現在の米国金利環境で有利なのは、債券型ファンドだろうか、それともマネーマケットファンドだろうか?ごく基本的な質問なのだが、簡単に回答するのは難しい、と経済コラムニストのチェット・カリアー氏は言う。逆利回り現象が理由のようだが、氏の説明を聞いてみよう。
正常な状態なら、債券ファンドの利回りはマネーマーケットファンドより高くなる。しかし、今日のマーケットでは、このルールが通用しない。たとえば、現在2年物国債の利回りは4.75%、そして10年物が4.6%だから、利回りの逆転現象が起きている。
もっと有利が利回りが欲しければ、マネーマケットファンドを調べてみることだ。Imoneynet.comを見てみると、4.9%を超えるものが目につく。例を挙げれば、バンガード・フェデラル・マネーマーケットファンドは5.02%、そしてフィデリティ・USガバメント・リザーブが4.9%だ。
何も迷うことはないだろう!マネーマーケットファンドを選べば良いことだ。債券型ファンドと違って元本割れの危険も無い。それに、連銀はしばらく金利を現状に据え置くことになりそうだから、今はマネーマーケットファンドが有利だ。もっともな意見なのだが、はたしてそうだろうか?
銀行口座のように資金が保証されているわけではないが、たしかにマネーマーケットファンドが元本を割る危険は、まず有りえない。しかし問題は、短期金利に連動するマネーマーケットファンドの性質だ。現行の金利がしばらく継続したとしても、連銀がひとたび利下げに踏み切れば、とうぜんマネーマーケットファンドの利回りも追従する。
なぜファンドマネージャーたちは、わざわざ利回りの低い10年物国債を買うのだろうか?一見バカらしい投資判断のように映るが、全資金をマネーマーケットファンドに入れてしまったのでは、長期間にわたって現行の利回りを確保することができない。
簡単に回答できない、と言っていただけに、カリアー氏の結論はどちらかに決めるのではなく、債券型ファンドとマネーマケットファンドの両方を利用することを勧めている。
カリアー氏が指摘しているように、マネーマーケットファンドは短期金利に連動する長所でもあり、短所でもある性質がある。2年物、10年物といった国債期間ほど長くなく、ある一定期間利回りを確保するなら、資金が保証されている定期預金だ。
利回りの高い、上位5銀行の6カ月定期を見てみよう。
1、AmTrust Direct5.36% 2、IndyMac Bank 5.35% 3、Tennessee Commerce Bank 5.32%
4、GMAC Bank 5.21% 5、Advanta Bank 5.21%
12カ月定期も記しておこう。
1、AmTrust Direct 5.41% 2、Tennessee Commerce Bank 5.37% 3、Advanta Bank 5.26%
4、Alliance Bank 5.26% 5、NetBank 5.16%
株を買うなら満月の日が良いだろうか、それとも新月の日が良いだろうか?もう少し堅苦しく質問するなら、太陰周期を利用することで、株式投資の成果を上げることは可能だろうか?バカバカしい、そんなことで儲かるはずがない、と言われるかもしれないが、少しマーク・ハルバート氏(ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト)の話を聞いてほしい。
信じる信じないは別として、株式市場は思っている以上に、月からの影響を受けているようだ。現に、いくつかのレポートが研究者たちによって発表されている。有名なものを挙げれば、ミシガン大学の助教授、イリア・ディシェフ氏の「株式市場と太陰周期」、そして「月と投資者」(カリフォルニア州立大学アーバイン校、キャシー・ユアン助教授)がある。
両レポートには、一つの重要な共通点がある。太陰周期の新月に最も近い15日間、言い換えれば、新月を真ん中にした前の7日間と、後の7日間の株投資成績は、残りの半月よりも成績が良い。どの指数、どの期間で比べるかによって、とうぜん違いがあるが、1896年までさかのぼって調べてみると、その差は年間利益で10%に及ぶこともある。ディシェフ氏の話によれば、この傾向はアメリカだけに見られるのではなく、海外の株式市場にもあてはまるようだ。
新月から満月までが太陰周期になるが、日数に直すと30日未満になる。だから、近代西洋カレンダーを見ると分かることだが、毎月同じ日に、新月と満月が繰り返されることはない。他の表現をすれば、月がマーケットに与える影響は、ファンドマネージャーによる月末のドレッシング買い、そしてクリスマス・ラリーとは性質が違う。更に言えば、太陰周期は季節性とは別のものだ。
なぜマーケットは月に影響されるのだろうか?両レポートとも、この質問に明確な回答は無いが、月が投資者に与える心理的影響が挙げられている。たとえば、満月は人々を悲観的にさせる傾向があるため、満月の前後は株の買いが控えめになる。
太陰周期に最も影響されるのが小型株だ。機関投資家は、先ず小型に手を出さないから、小型株を好んで買っているのは個人投資家だ。月が人間の心理状態を左右するということらしいから、小型が最も月に影響されても不思議ではない。機関投資家も人間の集まりだが、面倒な会議を重ねて投資判断をするから、個人投資家のように、大きな影響を月から受けることはない。
上記したように、1896年以来、太陰周期を利用した投資はたしかに利益を上げている。問題は、あなたは本当に、大切な資金を月に賭けることができるだろうか?
インフレは死んでいない。事実は、連銀が認めている以上に深刻だ、とMSNマネーのジム・ジューバック氏は言う。「場合によっては、2007年、アメリカは低経済成長、そして高インフレのスタグフレーションになる可能性がまだ残っています。」もう少し氏の説明を聞いてみよう。
「つい最近の話です。娘を学校へ連れていった後、いつもの店でベーグル(ドーナツの形をしたロールパン)を買いました。2ドル渡したのですが、戻ってきたおつりは、通常の15セントではなく5セントです。不平を言う前に、頭上の値段表を見てみると、ベーグルは値上がっていました。こんな不審そうな私の様子に気がついた店員は、「理由は小麦粉」、と簡単な説明をしてくれました。
さっそく調べてみると、たしかに小麦は今年50%も上がっています。商品市場の専門家たちのレポートを読んでみると、2007年、更に30%ほどの値上がりも予想されているではありませんか!そう言えば、小麦価格が悪影響となって、第3四半期の決算が予想以下になった企業があったことを思い出します。
インフレ状態を見る方法の一つとして、コア消費者物価指数が利用されます。先日の発表によると、10月分は0.1%の上昇でしたから、多くの人たちはインフレの心配は無い、と結論しました。しかし、コア消費者物価指数には、食品とエネルギーが含まれていません。
ベーグルの値段は5.4%の値上がりです。指摘したいのは、今年ずっと上がり続けていた小麦の価格が、今になって初めてベーグルに反映されたのです。トウモロコシやオイルも値上がりが続いていましたから、これらも物価値上がりという形で、消費者を襲うことでしょう。
17回にわたって、連銀は金利引き上げを実行しましたが、米国のインフレ状況に大した変化はありません。もし、70年代のようなスタグフレーションに陥ると、回復が極めて難しいことは確かです。経済が下向きなら金利引下げ、そしてインフレ退治には金利引き上げが使われますが、両方の顔を持つスタグフレーションでは、それらの一般的な治療方法に効き目がありません。
私はスタグフレーションを予想しているのではありません。ベーグルの例で見るように、その危険性があることを指摘しているだけです。第3四半期の国内総生産(GDP)は、+1.6%の低い水準でした。しかし、一四半期の結果だけではトレンドを見ることはできません。第4四半期のデータは、1月に発表されますから、来年早々ある程度はっきりした状況をつかむことができると思います。とにかく、スタグフレーションには超荒治療が必要になりますから、何としてでも避けなければいけません。」
絶対に儲かります、控えめに見積もっても300%は行けるでしょう、などとデタラメなことを言って勧誘したら、とうぜん証券マンは罰せられる。それでは、実際に報道されたニュースを、セールストークに利用するのはどうだろうか?事実を引用するわけだから、何の問題も無いように思われるが、こんな話がある。
セールストークに説得力を付けるために、CNNやAP通信からのニュースを使うことは、何も昨日今日に始まったことではない。しかし、今年の7月以来、そんなセールストークを使っていた、南フロリダの先物専門会社数社に4000万ドルを超える罰金が科されている。
2003年が終わろうとしていた頃、ユナイテッド・インベスターズ・グループのセールス担当者が、ランズィー・ウィリアムズ氏に、こう持ちかけた。「灯油のオプションが、とても魅力的になってきました。報道されているように、イラクではオイルパイプラインの破壊行為が目立っています。それに、東海岸北部の州は例年より寒くなりそう、という予報も出ています。」
当時米軍で訓練を受けていたウィリアムズ氏は、イラクのパイプライン破壊に説得され、さっそく5000ドルで灯油オプションを始めた。その後、更に同社の別なセールス担当者を通して、1万7000ドルで為替投資にも手を広げた。結果は、合計投資金額の2万2000ドル(259万円)を全て失った。
判決は、ユナイテッド・インベスターズ・グループの負けだ。イラク戦争などの、世間一般に知れ渡った誤解されやすい情報を使って、セールス担当者はウィリアムズ氏を惑わせた、として14万6350ドル(1726万9000円)の損害賠償と、60万ドル(7080万円)の罰金が言い渡された。
商品先物取引委員会の、ダニエル・ネイサン氏はこう語っている。「これはまるで、証券マンが客に電話して、IBMの収益が記録的に良かったから、IBMを買え、と言っているようなものです。そんなニュースは、既に株価に織り込み済みです。寒い冬が来るから灯油を買え、夏休みのドライブ季節が近いからガソリンを買え。よく聞くセールスピッチですが、そのようなありきたりな情報は、誰でも知っていることです。」
季節的なニュースが頻繁に利用されるのは、今が絶好のチャンスだ、といった切迫感を作り上げるためだ。一昔前なら、セールス担当者は電話をかけまくったものだが、最近は何千というメールを携帯電話に送ることができる。今も昔も変わらないのは、投資知識の浅い人たちが狙われることだ、と弁護士のデービッド・チェース氏は言う。
証券マンがよく使う手は、セールストークに「時の言葉」を入れることだ。一時、「鳥インフルエンザ」、という言葉が毎日のようにニュースで流されたことがあった。「ABCD製薬は、鳥インフルエンザのワクチン開発の最終段階に入っています」、といった感じで客に迫るわけだ。
その他にも、北朝鮮の核実験、テロリズム、ハリケーン、津波、地震、肥満問題、とにかく証券マンの使えるテーマは腐るほどある。皆さんも用心しよう。
1月効果、という言葉があるように、毎年1月の相場は特に強くなる傾向がある。統計によれば、1950年以来、1月のS&P500指数の平均伸び率は1.23%だ。もし同様な成績を毎月あげることができれば、年間で約16%のリターンになるが、実際の数値は10%だ。そんなわけで、クリスマスから年末にかけて株を買い、1月の半ばに売って儲けよう、という投資者が多い。しかし、銘柄を間違ってしまったら話にならない。そこで紹介したいのが、ジャック・ハフ氏(スマート・マネー)の方法だ。
1月効果を利用した、少し変わったやり方がある。レポートは、これから発表される段階だが、現に教授たちが、この投資方法の有効性を証明している。少し変わっている、と言った理由は、投資対象が従来のように株ではなく、上場投信になるからだ。なぜ上場投信を選んだのだろう?個別銘柄の怖いのは、アナリストの格下げや収益下方修正で、大きな下落をすることがある。上場投信は、ファンドのように様々な銘柄に投資されているから、先ず個別銘柄のような大きな下げはない。それに証券取引所に上場されているから、売買は株と同様に行うことができる。
税金対策の一つとして、年末に損の出ている持ち株を売る投資者が多い。ほとんどの場合、既に低迷している株が売られるから、株価は更に下げてしまう。一日の平均出来高が2万株のような銘柄なら、少しの売りでも派手な下落になる。ようするに、これが一時的な割安を作り上げ、1月に反発ラリーを起こす下地になるわけだ。
一般的な1月効果を狙ったやり方は、叩かれた小型株を年末に買って、1月の2週目から3週目に売って利益を上げる。この方法の問題点は、あまりにも危険が高すぎることだ。よく言われるように、悪い時には悪いことが重なる。せっかく割安株を買ったつもりでも、1月早々格下げでは、新年が台無しになってしまう。
そんな訳で上場投信を買うのだが、先ず指摘したいのは、実際に利用するのは、債券を中心に投資している上場投信だ。買い候補の一つに、ハイ・イールド・インカム(HYI)がある。10月が始まったばかりの頃、HYIは4ドル98セントで取引され、利回りは7.6%だった。しかし、その時点における株価は、正当評価額を約10%下回っていたから、実質の利回りは8.4%に相当する。
HYIが狙える大きな理由は、過去10年間で35%の下落、そしてここ1年間では2%を超える下げだ。だから年末には、税金がらみの売りが大きく増えることが予想される。HYIの一日平均出来高は17000株しかないから、下げ幅も大きくなることだろう。もし12月29日までに4ドル50セントまで下がるようなら、実質利回りは9.3%に達し、1月にはこの魅力的な利回りが買い手を集めることだろう。
あと4つ、注目の上場投信を挙げておこう。
MFS Charter Income Trust (MCR)
Morgan Stanley High Yield (MSY)
Putnam Municipal Opportunities Trust (PMO)
Salomon Bros. Worldwide Income (SBW)