US Market Recap

注目される天然ガスとトウモロコシ

暑い、とにかく今年の夏は異常に暑い。クーラーは飛ぶように売れ、さきほどニュースでは最後の一台を争う客の姿を報道していた。「全米が猛暑に襲われています。オフィスや家庭で、いっせいにクーラーを使いますから、間違いなくエネルギー消費量が大きく増えます。また、この熱波は農作物や家畜に被害を与える可能性があります」、と商品市場アナリストの、ジム・ワイコフ氏は言う。

ファースト・エナキャスト社のベン・スミス氏によれば、約85%の確率で、気温が上がると天然ガスの値段も上がる。「特に最近数年間の様子を見ると、天然ガスが発電用に使われる量が増大していますから、極端に暑い日が続くと、天然ガス市場は直接影響を受けます」、とスミス氏は付け加える。

アメリカで使われる20%の電気は、天然ガスによって生産されている。マネー・アンド・マーケッツ・ドット・コムの、ショーン・ブロドリック氏はこんなことを言う。「皆が同時にクーラーのスイッチを入れますから、送電網にかかる負担は膨大なものです。現に、ニューヨークやカリフォルニアでは、あちこちで停電が発生しています。」

米国の酷暑を喜んでいるのは、天然ガス投機者たちだ。7月初旬、天然ガスは5ドル47セントを記録し、2年ぶりの安値をつけた。しかし、異常な暑さが買い材料になって、先週木曜、値段は7ドル25セントまで急ピッチに回復した。ここが天井だろうか?「8月もこの暑さが続くことが、既に予報されています」、とベン・スミス氏は言う。

DTN社のアナリスト、ダリン・ニューソム氏は、「むこう30日から45日間で、天然ガスは8ドル50セント付近まで上がる可能性があります」、と述べている。

天然ガスの次に注目されるのがトウモロコシだ。インフォーマ・エコノミクスが発表した先週のレポートによれば、異常な熱波で、トウモロコシの質が四週間連続で下がっている。トウモロコシの質は、パーセンテージを使って、毎週農務省から報告されるが、一月前は高品質の71%、先々週は62%、そして先週は59%だ。

まだトウモロコシの減産は予想されていないが、DTNのニューソム氏はこんな見方をしている。「8月11日まで、農務省はトウモロコシの生産量予想を発表しません。しかし、異常な暑さによる被害を無視することはできません。トウモロコシは、数週間前に既にラリーを展開しましたが、中西部に降った雨で値段が下がりました。このように、トウモロコシ市場は天候に非常に敏感です。最悪の事態は既に去ったかもしれませんが、この暑さが続く限り、トウモロコシは以前の高値レベルに戻ることが考えられます。」

更に、あまりの暑さで家畜の食欲が減り、体重の減少も報道されている。現在、ライブキャトル(生牛)の先物は88セントで取引されているが、ニューソム氏は92セントから95セントを予測している。

(上記は、ダウジョーンズ社からの報道を要約したものです。)

もしオイル価格が三桁になったら 、世界経済はどうなる?

もしオイルが、1バレル100ドルになったら、世界経済は大打撃を受けるだろうか?そんな記事が、ビジネス・ウィーク誌に載っている。現在、約75ドル近辺で取引されているから、あと30%ほどの上げで100ドルだ。さっそく記事の要点を見てみよう。

現在の高い原油価格は、世界経済に大した影響を及ぼしていない。1970年代と1980年代のオイル危機の時とは、全く様子が違っている。しかし、オイルが100ドルに達した場合はどうだろうか?心理的な影響は言うまでもないが、もっとも経済的に被害を受けるのはアジア、そしてもっとも被害が少ないのはヨーロッパだ。

エスカレートする中東での紛争、それに8月、9月はアメリカのハリケーン・シーズンだから、1バレル100ドルの可能性を否定することはできない。こんなシナリオが考えられる。中東での紛争が更に広がり、ペルシャ湾からの供給量が減少するなら、オイルは間違いなく100ドルを突破する。

