US Market Recap

持ち株の見直し

先ず、ネッド・デービス社からのデータを紹介しよう。ここ7カ月間、ダウ指数は一日で2%を超える下げを記録したことは一度も無い。ある程度マーケットが上昇した後には、数日から数週間にわたって下げ相場が展開されるものだが、S&P500指数は、約4年近く、10%におよぶ下方修正をしたことが無い。

「長いこと好調なマーケットが続いていますから、投資者たちは、完全に安心しきっています。信用取引が頻繁に利用されているだけでなく、ボラティリティもかなり低い現状ですから、もし予期せぬ悪材料に襲われるようなことが起きれば、マーケットは大幅な下げになる可能性があります」、とINGインベストメント・マネージメントのブライアン・ジェンドロー氏は言う。

上昇相場が永久に継続することはない。間違いなく、上げの後には下げがやってくる。だから、投資者にとって大切なことは、下げ相場の準備が出来ているかどうかだ。「ポートフォリオの見直しをしてください。限られた銘柄だけに、集中投資していないでしょうか?下げ相場では、うまく分散投資されたポートフォリオの方が叩かれにくいだけでなく、回復も早くなります」、とモザイク・ファイナンシャル・パートナーズのケビン・ガハガン氏は指摘する。

マイケル・クジブ氏(レノックス・アドバイザーズ)の意見はこうだ。「過去3年間の上昇を考えれば、一部の株は利食って、ポートフォリオの調整をしたほうがいいでしょう。顧客には、株は大型銘柄だけに絞って、新興市場は避けるようにアドバイスしています。」

「人気銘柄の動きに注意してください」、とガハガン氏は付け加える。「もうかなり前の話ですが、ある人が相談に来た時のことです。ポートフォリオを見ると、人気銘柄のノーテル(NT)に集中投資されています。とうぜん、分散することを勧めましたが、この投資家は完全にノーテルと結婚していたのです。けっきょく、大きな下げに襲われても処分することができませんでした。たとえ、あなたがある株に集中投資しても、株のほうは、あなたのことなど全く無関心です。それから、いったん下がったものは、もとの値段に戻る、などという迷信も信じてはダメです。」

持ち株の売り時は、どうやって確かめるのだろうか?「簡単なテストがあります」、とガハガン氏は言う。「Jという株を持っていたとしましょう。うまく値上がり、今日処分すれば、5万ドルが手に入ります。ここで質問してください。今日この値段で、あなたはJ株を5万ドル分買いますか?」

オイルとマイクロン?

さて、皆さんはどう週末を過ごされましたか?金曜のマーケットが後味の悪い引け方だったので、これは天井のサインだ、と心配する声があちこちから聞こえてきます。マスコミは、マイクロン・テクノロジー(MU)と、オイル価格が金曜の下げ原因だ、と説明していますが、たぶんほとんどの人は信じなかったことでしょう。

下がマイクロンの日足チャートです。

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見てのとおり、株価は3本の移動平均線(20日、50日、200日)より下で推移しています。長いことダウントレンドが続いているわけですから、投資者たちは、マイクロンが悪いことは百も承知です。

それでは、クルードオイルの動きを見てみましょう。

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短期的には上げですが、大きな流れは下向きです。もしマスコミが正しいなら、株式市場は、オイルが上げ始めた、1月の中旬から下げていなければいけません。

さて、話題を変えましょう。中古車、という言葉があるように、世の中で売られているのは新品だけではありません。MSNマネーに、中古で買った方が得な品物10、が特集されていたので見てみましょう。

1、本:買われた本が、2度3度と繰り返し読まれることは先ずない。たとえ新しい本でも、アマゾンやebayなどのサイトに行けば、近くの本屋で買うよりずっと格安だ。また、図書館の利用も勧めたい。

2、DVDとCD: これも、アマゾンやebayを利用すると安く手に入る。

3、子どものオモチャ: 毎年新製品が発表されるが、本当に子どもが好むかどうかは分からない。だから、フリーマーケット(のみの市)などの利用を勧めたい。

4、宝石: 小売店で買うのは、言うまでもなく超割高。信用のある質屋へ行ってみるのも面白い。

5、スポーツ用品: 靴や手袋、それに帽子などの直接身につけるものは避けた方が良いだろう。それ以外の品物、たとえばゴルフクラブやテニスラケットなどは、オンラインや新聞で格安なものを見つけることができる。

6、タイムシェア: 時分割方式のマンション投資などは、単にお金が無駄なだけ。

7、自動車: 平均的な新車は、最初の1年間で12.2%の価値を失う。2万ドルの車なら2440ドルの損額に相当し、毎月約200ドル減るわけだ。昔と違って最近の車は長持ちするから、点検済みの優良中古車の購入も考えてみよう。

8、ゲームソフト: これもオンラインで格安なものを入手できる。

9、オフィス用家具: 新聞の広告欄などで、割安なものを見つけることができる。倒産した会社が、超割安で家具を処分することもある。

10、日曜大工道具: ドライバー、レンチ、金槌、ほぼ何でもフリーマーケット(のみの市)で安く買うことができる。

ダイヤモンドは商品ではない!?

2月14日はバレンタインデー。チョコレートを想像される方が多いはずだが、アメリカでは夫婦や恋人の間でプレゼントが交換される。人気商品の一つがダイヤモンドだ。金や銀は、商品先物市場で取引されているが、なぜダイヤモンドには同様な市場が無いのだろうか?経済レポーター、マイラ・サフォング氏の話を聞いてみよう。

ダイヤモンドの取引所など無理だ、というのが、圧倒的に多い業界関係者たちの声だ。しかし、マーチン・ラパポート氏(ラパポート・ダイヤモンド・レポート)は、20年の時を経て、再度ダイヤモンド取引所設立に挑戦する。1982年、ラパポート氏は、ニューヨーク商品取引所に、ダイヤモンドの先物を提案したが却下された経験がある。

「ダイヤモンド業界からの圧力だと思います。たぶん業者たちは、ダイヤモンド価格を不透明なままにしておきたかったのではないでしょうか」、とラパポート氏は語る。現在、氏はダイヤモンド先物市場案の最終的な見直しをしている。

たしかに、氏が指摘するように、業者からの反対が大きな壁になっているようだが、ダイヤモンドも金や銀と同様な商品であることを業者たちに納得させなければいけない。ダイヤモンドは天然資源であり、量には限りがある。品物としての価値もあり、人々は自由に売買することができる。まさに、ダイヤモンドは商品ではないだろうか?

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ダイヤモンド市場の40%を独占するのはデビアス社だ。「ダイヤモンドはユニークなものですが、商品ではありません。物が商品市場で取引されるためには、全てが同じ品質を持たなくてはいけません。ダイヤモンドには、その保証ができないのです。」(デビアス米国担当、ロサリンド・カインヤ氏)

ゴールド・フォーキャスター・ドット・コムの、ジュリアン・フィリップス氏も同意見だ。「一粒一粒が違いますから、正確に価格を決定するには、ひとつずつ鑑定する必要があります。」

「ダイヤモンドには、普通の商品とは大きく異なる点があります」、とデービッド・コフィン氏(アナリスト)は言う。「人々がダイヤモンドを買う理由は、儲けるためではありません。テレビのコマーシャルでも分かりますが、ダイヤモンドは愛の表現です。いったん受け取った人は、先ず手放しませんから、活発な再販市場は存在しません。」

「それでも、ダイヤモンドの先物市場は実現できます」、とラパポート氏は頑張っている。「ようするに、ダイヤモンドを標準化すれば良いのです。保証書が付いているものだけを取引対象にして、標準化を徹底させるのです。」さて、ラパポート氏は、今回、どの先物市場に提案書を持っていくのだろうか?

魅力的なPMV4銘柄

最近、PMV(Private Market Value)アナリシス、という言葉をよく耳にするようになった。有望な銘柄を選ぶための、一分析方法だが、ファンドマネージャーのマーティー・ホイットマン氏も利用している一人だ。もし、あなたがB社の買収を考えていたとしよう。一株当たり、いくら払ったら良いだろうか?この質問に答えを出すのがPMVアナリシスだ。

銘柄のPMVを割り出すことで、現在の株価が割高なのか、あるいは割安なのかを検討することができる。そこでフォーチュン誌は、ラインハート・パートナーズの協力を得て、3000銘柄のPMVを分析した。さっそく、将来性の高い有望銘柄を見てみよう。

1、Actuant (ATU): 2000年、アプライド・パワーから分離独立して出来上がったのがActuant(住宅修繕用の工具メーカー)だ。年商は12億ドルほどだから、決して極端に魅力的、というわけではない。しかし、ラメッシュ・プーラ氏(モーニングスター)の話によれば、向こう12カ月間に予想される利益を基に計算した株価収益率は、たったの14という割安レベルだ。ラインハート・パートナーズの弾き出したPMVは68ドル。(現在の株価は50ドル10セント)

2、Federated Investors (FII): 2370億ドルの資金を運用するFederated Investors は、多数あるファンドの中で、トップクラスの成績をあげている投資会社の一つだ。クリストファー・ドナヒュー氏(最高経営責任者)は、更に投資結果を向上させるために、70億ドルの資金を運用するMDTアドバイザーズ(コンピュータを駆使した投資で有名)を最近買収した。毎年、S&P 500指数以上の伸び率を記録しているロイス・プリミア・ファンドのほとんどもFederated Investors に買収されている。FIIのPMVは43ドル。(現在35ドル58セント)

3、MGIC Investment (MTG): ミルウォーキーに本社を置くMGIC Investment は、全米で最大の抵当保険会社だ。この業界が成長するためには、米国の住宅市場が上向きになる必要がある。大幅な失業率上昇を予想するアナリストはいないから、住宅ローンの返済が不可能になる人の数もさほど増えないはずだ。PMVは95ドル。(現在66ドル79セント)

4、O'Reilly Automotive (ORLY): O'Reilly Automotive は全米に1500の店舗を持つ、自動車部品とアクセサリーをあつかう年商22億ドルの小売業者だ。自動車の修理には季節性や流行がないから、たとえアメリカの経済が下向きになったとしても、この業界は大幅に落ち込む心配が無い。PMVは40ドル。(現在の株価は34ドル45セント)

金額よりも人数

こんな数字がある。過去25年間を振り返ると、積極的に政治献金をしている企業の株価は、マーケット全体の成長率を2.5ポイント上回っている。「私個人的には驚かされるような事実ではありませんが、良い悪いは別にして、ワシントンの政治家に投資することは無駄ではありません」、とプルーデンシャル・ファイナンシャルのチャールズ・ガブリエル氏は言う。

経済コラムニストのマイケル・ブラッシュ氏によれば、見返りを考えれば、政治献金は決して多額なものではない。2年ごとに選挙がやって来るが、平均を見ると、企業が一人あたりの政治家に選挙資金として献金するのは約1700ドルから2000ドル(20万4000円から24万円)で、合計56人だ。

更に、ブラッシュ氏の調べによると、集中的に少数の政治家に献金するのではなく、献金する政治家の数は多ければ多いほど株価に好影響となる。

なぜ少ない額の献金が株価に良い結果をもたらすのだろうか?ミシガン大学のフセイン・グーレン教授は、こう説明している。「企業から見れば、一人頭約2000ドルは微々たる金額ですが、個人の平均献金は115ドルほどです。それに比べれば、2000ドルは多額です。たしかに選挙資金の40%から80%は個人からの献金ですが、やはり企業からの金額は目立ちます。」

ブラッシュ氏の話に戻ろう。「人数が多ければ多いほど良い、と言いましたが、議員なら誰でも構わない、というわけではありません。大切なのは、議会で重要な役についている議員や、企業の本拠地から立候補している議員に狙いをしぼることです。民主党の議員よりも、共和党議員に多く献金される傾向がありますが、株価を見る限り、民主党議員に献金したほうが有益です。」

政治献金に、もっとも熱心なのはロッキード・マーチン(LMT)、ボーイング(BA)、ゼネラル・エレクトリック(GE)などの政府と大きな契約を結んでいる企業だ。たとえば、GEが献金している政治家数は530人、ボーイングは442人、そしてロッキードは438人におよぶ。

大手銀行、バンクオブアメリカは450人に献金し、数なら上記の軍事産業に負けない。「現在、銀行が買収によって成長できる範囲は、連邦法によって限られています。もし議会がこの制限を取り払うなら、バンクオブアメリカ(BAC)は、積極的な買収で、市場を大きく伸ばすことが可能になります」、とモーニングスターのアナリスト、クレッグ・ウォーカー氏は指摘する。

世界最大手の小売業者、ウォルマート(WMT)は416人の政治家に献金している。コストを低く抑えるために、海外から安い製品を大量に輸入しているウォルマートだけに、貿易政策にはいつも目を光らせている。

目標株価は本当に計算できるのか?

グーグル(GOOG)はいくらまで買えるだろうか?29人のアナリストたちの目標株価を見ると、415ドルから650ドルまでのばらつきがある。現在、株は470ドルで取引されているから、650ドル論を信じるなら、グーグルはまだ割安だ。しかし、650ドル論が正しいという保証は無い。だれを信じたら良いのだろうか?さっそく、インターネット株アナリストの経験がある、ヘンリー・ブロジェット氏の話を紹介しよう。

どんなに優秀なアナリストでも、グーグルの正当株価は分からない。もちろん、これはグーグルに限ったことではなく、全ての株に言えることだ。正当株価、目標株価、株価ターゲット、と表現のしかたは色々あるが、これらの数値は100%科学的に計算されたものではなく、主観的要素がかなり入っている。

目標株価を弾き出すためには、過去のデータだけでなく、予想される収益や売上などが必要になる。問題は、アナリストによって、将来の見方が大きく違うことだ。たとえ同じ資料を持っていたとしても、強気なアナリストならとうぜん高めの収益を予想し、悲観的なアナリストなら極めて保守的な数値を発表する。これが、グーグルの目標株価に決定的な差が生じる一原因だ。

目標株価を算出するためには、予想される将来のキャッシュ・フローが必要になる。株価収益率や時価総額などは、簡単に割り出すことはできても、だれにも将来のキャッシュ・フローは分からない。だから、とうぜんの結果として推定することになる。言い方を換えれば、肝心の部分に見積もりが使われるわけだ。

推定される数字も、企業やセクターによって、大きな違いがある。グーグルのような若い成長株やインターネットセクターには、食品セクターに適用される地味なモノサシが使われることはなく、アナリストの高い期待感が尺度になる。ようするに、データの裏付けは無く、極端な言い方をすれば、グーグルの目標株価はアナリストの期待感で決まる。

だからといって、アナリストはいい加減な意見を発表して、株価を操作しようとしているわけではない。インターネットバブル時代に起きたリサーチ・スキャンダルで、今日のアナリストは極めて慎重になっている。現に、証券取引委(SEC)をあまりに恐れるあまり、最近のアナリストの意見は投資に使えるものが少ない。

過去のデータを基に、最新のソフトウェアを使って将来の収益やキャッシュ・フローを推定する今日でも、以前と同様に大きな許容誤差がある。目標株価を予想するのは、目隠しをして100メートル先の動く標的を撃ち落とそうとするようなものだから、アナリストに必要なのはレーザー・ガンではなく散弾銃だ。

ビジネス界にあふれる変な話

2006年、7月のことだった。大幅な従業員削減に踏みきったノースウエスト航空は、「お金を節約する101の方法」、と題されたパンフレットを、社員に配布した。ゴミ箱から物を拾うのは恥ずかしいことではない。古い新聞紙は猫のトイレに使える。森を散歩することでデートは割安になる。まったく人を馬鹿にしたパンフレットだが、ビジネス界にはこんな失礼な話や失敗談であふれている。いくつか見てみよう。

カジノ経営者、スティーブ・ウィン氏は所有するピカソの「Le Reve」を1億3900万ドル(約166億円)で手放すことになった。最後の機会、ということで何人かの訪問者に絵画を見せているときだった。単に指で示せば済むことなのだが、ウィン氏は肘で「Le Reve」叩いた。訪問者の耳には、絵画の裂ける音がはっきりと聞こえた。もちろん、この一件で1億3900万ドルの話は無効になった。 

コムキャスト(ケーブルテレビ会社)の修理作業員が、ブライアン・フィンケルスタインさんの自宅に来たときの話だ。こともあろうに作業員は、修理どころか、テレビの前にある長いすで寝てしまった。フィンケルスタインさんが起こそうとすると、「疲れているんだ。眠らせてくれ」、と図々しい作業員。もちろん、この修理作業員は首になったが、フィンケルスタインさんが一部始終を撮ったビデオは、インターネットで大ヒットだ。

ラップトップ型(ひざのせ型)コンピュータの爆発事件(バッテリーが原因)で、米国消費者製品安全委員会は、次のような警告を発表した。「危険防止のため、ラップトップ型コンピュータを使用する際は、ひざの上にのせないでください。」

ロサンゼルスに本社があるFiji(ボトル入りの水)は、こんな広告を出した。「Fijiのレベルが示すように、この水はクリーブランドの水ではありません。」この広告に対抗するため、クリーブランドのある機関が、徹底的にFijiをテストした。その結果わかったことは、Fijiには1リットルあたり6.3マイクログラムのヒ素が含まれていた。もちろん、Fujiは反論した。「当社の検査によれば、1リットルあたりに含まれるヒ素は6.3マイクログラムではなく、2マイクログラム以下です。」

ロバート・ストークス氏は、損害賠償(30万ドル、約3600万円)を求めてグレーハウンド・バスを訴えた。事件は、家族揃ってドライブしているときに起きた。すれ違ったバスから、突然トイレの中身が投げ捨てられ、サンルーフを開けてドライブしてたストークス氏一家はずぶ濡れになった。

8月、ラジオ・シャックは、Eメールで400人の社員に解雇通知を送った。メールは、こう書かれていた。「現在当社から、従業員削減計画の一環として、何名かの社員の皆さんに解雇通知が送られています。まことに残念ですが、あなたの職が削減対象の一つになりました。」

割安3銘柄

S&P 500指数は6年ぶりの高値を記録し、好調なマーケットが続いている。これだけ株が上がってしまった今日、まだ割安株は残っているのだろうか?「答えはイエスです」、と強調するのはUnTapped Opportunities(投資ニュースレター)のナンシー・ザンベル氏だ。バリューショッパー、として知られる氏は、銀行でのクレジット・アナリストの経験を生かして効果的に銘柄を選んでいる。ザンベル氏の話を続けよう。

「銀行以外にも、証券会社でアナリストの経験があります。その時、こんなことに気がつきました。

・経営陣の手腕と、企業収益上昇率には密接な関係がある。

・アナリストが隠れている有望な企業を発見するには時間がかかり、そのため株価が正当な水準で推移していないことが多い。

・投資者としての常識と、一般的に使われている方法を利用すれば、ほとんどの企業を適切に分析することができる。

実際の分析方法を、簡単に説明します。先ず株価と一株利益を比べます。そして、過去5年間の値動きを見て上下幅を確認します。同セクターに属する株を一つ一つ調べて、どれが割安であるかを判定するわけですが、もちろん、これで終わりではありません。

どんなにファンダメンタルズが優れた会社を発見しても、マーケット全体の流れを無視したのでは、良い投資結果を得ることができません。ですから、ファンダメンタルズだけに集中するのではなく、株に影響を与える周囲の分析も必要です。」

それでは現在、ザンベル氏は、どんな銘柄に注目しているのだろうか?

「カーライル(CSL)という建築株があります。第3四半期の決算は、同業者を大きく引き離す、ずば抜けた結果でした。カーライルの収益成長率は19%を記録し、業界平均6.4%のほぼ3倍です。営業利益率の10.3%は、業界平均5.4%の約2倍です。カーライルは、第4四半期の決算発表を来週に控えています。好結果が予想されますから、買い手を集める可能性があります。」

先日のブッシュ大統領の演説でも分かるように、ワシントンで代替エネルギーが注目されている。特に、中間選挙で勝った民主党はこの問題に熱心だから、ザンベル氏はエタノール銘柄のMGP Ingredients (MGPI)を推している。

もう一つ氏が見ているのはOption Care(OPTN)だ。高齢化する社会、そして次々とベビーブーマー世代が定年退職をむかえ、ヘルスケア・サービスのOption Careが狙えるという。OPTNの収益成長率は、業界平均の約2倍に相当するが、株価収益率は19.20だから割安だ。さらに、先日UBS証券とJPモルガンから買い推奨も出され、投資者から注目され始めている。

マーケット関係者が驚いた12の決算

2月に入り、決算シーズンもほぼ終わりだ。予想以上に良かった、悪かった、と連日忙しく報道されていたが、マーケット関係者を本当に驚かせたのはどの企業だっただろうか?さっそく振り返ってみよう。

1.AMRコーポレーション (AMR):

テキサス州フォートワースに本拠地を構える、AMRコーポレーションはアメリカン航空の親会社だ。1月17日、誰もが赤字決算を予想していたが、第4四半期の結果は1700万ドルの黒字だった。金額的には微々たるものだ。しかし、航空運賃の値上げとリストラの効果がついに表れ、AMRは2000年以来初めての黒字決算になった。

2.アドバンスト・マイクロ・デバイシーズ(AMD):

チップメーカー第2位のAMDは、業界首位インテル(INTC)との価格戦争が大きく裏目に出て、第4四半期は5億7400万ドルの赤字決算だ。さっそく株は投げられ、最近52週間の安値を更新した。

3.アルカテル・ルーセント (LU):

2006年、アルカテルとルーセント・テクノロジーズが合併して出来上がった会社だが、波乱な決算になった。アナリストの予想を大きく外して、株価は一気に12%の下落だ。

4.アップル (AAPL):

iPodの支配は続く。新製品iPhoneニュースの数日後、アップルが発表した決算は巨大だった。収益の10億ドルは、全てのアナリストの予想を上回っただけでなく、アップル史上最高の成績だ。

5.エナジャイザー (ENR):

電池で有名なエナジャイザーの決算は、1月23日だった。亜鉛の価格上昇が予想されるが、他のコストを削減することで、将来的な悪影響は回避できる、といった見方を決算後に発表した。投資者は、このコメントと好決算を素直に受け入れ、株価は高値を更新した。

6.エスティーローダー (EL):

化粧品メーカー、エスティーローダーの利益は2倍以上の伸びを記録した。この爆発的な結果は、一日で株価を15%上昇させた。

7.グーグル (GOOG):

1月31日の好決算発表で、これで過去11回を振り返ると、アナリストの予想を外したことは1度しかない。一株利益は3ドル18セントを達成し、アナリストが見込んでいた2ドル92セントを難無く上回った。

8.ハーシー (HSY):

チョコレートの売上が伸びず、四半期の利益は10%の減少になった。更に、サルモネラ菌の一件で、カナダでリコール、という事態も起こしてしまった。経営陣は、2007年は国際的な市場拡大を計画している。

9.IBM (IBM):

IBMの一株利益は、アナリストの予想を7セント上回った。しかし、株価のほうは5%の下落だ。たしかに、一株利益は予想以上だったが、これは税率が下がったことが原因だ。

10.SAP AG (SAP):

新ソフトウェアを推進するために、SAPは利幅を約1%減らす計画があることを決算と同時に発表し、アナリストたちを唖然とさせた。決算自体も、満足のできる結果ではなかったから株価は13%の下落になった。

11.サン・マイクロシステムズ (SUNW):

ついに黒字決算を発表した。2006年度の最終四半期、サン・マイクロシステムズは1億2600万ドルの利益をあげ、前年度同期の2億2300万ドルの赤字から、大きく立ち直った。これは、単なる一回限りの出来事で終わるだろうか?これからの収益が注目される。

12.ヤフー (YHOO):

グーグルに完全に圧倒され、ここ数年間、ヤフーは低迷している。こんな状態だっただけに、1月23日に発表された予想以上の決算に、とにかく皆おどろいた。2月5日には、新広告用プラットフォーム、Panamaの公開が控えている。

今年狙えるダイエット関連株

今年こそ体重を減らそう、と多くの人たちが新年に決心してから、1カ月の時が経った。肥満が大きな問題になっているアメリカだけに、次から次へと、新しいダイエット方法が登場する。もちろん、ダイエット産業は投資としての魅力もあるが、これだけ会社が多いと、どれを買ったら良いか分からない。そんなわけで、ジム・クレーマー氏(マッド・マネー)が紹介する株を見てみることにした。

「減量関連銘柄で、なんと言ってもナンバー1はライフ・タイム・フィットネス(LTM)だ。人によっては、タウン・スポーツ(CLUB)の方が好きなようだが、営業利益率やメンバーシップ料金から得られる収入を考慮すれば、やはりライフ・タイム・フィットネスに分がある。

ダイエット産業や健康産業が大きく成長できたのは、国民の健康意識が高まったことにあるかもしれないが、一番の原因は減量の難しさだ。体重を減らすことが簡単なことなら、毎年減量を新年の抱負にする必要など無い。違った表現をすれば、ダイエット産業は人々の失敗に支えられているわけだ。

最近、プルーデンシャルのアナリストはライフ・タイム・フィットネスをアンダーウェイトに格下げした。アンダーウェイトなどと言うと分かりにくいが、ようするに売り推奨だ。この格下げの理由が面白い。「ライフ・タイム・フィットネスは、高級住宅街周辺への進出を計画しているが、これには膨大な投資が必要になり、四半期の収益に悪影響になる。」

フィットネス・クラブを増設することは、言うなでもなく多額な金が要る。しかし、高級住宅街の近くに、最新の設備を備えた贅沢なクラブを開設するのだから、法外とも言える破格なメンバーシップ料金を稼ぐことができる。一時的な出費よりも、将来の大きな収入を考えればライフ・タイム・フィットネスは売りではなく買いだ。」

数日前、UBS証券のアナリストは、ライフ・タイム・フィットネスに関してこう語っている。「最近の好調な上昇で、ライフ・タイム・フィットネスの割高を気にする投資者がいる。しかし消費者関連株で、ライフ・タイム・フィットネスは最も成長が期待できる銘柄の一つだ。割高と感じるのは、現在の株価収益率だけに気を取られすぎているからだと思われる。」

ニュートリシステムズ(NTRI)というダイエット関連銘柄もあるが、この株には手を出さないほうが良い、とクレーマー氏は付け足している。「ニュートリシステムズの欠点は、小売店を通さずに、直接消費者に販売するビジネスモデルだ。このセクターで成功するには、小売店にも商品を置く必要がある。もし、ニュートリシステムズのような株に興味があるなら、ウェイト・ウォッチャーズ(WTW)が良いだろう。」

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