US Market Recap

機関投資家注目の10銘柄

不安定なマーケットが続いている。売り叩かれた株がだいぶあるから、「割安」という言葉を頻繁に聞くようになった。割安、割高を判断するには、PER(株価収益率)が一般的に利用される。単純な言い方をすれば、高PERは割高、そして低PERが割安株だ。

もちろん、PERだけでは適切に株を選ぶことはできない。収益の伸びが急速な企業は、アナリストや投資者から注目される。とうぜん買いを集めることになるから、PERは業種平均を大きく上回ってしまう。違った言い方をすれば、高PER株を無視することは、有望な大成長株を見逃す可能性がある。

それでは、どうやったら大きな成長を見込める、割安株を見つけることができるだろうか?ビンセント・マオ氏(インベスターズ・ビジネス・デイリー)の意見を紹介しよう。

「世界的な株安で、多数の銘柄が大幅に売られ、その結果PERも下がりました。ですから、買い候補探しの良い機会が訪れた、と言うこともできます。それでは、銘柄探しの注意点を、いくつか挙げましょう。

先ず、PERは15以下だけの銘柄に限定します。一株利益にも注目してください。単に利益の伸びが去年を上回っている、といったことでなく、伸び率が全上場銘柄の中でトップ30%内に入ることも必要です。

次に見るのは、株価の動きそのものです。低PER、高一株利益成長率があっても、肝心の株価が上がっていなければ話になりません。これも全上場銘柄の中で、株価の上げ方が上位30%以内の銘柄を選択することが重要です。

更に、機関投資家の動きも調べてください。PER、一株利益、上昇する株価の条件が揃っていても、機関投資家が売っているようなら避けてください。一般的に、一日平均の出来高が20万株以下、そして一株の値段が15ドル未満の株は、機関投資家から敬遠される傾向があります。」

実際にマオ氏は、10の銘柄を挙げているので記しておこう。(注:これは買い推奨ではなく、投資の一アイディアであることをお断りしておきたい。)

1. Marathon Oil (MRO) : 先日、ゴールドマン・サックスが売りから買いに格上げしている。
2. United States Steel (X) :機関投資家数が、254から290に上がっている。
3. Tesoro (TSO) : オイル銘柄ではトップクラス。
4. Aluminum Corp. Of China (ACH) : 一株利益が、47%の割合で毎年過去三年間伸びている。 
5. Commercial Metals (CMC) : 買収に積極的。
6. Reliance Steel & Aluminum (RS) : 2007年度の収益に明るい見通し。
7. Mechel OAO (MTL) : 機関投資家の参入が顕著。
8. Cummins (CMI) : 今年度の一株利益はアナリストの予想を簡単に上回りそう。
9. Arcelor Mittal (MT) : 2期連続で3桁の売上成長率を記録。 
10. Safeco (SAF) : シアトルを本拠地にする大手保険会社。PERは10。

全ては貸付業者が悪い!?

抵当銀行協会の発表によれば、現在アメリカには、月々の住宅ローン支払いに遅れている人が約210万人いる。そして2006年末、差し押さえられた住宅数は史上最高に達した。なぜ、こんなひどい状態に陥ってしまったのだろうか?「大きな問題の一つは、政府の規制機関がバラバラなため、疑わしい住宅ローンを適切に取り締まることができないのです」、とインパクト・グループ(住宅に関する相談所)のマリナ・ピード氏は言う。

1990年代、毎年住宅ローンとして融資された金額は5000億ドルほどだったが、2006年、この数値は3兆ドルに達した。これだけ大幅に伸びている業界にもかかわらず、こんな事実がある。

・20の州では住宅ローン・ブローカーに対して継続教育を義務付けしていない。(アメリカには全部で50州ある。)
・19の州では、採用前に融資担当者に犯歴などが無いかなどを調べる、身元調査を義務付けしていない。
・去年9月、連邦政府は州政府に対して、危険なサブプライム融資の規制を指導したが、それに従った州は半分に過ぎない。
・25の州には、略奪的な融資業務を取り締まる法律が無い。そのため、貸付業者は借り手に高い利率や貸付費用を強いても問題にならない。

