US Market Recap

メッセージはいつも同じ

全米不動産業協会チーフ・エコノミスト、デービッド・レレア氏の言うことは、いつも同じ二点をくり返すだけだ、と経済コラムニストのレックス・ナッティング氏は語る。

1、住宅売買に、間違ったタイミングは無い。いつどんな時でも、住宅は良い買い物だ。
2、米国住宅市場は既に底を打った。

特に2番目だが、レレア氏は住宅市場の底打ちを、もう一年以上も言い続けている。先日発表された、12月分の中古住宅販売件数は、前年同時期と比べると7.9%の減少だった。2006年全体を見ると8.4%減となり、これは最近17年間で最も大きな下落率だ。こんな事実を突きつけられても、レレア氏の顔からは笑みが消えない。

ここで、レレア氏のコメントを振り返ってみたい。

2006年1月:

氏の予想: 「現在、住宅市場は正常化の過程にある。」
実際の結果: 第4四半期の住宅売上件数は12.6%減だった。
発表後の氏の言葉: 「今日発表された住宅販売件数は、十分に継続維持できるレベルだ。数カ月後、住宅市場は上向きになっていることだろう。」

2006年4月:

氏の予想: 「住宅販売件数は、とうぜん上下するが、高い水準で横ばいになるはずだ。」
実際の結果: 第1四半期の住宅販売件数は年間ベースで679万件。8.6%減だった。
発表後の氏の言葉: 「この数字が証明しているのは、米国住宅市場が、急成長からおだやかな最長率になった、ということだ。」

2006年7月:

氏の予想: 「住宅市場が落ち着き、安定が見られるはずだ。」
実際の結果: 第2四半期の住宅販売件数は年間ベースで669万件。マイナス6%だった。
発表後の氏の言葉: 「たしかに住宅市場に安定を観測できる。」

2006年10月:

氏の予想: 「住宅売上数が上向きになるだろう。」
実際の結果: 第3四半期の住宅販売件数は22.2%減を記録した。
発表後の氏の言葉: 「おそらくここが、住宅市場の底だろう。」

2007年1月:

氏の予想: 「順調な住宅売上数の回復に伴い、住宅価格も上昇していることだろう。」
実際の結果: 第4四半期、住宅販売件数は年間ベースで624万件。2.3%減だった。
発表後の氏の言葉: 「これで、たしかに住宅市場の底が確認できたようだ。」

そして結論として、ナッティング氏はこう付け加える。「もちろん、レレア氏一人だけを槍玉にあげるのは不公平なことだと思います。他にも、多くのエコノミストたちが、2006年に起きた住宅市場の大幅下落を予想できませんでした。しかしレレア氏は、住宅市場の具体的なデータを持っているにもかかわらず、事実ではなく氏の個人的な意見を教壇の上から説教していたのです。」

メッセージはいつも同じ

全米不動産業協会チーフ・エコノミスト、デービッド・レレア氏の言うことは、いつも同じ二点をくり返すだけだ、と経済コラムニストのレックス・ナッティング氏は語る。

1、住宅売買に、間違ったタイミングは無い。いつどんな時でも、住宅は良い買い物だ。
2、米国住宅市場は既に底を打った。

特に2番目だが、レレア氏は住宅市場の底打ちを、もう一年以上も言い続けている。先日発表された、12月分の中古住宅販売件数は、前年同時期と比べると7.9%の減少だった。2006年全体を見ると8.4%減となり、これは最近17年間で最も大きな下落率だ。こんな事実を突きつけられても、レレア氏の顔からは笑みが消えない。

ここで、レレア氏のコメントを振り返ってみたい。

2006年1月:

氏の予想: 「現在、住宅市場は正常化の過程にある。」
実際の結果: 第4四半期の住宅売上件数は12.6%減だった。
発表後の氏の言葉: 「今日発表された住宅販売件数は、十分に継続維持できるレベルだ。数カ月後、住宅市場は上向きになっていることだろう。」

2006年4月:

氏の予想: 「住宅販売件数は、とうぜん上下するが、高い水準で横ばいになるはずだ。」
実際の結果: 第1四半期の住宅販売件数は年間ベースで679万件。8.6%減だった。
発表後の氏の言葉: 「この数字が証明しているのは、米国住宅市場が、急成長からおだやかな最長率になった、ということだ。」

2006年7月:

氏の予想: 「住宅市場が落ち着き、安定が見られるはずだ。」
実際の結果: 第2四半期の住宅販売件数は年間ベースで669万件。マイナス6%だった。
発表後の氏の言葉: 「たしかに住宅市場に安定を観測できる。」

2006年10月:

氏の予想: 「住宅売上数が上向きになるだろう。」
実際の結果: 第3四半期の住宅販売件数は22.2%減を記録した。
発表後の氏の言葉: 「おそらくここが、住宅市場の底だろう。」

2007年1月:

氏の予想: 「順調な住宅売上数の回復に伴い、住宅価格も上昇していることだろう。」
実際の結果: 第4四半期、住宅販売件数は年間ベースで624万件。2.3%減だった。
発表後の氏の言葉: 「これで、たしかに住宅市場の底が確認できたようだ。」

そして結論として、ナッティング氏はこう付け加える。「もちろん、レレア氏一人だけを槍玉にあげるのは不公平なことだと思います。他にも、多くのエコノミストたちが、2006年に起きた住宅市場の大幅下落を予想できませんでした。しかしレレア氏は、住宅市場の具体的なデータを持っているにもかかわらず、事実ではなく氏の個人的な意見を教壇の上から説教していたのです。」

ボクシングジムに集まるトレーダー

ロサンゼルスタイムズの報道によると、ウォールストリートで、ボクシングの人気が高まっている。観戦するのではなく、実際のボクシング・ジム通いだ。

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(上はジムで一汗流すマイケル・ムルロイ氏)

トリニティー・ボクシング・クラブはマンハッタンの南端部にある。金融街の高級スポーツクラブではないから、とうぜん最新のトレッドミル、ハイテクシステムを導入したウェイトトレーニングなどの設備は無い。あるのは二つのリング、十分な数のサンドバッグにパンチングボール、そしてバーベルの代わりに用意されたビール樽だ。

ニューヨーク証券取引所のトレーダー、マイケル・ムルロイ氏は、「ボクシングはストレスの解消に最高です」、と言う。氏といっしょにトリニティー・ボクシング・クラブにやって来たフランク・ランダゾ氏(オプション・ブローカー)は、ボクシングが精神面に与える影響を強調する。「太った同僚たちには気迫が感じられません。彼らを圧倒することなど簡単です。」

「私のジムでトレーニングをするウォールストリートの人たちは、いくつかの共通点があります。チャレンジ精神が旺盛であることは言うまでもありませんが、彼らはハイローラーであり、常にスリルを求めます。とにかく、彼らは競争が好きなのです。こぶしを武器に優劣を争うボクシングは、そんな彼らの性分にピッタリと合うのではないでしょうか」、とトリニティー・ボクシング・クラブのオーナー、マーチン・スノー氏は語っている。

去年、スノー氏は、カリフォルニア州スタジオ・シティーでもボクシングキャンプを開催した。ウォールストリートのブローカーには、東海岸と西海岸の両方でビジネスを展開する人たちが多いためだ。

トレーダーのムルロイ氏が指摘するように、ボクシングはストレス解消に大きく役立つ。特に、コンピュータを使ったトレードが益々増える今日、毎年トレーダーの数は減る一方だから尚更だ。「コンピュータの導入が急ピッチに進んでいますから、とうぜんトレーダーたちはイライラしています。こんな気分を吹き飛ばすには、ボクシングが最適です。もしトレーダーからボクシングが取り上げられるような事態が起きれば、証券取引所は毎日大乱闘になるでしょう」、と冗談まじりにトム・ボーべ氏(ニューヨーク証券取引所のトレーダー)は言う。

「ホワイト・カラー・ボクシング」の著者、ジョン・オーデン氏も、ジムに通う一人だ。「トレーダーにたまるストレスは、並大抵なものではありません。私もスキーなどに行って、何度もリラックスしようとしましたが、ダメなのです。たしかに美しい山々が見えてはいるのですが、トレードのことが頭から離れません。しかし、ボクシングは違います。リングで戦っている時は、100%相手の動きに集中しなければいけません。完全にトレードのことを忘れることができるのです。」皆さんも、ボクシングに挑戦してみてはいかがだろうか?

テロとガソリン

2月1日、テラー・フリー・オイル、というガソリンスタンドが、ネブラスカ州オマハに開店する。

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上の写真を見る限り、やや殺風景ではあるが、何の変哲もない普通のガソリンスタンドだ。ここで、もう一度、店の名前に戻ろう。TERROR - FREE OILは、「テロの無いオイル」、と直訳できる。ようするに、ここで販売されるガソリンは、テロ活動を支持しない国から輸入されたオイルが原料になっている。

「タンクを満タンにする度に、私たちはアメリカの滅亡を望むテログループに、資金を送っていたのです。そんなことを無視して、相変わらず巨大オイル会社は、中東からオイルを買っています。こんな現状は変えなければいけません。そして、9月11日のような悲劇は、二度とあってはならないのです」、とTERROR - FREE OILのジョー・カウフマン氏(広報担当)は言う。

テラー・フリー・オイルは、どこからガソリンを手に入れるのだろうか?答えは、ユタ州ソルトレークシティーにある、シンクレア・オイル、という会社だ。シンクレアの扱うオイルのほとんどは、カナダとアメリカ国内産だ。「私たちの新ビジネスに、多くの人たちが興味を示しています。現に、ネブラスカ州だけでなく、全米の消費者から、毎日問い合わせが殺到しています」、とカウフマン氏は語る。

マサチューセッツ州アッシュランドで、ドライクリーニング店を経営するダグラス・シュミット氏は、こんな話をする。「営業用に、三台の車を使っていますが、エクソンからはガソリンを買いません。利用するガソリンスタンドは、ヘスだけに限っています。値段が安い、という理由もありますが、ヘスはアメリカ国内が専門です。これは、私にとって重要なことです。」

もちろん、誰もが疑問に思うことは、TERROR - FREE OILのガソリンは、本当に100%テロに関係無い、と言い切ることができるだろうか?シンクレア・オイルからTERROR - FREE OILはガソリンを買っているわけだが、シンクレア関係者の話によれば、シンクレアはニューヨーク商品取引所からもオイルを買っている。となれば、とうぜん中東のオイルが含まれている可能性がある。

「TERROR - FREE OILのガソリンが、100%完全にテロリストと無縁である、とは断言できません。しかし、私たちが成し遂げようとしていることは、巨大オイル会社にメッセージを送ることなのです。オイル業界の中で、私たちの存在など、極めて小さなものです。しかし私たちは、反テロのメッセージを全てのアメリカ国民に伝えたいと思います」、とカウフマン氏は強調している。

環境保護団体で活動する、デービッド・ウィレット氏はこんな意見だ。「もっとも良いテロ対策は、中東からのオイルを買わないことではなく、オイル依存をなくすことです。代替エネルギーの開発が大切です。」

1月31日も金利は据え置き

1月31日、連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。短期金利は、過去4回の会議と同様に5.25%に据え置かれることが予想され、会議後の声明では、経済成長率減速よりもインフレ懸念を示す内容が中心になりそうだ。「数週間前、多くのアナリストは下向きになり始めた経済を理由に、3月か5月に金利引下げの可能性が高いことを主張していました。しかし、それは大きな読み間違いです」、と経済コラムニストのジョン・ベリー氏は言う。氏の話を要約しよう。

労働市場のひっ迫が続き、インフレ率は、わずかとは言うものの上昇方向だ。フェデラル・ファンズの先物を見てみると、少なくとも向こう6カ月間、金利引下げを予想する投資者はいない。

その一方、ゴールドマンサックスのエコノミストは、連銀は0.75ポイントの金利引下げを、今年の後半から実施する、という見方をまだ捨てていない。しかし、利下げが実現するためには、次の二条件が必要であることも記されている。

1、毎月の比農業部門新規雇用者数は50,000人以下に減少すること。
2、ある程度の失業率上昇が起きること。

マクロエコノミック・アドバイザーズLLCのレポート(1月19日)によれば、ゴールドマンサックスが言うような、新規雇用者数が減ることはありえない。現に、このレポートは連銀の金利据え置き政策は、今年の終わりまで継続されることが予測されている。引用しよう。「連銀の選べる道は、金利据え置き、または引き上げの二つしかない。ひっ迫した労働需給、弾力性のある米国経済を考慮すれば、金利引下げが選択肢の一つに含まれることは無理だ。」

最近の報道を振り返ってみると、現行の5.25%に満足している連銀関係者も多い。たとえば、スーザン・シュミット・ビーズ氏だ。1月18日、アリゾナ州での講演で、氏はこんなことを言っている。「全ての項目を検討すると、物価上昇速度が鈍っている状況を確認できる。」

サンフランシスコ連銀の、ジャネット・イェレン氏はこう語っている。「現在のインフレ率は、たしかに満足できるものではない。しかし、私が金利据え置きに賛成なことに、多くの人たちは驚いている。ここで強調しておきたいのは、私も今よりインフレ率が下がることを望んでいる。そして付け加えたいことは、現行の金利でそれが実現できる可能性が高いことだ。」

どちらにしても、連銀は気長に金利据え置き政策を続けることだろう。ビーズ氏、イェレン氏、そして他の連銀関係者が指摘するように、アメリカが悪性のインフレに陥る危険は無い。だからといって、利下げが実施できる環境でもない。繰り返しになるが、金利据え置き持久戦術は、まだまだ続きそうだ。

オイル銘柄は買い!?

2006年のピークから、原油価格は35%ほど下げている。はたして、オイル銘柄は買いだろうか?「たとえば、コノコ・フィリップス(COP)は10%、オクシデンタル(OXY)は8%、そしてエクソン・モービルは1.8%、1月に入ってから既に下げています」、とジム・ジューバック氏(MSNマネー)は言う。まだ買いのタイミングではないのだろうか?氏の意見をまとめてみよう。

今月、オイル価格は1バレル50ドルから、54ドル20セントまで上昇を見せたが、これは単なる一時的なラリーだ。十分な原油供給量、それに減速気味な米国経済を考えれば、このままオイルが上げ続けることは難しい。もう一つ、各オイル会社は、2006年度、記録的な一株利益を発表している。今年も去年と同様、あるいはそれ以上の成績を上げることは、ほとんど不可能に近い。

原油価格が40ドルを割ることはないと思う。現在を2010年と仮定して2007年を振り返ると、2007年は、オイル価格プルバックの年だ。一時的なラリーは何度か起きることだろうが、それらは長期投資者によるものではなく、短期トレーダーたちが主役になった現象だ。今月のラリーは、短期トレーダーが演出したマーケットの好例だ。先ず、季節外れの暖かい冬でオイルが空売られる。そして、大寒波予報で今度は一斉に買いが入る。

企業の四半期収益を比較する場合、ウォールストリートのアナリストたちは、前年度の同時期を見る。既に述べたように、2006年度、オイル業界は膨大な利益を上げた。そのため、当然の結果として、収益下方修正発表が圧倒的に多くなる。具体的には、2007年度のエクソン・モービルの収益は2006年度を1.12%、シェブロンは4.26%、コノコ・フィリップスは6.89%、マラソンオイルは15.91%の下落が予想されている。もちろん、これらはオイル銘柄に悪材料だ。

十分な原油供給量を指摘したが、需要も下がらなければ、原油価格が更に大きく下落することはない。国際エネルギー機関は、2007年度、1日あたりの米国オイル需要量を16万バレル下方修正した。また、ドイツ銀行のアナリストによれば、歴史的に見ると、マーケット全体の株価収益率を100とすると、オイル株は80前後の数値をつけることが多い。今日の数字は70というから、収益減が既に予測されているだけに、まだオイル株は割安と言うことはできない。

オイル株を買うのは、たぶん6カ月から9カ月ほど先になるだろう。だから、北半球が夏の本格的なドライブ・シーズンが終わり、ガソリンの在庫量が減っている頃だ。

期待されていないものを買え!?

「飛行機の旅より嫌なものがあるでしょうか?」、と問いかけるのはピナクル・インベストメント・アドバイザーズのジョン・マークマン氏だ。「手荷物検査の長い列、みじめな機内食サービス、無愛想な乗務員、狭い座席、高い航空券、つまらない映画、隣に座る体臭のきつい太った客。正に悪夢です。」(大丈夫かな。太った人たちから、マークマン氏に抗議のメールが殺到しそうだ。)

とにかく、こんなことを言うからには、航空会社の空売りでも勧めたいのだろうか?話を続けよう。「航空会社は、長いことダメな投資対象の代名詞でした。しかし、過去6カ月を見てください。今日の株式市場で、航空会社は最も成績の良いセクターの一つです。好きなものに投資しろ、という言葉がウォールストリートにありますが、この際そんなことも言っていられません。

航空セクターが好調な理由は、8月以来、35%もクルード・オイル価格が下がっているからだ、と一般的に説明されています。たしかに、航空業界の出費を調べると、燃料費が一番大きな割合を占めていますから、原油価格大幅下落は収益に好影響となることでしょう。

アメリカン航空(AMR)の株価は、8月以来、65%の上昇です。パーセンテージだけを見ると、オイルの下落幅の約2倍です。最近6カ月間では、アメリカン航空とユナイテッド航空(UAUA)は、それぞれ約95%の上げです。言い換えれば、人気銘柄のグーグルやアップルの3倍に匹敵します。

昨年になりますが、ビリニ・アソシエーツの調査によれば、効率の良い投資をするには、向こう5年間でもっとも低い収益成長が見込まれるセクターの株を買うことです。現に、アメリカン航空は、その投資方法の好例になります。逆なのが、オンライン・オークションのeBay(EBAY)です。向こう5年間、毎年25%の収益成長が予想されていましたが、2006年、EBAYの株価は30%の下落です。

もう航空会社は上がり過ぎだ、と言う人たちもいますが、まだ買えます。たとえ、オイルが10ドルから15ドル上昇しても心配ありません。どれを買うかですが、先ずユナイテッド(UAUA)です。今週発表された決算は、やや予想を下回りましたが、収益見通しが明るくなっています。2007年度の一株利益は5ドル75セントが見込まれ、2006年度の90セントを大幅に上回ります。向こう1年間の目標株価は75ドルです。(現在44ドル90セントで取引されている )

変わったところでは、上場されて間もないAircastle(AYR)があります。旅客ジェット機、貨物用ジェット機をリースする会社ですが、純利益の100%を配当金という形で、株主に払うことを目標にしています。」

Vistaの恩恵を受ける4銘柄

いよいよ来週、Windows Vistaの発売が始まる。延期されていただけに、待ちわびている人もいることだろうが、経済コラムニストのマイケル・ブラッシュ氏は、「店の前に徹夜で並ぶ人はいないでしょう。PS3とは違います」、と言う。しかし、Vistaは良い投資のチャンスになる、と氏は付け足すことも忘れない。マイクロソフトを買え、というのだろうか?ブラッシュ氏の話を聞いてみよう。

「難しい技術的な話は飛ばしましょう。Vistaは、株投資者にとって利益を上げる好機会です。ノレンバーガー・キャピタルのアナリストは、1990年以来、Vistaほど大きな影響をハードウェアに与えるオペレーティング・システムを見たことがない、と書いています。これが意味することは、多くの家庭や会社にあるコンピュータでは、Vistaを効果的に使えない、ということです。

注目できる銘柄が4つあります。先ず、プロセッサを製造するマイクロン・テクノロジー(MU)と Qimonda (QI)。グラフィクス・カード・メーカーのNvidia(NVDA)、それに皆さんもよくご存知のインテル(INTC)です。もう一つ、ヒューレット・パッカード(HPQ)のような、コンピュータ供給メーカーも狙えると思います。

なぜ、Vistaは画期的なのでしょうか?一言で言えば、三次元的視界です。Windows Aero、と呼ばれる新インターフェースがそれを可能にしているのですが、その結果、極めて鮮明なグラフィックを楽しむことができ、映像は普通のテレビとハイビジョンほどの違いがあります。

最近6カ月以内に新しいコンピュータを買った人なら、おそらく問題なく、Vistaにアップグレードできるはずです。アップグレードするためには、少なくとも2ギガバイトのDRAMが要ります。平均すると、今日市販されているコンピュータには、800メガバイトのDRAMがあります。これが、マイクロン・テクノロジー(MU)と Qimonda (QI)を狙える理由です。ノレンバーガー・キャピタルのモーゼスマン氏は、今年DRAM需要が106%増えることを予想しています。

エクセルのようなソフトに、高度なグラフィクス・カードは要りませんが、Vistaへのアップグレードが高度なグラフィクス・カードを必需品に変えます。恩恵を受けるのがNvidia(NVDA)です。モーゼスマン氏は、NVDAの目標株価を43ドル(現在33ドル)に設定しています。

インテル(INTC)も有望銘柄の一つなのですが、問題があります。インテルは、ライバル会社のアドバンスト・マイクロ・デバイシーズ(AMD)と価格戦争状態です。時期的に、冬は半導体セクターが低迷しますから、しばらくインテルは敬遠されそうです。」

天候と上場投信

季節外れの暖かい冬から、一気に厳しい冬になってしまった。カリフォルニア州は霜に襲われ、70%以上のオレンジが失われる可能性がある。このニュースで、3月限の冷凍オレンジジュースの先物は、先週の水曜だけで3%の上昇になった。天候不順を、うまく投資に利用することはできないだろうか?そんな質問に、ラジオの経済番組で解説者を務めるティム・ミドルトン氏が答えているので、要点を紹介しよう。

多くの人たちは、株やミューチュアルファンドに投資ができる口座を持っているが、先物用の口座を持っている人は少ない。だから、今回のようなニュースがあっても、先物商品市場に参加することは不可能だ。しかし、状況が変化し始めている。

約2週間ほど前になるが、PowerShares DB Agriculture Fund (DBA)という農産物を専門に投資する上場投信が、アメリカン証券取引所にデビューした。初取引は1月5日、24ドル93セントで幕を開け、終了は25ドル2セント、出来高は2万7800株という静かな一日だった。そして、寒波のニュースがヘッドラインになった12日、DBAは27ドルを突破して、出来高も34万1400株に増大した。週明けの16日も、マスコミは異常気象をトップに取り上げ、株価は瞬時28ドル15セントを記録して、出来高も約170万株に膨れ上がった。

DB Agriculture Fund (DBA)は農産物を専門に投資する、と記したが、内訳はトウモロコシ、小麦、大豆、そして砂糖に資金が同比率で配分される。既に、 iPath Dow Jones-AIG Commodity Index Total Return (DJP)のような商品を中心にした上場投信もあるが、これにはオイルなどのエネルギーも含まれ、農産物だけに限ったのはDBAが初めてだ。

農産物の中で、今日最もユニークな存在なのが、代替エネルギーとして注目されているエタノールの原料になるトウモロコシだ。37の州で提案されているエタノール生産が実施されることになると、2025年までに、エタノールがガソリン市場の25%を奪うことになる。更に、アース・ポリシー協会は、既に発表された農務省の推定をほぼ100%上回る、1億3900万トンのトウモロコシが来年エタノール用に使われることを予想している。

現在、トウモロコシは4ドル9セント(1ブッシェル当たり)で取引され、去年の平均価格、2ドル51セントを大きく超えた。JPモルガンのアナリストは、今年のトウモロコシの平均価格は4ドル3セントを予測しているから、食品会社は頭が痛い。結果的には、マクドナルドやコカコーラの収益に影響を与えることになるから、食品関連銘柄投資には注意が必要だ。

一人あたり2800ドル

アンドリュー・シップマン氏は、他の旅客と同様に、チェックインした手荷物が出てくるのを待っていた。しかし、デルタ航空は、氏のスーツケースを失くしてしまった。とうぜん弁償してもらうことになったが、デルタ航空は、スーツケースが使い古され、既に価値が下がっていることを理由に、全額弁償を拒んだ。「航空会社と交渉することが、こんなに面倒なことだとは、全く予期していませんでした」、と当時を振り返ってシップマン氏は言う。

ウォールストリートジャーナル紙によれば、2002年以来、航空会社が紛失した手荷物数が毎年増加している。2006年を見ると、150人に1人(アメリカ人旅行者に限る)の割合で荷物が失くなり、2005年度の数値を11%上回った。テロ対策の一環として、機内へ持ち込める手荷物数の制限だけでなく、経営に苦しむ航空会社の人員削減が、荷物紛失数の増加につながったようだ。去年、最も紛失数が多かったのはUSエアウェイズ、そしてデルタ航空、アメリカン航空の順番になる。

ほとんどの旅客は、航空会社との交渉が、いかに困難であるかを知らない。さっそく、空港で係員に苦情を言うことになるが、その場で弁償してくれることは無い。よくても、歯ブラシや石鹸などの洗面用具が支給される程度だ。(場合によっては、1日25ドルに換算して、4日分までの現金が払われることもある。)

アメリカの法律は、航空会社が弁償する金額は、最高で2800ドルまで、と限定している。一荷物2800ドルではなく、旅客一人当たり2800ドルだ。また、宝石、カメラ、現金なども損害賠償の対象にならないこともあるから注意が必要だ。

海外旅行になると、最高でも損害賠償は、モントリオール条約で定められている1500ドルまでだ。しかし、アルゼンチン、オーストラリア、バハマ、ボリビア、ホンジュラス、イスラエル、それにシンガポールの航空会社はモントリオール条約ではなくワルソー条約に従っている。これによると、スーツケース一つ当たりの重さが基準になり、1ポンド(453グラム)当たり最高で9ドル7セントまで支払われる。

ここで、アンドリュー・シップマン氏の話に戻ろう。デルタ航空が失くしたスーツケースは、5年ほど前、645ドルで購入した、と氏は言う。領収書を持っていなかったことと、使い古されていることを理由に、デルタは250ドルを弁償金額に決めた。スーツケースに入っていた衣類など全てを含めると、合計被害額は2258ドル相当だったようだが、最終的にシップマン氏が受け取ったのは1613ドルだった。「責任があるのは航空会社の方です。全く客を無視したビジネスです」、とシップマン氏は付け加えている。

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発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット