先日少し触れたが、米国大企業の最高経営責任者の年収は、一般社員の364倍に相当する。言い方を換えれば、最高経営責任者は一日で、一般社員の364日分の収入を手に入れるわけだ。さて、これは不公平だろうか?マイケル・ブラッシュ氏(経済コラムニスト)は、こんなことを指摘している。
・2006年、全米上位500社の最高経営責任者は、平均すると1080万ドル(約12億4200万円)の年収があった。同年、社員の平均年収は2万9544ドル(約339万7500円)だった。
・7月24日、連邦政府は最低賃金を改定して、時給を5ドル15セント(約592円)から5ドル85セント(約673円)に引き上げた。しかし、インフレを考慮すると、新最低賃金は10年前より低い。同様に、インフレを考慮して、現在と10年前の最高経営責任者の年俸を比べると45%増だ。
・最高経営責任者の、年俸ばかりに目が行ってしまうが、年金も破格だ。全米上位500社の最高経営責任者が退職すると、平均で1010万ドル(約11億6150万円)の年金が手に入る。2004年の統計によれば、世帯主が65才以上の年金口座の平均残高は、17万3552ドル(約1996万円)だ。(注: 年金口座を持つ世帯数は36%にすぎない。)
・たしかに、膨大な給料が最高経営責任者に払われているが、これは彼らの能力に対して支払われる、当然な報酬だ、と言う人たちがいる。しかし、ヨーロッパの最高経営責任者たちの年俸は、米国の三分の一だ。そんなに、アメリカの最高経営者の手腕は優れているのだろうか?
・米国の最高経営責任者たちの年俸は、役員会議で決定されるが、問題は役員と最高経営責任者は友人同士の和気あいあいとした関係にある。本来なら、年俸は実績を重視して決定されるべきものだが、現状ではそれは不可能だ。
・年俸の不当な差を埋めようと、既に議員たちが動き始めている。カリフォルニア州選出、民主党のバーバラ・リー氏は、最高経営責任者の年俸は、社内で最低の年俸を得ている人の25倍までを最高とするべきだ、と提唱している。(モルガン財閥の創始者、John Pierpont Morganは、20対1が正当な比率と述べている。)
さて、給料の貰い過ぎ最高経営責任者として、ポール・ホッジソン氏(Corporate Library社)は、Dellのケビン・ロリンズ氏を挙げている。2006年、何とロリンズ氏の年俸は176億円だ。1カ月で14億6000万円、1時間なら。。。。。
(参考にしたサイト: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/CompanyFocus/IsACEOWorth364TimesAnAverageJoe.aspx?page=1
http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/CompanyFocus/TheMostOverpaidCEOsInAmerica.aspx)
肥満の国アメリカ。比喩ではなく、とにかく太った人が多い。それでは、さっそく質問しよう。アメリカで、もっとも肥満人口が多いのは、どの州だろうか?A、ミシシッピ州 B、コロラド州 C、アリゾナ州
さて、9月のマーケットが始まった。何を買おうか、と投資者たちは情報収集に忙しいが、歴史的に見ると、9月は冷たい月だ。1950年から現在までを振り返ると、ダウ指数は平均で1.0%の下げ、そしてS&P500指数は0.7%の下げになり、9月は1年で最も成績が悪い月だ。
子どもが親を頼りにするように、大人は困った時、その道の専門家にアドバイスを求める。現在の難問は、何と言ってもサブプライムと信用収縮だが、エキスパートたちはどんなコメントをしているだろうか?いくつか見てみよう。
・深刻なサブプライム問題だが、状況は更に悪くなることだろう。住宅市場は暴落となり、建築業界は、とうぜん大打撃を受ける。住宅価格の下落は、個人消費の冷え込みを引き起こし、米国経済は不況に陥ることだろう。 エリック・スプロット氏(スプロット・アセット・マネージメント)
・金融収縮で明らかになったことは、現金が王様ということだ。こんな状況だから、金(ゴールド)は皇帝に格上げされたも同然だ。 エイドリアン・アッシュ氏(ブリオン・ボールト)
・連銀は、ベアスターンズやヘッジファンドを助けるためにつくられた機関ではない。連銀の使命は、米ドルの安定と価値を継続させることだ。 ジム・ロジャーズ氏(ロジャーズ・コモディティ・ファンド)
・2000年のブルマーケットの天井で、多くの人たちが株を買って大損をした。だからと言って、連銀や政府は、その人たちを助けただろうか?今日の状態を見てほしい。バカな投資をして、膨大な損を出した金融機関を助けるために、連銀や大統領が乗り出している。詐欺で損をしたなら、その業者を罰する必要がある。しかし、くり返すが、ファンドが損を出した原因は間違った判断をしたためだ。愚かな誤りを犯しただけなのだから、政府は、そんな機関を助ける必要など全くない。 ギャリー・カルトバウム氏(投資アドバイザー)
・金融機関が、全く破綻しない社会があるとすれば、それは金持ちだけを優遇する社会主義だ。 ジェームズ・グラント氏(グラント・インタレスト・レート・オブザーバー)
・グリーンスパン氏が、いまだに連銀議長なら、短期金利は既に引き下げられていることだろう。明らかに、今日の連銀には姿勢の違いが見られる。 ポール・カスリエル氏(ノーザン・トラスト)
注:先日引き下げられたのは公定歩合であり、一般的に言われる短期金利(フェデラルファンズ)ではない。
・サブプライム問題は、アメリカのGDPを減速させることだろう。とうぜんドル安になるから、金投資が注目されるはずだ。 ピーター・リチャードソン氏(クレイトン・キャピタル)
(参考にしたサイト: http://www.tradingmarkets.com/.site/stocks/commentary/gkitermi/-69001.cfm
http://news.goldseek.com/GoldSeek/1188318791.php)
月曜は労働者の日、アメリカは連休だ。労働と聞くと、つるはしやシャベルを持って一生懸命に働く、というイメージがある。オフィス勤めの人も、たしかに労働者だが、何か表現が間違っているような気がする。ということで、今日は、アメリカ人の職業観を探ってみよう。
・私は56才で退職しました。今は週に3、4回ゴルフをして、人生を楽しんでいます。引退の年齢になっても、働き続けている人たちの気持ちが分かりません。一生懸命に働いても、儲かるのは会社側です。 (NY123さん)
・1954年以来、私は看板を作り続けています。仕事を辞めたいのは山々ですが、経済的な理由で、そうするわけにもいきません。今年で67才になりますが、まだ住宅ローンも残っています。父は自分で商売をしていました。81才で亡くなるまで働き続けました。私も、父と同じ道を歩むことになりそうです。 (oldbiker1さん)
・病院で薬剤師をしています。仕事が本当に好きですから、退職する気は全くありません。 (gskiさん 55才)
・会社の401K(企業年金制度)がありますが、このペースで行くと、80才まで働かないと退職できません。65才で辞めるのは、経済的に無理です。 (Allen Andrewsさん)
・私の父親は72才です。2度の心臓発作も経験しています。経済的に何の問題もありませんが、今でも父は、毎日働いています。働くことは父の喜びです。私も、父のような人生を送りたいと思っています。 (KyRktectさん)
・仕事を辞めるつもりはありません。働けなくなるまで働きます。毎日、家の中にいることなど考えることもできません。それに働いていれば、四六時中妻の顔を見る必要もありません。 (Hempyさん)
・金があればいつでも退職します。しかし、今はポケットの中身はゼロです。このままで行くと、66才になるまで働くことになるでしょう。 (rickitik さん)
・毎週、真剣に宝くじに投資しています。何せ、会社側の退職金制度はあてになりませんから。 (snickerdoodleさん)
・企業は、退職した人たちを安い時給で雇って、コストを削減する方向に進むのではないでしょうか。退職者は既に経験がありますから、仕事を一から教える必要がありません。 (Hopped Up Harryさん)
・IBMで働いています。あと7年で子どもの学校が終わりますから、その時辞めるつもりです。あくせく働いて、会社ばかりを儲けさせるのは、もうコリゴリです。 (mikimさん)
・私たちは、働くことが当たり前になってしまい、仕事以外の目的が無いのではないでしょうか? (mingo3232さん)
(グラント・ホルダウエイさん 76才: 写真 USA TODAY)
(参考にしたサイト: http://www.usatoday.com/money/workplace/2007-08-30-not-retired_N.htm)
ギャップ・プレイと言えば、馬渕氏(デイトレードネットCEO)の得意技だ。株の一方的な勢いを示すのがギャップだから、時間の限られたデイトレードでは、必然的にギャップアップ/ギャップダウン銘柄が狙われることになる。と書いてしまうと、ギャップはデイトレードだけに使える、と聞こえてしまうが、アメリカにはギャップ・インベスターという投資者たちが存在する。
ザックスという、有名な株のリサーチ会社がある。そこで、ザックス社によって最高の格付けをされた株だけに投資する、と決めたとしよう。買うタイミングは、株がギャップアップした寄付き。そして、売るのは22日後の大引けだ。
さて、このやり方で2001年の12月31日から、2007年の1月まで投資すると、年間平均で51%の利益があった。その間、マーケット(S&P500指数)は+4.31%だった。(念のために記しておくが、ザックスの購読を勧めているわけではない。)
多くの人たちは、安く買って高く売れ、というJ.P.モルガンの言葉を信じている。しかし、肝心な部分が抜けている。説明しよう。
靴磨きの男が、モルガンにこう質問する。「株で儲ける秘訣を教えて貰えませんか?」
「株で儲ける秘訣?手っ取り早く言えば、安く買って高く売ることだ。もし20年の時間があるなら、いつ株が安くて高いかを教えてあげよう。」
要点は、前半よりも後半ではないだろうか。モルガンの言うように、株の割安割高は、そう簡単に判断できるものではない。もし割安の定義が、大きく売り叩かれた株というものなら、投資者は毎日52週間の安値を更新した株を買えばよいことになる。スティーブン・ラウルズ氏(ザックス社)は、こう語っている。
「52週間の安値更新銘柄、そして52週間の高値更新銘柄に、90日間投資したらどうなるかをバックテストしてみました。安値更新銘柄の結果は、年利に換算すると+8.3%でした。高値更新の方は+22.73%ですから、安く買って高く売れではなく、高く買って更に高いところで売れが正解です。」
J.Pモルガン
(参考にしたサイト: http://www.zacks.com/blog/comments.php?cid=8880)