US Market Recap

4つのタイムフレーム

一つのタイムフレームだけを見ていたのでは、全体の動きを、うまくつかむことができない。たとえ15分足チャートが強い上昇を展開していても、60分足チャートが下向きなら、それは単なる一時的なプルバックに終わることが多い。そこで今日は、4つのタイムフレームの併用について復習してみよう。

1、日足チャート

どの銘柄を買ったら良いだろうか?適切な売買銘柄選択に、最も利用されているのが日足チャートだ。一昔前は、ひとつひとつチャートを見たものだが、最近は様々な株スキャナーがあるから、自分のトレードスタイルに合った銘柄を、簡単に見つけることができる。

2、週足チャート

さて、日足チャートで売買候補を選んだら、次にチェックしたいのが週足だ。日足がアップトレンドでも、週足がダウントレンドなら、その株に大きな上昇は期待できない。また、週足チャートを検討することで、重要なサポートレベルやレジスタンスレベルを確認することもできる。更に、多くの機関投資家は週足を利用しているから、私たちも、週足をチェックする習慣を身に付けたい。

3、60分足チャート

日足内の動きを見るのに役立つのが60分足だ。たとえば、日足チャートがアップトレンドの株が、利食いが原因になって、一時的に下げているとしよう。こんな株の60分足チャートは、既にダウントレンドになっているはずだ。トレンドラインを引いて、株価がそこを上放れたら買い出動だ。

4、5分足チャート

日足で銘柄を選び、週足で長期のサポートとレジスタンスレベルを確認する。もちろん、日足と週足のトレンドが一致していることも大切だ。60分足でブレイクアウトが起きたら、さっそく5分足に移ろう。5分足には、(買いの場合)、サポートレベルが出来ているのに気がつくだろう。60分足でブレイク後、株価は再度5分足のサポートレベルに戻ることが多いから、それが買いのタイミングになる。

もちろん、チャートの組み合わせ方は上記以外にも色々ある。重要なのは、複数のタイムフレームを利用することで、効果的なトレンドに沿ったトレードが可能になる。

(アレキサンダー・エルダー著の「投資苑」では、4つのタイムフレームではなく、「3段階スクリーン・トレーディング・システム」が説明されている。)

利回りの正常化

国債利回りは、更に上昇するだろうか、それとも、この辺がピークになって一旦下げるだろうか?これが、週末一番の話題だ。2002年以来の高水準に達した利回りは、米国経済に悪影響を及ぼし、結果的に株安を生み出す、という意見を支持する人たちもいるが、こんな統計がある。

過去15年間を振り返ると、国債利回りが10%以上の上げになったことは4回あった。この4回のうち3回は、株式市場の代表的な指数、S&P500は平均で20%を超える伸びを記録した。例えば、1999年、4.6%だった国債利回りは、ほぼ40%近い上昇となり、6.4%に達した。しかし、S&P500は衰えることなく、20%の成長となった。

2003年、利回りは11%上昇し、S&P500は26%増。1996年は15%ほど利回りが上がったが、株式市場は20%の伸びだった。1994年は、国債利回りが、株に悪影響になった年だ。5.8%だった利回りは、34%ほど上がって7.8%に達し、S&P500は1.5%の下落になった。

しかし、指摘したいのは、今日の世界的な金利上昇だ。株だけに限らず、商品、不動産、それに社債などが好調だったのは、低金利を利用して、必要以上の投資資金を簡単に手に入れることができたためだ。金利上昇が、今後も長く続くことになると、肝心な投資資金の調達が難しくなってしまう。流動資金の減少は、言うまでもなく、株安につながる。

クレジット・デリバティブと呼ばれる、金融派生商品の存在も忘れてはいけない。貸付債券や、社債の信用リスクをスワップやオプション形式で売買するのがクレジット・デリバティブだが、最近の大きな国債利回り上昇で、多額な損を出しているヘッジファンドがあるかもしれない。ことによっては、金融市場に混乱を起こすこともありえるから、潜在的な心配材料だ。

