火曜の連邦公開市場委員会で、0.5ポイントは無理でも、0.25ポイントの金利引下げが実施される、と予想するアナリストが圧倒的に多い。まるで100%利下げを確信したように、現在マーケットは0.7%ほど上げているが、シャーク・アセット・マネージメントの、ジェームズ・デポーレ氏はこう語っている。
「感謝祭後から、利下げを見込んで、マーケットの上昇が続いている。もし、予想以上に0.5ポイントの金利引下げを期待している人が多い場合は、0.25ポイントの利下げだと失望売りといった事態が起きることだろう。」
ミラー・タバックの債券アナリスト、トニー・クレシェンジ氏は、こんなことを指摘している。
先週の月曜と同様に、連銀は、今日も50億ドル分の国債を放出した。違った言い方をすれば、連銀は金融機関に国債を買わせたわけだ。しかし、ただでさえ出費の増えるこの時期に、連銀はなぜ金融機関から現金を吸い上げる必要があるのだろうか?
分かりきったことだが、クリスマスが迫り、消費者にはギフト用の現金が要る。更に、特に今年は投資ポートフォリオの調整のために、どこの金融機関も例年以上に資金が必要だ。普通なら、連銀は12月に銀行から国債を買って、十分な現金を銀行に与えるものだ。しかし、今年は正反対なことが起きている。
たしかに、おかしな連銀の動きだが、クレシェンジ氏はこう結論している。
この時期に、こんなことをする連銀には、大きな計画があると思われる。たとえ、国債を放出して金融機関から現金を吸い上げても、それ以上の金額の現金を金融機関に与える方法だ。それは何か?ご察しのとおり、金利引下げでそれを実現することができる。
クレシェンジ氏は、二つの金利引下げのシナリオを予想している。
1、フェデラル・ファンド金利を0.5ポイント引き下げ、同時に公定歩合を0.75ポイント引き下げる。
2、0.25ポイントのフェデラル・ファンド利下げと、0.5ポイントの公定歩合の引き下げ。
「2番目の方法が実施されるなら、引き下げ幅が不十分、という反論が出て来ることでしょうから、とうぜん1月の利下げも期待されてしまいます。ですから、驚きの要素も含めて、連銀は積極的な姿勢を示すことが大切です」、とクレシェンジ氏は付け加えている。
(参考にしたサイト: http://www.thestreet.com/p/)
最近トレードがうまく行かない、とブレット・スティンバーガー氏のもとに、相談に来る人たちが増えている。それも、トレードを始めてまだ6カ月といったルーキーではなく、数年以上の経験を持つベテラントレーダーたちだ。何故、こんなことが起きているのだろうか?スティンバーガー氏の話を聞いてみよう。
似た状況を設定してみよう。あなたは、いたって健康だった。いつもエネルギーに溢れ、滅多に疲れを感じることはなかった。しかし、今のあなたは違う。爽快感が全く無く、体がいつもだるい。どうしたら良いだろうか?言うまでもなく、そんな時は医者に診てもらうことだ。やる気を出させる言葉を何度も読んで、頑張ろうとする人もいるが、問題は全て心理的なものとは限らない。同様に、経験のあるトレーダーがスランプに陥るのも、心理的要素だけが原因になっているわけではない。
スティンバーガー氏は、ベテラントレーダーがリズムを崩す、三つの要因を指摘している。
1、好トレード機会の減少
あなたは、ある銘柄だけを専門にトレードしているとしよう。以前と比較してみて、一日の値幅に変化はないだろうか?三カ月前までは、一日平均で7ポイント動いていたのに、この頃は4ポイントに減っていないだろうか。このように、ボラティリティの変動は、トレード結果に大きな影響を及ぼす。
2、変化した値動き
短期的な値動きパターンと、出来高を併用したトレードがうまく行かなくなった、と言う人がいる。ようするに、今までに見られなかったパターンが顕著になっているのだが、これはオートマチック・トレードが原因になっていることが多い。人間の手を通さない、100%コンピュータによる売買が、新しいパターンを作り上げている。
3、マーケットの相互関係
以前から言われるように、先物指数に個別銘柄は左右されるだけでなく、新金融商品が増え、マーケットの相互関係がよりいっそう複雑になった。たとえば、ヘッジファンドは上場投信を空売ることが多くなり、そのためその投信に属する銘柄が、一斉に下げるといったことが起きている。
では、どう対処したら良いのだろうか?強調したいのは、さっさと諦めてトレードは全てロボットに任せろ、などとスティンバーガー氏は言っていない。先ず、自分と同様なスタイルのトレーダーの話を聞いてみること。彼らも、あなたのように最近不調なら、間違いなくマーケット自身が変化している。しかし、彼らが今日も好調なら、あなた自身に問題がある。
たとえマーケットが変わっている状態でも、あなたは100戦100敗ではないはずだ。必ず、利益が出ているトレードがあるはずだ。その、うまく行っているトレードを徹底的に研究してほしい、とスティンバーガー氏はアドバイスしている。間違いだけに目を向けるのではなく、あなたの強みに焦点を当ててみよう。
日本では、「精神科医が見た投資心理学」というタイトルで、スティンバーガー氏の本が販売されている。
(参考にしたサイト: http://traderfeed.blogspot.com/2007/12/when-trading-performance-falls-off.html)
今年も、ウォール街にサンタクロースが訪れるだろうか?ストック・トレーダーズ・アルマナックに、こんな統計がある。1969年以来、12月最後の5日間と1月最初の2日間で、マーケットは平均で1.6%の伸びがあり、逆にこの数日間が下げになると、マーケットは下げ基調に転ずる傾向がある。
