US Market Recap

米国証券業界、変遷の足跡

オンライントレードが当たり前なり、証券会社が、よりいっそう身近になった。90年代のブルマーケットでも、たしかにオンライントレードをすることができたが、不安定な56Kモデムを使っている人が多かったから、注文の途中に接続が切れてしまう、といったトラブルが起きたものだ。

そこで今日は、NWTファイナンシャルグループのジョン・ジェッサム氏(チーフ・オペレーティング・オフィサー)に、米国証券業界について語っていただいた。さっそく、話を聞いてみよう。(Jはジェッサム氏、Kは筆者)

K: アメリカの個人投資者たちは、一般にどんな証券会社を使っているのですか?

J: 大きく分けると、アメリカには三種類の証券会社があります。現在のように、オンライントレードが普及する前は、「フルサービス」と呼ばれる一種類の証券会社しかありませんでした。ようするに、昔流の証券会社です。電話でのやり取りが中心になり、投資者は営業マンの推薦銘柄を売買するわけです。

ほとんどの場合、営業マンが口にする銘柄は、会社のアナリストたちによって選ばれた銘柄です。フルサービスの証券会社に共通して言えることは、手数料が高いことです。1%から3%ほど取られますから、1度の取引で手数料が600ドルになることもあります。もちろん、情報が確かであれば、投資者たちは喜んで手数料を払います。(注:最高でも手数料は5%を超えることはない。)

オンライントレードの普及に伴って、次々と誕生したのが「ディスカウント・ブローカー」と呼ばれる、手数料の安い証券会社です。先駆けになったのはチャールズ・シュワブです。今では割高に聞こえますが、39ドルの手数料は、当時としては破格な値段でした。

その次に現れたのが「ディープ・ディスカウント・ブローカー」です。これは、ディスカウント・ブローカーよりも更に手数料が安い証券会社です。会社によってマチマチですが、1回の手数料は5ドルから20ドルが一般的です。

手数料以外に、フルサービスの証券会社と、ディスカウント・ブローカーの大きな違いは、銘柄のアドバイスが有るか無いかです。ですから、ディスカウント・ブローカーを利用すると、銘柄選択から情報収集まで投資者が自分で全てする必要があります。

もう一つは、「アセット・マネージメント」を専門にする会社です。これは、投資者が資金をアドバイザーに任せて運用してもらう方法です。売買する度に手数料を請求されることはありませんが、定期的に2%ほどの運用料金を取られます。

K: 最近ジェッサムさんは、新しい証券会社をスタートされましたが、どのタイプの証券会社ですか?

J: 以前は、デイトレードや短期トレードをする人たちを対象にして、ディスカウント・ブローカーをやっていました。NWTファイナンシャルは、引き続きディスカウント・ブローカー業務も行っていますが、フルサービス部門、そしてアセット・マネージメント部門も設けました。ですから、お客様のニーズに合わせて、適切な投資アドバイスができるようになりました。

K: しかし、ジェッサムさんのような会社は、他にも色々ありますよね。わざわざ日本から口座を開設する意味はあるのですか?

J: もっともな質問です。私は大阪に住んでいたことがあります。ですから日本には愛着があり、日本からの皆様により良いサービスを提供しようと思いました。決して大きな会社ではありませんが、日本人スタッフを揃えて、きめ細かいカスタマーサービスを心がけています。今年に入ってからは、日本語のマーケットニュースレターも開始しました。

K:頻繁にトレードする人なら、やはり手数料が一番安い会社の方が得ですよね?

J: トレーダーにとって、たしかに手数料は重要な問題ですが、だからと言って一番安い所を選ぶのが必ずしも正しいことではありません。考えてみてください。皆さんはレストランに行ったら、メニューの中で一番安いものだけを注文するでしょうか?

当社の場合、株の手数料は7ドル99セントから19ドル99セントです。各トレーダーの売買回数によって、手数料は決定されます。しかし、当社の大きな違いは素早いカスタマーサービスです。実際にこんなことがありました。知人の使っている、あるディスカウント・ブローカーのソフトウェアに不具合が生じて、完全に売買ができなくなってしまいました。とうぜん電話したのですが、他のトレーダーたちからの電話も殺到して、なかなか担当者と話すことができません。解決したときには、株価は2ポイントほど逆方向に動いた後でしたから、口座には2000ドルの穴が開きました。当社なら、電話がつながらない、などといったことは起きません。ですからスタッフが、迅速に問題に対処することができます。

K: 今度フルサービス部門や、アセット・マネージメント部門をスタートされたようですが、ディスカウント・ブローカー部門だけを利用しているお客さんにも、株に関するアドバイスが貰えるのでしょうか?

J: もちろんです。他社のディスカウント・ブローカーは、株に関するアドバイスは一切しませんが、当社は違います。スタッフが毎日マーケットの動きを監視していますから、お客様の相談をいつでも受けることができます。とうぜん将来の株価を100%正確に予測するのは無理ですが、タイムリーな情報を提供することができます。

K: ジェッサムさんが、トレーダーに何かアドバイスするとしたら、先ずどんなアドバイスをしますか?

J: 焦らず、ゆっくりとトレードを習得してください。トレーダーとして成長するには、とにかく時間がかかります。熱心な態度は良いのですが、新人トレーダーに共通していることは、売買をあまりにも頻繁にし過ぎます。いきなりデイトレードに飛び込むのではなく、最初は2、3日間株を保有するスイングトレードから始めた方が良いと思います。こうして、ゆっくりと進んでいけば手数料も少なくてすみます。それと、素早い適切な損切りも学んでください。

さて、もし皆さんがトレードではなく、長期投資に興味があるなら、ミューチュアルファンドを利用することを勧めます。これも、ゆっくりと焦らずにコツコツとやって行くことが鍵です。マーケットが上がる時も、そして下がる時もミューチュアルファンドに投資し続けることで、結果的には皆さんも驚くほどの成果を上げることができます。

K: 株やミューチュアルファンド以外には、どんな金融商品を扱っているのですか?

J: 国債、先物、為替、コマーシャルペーパー(CP)、定期預金、とにかく何でもそろっています。

K: 最後に何か一言ありますか?

J: 6月に日本の皆さんのためにセミナーを予定しています。既に、シアトル・マリナーズ球場の特別室を手配し、対ボストン・レッドソックス観戦も計画しています。2日間のセミナーですが、私の自宅でバーベキュー・パーティーもするので、皆さんと楽しい時間を過ごそうと思います。

K: ボストン・レッドソックスですか?それは是非観たいですね!私も行きたいなあ。。。

J: 残念ながら、球場の特別室には20人までしか入ることができません(笑)。さて、今日こうして、皆さんに米国証券事情を説明することができ、とても嬉しく思います。証券会社は、株のデイトレードだけではありません。そこは、皆さんの財産を築き上げる場所です。当社は、フルサービスのディスカウント・ブローカーとして、これからもますますきめ細かいサービスを心がけていくつもりです。

高配当銘柄の選び方

2月27日の急落以来、不安定なマーケットが続いている。ブルマーケットは終わった、と宣言する声も頻繁に聞こえる今日、個人投資家たちはどう対処したら良いだろうか?さっそく、ウィニング・インベスティングのハリー・ドマッシュ氏の意見を聞いてみよう。

「成長株が次々と倒れ、どうしたら良いでしょうか、と毎日のように相談のメールが来ます。こんな時ですから、今は高配当銘柄に狙いを絞ることです。悪い相場環境では、株価も下がるから同じことだ、と言う人たちもいますが、少し考えてください。株価の下落は利回りの上昇につながり、買い手を集める結果になります。これが、高配当銘柄が下げ相場で強い一つの原因です。

毎月配当を払う銘柄もありますが、ほとんどの場合、三カ月に一度です。高配当銘柄の選び方を説明しましょう。

1、下げ相場でも、魅力的な利回りとは何パーセントのことでしょうか。私の経験から言えることは、4%以下の銘柄に、投資者は興味を示しません。ですから、4.25%以上の銘柄を選ぶことが大切です。

2、配当金は、過去きちんと払われていたでしょうか?一度だけの特別高配当などもありますから、過去のデータを調べて、落ち度なく三カ月に一度、配当を払い続けている銘柄を選んでください。

3、高配当でも株価の安い株はダメです。15ドル未満の株には、先ず機関投資家が手を出すことはありませんから、15ドル以上の株だけに絞ってください。

4、MSNマネーのストック・スカウターを使って、会社のファンダメンタルを調べてください。AからFまでの成績が付けられていますから、選ぶのはA、B、Cだけにしてください。(右下にFactor Gradesがあり、その直ぐ下にFundamentalが載っている。)

5、不安定なマーケットでは小型銘柄が避けられ、資金は大型銘柄に集まります。ですから、時価総額が少なくとも10億ドル以上ある株を対象にしてください。リスクをもっと下げたいのであれば、50億ドル以上の時価総額が必要です。

6、アナリストのイメージが悪い今日ですが、アナリストの意見は、危険な株を避けるのに役立ちます。全てのアナリストが買い推奨を発表している必要はありませんが、平均スコアが買いである銘柄を選ぶことが大切です。

7、株主資本利益率も重要な要素です。少なくとも8%以上ある銘柄を選んでください。それ以下の銘柄は、将来の配当金が中止される可能性がありますから注意が必要です。更に、一株利益も毎年8%以上の伸びがあることも望ましい要素です。

8、ストック・スカウターにもう一度戻りましょう。ファンダメンタルの下に、テクニカルの成績も載っています。これもA、B、Cだけの銘柄を選んでください。」

さて、以上の条件を満たす銘柄として、ドマッシュ氏は五つ挙げている。これらは投資のヒントであり、買い推奨ではないことをお断りしておきたい。

Alliance Resource Partners (ARLP)
Bank of America (BAC)
Natural Resource Partners (NRP)
Suburban Propane Partners (SPH)
U.S. Bancorp (USB)

やはり金利引下げは当分無い

先ず、バーナンキ連銀議長の議会証言の要点を記そう。

・最近の四半期を見ると、米国経済成長率は年間で+2%ほどに下がっている。

・経済を減速させている最大の原因は、低迷が続く住宅市場にある。

・悪化するサブプライム融資問題は、住宅市場回復時期の予想を困難なものにしている。

・更に、サブプライム融資は多くの消費者に極度の金銭的負担となり始め、これが米国住宅市場全体に、どの程度の影響を与えるかを現時点で予測することは難しい。

・2006年第4四半期、そして今年度の初め頃を見ると、企業による設備投資支出が減っている。

・住宅市場と製造業が低迷しているが、今のところ他のセクターには悪影響を与えていない。

・米国の主要貿易パートナーの国々の経済は、活発な勢いで現在も成長している。

・インフレ率はゆっくりと穏やかなレベルに向かうと見られるが、逆に上昇する可能性はいまだに残っている。

ヘンリー・ポールソン氏(財務長官)はこう証言している。「住宅市場の冷えこみ、そしてサブプライム融資問題は、他のセクターに悪影響を与えることなく食い止めることができたようだ。特に住宅市場に関しては、このあたりが底だと思われる。」

バーナンキ氏の証言について、バリー・リットホルツ氏(リットホルツ・リサーチ&アナリティックス)はこう語っている。「やはり住宅市場が鍵です。最近のサブプライム融資問題もありますから、ここから住宅市場が更に大きく落ち込む可能性があります。もしそうなってくると、個人消費や雇用にも悪影響になりますから、経済成長率は予想以上に下がることになるでしょう。

しかし、逆のことも考えられます。低迷する住宅市場、上昇するエネルギーコストにもかかわらず、個人消費は思ったような弱さを見せていません。ですから、米国経済は予想以上の成長になることも十分に有りえます。

先日のFOMC(連邦公開市場委員会)後の声明文は、前回の声明と少し違っていました。これは、連銀が金利引下げの準備ができている証拠だ、と多くの人が解釈しましたが、今日のバーナンキ氏の証言を聞く限り、その解釈方法はあまりにも単純すぎます。」

Jefferies & Co. のアート・ホーガン氏はこう述べている。「バーナンキ氏の証言は、現在の不快なインフレ率を強調しただけです。経済が減速気味だから、もうインフレの心配をする必要は無い、と言う人たちもいますが、今日のバーナンキ氏の話からはそうのような結論を引き出すことはできません。」

こんな意見もある。「バーナンキ氏はあまりにも楽観的です。アメリカの経済は、連銀の思っている以上に落ち込むことになるでしょう。インフレばかりに注意を払うのは危険です。とにかく、もっと積極的な処置がない限り、米国経済成長がストップしてしまいます。」 イアン・シェパードソン氏(エコノミスト)

ベアになった人気テクニシャン

生粋のテクニシャン、と定評のあるティム・ナイト氏は、米国株式市場に対して弱気な見方をしている。なぜだろうか?さっそく、氏の説明を聞いてみよう。

「ベアになることは決して楽ではありません。マーケットは下がる、などと声高に主張することは、大多数の投資者を敵に回すことになります。考えてみてください。投資銀行、証券会社、人気株番組は、株が上がることをいつも望んでいます。大袈裟に言えば、証券業界は上げ相場が土台になっているのです。

ベアには大きな欠点があります。株投資で、莫大な富を築き上げたウォーレン・バフェット氏は、ベア(売り方)ではなく買い方(ブル)です。毎年、フォーブス誌が発表する長者番付を見ても、売り専門でこのリストに入った人は、いままで一度もありません。ようするに、ベア姿勢では資産家にはなれないのです。

ベアの不利なことばかり述べましたが、なぜ私はベアになったのかを説明します。

株が上がる時と、下がる時を比べてください。どちらの動きが速いでしょうか?下げスピードは、上げスピードを圧倒的に上回ります。2月27日の大幅な下げを思い出してください。たった数時間で、マーケットは500ポイントの下落です。私は気長な投資家ではありませんから、いつも速い方を選びます。

私は悲観論者ではありませんが、心配性です。ですから、株価が順調に上がれば上がるほど心配になるのです。こんなにうまく行くわけがない。ここまでは単にラッキーだったのだ。そろそろ売った方が良いかもしれない、といった調子ですから、私にはベアの素質があるのかもしれません。

目立ちたがり屋だ、と言われるかもしれませんが、私は皆が買っていると買う気が無くなってしまいます。どうしても、多数の意見に反対したくなってしうまうのです。もちろん、90年代のブルマーケットで、人と反対のことをしていたら大変です。

私はテクニシャンです。簡単に言えば、チャートを使ってマーケットの状態を判断します。長期チャートは、声高にマーケットの天井を警告しています。私は、この警報を有効に使うつもりです。

私は、アメリカがスタグフレーションで苦しんだ、70年代に育ちました。ガソリン不足で、あちこちのガソリンスタンドに、長い列が出来ていたことを思い出します。あの頃と比べると、今日のアメリカは富に溢れています。経済の肥満ですから、こんな状態は長続きするとは思えません。

白状しますが、私は90年代のマーケットで、思ったような利益を上げることができませんでした。ですから、今回はベアになって90年代の穴埋めをしたいと思っています。」

ストーリー、肉、空腹な客

投資の心理学で有名な、ブレット・スティーンバーガー氏に、こんな質問が寄せられていた。「ホームランを打ってやろうとか、一度に大きく儲けようということではなく、安定した株投資をする場合には、どうやって銘柄を選んだら良いでしょうか?」さっそく、氏の回答を見てみよう。

実際に自分の資金を使って、長期的な株投資をするなら、三つのステップを踏む必要がある。

1、ストーリー性の高い銘柄に注目する:

心理学者たちが長年にわたって集めたデータによれば、人々は事実である正確な情報よりも、談話や物語性の強い話を長く記憶する傾向がある。これが応用されている例は、古代ギリシャやローマだ。教訓や知恵は教科書的なものでなく、神話のような形で人々に語り継がれている。

株の場合にも同様なことが言える。人々を興奮させる、ホットな話題性に富んだ銘柄は、投資者たちに極めて強い印象を与える。単に、強い印象を与えるだけなく、投資者から投資者へとストーリーが語り継がれ、多くの人々がこの銘柄に引き付けられる。

一株利益が15%上がった。チャートに明けの明星パターンが出来ている、などと人々を説得する方法もあるが、たとえそれが事実であったとしても、ホットなストーリーにはかなわない。多くの投資者にとって大切なのはストーリーであり、事実を示す情報ではない。

2、単にストーリーだけでなく、本当に美味しそうな肉もタップリついていること:

Manor Care (HCR)が良い例だ。高齢化する社会を反映して、Manor Careのような高齢者福祉施設を経営する会社が注目されている。更に多くの施設が要るのだが、政府からの規制があるから、簡単に誰でも進出できる業界ではない。そんなわけで、ストーリー性の面でManor Care に問題は無い。

美味しそうな肉に当たるのが情報だ。Manor Careの場合、第1四半期の収益成長率は27.5%が見込まれ、業界平均の+5.5%を大きく上回っている。今年全体で見ると、2ドル77セントの一株利益が予想され、2008年度は3ドル14セントに成長することが予測されている。

3、客はどこにいる?:

ホットなストーリー、美味しそうな肉、その次に必要なのは実際に肉を食べてくれる客だ。どんなに美味しそうな株でも、実際に投資者が買ってくれないことには全く話にならない。いくつかのウェブサイトで調べることができるが、機関投資家の動きを見ることも大切だ。

Manor Care の場合だが、最近オスターワイス・キャピタル・マネージメント、それにバロン・アセットなどのポートフォリオ・マネージャーたちが買っている。更に、Matrix Research社のアナリストはManor Care の一株利益を上方修正している。

ストーリー、美味しそうな肉、そして腹を空かした機関投資家が、投資成功に必要な三要素だ。

また元気になった買い手

週末話題になった銘柄を紹介しよう。先ず、CNNやCNBCで米国投資者にはお馴染みの、ロバート・ウォルバーグ氏はこう語っている。

「連銀の金利対策姿勢が中立的になり、先週の株式市場は、反発ラリーが展開されました。たしかに、金利は予想されたとおり据え置きでしたが、発表された声明に変化が見られ、マーケット関係者は利下げの可能性有り、と解釈したようです。

先物市場を見ると、マーケットは年末までに0.5ポイントの利下げがあることを示しています。私個人的には、そこまで金利が下がるとは思いません。経済が下向きになったと言っても、マイナス成長になるわけではありません。それに、いまだにインフレ問題は残っていますから、連銀が簡単に金利を下げることはないでしょう。

それよりも注目したいのは、世界的なマーケットの急落で、莫大な金額が現金化されました。先週のラリーは、この避難していた資金が、バーゲンを求めて株式市場に戻ったためです。中期的に見た場合ですが、マーケットはまだ10%から12%上昇できる余地があります。

狙える銘柄の一つはNavteq (NVT)です。シカゴに本拠地を置くNavteqは、カーナビ用のデータを提供する、業界リーダーです。あまりにも大き過ぎた期待にこたえることができず、去年、株価の方は低迷しました。しかし、来年度に予想される利益を基準に計算したPER(株価収益率)は21です。それに、年間成長率は25%が見込まれていますから、現在の株価は魅力的です。」

人気番組「マッド・マネー」で、ジム・クレーマー氏はこんな銘柄を挙げている。

「Brocade(BRCD)に注意を払ってほしい。3月29日、Brocadeはアナリストを集めて会議を開く。予想されるのは、Brocade側から明るい見通しが発表され、一株利益が上方修正されることだろう。とうぜん株価には好影響だから、アナリスト会議前に買っておきたい銘柄だ。更に、シスコ・システムズ(CSCO)によって買収される、という意見もあるから、買収ターゲットとしても面白い。

Movado(MOV)も注目銘柄だ。木曜に決算を控えているが、アナリストの予想を大きく上回る好決算発表になることだろう。できれば、決算前に買っておきたい銘柄だ。」

もちろん、皆が買いばかりを考えているわけではない。テクニカル・アナリストたちは、こんなことを指摘している。「週足でマーケットを見ると、決して悪い形ではありません。しかし、マーケットはまだ完全にブレイクダウンから回復していません。急落前の高値を突破できない限り、今の状態では積極的に買うことはできません。先週のマーケットのラリーは急すぎます。このような角度での上昇は、先ず長続きすることはありません。」

Windows Vista 、使ってみたいのだが、

皆さんは、Windows Vista にアップグレードされただろうか?「想像以上の驚きを、あなたにも」、のキャッチフレーズで宣伝されているが、想像以上に驚いているのはマイクロソフト自身ではないだろうか。AAXNETの、アンドリュー・グライガス氏は、こんな事実を挙げている。

米運輸省(DOT)、米国標準技術局(NIST)、米連邦航空局(FAA)、そしてテキサス・インスツルメンツ(TXN)はWindows Vista にアップグレードしないことを発表した。また、公立学校も同様な決定をするところが出始めている。たとえば、カリフォルニア州北部のウィンザー学区、それにオハイオ州のベクスリー学区では、高額なVista にアップグレードするのではなくLinux導入を考慮している。

このような状況を反映して、ヒューレットパッカードはLinuxが搭載された企業向けデスクトップ・コンピュータ製造に踏み切るようだ。とうぜんデル・コンピュータもヒューレットパッカードに続くことが考えられるから、3月13日付けのウォールストリート・ジャーナルで報道されたように、いよいよマイクロソフトに本格的な競争相手が現れた。

中小企業、そして家庭の個人ユーザーたちも、 Windows XPからVistaに急いで乗り換える様子は無い。ようするに、現在使っているコンピュータがダメになるまで、Windows XP使用が続くわけだ。しかし、なぜVistaは思ったほど受け入れられないのだろうか?いくつかの原因を見てみよう。

・ファイファー・コンサルティングの調べによると、ユーザーインターフェースにやや問題があるため、仕事の効率がXPよりも劣る。

・多くのソフトウェアは、まだVista用に改造されていない。

・Vistaへのアップグレードは意外と手間がかかる。特に、ドライバー探しに一苦労する。多くのプリンターは、まだVista用のドライバーが無いから印刷ができない。

・マルウェア(破壊工作ソフト)対策には万全が期されているとのことだが、CNetニュースによると、マイクソフトのOneCareアンチウイルスは、認証テストに合格できなかった。

・スティーブ・バルマー氏(マイクロソフト本社役員)は、Vistaにサービスパックは不要だ、と言っていたにもかかわらず、さっそくサービスパック1が出ている。

「Linuxを検討する良い機会です。Windows XPに慣れきっているため、最初は馴染みにくいと思います。しかし、長期的にはコスト面で、Linuxの方がVistaより割安です。他にも、IBMのeComStationがあります。これは以前、OS/2と呼ばれていたものです。悪くはないのですが、専門ソフトウェア・ツールに限りがあるのが難点です」、とグライガス氏は指摘する。

連銀声明の正しい解釈法

昨日発表された、連銀からの声明が多くのマーケット関係者によって分析されている。予想されたとおりの金利据え置きだったが、今回は1月の文書にあった「更なる金利引き上げの必要性」、という言葉が消えていた。これは、金利引き上げバイアスからニュートラルな姿勢への転換と解釈され、結局これが昨日の大きなラリーの一因になったようだ。

最近発表されているデータを見れば、明らかに米国経済は下向きになり始めているから、連銀の姿勢変化は別に不思議なことではない。しかし、リットホルツ・リサーチ&アナリティックスの、バリー・リットホルツ氏は、こんなことを語っている。

「インフレの心配が無くなったため、連銀が突然タカ派をやめたのではありません。現に、同じ声明の中には、コア・インフレ率が若干上昇している、という一文があります。違った言い方をすれば、連銀の態度が変わった理由は不況を避けたいためであり、インフレ問題が消滅したからではありません。」

FOMC後に発表される声明は、回りくどい表現で有名だ。もっとストレートに書いてほしいものだが、リットホルツ氏は、皆に分かりやすいように、こう声明を書き変えている。

連邦公開市場委員会は、今日、フェデラル・ファンズ・レートを5.25%に据え置くことを決定した。最近の経済データは、我々が予想する以上に悪かった。

1、回復どころか、更に落ち込みがひどくなった住宅市場。
2、大幅に資本支出を減らす企業。耐久財受注の減少も著しい。
3、顕著になった小売売上の低迷。

小売業者は、暑過ぎる、寒過ぎる、雪、雨、と天候を不調の原因としているが、次は月食を言い訳にするつもりだろうか?あまりにも悪すぎるので、自動車メーカーについては、何も言うことはない。どちらにしても、経済の減速は進み、GDPの成長率は+1.5%ほどになるだろう。

こんな状況なのだが、悪いことにインフレ率はやや上がっている。景気の後退で、インフレ問題は消えると思ったのだが、事はそう簡単に行かないようだ。経済が冷え込む状況でのインフレだから、はっきり言うと、我々にはもう残った対策手段は無い。

将来の金利政策について言えば、GDPとインフレのどちらかが極端に悪化しない限り、何もするつもりはない。だから、金利引下げを実施するには、GDPが+1.5%未満に落ち込む必要がある。もちろん、金利引下げなどしたら、インフレ問題が更に悪化することは言うまでもない。

最後に、連銀は引退した前議長グリーンスパン氏にプレゼントするために、皆さんから募金を集めることを計画している。プレゼントとして、我々は氏をテレビもインターネットも無い孤島へ送ることを考えている。とうぜん氏は我々に礼を言いたくなるはずだが、それは2008年に氏がアメリカに戻った時に聞くことにしよう。



デイトレードネットからのお知らせ: 当メールマガジンを日頃ご愛読いただきありがとうございます。2005年8月創刊以来500号余りを配信してまいりましたが、2007年3月末をもって一旦休刊させていただくことになりました。近日中に発行形態をあらため、リニューアルを予定しておりますのでご期待ください。

ペニー・ストックは儲かるか?

1ドルに満たない安い株は「ペニー・ストック」と呼ばれているが、そんなものに投資して、本当に儲かるのだろうか?こんな事をよく聞く。「A社の株はたったの5セントだ。500ドルの株が1000ドルになるより、5セントが10セントになる方が簡単なはずだ。よし、少し買ってみよう。」

さて、一株50円の株と3000円の株を勧められたら、皆さんならどちらを買うだろうか?株価だけでは決められない、と言われるかもしれないが、ここでアレクサンダー・グリーン氏(投資アドバイザー)の話を聞いてみよう。

セミナーが終わった後、ある参加された男性から、ペニー・ストックに関する質問を受けた。一株30セントほどの銘柄なのだが、これだけ安い株だから2倍3倍になるのは簡単なはずだ、とこの男性は何度も強調した。

たしかに、ペニー・ストックは簡単に値上がりそうな雰囲気があるが、実際の統計は全く反対の事実を示している。明らかに、30セントの株は60セントに膨れ上がるよりも、0になる可能性の方がずっと高い。だから、もし一株100ドルの株と50セントの株を勧められたら、迷わずに50セントの株を無視するべきだ。

多くのペニー・ストックに共通する3点を挙げよう。

1、安い株の会社のほとんどは収益が無い。それだけでなく、単にビジネスプランがあるだけで、何の活動すらしていない会社もある。ようするに、あるのはセールストークだけだ。

2、ペニー・ストックは売値と買値が極端に離れすぎている。売値が10セント、買値が20セントといったことなど頻繁にあるから、こんな株を買ったら、買った瞬間に資金が半分だ。

3、ペニー・ストックは出来高が低く、更にマーケットメーカーも少ないから、簡単に株価を操作することができる。運良く値段が上がっても、持ち株の全てが、希望の値段で利食えることは先ず無い。

ペニー・ストックのプロモーターには、くれぐれも気をつけよう。彼らの手口は「ポンプ&ダンプ」、といつも同じだ。素晴らしいセールストークを用意して、簡単な儲けを夢見る投資者を集める。とうぜんマーケットメーカーとも打ち合わせ済みだから、株価は急騰する。うまくインサイダーが株を売り逃げると、後は急落が待っているだけだ。

全ての安い株がインチキではない、と反論される方がいるように、もちろん株価だけで全てを判断することはできない。どうしてもペニー・ストックを買いたいなら、必ず決算報告書に目を通してほしい。収益はあるだろうか?赤字決算だろうか?実際に製品があるだろうか?繰り返しになるが、統計を見る限り、ペニー・ストックに投資するのは大切な資金を無駄にするだけだ。



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注目したい空売り残

株投資をするなら、空売り残を調べることを忘れてはいけない、とストリート・ドット・コムでリサーチを担当する、ラーセン・キューシック氏は言う。ところで、皆さんは米株の空売り残情報を、どこから入手できるかご存知だろうか?さっそく、アマゾン・ドット・コム(AMZN)で説明しよう。

ヤフー・ファイナンスへアクセスしてほしい。左上のEnter Symbol(s)にAMZNと入れて、GET QUOTESをクリックする。株価が出てきたはずだが、注目したいのは左側だ。上からSummary、Options、Historical Pricesと並び、更に下へ行くとKey Statisticsがあるから、そこをクリックしてほしい。

右側にStock Price Historyというセクションがあり、そこにはBetaや52-Week Changeの情報が入っている。空売り残が入っているのは、Price Historyセクションの直ぐ下にあるShare Statisticsの中だ。空売り残に関する数字は4つある。それぞれを簡単に説明しよう。

Shares Short: 空売り残の合計株数。2月12日時点で、4612万株ある。
Short Ratio: 一日の平均出来高を基準にして計算した場合、空売りされている全株を買い戻すのに必要な日数。2月12日時点では、6.2日の日数が必要。
Short % of Float : 空売り残が、全浮動株数を占める割合。2月12日時点では14.90%。
Shares Short (prior month): 前月の空売り残の合計株数。4491万株だった。

キューシック氏の話に戻ろう。「ある会社から好ニュースが発表され、その株が格上げされたとしましょう。買い手が集まり、株価は急騰です。言うまでもなく、空売っていた人たちは大変です。空売りポジションを手仕舞うには、株を買い戻さなくてはいけません。正に、買い手に参戦するようなものですから、株価は上がる一方です。

既にお分かりと思いますが、Short RatioとShort % of Float の数値が大きければ大きいほど、好材料が発表された時、売り手のパニック度が高くなります。

一般的に、大型優良企業の株はShort RatioとShort % of Float が他の銘柄よりかなり低くなります。大型優良株は、いざという時の避難場所になるだけなく、年金基金などによって長期投資されますから、大量に空売りされることは先ずありません。優良銘柄のShort % of Float (空売り残が浮動株数を占める割合)の実例を挙げましょう。

ゼネラル・エレクトリック(GE): 0.2% 、コカコーラ(KO): 0.4%、アンハイザー・ブッシュ(BUD): 0.6%、
ウォルマート(WMT): 0.7%、マイクロソフト(MSFT): 0.9%、マクドナルド(MCD): 1.2%

もちろん、下げ相場では上記の株も影響されますが、下げ幅はマーケット以下になる傾向があります。

一概に、このパーセンテージ以上が高すぎる、という基準はありませんが、Short % of Float の高い銘柄を挙げましょう。言い方を換えれば、踏み上げが起きやすい銘柄です。XM Satellite Radio (XMSR): 9.7%、Palm (PALM):
18.6%、NutriSystem (NTRI) : 33.2%、   Crocs (CROX) : 35.2%。」

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