週末のコラムで、マーク・ハルバート氏(Hulbert Financial Digest )も、この「25日中、22日は上げ」を取り上げているので、さっそく見てみよう。
1896年から今日までのダウ指数の動きを調べた結果、こんなことが分かった。
1、ダウは、25日中23日上げたことは、いままで一度もない。ということは、現在の状況は、25日間という取引日数における新記録ではないが、歴史上の最高記録に匹敵するものだ。
2、最後に25日中22日上げたのは、1927年の7月終わりから、8月の初めにかけてだ。
たった2回だけ起きた出来事から、統計的に大きな意味のある結論を引き出すことはできない。そこで、少し数値を変えてみた。25日中22日の上げではなく、25日中少なくとも20日の上げという条件で調べた。結果は、それにあてはまる状況は1896年以来35回起きている。言い換えれば、111年間で35回だ。
それでは、25日中少なくとも20日上げることは、ダウ指数にとって良い結果になっているだろうか?平均を見てみると、25日中少なくとも20日上げた次の四半期、ダウは3.3%の上昇だ。年間に直せば13%ほどになり、平均的な伸び率を、やや上回っている。
次の四半期だけではなく、向こう12カ月間で調べると、ダウの伸びは歴史的な平均上昇率と変わりがない。ようするに、短期的には好影響だが、長期的には25日中少なくとも20日上げることは大した意味が無い。これは強気な人たちにはガッカリなデータかもしれないが、決して悪いニュースではない。あまりにもマーケットが好調だから、そろそろ大きな下げに襲われる、と言う人たちが多い。しかし、今回調べて分かったことは、上げが続きすぎている、という理由だけでマーケットが大幅に下落することはない。
好調すぎるから、そろそろ終わりが来る、というのは賭博者の錯誤と同じだ。コインを投げて、裏か表かを当てるのが良い例だ。だれでも、次に表が出る確率は半々であることを知っている。しかし、既に5回連続で表が出ている場合ならどうだろうか?ほとんどの人は、6回目は裏になることを予想するだろう。もちろん、この考え方は間違っている。過去に何回連続で表が出たからといって、半々という確率を変えることはできない。株式市場もコインの例と、さほど違いはないと思う。株が何日連続で上げたということに、大きな意味付けをするのは誤りだ。
と以上のようなハルバート氏の意見だが、やはりマスコミが作り上げるヘッドラインには、注意した方がよさそうだ。