ダウ指数が新高値を記録した、と繰り返し報道されているが、少し違った角度から見てみよう。マーケットが天井だった、1999年の12月31日と比べてみると、ダウ指数は単に11.1%上がっただけにすぎない。先週、同様に高値を更新したS&P500指数は+0.15%、そしてナスダック指数はマイナス38.15%だ。
1999年12月31日以来、最も伸びた指数は+129.84%の成績を上げた、S&P 600 Small-Cap Value(小型割安株指数)だ。主な指数の結果を見てみよう。
S&P 600 Small-Cap Value............129.84%
S&P 600 Small-Cap......................115.01%
S&P 400 Mid-Cap Value...............109.02%
S&P 600 Small-Cap Growth..........98.15%
S&P 400 Mid-Cap...........................97.07%
S&P 400 Mid-Cap Growth..............84.92%
Dow Utilities...................................82.35%
Dow Transports..............................70.70%
Morgan Stanley Cyclical.................68.33%
Russell 2000...................................64.23%
Morgan Stanley Consumer.............36.02%
S&P 500 Value...............................29.95%
Dow.................................................11.10%
Russell 3000....................................8.19%
Wilshire 5000..................................7.95%
Russell 1000....................................4.60%
S&P 500...........................................0.15%
S&P 100........................................-15.04%
S&P 500 Growth...........................-23.75%
Nasdaq...........................................-38.15%
Nasdaq 100...................................-50.51%
さて、上の数値からどんな結論を引き出すことができるだろうか?テレビで取り上げられるのは、太字にしたダウ、S&P500、そしてナスダックの3指数だ。極めて限られた指数だけが報道されているわけだから、マスコミに頼っていると、正確なマーケット状況をつかむことができない。
投資するなら割安株が有利だ。(Valueは割安、Growthは成長株を表す)たとえば、S&P 600 Small-Cap Valueは+129.84%、そしてS&P 600 Small-Cap Growthは+98.15%。S&P 400 Mid-Cap Value(中型割安株)は+109.02%、そしてS&P 400 Mid-Cap Growthは+84.92%。大型割安株のS&P 500 Valueは+29.95%、そしてS&P 500 Growthはマイナス23.75%だ。
更に上の数字が明確に示すことは、危険だと言われる小型株の成績が、安全と言われる大型株を上回っている。「寄らば大樹の陰」、という諺があるが、くれぐれも老齢化した大樹には気をつけよう。
(データはhttp://www.crossingwallstreet.com/archives/2007/04/breaking_the_sp.htmlからです。)
ファンダメンタル分析は、時間のかかる面倒なもの、と思っていないだろうか?しかし、「プロの銘柄選択法を盗め!」の著者ハリー・ドマッシュ氏は、7つの項目を調べるだけで良いと言う。さっそく見てみよう。
1、借金があり過ぎないだろうか?
大きな負債を抱える会社は、負債の少ない会社より投資リスクが高くなる。ここで、注目してほしいのが負債資本比率(D/E)だ。この数字は簡単に見つけることができる。まず、ヤフー・ファイナンスにアクセスする。GET QUOTESのところに、株のシンボルを入れてクリックする。ここでは、アップル(AAPL)でやってみよう。
株価が表示されているが、左側のCompanyの下にKey Statisticsがあるから、そこをクリックする。FINANCIAL HIGHLIGHTSから下へ進むと、Balance Sheetがある。その中の、Total Debt/Equity(mrq)が負債資本率だ。N/Aになっているが、これはアップルの借金が0であることを示している。もしそこが1以上の数字なら、借金の抱えすぎだ。
2、会社の規模は小さ過ぎないだろうか?
リスクを低くするには、時価総額が10億ドル($1 Billion )未満の小型株を避けよう。この数値も、同じウェブページで見つけることができる。Key Statisticsの直ぐ下に、VALUATION MEASURESがある。その中のMarket Cap(intraday)が時価総額だ。アップルは78.24B(782億4000万ドル)だから、全く問題ない。
3、利益は十分にあるだろうか?
株主資本利益率をチェックしよう。ほとんどの場合、5%から25%の範囲だが、15%未満は避けたい。株主資本利益率は、Management Effectivenessの下にある。Return on Equity (ttm)がそれだ。アップルは24.77%だから合格だ。
4、ミューチュアルファンドや年金ファンドが買っているだろうか?
銘柄の機関所有率を確かめよう。40%未満の数値は、機関投資家たちが、その銘柄に興味が無いことを示しているから避けたい。これは、Share Statistics の下、% Held by Institutionsだ。アップルは69.40%だから問題ない。
5、空売り残が多過ぎないだろうか?
現在ある空売り残を、全て買い戻すのに必要な日数をshort interest ratio という。この数値が10以上の銘柄は避けたい。これは、Share Statistics の下に、Short Ratio と記されている。アップルは1だから合格だ。
6、現金の無駄使いをしていないだろうか?
キャッシュフローがマイナスの企業を、投資対象から外そう。Cash Flow Statementの下、Operating Cash Flowを見てほしい。アップルは3.75Bというプラスの数値だから、全く問題はない。
7、株価は割高でないだろうか?
ここで役立つのが、予想される利益で計算した株価収益率だ。VALUATION MEASURESの下の、Forward P/Eというのがそれだ。40以上は割高を示し、アップルは23.14とまだ割安だ。
以上7項目を調べたが、アップルはファンダメンタル的に問題はない。あとはチャートを見て、買いのタイミングを探すだけだ。
(参考にしたサイト: http://www.winninginvesting.com/risk_score_sheet.htm)
サブプライム融資問題は、アメリカを不景気に陥らせることはないが、予想以上に深刻な事態に発展する、とケン・ヒーブナー氏は言う。CGMフォーカスのファンドマネージャーとして活躍する氏は、毎年19%の利益を上げ、これは年平均+13%のS&P500指数を上回る成績だ。Kiplinger.comに掲載された、氏のインタビューを見てみよう。
米国の一部の地域では、2000年から2005年の間に、住宅価格が倍以上になった。問題なのは、2004年から2005年までの上昇は、本来なら住宅ローンが不可能な人たちが、多数住宅市場へ参入し、住宅市場が超投機化したことだ。最初から無理なローンだから、とうぜん月々の支払いが苦しくなり、差し押さえになる物件が急増している。
こんな状態だから、あと1年ほど住宅市場の低迷は続くことだろう。個人消費も落ち込み、経済も減速することになるが、これで連銀は短期金利を引き上げる必要がなくなった。これは株に好材料だ。
外に目を向けると、中国やインドの例で分かるように、世界経済はここ30年間で、最も力強い成長を見せている。この世界経済の発展で、大きな利益を上げているのが投資金融業者(インベストメント・バンカー)だ。業界リーダーはゴールドマン・サックス(GS)、そしてモルガン・スタンレー(MS)とメリル・リンチ(MER)の収益が好転している。
さて、ヒーブナー氏の指摘する中国が、また経済ニュースのヘッドラインになった。APの報道によれば、第1四半期、中国経済は年間ベースで11%の伸びを記録し、インフレ率もここ2年間で最高の水準に達した。「急ピッチな成長は、経済の過熱を引き起こす心配がある」、という政府関係者のコメントは、近いうちに金利引き上げがある、と各国のマーケット関係者は解釈したようだ。
おだやかな成長は有益だが、悪性のインフレに襲われたのでは話にならない。こんな状態でも、まだ中国は魅力のある投資先だろうか?ストリート・ドット・コムのビデオで、ジム・クレーマー氏はこう語っている。
中国の速すぎる経済成長は、今日始まったことではない。更に、中国政府は効果的に経済速度を抑制することはできないだろう。とにかく今は、上がりすぎた中国関連株が、完全に下げきるのを待つ時だ。下げが一段落したら、BHP Billiton (BHP)、Lundin (LMC)、Freeport McMoRan (FCX)、Peabody (BTU)、Arch Coal (ACI)などのエネルギー、資源関連株が狙える。
中国以外に、クレーマー氏はこんなことを付け加えている。「手数料の割引は、Eトレード(ETFC)やアメリトレード(AMTD)に何の好影響も与えなかった。これで、2月のマーケット急落が、いかに大きなダメージを個人投資者たちに与えたが分かる。」
(参考にしたサイト: http://www.kiplinger.com/magazine/archives/2007/05/heebner.html?kipad_id=6
http://www.usatoday.com/money/world/2007-04-19-china-economy_N.htm
http://www.247wallst.com/2007/04/cramers_way_to_.html)
マージャー・マンデー(Merger Monday)という言葉がる。Mergerは、吸収合併を意味するから、直訳すると「吸収合併の月曜」になる。こんな言葉が定着した理由は、大きな買収や合併のニュースは月曜に発表されることが多いためだ。ということで、買収が噂されている、いくつかの銘柄を見てみよう。
1、ハリバートン(HAL、オイルサービス業)が、ウェザーフォード・インターナショナル(WFT)を買収する。この噂で、ウェザーフォードは現在2.3%ほど上げている。
2、エアトラン・ホールディングズ(AAI、航空会社)は、ミッドウエスト・エアグループ(MEH)の買収計画を既に発表しているが、なかなかMEHから良い返事が来ない。しかし噂によると、今回AAIが提示している金額は十分なものであるという。
3、どの会社に買収されるかは分からないが、IPSCO(IPS、製鉄)は既にある企業から接触を受けている事実を発表した。もちろん、このニュースでIPSに買いが殺到している。
4、またか、と思われるかもしれないが、デル・コンピュータ(DELL)によるPalm(PALM)買収が噂になっている。
5、サブプライム融資問題で、ノバスター・ファイナンシャル(NFI、金融セクター)の株価は大きく下落した。もちろん、このままでは経営自体が危なくなってしまう。さっそく会社側は、全ての選択肢を考慮する、と発表しているから、買収ターゲットになることも考えられる。
6、ベル・カナダ(BCE、テレコミュニケーション・サービス)は、カナダの年金ファンドによって買収される、という噂が流れている。
7、ダウ・ケミカル(DOW、化学)が、プライベート・エクイティ・ファンドによって買収される、という噂がなかなか消えない。会社側は買収を否定し、無断で買収の話を進めていた二人の経営幹部を首にしている。
8、人気番組「マッド・マネー」を担当するジム・クレーマー氏は、ウィンダム・ワールドワイド(WYN、ホテル)が買収される可能性について番組で語った。
さて、クレーマー氏の名前を出したついでに、昨夜の「マッド・マネー」で取り上げられた銘柄を見てみよう。
不動産投資信託会社の、アナリー・キャピタル・マネージメント(NLY)は買いだ、とクレーマー氏は言う。アナリーの最高経営責任者、マイケル・ファーレル氏は、現在大きな問題になっているサブプライム融資を予測していた。もちろん、予測していたわけだから、投資信託の保有する銘柄は、既に調整済みだ。
(参考にしたサイト: http://www.cnbc.com/id/15838459
http://www.247wallst.com/2007/04/rumor_friday_ap.html)