US Market Recap

ゴールド対バーナンキ議長

テレビでは、金が1オンス当たり690ドルを突破した、と繰り返し報道している。まるで、今日いきなり上げたような口調だが、さっそく日足チャートを見てみよう。

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これは、streetTRACKS Gold Shares (GLD)という金価格に連動する上場投信だ。1月5日の安値を境にして、現在GLDは上昇ラリーを展開している。騒ぐなら、2日前の大陽線で徹底的に報道すればよさそうなものだが、区切りの良い数字700ドルが近くなった今日の方が話題にニュース性があるようだ。

ここで、金1000ドル論を唱える、ケビン・カー氏(グローバル・リソーシズ・トレーダー)の話を聞いてみよう。「インフレ懸念を示す連銀関係者のコメントで、水曜、金は20ドルを超える上げになりました。もちろん、オイル価格の上昇や、イラン情勢も買い材料になったことはたしかです。

さて、金は現在の高レベルでまだ買えるでしょうか?テクニカル的に見ると、700ドルから710ドルが壁になっています。先ず、そこが突破できないかぎり、ここでの買いは得策でありません。しかし、金鉱株は別です。ヤマナ・ゴールド(AUY)、ニューモント(NEM)、それにフロンティア・ディベロプメント・グループ(FRG)が魅力的です。」

ヘッジ・ファンド・マネージャーの、バリー・リットホルツ氏はこんな見方をしている。「これは金対バーナンキ連銀議長の戦いです。今日のバーナンキ氏には、インフレのタカ派として知られていた、以前の姿を見ることができません。先日のコメント、「減退するインフレと安定の兆しが見える住宅市場」でも分かるように、完全なハト派に変身です。

こんな氏の意見を聞いて、大声で笑っているのが金です。「バーナンキさん、私には、あなたが何を恐れているかが良く分かる。現実は、インフレ減退の逆だ。それに、住宅ローンの返済が不可能になった人たちが大幅に増え、既に大手ローン会社が大きな損を出している。たぶんこの問題は、全米に広がるはずだ。」

金は全て知っているのです。前任グリーンスパン氏の低金利政策が、大きなインフレ原因になっています。しかし、減速の見られる米国経済ですから、バーナンキ氏はこれ以上の金利引き上げはできません。

住宅ローンの支払いが不能になっているのは、サブプライム融資を利用した人たちです。住宅ブームに乗って、銀行だけでなく、多くの金融機関が普通なら金を借りるのが無理な人たちにサブプライム・ローンを積極的に勧めて、多額な融資をしました。

サブプライム・ローンのほとんどは利率が変動しましすから、度重なる金利引き上げで、多くの人たちがローンの支払いが苦しくなったわけです。ですから、ここでバーナンキ氏は金利引き上げをしたくてもできません。もし更なる金利引き上げに踏み切れば、サブプライム・ローンに関連した金融会社の倒産が次々と起きることでしょう。

今、連銀にできることは同じメッセージを繰り返すことだけです。「住宅市場は安定し始めた。インフレは抑制されている。」連銀は、ただじっと座って次に訪れる大きなインフレを待っているだけです。」

投資に応用できるかもしれない名言と迷言

格言や諺には、投資の知恵が凝縮されている、とeOptionsトレーダー・ドット・コムのハロルド・アンダーソン氏は言う。「もう25年以上になりますが、気に入った言葉を聞いたら直ぐメモするようにしています。全てが格言というわけではありませんが、どれも機知に富んでいると思います。」早速、いくつか見てみよう。

1、「お金はそんなに重要なものじゃない。5000万ドル持っている人と、6000万ドルを持っている人を比べてほしい。6000万ドル持ってるいる人は、5000万ドル持っている人より幸せに見えるかな?」 (ミルトン・バール)

2、「いつも懐に十分な金があれば、あなたはハンサムに見え賢くも見える。それだけじゃない、歌だってうまくうたえる。」(ユダヤの諺)

3、「金が無くなることはない。単に居場所が変わるだけだ。」(ガートルード・スタイン)

4、「株を分析するなら、少なくとも冷蔵庫選びに費やすのと同程度の時間をかけてほしい。」(ピーター・リンチ)

5、「明日、世界が破滅する、といったような馬鹿らしいことを平気で言うのがウォールストリートだ。どんなにヒドイ材料でも、直ぐ忘れてしまうのもウォールストリートだ。」(ケン・フィッシャー)

6、「経験が正しい判断を教えてくれる。今あなたが経験していることは悪い判断の結果だ。」(ロバート・ロベル)

7、「もし乗っている馬が死んでいることに気がついたら、さっさと下馬することだ。」(スー族インディアンの諺)

8、「知っていることを実行しないことは、知らないことと同じだ。」(禅僧の言葉)

9、「全ての人が馬鹿げたことを言ったとしても、それが常識になるとは限らない。」(サマセット・モーム)

10、「近代史を振り返ってみると、エコノミストが食い逸れたことは一度もない。」(ピーター・ドラッカー)

11、「ブルマーケットは投資判断を鈍らせる。」(ハンフリー・二ール)

12、「多くの株の天才はブルマーケットで現れる。」(ジョン・ガルブレイス)

13、「高く買って、更に高いところで売れ。」(ウィリアム・オニール)

14、「ブルは常に好材料を食べていないと死んでしまう。しかし、ベアは食料なしでも長く生きられる。」(ウォール・ストリートの諺)

15、「全ての人には二つの選択肢がある。金を利用するか、それとも金に利用されるかだ。」(コンラッド・レスリー)

16、「マーケットが間違っている、などと間違ったことを考えてはいけない。」(ジェームズ・ダインズ)

17、「10月が株にとって最も危険な月だ。その次は7月、1月、9月、4月、11月、5月、3月、6月、12月、8月、そして2月だ。」(マーク・トウェイン)

18、「株で儲けたければ、馬鹿でも経営できるビジネスに投資することだ。」(ウォーレン・バフェット)

過去の実績と将来

2006年、ミューチュアルファンドAは+15%の成績、そしてBは3%増の結果だった。さて、あなたなら今年どちらへ投資するだろうか?歴史は繰り返す、という言葉を信じるならAを選んでも構わない。しかし、「The Wall Street Self-defense Manual」の著者、ヘンリー・ブロジェット氏は、歴史は大してあてにならないと言う。少し氏の話を聞いてみよう。

最近、T. Rowe Price社が積極的にミューチュアルファンドを売り込んでいる。「最近1年間、5年間、そして10年間を振り返ると、当社が扱うファンドの7割が、業界平均以上の成果を上げている」、といった内容の広告を使って、いかに過去の成績が優れているかを強調している。

もちろん、広告の下には「過去の実績は将来の利益を約束するものではない」、と小さな断り書きがある。私が思うことは、過去の実績ほど将来の予想に役立たないものはない。今までこんなに素晴らしい成績だった、と過去ばかりを重要視するファンド会社は、単に投資者の心理的弱点を利用しているだけだ。

優れた成績は、必ずしもファンドマネージャーの腕が良かったためではない。なぜなら、単にラッキーだっただけ、ということも十分にありえる。何のルールにも従わず、無作為に株を選んだ場合でも、約50%の確率で好成績を上げることができる。(猿に株を選択させる実験が有名)長年にわたるデータを基に判断するなら話は別だが、短期間の情報では3割3分の打者と、3割1厘の打者の違いを見つけるのは難しい。

投資テーマもファンド成績に大きく影響する。たとえば、90年代の後半は成長株中心ファンドが素晴らしい成果を上げ、2000年から2006年は割安株専門ファンドが平均を上回る成績を上げている。ようするに、時流の投資テーマに乗ったファンドなら、それなりの数値を残すことができる。

たとえ、長年の実績があるファンドマネジャーのファンドに投資したとしても、今年も良い利益が得られるとはかぎらない。なぜなら、

1、ファンドマネージャーが他社に引き抜かれる可能性がある。

2、優秀ファンドマネージャーともなれば、あちこちから声がかかる。株に対する情熱も冷め、趣味に時間を割くようになり、株リサーチがおろそかになる。

3、成績の良いファンドには、投資者からの資金が更に集まり、ファンドが巨大化する。これは規模の不経済を引き起こすから、好成績を上げるのが困難になる。

4、好成績を理由に、ファンド会社が口座管理料金を値上げすることがある。これが、成績の低下につながる。

過去の実績が大事、という考え方は常識なっている。しかし、インデックス・ファンド以外に、この考え方を適用することはできない。

インデックス・レーザーのススメ

今年も大型株を推すアドバイザーが多い。現に、ダウ指数やS&P 500指数のチャートで分かるように、大型株のブルマーケットは4年以上も続いている。そろそろ売りの準備をしたほうが良いのでは、と心配する人たちが増えているのは言うまでもないが、先ず不安材料から記そう。

・2006年、S&P 500指数を構成する企業の平均収益成長率は10%以上だったが、2007年第1四半期、この数値は5%台に下がることが予測される。

・2007年、期待されていた金利引下げはありそうもない。

・たしかに底打ちの兆しはあるが、相変わらず住宅市場が弱い。現在、売りに出されている住宅が完売されるには5.9カ月の時間を要し、平常値の4カ月を上回っている。

・航空会社や運輸業界はオイル価格下落で収益が増大する、という恩恵を受けていた。しかし、あと数カ月で夏の本格的なドライブシーズンがやって来るから、ガソリンの需要が増え、それに伴いオイル価格も上昇することになる。

・割安株が少ない。

次に、ジム・ジューバック氏(MSNマネー)が指摘する好材料を見てみよう。「世界は、豊富な現金で溢れています。どこから、こんなに沢山の現金が流れて来るのでしょうか?答えは日本です。米国の金利は5.25%、ヨーロッパは4.5%、しかし日本は0.25%です。ようするに、投資者は日本から金を借りて、いたる所で投資をしているのです。これは、機関投資家に限られた話ではありません。実際に日本の銀行から金を借りて、住宅を購入した外国人の話を聞いたこともあります。」

ジューバック氏の結論は、皆さんもご察しのように、10%ほどのマーケット下方修正はあってもおかしくないが、日本の金利が低い限り、アメリカのマーケットはそう簡単に下がらない、というものだ。一度や2度金利を引き上げても、0.25%の金利は直ぐに5.25%に追いつくことはない。

大型株を推すアドバイザーが多い、と一行目に書いたが、これを利用した少し変わった投資方法を紹介しよう。インデックス・レーザー(ICZ)という上場投信がある。これは、S&P 100指数(大型株)とS&P スモールキャップ600指数(小型株)を比較して、その差額を投資者に支払うというものだ。

投資期限は2006年9月25日から2008年1月8日までになり、支払いを受け取るには、S&P100の成長率がS&P スモールキャップ600の成長率を上回る必要がある。支払い額は、成長率差額の1.25倍になる。S&P 100が、S&P スモールキャップを20%上回ったとしよう。20% X 1.25=25% インデックス・レーザー(ICZ)の額面は10ドルだから、この場合満期に12ドル50セントを受け取ることができる。

もし逆場合、S&P スモールキャップが大型株指数の成績を上回ると、投資者は資金を失うが、差が15%未満なら満期に額面の10ドルが戻って来る。もちろん、上場投信だから満期まで持っている必要はない。出来高が少ないのが難点だが、株のように取引することができる。

どんな着陸もありえない!?

ソフトランディング、それともハードランディングになるか、と米国経済の先行きが議論されているが、そもそも「ランディング(着陸)」という考え方が間違っている、とケン・フィッシャー氏は言う。氏は、350億ドルに及ぶ資金を運用するフィッシャー・インベストメントの最高経営責任者として知られるだけでなく、経済誌「フォーブス」のコラムニストとしても活躍している。さっそく氏の話を聞いてみよう。

米国経済ソフトランディング、ハードランディングのシナリオが実現するためには、2007年、米国住宅市場が更に落ち込む必要がある。言うまでもないが、ハードランディングは住宅市場の大きな下落を意味し、ソフトランディングは住宅市場のおだやかな減速を表す。

結論を言えば、2007年、アメリカはソフトランディングもハードランディングも起きることはない。なぜなら、予想されるような住宅市場の下落が展開される可能性がないからだ。今年はアメリカだけでなく、世界的に経済成長スピードが加速することになるだろう。

悲観的なアナリストやエコノミストの意見ばかりに耳を傾けるのではなく、直接マーケットの声を聞くことが大切だ。今、住宅市場が見せているのは、底からカムバックしようとしている姿であり、最近6カ月を振り返ってみると、住宅銘柄は既にマーケット全体を大きく上回る24%の上昇だ。もし2007年、米国住宅市場に全く回復の見込みがないなら、ここまで住宅株が買われるだろうか?

これも最近数カ月のデータだが、住宅販売件数は下がっているのではなく上向きになっている。売りに出されている住宅の数も、6カ月前より減っているから、住宅在庫数は好転している。こんな状況だから、アメリカ経済に着陸はありえない。とうぜん、ソフトランディングもハードランディングも起きない。

ということは、まだ積極的に株を買っていけるのだろうか?ベテラン・ヘッジファンドマネージャー、マイケル・スタインハート氏の意見を聞いてみよう。

マーケットの底と天井を正確に予測できる人は少ない。現在、マーケットは高い水準で推移しているが、ここが天井だとは思わない。ただ一つ言えるのは、ここから大きな上昇を考えるよりも、下げに備えた方が良いだろう。それから、あまりにも頻繁な信用取引も気になる。

ここが天井だとは思わない、とマイケル・スタインハート氏は言っているが、こんな言い方になってしまった理由は、インタビューしたジャーナリストが断定的な回答を求めたためだ。借金(信用取引)で株を買う人が多すぎる今日、スタインハート氏は10%以上の下方修正が起きやすい環境であることを強調している。

長く時間のかかるアップグレード

アナリストは、新オペレーティング・システムVistaの売上を、あまりにも高く予想しすぎている、というスティーブ・バルマー氏(マイクロソフト最高経営責任者)のコメントで、金曜、マイクロソフトの株価は2%を超える下げとなった。「ここ2週間ほどチャートを見ている人ならお分かりと思いますが、これは単なるニュースは売り材料のパターンではありません」、と24/7ウォールストリートのジョン・オッグ氏は言う。

「Vistaにアップグレードする、と一口に言っても、これはWindows2000からWindows XPにアップグレードするような簡単なものではありません。一番の問題点は、ほとんどの家庭やオフィスに現在あるコンピュータでは、Vistaを使うことは無理です。プロセッサは大丈夫かもしれませんが、メモリとグラフィックが大きな支障になりますから、先ずVistaを買う前にコンピュータその物の心配をしなくてはいけません。

そんな技術的なことを知らなくても、チャートを見続けていた人たちは、マイクロソフトが大きな問題にぶつかったことは簡単に推測することができました。もちろん、チャートから具体的なニュース内容を読み取ることはできませんが、マイクロソフトの先行き不安が明確に表面化していました。

結論を言えば、新しいコンピュータを購入するまで、ほとんどの人たちはVistaを使うことはないでしょう。以前のように、99ドル払って直ぐにアップグレードできるのとは全く違い、Vistaへのアップグレードは長く時間のかかるプロセスです。

そんなに時間を要するプロセスなら、LinuxやMacシステムが大きく市場に食い込むチャンスになるでしょうか? 1990年代の終わり頃ですが、ビル・ゲイツ氏が、20年後はWindowsはナンバー1でないかもしれない、と発言して会場にいた人たちを驚かせたことがありました。

