US Market Recap

早く仕事に行きたい!?

「なぜ働くのですか?」、と経済コラムやテレビでお馴染みのテリー・サビジ氏は質問する。月曜は労働者の日、アメリカは祭日だ。夏休み最後の週末だから、どこもかしこも混んでいる。仕事のことなど考えている人は少ないと思うが、サビジ氏の話を少し聞いてみよう。

「会社重役、ウェイトレス、セールスマン、起業家、私は先週、さまざまな人たちに働く理由を尋ねてみました。もっとも多かった答えは、ガス代、電気代、教育費、と色々な出費があるから働くのは当然だ、というものです。言い方を換えれば、働かなければ生きていけない、ということになります。

もちろん、全ての人は同じ理由で仕事をしているわけではありません。ある起業家ですが、「仕事をするのは勝つためだ」、という答えが返ってきました。ビジネスを始めてみると、思ってもみなかった難題にぶつかることがあります。そんな時チャレンジ精神を旺盛にして突き進めば、難問も解決方向に進みます。ですから、難題に勝つことは起業家に成功を約束します。

起業家のように、情熱を持って働くことのできる人たちはラッキーです。ほとんどの人たちにとって、仕事は単なる仕事であって、それ以上のものではありません。全く残念な現状です。

企業の経営陣たちは、なぜ働くのでしょうか?こんな回答が返ってきました。「とにかく大きなことを成し遂げたい。それが私の夢です。気の合ったメンバーといっしょに、ビジネスプロジェクトを推進していくことほど興奮するものはありません。」ある女性経営者は、こう語っています。「毎日仕事をするのは、チャレンジすることが楽しいからです。皆が一つになって、目標に向かって進みます。この過程で私たちは、すばらしい人間関係も築き上げることができます。」

これはウェイターが言ったことです。「家賃や食費だけのために働いているわけではありません。昼間は大学に通っているので、授業料を稼ぐのが一番の目的です。」

既に退職したのですが、現在パートで働く年配者はこう言います。「本当ならゆっくりと隠居生活を楽しみたいところですが、医療費が高いですから、そうも言ってはいられません。医療保険が十分でないので、パートで働くことにしました。」

小学校の教師はこう述べています。「やがて今日の子どもたちが、将来のアメリカのリーダーになるのです。アメリカの将来は子どもにかかっています。ですから、私も子どものために全力をつくします。」

皆さんは仕事に行くのが楽しいでしょうか?それとも嫌々出かけますか?もし嫌々なら労働者の日の今日、自分は本当に何に適しているかを考えてみることをすすめます。」

相場の名言

馬渕 一氏(デイトレードネット代表取締役)がステップアップ全国縦断セミナーを開催する。9月17日は名古屋、そして18日の大阪を皮切りに主要都市を回ろうというものだ。「リバーサルを食らって、ロスを出してもリベンジできる」、という未公開の手法も学べるから興味深い。

さて、「俺は相場師だ。相場に生き、相場に死ぬ。相場いがいのことに手をだすのは、すべて邪道だ」、の名言で知られるのは、「怪物相場師」の異名を持った近藤信男氏だ。ご存知のように、相場の世界には様々な名言がある。そこで今日は、米国ウォール街の名言をいくつか紹介しよう。

その前に、もう一つ日本からの名言を記そう。言ったのは有名人ではないが、前記した近藤氏の母親だ。氏が慶応大学に在学している時の話だが、既に株を始めていた氏は暴落で大穴を開けてしまった。金の工面がつかなくなり、仕方なく名古屋へ帰って父親に頼むことにした。しかし、父の顔を見たら何も言えなくなってしまった。

どうにでもなれ、と氏はヤケになって昼間から布団にもぐりこんだ。こんな様子を見ていた母親が部屋に入ってきて、強い調子でこう言った。「信男、よくお聞き。お前はそんなことで気がすむのかえ。逆境になりゃなるほど強くなるのが相場師というものじゃ。谷深ければ山高しともいうじゃないの。さあ、これでもう一度、勝負を張っといで。」

