世界の株式市場は、きびしい下げに襲われることだろう、と新年早々に言うのは、1987年の暴落を予想したマーク・フェイバー氏だ。「今年、マーケットは大きな修正を経験することになるでしょう。投資家が狼狽売りなら買い、現在のように有頂天なムードでは売りが正解です。」
上の言葉で分かるように、フェイバー氏は「人の行く裏に道あり花の山」、を実践するコントラリアンだ。ホンコンに本拠地を構える氏は、現に2001年から金の買いを推奨し、倍以上の利益を手に入れている。今回の大幅下落予想は、ブルームバーグとのインタビューで語られたものだが、話を要約してみよう。
下げるのは株だけではない。国債、社債、不動産も含まれる。消費者物価インフレが問題になり、株や債券に悪影響を与えることになるだろう。世界的な下げが展開される中で、一部の国、ベトナムとシンガポールだけが投資対象になる。
ベトナムのホー・チ・ミン株式指数は、2006年100%以上の伸びを記録し、アジアでは最高の成長率だった。シンガポールの株式指数は、去年+27%を達成し、モルガン・スタンレー・アジア・パシフィック指数(MSCI)の+15%を上回った。今年、ベトナムは既に10%増、シンガポールは0.6%増を示し、マイナス1%のMSCIとは正反対の動きだ。
新興市場投資には、慎重にならなければいけない。特に向こう3カ月は、ロシア、中国、そしてインド株には注意が必要だ。度重なる爆破事件、それに中央銀行による為替コントロールで、タイの株が割安になっている。しかし、ここで買ってはいけない。政治不安が解決されない限り、タイは投資対象からしばらく外した方が良い。
もう一つの明るい材料は日本だ。2006年、世界10大マーケットの中で、日本の成長率は最低だったが、今年は挽回の年になる可能性が高い。
さて、次は米国株式市場だが、14人の著名投資戦略家(ストラテジスト)は、全員口を揃えて「上げ」、を唱えている。2001年も、全員が上げを予想したが、その年、S&P500指数は13%の下落だった。バンテージポイント・ファンズの、ウェイン・ウィッカー氏はこう述べている。「フェイバー氏の言うような暴落は、予期せぬかなりインパクトのある事件が発生しない限り、起きる可能性はありません。」
今年も、フェイバー氏のお気に入り投資は金だ。「世界の中央銀行は貨幣供給量を増やすことができますが、金の供給量には限りがあります。金の価格は更に大きく上昇することでしょう。原油にも同様なことが言えます。アジアでのオイル消費は衰えを知りませんから、今年も原油価格は上げ方向です。」
季節外れの暖かい冬が原因になり、先物市場で、オイルが大きく下げている。狼狽売り、といった気配だから、そろそろ底打ちかもしれない。
US Market Recap
狙いはベトナム、シンガポール、日本
マーケットと周期
「相変わらず2007年の相場予想が盛んですが、新年だからと言って、投資姿勢を変える必要は全くありません」、と語るのは、シカゴ商品取引所でトレーダーの経験を持つジョナサン・ホーニック氏だ。「2006年から2007年への移り変わりは、単なるカレンダー上の話です。言うまでもありませんが、新しい年の到来は、トレンドの転換を示すものではありません。」
たしかにホーニック氏の言うとおりなのだが、意外と投資者は、カレンダー上の話に弱い。違った表現をすれば、株式市場の周期性だ。有名なものに、大統領の選挙周期がある。トレーダーズ・アルマナックの統計を見ると、1945年以来、株式市場が最も調子が良いのは大統領任期の3年目だ。今年はブッシュ大統領の任期3年目だから、統計的には、第1四半期+7.5%、第2四半期+5.3%、第3四半期+1.9%、そして第4四半期に+2.8%を期待することができる。
月別の投資方法も人気がある。たとえば、ゴールドマン・サックス(GS)、メリル・リンチ(MER)、それにEトレード(ETFC)などの証券会社に投資するのはいつが良いだろうか?これも、トレーダーズ・アルマナックからの情報だが、過去10年間、10月に証券会社を買って4月に処分すると、年平均で44.5%の利益があった。
一日の中にも周期性(サイクル)があるから、時間帯を気にする、デイトレーダーやスイングトレーダーが多い。下記が、反転の起きやすい時間帯だ。(時間はニューヨーク時間)
1、9時50分ー10時10分 2、10時25分ー10時35分 3、11時15分ー11時30分
4、14時15分ー14時30分 5、15時 6、15時30分
付け加えれば、3と4の間は昼休みだから、売買を避けるトレーダーが多い。また、午前中に利益が上がっていない限り、午後のトレードは控えた方が無難だ、と言うトレーダーも多い。
数々の著書やセミナーで知られるベテラン・トレーダー、ラリー・ウィリアムズ氏は、周期についてこう語っている。「マーケットには二つの周期しかない。値幅の長い周期と短い周期だ。」ようするにボラティリティのことなのだが、言い換えれば、マーケットには値動きの荒い周期と、値動きがおとなしい周期がある。
VIXといえばボラティリティ指数だが、2006年の2月から、ボラティリティのオプション取引ができるようになった。株のトレードでは、上げ下げの方向性が重要になるが、ボラティリティのオプションはマーケットが荒れ模様になるか、それとも静かになるかを焦点にした取引だから、方向性は関係無い。面白そうだから、次の機会にこのオプションを説明したいと思う。
低ボラティリティ時代
ここ3年間を振り返ると、S&P500指数が一日で2%以上動いたことは、たったの2回しかない、と経済コラムニストのチェット・クリヤー氏は言う。「今日の米国株式市場には、低ボラティリティ、という言葉がピッタリです。1999年の一年だけで、一日でマーケットが2%以上変動したことは23回もありました。」
1999年のマーケットは、たしかに派手だった。インターネット銘柄が乱舞いし、一日で倍になる株が続出した。あの頃と今日を比べれば、間違いなく最近のマーケットはおとなしい。とうぜん疑問になるのは、低ボラティリティ時代には、どんな投資方法が適切なのだろうか?クリヤー氏の話に戻ろう。
先ず、金利状況から見てみると、連銀が短期金利を5.25%に据え置いてから、既に6カ月の月日が流れた。金利引下げを予測する人たちも多いが、連銀はしばらくこの状態を継続させることになるだろう。エネルギー、商品市場、それに新興市場のニュースで、時おりマーケットに波風が立つことはあると思うが、全体的には、静かなマーケットが予想される。
安定したマーケットは、投資者に好材料だろうか?不安定よりも良い、と言われるかもしれないが、一つ問題点をあげよう。今日のような平穏なマーケットでは、投資者が安心しきり、急いで持ち株を売る必要が無い。そのため、株の質に関係なく、ある程度割高なレベルに株価が上がらない限り、売り手が現れない。違った言い方をすれば、割安株が見つけにくい状態だから、ファンドマネージャーには頭痛の種だ。
1999年の終わりから2006年までを見ると、ラッセル3000指数は15.6%の利益があった。面白いのは、3.6%がキャピタルゲインによるものであり、ほとんどの利益は配当金だった。「2007年、投資者たちは、リスクに見合っただけのリターンを得ることは難しくなりそうです」、とリージェント・アトランティック・キャピタルのクリス・コルダロ氏は言う。
5、6年前なら、余剰資金を新興市場を専門に投資するミューチュアルファンドに入れておけば良かった。現に過去5年間、新興市場の社債を専門に扱うミューチュアルファンドに投資していれば平均で年16%の利益があったから、米国の社債ファンドの約3倍だ。しかし、これはもはや昔話、今日の状況で再演は難しい。
繰り返すが、今日の安定したマーケットでは、投資者が安心しきっているから、株の良し悪しに関係なく、価格が割高になってしまう。仮に、今年何か悪いことが起きたとしよう。当然、値下がり幅が大きいのは、質の低い株だ。だから声を大きくして言いたい。今日のマーケット状況で狙えるのは、内容のしっかりした、真の意味での優良株だけだ。
短気な人が狙える5銘柄
割安株投資の欠点は何だろうか?この質問に対する、ハリー・ドマッシュ氏(ウィニング・インベスティング)の回答はこうだ。「私だけに限らず、多くの投資者もそうなのですが、とにかく待てないのです。割安株が上がるには、あまりにも時間がかかりすぎます。」同感だ。次の質問。どうやったら、早めに結果の出る割安株を見つけることができるだろうか?ドマッシュ氏に説明してもらおう。
シカゴ大学教授、ジョセフ・ピオトロスキー氏の研究を基にして、直ぐに動きそうな割安株発見方法を考えてみた。先ず検討したいのはPBR (Price-to Book Ratio)だ。PBRは株価を一株当たりの純資産で割って算出し、一般的にこの数値が低い銘柄は割安と判断される。現在、米国で取引される株の平均PBRは1.7だから、それ未満の数字が割安ということになる。ここでは、PBRを1.5以下に設定する。
ただ株価が割安なだけでなく、企業利益も重要な要素だ。過去1年間の決算報告書を調べて、利益とキャッシュフローがプラスの企業を選ばなくてはいけない。もちろん、利益がプラスでも、減少方向に進んでいる会社はダメだ。ここで注意してほしいことが三つある。
1、総資産利益率(ROA):
ROAは、企業の総資産が利益を得るために、どれだけ有効に活用されているかを示した指標だ。基本的な収益性を示す数字だから、とうぜん高いほど利益も良くなる。
2、負債資本比率:
株主資本に対する債務比率だから、数値が減少方向にある企業が好ましい。
3、売上純利益率: 売上総利益率でも構わないが、肝心なことは上向き方向にあることだ。
チャートも忘れずにチェックしよう。どんなに有望な銘柄でも、トレンドが下向きでは話にならない。難しいチャートパターンは気にせずに、二本の移動平均線、50と200を入れてほしい。買い候補になるのは、株価がこれらの移動平均線より上で推移している株だ。
株価自身にも注意を払う必要がある。3ドル未満の株には、手を出さない方が無難だ。全てがそうだ、とは言えないが、低位株にはファンダメンタルズ的な問題が多いから、3ドル未満の株は避けてほしい。更に、一日平均の出来高が10万株以上の条件を加えると、下記のように、現在5銘柄の買い候補がある。いつものように、これらは投資のアイディアであり、買い推薦でないことをお断りしておきたい。
1. ChipMOS Technologies Ltd (IMOS 半導体セクター)
2. Petrobras Energia (PZE オイルセクター)
3. ASE Tset Limited (ASTSF 半導体セクター)
4. EXCO Resources (XCO オイルセクター)
5. MKS Instruments (MKSI 半導体セクター)
注: ハリー・ドマッシュ氏自身は、上記の5銘柄に投資をしていない。
狙えるハリウッド銘柄
今年、ブルマーケットは5年目を迎える。過去75年間を振り返ると、平均的なブルマーケットの寿命は3.7年間だから、今日のブルマーケットは息が長い。しかし、力強さが無い。1982年から1987年のブルマーケットでは、一日平均の伸び率は0.17%、そして1990年から1998年の上げ相場では0.15%の一日平均伸び率があった。だが、今日のブルマーケットは0.07%にも満たない。
「のろのろと上げていることは、決して悪いことではありません。だれでも長時間走ることはできませんが、ゆっくりと散歩するなら長続きします。82年に始まったブルマーケットが、87年に暴落したように、ベアたちは今年、同様なことが起きることを期待しています。しかし、ベアの夢はかなえられないでしょう。」 ジョン・マークマン氏(ストラテジック・アドバンテージ) 大きな下げが無いなら、今年も好調なマーケットが展開されるのだろうか?マークマン氏の意見を要約しよう。
2007年、S&P500指数は13%ほどの上昇が予測される。多くの人たちが心配するような景気の冷え込みは無く、連銀はゴルディロックス経済(熱すぎず、冷たすぎない経済)の実現に成功するだろう。インフレも、泡を立てる程度で、完全に沸騰してしまうことはない。現在4.5%の失業率は5.25%に上がると思われるが、これは不況を表す数字ではない。経済成長率は+2.6%ほどが予想され、一部のアナリストが言うようなマイナス成長はありえない。
2.6%の低経済成長率なら、どんな株を狙ったら良いだろうか?簡単言えば、大型成長株が注目だ。具体的には、ハリバートン(HAL)、アプライド・マテリアルズ(AMAT)、バクスター・インターナショナル(BAX)、コムキャスト(CMCSA)などがある。
今年の後半、2008年にオリンピックを控える中国が、大きな話題になりそうだ。大気汚染のヒドイ中国だが、大気清浄に成功し、世界から集まる人々は、きれいになった空気にビックリすることだろう。
アウトソーシング(外部委託)が進み、多くの職が海外に逃げているが、ハリウッドは別だ。ハリウッドで制作されたテレビ番組や映画は海外で大きな人気を得ているから、マスメディア株が狙える。例をあげれば、ディズニー(DIS)、ニュースコープ(NWS)、LINテレビ(TVL)、グレー・テレビジョン(GTN)などだ。また、関連銘柄としてヤフー(YHOO)も面白そうだ。
一つ、マークマン氏は、大胆な予想をしている。故意に偽ったイラン戦争情報を流したことが原因になり、ブッシュ大統領は弾劾を避けて、大統領職から辞任する。そのため、夏頃、株式市場は一時的な下落に襲われる。
最高経営責任者と株価
2007年、どの銘柄が行けるだろうか?売上、収益、新製品、チャートパターン、と様々な要素が株価を影響するが、ジョン・オグ氏(経済コラムニスト)は、少し変わった銘柄の選び方を紹介している。さっそく話を聞いてみよう。
10の大型株に期待が持てる。条件は一つ、最高経営責任者が辞めることだ。下記10社は、トップの辞任で株主やウォールストリートから歓声が上がることだろう。だからと言って、私は彼らが辞めることを首を長くして待っているわけではなく、彼らを批判することを目的にしているわけでもない。それでは、10社を見てみよう。
1、ジェフ・ベゾス氏(アマゾン・ドット・コム AMZN): 正確に言えば、ベゾス氏は完全に辞める必要はない。肩書きを少し変えるだけで十分だ。一人が社長と最高経営責任者を兼任するのではなく、それぞれのポストに違った人材を割り当てるだけで、株価には好影響になるだろう。
2、チャック・プリンス氏(シティグループ C): 株主たちは荒治療を要求している。先日、ジム・クレーマー氏(マッド・マネー)は「2007年中に、プリンス氏はいなくなるだろう」、と発言し、株価はその翌日から上げている。
3、ケビン・ロリンズ氏(デル DELL): 株価が回復し始めているから、ロリンズ氏は辞める必要がないかもしれない。しかし、ウォールストリートは新最高経営責任者を要求している。とにかく、早い時期に、デルは証券取引委(SEC)との問題を解決することだ。
4、アントニオ・ペレズ氏(イーストマン・コダック EK): 性格的にペレズ氏は、とても良い人だ。しかし、会社のリストラが、全く進んでいない。
5、ポール・プレスラー氏(ギャップ GPS): ファッションの店ギャップ、それなのにプレスラー氏には、消費者が何を求めているかが分かっていない。正に、ジェネレーション・ギャップ(世代の溝)だ。こんな状態だから、ギャップの魅力といえば、「割安」の一言につきる。
6、ボブ・ナーデリ氏(ホームデポ HD): はたして、氏の経営手腕を認めている人は存在するのだろうか?以前ホームデポに務めていた人が、こんなことを言っている。「ナーデリ氏は、社風を重要視しすぎです。おかげで、社員の企業心が低下しています。」
7、ポール・ジェイコブズ氏(クアルコム QCOM): 父親の後継者、という任務はあまりにも重すぎたようだ。とにかく、肝心な収益が上がらない。
8、リー・スコット氏(ウォルマート WMT): スコット氏が特に悪い、というわけではないが、ウォルマートは企業イメージを一新する必要がある。古臭い企業イメージだから、とにかく積極的な広報活動が必要だ。
9、テリー・セメル氏(ヤフー YHOO): 氏が辞めれば、間違いなく株主は歓喜の声を上げる。それだけではない、ウォールストリートも氏の辞任を強く望んでいる。
10、シリウス・サテライト・ラジオ(SIRI)、XMサテライト・ラジオ(XMSR): この業界で、二社が共存することは無理だ。単に最高経営責任者が辞任しても、収益が上がる見込みはない。となれば、二社の合併があってもおかしくない。
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著名投資戦略家4人の見方
はたして2007年は、皆が期待するゴルディロックス経済になるのだろうか?「ゴルディロックスと三匹のクマ」、というイギリスの童話からとられた名前だが、熱くも無く、冷たくも無い経済をゴルディロックス経済と呼ぶ。だから、ゴルディロックス経済は、インフレの無い、好調な経済だ、と言う人たちもいる。
さて、ここで心配になるのが米国住宅市場だ。ゴルディロックス経済が実現するには、米国経済に、低迷する住宅市場を跳ね飛ばすだけの力がなくてはいけない。ここで、二つのグラフを見てみよう。
中古住宅販売件数の伸び率を示したものだが、明らかにダウントレンドだ。
最近、少し頭打ちになっているが、これは売りに出されている住宅件数を示している。左側に「6 months」、と記されているが、現在売りに出されている住宅を全て売りつくすには、6カ月以上の月日が要る、という意味だ。こんな状況で、今年の株式市場は大丈夫だろうか?専門家たちの意見を要約しよう。
リチャード・バーンスタイン氏(メリルリンチ、チーフ投資戦略家):
2007年、S&P500指数は12%ほどの伸びになる。金利に関する、連銀の姿勢がハッキリしないため、1月のマーケットは方向性を欠きそうだ。今年のGDP(国内総生産)は、去年の率をちょうど1ポイントほど下回りそうだから、投資者は企業収益に注意を払う必要がある。期待できるセクターはテレコミュニケーション、避けるのはエネルギーと商品関連だ。投資資金は、株50%、国債30%、キャッシュ20%に分散することを勧めたい。
アビー・ジョセフ・コーエン氏(ゴールドマンサックス、チーフ投資戦略家):
住宅市場の下降は続くが、今年特に期待できるのは、レストラン、旅行、それに娯楽産業だ。全体的に、企業収益の成長率は下がるが、大きな下方修正の心配は無い。S&P500指数は1550に達するだろう。(現在1418.30)
デービッド・ビアンコ氏(UBSインベストメント・リサーチ 投資戦略家):
連銀は、3月に金利引下げを実行するだろう。S&P500指数は、1500以上で2007年を終了しそうだ。住宅市場が、2007年、底打ちになることは無い。
アブヒジット・チャクラボーティ氏(JPモルガン、投資戦略家):
ドル安が進むだけでなく、米国経済の減速が顕著になる。アジアやヨーロッパでは金利引き上げが続くが、アメリカは現状の金利据え置きになるだろう。連銀に失望した投資家が売ってくるはずだから、マーケットは今年前半、大きく下げる可能性がある。
成長株、不動産、定期預金
一般に言われる優良成長株は、2006年、S&P500指数の伸び率を下回っただけでなく、平均すると20%ほど割安だ。成長株は金利とインフレに敏感だから、それらが上昇する限り、投資者たちは景気後退期に強い食品や薬品などの、ディフェンシブ株に集中することになる。
しかし、金利の安定、それにインフレの心配が薄れている今日、成長株が狙える環境になった。とうぜん、ディフェンシブ株から資金が成長株に移って来ることになるが、実際に何を買ったら良いだろうか?
先ず、ミューチュアルファンドなら、バンガード・グロース・インデックス・ファンド(VIGRX)を勧めたい。特に、毎月こつこつと資金を積み上げていくなら、このファンドは最適だ。上場投信なら、iShares S&P 500 Growth Index (IVW) が良いだろう。株と全く同様に売買できるから、コスト的にはミューチュアルファンドより割安だ。
個別銘柄に投資するなら、タイムリーな株が3つある。
1、ゼネラル・エレクトリック(GE) 2、オイル会社のシュルンベルジェ(SLB) 3、テキサス・インスツルメンツ(TXN)
この三つの中で、最も保守的な銘柄は1のGEだ。
住宅市場に移ろう。2006年、中間価格は平均で2.2%の下げになり、完全な買い手市場になっている。今年も、更なる買い手市場化するはずだから、表記されている価格より、少なくとも15%下で交渉を始めよう。350ドルほどの金がかかるが、好きな家が見つかったら、不動産鑑定士を使って、適切な価格を把握することも大切だ。
言うまでもないが、売り手にとって、2007年はきびしい年になるだろう。一つ、こんなアイディアがある。不動産投資家のアンディー・へラーさんによると、低迷する住宅市場は買い手に好都合なのだが、多くの人たちは十分な資金が無い。そこでおすすめなのが、一定期間物件を賃貸して、買い手が頭金を用意できたところで売る、というlease-to-own 契約だ。
2年間続いた金利引き上げで、定期預金が魅力的だ。1年間定期は平均で4.79%の利子があるから、しばらく手をつけない余剰資金を回すと良いだろう。定期預金以外には、短期国債ファンドを利用することが考えられる。平均利回りは4.7%ほどだが、定期預金のような元本保証は無い。また、債券ファンドには、元本割れの危険性もあることを覚えておこう。
今年、ガソリン価格は3%ほど下がるだろう。だからと言って、安心してもらっては困る。ハリケーン、テロリズム、そんなことが起きればガソリン価格はいっぺんに跳ね上がってしまう。節エネを常に心がけよう。
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新年の抱負10
明けましておめでとうございます。新年です。さっそくですが、今年の目標、抱負は決まりましたか?「体重を10キロ減らす」、というのがアメリカ人女性の中で、最も多い新年の抱負だ、とさきほど報道されていました。男性の場合は、もっと親切な人間になる、などといった抽象的な目標をたてる傾向があるそうです。
それでは、まだ抱負が決まっていない人たちのために、チャック・ジャフィ氏(経済コラムニスト)からの提案を紹介しましょう。
1、本当に必要な物だけを買い、買った物は必ず使うこと。
私たちは、無駄な物を買いすぎる傾向がある。多くの家庭の冷蔵庫には、手がつけられることなく、腐っている食品が保管されていることだろう。物を買う前に、三つの質問をしてほしい。これは本当に必要だろうか?買ったら本当に使うだろうか?これを買わなくても、家には代用できる物はないだろうか?
2、万が一のための準備をする。
綿密な家族旅行プランをたてる人でも、肝心な事を怠っていることが多い。新年早々、死を話題にしたくはないが、残された家族のために、財産の分散方法などをはっきりと記した、遺言書を用意しておくことを勧める。また、生命保険の金額も、適切かどうかを確認しよう。
3、ファイナンシャルプランナーに相談してみよう。
裕福な人たちだけに、ファイナンシャルプランナーが役立つわけではない。投資をしたくても資金が無い、と言う人なら、ぜひファイナンシャルプランナーに相談しよう。きっと、具体的な貯蓄プランをたててくれることだろう。もちろん、全てのファイナンシャルプランナーは親切ではないから、一回目の相談が不満足なものなら、他のプランナーをあたってみよう。
4、金融関連書類の整理。
証券会社からの報告書、銀行からの通知、まだ開けられずに封筒に入っていないだろうか?月別のファイルを作って、きちんと整理しよう。投資で財産を増やしたいのなら、先ず適切な書類管理だ。
5、金銭出納帳、家計簿のススメ。
毎月の貯蓄が今年の目的なら、間違いなく金銭出納帳が役にたつ。とにかく、どこで無駄な金を使っているかが分かるから、ぜひとも勧めたい習慣だ。
6、現金主義に徹する。
物を買うなら現金で買おう。絶対にクレジットカードを使ってはいけない。アメリカ人が借金を背負い込む最大の理由はクレジットカードだから、金が無いなら買わないことだ。
7、募金に協力しよう。
言うまでもなく、世の中には助けを必要としている人たちがいる。自分の納得できる団体や協会を選んで、収入の一部を困っている人たちのために使おう。
8、時間を有効に使う。
お金以上に時間は大切だ。無駄な時間を削ることで、あなたはその時間を勉強などに使うことができる。
9、ローンは毎月遅れずに返済すること。
毎月の支払いは、必ず時間どおりにすること。何度も遅れるようでは、必要な時に銀行から金を借りることができなくなってしまう。
10、金のかからない過ごし方を身につけよう。
休暇をラスベガスで過ごすのも良いが、あまりに割高だ。それよりも、家族そろって国立公園などはどうだろうか?ショッピングセンターで時間をつぶすよりも、ピクニックに行って、バーベキューをした方が楽しい。価値のある時間の過ごし方は、決して金がかかるものではない。
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一般投資家の声を聞いてみよう
2007年、アメリカ経済、そして株式市場はどうなるでしょうか?フォーチュン誌は、そんな質問を読者にぶつけた。昨日一昨日と、二日連続でプロの意見を紹介したから、今日は個人投資者たちの声を聞いてみよう。
「マスコミは、まるで住宅市場が大暴落しているような報道の仕方ですが、実際に損を出しているのは、天井で住宅を購入した人たちです。来年、南部の不動産は安定するだけでなく、たぶん上昇するはずです。米国経済も、心配されたような落ち込みは無いと思います。イラクから兵を撤退させれば、米国経済は2010年まで、順調に伸びるのではないでしょうか。」 ケン・アンソニーさん(サウス・カロライナ州)
「マーケットは、ゆっくりとしたペースで上昇を続け、高値が更新されることでしょう。ですから、不動産から株へ資金を移す計画をしています。住宅市場は、来年も低迷すると思います。場合によっては、経済のハードランディングもありえますから、2007年は、バランスのとれた投資をするつもりです。」 マイク・シノポリさん(カナダ)
「現在の上げ相場は、長期的なベアマーケットにおける、一時的な上昇波動です。逆利回り現象が起きてから、既に1年近くの月日が流れましたが、これは株式市場の下げを予測しています。こんな状況ですから、私の投資口座は、国債が65%、株が35%です。」 ジャック・イーゴンさん(テキサス州)
「来年も、中国やインドの経済が大きく成長しそうですから、エネルギー・セクターが狙えると思います。アメリカ国内の雇用状況が健全ですから、小売銘柄も良いのではないでしょうか。」 ラグハバン・ヒルズボローさん(ニュージャージー州)
「多くのアナリストは、大型株の買いを推奨していますが、来年は割安株がテーマになるのではないでしょうか。例をあげれば、90年代のスター銘柄だった、サン・マイクロシステムズ(SUNW)です。」 マリオ・ロックビルさん(メリーランド州)
「家族代々、もう100年以上不動産に投資をしていますが、損を出したのは2回だけです。マスコミは単に大袈裟なだけで、真実が報道されていません。大きな上昇の後には、必ず修正がやって来ます。今、アメリカの住宅市場が経験しているのは、一時的な下方修正で、決して暴落ではありません。問題は需給関係です。売りに出されている住宅が多数ありますから、これらが片付くには、2008年から2009年までかかるかもしれません。」 Mさん(マサチューセッツ州)
「マーケットの上げ下げは、どうでもいいことです。大きく下がるなら、予定していた倍の金額をミューチュアルファンドに入れて、大きな上げなら利食えば良いのです。」 Vさん (ワシントン州)
今年の相場も終わりです。楽しい年末、明るい新年をお迎えください!
鎌田
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