12月、4.4%だった国債10年物利回りは、現在ほぼ5.3%ほどだが、これは決して高い水準ではない。過去20年間を調べると、国債の平均利回りは6.2%だ。逆に言えば、今までの利回りは、人工的に低く抑えられていたのではないだろうか?有り余る資金を手にした機関投資家たちは、経済状況を無視して、国債を異常なレベルまで買い進んでしまったようだ。

現在、国債市場に起きているのは、利回りの正常化なら、同様な例を、短期金利に見ることができる。連銀は、長いこと、金利を1%という超低レベルに抑えていた。しかし、金利引き上げ政策が実施され、2004年1%だった金利は、2006年の中頃には5.25%に達していた。その間、S&P500は、年平均で11%の伸びを見せ、上昇する金利が、株式市場を衰えさせることはなかった。

単に、国債利回りの上昇だけに気を取られてはいけない。大切なのは、どの程度の上昇までなら、株式市場は耐えられるか、という質問を考えてみることだ。

(上記は、チェット・カリアー氏の意見をまとめたものです。http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601039&refer=columnist_currier&sid=avZuivzxHHzc

今になって騒ぎ出した個人投資家

どうしたらよいでしょうか、とアドバイスを求めるメールが、ミューチュアルファンドの専門家、ジョン・ワゴナー氏のもとに殺到している。国債10年物利回りは5%を突破し、利回りと逆関係にある、国債価格が大きく下がってしまった。さっそく、氏の意見を聞いてみよう。

株が少しでも下がろうものなら、ここが天井だ、といった叫びが嫌でも聞こえてくる。しかし、株と違って国債が話題になることは滅多にない。現に、国債市場の下げは、既に2カ月以上も前に始まり、最近のニュースを見ていると、国債は突如として急落した、とカン違いしてしまう。

皆さんは、国債のブルマーケットを覚えているだろうか?1981年9月、10年物利回りは15.84%もあったが、2003年の6月には、3.10%まで下げていた。この間の、国債価格値上がりと支払われた利子を含めると、国債が生み出した利益は1281%になる。年間平均に換算すると12.8%になり、13.6%のリターンを記録した株に、ほぼ匹敵する成績だ。

今日のように、利回りが上昇する環境では、国債専門ミューチュアルファンドの価格(ネット・アセット・バリュー)は下落する。著名ファンドマネージャー、ダン・ファス氏の話によれば、国債利回りの急騰は、抵当市場のテクニカル的要素が、大きな原因になったと言う。しかし、こんな状態も、ほぼ終わりに近づいたということだ。更に氏は、長期金利の上昇で、米国経済が減速することになるから、夏の終わり頃には、国債利回りが下がる、という見方もしている。

国債の利回りは、住宅ローン金利に大きな影響を与える。先週、30年固定金利型住宅ローンは6.53%だったが、今週、その金利は6.74%に上がっている。これで、低迷する住宅市場の回復が遅れることは間違いない。「低調な春の住宅販売数だっただけに、長期金利の上昇は、住宅市場に大きな圧力を与えることでしょう」、とアメリカン・センチュリー・ファンドのジム・キーガン氏は述べている。

住宅市場は、米国経済の重要な部分であるだけに、住宅価格の下落は、個人消費を鈍らせることになりそうだ。もし、これが原因で経済が衰え始めると、国債の需要が増えて、その結果国債価格が上昇する。なぜなら、経済が下降する局面では、企業収益が減り、株投資の魅力が薄れるためだ。

しかし、長期的に見ると、国債利回りは上げ方向だ、とファス、そしてキーガン両氏は述べている。膨大な赤字を抱えるアメリカは、国債を売って資金を調達しているが、世界的に金利が上がる今日、極端に利回りを下げることはできない。

それでは、私たち個人投資家は、どうするべきだろうか?10年物のように、長期国債ほど価格変動率が高くなる。逆に、2年物のように、短期国債の価格変動率は低い。しかし、利回りは10年物が5.23%、2年物が5.09%と、ほとんど差がないから、個人投資家には、短期国債への投資を勧める。

(参考にしたサイト: http://www.usatoday.com/money/perfi/columnist/waggon/2007-06-15-short-term-bonds_N.htm

http://money.cnn.com/2007/06/15/markets/bondyields/index.htm?postversion=2007061512

金利と株価

上昇が続く国債利回りの影響を受け、住宅ローンの金利が、2006年7月以来の高水準、6.74%に達した。米抵当銀行協会のエコノミスト、ダグ・ダンカン氏は、年末までには7%を記録する可能性がある、と述べている。言うまでもなく、住宅市場には悪材料だが、金利の上昇は、株にどのような影響を与えるだろうか?