それでは、ウォール街の名言に移ろう。

「物事には二つの面があるという。しかし、株の世界にあるのは一つだけだ。買い、売り、と人々は自分の立場を強調するが、正しいのは片方だけだ。」(ジェシー・リバモア)

「私のトレード方法の全てを皆さんに公開しても構いません。ほとんどのトレーダーたちは、先ず感情をコントロールすることができませんから、完全に私のやり方を真似ることなどできません。」(リンダ・ブラッドフォード・ラシュキ)

「株は芸術的なものであって科学ではない。数学的なやり方だけに頼るのは、わざわざ自分を不利な立場におくようなものだ。」(ピーター・リンチ)

「色々なセクターに分散投資するのは何も分かっていない証拠です。」(ウォーレン・バフェット)

「株式投資で財産を築くには、先ず資金を大切にすること。中途半端な銘柄に手を出すのではなく、本当のチャンス到来を待つことです。」(ビクター・スペランディオ)

「絶好の買いチャンスは皆が超悲観的な時、そして絶好の売りチャンスは皆が超楽観的な時だ。」(ジョン・テンプルトン)

「マーケットに生き残ることが第一、儲けを考えるのはその次だ。」(ジョージ・ソロス)

「成功しているトレーダーは相場心理を適切に読み、常に大衆の逆を行くものだ。」(WDギャン)

値動きが現実、意見はフィクション

「トレードで成功するには現実を無視してはいけません」、と言うのはロス・フックで知られるベテラン・トレーダー、ジョー・ロス氏だ。私たちの意見とは無関係に、マーケットにはレジスタンスレベル、そしてサポートレベルなどが現実として存在する。どんなに威勢良く買いを入れても、直ぐ上にレジスタンスラインがあったら株は上がらない。遅かれ早かれ、トレーダーは間違いに気付くことになる。しかし、即座に持ち株を処分できなければ、これも現実を無視していることになる。ロス氏の話を続けよう。

「思惑が外れると、多くのトレーダーは適切な対応をすることができません。十分な分析をしたにもかかわらず、その結果が間違っていたことを認めるのは、決して嬉しいことではありません。自分をごまかすのはやめて、現実を直面してください。ただでさえトレードは難しいのですから、自分の意見を正当化することに時間をつぶすのではなく、値動きだけに注目してください。

私も中々マーケットを直視することができませんでした。そこで、一つ一つマーケットを無視した理由をノートに書いてみました。おかげで、本当の自分の姿を見ることができたようです。私のしていたことは、株価が自分の思った方向に動くことを強く希望しただけでした。いつも正しいのはマーケットだ、という言葉があるように、どんなに念じてもマーケットは自分の意思に関係なく動きます。私たちにできることは、マーケットに対する対応方法を変えることだけです。ああでもない、こうでもないと悩むのではなく、トレード技術を向上させるために時間は有効に使いたいものです。

思惑が外れてしまう原因を少し考えてみましょう。先ず、マーケット状況の変化があります。横ばい状態だったマーケットが、いきなりブレイクアウトなら、今までの手法は使えません。ベアマーケットのやり方を、ブルマーケットに適用できないことは誰でも知っています。しかしマーケットの変化、という現実が直面できないと損だけが大きくなっていきます。

不思議なことですが、トレーダーは良い結果を出していたにもかかわらず、他のトレード方法に乗り移ることがあります。それで更に利益が伸びれば問題はありませんが、多くの場合は失敗に終わります。うまくいっているなら、そう簡単にやり方を変えてはいけません。いったん手法を変え始めたら終わりがありませんから注意してください。」

トレード指導も行うロス氏は、こんなことも言う。「トレーダーという職に、引け目を感じている人が意外と多いのに驚きました。極端な例ですが、トレーダーはギャンブラーのようなものだから、世の中には何の益にもならない、というわけです。トレードで得た利益で家族を養い、そして教会などに寄付することは素晴らしいことです。参加者無しでは、マーケットは成り立ちません。トレーダーはマーケットを支える重要な一部です。」

本格的にテクノロジー銘柄が買える時期が来た!?

7月、107.0だった消費者信頼感指数は、8月、99.6に下落した。ビジネスウィークの報道によれば、これほど極端に下がったのは、去年メキシコ湾岸州を襲ったハリケーン・カトリーナ以来初めてになる。このニュースを深刻に受け取ったのは小売業界だ。消費者がこう悲観的では、クリスマスの売上が予想以下になってしまう可能性がある。

小売業界にとって、クリスマスギフトを中心にした年末の売上は重要だ。約40%の年間売上は年末に集中しているから、ここで消費者が倒れてしまったらどうしようもない。8月の売上は、年末の売上を予想するために使われるが、1ドル均一の安売り専門店から、高級品を扱う店まで、どこも8月は満足な結果でないようだ。

やはりアメリカは不景気に陥るのだろうか?たしかに、国内総生産や住宅市場には冷えこみが見えるが、消費者は本当にデジカメ、大画面薄型テレビ、それにビデオゲームなどを買わなくなってしまうのだろうか?ウェルズ・キャピタル・マネージメントのマーケット戦略家、ジェームズ・ポールソン氏はこう語っている。

「住宅市場の落ち込みは否定しませんが、商業用不動産は現在も好調です。それにサービス業や製造業も健全な状態ですから、雇用状況がいきなり大きく悪化することはありえません。更に、平均労働時間も長くなっていますから、消費者の収入は増えています。

アメリカが不景気になることはありません。連銀は17回連続で金利を引き上げましたが、現在の5.25%は歴史的に見て、まだ低い水準です。安いドルも好材料です。海外へ輸出される米国製品の需要増大に結びつきます。また、米国企業は多額な現金を保有していますから、少し経済が下向きになった程度では企業に痛手を与えることはできません。」

米国経済に大した心配がないなら、これから積極的に株を買えるだろうか?経済コラムニスト、マイケル・ブラッシュ氏の意見を紹介しよう。

「8月から10月の半ばにかけて、テクノロジー銘柄は低迷する傾向があります。しかし、今年は例外になるかもしれません。理由はテクノロジー銘柄の空売り残があまりにも多いのです。ですから、空売りの買い戻しがマーケットラリーの発端になることが考えられます。

有望な銘柄の一つはアカマイ・テクノロジーズ(AKAM)です。皆さんの中には、インターネットでワールドカップを見た人がいると思います。これには、アカマイのサーバーが使われています。スポーツだけでなく、アカマイの製品はアップル・コンピュータやマイクロソフトでも使用されています。

家庭には高速インターネットが急ピッチで広がり、オンラインでのビデオや音楽の需要はこれから益々増えることでしょう。それだけでなく、インターネット電話も普及していますから、これもアカマイに好材料です。もちろん、アカマイにはグーグルやヤフーの競争相手がいますから、サン・マイクロシステムズ(SUNW)の投資も面白いでしょう。」

格上げよりも良いニュース!?

アナリストを株投資にうまく使う方法はないだろうか?マネー誌のマイケル・シビー氏は、こんなことを述べている。「買い推奨、売り推奨、と毎日忙しいアナリストですが、特に大型優良銘柄に出される推薦はあまりパッとしません。もちろん、それだけの理由でアナリストを完全に無視することはありません。なぜなら、賢いアナリストの利用法があるからです。

大型優良銘柄の買い推奨がパッとしない原因は何でしょうか?一番の理由は、大型優良企業を追っているアナリストの数が、あまりにも多すぎるためです。ありとあらゆる情報がチェックされ、正に調べつくされていますから、新材料を見つけることは先ず無理です。

