型トラックの販売に力を入れている。しかし、トヨタとホンダはハイブリッド車や低燃費車に力を入れているから、高いガソリン問題を乗り越えることができるだろう。

三菱UFJフィナンシャル・グループ、クボタ、松下電器産業、とお馴染みな銘柄ばかりだが、これらの銘柄には一つの共通点がある。どれも米国株式市場に上場されているから、アメリカ人が簡単に買うことができるわけだ。

 

歯切れの悪い専門家の助言

株番組を見ていると、「持ち株を処分した方が良いでしょうか?」、という視聴者からの質問が最近多い。世界的に嫌な相場が続いているから、投資者たちが不安になっても仕方が無い。もちろん、デイトレーダーがこんな質問をするわけがないから、正確に言い換えれば、長期的に見た場合、現在株を売ることは正解だろうか?

「もし、今売らなかったらどうなるでしょうか?先ずそれを検討してください」、と言うのは以前ファースト・コール社でアナリストを務めたポール・エリオット氏だ。今売らなかったらどうなるのか?投資アドバイザー、ギャリー・カルトバウム氏を引用しよう。「200のグループを追っていますが、10銘柄中7から8銘柄がテクニカル的に貧弱です。特に最近気になるのが、マーケットの指標になる大手銀行です。天井が形成され、下げが始まっていますから、明らかに悪材料です。チャートパターンに好転の兆しが現れるまで、買いは控えなければいけません。」

ニューヨーク大学教授、アズワス・ダモダラン氏の意見を聞いてみよう。「今株を処分するべきか、という質問の裏側にあるのが、ひょっとしたらこの辺が底だろうか、という質問です。米国の金利上昇が株安原因になった、と説明する人が多いですが、これはあまりにも短絡的です。金利の上昇は既に2年近く続いていますから、昨日今日に始まった話ではありません。世界的な株安は、一つの要素だけでは起きません。

それでは、株式市場の下げは終わりに近いでしょうか?この疑問にも、簡単に回答することはできません。繰り返しになりますが、下げ原因は一つだけではありませんから、米国の金利安定が世界的な株高になる、と断定するのは無理です。」

どうも歯切れの悪い意見だが、ダモダラン氏は投資者に五つの助言がある。
1、株はなぜ下がるのか、といった質問には理論的な回答など無い。だから、専門家の意見を聞くのも無駄だ。
2、現在口座残高が減っているなら、十分に株の危険性が理解できたはずだ。次の上げ相場で、「株は安全だ」、などといった極論が出たら、今日の体験を思い出そう。
3、下げ相場の始まりが確認できたら持ち株を売ろう、と言う人が多いが、次の事実を覚えておいてほしい。確認ができた時は、既に大きく下がっている。逆に底が確認できた時も、既に大きく上がっているものだ。
4、大衆と逆に動くのは正しい。しかし、これほど難しい投資方法は無い。
5、アナリスト、それにアドバイザーたちが使っている水晶の玉は曇っている。プロの意見は当てにならない。

これが助言?あまりにも悲観的だ。「もし、今売らなかったらどうなるでしょうか?先ずそれを検討してください」、と指摘したポール・エリオット氏に戻ろう。「現在の株式市場を見ていると、たしかに不安になってしまいます。しかし、今は売る時ではありません。ほとんどの投資者は、必ずと言っていいくらい売った後に後悔しています。住宅を買いたい、新しい家具がほしい、そんな時だけに株は売るべきです。」これもあまりスッキリしない。三者で参考になるのは、カルトバウム氏だけだ。

一気に0.5ポイント引き上げ?

木曜のFOMC(連邦公開市場委員会)で、短期金利が5.25%に引き上げられることが確実視されている。これが実現すれば、2004年6月から17回連続の引き上げだ。それほどインフレを恐れているなら、いっそのこと0.5ポイント上げて、一気に金利を5.5%にしてしまえばよい、とそんな声が最近聞こえるようになった。

マーケットウォッチ・ドット・コムの報道によれば、以前連銀は0.5ポイントずつ金利を動かすことが通常だった。0.25ポイント刻みは、前連銀議長グリーンスパン氏が始めたものだ。既に0.25ポイントずつ、16回立て続けに金利が引き上げられているが、米国の歴史上、これほど執拗な金利引き上げサイクルは無かった。

エコノミスト、マイケル・グレゴリー氏はこう語る。「過去二回の金利引き上げサイクルを振り返ってみると、両方とも最後の利上げは0.5ポイントでした。交響曲を例にあげれば、曲の最後はドーンと派手ですから、観客は拍手のタイミングが分かります。利上げも同様です。また0.25ポイントの引き上げなら、マーケット関係者はこれが最後かどうかの判断ができません。予期せぬ0.5ポイントの上げなら、これは金利引き上げ終了のシグナルです。」

ベアスターンズの、ジョン・ライディング氏もグレゴリー氏の見方を支持する一人だ。「0.5ポイントの利上げは、生温い連銀のやり方に不満な、タカ派を納得させることもできるでしょう。たとえ完全に引き上げサイクルが終わりにならなくても、0.5ポイントの利上げなら、連銀はしばらく経済活動の様子を見ることになるでしょう。」

「今こそ連銀は慎重になるべきです」、とパシフィック・インベストメントのポール・マカリー氏は言う。「行き過ぎな金利引き上げは、米国経済を不景気に導くことになります。既に住宅市場には冷えこみが見られます。更なる金利引き上げは、個人消費を大きく減退させることになるでしょう。それだけではありません。米国での利上げは、結果的にヨーロッパ、日本、中国、そして他の国々での金利引き上げにつながり、世界的に経済が落ち込む可能性もあります。ただでさえ、株式市場は神経質な状態ですから、ヘッジファンドが大きく売ってくることも十分に考えられます。」

ハーバード大学教授、マーチン・フェルドスタイン氏はこう付け加える。「連銀が現在直面する問題の一つは、既にアメリカ経済には下向きの兆しが見える、という現実です。ですから連銀は、インフレばかりに注意を払うのではなく、先ず適切にアメリカ経済の現状を把握して、経済成長減速を想定した金利政策を実施しなくてはいけません。」

最後にアメリカとヨーロッパが一体となって金利を引き上げたのは2000年のことだった。そして、世界経済は8年来の低成長を経験することになった。しかし今回は、日本、中国、インドも利上げに参加することになるから、マカリー氏の懸念が的中しそうだ。

経済誌がすすめる賢いお金の使い方

手元にあるのは100ドル(1万1600円)だけ。パッと飲んで終わりにしてもよいが、もっと賢い使い方はないだろうか?そんな質問に、キプリンジャーズ誌はこんな回答をしている。

1、非常時に備える
ハリケーン、竜巻、火事、こんな緊急状況では、素早く家から安全な場所に避難しなくてはいけない。あなたは、そんな時のために非常食や水の用意ができているだろうか?そこで、ぜひ買っておきたいのがサバイバルキットだ。値段は55ドル。これがあれば、大人二人が72時間生き延びることができる。残りの45ドルで、更に必要な薬などを買っておくとよいだろう。

2、古いホームビデオを捨てるな
ほこりをかぶったVHSテープが眠っていないだろうか?卒業式、結婚式、いろいろな思い出が入っているはずだ。最近のコンピュータにはDVD作成機が搭載されているから、あとはVCRのアナログシグナルをデジタルに変換する装置と画像処理ソフトが必要なだけだ。この両方をそろえるには約100ドルかかる。ADS社のDVD Xpressとピナクル社のStudio  500USBが使いやすいだろう。

3、コンピュータのコードを切れ
ワイヤレス・ネットワークをインストールしよう。これがあれば、料理をしながら台所でメールが読め、リビングルームのソファーに横になって、オンラインショッピングを楽しむことができる。すでにケーブルインターネットやADSLを利用しているなら、さっそくワイヤレス・ルーターを買ってこよう。値段は約50ドルから80ドルほどだ。

それでは、200ドルならどんな賢い使い方があるだろうか?

快適な老後への第一歩
あなたが27才だったとしよう。毎月必ず200ドルの金額をミューチュアルファンドに投資すると、65才の誕生日には約100万ドル(1億1600万円)になっている。条件は、少なくとも年利で10%の利益があることだ。

健康第一
なんと言っても体は鍛えた方が良い。太りすぎは、間違いなく体に悪い。よしスポーツクラブに入ろう、と思うかもしれないが、さしあたって必要なのは快適なスポーツウェアだ。せいぜい100ドルも出せば、満足なものが買えるだろう。心機能を強化するなら、縄跳び、ジョギングなどがあるが、ここで重要なのが靴だ。アスファルトの上で走るのは膝や腰に負担がかかるから、是非しっかりしたジョギングシューズを選びたい。100ドルほどの出費になるだろう。

少し金額が飛んで500ドルならどうだろう?

きまぐれな旅行
あるていど前から予約しておかないと、良い切符が買えない、と思っている人はSite59.comにアクセスしてみよう。意外と多くの短期休暇が、500ドル以下で楽しめることに気がつくだろう。このウェブサイトは、きまぐれな旅行者を念頭に作られているから、数日後に出発したい人には最適だ。

<< < 71  72  73  74  75  76  77  78 >>

本マガジンは客観的情報の提供を目的としており、投資等の勧誘または推奨を目的としたものではありません。各種情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いかねます。

発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット