US Market Recap

マスコミは逆指標

先ず、ダウ指数の3分足チャートを見てほしい。11時15分頃から崩れ始めている。いったい何が起きたのだろうか?もちろん、テクニカル的には空売りシグナルが出ているが、何故その時間を境に、売り圧力が増大したのだろう?

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問題の時間帯、株チャンネルのCNBCでは、こんな報道がされていた。「今日の下げで、S&P500などのマーケット主要指数は、7月のピークから10%の修正になった。もし、天井からの下落率が20%を超えると、米国株式市場はベアマーケット入りとなる。」まるで、ベアマーケットへの秒読みが開始されたような報道ぶりだから、さすがに投資者は動揺したようだ。

この相場の下げで、逆に上げているのは円だ。下は、ドル/円の30分足チャートだが、ドルが売られて円高に進んでいる様子がよく分かる。

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なぜ世界的な株安なのに、円が買われるのだろうか?大きな原因は円キャリー取引だ。金利の低い円で資金を調達し、高い利益を狙って米株に投資されていたが、こんな状態では儲けどころか損が出てしまう。とにかく、今は株を処分して日本へ資金を返そう、ということになる。もちろん、ドルを円に替える必要があるから、とうぜん円買いが起きるわけだ。

ご存知のように、一時的な天井や底付近で、マスコミは大々的な報道をする。今日の騒ぎ方を見ていると、そろそろ反発ラリーがありそうな気がする。大引けまで、まだ1時間15分ほど残っているが、下はダウ指数の日足チャートだ。

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もちろん、本当に一転反発になったとしても、それはダウントレンドにおける上げだから、良い空売りのチャンスになりそうだ。

(参考にしたサイト: http://www.cnbc.com/id/20287134

http://markets.nikkei.co.jp/kawase/summary.cfm?id=d3l1606916&date=20070816

トレードの十戒

ヘッジファンド・マネージャーが神経質になっている。第3四半期の、解約申込みの締め切りが迫り、ひょっとすると予想以上の投資者が逃げてしまうかもしれない。今月だけでも、ゴールドマン・サックス、ルネッサンス・キャピタル、それにAQRファンドの膨大な損が報道されているだけに、ヘッジファンド離れが起きても当然だ、という声も聞こえてくる。

なぜ、プロであるはずの、ヘッジファンドマネージャーが大損を出すのだろうか?これは他の機会に書くとして、今日はトッド・ハリソン氏が語る、「トレードの十戒」を紹介しよう。

1、値動きに注意を払え。しかし、盲目的に従ってはいけない。

リアルタイムで見ていると、チカチカする明かりのように、株価が動くものだ。そんな動きに一々反応していたら、トレードで利益を上げることはできない。雑音に騙されてはダメだ。

2、自分はマーケットより賢いなどと思ってはいけない。

どんなに自信があるトレードでも、常に危険が伴うことを忘れるな。

3、毎日トレードする必要はない。

勝率の高いパターンだけを狙え。

4、感情はトレードの敵だ。

持ち株に惚れ込んでしまったのでは、いざという時に投げることができない。

5、皆があっちへ行くなら、こっちへ行け。

羊の群れに立ち向かう勇気を持て。

6、マーケットに合わせてトレードスタイルを調整しろ。

先ず、自分のトレード方法は、どんな状況で最も有効かを知ることだ。

7、リスク/リワード比が優れたトレードだけ実行しろ。

全てのトレードチャンスに手を出してはいけない。

8、投資心理を正しく読み取れ。

真実が株を動かすのではない。株価を動かすのは大衆心理だ。

9、自信が無い時は株数を減らせ。

もちろん、そんな時はペーパートレードをするのも一案だ。

10、トレードを投資にするな。

もし、あなたがデイトレーダーなら、オーバーナイトのポジションを持つことはありえない。損が出ているからといって、決してポジションを翌日まで持つようなことがあってはならない。

(参考にしたサイト: http://www.marketwatch.com/news/story/recent-losses-hedge-fund-industry/story.aspx?guid=%7B84C04FFD%2D1C25%2D4A6A%2D846C%2D1585042546A3%7D

http://www.minyanville.com/articles/commandments-trading-risk-discipline-investments/index/a/13711

投資判断に役立つ10項目

不安定な相場が続いている。こんな時ほど適切なアドバイスが重要になるのだが、投資は自己判断、と言われているように、最終的な決定は自分で下すことになる。そこで今日は、正しい判断の仕方について考えてみよう。

1、アドバイザーの言うことを、簡単に鵜呑みしてはいけない。不明な点、分からないことは積極的に質問しよう。(もちろん、直接本人に質問できないこともある。そんな時は、知人に聞くことで、次の段階へと話が進んで行くものだ。)

2、肩書きを必要以上に重要視してはいけない。メリルリンチ・チーフ・エコノミスト、という肩書きは、たしかに権威がある。しかし、相手の意見を100%直ぐに信じてしまうのではなく、自分の経験と照らし合わせてみよう。

たとえば、最近多くのアドバイザーは、「こんな弱い相場の時ほど買いチャンスだ」と言う。本当だろうか?あなたの投資経験は、この言葉を肯定しているだろうか?もし、弱い相場は絶好の売りチャンスだ、とあなたの投資経験が教えているなら、早速その点をアドバイザーに質問してみよう。

3、相手に隠された動機はないだろうか?少しひねくれた考え方かもしれないが、なぜこうも親切にアドバイスしてくれるのか、と疑ってみることだ。ひょっとしたら相手は、あなたに特定の銘柄やミューチュアルファンドを買ってもらいたいだけかもしれない。

4、アドバイザーを信じ過ぎるのもよくないが、大衆の後を追うのはもっと悪い。

5、自分のカンを頼ることも大切だ。理屈では、相手の言っていることは分かる。しかし、何となくシックリこない、ということがある。ぼんやりとした不安感だけかもしれないが、この感情を完全に無視してはいけない。とにかく、腑に落ちない時は急いで結論を出す必要はない。

6、相手がどんなに熱弁でも、あなたは感情的になってはいけない。常に冷静な態度を保とう。

7、相手からの返答だけで満足してはいけない。あなたも、自分で情報を収集して、相手の正確さを検討しよう。

8、正反対の意見も聞いてみよう。そうすることで、自分の誤りや偏見に気がつく。

9、相手が、なぜそのような結論に達したのかを探ってみるのも重要だ。結論だけを聞くと、何とバカなことを言う人だろう、と思うことがある。しかし、その結論に行き着くには、あなたが思っている以上の紆余曲折があったはずだ。

10、相手に反対意見をぶつけてみよう。相手からの返答には、貴重な情報が含まれていることが多い。

(参考にしたサイト: http://shrigley.blogspot.com/2007/08/10-ways-to-think-for-yourself-revisited.html

大投資家バフェット氏に乗る方法

バーナンキ連銀議長は、直ぐに金利を引き下げるべきだ。そうしないと、深刻化するサブプライム融資問題、クレジットクランチ(信用収縮)が原因になって、株式市場は暴落してしまう、という声が聞かれるようになった。そこで今日は、暴落に備えた投資を考えてみたい。

最高の買いチャンスは、ウォール街が血に染まった時にやって来る、という諺がある。言うのはラクだが、なかなか実行できる投資方法ではない。今年の春を思い出してほしい。中国株の大幅下落が原因になって、世界的な株安が起きた時、投資者は買うどころか、正に狼狽売りという状態だった。

だれでも、株には暴落の可能性があることは、頭では分かっている。しかし、実際に春のような急落に襲われると、怖さに負けて持ち株を投げてしまう。うまい対策はないものだろうか?

今日、株投資の主流はミューチュアルファンドだ。個別銘柄を自分で買う投資者は減り、資金をミューチュアルファンドに渡して、運用してもらう人が圧倒的に多くなった。ここで重要になるのがファンドマネージャーだ。暴落で動揺するのは、一般個人投資家だけではない。ファンドマネージャーも同じだ。

言うまでもなく、プロであるはずのファンドマネージャーが、大衆といっしょに狼狽売りでは話にならない。大切なのは、投資をする前に、暴落に備えができているミューチュアルファンドを選ぶことだ。では、どうやってそんなファンドマネージャーを見つけたらよいのだろうか?ブレット・アレンズ氏(ストリート・ドット・コム)は、こんな提案をしている。

「個別銘柄だが、大投資家ウォーレン・バフェット氏が経営する、バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)に投資する、という手がある。既に70才を超え高齢に達している氏だが、投資、経営手腕に衰えは見られない。あまりにも保守的だ、とバフェット氏を非難する人たちもいるが、割安株投資にかけては、おそらく氏の右に出る者はいないだろう。

大衆がパニックに陥り、持ち株を手放している時、バフェット氏なら、間違いなく冷静に割安となった株を拾うことができる。現に、2000年から2002年の下げ相場で、バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)は30%の上昇だ。」

ミューチュアルファンドなら、アレンズ氏は、下の3つが良いと言う。

・CGM Focus (CGMFX)

・Quaker Strategic Growth (QUAGX)

Third Avenue Value (TAVFX)

(参考にしたサイト: http://www.usatoday.com/money/economy/2007-08-12-crunch-fed_N.htm

http://www.thestreet.com/s/five-funds-to-buy-in-a-market-crash/funds/mutualfundmonday/10373783.html

少し違った格上げの利用方法

先週のマーケットを一言で表現するなら、「高ボラティリティ」という言葉がピッタリだ。現に、ニュースレターの中で、ボー・ヨーダー氏は、こう語っている。「今まで、何万何千というチャートを見てきたが、最近はどう考えても理解できないパターンが目につくようになった。おそらくこれは、株式市場でコンピュータ同士の競い合いが、いっそう激しくなったためではないだろうか。」

ここで思い出すのが、コンピュータを使って、自動的に株の売買をさせるクアントファンドに関する、ブルームバーグからの報道だ。

ジェームズ・シモンズ氏が指揮するクアントファンド、レナザンス・インスティチューショナル・エクイティーズ・ファンドは、8月だけで既に8.7%の損が出ている。他のヘッジファンドによる執拗な売りで、最近のマーケットは大荒れだ。シモンズ氏のファンドには、極端なボラティリティに対するプログラムが無いから、正にコンピュータが短絡状態に陥ってしまったわけだ。

ということで、大きく叩かれた株が多いだけに、安値を更新した株に注目してみるのも一案だ、とジェームズ・アルトチャー氏は言う。どんな銘柄が、割安株を狙うファンドに買われるだろうか?早速いくつか見てみよう。

・Wyeth (WYE):  Alpine Dynamic Dividendファンド、T. Rowe Price Health Sciences ファンド、それにKinetics MedicalファンドがWYEを買っている。

・Thornburg Mortgage (TMA): WisdomTree MidCap Dividend ファンドがTMAを買っている。

・Marchex (MCHX): RS Internet Age AファンドがMCHXを買っている。

・ViroPharma (VPHM): Stratton Small-Cap ValueファンドがVPHMを買っている。

週末、人気番組「マッドマネー」で、ジム・クレーマー氏が語ったことを付け加えておこう。

「株が格上げされると、寄付きからいきなり跳ね上がるものだ。しかし、マーケットの地合が悪い日の格上げは、株価に大きな影響が無いだけでなく、逆にマーケットと一緒に下げてしまうことがある。そんな株は注目だ。下げが数日続くこともあるが、反発を見せたところで買うと面白い。」

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クレーマー氏

(参考にしたサイト: http://www.cnbc.com/id/15838459

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=a9eFwgjvcC8Q&refer=home

http://www.thestreet.com/s/weekend-blog-watch/newsanalysis/blogwatch/10373613.html?puc=_tscrss

自分に給料を払え?

次の買いチャンスに備えて、資金をマネーマケットファンドや定期預金に移す人たちが多い。bankrate.comによると、7月10日現在、6カ月定期預金の全米平均は4.51%、そしてマネーマケットファンドは3.98%だ。しかし、こんな声も聞こえてくる。「資金を貯めたいのだが、なかなか節約できない。何かうまい方法はないだろうか?」さっそく解決策を見てみよう。

1、自分に給料を払う。

10%、5%、とパーセンテージを決めて、月給の一部を給料として自分自身に払おう。もちろん使ってしまうのではなく、金はマネーマーケットに入れてほしい。地味なやり方だが、増え方の速さにきっと驚くことになるだろう。

2、タバコをやめる。

塵も積もれば山となる。年間通算すれば馬鹿にならない金額だ。少なくとも、1週間で20ドル(2360円)は節約できるだろう。

3、昼食は外食しないで弁当を持参する。

外で食べれば、だいたい7ドルから20ドルかかってしまうものだ。手作り弁当持参なら、もちろんタダではないが、せいぜい高くても2、3ドルあれば十分だろう。平均すれば、週に36ドル(4248円)ほど節約できるはずだ。

4、運転をしない。

ガソリンが高くなった。通勤に車を使っているなら、電車やバスの利用を考えてみよう。週末のドライブは楽しいが、週末の自転車も、健康的で悪くない趣味だ。

5、電話は要らない。

携帯電話の時代だ。自宅の有線電話は必要ない。

6、ガラクタも金になる。

物置がガラクタで山積みになっていないだろうか。そうなら、インターネットのオークションサイトを利用してみることだ。意外な収入になるかもしれない。

7、自宅で飲め。

毎晩バーに通っていたのでは金がいくらあっても足りない。

8、節電。

出かける前に必ず電気を消そう。特にエアコンはやたらと電気を食うから忘れずに。

(参考にしたサイト: http://www.bankrate.com/

http://cashbulge.com/2007/08/09/15-creative-simple-ways-to-save-at-least-100-a-week/

レイジー・ポートフォリオ その2

不安定なマーケットが続いている。こんな時は現金が一番、と株を諦めてしまった人たちもいるが、クレディ・スイスのパテル氏は、こう語っている。「過去12年間、今日のような金融市場問題が原因になって、株式市場が叩かれたことが7回あった。しかし、そのような状況でも、条件が揃っていた株は回復が早いだけでなく、他銘柄の成績を大きく上回った。」

それでは、どんな株が条件が揃っているのだろうか?パテル氏の挙げる銘柄の中から二つ見てみよう。

・Best Buy(BBY)

ここ12カ月間の、営業活動によるキャッシュフローは20億ドル。そして、Best Buyは28億ドルにおよぶ現金を保有し、借金も比較的少ない。最近株価の方は低迷しているが、最高経営責任者のロバート・ウィレット氏は、49万6000ドルに相当する株を買っている。更に、ライバルのCircuit City(CC)は現在リストラ中だから、これもBest Buyに好材料だ。

・Johnson Controls(JCI)

これも、Best Buyと同様に、営業活動によるキャッシュフローが優れている。7月の終わり頃、会社役員が240万ドルに相当する株を買っている。

さて、もっとレイジー・ポートフォリオの例が欲しい、というメールをいただいたので、上場投信を使った例を紹介しよう。

上場投信名 投資比率  投資成績(1年) % 投資成績(3年)% 投資成績(5年)%
iShares S&P 500 Index  (IVV) 10% 16.04 11.67 11.71
iShares S&P 500 Value Index  (IVE) 10% 15.63 14.11 14.33
iShares S&P SmallCap 600 Index  (IJR) 10% 13.91 14.45 16.50
iShares S&P SmallCap 600 Value Index (IJS) 10% 12.75 14.23 16.04
iShares Dow Jones US Real Estate (IYR) 10% -0.13 16.45 16.70
iShares MSCI EAFE Index (EFA) 10% 23.76 22.72 19.62
上記株関連上場投信の結果 60% 13.66 15.61 15.82
iShares Lehman 7-10 Year Treasury (国債投信) 40% 6.06 3.62 4.08
総合結果 100% 10.62 10.81 11.12

(参考にしたサイト: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/CompanyFocus/ReliableStocksForUnreliableTimes.aspx

http://www.marketwatch.com/news/story/five-lazy-portfolio-strategies-market/story.aspx?guid=%7BD729D6CE%2D80A0%2D4B26%2DA381%2D1CC7847F7806%7D

悲観的なアメリカ人

三分の二以上のアメリカ人は、米国経済は既に不況に陥っている、または来年中に不況に襲われる、とNBCニュースのアンケートに答えている。低失業率、おだやかな経済成長が続くアメリカなのに、どうしてこうも消費者は悲観的なのだろうか?

最近のニュースを見ていたら、将来が不安になっても当然だ。ヤフー・ファイナンスに掲載された、ベン・スタイン氏のコラムを参考に、話を進めていこう。

・住宅市場の低迷が毎日のように報道されている。先ず、理解しなければいけないのは、住宅市場が米国経済を占める割合は約5%だ。住宅市場が15%下落すれば、米経済は0.75%の被害を受けることになる。もちろん、無視できる数字ではないが、これだけではアメリカを不況に陥れることはできない。

・サブプライム融資問題は報道されているほど悪くない。住宅ローンの20%がサブプライム融資により、その中の20%が月々の支払いに遅れている。言い換えれば、全住宅ローンで問題があるのは4%だけだ。たとえ支払いが遅れていても、実際に家を差し押さえられてしまうのは、0.5%から2%にすぎない。住宅ローン会社は、既に手数料などで十分儲けているから、家の差し押さえが原因で大打撃を受けることはない。

理解できないのは、アメリカのサブプライム融資が原因となって、メキシコやタイの株式市場が下げた、という報道だ。断言できるが、米国のサブプライムと外国の株式市場を結びつけるものは何もない。明らかに、投機筋が作り上げたパニックとしか思えない。

・クレジット・クランチ(金融収縮、信用収縮)が資金の調達を困難にし、企業買収が減る、と頻繁に報道されている。現在のアメリカは、本当に深刻なクレジット・クランチを経験しているのだろうか?答えは「ノー」だ。もし、マスコミの言うことが正しいなら、ジャンクボンド(低格付け債権)の利回りは急騰していなければならない。たしかに、以前のように簡単に資金を手に入れることはできないが、歴史的に見れば、今日の金利は割安レベルだ。

さて、話を元に戻そう。悲観的な将来を予想するアメリカ人は、いったい何を心配しているのだろうか?下記が回答だ。

値上がりする医療費  44%

海外にアウトソースされる職業  34%

(参考にしたサイト: http://online.wsj.com/public/article/SB118600572789185278-RHmHF899fu_5pW79uXCTdJ6ZykI_20080804.html?mod=tff_main_tff_top

http://finance.yahoo.com/expert/article/yourlife/41148

レイジー・ポートフォリオのススメ

怠惰な投資家になりなさい、とアドバイスされたら、皆さんはそれに素直に従うことができるだろうか?まだ少数派だが、アメリカには、レイジー・ポートフォリオを支持する人たちが増えている。先ず、背景を少し説明しよう。

デービッド・スウェンセンという、エール大学の資金を運用する、有名なファンド・マネージャーがいる。氏の話によれば、現在のアメリカには二種類のミューチュアルファンドがある。ファンド・マネージャーが積極的に資金を運用するファンド、そしてその逆に、ほとんどマネージャーが関与することの無いファンドだ。前者は、アクティブリー・マネージド・ファンド、そして後者は、レイジー・ポートフォリオという名前で呼ばれている。

比率で見ると、ミューチュアルファンドの92%はアクティブリー・マネージド・ファンドに属し、残りの8%がレイジー・ポートフォリオ型だ。問題は、「アクティブリー・マネージド・ファンドに投資してはいけません」、とスウェンセン氏が断言していることだ。ファンド・マネージャーが一生懸命やればやるほど、ファンドの成績は悪くなる傾向がある。それよりも、あらかじめ決定したポートフォリオに従って、機械的に投資するレイジー・ポートフォリオの方が優秀な成績だ。

それでは、レイジー・ポートフォリオを一つ紹介しよう。

株の季節性を研究したクリス・タイラー氏(オプショネティックス)によれば、私たちは、間違いなく季節性を利用することで、平均以上の利益を上げることができる。個別銘柄を買ってもよいが、これだと、アナリストによる格下げなどあったら大変なことになる。そこで、タイラー氏が勧めるのは、セクター・ファンドに投資することだ。

季節性には3つの段階がある。

第1段階: テクノロジー・セクター(半導体、インターネット、ソフトウェア、テレコミュニケーションなどの銘柄が含まれる)

利用するファンド

Fidelity Select Technology (FSPTX)

投資方法

11月、12月、1月の3カ月間だけ投資する。

第2段階: エネルギー・セクター(オイル関連銘柄が含まれる)

利用するファンド

Fidelity Select Energy (FSENX)

投資方法

2月、3月、4月、5月の4カ月間だけ投資する。

第3段階: 金属セクター(金鉱株)

利用するファンド

Fidelity Select Gold (FSAGX)

投資方法

9月だけ投資する。

表にするとこうなる。

利用するファンド
1月 テクノロジー
2月 エネルギー
3月 エネルギー
4月 エネルギー
5月 エネルギー
6月 現金
7月 現金
8月 現金
9月 金属
10月 現金
11月 テクノロジー
12月 テクノロジー


1000ドルの資金で、1989年12月31日にこのやり方で投資を開始したとしよう。2007年3月30日の時点で、資金は6万9133ドルに膨れ上がっている。同期間、S&P500指数に投資したとすると、資金は4072ドルに増えただけだ。

(参考にしたサイト: http://www.optionetics.com/

どんな大型株が狙えるのか?

押せ押せムードの好景気なら、何と言っても、小型成長株が儲かる。しかし、今日のように低迷する住宅市場、サブプライム融資問題、それにクレジット・クランチ(信用収縮)となると、投資者の目は実績のある大型株に向く。相変わらず、不安定な株式市場が続いているが、嵐の去った後は、どんな大型株を狙ったら良いだろうか?さっそく、ドナルド・ゴールド氏(Investor's Business Daily)の意見を聞いてみよう。

大手ディスカウント店、コストコ・ホールセールがつぶれる心配は無い。しかし、今日のコストコ・ホールセールには、事業を開始した頃のような、急激な売上成長は無い。安定を求めて、大型株に資金を移す人もいるが、投資をするなら、やはり大型成長株を選びたい。

大型成長株を選ぶには、次の項目に注意を払うことが必要だ。

・株価成長率、それに一株利益成長率は、トップ30%に属すること。

・ミューチュアルファンドや機関投資家によって、株が買い集められていること。

・最近発表された一株利益は、前年度同時期より20%以上優れていること。

・過去3年間の一株利益は、年平均で20%以上の伸びがあること。

・最近四半期の売上は、去年の同時期を、少なくとも20%上回っていること。

・過去三年間の売上は、年平均で20%以上の成長があること。

・時価総額は200億ドル以上あること。

・株価は15ドル以上であること。

・一日の出来高は10万株以上あること。

・現在の株価は、52週間の高値から、20%以上下げていないこと。

以上の条件にあてはまる10銘柄が下記だ。

・Apple (AAPL) 総得点 99 (総得点が99なら、その銘柄はトップ1%に属し、90ならトップ10%に属す。)

・BG Group (BRG) 総得点 96

・ Celgene (CELG) 総得点 94

・ China Mobile (CHL) 総得点 98

・ Freeport-McMoRan Copper & Gold (FCX) 総得点 99

・Google (GOOG)  総得点 94

・ Mobile TeleSystems (MBT)  総得点 98

・ National Oilwell Varco (NOV) 総得点 99

・ Oracle (ORCL) 総得点 95

・ Southern Copper (PCU) 総得点 99

あとは、チャートを見て買いのタイミングをつかもう。

(参考にしたサイト: http://biz.yahoo.com/special/ibd080607_article1.html) 

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