もう一つの問題は推奨が出されるタイミングです。個人投資者たちは、どのようにして買いや売り推奨ニュースを得ているでしょうか?ほとんどの場合、CNBCなどの株番組やインターネットが情報源です。頭に入れておいてほしいのは、今朝買い推奨が出たからといって、それが今朝初めて出されたとは限らないのです。場合によっては、既に数週間以上も前に出されている可能性があります。(注:とうぜんながら、大衆が一番最後に格上げニュースを入手する。重要な発表は、先ず機関投資家などの優先客に公表される。)

格上げは、新資金を流入させる結果になりますから、株にとって好影響です。しかし、単なる格上げよりも更に強力なものがあります。それは、アナリストによる収益上方修正です。ザックス社のアダム・コーエン氏は、こう述べています。「アナリストによる収益上方修正は、企業の来年度の利益が伸びる可能性が高いだけでなく、長期的な収益上昇スピードも加速することが予想されます。それに、一人のアナリストが収益上方修正を発表すると、他のアナリストも後を追うように収益上方修正をする傾向があります。」

それでは、具体的にどんな銘柄が狙えるのだろうか?シビー氏は次の二銘柄をあげている。(注:これらは投資アイディアであり、買い推奨でないことをお断りしておきたい。)

FedEx(FDX):5月31日に終了した会計年度の収益は25%増だった。FDXは宅配会社だが、特別料金を設けて、急騰するオイル問題を適切に解決した。今後の課題は2004年に買収した印刷・コピー店のKinko'sの収益を改善することだ。

メリルリンチ(MER):大手証券会社メリルリンチの第2四半期収益は、44%の大幅な伸びを記録した。停滞気味の株式市場の影響を受けて、まだMERの株価は4月の高値から14%ほど下だ。2007年度の予想収益を使って計算した株価収益率はたった10.1だから、割安な株価も魅力だ。

なぜ移動平均線を使うのか?

株の勉強を始めてしばらくすると、だれでもぶつかるのが移動平均線だ。アメリカでは20日、50日、そして200日移動平均線が広く使われているが、投資心理研究で知られるブレット・スティーンバーガー氏は、こんな質問をする。「二本の移動平均線がクロスした、株価が移動平均線を突破した、といったことをよく耳にしますが、移動平均線を利用する価値は本当にあるのでしょうか?」

移動平均線ほど人気のある指標は他に無いのではないだろうか?現に、移動平均線が入っていないチャートブックを見つけるのは難しい。あまりに一般的になりすぎているから、今さら改まって移動平均線を使う意味があるか、と聞かれても返事に困ってしまう人もいることだろう。スティーンバーガー氏の話を続けよう。

「実際にS&P500指数を1950年までさかのぼって調べてみました。使った移動平均線は50日移動平均線です。50日を選んだ理由は、それが中期トレンドを見るために、多くの投資家たちが使っているからです。

1950年から今日までの取引日数は14290日あり、S&P500指数が50日移動平均線より上で引けたのは9044回、そしてそれより下で引けた回数は5246回でした。S&P500指数が50日移動平均線より上にある場合、次の50日間で平均1.65%の伸びがあり、逆に指数が移動平均線より下の場合は、次の50日間で平均1.85%の伸びがありました。ですから、指数が50日移動平均線の上か下では大した差がありません。

しかし、顕著だったことがあります。1995年から1999年のようなブルマーケットの場合、指数が50日移動平均線以上なら買いに徹することが正しく、2000年から2002年のようなベアマーケットでは、たとえ指数が移動平均線より上になるようなことがあっても、買い手に分はありませんでした。

指数が移動平均線より上か下かだけに気を配るのではなく、何パーセントほど離れているのかに注目すると、面白いことが見つかります。たとえば、指数が5%以上50日移動平均線より上にあると、次の50日間で指数は平均で2.46%の上昇です。反対に指数が50日移動平均線より10%以上離れて下にあると、マーケットは一時的な底である可能性が高く、次の50日間で約5%の伸びです。

指数が50日移動平均線から2%以内にある場合は、はっきりと強気とも弱気とも結論することはできません。重要なことはこれです。指数が50日移動平均線より上か下かは問題でありません。二本の移動平均線のクロスにも大した意味はありません。大切なのは、どの程度指数が移動平均線から乖離しているかです。極端に離れている時が売買チャンスです。」

需給バランスが崩れた米国住宅市場

不動産のことを英語でリアル・エステート(real estate )という。リアルには本物という意味があり、エステートは財産だから、不動産は本物の財産ということになる。いかにも確実な投資、という雰囲気があるが、この本物の財産が下げ始めている。

90年代末、インターネット株が異常に上げていた時、言い方を換えれば天井をつけていた時、投資者たちは安心しきっていた。「これからは新経済の時代だ。古い尺度でインターネット銘柄の価値を測ることはできない。新しい株には新しい物差しが要る。」そんな意見が主流だったことを思い出す。

不動産警戒論が全く無かったわけではない。あくまでも少数派だが、一年ほど前から不動産バブルを警報するアナリストやエコノミストが目立ち始めた。しかし、大衆の信じていたことはこれだ。「たしかに住宅市場は天井に近いかもしれない。金利が上がっているから、専門家たちが言うようにアメリカ経済が下向きになることも考えられるが、不況に陥ることは無いだろう。経済成長速度が少しにぶる程度だから、住宅市場は悪くても毎年6%の上昇を維持するはずだ。」

先日発表されたレポートによれば、7月分の新築住宅中間価格は23万ドルだったから、去年の同時期と価格は変わらない。だが、6月分と比較すると1.6%の下落だ。更に4月分と比べれば、中間価格は10.5%も下がっている。もう一つ付け加えれば、新築住宅販売件数は21.6%減、とも発表されているから、誰の目にも不動産の下向きは明らかだ。

「需給バランスが完全に崩れています」、とエコノミストのポール・カスリエル氏は指摘する。「供給量が需要を大きく上回っていますから、住宅価格は下がる必要があります。向こう二年間ほど下げ基調が予想され、その後は直ぐ上げに転じるのではなく、しばらく横ばいになるでしょう。」

最近の傾向を見てみると、新築住宅を購入する理由はそこに住むためでなく、あくまでも投資が目的だった。CNNニュースによれば、下向きが顕著になった今日、投資家たちがいっせいに物件を売りに出し、これが住宅価格下落の一因になっている。現在アメリカには、売りに出されている住宅数は56万2000件あり、一年前より22%も増えている。

不動産の冷えこみは、とうぜん米国経済にダメージを与える。労働省の統計によれば、住宅建築ブームだった2005年、新規雇用の10%は不動産関連職だった。しかし、住宅市場がスランプになた今日、建築業界は既に今年だけで2万5000人以上の人員を解雇している。

「住宅市場ブームで、不動産が米国経済の重要な一部になりました。恩恵を受けたのは、不動産業界に従事する人たちだけではありません。住宅価格が急ピッチで上がりましたから、消費者たちは不動産ローンの借り換えをして、多額な現金を手に入れました。これが強かった個人消費の原因です。しかし、住宅市場に陰りが見え始めた今日、消費者たちは以前のように簡単に現金を手に入れることができません。個人消費が衰えることになりますから、アメリカ経済も下降します」、とカスリエル氏は言う。

中国経済がアジアを救う!?

アジア経済は、いつになったら米国から独立できるだろうか?こんな質問をするのは、経済コラムニストのウィリアム・ぺセック氏だ。「中国の急成長だけでなく、インドも力強い伸びを展開し、東南アジアの経済成長には目をみはるものがあります。しかし、アメリカが崩れたらアジアもダメになる、という考え方がいまだに多いのはなぜでしょうか?」

たしかに、昔の話だが、アメリカがくしゃみをすると、日本は風邪をひく、という言葉があった。もっと極端な例なら、アメリカが風邪をひくと、日本は肺炎にかかる、などと言う人たちもいた。もちろん、今日の日本は全く違う。きびしいデフレから立ち直っただけでなく、内需も大きく改善させ、アメリカへの輸出ばかりに頼る必要が無くなった。ぺセック氏の話に戻ろう。

「中国経済が伸びた、と言っても、そのサイズは米国経済の五分の一にも及びません。ですから、日本は含めませんが、全アジアの経済はアメリカ国内総生産の40%以下です。アジアの国々に共通していることは貿易黒字です。これが意味することは、アジアは完全に外需型経済、ということになります。

そんなわけで、世界最大の貿易国家アメリカの経済が冷え込めば、外需型国家であるアジアも低迷する、というわけです。もちろん、この考え方に反論する人たちもいます。DBS銀行のエコノミスト、デビッド・カーボン氏はこう話しています。「アメリカ経済の減速は、皆が予想するような打撃をアジアに与えることはありません。向こう5年間を考えてみると、急成長するアジア経済は内需も大きく好転させます。ですから、アメリカの低迷は、以前のようなダメージをアジアに及ぼすことはありえません。」

スタンダード・チャータード銀行の、カルム・ヘンダーソン氏も同様な意見です。「中国経済を考慮すると、米国経済が下向きになっても、今回はアジア経済が大きな影響を受けることはないでしょう。」更に、ATRキム・エング・キャピタル・パートナーズのルズ・ロレンゾ氏は「米国への輸出が重要なアジアにとって、アメリカ経済の下降はたしかにマイナス材料です。しかし急成長する中国、それに上昇が始まった日本経済がありますから、アジア全体が大きく冷え込むことはありません。」

本当に中国経済がアジアを救えるのでしょうか?2兆2000億ドルに及ぶ中国経済は、肝心な金融システムがしっかりしていません。それだけでなく、ますます悪化する公害や政治不安もあります。クレディ・スイス・グループのエコノミスト、タオ・ドング氏はこう述べています。「現在の中国で需要が高いのは原料や機械です。しかし、これらは外需に応えるために使われますから、アジアが恩恵を受けることはありません。中国はアジアの国々から家電製品を買っていますが、これも最終的にはアメリカへ向かいます。米国経済が落ち込めば、間違いなく中国経済も減速します。」

いつかアジア経済が米国から完全に独立できる日が来るかもしれません。しかし、それを実現するには、まだアメリカからの助けが必要です。」

複雑、頻繁、無計画

トレード計画無しでマーケットに臨むのは、トレード失敗計画をたてたのと同じことだ、とベテラン・デイトレーダーのハービー・ウォルシ氏は言う。ナスダック銘柄を中心にトレードする氏は、時おり新人トレーダーの個人指導もしている。「多くの人たちをコーチしてきましたが、ほとんどの新人は同様な間違いを犯します。失敗から学ぶ重要性が強調されていますが、なにもそれは自分の失敗に限られたことではありません。他のトレーダーが犯しやすい間違いを、あらかじめ知っておくことはトレードの向上に役立ちます。」ウォルシ氏の指摘する、トレーダーが失敗する原因のいくつかを見てみよう。

1、トレード方法が複雑すぎる。
あまりにも末梢的なことを気にするトレーダーが多い。すべての細かい点まで考慮していたら、トレード方法が複雑になり、トレードを必要以上に難しくしてしまう。最初は簡単な方法で始めるのだが、一度損を出したり、思ったような成果が上がらないと、トレーダーはさっそく手法の改善を試みる。これが結局トレードを複雑にしてしまうわけだ。

どんなに優れたトレード方法でも百発百中はありえない、という当たり前な事実を覚えていてほしい。一度や二度の失敗で、簡単にトレード方法に手を加えることはやめた方が無難だ。それよりも徹底的に同じやり方でペーパートレードを重ねて、手法の確実さを検証しよう。二連敗、三連敗ということが起きても、通算でプラスならそのトレード方法は使いものになる。

