US Market Recap

高利回り獲得法

現在の米国金利環境で有利なのは、債券型ファンドだろうか、それともマネーマケットファンドだろうか?ごく基本的な質問なのだが、簡単に回答するのは難しい、と経済コラムニストのチェット・カリアー氏は言う。逆利回り現象が理由のようだが、氏の説明を聞いてみよう。

正常な状態なら、債券ファンドの利回りはマネーマーケットファンドより高くなる。しかし、今日のマーケットでは、このルールが通用しない。たとえば、現在2年物国債の利回りは4.75%、そして10年物が4.6%だから、利回りの逆転現象が起きている。

もっと有利が利回りが欲しければ、マネーマケットファンドを調べてみることだ。Imoneynet.comを見てみると、4.9%を超えるものが目につく。例を挙げれば、バンガード・フェデラル・マネーマーケットファンドは5.02%、そしてフィデリティ・USガバメント・リザーブが4.9%だ。

何も迷うことはないだろう!マネーマーケットファンドを選べば良いことだ。債券型ファンドと違って元本割れの危険も無い。それに、連銀はしばらく金利を現状に据え置くことになりそうだから、今はマネーマーケットファンドが有利だ。もっともな意見なのだが、はたしてそうだろうか?

銀行口座のように資金が保証されているわけではないが、たしかにマネーマーケットファンドが元本を割る危険は、まず有りえない。しかし問題は、短期金利に連動するマネーマーケットファンドの性質だ。現行の金利がしばらく継続したとしても、連銀がひとたび利下げに踏み切れば、とうぜんマネーマーケットファンドの利回りも追従する。

なぜファンドマネージャーたちは、わざわざ利回りの低い10年物国債を買うのだろうか?一見バカらしい投資判断のように映るが、全資金をマネーマーケットファンドに入れてしまったのでは、長期間にわたって現行の利回りを確保することができない。

簡単に回答できない、と言っていただけに、カリアー氏の結論はどちらかに決めるのではなく、債券型ファンドとマネーマケットファンドの両方を利用することを勧めている。

カリアー氏が指摘しているように、マネーマーケットファンドは短期金利に連動する長所でもあり、短所でもある性質がある。2年物、10年物といった国債期間ほど長くなく、ある一定期間利回りを確保するなら、資金が保証されている定期預金だ。

利回りの高い、上位5銀行の6カ月定期を見てみよう。

月と小型株

株を買うなら満月の日が良いだろうか、それとも新月の日が良いだろうか?もう少し堅苦しく質問するなら、太陰周期を利用することで、株式投資の成果を上げることは可能だろうか?バカバカしい、そんなことで儲かるはずがない、と言われるかもしれないが、少しマーク・ハルバート氏(ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト)の話を聞いてほしい。

信じる信じないは別として、株式市場は思っている以上に、月からの影響を受けているようだ。現に、いくつかのレポートが研究者たちによって発表されている。有名なものを挙げれば、ミシガン大学の助教授、イリア・ディシェフ氏の「株式市場と太陰周期」、そして「月と投資者」(カリフォルニア州立大学アーバイン校、キャシー・ユアン助教授)がある。

両レポートには、一つの重要な共通点がある。太陰周期の新月に最も近い15日間、言い換えれば、新月を真ん中にした前の7日間と、後の7日間の株投資成績は、残りの半月よりも成績が良い。どの指数、どの期間で比べるかによって、とうぜん違いがあるが、1896年までさかのぼって調べてみると、その差は年間利益で10%に及ぶこともある。ディシェフ氏の話によれば、この傾向はアメリカだけに見られるのではなく、海外の株式市場にもあてはまるようだ。

新月から満月までが太陰周期になるが、日数に直すと30日未満になる。だから、近代西洋カレンダーを見ると分かることだが、毎月同じ日に、新月と満月が繰り返されることはない。他の表現をすれば、月がマーケットに与える影響は、ファンドマネージャーによる月末のドレッシング買い、そしてクリスマス・ラリーとは性質が違う。更に言えば、太陰周期は季節性とは別のものだ。

なぜマーケットは月に影響されるのだろうか?両レポートとも、この質問に明確な回答は無いが、月が投資者に与える心理的影響が挙げられている。たとえば、満月は人々を悲観的にさせる傾向があるため、満月の前後は株の買いが控えめになる。

太陰周期に最も影響されるのが小型株だ。機関投資家は、先ず小型に手を出さないから、小型株を好んで買っているのは個人投資家だ。月が人間の心理状態を左右するということらしいから、小型が最も月に影響されても不思議ではない。機関投資家も人間の集まりだが、面倒な会議を重ねて投資判断をするから、個人投資家のように、大きな影響を月から受けることはない。

上記したように、1896年以来、太陰周期を利用した投資はたしかに利益を上げている。問題は、あなたは本当に、大切な資金を月に賭けることができるだろうか?

小麦とオイル

インフレは死んでいない。事実は、連銀が認めている以上に深刻だ、とMSNマネーのジム・ジューバック氏は言う。「場合によっては、2007年、アメリカは低経済成長、そして高インフレのスタグフレーションになる可能性がまだ残っています。」もう少し氏の説明を聞いてみよう。

「つい最近の話です。娘を学校へ連れていった後、いつもの店でベーグル(ドーナツの形をしたロールパン)を買いました。2ドル渡したのですが、戻ってきたおつりは、通常の15セントではなく5セントです。不平を言う前に、頭上の値段表を見てみると、ベーグルは値上がっていました。こんな不審そうな私の様子に気がついた店員は、「理由は小麦粉」、と簡単な説明をしてくれました。

さっそく調べてみると、たしかに小麦は今年50%も上がっています。商品市場の専門家たちのレポートを読んでみると、2007年、更に30%ほどの値上がりも予想されているではありませんか!そう言えば、小麦価格が悪影響となって、第3四半期の決算が予想以下になった企業があったことを思い出します。

インフレ状態を見る方法の一つとして、コア消費者物価指数が利用されます。先日の発表によると、10月分は0.1%の上昇でしたから、多くの人たちはインフレの心配は無い、と結論しました。しかし、コア消費者物価指数には、食品とエネルギーが含まれていません。

ベーグルの値段は5.4%の値上がりです。指摘したいのは、今年ずっと上がり続けていた小麦の価格が、今になって初めてベーグルに反映されたのです。トウモロコシやオイルも値上がりが続いていましたから、これらも物価値上がりという形で、消費者を襲うことでしょう。

17回にわたって、連銀は金利引き上げを実行しましたが、米国のインフレ状況に大した変化はありません。もし、70年代のようなスタグフレーションに陥ると、回復が極めて難しいことは確かです。経済が下向きなら金利引下げ、そしてインフレ退治には金利引き上げが使われますが、両方の顔を持つスタグフレーションでは、それらの一般的な治療方法に効き目がありません。

私はスタグフレーションを予想しているのではありません。ベーグルの例で見るように、その危険性があることを指摘しているだけです。第3四半期の国内総生産(GDP)は、+1.6%の低い水準でした。しかし、一四半期の結果だけではトレンドを見ることはできません。第4四半期のデータは、1月に発表されますから、来年早々ある程度はっきりした状況をつかむことができると思います。とにかく、スタグフレーションには超荒治療が必要になりますから、何としてでも避けなければいけません。」

テクニカル分析の基礎

インベスターズ・ビジネス・デイリー紙の創立者、ウィリアム・オニール氏、といえばCANSLIMの株投資方法で有名だ。単にファンダメンタルズが良い株を買うのではなく、チャートパターンも重要な銘柄選択条件であることが指摘されている。それでは、どうしてチャート分析が大切なのだろうか?そんな質問に対する回答が、、「なぜテクニカル分析が重要なのか」、と題してマーケット関連者に広く読まれている「バロンズ」に載っていたので、少し見てみよう。

著名テクニシャン、マイケル・カーン氏によれば、テクニカル分析には、三つの大きな目的がある。

1、現在の株価レベルを見るだけでなく、どのようにして現位置まで来たかを確認する。トレンドライン、サポート/レジスタンスラインの利用が役立つ。

2、トレンドの強さを確認する。出来高や、モメンタム分析が重要になる。

3、個別銘柄とセクター、そしてマーケット全体との比較をして、銘柄の相対的強弱度を確かめる。

カーン氏が勧める分析ツール:

1、トレンドライン: トレンドが友達、と言われるように、先ず銘柄のトレンドを確かめよう。高値と安値がより高くなって行くのはアップトレンド。そして、その逆がダウントレンドだ。言葉で言うと面倒だが、トレンドラインを引けば、銘柄の基調は簡単に分かる。買いを考えているなら、銘柄は上げ基調にあるものだけに限定することだ。

2、抵抗線/支持線: どの辺で買い手が現れるだろうか?どこで売り手が登場するだろうか?それを教えてくれるのが抵抗線と支持線だ。買いを考えているなら、直ぐ上に抵抗線が走っていない銘柄を選ぶことが大切だ。逆に空売りをするなら、近くに支持線が無い銘柄を選ぼう。

3、移動平均線: 投資者によって使う数値は違うが、50日と200日移動平均線が一般的だ。買う場合は、株価は移動平均線より上にあることが大切だ。もちろん、移動平均線も上昇していることを確かめよう。株価があまりにも移動平均線から離れている銘柄には気をつけよう。一転反落の危険性がある。

4、出来高: トレンドの健康度を測定するには、出来高の分析が重要だ。株価の上昇には、出来高の増大が伴っているだろうか?買いが買いを呼ぶ、という表現があるが、それを実際に数値で示したものが出来高だ。

5、レラティブ・ストレンクス: 銘柄をS&P500指数などと比べて、相対的な強弱度を調べよう。注目している銘柄が、指数の伸び率より劣っているなら、早い値上がりは期待できない。

カーン氏は、更にこう付け加えている。銘柄を分析している時は、偏見を捨てること。いったん買いだ、と決めてしまうと、おかしな判断をしてしまう人が多い。「直ぐ上には抵抗線がある。しかし、ファンダメンタルズが抜群に良いから、たぶんブレイクできるはずだ。」もしそう思ったとしても、実際に出動するのは、株価が本当にブレイクしてからだ。

ニュースにご用心

絶対に儲かります、控えめに見積もっても300%は行けるでしょう、などとデタラメなことを言って勧誘したら、とうぜん証券マンは罰せられる。それでは、実際に報道されたニュースを、セールストークに利用するのはどうだろうか?事実を引用するわけだから、何の問題も無いように思われるが、こんな話がある。

セールストークに説得力を付けるために、CNNやAP通信からのニュースを使うことは、何も昨日今日に始まったことではない。しかし、今年の7月以来、そんなセールストークを使っていた、南フロリダの先物専門会社数社に4000万ドルを超える罰金が科されている。

2003年が終わろうとしていた頃、ユナイテッド・インベスターズ・グループのセールス担当者が、ランズィー・ウィリアムズ氏に、こう持ちかけた。「灯油のオプションが、とても魅力的になってきました。報道されているように、イラクではオイルパイプラインの破壊行為が目立っています。それに、東海岸北部の州は例年より寒くなりそう、という予報も出ています。」

当時米軍で訓練を受けていたウィリアムズ氏は、イラクのパイプライン破壊に説得され、さっそく5000ドルで灯油オプションを始めた。その後、更に同社の別なセールス担当者を通して、1万7000ドルで為替投資にも手を広げた。結果は、合計投資金額の2万2000ドル(259万円)を全て失った。

判決は、ユナイテッド・インベスターズ・グループの負けだ。イラク戦争などの、世間一般に知れ渡った誤解されやすい情報を使って、セールス担当者はウィリアムズ氏を惑わせた、として14万6350ドル(1726万9000円)の損害賠償と、60万ドル(7080万円)の罰金が言い渡された。

商品先物取引委員会の、ダニエル・ネイサン氏はこう語っている。「これはまるで、証券マンが客に電話して、IBMの収益が記録的に良かったから、IBMを買え、と言っているようなものです。そんなニュースは、既に株価に織り込み済みです。寒い冬が来るから灯油を買え、夏休みのドライブ季節が近いからガソリンを買え。よく聞くセールスピッチですが、そのようなありきたりな情報は、誰でも知っていることです。」

季節的なニュースが頻繁に利用されるのは、今が絶好のチャンスだ、といった切迫感を作り上げるためだ。一昔前なら、セールス担当者は電話をかけまくったものだが、最近は何千というメールを携帯電話に送ることができる。今も昔も変わらないのは、投資知識の浅い人たちが狙われることだ、と弁護士のデービッド・チェース氏は言う。

証券マンがよく使う手は、セールストークに「時の言葉」を入れることだ。一時、「鳥インフルエンザ」、という言葉が毎日のようにニュースで流されたことがあった。「ABCD製薬は、鳥インフルエンザのワクチン開発の最終段階に入っています」、といった感じで客に迫るわけだ。

その他にも、北朝鮮の核実験、テロリズム、ハリケーン、津波、地震、肥満問題、とにかく証券マンの使えるテーマは腐るほどある。皆さんも用心しよう。

年末に使える投資方法

1月効果、という言葉があるように、毎年1月の相場は特に強くなる傾向がある。統計によれば、1950年以来、1月のS&P500指数の平均伸び率は1.23%だ。もし同様な成績を毎月あげることができれば、年間で約16%のリターンになるが、実際の数値は10%だ。そんなわけで、クリスマスから年末にかけて株を買い、1月の半ばに売って儲けよう、という投資者が多い。しかし、銘柄を間違ってしまったら話にならない。そこで紹介したいのが、ジャック・ハフ氏(スマート・マネー)の方法だ。

1月効果を利用した、少し変わったやり方がある。レポートは、これから発表される段階だが、現に教授たちが、この投資方法の有効性を証明している。少し変わっている、と言った理由は、投資対象が従来のように株ではなく、上場投信になるからだ。なぜ上場投信を選んだのだろう?個別銘柄の怖いのは、アナリストの格下げや収益下方修正で、大きな下落をすることがある。上場投信は、ファンドのように様々な銘柄に投資されているから、先ず個別銘柄のような大きな下げはない。それに証券取引所に上場されているから、売買は株と同様に行うことができる。

税金対策の一つとして、年末に損の出ている持ち株を売る投資者が多い。ほとんどの場合、既に低迷している株が売られるから、株価は更に下げてしまう。一日の平均出来高が2万株のような銘柄なら、少しの売りでも派手な下落になる。ようするに、これが一時的な割安を作り上げ、1月に反発ラリーを起こす下地になるわけだ。

一般的な1月効果を狙ったやり方は、叩かれた小型株を年末に買って、1月の2週目から3週目に売って利益を上げる。この方法の問題点は、あまりにも危険が高すぎることだ。よく言われるように、悪い時には悪いことが重なる。せっかく割安株を買ったつもりでも、1月早々格下げでは、新年が台無しになってしまう。

そんな訳で上場投信を買うのだが、先ず指摘したいのは、実際に利用するのは、債券を中心に投資している上場投信だ。買い候補の一つに、ハイ・イールド・インカム(HYI)がある。10月が始まったばかりの頃、HYIは4ドル98セントで取引され、利回りは7.6%だった。しかし、その時点における株価は、正当評価額を約10%下回っていたから、実質の利回りは8.4%に相当する。

HYIが狙える大きな理由は、過去10年間で35%の下落、そしてここ1年間では2%を超える下げだ。だから年末には、税金がらみの売りが大きく増えることが予想される。HYIの一日平均出来高は17000株しかないから、下げ幅も大きくなることだろう。もし12月29日までに4ドル50セントまで下がるようなら、実質利回りは9.3%に達し、1月にはこの魅力的な利回りが買い手を集めることだろう。

あと4つ、注目の上場投信を挙げておこう。
MFS Charter Income Trust (MCR)
Morgan Stanley High Yield (MSY)
Putnam Municipal Opportunities Trust (PMO)
Salomon Bros. Worldwide Income (SBW)

気をつけて読みたい経済記事

ハケット・グループの調べによれば、フォーチュン500社(全米500の大企業)が積極的にアウトソーシングを更に実行すれば、580億ドルの経費が節約できるという。いかにも莫大な金額に聞こえるが、ダニエル・アクスト氏(ニューヨークタイムズ)は、こんなことを言う。

「アメリカ最大の輸出品は、「職業」になってしまったようだ。580億ドルを節約するために、海外の専門会社に外注することは、本当に意味があるのだろうか?去年、フォーチュン500社の収益は9兆1000億ドルを記録した。ということは、580億ドルは1%にも満たない金額だから、全く収益を向上させる要因にはならない。」

ここまで読むと、アウトソーシング反対を唱えているようなのだが、氏はこう付け加える。「現在アメリカには、ありあまるほどの職がある。過去5年間だけで580万の新規雇用があり、先日発表された世帯調査によれば、10月は43万7000もの新規雇用があった。こんな状況だから、失業率は5年半ぶりの低水準に下がり、賃金インフレを引き起こす可能性があるから、マーケット関係者たちは利下げが遅れそうなことを心配している。」

アメリカ経済絶好調、という雰囲気だが、ここで反論するのはファンド・マネージャーのバリー・リットホルツ氏だ。「たしかに、580万の新規雇用、低水準な失業率に間違いはない。しかし、ありあまるほどの職がある、というのは誤解されやすい表現だ。

不景気、経済回復周期を第二次世界大戦から見てみると、今日の新規雇用上昇率は最も悪い。アメリカの人口は3億人、そして1億4500万の労働人口がある。5年間で580万の新規雇用なら、1年に直せば120万人以下だ。ということは、単純に計算すると年平均の新規雇用は、たった0.8%の伸び率にすぎない。

賃金インフレに関する見方だが、事実はこうだ。統計によれば、労働者の中間賃金は、インフレを考慮すると、5年連続で下がっている。単に賃金だけを比較しただけでは、正確な結論を引き出すことはできない。

世帯調査によれば、10月は43万7000もの新規雇用、ということだが、世帯調査ほどあてにならないものはない。実際に世帯調査レポートを読むと、こんな注意書きにぶつかる。「新規雇用者数には、プラスマイナス10万から43万の誤差がある。たとえば、ある月の新規雇用者数が10万なら、マイナス33万から+53万を意味する。」

新規雇用の賃金は低いものが多く、アウトシーシングされている職は、比較的高い賃金であることも付け加えておこう。」

特大ビッグマックIPO

超人気、とにかく株数がいくらあっても足りない。「こんなチャンスは毎年あるものではない」、とマーケット関係者も強気だから、前評判は良くなる一方だ。ジム・クレーマー氏(マッド・マネー)の言葉を借りれば、今週金曜(17日)、いよいよ特大ビッグマックIPO、ニューヨーク商品取引所(NMX)が市場にデビューする。

ニューヨーク商品取引所、といえばクルード・オイルと金で有名だが、創立されたのは1872年だ。その他にも、アルミニウム、石炭、銅、電力、ガソリン、灯油、天然ガス、パラジウム、プラチナ、プロパンガス、そして銀が取引されている。

予定されていた600万株の発行株数は、11月14日、650万株に変更された。公募価格は48ドルから52ドルが予想されていたが、54から57ドル、という見方が圧倒的になってきた。発行手続きをする幹事会社は、JPモルガン、メリルリンチ、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、そしてリーマン・ブラザーズだ。

ニューヨーク商品取引所(NMX)が待ちこがれる理由の一つとして、最近極めて好調な同セクター銘柄をあげることができる。たとえば、6月、50ドルだったニューヨーク証券取引所(NYX)は現在95ドル、そして5月、85ドル台だったシカゴ商品取引所(BOT)は、今日156ドルに達している。

掲示板やチャットでも、ニューヨーク商品取引所は話題だ。いくつか紹介しよう。

「グーグルで検索して色々と調べてみましたが、今のところ悪い材料はありません。オーストラリアの新聞も、ニューヨーク商品取引所を取り上げています。とにかく、アメリカ国内だけでなく、色々な人たちが注目しています。」 (J.ノーランドさん)

「これは間違いなくいける。公募価格の、2倍以上の初値がついても不思議ではない。」 (スティーブ・ブラウンさん)

「ニューヨーク商品取引所(NMX)は、これだけの人気だから、同じ業種の株も上がると思う。だから金曜は、NYX、CME、それにBOTも買うつもりだ。」 (緑色の宇宙人さん)

「緑色の宇宙人さん、ついでにICE(インターコンチネンタル取引所)、それにNDAQ(ナスダック)も買ったらどうかな。」 (ストックキッドさん)

「寄付きで1000株買うぞ!」 (DD2006さん)

「CMEを初値で買って、今日まで持っていれば+1056%、ICEは+117%だ。ニューヨーク商品取引所は行ける!」 (S.Kさん)

ジム・クレーマー氏の意見を付け加えよう。「初値が公募価格より25ドル高くても買いだ。15ドルほどの上回りなら、予定以上の株数を買っても大丈夫だろう。」 さて、どんな展開になるだろうか?

外国株を狙う米国投資家

外国株を専門に投資するファンド・マネージャー、チャールズ・デボール氏は持ち株を減らして、現金の比率を18%から25%に増やした。単に割安株が少なくなっただけでなく、ヨーロッパでの金利上昇、そして日本も利上げ方向だから、現金ポジションが魅力的になった、と氏は言う。しかし2007年度、中国、インド、ヨーロッパ、それに日本の経済成長率はアメリカを上回ることが予想されているから、米国の投資者はどうしても海外に目が行ってしまう。経済コラムニストの、ジム・ジューバック氏はこう説明している。

第3四半期の米国GDPは、2003年以来の低成長率だった。悪いことに、多くのアナリストやエコノミストは、この低迷がしばらく続くことを予想している。もうかなり長くなるが、米国経済は、いつもヨーロッパをリードしていた。しかし、2006年度、第2、第3四半期は事実上、ヨーロッパの経済成長率がアメリカを抜き、来年もヨーロッパ優勢が予測されている。

フランスの経済研究機関の調べによれば、まだ日本の経済成長に力強さは見られないが、2007年度は2.2%の成長率が期待できる。ということは、米国を上回るわけだ。中国、インドも好調が予想されている。アジア・ディベロプメント・バンクのアナリストは、「2007年度のインドは、今年の7.6%を超える7.8%の成長になるでしょう」、と述べている。中国は10.5%の成長率から、2007年の前半には9.5%への減速が予測される。

アメリカが冷え込むと、海外の経済も落ち込む、という見方に私は簡単に賛成できない。多くのアナリストは、中国経済はアメリカへの輸出に頼りすぎている、と指摘するが、このような数字がある。1999年、中国の輸出品の34%がアメリカに向かったが、その数値は今日25%に下がっている。日本も同様だ。80年代、約40%の製品がアメリカ向けだったが、内需が改善され、現在の数字は23%だ。

アメリカが国を閉めたわけではない。注目は、アジア、ヨーロッパ間での貿易が大きく上昇していることだ。2001年から2005年を見てみると、中国からヨーロッパ連合加盟国への輸出は110%の伸びを記録している。このように米国への依存度が減っている今日、たとえ米国経済が落ち込んでも、海外の主要経済国家は大した影響を受けないはずだ。

それでは、どの外国株を買ったら良いのだろうか?ジューバック氏の挙げる、10銘柄を記そう。
1、Iberdrola(IBDRF)、2、Icici Bank (IBN)、3、Kookmin Bank (KB)、4、Lafarge(LR)、
5、Lenovo Group (LNVGY)、6、Luxottica Group (LUX)、7、Mitsubishi UFJ Financial Group (MTU)、
8、Nestle(NSRGY)、9、San Miguel (SMGBY)、10、Toyota Motor (TM)

長期投資は習慣

投資で成功する方法を教えてください、と聞かれたら、あなたはどう返答するだろうか?こんな質問をする多くの人たちは、世の中のどこかに隠された必勝法がある、と思っているものだ。映画のタイトルは忘れてしまったが、ある戦士が武道の秘術を求めて旅に出た。ついに念願の箱を手に入れ、さっそく開くと、中は鏡だった。しばらく自分の顔を見ていた戦士は、やがて我に戻り高々と笑い始める。変な前置きになったが、同様な質問に、投資アドバイスで知られるキプリンジャー誌が答えている。少し見てみよう。

先ず指摘したいのは、長期投資で成功したいなら、投資の習慣を身に付けることだ。ごく一部の人を除いて、最初から多額な資金を持っている人はいない。とうぜん小さな資金で始めることになるから、定期的に、こつこつと口座に資金を足していくことだ。

5000ドルを年利2.16%で20年間投資すると、結果は7666ドルにしかならない。これでは面白みが無い。同じ5000ドルの資金を、20年後に25万ドルにしたいなら、あなたはどうするだろうか?

1926年以来、大型企業の株は、年間平均で10%以上の利益がある。その間アメリカは、大恐慌、1987年の株式市場暴落、そして2001年9月11日の悲劇を経験している。では、この10%を使って計算してみよう。投資開始資金の5000ドル(59万円)に、毎月279ドル(3万2900円)を足していくと、20年後あなたの口座は目標の25万ドル(2950万円)に達する。もし平均年間利益が11%なら、毎月279ドルではなく、235ドル(2万7700円)を足せば大丈夫だ。

私には5000ドルのスタート資金がありません、という人もいることだろう。それなら、ゼロから始めればよいことだ。多くのミューチュアルファンドは、50ドルで口座を開設できるから、毎月50ドルずつ積み上げていってほしい。こんなやり方でも、平均で年間11%の利率があれば、20年後あなたの口座は4万3700ドル(515万6000円)に膨れ上がる。

ゼロから始め、毎月50ドルずつ足していく方法を、こう変えることもできる。最初の5年間は毎月50ドルだが、次の5年間は毎月100ドル投資する。11年めから15年めは毎月200ドル、そして16年めから20年めは300ドルずつ足していく。もし、年間平均利率が10%なら、20年後の口座残高は87600ドル(1033万6800円)だ。更に、21年めから25年めに毎月400ドルずつ足していけば、口座資金は17万5400ドル(2069万7000円)に達する。

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