「メキシコ湾岸州に、去年のような大型ハリケーンが訪れるなら、原油は100ドルを記録するかもしれません」、とPFCエネルギーのアナリスト、サアド・ラヒム氏は言う。「BP、シェブロン、エクソンなどの製油所がメキシコ湾岸州にありますから、ハリケーンによる被害は需給関係を崩すことになるでしょう。」

1970年代と、1980年代のオイル危機は生産者側が問題になったが、今日のオイル高は生産者ではなく需要者側が作り上げたものだ。特に新興市場、中国を筆頭にして、アジア諸国でのオイル消費量は飛躍的に伸びている。輸出を主体にした経済で、アジア国民の収入が上がり、トヨタやGMの車が道にあふれるようになった。車があっても良い道路が無くては話にならない。政府は積極的に高速道路の建設に乗り出しただけでなく、高層ビル、電力発電所、と次々に新プロジェクトを展開している。もちろん、これら全てにはオイルが必要だ。

原油が100ドルになると、現在1ガロン(3.785リットル)あたり3ドルのガソリンは、5ドルに跳ね上がることが予測される。そうなれば、既に冷えこみの見られる米国経済は更に減速し、特に大手小売のウォルマートやターゲットの売上が下がることだろう。

海外のオイルに依存するアジアが、100ドルオイルで最も悪影響を受ける、と上記したが、全てのアジア諸国が同様な被害を被るわけではない。いまだにエネルギー消費の非効率的な工場が多い、タイ、マレーシア、そしてインドが大きな打撃を受けそうだ。

しかし、設備投資に力を入れてきた日本には、さほど影響は見れないことだろう。ほぼ100%のオイルを輸入する日本は、過去30年間、工場の近代化に巨大な金額を投入し、エネルギーの消費率の良さは、たぶん日本が世界で一番だ。

世界で最もエネルギーの無駄使いが多い中国は、こう語っている。「オイル高は中国経済を減速させる可能性があるが、それは現在の中国が直面している最も重要な問題ではない。今、中国が懸念しているのは、強すぎる経済をオーバーヒートさせないことだ。」

アジア経済を襲う三つの問題

韓国経済には一貫性がある、と経済コラムニストのウィリアム・ぺセック氏は言う。いったい、どんな一貫性だろうか?氏の話の要点を紹介しよう。

政府の役人には不本意なことだと思うが、韓国経済は期待を裏切り続けている。最近の実例を見てみよう。第1四半期、韓国の国内総生産は+1.2%を記録したが、第2四半期は、たったの+0.8%だった。これは2005年以来、最も弱い成長率だ。

勤勉な国民、高い生活水準、それに数々の難問を乗り越えてきた歴史を考慮すれば、韓国はもっと大きな成長を遂げていてもおかしくない。しかし、上昇するクルードオイル価格、そして世界的に上げ始めた短期金利が、韓国経済を不安定なものにしている。

2005年、54%の上昇を展開した株式市場も、今年は7%のマイナスだ。北朝鮮の核問題やミサイルを下げ要因に挙げる人もいるが、韓国政府は経済の活性化に苦戦しているから、投資者は積極的になれない。

韓国が、直ぐに不況やスタグフレーションに陥る可能性は先ず無い。しかし、アジア諸国の経済成長減速の前線に立つ韓国は注目だ。リーマン・ブラザーズのエコノミスト、ロブ・スバラマン氏はこう述べている。「アジア経済は、成長率下降の周期に入ったようだ。先日発表された韓国からのデータも証拠の一つだ。」

3月31日付けの資料によれば、中国は10%、そしてインドは8.4%のペースで経済が成長している。15年間の低迷を経験した日本も、安定した経済成長だ。全体的に見れば、アジア経済は、9年前の経済危機からは信じられないほどの成長を遂げている。

たしかに強いアジア経済だが、三つの問題がある。筆頭がオイルだ。今年に入って、クルードオイルは27%跳ね上がっている。韓国のように、ほぼ100%オイルを輸入しなければならない国にとって、オイル高は物価高を引き起こす。今までアジアの国々はオイル高に耐えてきたが、いよいよ物価高がアジア全域に広がりそうだ。

金利上昇も、経済に向かい風になるだろう。アメリカ、ドイツ、そして日本での金利引き上げ政策は、消費者信頼感を下げるはずだ。たとえば韓国だが、上昇するオイル価格と金利が原因になり、消費者信頼感は10カ月ぶりの低レベルに落ち込んでいる。

そして、三つめは米国消費者だ。中国、インド、そして日本は米国に大量な製品を輸出している。まだ現実化していないが、米国経済が冷え込んでしまえば、言うまでもなくアジア経済に悪影響だ。今アジアは、重要な局面に直面している。言い方を換えれば、経済の底力を実証する時が来たようだ。

住宅は低迷でも商業用物件は行ける!?

米国不動産は、完全に買い手市場になった、とトップ・セールスマンたちがCNNのインタビューに答えている。住宅市場の低迷が顕著になり、とにかく家が以前のように売れない。実際の数値を挙げよう。現在アメリカには、去年の同時期を39%も上回る、370万件の住宅が売りに出されている。専門家の見方によれば、これを全部売り切るには、6.8カ月の時間が必要だ。(去年は平均で4.4カ月だった。)

「今年ここまでを振り返ってみると、株式市場で目立つのは、商業用不動産に投資をしているファンドです」、と経済コラムニストのティム・ミドルトン氏は言う。「REIT(リート)と呼ばれる、不動産投資信託が好調です。平均で12.8%の利益があり、二桁の上昇率は最近7年間で6回あります。」一般住宅は冴えないが、商業用物件は、まだ伸びるのだろうか?ミドルトン氏の話を続けよう。

「不動産投資信託も、そろそろ危ない、という声を聞くようになりましたが、今日のような環境でも、不動産を完全に諦めることはありません。連銀の金利政策が、アメリカを不景気にしてしまう、と心配する人たちが大勢います。T・ロウ・プライスのファンド・マネージャー、デービッド・リー氏によれば、たとえ金利が上昇しても、商業用不動産は十分な成長が見込めるようです。

金利引き上げ=不況、と直ぐ思ってしまいがちですが、ここ10年、20年を振り返ると、深刻な不景気は無くなり期間も短くなっています。それだけ、連銀の対処方法が適切になっている、ということができると思います。

もう一つ指摘したいのは、株式市場が不調なため、既に現金化された大量な資金の存在です。不動産投資信託のニュースレターを発行しているバリー・ビノカー氏の調べによると、1000億ドルを超える資金が、商業用不動産に流れ込む可能性があるようです。」

大きく分けると、不動産投資信託にはオフィスビルや倉庫、工場などに投資するもの、小売店ビルに投資するもの、そしてアパートやマンションに投資するタイプがある。好調なのがオフィスビルとアパートだ。今年すでに20%以上の利益が出ている。逆に不調なのは小売店ビルで、今年ここまでの利益は3%から10%ほどだ。

主な不動産投資信託を記そう。

Vanguard REIT Index (VGSIX):過去5年間の平均年間利益は18.9%。
iShares Cohen & Steers Realty Majors (ICF):過去5年間の年間平均利益は20.5%。
T. Rowe Price Real Estate (TRREX) :過去5年間の年間平均利益は21.1%。
Cohen & Steers Realty Shares (CSRSX):過去5年間の年間平均利益は20.7%。
Phoenix Real Estate Securities (PHRAX) :過去5年間の平均年間利益は20.6%。








金買いを勧める不動産専門家

金が26年ぶりの高値、739ドル20セントを記録したのは5月12日のことだった。その後を見てみると、6月14日、569ドル90セント、7月17日、663ドル70セント、そして7月24日が615ドル10セント、と激しい動きを展開している。

ロバート・キヨサキ氏、といえば不動産で有名だが、こんなことを語っている。「私は今、金市場に買い手として参加しています。ここが底値でしょうか?まだ下がるかもしれません。しかし、500ドル台に下落するような事態が起きれば、迷わずに更に買い足すまでです。」

不動産の専門家が、なぜ金投資を推薦するのだろうか。ここで、キヨサキ氏は面白い話を持ち出している。さっそく聞いてみよう。

「1996年のことですが、私は金鉱採掘会社を中国に創立し、銀鉱採掘会社を南米で始めました。最終的に、両社ともカナダの証券取引所に上場されました。会社を始めた理由は、金と銀は安すぎる、と思ったからです。当時、金は1オンス当たり275ドル、銀は1オンス約5ドルでした。もちろん、私の見方が間違っていたら、会社は倒産したことでしょう。

私は、金と銀に無謀な賭けをしたのではありません。勝算はありました。1996年、原油は1バレル10ドルでした。これも、あまりにも安い値段です。また、ドルが極端に強かったですから、もし原油が上昇しドルが下がるなら、私は金と銀が上がることを直感しました。

今日の情勢を見てください。膨大な貿易赤字を抱えるアメリカ、いまだに続くイラクでの戦争、不安定なドル、そして上昇するオイル、と金銀買い材料ばかりです。

現在の状況は、1996年より悪い状態です。ドルの需要が減っているのですが、連銀はドルの供給量を増やしているようです。ご存知のように、低需要を無視して供給量を増大させると、その商品の価値は下がります。もし連銀が、本当にドルを下げたくないなら、バーナンキ議長は金利を真のインフレ率以上に引き上げる必要があります。

このまま連銀がドルの供給を増やし続けると、インフレは悪化し、ドルは大きく下落すると思います。だからと言って、金利引き上げ政策の継続は、アメリカ経済を弱らせ、不況を引き起こすことになるでしょう。もちろん、金利引き上げ継続は、ドルの下げにブレーキをかけることになりますから、金銀には悪材料です。しかし、ドルを救うことができても、高金利が経済に良いわけがありませんから、株式市場は低迷することになります。」

歴史的に見ると、オイルを1バレル買うには、2.2グラムの金があれば十分だったが、今日1バレル買うには、3.4グラムが必要になる、とキヨサキ氏は言う。「これは、オイルが高すぎるのでしょうか、それとも金が安すぎるのでしょうか?私にとって、答えは明確です。金が安すぎるのです。」

上場投信のススメ

Exchange Traded Funds、略してETFs、上場投信のことだ。以前はS&P500に投資するスパイダー(SPY)、それにダウ銘柄に投資するダイヤモンド(DIA)くらいしか聞かなかったが、今やアメリカン証券取引所に上場されているETFs数は160を超えた。

なぜ上場投信は長期投資者だけに限らず、デイトレーダーにも人気があるのだろうか?長期投資の主役は、いまだにミューチュアルファンドだ。しかし、ミューチュアルファンドは高いものだと申し込みの際に5%以上の手数料、そして毎年管理手数料もかかる。管理費は直接口座から引き落とされることはないが、ファンドに集まった運用資金から引かれるから、その分だけ配当金が減るわけだ。

ミューチュアルファンドに加入すると、投資金額に相当する株数が、ファンド会社から投資者に発行される。もし解約者が無く、申し込みだけだと、浮動株数は増え続けることになる。上場投信は株と同様に売買できる。上場されているわけだから、発行株数が変化することはない。手数料も、オンライン証券会社を利用すれば、ミューチュアルファンドより、ずっと割安だ。

デイトレーダーが上場投信を選ぶ理由は何だろうか?例えば上記したスパイダー(SPY)だが、以前ならS&P500指数の取引をしたければ、先物用口座が必要だった。しかし、スパイダーの登場で、証券会社の口座だけで指数取引が可能になった。

デイトレード用の銘柄には、一日の出来高が大切な要素になる。その点、スパイダーの一日平均出来高は9300万株もあるから、人気株グーグルの690万株を大きく上回っている。ダウ指数に連動するダイヤモンド(DIA)も900万株ほどあるから、デイトレードに支障は無い。

数日間株を保持する、スイングトレーダーにも上場投信は人気だ。オーバーナイトで株を持つスイングトレーダーにとって、格下げなどで起きるギャップダウンは悪夢だ。現に7月19日、収益関連ニュースでヤフーは2割近い下げで寄り付いた。

個別銘柄では、ヤフーのような極端な被害を起こす可能性があるが、スパイダーやダイヤモンドのように指数に連動する銘柄には、寄付きでの暴落は大きなテロ事件でも起きない限りありえない。それに個別銘柄は、アナリストによる格上げ格下げが頻繁だが、スパイダーを格上げ格下げするアナリストはいない。

上場投信には、160以上の種類があるから、きっと好きなものが見つかるはずだ。短期国債に興味があるならiShares Lehman 1-3 Year Treasury Bond Fund (SHY)、新興市場ならiShares MSCI Emerging Markets (EEM)、ナスダックのバイオテクノロジーならiShares Nasdaq Biotechnology(IBB)、日本株ならiShares MSCI-Pacific Ex-Japan (EPP)、とにかく豊富に揃っている。

詳しい上場投信の種類は、アメリカン証券取引所のホームページへ行って、左側のETFsのところをクリックしてほしい。ETFsの下にはHOLDRSがある。これも上場投信と全く同様だ。半導体セクターを追っている人なら、HOLDRSの人気銘柄、セミコンダクタHOLDRS(SMH)を利用すると良いだろう。

大投資家バフェット氏から学べる簡単な一ルール

「強気!?本気ですか?どこのマーケットの話ですか?」、という反応ならまだ良い。下手に強気論など吐こうものなら、変人扱いされるだけだ。悲観論が浸透してくると、好材料が無視され、投資者は悪いニュースだけに耳を傾ける。おまけにテレビでは、イスラエルによるレバノン爆撃が繰り返し報道され、第三次世界大戦の可能性まで討論されている。

こんな状況だから、インターネット株バブルが崩壊した6年前と現在を比較する人が多い。たしかに、JDSユニフェーズは140ドルから2ドル、そしてルーセントは50ドルから2ドルまで下落したように、多数の銘柄が叩き売られた。「血の海」、という言葉でマスコミは株式市場を表現したくらいだから、口座に大きな穴を開ける投資者が続出した。

「今、持ち株を全て売る必要はありません。大切なことは、口座を大きな被害から守ることです」、とティム・ハンソン氏(フール・ドット・コム)は強調する。少し話を聞いてみよう。

「マーケットが下げ始めると、人気株を中心に投資していた人たちが、一番大きな被害を受けます。逆にコントラリアンと呼ばれる、大衆と反対の投資をしていた人たちは、うまく下げマーケットを切り抜けています。代表的な例では、資金を減らさないことを第一にしているウォーレン・バフェット氏です。

人気株を追わないバフェット氏の投資方法は地味ですが、着実に利益を上げています。もちろん完璧に氏を真似ることは無理ですが、私たちが実行できる簡単な一ルールがあります。それは、長期間にわたって、配当金を払い続けている銘柄を狙うことです。

プロクター・アンド・ギャンブル、P&Gを先ず好例としてあげることができます。P&Gは1890年以来、ずっと配当金を払い続けています。そうです、1890年からです。1990年からではありません。P&Gといえば、退屈銘柄の筆頭のように思う人もいますが、過去15年間、毎年14.5%の利益をあげています。ですから、15年前1万ドルだった資金は、今日7万5000ドルになっています。

他には、ホーメル・フーズ(HRL)が1928年以来、そしてマクグロー・ヒル(MHP)が1937年以来、配当金を払い続けています。過去15年間の成績は、ホーメルが年利で12%、マクグロー・ヒルが年利で16%のリターンですから、S&P500指数など比較になりません。」

バブルが崩壊したのは2000年だから、ここでP&Gを月足で2000年から見てみよう。

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次はホーメル・フーズ。

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そしてマクグロー・ヒル。

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それでは、比較する意味で、人気株のヤフーを載せておこう。

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マーケットは幾何学的立場から分析しろ!

弁護士を目指して、ボストン大学の法学部に入ったところまでは良かった。しかし、講義は退屈でたまらない。けっきょく数カ月で中退、という経歴を持つのはデイトレード・チーム・ドット・コムの創始者、アンディー・スワン氏だ。

スワン氏がトレードを始めたのは、全米がブルマーケットで沸いていた1998年だった。以前から株には興味があったから、さっそくオンライン証券会社に口座を開設した。「初めて買いのボタンをクリックした瞬間から、私はトレードの魅力にとり付かれてしまいました。トレードの回数が増えるほど、自分のトレード知識不足を痛感しましたから、ありとあらゆる本を読みました。」

デイトレードが主体の、スワン氏が読みあさった本の9割9分はテクニカル分析に関するものだ。もともと理数系に強いスワン氏、数式が頻繁に出てくるテクニカル・アナリシスは性格とうまく合ったようだ。

さて、スワン氏のトレードは順調に進んだのだろうか?「ひじょうに強いマーケットでしたから、素人でも簡単に儲けることができました。あの頃は、今のようなデイトレードの資金規制がありませんでしたから、約1年で2000ドルで始めた口座が4万8000ドルになりました。本当に夢のようなマーケットでしたが、私も大衆といっしょになって、こんな相場が永久に続くと信じていました。」

2000年、米国株式市場は頂点に達し、インターネット株を筆頭にして大幅な下落が始まる。具体的な金額は分からないが、スワン氏も多大な被害を受けた。「ダウントレンドの恐ろしさを身をもって経験しました。しかし、下げ相場で利益を上げる方法があることも学びました。たしかに苦しい経験でしたが、トレード技術を向上させることができたのです。」

損を出すのは面白くない。しかし、スワン氏はこう忠告する。「特にトレードを始めて間もない人が陥りやすいことですが、損をすぐに取り戻そうと躍起になってはいけません。誰でも、次の取引で一気に挽回しよう、と思うものですが、これが更なる損を呼びます。焦りは良い結果に結びつきません。前回のトレードに関係なく、冷静にルールに従ってトレードすることが大切です。」

スワン氏が、最も好んで利用する指標は何だろうか?「MACD、ストキャスティクス、CCI、色々な指標がありますが、これらを利用しても、他のトレーダーに大きな差をつけることはできません。ですから私は、マーケットを幾何学的な立場から分析するようにしています。」

デイトレードを志す人たちに、スワン氏はこう勧める。「先ず徹底的にペーパートレードをして、トレード技術を身につけてください。一日で大きく儲けよう、といった態度は捨ててください。口座の残高ばかりに注意を払うのではなく、トレーダーが集中しなければいけないのは株の値動きです。」

あらゆる本を読みあさったスワン氏、おすすめは「テクニカル・アナリシス・オブ・ザ・ファイナンシャル・マーケッツ」(ジョン・マーフィー著)だ。

トレードに役立つ投資家の動き

「トレーダーは、投資者から何を学ぶことができるか?」、というコラムを見つけた。ジェームズ・ブラムリーという現役投資顧問が書いたものだが、少し中を覗いてみよう。

最も効果的なトレード方法は何か、と聞かれたら、どう答えるだろうか?人によってトレードスタイルが違うから、これが究極の手法だ、と断言できるものはない。しかし、あえて言うなら、優れたトレード方法は大衆が殺到する前に、売買シグナルを点滅させるものでなくてはいけない。

大衆という言葉を、「一般個人投資家」に置き換えると分かりやすい。トレーダーがいつも頭に入れておきたいのは、次の質問だ。「どんな事が起きたら、投資家が動くだろうか?」トレーダーと同様に、投資家が株を買う目的は利益を上げることだ。

それでは、投資家が買い銘柄を選択する場合、一番重要な要素は何だろうか?正解は収益だ。過去の収益が順調に伸びていることも大切だが、将来の見通し予想も重要だ。ご存知のように、大手証券会社のアナリストによる収益上方修正は、その銘柄に個人投資家たちを殺到させる。

企業収益に敏感な投資家の習性を、トレーダーは利用しなくてはいけない。必然的に、好決算が続く銘柄に個人投資家は集中するから、トレーダーはそれらの銘柄リストを用意すると良いだろう。

これ以外にも、ブラムリー氏はいくつかの点に触れているが、収益性に優れた銘柄リスト作成について説明しよう。

手っ取り早いのは、msn.comに行ってデラックス・ストック・スクリーナー(無料)を使って銘柄を選び出すことだ。500以上の条件が揃っているから、かなり細かく銘柄を選択することができる。いちいち自分で条件を設定するのが嫌なら、既存のスクリーナーを利用すると良いだろう。先ず、Try It Now!の下をクリックして、ページが変わったらI See The Chartをクリックしよう。

デックス・ストック・スクリーナーが分かりにくければ、もっと簡単に銘柄を選ぶ方法がある。このページを参照してほしい。Top Rated Stocks、というタイトルが示すように、ファンダメンタルやテクニカル要素を考慮して、トップクラスの株が選べるようになっている。個人投資家が参考にするのは、Overall Ratingの下にあるTop Rated 50だ。銘柄数は50だけだから、一つ一つチャートを調べても、さほど時間はかからないと思う。

msnが嫌いな人は、ヤフー・ファイナンスを使ってみよう。ここにも既存のスクリーナーがあるから、きっと気にいったチャートパターンを見つけることができるだろう。一番上の、Strong Forcasted Growthが収益性に優れた株探しには、最も適しているだろう。

買える理由を探してみよう

悪いニュースなら山ほどある。中東問題、北朝鮮のミサイル、オイル、短期金利、それに不安な企業収益、これだけあったら株は買いにくい。その他にも、下降が続く住宅市場、そして個人消費減少の兆しも見えるから、株はますます買いにくい。

周期的な理由もある。ストック・トレーダーズ・アルマナックの資料によれば、過去18年間、8月はS&P500指数にとって最悪な月だ。ダウ指数やナスダック指数にとっては最悪な月ではないが、8月は二番目に悪い月だから、どちらにしても良い話ではない。

「特に夏は、買い手に不利なマーケットです」、と言うのはレッグ・メーソンのトム・シュレーダー氏だ。「弱いマーケットですが、この状態は秋まで続くものと思われます。」

正に先週のマーケットは弱さが顕著だった。三日間でダウ指数は400ポイント近い下げだったから、強気な人でも心配になったことだろう。「短期的に見た場合ですが、マーケットは明らかに売られすぎです。小さな反発が何度か起きることでしょうが、全体的な流れは変化しないでしょう。ですから、8月、9月は下げ相場です」、とハリス・プライベート・バンクのジャック・アブリン氏もシュレーダー氏に賛成だ。

と書いてくると、「秋まで休め!」、と言っているように思われるかもしれないが、現在のような状況でも株を買っている投資者は当然いる。どんな理由で買っているのだろうか?理由のいくつかを見てみよう。

こんなオイル高では株は買えない、という投資者が多い。たしかに、インドや中国でのオイル消費量が大きく増大し、中東問題もオイル価格に悪影響だ。しかし、BPの最高経営責任者、ロード・ブラウン氏はオイル価格は現在の75ドル台から40ドル台への下落を予想している。

インフレも株を買えない理由の一つだが、ここ12カ月間で、消費者物価指数は4.1%の上昇だ。動きの激しい食品とエネルギーを除けば、上昇率はたった2.4%になり、オイル価格が安定すれば、物価指数は3%以下に下がる可能性が十分にある。

それでは、アナリストは実際にどの銘柄を推薦しているのだろうか?半導体装置の大手、アプライドマテリアルズ(AMAT)が割安だという。現在の株価収益率はかなり低いから、超格安ということらしい。

鉄道のバーリングトン・ノーザン(BNI)を推すアナリストも多い。高いオイルが、この銘柄の買い材料だ。輸送手段としてトラックと鉄道を比べると、鉄道の方が圧倒的にエネルギーコストの面で優勢だ。現に最近の四半期を見ると、バーリングトン・ノーザンの輸送量は19%増えている。

P&G(PG)やゼネラルエレクトリック(GE)も買い候補に挙げられているが、アナリストの言うことには一つの共通点がある。「マーケットの低迷が続き、魅力的な株価に達している銘柄が目立つようになった。長期投資者にとって、割安な株を拾うことのできる環境が揃いつつある。」

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