米国の不動産ブームは、2000年のインターネット株暴落がキッカケとなった。更に、相次ぐ連銀による金利引下げで、住宅が購入しやすくなった。ますます不動産の人気は高まり、とうぜん住宅価格は急ピッチで上昇した。こんな状況の中、貸付業者たちはいっそう攻撃的になった。普通なら借りることが無理な低所得者、そして信用度の低い人たちを対象に頭金不要の住宅ローンを始めた。これが今日、大きな問題になっているサブプライム融資だ。

ひどい言い方をすれば、脈を打っている人なら誰でもサブプライム融資対象になる。先ず、住宅購入に必要な頭金が要らない。金利も3%、4%とかなり低いから、月々の支払いも少なくてすむ。もちろん、これは見かけの話だ。たしかに低い金利だが、変動利率だから、執拗な金利引き上げ政策で毎月の支払いが大きく上がっている。それに、この毎月の支払いは利子だけに適用されるから、元金は全く減ることが無い。だから、サブプライム融資で20年住宅ローンを組むと、20年にわたって利子だけを払い、肝心な家を購入できない。

サブプライム融資を受けた人たちが、次々と支払いが不可能になっている今日、被害を受けているのは貸付業者だけではない。予想によれば、200万件におよぶ住宅が今年差し押さえられる。これらの物件は、競売されることになるから叩き売りと同じだ。これは地域の住宅価格を下げる原因となり、経済活動に悪影響となるのは言うまでもない。

来年は大統領選挙がある。さっそく既に立候補を表明したクリントン上院議員は、貸付業者のきびしい取締りを訴えている。他の候補者や議会も動き始めたから、何らかの規制が加えられることは間違いない。こんな状態では、どの金融機関も不動産ローンに積極的になれない。住宅市場の低迷は、まだしばらく続きそうだ。

金を下げたのは誰だ?

世界的に不安定になった株式市場。こんな時こそ金(ゴールド)だ、と買ってみたがサッパリ上がらない。それどころか、株といっしょに仲良く下がってしまった。なぜ、こんな現象が起きたのだろうか?

グローバル・リソーシズ・トレーダーの、ケビン・カー氏はこう語っている。「以前、金投資と言えば、金塊やコインなどを買う。または、先物市場を利用することでした。しかし今日、投資者たちには、ヘッジファンド、ミューチュアルファンド、上場投信、金鉱株、オプションなどの様々な選択肢があります。結局こんな状況が、金の避難場所としてのステータスを壊したのです。」

カルバート・アンド・フラビンのトレーダー、アモーリー・コンティ氏はこう付け加える。「政治不安、経済不安がある時、普通なら金の価格が上がります。しかし、金の上場投信を使って頻繁に空売りが実行されるようになった今日、金市場のメカニズムが大きく変わってしまいました。」

マーケット史上初の金上場投信、StreetTracks Gold Trust(GLD)がデビューしたのは2004年のことだった。ニューヨーク証券取引所に上場されているGLDは、個人投資家だけでなく機関投資家、それにデイトレーダーにも積極的に利用されている。

「上場投信は株と全く変わりがありません。2月27日、ニューヨーク株式市場は5年ぶりの大きな下げに襲われました。とにかく株を売って、資金を安全な場所に避難させよう、といった人たちが殺到し、とうぜんの結果として、金の上場投信も売られたのです。これでは、金価格が下がっても当たり前です」、とブライアン・ランディン氏(ゴールド・ニュースレター)は言う。

金の下落は上場投信が悪い、と聞こえてしまうが、もちろん利点もある。金塊やコイン投資は余分な管理費や保険が必要になるだけでなく、売りたくても直ぐに買い手は見つからない。しかし上場投信なら、全く保険などの心配がなく、瞬時に売買できる。

「問題は、金の上場投信が、どう利用されているかということです。単なる短期投機のための道具でしょうか?それとも、万が一に備えた長期投資でしょうか?今回の世界的な株安で明らかになったことは、投資者は金の上場投信を、一般の株と同一視していたことです。事実、金の現物を持っている人たちは一斉に手放すようなことをしていません」、とランディン氏は言う。

ブランチャードのエコノミスト、二ール・ライアン氏はこんな見方をしている。「金価格が下がったことは、別に不思議なことではありません。多くのヘッジファンドは、既に12%以上の利益を上げていましたから、今回の株急落で利食われても仕方ありません。とにかく、長期的な視野で投資を考えることが大切です。」

下げ相場で光る銘柄

もし株式市場が来週暴落すると分かっているなら、早々に持ち株を処分して資金を安全な場所に避難させる。しかし、将来を100%正確に予想できる人はいないから、私たちにできることは、万が一に備えることだ。問題は、どう万が一に備えるかということだが、それに関してMSNマネーのジム・ジューバック氏がコメントしているので、さっそく要点を見てみたい。

今回の世界的な株安から、投資者は重要なことを学ぶことができる。ある株は、S&P500指数の下げ率を大幅に上回る下落となり、ある株は、S&P500指数の下げ率より、はるかに少ないダメージで済んだ。ほとんど影響を受けなかった株、そして逆に上昇した株を調べることで、私たちは下げ相場に耐えることのできる銘柄の性質をつかむことができる。それでは、具体的な株を例に挙げて説明しよう。

PepsiCo Inc(PEP): マーケットが5%下げたのに対して、ペプシコーラやポテトチップ、そしてオートミールで知られるPepsiCoの下げ幅は3%だった。世界が本当に不景気になったら、私たちは毎日ペプシコーラを飲んで、主食はオートミールになるかもしれない。地味な食品会社だが、PepsiCoの株価は毎年10.7%の割合で過去10年間伸びている。

Procter & Gamble(PG): これもPepsiCo Incと同様に、下げは3%だった。Procter & Gambleはトイレットペーパー、洗剤、練り歯磨き、電池、ペットフード、コーヒー、剃刀、と様々な製品を扱う国際企業だ。株価の方は、毎年10.7%のペースで過去10年間成長している。

Kellogg(K): Kelloggと言えばコーンフレーク。朝食の代名詞だ。急落時の下げは2%、そして過去10年間の年平均成長率は6.9%だが、過去5年間なら13.6%の好成績だ。

 Stryker (SYK): PepsiCo Incような知名度は無いが、 Strykerは医療機器を扱う企業だ。マーケット急落時の下げ率は2%。過去10年間では、年平均で22.5%の伸びを記録している。

Apple(AAPL): 急落時の下げ率は2%にとどまり、ハイテク銘柄の中では希な存在だ。たとえば、Cisco Systems は7%の下落となり、マーケットを上回る下げだった。

American International Group (AIG): マーケットが5%下げる中、American International Group は逆に1%の上昇になった。マーケット急落後の3月1日、American International Group は向こう5年間にわたって、配当金を毎年20%増やすことを発表した。言うまでもなく、経営陣に自信が無ければ、このような大胆な決定はできない。もちろん、役員や大株主も経営陣の手腕を100%信頼しているわけだ。

Fifth Third Bancorp (FITB): 急落時の下げは3%だった。American International Group のような配当金ではないが、Fifth Third Bancorp は全ての社員に1400ドルの利益分配を発表した。これも、経営状態が良くなければできないことだから、Fifth Third Bancorpは注目できる銘柄だ。

金融機関のケアレスミス

100株買うはずだったが、うっかりと1000株買ってしまう。シンボルを打ち間違えて、ぜんぜん関係ない株を買ってしまう、といったつまらない間違いをおかすことがある。確認の画面が表示されるから、そんなことが起きるはずがない、と言われるかもしれないが、それでも不注意な誤りが後を絶たない。そこで今日は、証券会社やヘッジファンドがおかした、馬鹿でかいケアレスミスを紹介しよう。

1、UBS証券(1999年1月):
間違いは、スイスの証券取引所で起きた。UBSのスペシャリストは、Rocheの一千万株の売り注文を出した。とうぜん証券取引所は混乱した。なぜなら、Rocheの浮動株数は700万株しかない。

2、1998年10月:
ソロモン・ブラザーズは、フランスの取引所で、10000枚におよぶ金融派生商品の売りを行った。なぜ1万枚も売ってしまったのか?トレーダーがキーボードに肘をのせた時、F12キーが押されてしまった。このキーが意味することは、「即刻全部売れ」だ。この結果、ソロモン・ブラザーズは、数百万ドルにのぼる損を出した。

3、2001年2月:
118億ユーロに相当する、Autonomy買い注文がロンドン証券取引所に舞い込んだ。これもキーボードの打ち間違えなのだが、118億ユーロはAutonomy社の時価総額を超える金額だった。ラッキーなことに、ロンドン証券取引所は異常を直ぐキャッチして注文が成立することはなかった。

4、2005年12月:
みずほ証券の担当者が大きな誤りをおかした。1株61万円でジェイコムを1株売るはずだったが、1株1円で61万株売り、と入力してしまった。間違いに気がついた担当者は取り消しを試みたが、東証のコンピュータに認識されなかった。

5、2001年5月:
リーマン・ブラザーズがイギリスでこんな間違いをおかした。ロンドン証券取引所に上場されている、BPなどの優良銘柄をまとめて売った時のことだ。合計売り金額は300万ポンドなのだが、トレーダーの入力ミスで3億ポンドも売ってしまった。お陰で、ロンドンのFTSE指数は120ポイントの下落となった。

6、2006年1月:
シティグループのトレーダーは、50万2000円で日本製紙を2株買うはずだった。しかし、入力ミスで2000株の買い注文を出してしまった。

7、2002年10月:
ベアスターンズのケアレスミスで、ダウ指数は100ポイントの下落になった。売るはずだったのは400万ドルに相当する株なのだが、担当者は40億ドルと打ち込んでしまった。間違いに気がついてキャンセルをしたが、6億ドル分に当たる株が売られてしまった。

8、2006年9月:
バンクオブアメリカでの出来事だ。そのコンピュータでは、エンターを押せば簡単に株が売れるようにセットされていた。トレーダーたちはフットボールでキャッチボールをしていたのだが、捕りそこなったボールが、エンターキーの上に落ちた。瞬時に50億ドルにのぼる株が売られてしまった。

(上記はファイナンシャル・ニュース・オンラインから、いくつか拾ったものです。)

国債利回り低下は株に好影響?

先ず、10年物国債利回りの長期チャートを見てほしい。

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現在4.51%の利回りは、上昇するチャンネルの底辺をテストしている。ここがサポートになるかならないかが注目されるが、トミー・キルゴア氏は、こんな質問をする。「もし、ブレイクダウンなら、それは株にとって好材料でしょうか、それとも悪材料でしょうか?」

底辺割れが起きれば、とうぜん国債利回りは下がる。そうなれば、一般的には住宅ローンの金利なども下がることになるから、これは株にプラス材料ではないだろうか?キルゴア氏の話を続けよう。

「表面的には、ブレイクダウンは株に良い影響を与えそうですが、はたしてそうでしょうか?先週金曜、雇用統計が発表されました。米国経済は不況に陥る心配はない。だから連銀は、短期金利を早々に引き下げる可能性は先ず無い、と解釈され国債が売られました。そのため利回りが上がり、チャンネルの底辺割れが回避されました。

そして月曜、金曜とは打って変わって、深刻化するサブプライム住宅ローン問題が大々的に報道され、安全な投資を求める資金が国債に集まりました。もちろん、これは利回りを引き下げる形となって、また底辺割れの可能性が出てきました。

もしブレイクダウンなら、利回りはどこまで下がるでしょうか?フィボナッチの数字を使って計算すると、38.2%戻すと4.41%、50%の値戻しなら4.16%、そして61.8%なら3.9%です。こうなれば逆イールド現象が更に進み、米国経済が不況に陥る可能性が高まるだけでなく、連銀は金利引下げに踏み切ることでしょう。(注: 61.8%レベルが崩れた時点で、完全にトレンドが転換した、と解釈するテクニカル・アナリストが多い。)

2月27日のマーケット急落を振り返ると、国債利回り低下は株に好影響、逆に利回り上昇は株に悪影響、と単純に結論することはできません。現に、27日の急落は利回りが下げる中で起き、今年初めの株上昇は、利回りが上がる中で起きています。」

キルゴア氏が少し触れた、サブプライム住宅ローンは予想以上に大きな問題になる可能性がある。ローンの支払いが不可能になった消費者が大幅に増え、サブプライム住宅ローンの大手(全米第2位)、ニュー・センチュリー・ファイナンシャルは倒産をまぬがれることはできない、と報道されている。(既にニューヨーク証券取引所は、ニュー・センチュリー・ファイナンシャルの取引を停止した。)

マーク・ザンディ氏(ムーディーズ・エコノミー・ドット・コム)はこう語っている。「今年、サブプライム住宅ローン不履行数は前年度の倍に当たる、80万に達することが予想されます。これらの住宅は差し押さえられ、競売されることになりますから、更なる住宅価格下落を引き起こします。」

失業が理由で、ローンの支払いが不可能になっているわけではないから、アメリカの経済は大丈夫、と反論する人たちもいる。しかし、こんな状況では住宅ローンを積極的に行う金融機関は無いから、やはり米国経済にはマイナスだ。

50才になったS&P500指数

S&P500指数が誕生してから50年の月日が流れた。50周年を祝って、この指数にまつわる面白いデータを見てみよう。

1、S&P500指数が導入されたのは1957年3月4日。

2、1957年3月5日の大引けは44.42。(現在1409近辺で推移している。)

3、1957年以来、S&P500指数の平均終値は377.69。

4、1957年以来、平均すると一日で0.11ポイントの変化がある。(注:終値は、平均すると前日の終値より0.11ポイント高い/安い、という意味。)

5、1957年以来、平均すると一日で0.03%の動きがある。

6、S&P500指数が上昇したのは6608日あり、平均上げポイントは2.71。率に直すと+0.63%。

7、S&P500指数が下げを記録したのは5900日あり、平均下げ幅は2.80ポイント。パーセンテージではマイナス0.64%。

8、S&P500指数が変わらずで引けたことは73日ある。

9、ポイント数で最も上昇したのは2000年3月16日。+66.33。

10、ポイント数で最も下げたのは2000年3月14日。マイナス83.95。

11、パーセンテージで最も上げたのは1987年10月21日。+9.10%。

12、パーセンテージで最も下げたのは1987年10月19日。マイナス20.47%。

13、初めて100を突破して終了したのは1968年6月4日。

14、初めて200を超えて大引けをむかえたのは1985年11月2日。

15、初めて500を超えて終了したのは1995年3月24日。

16、初めて1000を突破して引けたのは1998年2月2日。

17、初めて1500を超えて終了したのは2000年3月22日。

18、史上最高値は1527.46。これは2000年3月24日に記録された。

19、最も好調だったのは1958年の+38.06%。

20、最悪だったのは1974年のマイナス29.72%。

21、最も良かった四半期は1975年の第1四半期。+21.59%。

22、最も悪かった四半期は1974年の第3四半期。マイナス26.12%。

23、最も良かった月は1974年の10月。+16.30%。

24、最も悪かった月は1987年の10月。マイナス21.76%。

25、推定されるここまでの全出来高は4,287,212,318,580株。

26、一般会計原則に基いて計算すると、S&P500銘柄の平均株価収益率は17.37。(現在17.74)

27、S&P500銘柄の平均配当利回りは3.19%。(現在1.73%)

28、ここまで最も成績が良いS&P500銘柄はアルトリア(MO、旧名フィリップモリス)。1957年に1ドル投資したとすると、今日現在の価値は8400ドルを超えている。

米国住宅市場、まだ下げは序の口!?

米国住宅市場は、そろそろ上向きになる、と楽観視していた人たちが見方の間違いに気がつき始めたようだ。先ず、いつも強気のデービッド・レレア氏(全米不動産業協会エコノミスト)の意見を紹介しよう。「6月頃には、ほぼ全ての地域の住宅売上がおだやかな伸びを見せることでしょう。2008年、2009年までには、2005年のピーク価格に戻れると思います。」

2005年のことだった。住宅建築業者、トール・ブラザーズの最高経営責任者、ロバート・トール氏はこう語っていた。「2006年度、そして2007年度、当社は20%の成長が予想され、その後は年間15%の成長率を維持していくことができるでしょう。」しかし、この言葉を境にトール・ブラザーズの下降が始まる。

2006年2月、トール・ブラザーズは9200から9900件の予定住宅建築数を発表したが、これは前回の予定数値10200件を下回るものだった。更に、5月と8月にも数字を下方修正し、結局2006年度に建てれた住宅数は8787件だった。2006年11月、2007年度の予定建築数は6300から7300件、と発表があったが、先月トール・ブラザーズは6000件に下方修正している。

先日の報道によれば、去年の同時期と比べると、1月の新築住宅販売件数は20パーセントの大幅下落になった。「この下げ率で思い出すのは、2000年から2001年に展開された、インターネット株の大きな下げです」、と言うのは経済コラムニストのダニエル・グロース氏だ。少し話を聞いてみよう。

「この下げは一時的なものだ、と投資者はインターネット株を買い足しましたが、その結果がどうなったかは皆さんもご存知のとおりです。不動産が絶好調だった2005年、全米不動産業協会のデービッド・レレア氏は本を出版しています。要旨は、住宅の上昇はこれからも続くから、不動産は最高の投資、というものです。これは、2000年の天井で、株はまだまだ行ける、と叫ぶようなものです。

2000年のシスコ・システムズは今日のトール・ブラザーズに似ています。2000年第4四半期、シスコは67億ドルを超える利益を発表して、最高経営責任者のラリー・カーター氏は自信に満ちていました。ハイテク銘柄が下げ始め、2001年に収益が大幅に減少した時点でも、カーター氏はシスコの30%年間成長率の可能性を語っていたのです。結局シスコの低迷は続き、2006年の4月まで回復することができませんでした。

サブプライム融資が原因となって、最近倒産する金融業者が出始めています。不動産ブームに乗って、本来なら住宅ローンが不可能な人たちに貸し続けた結果が見え始めているのです。とうぜん銀行は住宅ローンに消極的になりますから、言うまでもなく住宅市場には悪影響です。今日の住宅市場は、ハイテク銘柄の経験した2001年の状態です。ですから、不動産業界の人たちが、やっとことの重大さに気がついた頃でしょう。」

オイルとゴールド、魅力的なのはどちら?

オイルが上がっているから株が下がった、という言葉をよく聞くが、こんなコメントを見つけた。「世界的な株急落で商品市場もダメージを受けましたが、オイルは意外としっかりしています。」トーマス・ハートマン氏(アルタベスト・ワールドワイド・トレディーング)

2月27日、ダウ指数は400ポイントを超える下げを記録し、これだけインパクトのある下落は2001年以来のことだ。株がダメなら金へ避難、という公式も崩れ、先物市場では金価格が1オンス当たり50ドル以上も下げた。しかし、オイルは逆の動きとなり、2月20日から3月1日までに5%の上昇となった。

アラロン・トレーディングのシニア・アナリスト、フィル・フリン氏はこう語っている。「多くの商品が下げたのにもかかわらず、なぜオイルは叩かれなかったのでしょうか?簡単に説明すれば、重要なファンダメンタル的原因があるのです。ですから、オイルが買い支えられたわけです。」

「もちろん、金(ゴールド)よりもオイルの方が価値があります」、と言うのはセント・ジョンズ大学のアンソニー・サビノ教授だ。「考えてみてください。家の暖房冷房にはオイルが欠かせません。それに、オイルがなくては車も動きません。」

最近4週間を振り返ってみると、アメリカ国内における油脂製品需要が、去年の同時期を約7パーセント上回っている。そのため、エネルギー省の発表によれば、毎日2170万バレル(34億5000万リットル)のオイルが消費されている。

特に増えているのが留出燃料(最近4週間では去年の同時期を7.8%上回る)、そしてガソリン(3.3パーセント増)だ。「ガソリンに関して言えば、先月ですが、一日平均で900万バレル(14億3000万リットル)の消費がありました。これは2月の月間消費量では、ほぼ記録的なレベルです」、とアラロンのフリン氏は言う。

更に、エネルギー省のデータよれば、2007年、世界のオイル消費量は一日当たり160万バレル(2億5400万リットル)ほど増えることが予測される。2006年は、一日当たり80万バレル(1億2700万リットル)増だった。

「今年は金の需要が減ると思われます。なぜなら、世界的に経済成長の減速が予想されているからです。しかし、世界のオイルに対する食欲は増える一方ですから、オイルの方が明らかに魅力的です」、とサビノ教授は付け加える。

ほぼ60ドルちょうどでオイルは現在取引されているが、ペリー・マネージメントの会長、チャールズ・ペリー氏は、3月末までに62ドルから66ドルに達することを予想している。ショーン・ブロドリック氏(マネー・アンド・マーケット)は、年末には80ドル台に乗せている可能性があると言う。

(上記はダウジョーンズ社、そしてCBSからの報道を参考にしています)

sell sideとbuy side

アナリストは本当に役立つのだろうか、とまた盛んに議論されるようになった。事の発端は、と言ってもこれだけではないが、証券業界から追放になった90年代の人気アナリスト、ヘンリー・ブロジェット氏のこのコメントだ。「マーケットが上昇している。さて、あなたはどうするべきか?マーケットが横ばいだ。さて、あなたはどうするべきか?マーケットが下がっている。さて、あなたはどうするべきか?いつも同じことの繰り返しです。」

ようするに、ブロジェット氏が指摘していることは、ほとんどのアナリストには先見性がなく、起きたことに対して単に反応しているだけだ。大投資家のウォーレン・バフェット氏の言葉を借りれば、大半の人たちはバックミラーを見ながら投資判断をしているだけに過ぎない。

とまあここまで書いてみたが、何のことはない。投資者たちは怒っているのだ。先週の急落を、事前に誰も教えてくれなかった。いったいアナリストは何をしているのだ?投資は自己判断、と分かっていても誰かに責任をなすりつけたいだけだ。

さて、アナリストにはsell sideとbuy sideの二種類がある。sell sideというのは、ベア・スターンズ、リーマン・ブラザーズ、それにメリル・リンチなどの証券会社に勤務する、私たちにお馴染みのアナリストのことだ。ご存知のように、格上げや買い推奨などは、顧客による株取引回数に大きく影響するから、証券会社にとってアナリストのレポートは重要だ。

ミューチュアルファンドや、ヘッジファンドに勤務するアナリストがbuy sideアナリスト、と呼ばれる。sell sideのアナリストは、買い推奨や格上げなどの発表をするが、buy sideアナリストの意見が外に漏れることはほとんどない。もちろん、それは決して不思議なことではない。ヘッジファンドのアナリストが、いちいち皆に買いだ、売りだと手の内を公開していたのでは、ファンドの成績に悪影響をおよぼす危険がある。

正確に質問をするなら、sell sideのアナリストは本当に役立つのか、ということになる。公認証券アナリストの、ライアン・ファーマン氏の意見を紹介しよう。

「インターネット株がブームだった90年代後半ですが、一部のアナリストのためにsell sideアナリストの全体が傷ついてしまいました。手数料稼ぎや、インベストメント・バンキング部門の収益上昇を狙って、あきらかにデタラメなレポートを作成していたのですから、とにかく極めて非道徳的な行動です。

残念なことですが、今でも投資者の頭の中には「汚いアナリスト」、というイメージが残っているのです。間違いなく、アナリストのレポートは投資に役立ちます。ただ、一部のアナリストのために、sell sideのアナリストには新規制が加えられてしまいました。ですから、優秀なアナリストはbuy sideに流出しているのが現状です。」
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