2、トレード手法の頻繁な乗り換え。
これは上記1に関連し、ほとんどの場合、損がきっかけになる。繰り返すが、この世の中にパーフェクトなトレード方法は存在しない。しかし、損が続くと多くのトレーダーは完璧な手法探しを始める。セミナーからセミナーへ、新ソフトウェアの購入、ニュースレターの新規購読、幻のトレード方法を求めて出費ばかりが増えていく。

なぜトレーダーは、こんな無駄な努力に金と時間を費やすのだろうか?簡単に言ってしまえば、現実を直視できないのが問題だ。ソフトウェアから出される買い、売りシグナルだけで、マーケットは簡単に儲けさせてくれない。この事実を受け入れられない限り、永久に手法探しが続くことだろう。勝率の高い方法を手に入れたら、それを完全に自分のものにすることが重要だ。

3、トレード計画が無い。
細かいトレード計画をたてる前に、トレード目標を明確にしてほしい。ただ、漠然と儲けたいでは困る。あなたは儲けた金で何をしたいのだろうか?

トレード方法によってチャートパターンは異なるが、事前にエントリーポイント、脱出ポイント(損切りも含める)を決め、実際に日誌の形で記録しよう。ノートに書き残すことでマーケット終了後に復習することができるから、トレード上達に有益であることは言うまでもない。売買ポイントだけでなく何株買うのか、といったポジションサイズもあらかじめ決めておこう。

宗教と富

どうやったら金持ちになれるだろうか?「そのヒントは、聖書の中にあります」、と言うのは不動産セミナーで有名なロバート・キヨサキ氏だ。さっそく少し話を聞いてみよう。

「金持ちになれない最大の理由は、それなりの努力を怠っているからです。次の理由は、よこしまな心が金持ちになることを妨げています。お断りしておきますが、私は聖書の専門家ではありません。それに、あまりに宗教熱心な人も苦手です。宗教を信じる信じないは個人の問題であり、だれからも強制されるべきものではありません。

少しそれましたが、新約聖書にはよこしまな心と富に関する記述があります。もちろん、聖書の解釈方法は一つだけではありません。あくまでも私流の解釈ですから、皆さんを批判するつもりは全く無いこともお断りしておきます。

物語は、マタイによる福音書にあります。ある一家の主人が、長い旅に出ることになりました。出発前に主人は、ある召使に5枚の金貨を与えました。次の召使には2枚の金貨、そしてもう一人の召使には1枚の金貨を与えました。

旅から戻ると、5枚の金貨を受け取った召使は、金貨を倍の10枚に増やしていました。2枚受け取った召使も同様に倍に増やし、枚数は4枚になっていました。これを見た主人は大喜びです。「よくやった。あなた方は忠実な召使だ。少ないものに忠実だったから、これからはもっと多くのものをお前たちに管理させよう。」

さて、三人目の召使はどうなったのでしょうか。この召使は、主人を恐れていましたから、金貨を増やすことは考えず、与えられた1枚の金貨を土の中に埋めました。主人はこう言いました。「よこしまな心を持った怠惰な召使だ。もしお前が、私が蒔かないところから刈り取ることを知っていたなら、私の金を銀行に入れておくべきだった。そうすれば、利息付きで返してもらえたのに。」

けっきょく主人は、何もしなかった三人目の召使から1枚の金貨を取り上げ、それを金貨を10枚に増やした召使に与えました。これが物語ですが、聖書はこうしめくくっています。「だれでも持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまで取り上げられる。」

私の解釈はこうです。人々が貧乏になるのは、よこしまな心を持ち怠惰だからです。私の好きな箇所は「少ないものに忠実だったから、これからはもっと多くのものをお前たちに管理させよう」です。この主人が神だとすれば、神は怠惰な、よこしまな心を持った貧乏人が嫌いです。」

さらにキヨサキ氏は、こんなことを付け加える。「多くの教会リーダーは、金を邪悪なものと決め込み、貧乏な人々を擁護します。しかし、聖書は逆です。主人が好むのは、少ないものを忠実に増やせる召使です。」

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発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット