US Market Recap

その判断は正しい?

株や先物トレードで、あなたの犯しやすい間違いは何だろうか?一つの銘柄だけに、必要以上の資金を投入してしまう。損の出ている株を更に買い足してしまう。あらかじめ決めておいた株価で損切りができない。他人から聞いた情報を鵜呑みにして感情買いをしてしまう。損を取り戻そうと、躍起になってリベンジ・トレードをする。スリルだけを求めて頻繁なトレードをしてしまう。まだ他にもあると思うが、「トレードの心理」(The Psychology of Trading )の著者、ブレット・スティーンバーガー氏は、トレーダーはもっと根本的なところで間違いを犯している、と指摘する。話を聞いてみよう。

「判断の仕方に誤りがあることに気がつかないトレーダーがいます。たとえば、ある町の一角で、市民たちからアンケートを取りました。65%の人たちが現在の市長を支持し、次の選挙でも現市長に投票する、という返答が得られました。これと類似することが、トレードでも起きます。次の言葉を考えてみてください。

・マーケットは上昇基調だ。
・2対1の割合で上げ銘柄数が優勢だ。
・マーケットは1週間ぶりの高値を記録した。
・今日のボラティリティは今月の最低値だ。
・マーケットは横ばいゾーンからブレイクアウトした。

二番目の、「2対1の割合で上げ銘柄数が優勢だ」を例にとりましょう。この言葉を聞いたら、あなたはどう思うでしょうか?多くのトレーダーは、「マーケットは強い。今日は積極的に買える」、と判断することでしょう。このように、現状データを基に、トレーダーは判断を下すのですが、ここで注意が必要です。

市民の65%が現市長に再投票する、の例に戻りましょう。これだけで、現市長が再選される、と簡単に判断して良いのでしょうか?もちろんダメです。ある一角でのアンケートですから、他の場所でもアンケートを取らなくてはいけません。」

もっともな意見だと思う。A地区で市長の人気が高くても、B地区やC地区でも同様な結果が得られるとは限らない。「2対1の割合で上げ銘柄数が優勢だ」、という場合も、これはどこから得た情報か、先ず確認しないといけない。この数値は、ニューヨーク証券取引所の状況だろうか、それともナスダック市場だろうか?

あなたがナスダック銘柄の買いを考えていた場合、ナスダック市場の上げ銘柄数が2対1で下げを上回っていたら、買いを実行するべきだろうか?強いのだから買ってしまえ、と思われるかもしれないが、もちろんそれだけでは買えない。あなたの買いたいのは、ナスダック市場で取引される半導体銘柄だったとしよう。ナスダックが強くても、半導体指数が下げているなら、買いは控えた方が安全だ。

更にスティーンバーガー氏はこう付け加える。「2対1の割合で上げ銘柄数が優勢だった場合、明日もマーケットが上げる確率はどれほどあるでしょうか?そういったデータが無いまま、単に強いからといって買うのは危険です。」

ファンドの動きに注目

先ず下のチャートを見てほしい。2003年8月、40ドル以上だったクリスピー・クリーム・ドーナツ(KKD)は、現在たったの8ドル8セントで取引されている。

0913kkd.gif

アナリストはどんな見方をしているのだろうか?3カ月前の様子を調べてみると、1人が買い、1人がホールド(中立的意見)、2人が売り、そして2人が強い売り推奨を出していた。そして今月、6人いたアナリスト数が2人減って、2人が売り、そして2人が強い売り推薦だ。人気銘柄なら追っているアナリストの数は増える。クリスピー・クリーム・ドーナツは正にその反対だから、本当に見込みが無いのだろうか?

昨日、また悪いニュースが出た。現在、クリスピー・クリーム・ドーナツには証券取引委から取調べが入っている。決算内容に不審な点があるためだ。そんなわけで、7月に終了した四半期の決算報告が予定どおりにできなくなってしまった。ここで面白いのは、そんなニュースにもかかわらず株価は下げなかった。

「チャートを見てみろよ。ここまで下げたんだ。悪材料は全て織り込み済みさ!」「織り込み済み」、という言葉は非常に便利だ。上げても下げても使える。とにかく手っ取り早く株価を説明するなら、この「織り込み済み」で十分だ。冗談はこれくらいにして、株価が下げ渋っている原因を少し探ってみよう。

ジョージ・シュルツ氏が指揮をとるシュルツ・アセット・マネージメントは、約5.6%に相当するクリスピー・クリーム・ドーナツの株数を保有している。ここまで積極的に買っているのは、株価が極めて割安、と判断したからだ。シュルツ氏はこう説明する。「売上の悪い店の閉鎖も順調に進み、現会計年度の収益は5億ドルを超えることになるでしょう。取調べなどの悪材料で大衆から見捨てられている状態ですが、暗雲が消え去ってしまえば、買収のターゲットになる可能性もあります。」

アメリカ人は、通勤前に軽い朝食としてドーナツとコーヒーを買う。だから、強力なライバルはダンキン・ドーナツとスターバックスだ。ロサンゼルスで、18のクリスピー・クリーム・ドーナツ(フランチャイズ店)を経営するリチャード・レイニス氏はこう語る。「今年3月、クリスピー・クリーム・ドーナツに新最高経営責任者が就任しましたが、今のところ期待したような変化はありません。」

レイニス氏や他のフランチャイズ店経営者が期待していたのは、会社側が積極的にテレビや雑誌を通して、大々的な宣伝をしてくれることだった。たしかに新しいコーヒーになったが、これだけではスターバックスやダンキン・ドーナツに対抗できない。会社をあてにすることはできない、と結論したレイニス氏は個人的にある人気コーヒー会社と契約して、売上向上に必死だ。

さて、クリスピー・クリーム・ドーナツを買い増しているのは、ジョージ・シュルツ氏だけではない。発表された数字を見ると、ミューチュアルファンドも買い足している。たとえば、ロイス・オポチュニティ・ファンドは12万4100株買い増して、現在の保有数は98万4400株、そしてUSマイクロキャップ・シリーズは7万4100株買い足して、保有株数が54万3400株になっている。

債券投資は安全?

債券市場のブルマーケットが始まった。こんなビル・グロス氏(PIMCOファンドマネージャー)の言葉を信じて、7月に中期優良債券の投資を始めたら、既に2.5%の利益が出ている。なんだ、たったそれだけか、と思われるかもしれないが、中期債券でそれだけのリターンを得るには、通常約6カ月が必要だ。

「まだ、誰にも完全にアメリカの金利引き上げ政策が終了したかは分かりません。しかし、格付けの高い優良債券に、投資者たちが戻り始めています」、と言うのは経済コラムや投資コメンテーターとして知られるティム・ミドルトン氏だ。「キャピタルゲインを狙う株投資家にとって、債券はつまらない話かもしれませんが、今こそ債券に注目すべきです。」

債券、と一口に言っても社債、地方債、それに国債などがある。長さも30年物もあれば、3カ月物の国債もある。いったい、どれに注目すれば良いのだろう?ミドルトン氏の話を、もう少し聞いてみよう。

「先回の会議で、連銀は金利を据え置きましたが、リーマン・ブラザーズのアダム・トパリアン氏はこう述べています。「これは単なる一時停止であって、連銀は10月と一月に金利引き上げを実施するだろう。」こんな見解にもかかわらず、トパリアン氏は短期と中期債券投資を推奨しています。短期債券は4年以内に満期が来るもの、そして中期債券は5年から8年までの長さになります。

私たち個人投資者には、中期債券(社債、国債、地方債を含む)を中心に投資するミューチュアルファンドを利用するのが一番便利です。今年成績が良いのは、3.37%の利益があるメトロポリタン・ウエスト・トータル・リターン(MWTRX)です。また、ビル・グロス氏が指揮をとるピムコ・トータル・リターン(PTTRX)も有名です。」

多くのエコノミストやアナリストは、米国経済成長速度の減速を予想している。こんな環境では、投資してはいけない債券が二つある。やたらと利回りの高い債券は避けよう。経営の苦しい企業が、高リターンの債券を発行することが多いから、経済が下向きになったら倒産の可能性もある。先ず、債券の格付けを調べよう。

「住宅市場の冷えこみが顕著になった今日、住宅ローンをパッケージにした債券投資は危険です」、とタッド・リベレ氏(メトロポリタン・ウエスト・アセット)は言う。「米国経済の後退が本格的になれば、住宅市場へのダメージは更に広がります。たとえ利回りが魅力的でも、住宅ローンがパッケージされた債券に投資してはいけません。」

砂漠に向かう投資家たち

私はギャンブラーではない、とアシラフ・ファヒーム氏(小児科医)は強調する。ちょうど二年前、不動産バブル警報が出ていたにもかかわらず、氏はカリフォルニア州リバーサイド市にある自宅を担保にして、銀行から約40万ドルを借りた。目的は土地に投資するためだ。

ロサンゼルスからラスベガスまで運転をしたことのある人なら聞き覚えがあるかもしれないが、ファヒーム氏が選んだ場所は、バーストーという小さな町から20分ほど離れた砂漠の真ん中にある。連日40度を超える猛暑にみまわれ、人の住めるような環境ではないが、氏の目には大きな可能性を秘めた土地に映った。

「今思えば、何故あんなことをしたのかよく分かりません。何エーカーという広大な土地が、たった数千ドルで手に入るのです。超格安だと思いました。妻には何度も怒鳴られました。「どうして、そんなつもらない土地にお金を使うの?」適切な返事をすることができず、割安だから買うのだ、を繰り返しました」、とファヒーム氏は当時を思い出す。

ここで話は終わりではない。砂漠土地の次にファヒーム氏が目をつけたのは、カリフォルニア州ニューベリー・スプリングズの住宅と土地だ。偶然かもしれないが、これも暑いバーストーの近くにある。データクイック・インフォメーション・システムズの調べによれば、去年、ニューベリー・スプリングズの不動産売上は1560万ドルにおよび、2000年の約7倍を記録した。

なぜこうもニューベリー・スプリングズに人気があるのだろう?先ず、ニューベリー・スプリングズに近いバーストーはラスベガスから約1時間半ほど離れている。実はこのバーストーに、アメリカインディアンが経営するカジノ計画がある。既に、パームスプリングズやテメキュラではインディアンが経営するカジノがあり、毎日大盛況だ。

バーストーにカジノが建てば、職を求めて多くの人たちがやってくる。とうぜん住宅の需要も上昇するから、近くのニューベリー・スプリングズが注目されたわけだ。それに、南カリフォルニアの住宅市場が冷えこみ始め、新しい投資場所として、ニューベリー・スプリングズがいっそう魅力的に見える。

ニューベリー・スプリングズの不動産ブローカー、サンドラ・ブリッタン氏はこう語る。「15年間、まったく動かなかった物件が、2005年から突然上がり始めました。2004年、78000ドルだった物件が、18万ドルで他州に住む投資家が、実際に物件を見ないで現金で買っていくのです。とにかく、売りに出したら直ぐ売れてしまいます。

さて、小児科医のファヒーム氏、購入した土地を400万ドルで売りに出している。買った値段の57倍、ということだが、まだ買い手はいないようだ。

(上記は9月10日のロサンゼルスタイムズの要約です)

原油値下がり、紙オムツを買え!

クリーネックスを知らないアメリカ人はいない。ティッシュペーパーのことだが、日常会話では「クリーネックス持ってる?」、と尋ねる人の方が圧倒的に多い。そんなアメリカ人に、「どの会社がクリーネックスを作っているの?」、と聞くと「クリーネックス社だろ?」、とおかしな答えが返ってくる。

クリーネックスを製造しているのは、ニューヨーク証券取引所に上場されているキンバリークラーク(KMB)だ。ティッシュペーパー以外にもトイレットペーパー、それにハギーズで知られる紙オムツなども作っている。消費者製品専門の地味な会社なのだが、「原油が値下がりしている今日、キンバリークラークは狙える」、と言うのは「マッド・マネー」(株番組)のジム・クレーマー氏だ。少し話を聞いてみよう。

「良い株を買うことが大切ですが、何故その株を買う必要があるのかを理解することも重要です。ティッシュペーパーが生活必需品であるように、赤ちゃんのいる家庭には、紙オムツを欠かすことができません。そんな理由でキンバリークラークを買う人たちが多いわけですが、もちろんその理由は間違っていません。

ノーブランドの安い紙オムツやティッシュペーパーもありますが、そんな環境でも、キンバリークラークは強い競争力を持っています。正に、クリーネックスやハギーズには熱烈な支持者が多数存在するわけです。さて、皆さんもご存知のように、最近オイルの下落が目立ちます。それなら航空会社が買える、と結論する投資家が多いですが、私はキンバリークラーク買いを薦めます。

紙オムツはオイルが無くては作れない化学製品です。オイルの値下がりは、紙オムツの生産コスト減に結びつきますから、とうぜん利益が上がります。アナリストの収益予想には、最近のオイル値下がりが含まれていませんから、低めの一株利益予測が発表されています。大した結果が期待されていないわけですから、キンバリークラークの決算は、アナリストたちを驚かせることになりそうです。」

今週の焦点として、クレーマー氏はこう付け加える。「大手証券会社、ゴールドマンサックス、リーマン・ブラザーズ、それにベア・スターンズの決算発表が控えています。場合によっては、マーケットラリーの起爆剤になる可能性があります。キンバリークラークと同様に、アナリストの一株予想は低いですから、大手証券会社を買える材料は揃っています。

長い出来高の少ない夏休みが終わり、9月は本格的な取引が始まる月です。秋から証券会社の収益が好転する傾向がありますから、ゴールドマンサックスなどの大手証券会社は注目です。もちろん、決算発表を聞いて直ぐ一度に全部買うのではなく、分散して買うことも忘れないでください。」

選挙と株式市場

11月は中間選挙だ。ちょうど大統領任期の二年目に行われることから中間選挙と呼ばれるようになったが、上院議員の三分の一と、下院議員の全員が改選される。そこで、選挙と米国株式市場の関係を少し見てみよう。

ネッド・デービス・リサーチによると、株式投資は、大統領選挙の周期に合わせることが効果的のようだ。1888年、ベンジャミン・ハリソン大統領から今日までを見ると、こんな統計がある。大統領選挙の年、S&P500指数は平均で8.4%の伸びがあった。大統領選挙一年前の年は、S&P500指数は平均で11.0%の上昇を記録した。

さらに、大統領選挙一年前の年がマイナスになったことは、1940年以来一度もない。ということは、2007年は株にとって良い年になる可能性が高い。ネッド・デービス・リサーチの説明によれば、大統領選挙一年前が好調なのは、候補者を当選させるために、政治家たちが様々な経済案を議会で可決させようとするためだ。

それでは、今年のような中間選挙の年はどうだろうか?これもネッド・デービス・リサーチからの資料だが、平均すると3.3%の伸びがあるようだが、マイナスになる確率も半々ある。そして、特に悪いのが中間選挙の年の第3四半期(7月、8月、9月)だ。ネッド・デービス氏(ネッド・デービス・リサーチ社長)は、こう語っている。

「マスコミは、中間選挙の年の9月相場は悪い、と大々的に報道していますが、これは誤解を招きやすい表現です。9月、10月にマーケットが低迷するのは、ほぼ毎年起きることですから、中間選挙の有る無しは関係がありません。中間選挙の年を振り返ってみると、先ず1月に下げ、続いて5月、6月の下げ、そして秋の下げですから、今年はこのパターンにあてはまりません。

9月、10月が下げ相場になるためには、新たな悪材料が必要です。今年マーケットは既に、200人近い被害者が出たインドでの爆破事件、イスラエル/レバノン問題、ロンドンでのテロ未遂などのニュースを経験してきました。打たれ強くなっていますから、ここから大きく下げるにはそれ相当のニュースが要ります。断言はできませんが、私は9月のマーケットは皆が予想しているような下げは無いと思います。

来年は大統領選挙の一年前の年です。経済を好転させるために、大統領は色々な計画を発表することでしょう。ひょっとしたら、来年早々に金利が引き下げられるかもしれません。歴史を振り返ると、連銀は最後の金利引き上げから6ヵ月後に金利を下げる傾向があります。」

どうやって勢いのある株を見つけるのか?

1989年、証券取引所に初めて足を踏み入れた時、ピーター・ストルサー氏は相場の世界で一生食っていこう、と決心したそうだ。2001年まで証券会社で営業部長を務め、2002年、フルタイムのトレーダーに変身した。短期売買が中心のストルサー氏、いったいどうやって銘柄を選んでいるのだろうか?少し話を聞いてみよう。

「私はデイトレードやスイングトレードが専門ですから、とにかく速く株価が動いてくれないと困ります。ファンダメンタルズがとびきり優れた銘柄で口座をいっぱいにすることもできますが、ダラダラと横ばいされてしまっては食べていくことができません。

値動きが良い株を見つけるには、テクニカル分析が役立ちます。例を挙げましょう。200日移動平均線はトレーダーや投資家に広く活用されていますが、今日の位置と100日前の位置を比べてください。買いを考えているなら、今日の位置は100日前より高くなくてはいけません。移動平均線はトレンドを確認するために使われますが、ADX(アベレージ・ディレクショナル)でもトレンドの強さを見ることができます。もしADXが30以上の数値なら、強いアップトレンド/ダウントレンドを表します。」

勢いがある株を見つける方法として、ストルサー氏はいくつかの条件を挙げている。

1、ブレイクアウト/ブレイクダウン
最近10日間の高値/安値を更新した銘柄を調べること。ブレイクアウトは買い手を呼ぶ結果になるから、上昇速度に弾みが付きやすい。

2、ギャップ(窓)
一方的な勢いを示すのがギャップだ。ギャップアップの場合は、単に前日の終値より高く寄付くのではなく、前日の高値より高く寄付く銘柄を選びたい。ギャップダウンの場合は、前日の引値より安く始まるだけでなく、前日の安値より低く寄付くものに焦点を合わせたい。

ギャップが出来た日だけに注意を払うのではなく、数日間その銘柄を追ってみよう。直ぐに崩れてしまうこともあるが、しばらく横ばいして更なるブレイクアウトになることもあるから、忘れずに注目リストに入れておこう。

ギャップといえば、デイトレードネットの馬渕氏の得意技だ。興味のある方は「ブレイクスキャン・ドット・コム」を見ていただきたい。

3、グリーンライン(陽線)/レッドライン(陰線)
安い冴えない寄付きでも、終わってみたら長い陽線になっていることがある。特に安値圏で、前日のローソク足を包む陽線は注目だ。逆に、高く勢いよく始まっても、長い陰線で引ける時も注目だ。トレンドの転換になる可能性がある。

「一つ注意したいことがあります」、とストルサー氏は付け加える。「ADXなどでトレンドを確かめることができますが、肝心なのは指標ではなく値動きです。指標に頼りすぎて、大切なローソク足を見なくなってしまう人がいるので気をつけてください。」

礼儀を欠く企業

インテルのリストラが発表され、約1万500人が職を失う。解雇通知を受け取るのは辛い。それだけに会社側は、それなりの態度で、社員に解雇を言い渡す必要がある。しかし、CNNの報道によれば、解雇というデリケートな問題にもかかわらず、会社側のマナーがあまりにも悪いようだ。

「まったく信じられません」、とデール・クラムフォース氏(WJMアソシエーツ社)はあきれ返っているが、先週こんなことがあった。電気製品を販売するラジオ・シャック社は、400人を解雇したのだが、どのように社員に知らせたか察しがつくだろうか?正解はEメールだ。たしかにメールは便利だが、礼儀を欠いているとは思わないだろうか。毎日8時間、会社のためにつくしてきたのだから、上司から一言も無く、いきなりメールで「さよなら」では失礼だ。

メール以外にも、次のようなマナーの悪い方法が使われている。

いつもと同様に会社へ行く。9時に仕事を始めて5時に仕事を終える。帰宅すると、会社からフェデックス(宅配便)が届いている。何かと思って見ると、中に入っているのは解雇通知だ。なぜ上司は、会社で何も言ってくれなかったのだろう?いったい私を何だと思っているのだ!

体育館のような大きな会議室に、社員たちが呼び出される。入り口で色のついたカードが渡され、色別に社員たちが二つのグループに分けられる。一グループは仕事場に戻るよう指示され、もう一つのグループは上司の後について、正面玄関を通って外へ出る。そこで上司が一言。「会社の方針により、皆さんには辞めてもらうことになった。今後の皆さんの幸運を祈ります。」それだけ言うと、上司はサッサと社内へ戻って行く。

合併が決まった会社では、よくこのような手が使われる。トップが入れ替わり、会社方針も変わったから、社員はいったん解雇され、もう一度入社試験を受けることを言い渡される。最初から辞めさせるのが目的だから、入社試験を受けても、採用される可能性は低い。

警備員が利用されることもある。私服の警備員が、解雇通知を持って突然現れる。まったく感情の無い声で、社員は15分以内に荷物をまとめるように言い渡される。手早に箱へ荷物をつめ終わると、警備員は社員に付き添って外へ出る。まるで犯罪者扱いだから怒りをおぼえることだろう。

デール・クラムフォース氏によれば、上記のような方法で解雇された人たちは、次の職を見つけるのに非常な苦労をするそうだ。もう一つ付け足したいのは、他の社員たちに与える悪影響だ。同僚が非道な方法で解雇されたら、あなたはどう思うだろうか?そんな会社で本当に全力をつくすことができるだろうか?

投資は危険!?

「今日のアメリカ社会は、あまりにも差別的表現に敏感になりすぎ、本当のことを言うことができません」、と言うのは不動産投資セミナーでお馴染みのロバート・キヨサキ氏だ。「怠け者は金持ちになる資格が無い、と先日ハッキリと述べたように、今回も何故多くの人たちが金持ちになれないかを説明したいと思います。

嘘つきは、怠け者と同様に金持ちになる資格がありません。例を挙げましょう。投資は危険なものだ、と人々はさも当たり前のように言いますが、それはウソです。真実は、投資が危険なのではなく、無能な投資家が投資を危険なものにしているのです。もちろん、自分で何も調べない怠惰な投資家も投資を必要以上に危険にしていることは言うまでもありません。

無能な投資家は、太っている人が肥満の原因は遺伝子だ、と主張するのに似ています。少し前になりますが、体重が500キロもある人がテレビに出ていました。子どもの頃から太っていたそうですが、それは単なる乳児脂肪だから、時間が経てば自然に無くなる、と思っていたそうです。しかし、肥満問題は全く解決せず、結婚したら更に太ったそうです。だから、肥満の原因は妻の料理だ、と今度は言っています。

私自身も、この太った人のようにウソをついて、真実を直視することができませんでした。私はなぜ金持ちの家庭に生まれなかったのだろう?両親が金持ちだったら、私も楽ができたのに、とよくそんなことを思いました。なぜ人々は私の能力に気がつかないのだろう?これだけ私は知識があるのだから、私を認めない世の中が間違っている、とそんなこともよく思いました。ようするに私は、自分をあざむいて、自分自身で責任をとることができなかったのです。

これもよく聞くことですが、経営者たちは良い人材が見つからない、と口癖のように言います。本当でしょうか?多くのの場合、経営者たちは自分の無能さを認めたくないだけです。病院の経営者ですが、今の若い医者は全く昔の医者のように一生懸命働かない、とこぼしていました。しかし事実は、この経営者にはリーダーシップが欠けていたのです。若い医師たちを責めることで、自分の経営手腕の貧弱さを直視したくなかっただけです。

私が軍隊で学んだことは、ダメな兵士はいない、ということです。兵隊がダメなわけではありません。兵士をダメにするのは無能なリーダーです。現在のイラク状況は、その正しさを証明しています。

投資で成功するためには、自己責任という意味を本当に理解しなくてはいけません。繰り返しますが、投資自身が危険だから失敗するのではありません。問題は無能な自分です。もう自分をあざむくことはやめましょう。」

マーケット開始まで10分、あなたは何を見る?

寄付き前、海外のマーケット結果や主な経済ニュースに目を通す人が多い。もちろん、偏見を持ってマーケットに臨みたくないから、ニュースは全く読まない、という人たちもいる。それでは、ここで質問。ニュースを読む読まないに関係なく、ほとんどのトレーダーたちが寄付き前に見ているものがある。それが何かお分かりになるだろうか?

アメリカで株チャンネルと言えばCNBCだ。マーケット開始15分前にスイッチを入れると、嫌でも画面右下に表示されている数字が目に飛び込んでくる。正解はこの数字、S&P500先物指数だ。それでは、ここでまた質問。なぜ私たちは、先物指数に注意を払わないといけないのだろうか?

「先物指数マーケットは、スポーツクラブのメンバーシップのようなものです」、とザ・ストリート・ドット・コムのトレーシー・バーンズ氏は言う。「スポーツクラブの会員になると、契約に毎月の会員費が100ドルと記されていれば、その通りに私たちは100ドルを支払います。2カ月後、3カ月後も費用の100ドルは変わりません。ですから、5カ月目だからといって、100ドルが105ドルになることもありえません。

先物指数もスポーツクラブと同様です。金の先物で説明しましょう。もし、あなたが宝石店を経営していた場合、クリスマスに金の値段が上がりそうだ、と予測するなら先物市場で金を買うことができます。こうすることで、将来の金価格に関係なくコストを一定させることができます。

株をやる人たちが気にしている、S&P500先物指数とはいったい何なのでしょうか?簡単に言ってしまえば、S&P500は株式市場が上がるか下がるかを賭けるゲームです。S&P500指数は、株式市場が始まる前から取引されていますから、S&P500の動きを見ることで、少なくとも株式市場がどう寄付くかが予測できます。」

インテル、マイクロソフト、ゼネラルモーターズなどのS&P500指数を構成する銘柄は、アメリカの株式市場だけでなく、海外の株式市場でも取引されている。だから、これらの銘柄が海外で買いを集めるとS&P500指数も上がり、米国株式市場は前日の終値より高く寄付くことになる。逆にマイクロソフトなどが海外で売られるとS&P500指数も下がり、米国市場は弱めな寄付きになるわけだ。

金の例を挙げたように、銘柄によっては先物商品市場に注意を払う必要がある。アドバイザーのジェーク・バーンスタイン氏はこう語る。「最近フェルプス・ダッジ社の株価が上がりましたが、これは先物市場で銅が値上がりしたためです。食品会社アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドに投資するなら、トウモロコシの先物市場にも気をつけることが大切です。」

<< < 65  66  67  68  69  70  71  72 >>

本マガジンは客観的情報の提供を目的としており、投資等の勧誘または推奨を目的としたものではありません。各種情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いかねます。

発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット