US Market Recap

連銀は真実を語れない

週末、最も共感を得たのは、ジム・クレーマー氏(マッド・マネー)の訴えだ。「バーナンキさん、直ぐに金利を引き下げてください。人々の叫びが聞こえないのですか?即刻、金利を下げなければ、多くの人たちが、家を失うことになるのです。」

更にクレーマー氏は、下記の銘柄が安定しないかぎり、米国株式市場が下げ止まることはない、と力説する。

・MGIC Investment(MTG)
・Countrywide Financial(CFC)
・Bear Stearns(BSC)
・KB Home(KBH)
・Centex(CTX)
・MBIA(MBI)
・Blackstone(BX)
・Thornburg Mortgage(TMA)
・Beazer Home(BZH)
・Washington Mutual(WM)
・Goldman Sachs(GS)
・Citigroup(C)

一目瞭然、どれも不調が続く、銀行、証券、住宅銘柄ばかりだ。

金利引下げは有りえるのだろうか?火曜(7日)に予定されているFOMC(連邦公開市場委員会)では、現行の5.25%に金利が据え置かれることを予想するアナリストが圧倒的に多い。現に、短期金利市場(フェデラル・ファンズ先物)を見ると、火曜に引き下げが起きる可能性は7パーセントしかない。

と言っても、状況が状況だけに、今回の会議では、連銀関係者は慎重になるだろう。サブプライム融資問題は、住宅市場だけでなく他セクターに広がり、破たんに直面する大手ヘッジファンドや銀行も出始めている。

サブプライム融資問題で、とうぜんのことだが、銀行は融資に消極的になった。不動産ブームの頃は、心臓さえ鼓動していれば、だれでも金を借りることができたが、銀行はローン申請者の審査をきびしくすることで、貸し渋りが明白になった。こうなると、個人消費は落ち込み、米国経済が結果的に減速するわけだ。

金曜に発表された雇用統計には、やや下向きになった、米国経済状況が示されている。失業率は4.5%から4.6%に上昇し、新規雇用者数は予想された13万5000増を下回る9万6000増だった。

FTNファイナンシャルの、ビンセント・ボバースキー氏は、こう語っている。「連銀が、現在の金融市場状況を深刻な問題だ、と表明することはないでしょう。そんなことを言ってしまえば、市場が更に混乱してしまいます。おそらく連銀は、今日金融市場で起きている現象は、簡単に資金が調達できた以前の異常な状態から、正常に戻っている段階、と表現するのではないでしょうか。」

(参考にしたサイト: http://www.cnbc.com/id/15838459/

http://money.cnn.com/2007/08/03/news/economy/fed_preview/index.htm?postversion=2007080311

アナリストはウォール街のチアリーダー!?

イワシの缶詰会社を、一代で築き上げたスミスさんは、いよいよ社長の座を息子に譲った。そして数カ月が過ぎ、今日も好調なビジネスを見ながら、息子はふと思った。「なぜ、こんなにイワシは売れるのだろう?さぞ美味しいに違いない。」さっそく工場へ行って、缶詰を一つ開けた。

ひどい味だ。不良品かもしれない。息子は、もう一缶開け味見をしたが、とても食べられるようなシロモノではない。

「お父さん、あんなにまずい缶詰が、どうしてこんなに売れるのでしょう?」

「なんだ、食べたのか、馬鹿だな!缶詰は食べる物じゃない。あれは、売買(トレード)して儲ける商品にすぎない。よく覚えておけ!」

株のトレーダーの間で有名な話だ。中身(ファンダメンタルズ)はどうでもいい。大切なのは値動きだ、と一般的に解釈されているようだ。

ということで、少しひねくれた、証券用語の定義を紹介しよう。

アナリスト: 言うまでもなく、ウォール街の高給取りチアリーダーだ。得意技は、割高な株を割安に見せること。

悪材料: 連銀を金利引下げに追い込む悪いニュース。その結果、株は上がる。

ベア: 株の上昇を理解できない孤独な存在。

ブル: 株投資の優等生。

証券マン: 単なる個人投資家を、ブルに変身させる専門家。

債券市場: ベアたちが、偏見を披露するために集まる場所。

現金: 旅行や豪華な物を買うために消費される、株で儲けた金のこと。

配当金: 株の好材料。

経済: 株とは無関係な世の中で起きる現象。

恐怖: 100%の資金が、株にあてられていないことを恐れるブルの心理状態。

連銀関係者: ブルの顔色を見ながら、金融政策を決める人たち。

ファンダメンタルズ: 株の上げ要因。

欲: ウォール街に必要な唯一の感情。

ヘッジファンド: 極端なレバレッジを利用して、最終的に株を上げることを目標にした投資グループ。

金利: 株の上げを説明するために、時おり使われる単語。

レバレッジ: 投資利益を上げるためにする借金のこと。

損: ベアの意見を鵜呑みして起きる投資結果。

ミューチュアルファンド: 100%の資金を、常に株式市場に入れておくためのブルたちの道具。

空売り: 「踏みあげ」現象を引き起こす、まずい投機方法。

投資戦略家: アナリストを参照。

(参考にしたサイト: http://bigpicture.typepad.com/comments/

全体を見るのか、それとも一点に集中するのか?

株のトレードだけに限らず、仕事が終わった後、あそこはこうすれば良かった、と思うことがある。ようするに、やり方によっては、もっと良い結果を得ることができたわけだ。ということで、仕事の改善方法について考えてみよう。

私たちは、物事を全体的に見るように教えられてきた。だから、先ずざっと全体を眺めて、どれが面白そうかな、と探すことになる。この方法が悪いのは、つまらない物に捕まってしまうことだ。

例を挙げよう。あなたはショッピングセンターにいる。どんな店があるかを把握した後、実際にそれぞれの店に足を運ぶ。すると、ユニークなセーターが目についた。そこで、あなたはそれを買うことにした。さらに進んで行くと、今度は豪華なスーツが目にとまった。もちろん、あなたはそれも買った。こんな感じでショッピングを続け、あなたは、持っていた金を全て使い果たしてしまう。

最初に全体像をつかむのは悪くないのだが、このやり方で行くと、途中で目標を見失ってしまうことが多い。だから、極端な言い方をすれば、先ず具体的なゴールを設定して、全体像を必要以上に重要視しないことだ。

こんな手順になる。

1、あなたが実現させたいゴールを明確に決定する。

2、ゴール実現に関係ない物を全て遮断する。

チャートだけでトレードしている人なら、テレビのニュースや、アナリストのコメントを聞く必要はない。影響されやすい人なら、最初から新聞など読まないことだ。

3、興味本位に、あちこちへ行くな。

そんなことをしていたら、他人の意見に惑わされて、ゴール実現の妨げになる。

4、ゴール実現に必要な情報だけを入手しろ。下手な情報は、あなたを回り道させるだけだ。大袈裟に言えば、ゴールに関係ない雑誌など講読してはいけない。

5、重要なことを見つけたら、必ずノートに書きとめよう。そして、毎週ノートを読み直してみることも大切だ。

(参考にしたサイト: http://www.lifehack.org/articles/management/opportunity-overload.html

ドマッシュ氏が推測するバフェット銘柄

最近の下げマーケットを見て、大投資家のウォーレン・バフェット氏は、どうしているだろうか?さっそく叩かれた株の中から、割安になったものを拾っているだろうか?MSNマネーのコラムで、ハリー・ドマッシュ氏が、バフェット氏の狙いそうな株の探し方を説明しているので、少し見てみよう。

必要になるのは、Deluxe Stock Screener (無料)だけ。下記が条件だ。(Try It Nowの下をクリックするとダウンロードできる。)

1、5年平均の株主資本利益率は25%以上。

ROE: 5-Year Avg. >= 25%

2、投資利益率は15%以上。

Return on Invested Capital >= 15%

3、マージンの5年平均は、業界平均より25%以上優れていること。

 Pre-Tax Margin: 5-Year Avg. >= 1.25* Industry Avg. Pre-Tax Margin: 5-year Avg.

4、株価キャッシュフロー・レシオは、業界平均の8割以下。

Price/Cash Flow Ratio <= 0.8* Industry Average Price/Cash Flow Ratio

5、マイナスの株価キャッシュフロー・レシオは避ける。

Price/Cash Flow Ratio >=0.1

6、負債率は業界平均の半分以下。

Debt to Equity Ratio <= 0.5* Industry Average Debt to Equity Ratio

7、社員の給与は、業界平均より50%以上勝っていること。

Income Per Employee >= 1.5* Industry Average Income Per Employee

8、株価は5ドル以上。

Last Price >= 5

9、アナリストの推奨は中間の買い以下。

Mean Recommendation <= Moderate Buy

全ての条件を入れると、こうなる。

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次に、Run Searchをクリックすれば銘柄が選択される。

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(参考にしたサイト: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/SimpleStrategies/WhatWouldAYoungBuffettDoNow.aspx

 

 

 

何がブルをベアに変身させる?

先週の下げは、下げのうちに入らない、と言う人たちがいる。たしかに、投資者を動揺させたが、皆が皆、マーケットから退散したわけではない。投資者を、一大パニックに陥れる出来事とは何だろうか?ポール・ファーレル氏(The Lazy Person's Guide to Investingの著者)の指摘する20のシナリオから、いくつか見てみよう。

1、戦争

米政府は、既に6000億ドルを超える金を、イラクとアフガニスタン戦争に投入し、結果的には2兆ドルに達する、と予想されている。心配なのは、次の選挙前に、ブッシュ大統領がイランを攻撃する可能性だ。下手をすれば、第3次世界大戦に広がる恐れがある。

2、住宅バブル

エコノミスト誌は、こう書いている。「世界的な株の投機熱は、いまだかつて見たことのない、超住宅バブルによって支えられている。」

3、中国経済

オリンピック前に、バブルが弾けそうな中国経済。

4、債券の格下げ

クレジット・クランチ(信用収縮)が進み、格付け会社による、プライベート・エクイティ会社から発行された債券の相次ぐ格下げ。

5、原油価格

1バレルあたり100ドルを突破。

6、更なる米ドルの大幅下落。

7、マイナス貯蓄率

80年代、米国の貯蓄率は10%だったが、今日の貯蓄率はマイナスだ。

8、消費者負債

今日、米国の消費者負債は2兆ドルを超え、個人破産が大きく増えそうだ。

9、貿易赤字

米政府は、膨大な貿易赤字を埋めるために、毎年1兆ドルに及ぶ国債を発行している。ようするに、借金をして借金を払っているわけだから、こんな状態が長続きするとは思えない。

(参考にしたサイト: http://www.marketwatch.com/news/story/you-pick-20-tipping-points/story.aspx?guid=%7BDF996C81%2D774A%2D4D3E%2D87D0%2D5743138A9AF3%7D

経済新聞は、帰りの電車の中で読め!

週が明け、株式市場は小さな反発を展開している。さっそくテレビでは、これは単なる一時的な戻しだろうか、とアナリストを招いて討論に忙しい。ウォールストリート・ジャーナルも、「ブルマーケットは終わった?」、と目を引くタイトルで、テレビに対抗している。

古い記事を見つけた。書いたのは、ニュース中毒と自称する、リットホルツ・リサーチのバリー・リットホルツ氏だ。要旨は、株投資にニュースは不要、というものなのだが、少し読んでみよう。

オイル高のニュースで、株式市場が下げることがあるが、もちろん、いつもそうなるとは限らない。同様に、テロニュースで株が売られることもあれば、テロニュースは無視されることもある。何故、そんなことが起きるのだろうか?

1、ニュースは過去の出来事だ。株投資は、過去にどう対処するかではなく、将来の見通しが重要になる。ニュースが、どんなに興味深いものでも、ほとんどの場合、ニュースは既に株価に織り込まれている。

更にニュースが悪いのは、適切な態度で、マーケットに臨めなくなってしまうことだ。悪い材料ばかりを読んでいると、本気でその銘柄を空売ってやろう、といった先入観を持つ原因になる。だから、経済新聞を読むなら、行きではなく帰りの電車の中だ。

2、ニュースのほとんどは、あなたの投資に、直接影響を与えることはない。歴史を振り返れば、真珠湾の攻撃、ケネディー大統領暗殺、最近では9月11日のニューヨーク・テロ事件。どれも大事件だ。マーケットは、たしかに一時的に揺れたが、結果的には事件以前のトレンドに戻っている。

3、ニュースは大衆を相手にするビジネスだから、どうしても、現在流行しているものが中心に報道される。覚えておいてほしいのは、マスコミが取り上げる時点では、人気が天井に達していることが多い。それに、広告収入が重要なニュース・ビジネスは、扇情的な話題が多いのも特徴だ。

(参考にしたサイト: http://bigpicture.typepad.com/

http://www.thestreet.com/_tscana/comment/barryritholtz/10228215.html

希な出来事、売り手はご用心!

「色々な見方がありますが、現在の米国経済は健全です。低失業率、雇用状況がそれを証明しています」、と投資戦略家のリズ・アン・ソンダース氏は言う。たしかに、金曜の午前中に発表された、第2四半期の国内総生産は予想された+3.2%を上回る+3.4%だった。しかし、先週のニューヨーク株式市場は、ここ5年間で最悪の展開になった。

いったい、いつになったら下げ止まるのだろう?さっそく、あちこちと見て回った結果を紹介しよう。

ジェーソン・ゲップフェート氏(sentimentrader.com): 木曜、ニューヨーク証券取引所に上場されている銘柄の、23%が52週間の安値を更新した。40年間のデータを検討すると、こんな極端な数字が出た後、マーケットは中期的な上げを展開する傾向がある。

レニー・ヤング氏(markettells.com): 先週3回の取引日の中で、2回の取引日は、下げ出来高が圧倒的に多い。具体的に言えば、下げ出来高は90%を超え、これは極めて希な出来事であり、統計的には、マーケットに好材料だ。それに、大きく跳ね上がったボラティリティ指数も、そろそろ反発ラリーが起きる可能性を示している。

ブレット・スティーンバーガー氏(The Psychology of Trading の著者): もちろん、売り手たちは、更に積極的な空売りを仕掛けてくることだろう。しかし、過去のデータが教えてくれることは、ここからのマーケットは買い手に分がある。狼狽売りで、割安になった株を拾うチャンスだ。

言うまでもなく、上記三氏の意見は、テクニカル分析に基き、三氏とも買い有利の結論だ。しかし、CNNなどの一般サイトには、超悲観的な意見で溢れている。先ず、こんな写真が目に飛び込んでくる。

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取引所のトレーダーだが、こんな写真を見たら、「よし、買っていこう!」、とやる気満々になる人はいないだろう。

ダウジョーンズ社の運営するサイト、marketwatch.comの週末版には、いきなりこんなことが書かれている。「来週も、米国株式市場は、下げが続くことになるだろう。」最後まで読んでみたが、新しい材料は何もなかった。ほぼ破綻同然となった大型ヘッジファンド、クレジット・クランチ(信用収縮)、それにサブプライム融資問題、どれも古い話題だ。

ニューヨーク証券取引所で、大口取引を担当したことがあるケビン・ハガティ氏は、「ニュースはフィクション」をよく口にする。大衆がフィクションを好むのは、いつの時代も同じらしい。

(参考にしたサイト: http://www.marketwatch.com/news/story/us-stocks-fall-further-next/story.aspx?guid=%7BD8D87106%2D1B7D%2D41A2%2DAF14%2D0CA8173A269B%7D

http://www.nytimes.com/2007/07/28/business/28stox.html?ei=5088&en=ca2d1d933a852b61&ex=1343275200&adxnnl=1&partner=rssnyt&emc=rss&adxnnlx=1185642098-BGngHWhxb3MP/O0MSP9fYg

http://money.cnn.com/2007/07/27/markets/credit_deals/index.htm?postversion=2007072711

イージー・マネーの終焉

300ポイントを超える木曜の下げ。翌日金曜は更に200ポイントの下落だから、投資者たちは完全に動揺してしまった。証券会社の知人は、「株を全て売った方が良いでしょうか」、とアドバイスを求める電話が、後を絶たなかったと言う。テレビは、まるで世の終わりが来たような報道ぶりだから、心配にならない方がおかしい。

さて、不安定なマーケットを、どう乗り切ったらよいだろうか?金融コラムニスト、ティム・ミドルトン氏の話を聞いてみよう。

下げ相場では、投資姿勢の調整が必要だ。と言っても、別に難しいことではない。次のことを実行してほしい。

1、投資ポートフォリオのリスクを下げること。

米株なら、不動産関連銘柄は処分すること。そして、景気に左右されやすい、超小型株も売ってしまうことが好ましい。海外市場に関しては、新興成長市場は避けるべきだ。

2、株を処分して得た資金は、次の買いチャンスに備えて、マネーマーケットファンドや、短期国債に回しておこう。

3、過去のデータを基にして、下げ相場で比較的打たれ強い優良株に注目しよう。

4、下げ相場だからといって、ベアファンドに資金を安易に移さないこと。一般的に、ベアファンドは下げ相場で上昇すると信じられているが、それは間違った見方だ。現に、2000年から2002年の下げ相場では、ベアファンドは平均で7.1%下げている。

今週のマーケットを振り返って、空売りを専門にするビル・フレッケンスタイン氏(フレッケンスタイン・キャピタル)は、こう語っている。

「ある程度大きな下げでも、株式市場は翌日簡単に回復したものだ。しかし、水曜に展開されたラリーは、ひ弱だった。そして木曜、債券、金融市場の混乱が原因になって、ダウは300ポイントを超える下落になった。こんな下げ方は、まだ序の口だ。」

金融市場の混乱、という言葉をフレッケンスタイン氏は使っているが、少し説明しよう。ダイムラー社が、低迷する米クライスラーをファンド会社に売却する、というニュースが以前あった。しかし水曜の報道によれば、ファンド会社は買収に必要な資金を、調達できない可能性があるという。

ここまで、米国株式市場が好調だった原因の一つは、頻繁な大型買収だ。しかし、クライスラーのニュースが明白にしたことは、クレジット・クランチと呼ばれる信用収縮が起き始めている。ようするに、資金需要はあっても、金融機関は貸し渋っているわけだ。言い換えれば、イージー・マネーの時代は終わった。

(参考にしたサイト: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/MutualFunds/HowToSurviveACorrection.aspx

http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/ContrarianChronicles/300pointdropjustthestart.aspx

http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/Dispatch/ChryslerTroubleAreBigDalsDone.aspx

恐怖指数の利用

まだ大引けまでしばらくあるが、ダウ指数は、300ポイントを超える大きな下げだ。いったい、昨日の上げは何だったのだろう?騙された!と腹を立てる人たちの声が聞こえてくる。

今日の下げに、特に新しい材料はない。いつものように、オイル高、サブプライム融資問題、低迷する住宅市場、そして信用収縮が下げ原因として繰り返し報道されている。現に、アル・ゴールドマン氏(AGエドワーズ)は、こう語っている。「昨日と今日を比べて変わったことはありません。正確に言えば、今日ある材料は、5カ月前もありました。」

マーケットと逆に動く、ボラティリティ指数というものがある。ここまでの様子を見てみよう。

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S&P500指数 (10分足)

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ボラティリティ指数 (10分足)

一目瞭然、正反対の動きがよく分かる。一般的には、タイミングをつかむ方法として、日足チャートが利用されている。

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S&P500指数 (日足)

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ボラティリティ指数 (日足) (注: 上限下限バンドは、10日移動平均線から10%離れたところに引いてある。)

数字で示した部分に注目してほしい。ボラティリティ指数が、上限バンドから飛び出ると、その辺りでマーケットが一時的な底を作る傾向がある。今日は(3)、極めて大きく外に飛び出ているから、ここからの積極的な空売りには注意しよう。

ボラティリティ指数には、「恐怖指数」という別名がある。

(参考にしたサイト: http://www.marketwatch.com/news/story/us-stocks-hit-dow-off/story.aspx?guid=%7BBED882E6%2D8739%2D4D2B%2D9873%2D344A952281A7%7D

http://www.smartmoney.com/bn/index.cfm?story=20070726090245

 

米住宅市場、回復は2009年まで待て!

ブルマーケットは、終わりになるまで終わらない、というのが今日のマーク・ハルバート氏のタイトルだ。米国の野球ファンなら、元ヤンキースのキャッチャー、ヨギ・ベラ氏の言葉、「試合は終わるまで終わらない」、を真似たことが分かる。選手として大活躍したのは言うまでもないが、ベラ氏は、多数の迷言を残したことで有名だ。2、3紹介しよう。

「彼の前評判は、ここに来る前に聞いていたんだ。」

「野球は90%が精神で、半分は体力だ。」

「まだ、あんなことやこんなことが起きていないのに、あんなことやこんなことを言えるわけがないだろう。」

次は、迷言ではなく、著名債券ファンドマネージャー、ビル・グロース氏の明確な言葉を紹介しよう。

「最近の利回り上昇を考慮すると、株式市場が、5%から10%ほど下げてもおかしくない。」

明確な言葉なら、昨日の電話会議上での、アンジェロ・モジロ氏(Countrywide Financial)のコメントは痛烈だった。

「四半期を振り返ると、住宅価格の下落、それに住宅ローンの支払いが不可能になる人たちの数が増えている。こんな状況だから、当社は、サブプライム融資だけに限らずプライム融資の基準を引き上げるつもりだ。

現在、アメリカが経験している住宅価格の下落は、大恐慌以来のきびしいものだ。当社は、2008年の中頃までに、住宅市場が上向きになることを予想していたが、現状を考えると、2009年まで不調が続く可能性がある。」

今朝の発表によると、6月の中古住宅販売件数は、ここ4年間で最低のレベルだった。「販売数の低迷は、一部の地域に限られたものではなく、全米に見られる現象です。特に悪いのは西部です。7.3%も売上が減っています」、とワイス・リサーチのマイク・ラーソン氏は言う。

販売数は良くなかったが、データを見ると、2006年7月以来、初めて中間住宅価格が上がっている。いよいよ、住宅市場の底が近いのだろうか?ラーソン氏の説明を聞いてみよう。

「そう簡単に、思ったような値段で家が売れる環境ではありませんから、多くの人たちは市場から物件を引っ込めました。現に、6月の住宅在庫数は減っています。それに、6月と言えば、季節的に不動産業者はセールスに大きな力を入れますから、今回の中間価格0.3%の上昇は一時的なものだと思います。」

いつも希望的観測で定評がある、全米不動産業協会、ローレンス・ユン氏の見方を記しておこう。

「長期的に展望すれば、現在の住宅価格は魅力的です。しかし、投資者たちは、住宅市場が本当に安定し始めた、という証拠をもっと見たいようです。」

(参考にしたサイト: http://money.cnn.com/2007/07/25/news/economy/homesales/index.htm?postversion=2007072511

http://bigpicture.typepad.com/comments/2007/07/countrywide-hom.html

http://tarner55.exblog.jp/1886528/

 

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