Windowsは、そう簡単に首位の座から転落することはありません。一部のファンはいても、一般の人たちにLinuxを使いこなすことは無理です。使いやすさの面でMacは定評がありますが、ビジネスやオフィスには浸透していません。特に金融業界でMacを見ることは、先ずありません。

投資者の中には、早くもマイクロソフトは死んだ、と宣言する人たちがいます。繰り返しますが、今回のVistaへのアップグレードは一夜で済むようなものでなく、かなりの時間を要します。過去5年、6年までさかのぼって、マイクロソフトのチャートをよく見てください。これは成長株のパターンでしょうか?答えは「ノー」です。

マイクロソフトは、まだ下げるでしょうか?答えは「イエス」です。数週間前、Vistaの販売開始ニュースで興奮して買った人たちは喜ぶべきです。今なら、もっと安い値段でマイクロソフトが買えます。」

最終データと現実

スーパー・ベアの異名を持つリチャード・ラッセル氏が、二日前、ダウ・セオリー・レターズでこう書いている。「極めて力強いマーケットだ。三つのダウ指数は全て新高値を記録し、このような状況は、そう簡単に崩れるものではない。堅調な株式市場は米国に限られたことでなく、これは世界的な現象だ。」さすがに、ベア廃業宣言はしていないが、買い手にとって嬉しい言葉だ。

ブルマーケット、安定した経済成長、それに低失業率、さぞ投資者は満足していることだろう、と思われるかもしれないが、ここでジム・ジューバック氏(MSNマネー)の話を聞いてみよう。

「読者からのメール、ブログやメッセージ・ボード、テレビ、ラジオのトーク番組、それに先日フロリダで開催されたワールド・マネー・ショーに参加して感じることは、多くの人たちが米国経済の先行きを心配していることです。こんなに現在の経済状態は良いのですが、なぜ素直に安心できないのでしょうか?

国内総生産、失業率、新規雇用者数、消費者信頼感などの経済活動を示す数字が、定期的に政府機関から発表されます。言うまでもありませんが、これらの統計は全ての足し算引き算が行われた後の数値、ようするに最終的な結果です。しかし、私たちが生活している現実社会は、最終的な結果だけではありません。ある時期は足し算の段階にあり、ある時期は引き算の段階にあります。これが今日、多くの人たちが米国経済に対して、手放しに喜べない理由ではないでしょうか。

たとえば、1月の新規雇用者数は11万1000増でした。これは計算後の最終結果です。同時期を見ると、米国内では250万人が職を失い、260万の人たちが職を得ていますから現実は単純なものではありません。もう一つ例をあげましょう。食品とエネルギーを除くと、アメリカのインフレ率は2.5%です。医療費が6%上がっているけど、コンピュータが3.5%下がったからインフレ率は2.5%だ、とあなたは言うでしょうか。たぶん、6%上昇した医療費だけが頭に残るはずです。

株式市場にも同じことが言えます。ここまでの12カ月間を振り返ると、ダウ指数は16%の上昇です。これも現実的な数字ではありません。もしこの間、幸運にもゼネラル・モーターズを買っていれば+72%、しかしデルを買っていれば25%のマイナスです。16%以上の成績をあげている人は喜ぶことができますが、それ以下の人たちは、自分の投資能力に疑問を持ってしまいます。」

ジューバック氏の指摘するとおりだ。指数(インデックス)を上回る結果を出している投資家なら自慢できても、そうでない人は自信を失ってしまう。ようするに、これが個別銘柄が嫌われ、インデックス・ファンド大人気の一因だろう。

優良株とは何だ?