株価を決定する、主ななファンダメンタル要素は、利益と資産の二つに絞ることができる。利益は一株利益を意味するが、過去のデータよりも、予想される将来の利益が重要視される傾向がある。資産というのは、企業の保有する不動産や現金、それに株などだ。

金利の話に移ろう。もし、10%の利子が得られる投資をしたとすれば、今日の1ドルは、1年後には1ドル10セントになる。言い換えれば、金利のお陰で、今日の1ドルの価値と1年後の1ドルの価値は同等でないわけだ。

反対の見方をしてみよう。10%の金利がある場合、1年後に1ドル受け取るためには、今日91セント投資する必要がある。もし金利が5%なら、約95セントが必要だ。実は、アナリストもこの考え方を使っている。

株価の正当価格を算出するために、アナリストは、向こう5年間の一株利益を先ず予測する。そして、金利を考慮して、予測した一株利益を今日の価値に置き換えてみる。

XYZという会社があったとしよう。今年の一株利益は1ドル、1年後は2ドル、2年後は3ドル、3年後は4ドル、そして4年後は5ドルの一株利益が予想されている。利益を合計すると(1ドル+2ドル+3ドル+4ドル+5ドル)、15ドルになるが、ここで金利を考慮してみよう。もし10%の金利なら、15ドルは10ドル65セント、そして5%なら12ドル57セントに相当する。インフレは、正に株の敵だ。

さて、ここでまた住宅市場に戻ろう。固定金利型の30年住宅ローンは、現在6.53%だが、1カ月ほど前は6.15%だった。これが意味することは、6.15%で10万ドル借りることが出来た人は、今日の利率では、96086ドルしか借りることができない。

エコノミストのデービッド・バーソン氏は、こう語っている。「強い経済が原因で、住宅ローン金利が上がっているなら、別に心配することはありません。人々の収入も上がるわけですから、ある程度の金利上昇なら、住宅市場が、ここから大きく落ち込むことはないでしょう。しかし、問題は連銀です。金利政策が変わろうとしているようですから、これは住宅市場に悪影響です。」

(参考にしたサイト: http://money.cnn.com/2007/06/13/news/economy/mortgage_rates_housing/index.htm

http://www.theessentialsoftrading.com/Blog/index.php/2007/06/11/interest-rates-and-stock-prices/

http://money.cnn.com/2007/06/14/real_estate/mortgage_rates/index.htm?postversion=2007061412

 

金利引き上げのタイミング

早ければ今月中に、連銀は金利を引き上げる可能性がある、とエコノミストのアーウィン・ケルナー氏は言う。さっそく、話を聞いてみよう。

先ず、今日の投資家たちが望んでいることを要約しよう。「米国経済は、満足な企業収益をもたらすほどの成長率を保ち、同時に連銀による金利引下げが実施される程度の成長速度であること。」無理な注文だ。

ほとんど0成長になった、今年最初の3カ月間の米国経済状態を見て、投資家たちは、喜ぶべきなのか、それとも悲しむべきなのかが分からなかった。弱い経済は、たしかに金利引下げの可能性を高める。しかし、経済が下向きになってしまえば、企業利益に悪影響となり、結果的に株を下落させることになる。

連邦公開市場委員会が、6月28日に開かれる。ここまでのデータを見てみると、第2四半期の経済成長率は第1四半期を上回り、インフレ率も上昇している。言い換えれば、米国経済が上向きになっているのだから、企業収益には好材料だが、金利引下げが実現される可能性は無い。それどころか、逆に、金利引き上げの心配をした方がよい。

既に、インフレの匂いを嗅ぎつけた国債は、ここ2カ月間で0.5ポイント以上も利回りが上がっている。これで、投資家たちは、何度も繰り返された、バーナンキ連銀議長の言葉を思い出したことだろう。「弱い成長率は経済の問題ではない。問題になるのはインフレだ。」

ほぼ全ての投資者は、金利引下げの望みを捨てたことだろう。現に今週、大手金融雑誌は、金利引き上げの警報記事を載せている。最近発表された、連銀からのコメントを読む限り、早ければ今月、遅くとも8月には金利が引き上げられることになりそうだ。手遅れになって非難を浴びるより、連銀は早めの利上げを選ぶことだろう。

(参考にしたサイト: http://www.marketwatch.com/news/story/irwin-kellner-why-fed-could/story.aspx?guid=%7b81E84356-E386-4430-A82A-E2126E34188E%7d&dist=bondheads

トレーダーが勧めるストレス解消方法

世界的な金利上昇を反映して、国債の売りが、なかなか止まらない。お陰で、5月1日、4.642%だった国債10年物利回りは、現在5.2%を超えている。株の投資家には、一つ悪材料が増えてしまったわけだが、だからと言って、心配ばかりしているとストレスがたまってしまう。そこで今日は、トレーダーたちも利用している、ストレス解消方法を紹介しよう。

1、叫ぶ

うっ積した感情を発散させるには、大きな叫び声を上げるのが効果的だ。もちろん、場所を間違えると、周囲の人たちに迷惑になるだけでなく、精神病院に送り込まれる可能性もあるから注意しよう。野球ファンなら、たまには球場へ行って、好きな選手に大声援を送ってみよう。きっと、気分が晴れるはずだ。

2、出来ることと、出来ないことを区別する

トレードにはストレスが付き物だ。全てのチャンスをつかもうなどと、最初から自分に、余計なプレッシャーを与えてはいけない。無理して、電車に駆け込む必要はない。それより、次の電車を待つことが大切だ。

3、ゴールを数段階に分ける

あなたはスーパーマンではないから、最終目標を、一気に達成することはできない。いきなり大きな目標をかかげても、失望するだけだから、先ず小目標をたてよう。小さな目標を次々と達成することで、あなたには、更に意欲がわいてくることだろう。

4、ボールの利用

イライラしてきたら、テニスボールなどを、強く握り締めてみよう。良い気分転換になる。

5、紙とペンを使う

ストレスの高い場面では、単に頭の中で自問自答するのではなく、実際に紙の上に考えていることを書いてみよう。ていねいに書く必要はない。走り書きすることで、次の行動に計画性が生まれる。

6、空瓶を用意する

ストレスがたまった時は、空瓶で足の裏をマッサージしてみよう。気分が爽快になる。

7、色の利用

できれば、部屋の色は、血圧を下げる効果のあるソフトな青系にしよう。

8、スマイル

苦しい時ほど、微笑んでみよう。幸せだから歌うのではない。歌うから幸せになれるのだ。

9、助けを求める

一人だけで苦しむな。積極的に助けを求めることで、苦難からの出口が早く見つかる。

10、休暇

ダメな時は、思い切って休暇を取ってみよう。休暇が無理なら、たとえ5分でもよいから、仕事場を離れてみよう。

(参考にしたサイト: http://ririanproject.com/2007/06/11/19-battlefield-tips-to-survive-stress-at-work/

注目の高配当銘柄

国債利回り5%突破で、インフレ懸念が深刻化した今日、投資者たちは高配当銘柄を見直している。安定した、高い配当金を支払い続けている企業は、一般的にビジネス歴が長く、きびしい競争を生き抜いてきた実績がある。単に配当利回りだけでなく、他の要素も含めて選出された、高配当銘柄トップ10を見てみよう。

1、Diana Shipping (DSX) : 配当利回り 7.7%

4期連続で収益が減退していたが、先月、59%増の第1四半期利益を発表をした。

2、Terra Nitrogen (TNH) : 配当利回り 6.7%

5月の下げから回復し、現在株価は高値に挑戦中。Terra Nitrogen は、化学肥料の生産会社。

3、Southern Copper (PCU): 配当利回り 6.6%

アリゾナに本拠地を構えるSouthern Copper は、世界で第2位の銅鉱を所有する。ミューチュアルファンドによる買いも増大している。

4、Seaspan (SSW): 配当利回り 5.9%

Seaspanは、27の貨物船を所有する中国の会社。第1四半期利益は+24%、そして、貨物船数を更に28増やす。

5、Turkcell (TKC): 配当利回り 5.3%

第1四半期の利益は+48%を記録し、第2四半期は+220%が予想されている。

6、Tele Norte Leste (TNE): 配当利回り 3.9%

Tele Norte Leste は、ブラジルの有線電話市場の64%を握っている。

7、NuStar GP Holdings LLC (NSH): 配当利回り 3.6%

三年連続で、利益幅が上昇している。

8、Mechel (MTL): 配当利回り 3.5%

2007年度の利益は25%増、そして2008年度は+40%が見込まれている。

9、CNOOC (CEO): 配当利回り 3.3%

CNOOCは中国のオイル会社。波乱な中国株式市場にもかかわらず、CNOOCは安定した値動きを展開している。

10、Excel Maritime Carriers (EXM): 配当利回り 3.1%

第1四半期の利益は+65%を記録し、低迷していた利益成長率が、これからは上向きになりそう。

(参考にしたサイト: http://biz.yahoo.com/special/ibd061107_article1.html

http://biz.yahoo.com/special/ibd061107.html

 

 

一波乱ありそうな今週の相場

先日発表されたレポートによれば、ブッシュ大統領は、ほとんど株に投資していない。現に、大統領の個人資産の中で、株の占める割合は4%ほどだ。残りの96%は、定期預金、マネーマーケット・ファンド、それに国債などだから、正に超保守的と言うしかない。

それでは、副大統領のチェイニー氏はどうだろうか?28%が株に割り当てられているようだが、大統領ほどでないにしても、やはり株投資に消極的な姿勢だ。

もう少し見てみると、副大統領は、アメリカン・センチュリー・インターナショナル・ボンド・ファンド(外国の国債専門ファンド)に投資している。このファンドの特徴は、ドルが下がると上がる仕組みになっている。更に、28%の株だが、その中の7割ほどはドル安で恩恵を受ける外国株だ。

もう一つ目につくのは、副大統領は、インフレを前提にしたバンガードのファンドにも投資している。どうやら副大統領の投資アドバイザーは、ドル安とインフレを、かなり心配しているようだ。

さて、世界的なインフレ懸念が要因となって、先週、米国債が大きく売られ、利回りが約1年ぶりに5%を突破した。 簡単に振り返ってみると、水曜、欧州中央銀行は、金利を3.75%から4%に引き上げ、そして木曜、ニュージーランドの中央銀行は7.75%から8%に金利を引き上げた。更に木曜、米国最大の債券ファンドを運用する、ビル・グロス氏の悲観的なコメントも、国債市場に悪影響となった。

今週のマーケットは波乱な展開になるだろう、とウィンダム・ファイナンシャルのポール・メンデルソン氏は言う。「国債市場、それにインフレ関連ニュースが注目されます。6月限のオプションも、今週で時間切れになりますから、これもマーケットに影響を与えることでしょう。」

株の下げは、一段落したのだろうか?それとも、金曜の上げは一時的なものであり、更なる下落が待っているのだろうか?予想を上回る企業収益、プライベート・エクイティ・ファンドによる頻繁な買収などが主な原因となって、マーケットはほとんど休むことなく、2月の急落後から上昇が続いていた。しかし先週、急騰する国債10年物利回りは、とうとう投資者たちを動揺させた。

「状況は一変しました。米国経済は減速している、ひょっとしたら不景気に陥るかもしれない。そんな見方から、経済は思っている以上に強い。インフレ問題は深刻になり、連銀は金利引き上げに踏み切るだろう、というシナリオを考慮しなければいけません」、とRNCゲンター・キャピタルの社長、ダン・ゲンター氏は指摘する。

国内のインフレを測定する、生産者物価指数は木曜、そして消費者物価指数が金曜に発表される。もちろん、予想を大きく超える数値は、株の売り材料だ。もう一つ、インフレと密接な関係がある、原油価格にも注意を払わなくてはいけない。ゴールドマンサックス、リーマン・ブラザーズ、ベア・スターンズの決算発表も控えているから、メンデルソン氏の言うように、今週は一波乱あるかもしれない。

(参考にしたサイト: http://money.cnn.com/2007/06/08/markets/sun_lookahead/index.htm?postversion=2007060911

http://www.forbes.com/home/markets/2007/06/08/bond-stock-yield-markets-equity-cx_er_0608markets22.html

http://www.kiplinger.com/columns/value/archive/2007/va0605.htm

株が上がる確率が高いのは何曜日?

新月の日と、満月の日を比べると、前者の方が株が上昇しやすいことを先日話した。それでは、株を買うなら何曜日が良いだろうか?さっそく、ストック・トレーダーズ・アルマナックから発表された統計を見てみよう。

下は、1960年から2006年までのS&P500指数の様子だ。

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上げる確率の高いのは、ほぼ56%の水曜と金曜だ。月曜は49%ほどだから、上昇する確率は半々より悪い。それでは、1970年から2006年の範囲ならどうだろうか?

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月曜が半々以上の確率に上がっているが、相変わらず、水曜と金曜の確率が高い。1980年から2006年に移ろう。

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火曜と木曜に変化は無い。しかし、月曜が金曜にかなり接近している。水曜の首位は安泰だ。次は1990年から2006年。

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なんと、月曜がトップに躍り出た。次は水曜、そして金曜へと続く。それでは、2000年から2006年ならどうだろうか?

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今度は金曜が最下位だ。長期的にも、短期的にも安定した上げ確率を保っているのは水曜だ。もちろん、90%を超えるような強い数字は全く出てこないから、これといって何曜日が圧倒的有利という結論を引き出すことはできない。

一変した投資心理

とうとう、国債10年物利回りが5%を超え、株の売り材料になった。いよいよ、下げ相場が始まるのだろうか?ファンドマネージャーの、マイケル・チャーチ氏は、こう述べている。「歴史的に見れば、5%は低レベルです。5%突破は投資心理に影響を与えますが、これだけでは、株式市場から完全撤退する理由になりません。」

5.099%で、木曜の取引を終了した国債だが、はたしてどこまで上昇するのだろうか。債券投資アドバイザー、トニー・クレシェンジ氏の話を聞いてみよう。

10年物利回りが、5.25%以上になっても不思議ではない。ご存知のように、現在の短期金利は5.25%だ。言い換えれば、短期金利が長期金利を上回っている。こんな現象は、そう滅多に起きるものではない。過去18年間を振り返ってみると、10年債利回りが、短期金利を下回ったのは3度しかない。

この3度に共通しているのは、金利引下げが、6カ月以内に起きていることだ。今年中の金利引下げが、ほぼ絶望的になった今日、国債利回りが短期金利以下である必要がなくなった。これが国債売りを呼び、利回りが急騰している大きな原因だ。

国債利回りの上昇は、住宅ローンの金利を押し上げる結果になっている。ただでさえ低迷する米国住宅市場、これで、ますます回復が遅れそうだ。水曜に発表された、全米不動産業協会(NAR)のレポートを見てみよう。

・年間通算で、629万件が見込まれていた中古住宅販売件数は、618万件に下方修正されている。

・先月のレポートでは、中古住宅中間価格の1%減が予想されていたが、今回のレポートでは、マイナス1.3%に修正されている。

・新築住宅の中間価格は2.3%ほど下がりそう。(先月の発表では、去年と同レベル、という見方だった。)

・新築住宅販売件数は、年間通算で、86万件が期待できる。(先月のレポートでは、86万4000件が予想されていた。)

さて、マーケットが終了した。ダウ指数はマイナス1.48%、これで3連敗だ。30銘柄で構成されるダウ指数だが、プラスで引けた銘柄は一つも無い。正に完敗だ。シャークの異名を持つ、ジェームズ・デポーレ氏の言葉を記しておこう。

「こんなにひどいマーケットを見るのは久しぶりだ。これからは、少しでも株価が上昇するなら、投資者たちは持ち株を処分することだろう。」

(参考にしたサイト: http://www.thestreet.com/markets/marketstory/10361145.html

http://biz.yahoo.com/rb/070606/usa_subprime_realtors.html?.v=1&.pf=real-estate

http://biz.yahoo.com/ap/070607/wall_street.html?.v=40

 

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