皆さんは優良株をどう定義するだろうか?冗談まじりに、「儲かるものなら何でも優良株さ!」、と言う人もいるが、簡単なようで中々うまい答えが浮かんでこない。

英語では、優良株のことを「ブルーチップ」と表現する。ポーカーをする人ならお分かりと思うが、値段の高い青いチップのことだ。ということは、株価が高い値嵩株が優良株だろうか?もしそうなら、グーグル(GOOG)は約463ドルで取引されているから、間違いなく優良株だ。しかし、多くの投資者たちは、グーグルは優良株ではなく成長株だ、と言う。

それなら、巨大企業はどうだろうか?現在、アメリカの株式市場で、最も時価総額が高いのはエクソン・モービル(XOM、4300億ドル)、ゼネラル・エレクトリック(GE、3660億ドル)、マイクロソフト(MSFT、2840億ドル)、シティグループ(C、2620億ドル)、そしてバンクオブアメリカ(BAC、2360億ドル)だ。これは5社はブルーチップだろうか?ほとんどの人たちの回答は「イエス」だ。

どうやら、小型企業は避けたほうが良さそうだが、ハリー・ドマッシュ氏(投資アドバイザー)に優良株を定義してもらおう。

「先ず、時価総額ですが、銘柄は上位2%から選んでください。ですから、500億ドル以上の時価総額です。米国株式市場には、現在7500以上の株が上場されていますが、500億ドル以上という条件を満たす企業は130社ほどです。

時価総額の次は、銘柄はS&P500指数に含まれている必要があります。簡単に言えば、S&P500指数はS&P社のアナリストによって選ばれた、米国を代表する500の優良企業です。

時価総額とS&P500銘柄の条件を満たすだけでは十分でありません。ミューチュアルファンドや機関投資家たちの動きも見てください。成績の良い優良株を振り返ってみると、60%から95%の株が機関投資家たちに保有されています。ですから、少なくとも60%の数値が必要です。

アナリストの格付けも参考にしましょう。一般的に、strong buy、moderate buy、hold、moderate sell、strong sellという格付けが使われますが、対象になるのはstrong buyとmoderate buyに属する銘柄だけです。」

更にドマッシュ氏は、優良株の条件として、向こう5年間の年間平均一株利益成長率が10%以上見込まれていること。株主資本利益率(ROE)は15以上あること(過去5年間の平均)。負債比率は、業界平均より低いこと。毎年売上高は5%の成長があること。そして、株価は200日移動平均線より上にあること、をあげている。

以上全ての条件を満たす5銘柄を記しておこう。これらは買い推奨ではなく、投資の一アイディアであることをお断りしておきたい。

Cisco Systems (CSCO)、 Wells Fargo (WFC)、 PepsiCo (PEP)、  United Technologies (UTX)、
Lowe's (LOW)

銀行と不法滞在者

バンクオブアメリカ(BAC)が、ソーシャル・セキュリティー・カードを所持しない人にも、クレジットカードを発行する、と発表したのは火曜日のことだった。ソーシャル・セキュリティー・カードは、社会保障庁から発行され、身分証明として使えるアメリカ全住民が持つカードだ。

今回のバンクオブアメリカの発表は、全支店に適用されるのではなく、ロサンゼルスにある51支店だけに限られる。銀行側は、あくまでも試験的なものであり、何の支障も発生しなければ全店で実施する、と説明している。しかし、このニュースが大きな論争を引き起こしてしまった。

銀行を批判する声の要点は、「ソーシャル・セキュリティー・カード無しでクレジットカードを発行することは、不法移民を支持しているのと同じだ」、というものだ。トム・タンクレド下院議員は、早速こう語っている。「バンクオブアメリカは、テロリストたちの資金支援をしたいようだ。もちろん、テロリストだけでなく、他の犯罪組織にも利用される可能性が十分ある。」

国土安全保障省の、ラス・ノック氏はこう述べている。「ひじょうに問題のある決定です。既に社会問題になっている個人情報の盗難が、更に悪化することが考えられます。それに、マネーロンダリングも増えることでしょう。」

現在、アメリカには1200万人の不法滞在者がいる、と推定されている。法律の目から見れば1200万人の犯罪者だが、銀行にとっては将来的な客だ。

たとえば、ウェルズファーゴ銀行(WFC)は、これも試験的なものだが、約1年ほど前からロサンゼルス郡とオレンジ郡で、ソーシャル・セキュリティー・カードを持たない人たちに、住宅ローンサービスを始めた。条件は、アメリカに少なくとも2年間滞在していること、そして国税庁から発行された納税者番号を持っていることだ。「当行では現在、ソーシャル・セキュリティー・カードが無い人たちにも、クレジットカードの発行を検討しています」、と広報担当のメリー・トリッグ氏は言う。

バンクオブアメリカの決定を、称賛する人たちもいる。「クレジット歴が浅い移民者は、住宅ローンなどの金利が割高になる、という大きな問題がありました。ソーシャル・セキュリティー・カードの無い人たちがクレジットカードを使えるようになれば、一般の人たちと同様な金利で金を借りることができます」、とロバート・グネイズダ氏(グリーンライニング協会)は指摘する。

もはやバンクオブアメリカにとって、ソーシャル・セキュリティー・カードの有無は関係ない。現に、ウェルズファーゴ銀行が領事館発行の身分証明者をソーシャル・セキュリティー・カードの代わりとして認めるようになってから、100万以上のメキシコ人口座獲得に成功している。ボヤボヤしている時間はない。競争相手は確実に市場を広げている。

投資アドバイザーが体得した6つの教訓

ジョン・ドーフマン氏(サンダーストーム・キャピタル)の株投資コラムが、今日で最終回になった。100%投資アドバイザー業に打ち込む、という理由で執筆をやめるようだが、最後のコラムは、氏が学んだ九つの教訓だ。さっそく、その中から6つを見てみよう。

1、見捨てられている株に注目しろ。

毎年、米国株式市場に上場されている銘柄の中から、機械的に10銘柄を選んでみた。条件は、株価収益率(PER)が最も低いこと。時価総額は少なくとも5億ドル以上あること。それに、赤字決算でないことなどを含めて選択した株の1999年から2006年の成績は、S&P500指数の+31%を大きく上回る+830%だった。(注:人気の無い、見捨てられている株は、株価収益率が低い。)

2、アナリストの意見に動揺するな。

名前は公表しないが、人気アナリスト4人の推奨を1998年から2006年まで追ってみた。その結果分かったことは、買い推奨銘柄は年平均でマイナス3.7%。そして、売り推奨銘柄の平均はマイナス0.2%だった。

3、銘柄を頻繁に入れ替える必要はない。

別な言い方をすれば、新材料が出るたびにポートフォリオを調整することは、あまり意味がない。

4、割高という理由だけで株を売ってはいけない。

割安割高を判断する一般的な方法は、株価収益率(PER)の利用だ。割高なものが売りの対象になるなら、株価収益率が極めて高い株を空売りすれば儲かるわけだ。さっそくテストしてみたが、このやり方では利益を上げることはできない。

空売り銘柄を探すなら、株価売上高倍率(PSR、時価総額を年間売上高で割ったもの)が役にたつ。2000年から2006年までの結果だが、PSRが100を超える株を空売った場合、年平均の利益は35%だった。しかし、割高なものは、更に超割高になる傾向があることも付け加えておこう。

5、株の勢いに気をとられすぎるな。

モメンタム株、という言葉があるように、モメンタムは勢いを表す。となれば、見捨てられた割安株を買うよりも、モメンタム株を買ったほうが早く儲かりそうだ。毎年、2000年から割安株とモメンタム株を比較してきたが、成績には大した違いはない。モメンタム株の年間平均は+25%、割安株は+30%だ。名称に迷わされてはいけない。

6、長期予想は極めて困難。

今年、アメリカはベアマーケットに陥るだろうか?8月に利下げの可能性はあるだろうか?12月の失業率は、何パーセントになるだろうか?ひとつや二つなら正確に予想できても、毎年的確に予測できるアナリストやエコノミストはいない。

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