更に、今月がそうであるように、大統領選挙前年の12月は、過去14年間を振り返ると、下げたことはたった2回しかない。はたして、今年も強い12月になるだろうか?そこで今日は、MSNマネーの掲示板に書き込まれた、個人投資家たちの意見を見てみよう。
・色々な見方が発表されていますが、私は慎重な楽観視、といった姿勢です。エンロン社が倒産する寸前まで、アナリストたちは買い推奨を発表していました。故ルイス・ルーカイザー氏が言っていたように、当たる確率が半分以下でも、アナリストはプロと呼ばれています。ようするに、私たちの予想と、アナリストの予想には大した違いはないのです。 Duca Contadinoさん
・明るい見方も報道されていますが、私は、米国が近い将来、不景気に陥る可能性があると思います。増え続ける財政赤字、それにサブプライム問題で明らかになった非道徳的な企業などを考えると、ばら色な将来は見えてきません。 GLENMBAさん
・向こう6カ月で、マーケットは15%から20%ほど下げると思います。利下げの期待だけで、現在のマーケットはどうにか頑張っていますが、結果的に金利の引き下げは、インフレを促進させることになるでしょう。 max lufkinさん
・マーケットは下げます。米国経済の7割は個人消費によって支えられていますが、住宅市場の低迷で、消費者たちは以前のように簡単に現金を手に入れることができません。簡単にクレジットを使える時代は終わりました。 frank qさん
・住宅市場のスランプが、毎日のように報道されていますが、そろそろ底打ちになると思います。ですから、不動産と株は買いです。 MARKNAZARETHさん
・よく見てください。現在の株式市場には、たくさんの割安株で溢れています。ここは買いしか考えられません。 SONIC BOATERさん
・長期的なアップトレンドに変化はありません。エネルギー株と、新興市場を中心に投資しています。 gcb.austinさん
・二銘柄だけ残して、持ち株を全て売りました。不況の心配は無い、と言うアナリストは、歴史を完全に無視しています。アメリカだけでなく、世界は大きな不況に襲われることでしょう。 cva11さん
・実質的なアメリカのインフレ率は6%から8%です。そんな状況なのに、ウォール街は、ウォルマートの売上が1.5%上昇した、と言って騒いでいます。私たちは騙されているのです。 augustine974
(参考にしたサイト: http://moneycentral.msn.com/community/message/thread.asp?threadid=488532&boardname=Hide&header=SearchOnly&footer=Show&boardsparam=Page%3D1&linktarget=_parent&pagestyle=money1&forumid=18&board=StartInvesting
http://www.stocktradersalmanac.com/sta/home.do)
米国経済は、ビジネスサイクルの最終段階が終わろうとしている、とT. Rowe Priceのチーフ・エコノミスト、アラン・レベンソン氏は言う。2008年、企業利益の成長率は、今年の+3.3%から+0.6%に減少し、失業率は現行の4.7%から5%に上昇する、というのが氏の見方だ。
と聞くと、来年は株がスランプに陥るような気がしてしまうが、大切なのは状況に応じた投資を選ぶことだ。もちろん、何をどう選ぶかが問題になるから、ここでティム・ミドルトン氏(ファイナンシャル・コラムニスト)の意見を聞いてみよう。
株には、上昇と下降の局面がある。プロはいつもやっていることだが、皆さんには、下げマーケットに対する準備はあるだろうか。言い換えれば、万が一のために備えた保険だ。下げ相場に役立つ、株と同様に売買できる上場投信を紹介しよう。
・Short S&P500 ProShares (SH): 一般的なベアファンドだが、これはS&P500指数が、1%下がると1%上がる仕組みになっている。
・UltraShort S&P500 ProShares (SDS): これも上と同じベアファンドだが、違いはSDSはレバレッジされているため、S&P500指数が1%下がると2%上がる仕組みになっている。(注:レバレッジされていると言っても、投資金額以上の損を出すことはない。)
単純に考えれば、二番目のUltraShort S&P500 ProShares (SDS)の方が得だ。現に、一日の平均出来高を調べてみると、Short S&P500 ProShares (SH)は17万6000株、そして後者は1660万株だから、明らかにSDSに圧倒的な人気がある。
サブプライムで金融関連銘柄が叩かれたが、ミドルトン氏は、こんな例をあげている。
もし、UltraShort Financials ProShares (SKF)に、1月から9月30日まで投資したとすると、14.4%の利益があった。(注: UltraShort Financials ProShares (SKF)は1月から取引が始まった新上場投信。これは、金融セクターが1%下がると、2%上がる仕組みになっている。Ultra(ウルトラ)が付くファンドはレバレッジされている。)
さて、実際には、どの程度の金額をベアファンドに割り当てたら良いだろうか。ミドルトン氏の話に戻ろう。
株75%、債券25%の割合で投資された、計10万ドルのポートフォリオがあったとしよう。株は、米株、外国株、そして新興市場に同等に投資されている。この場合、2000ドルずつ(ポートフォリオの2%)米株用にUltraShort S&P500 ProShares (SDS)、外国株用にUltrashort MSCI EAFE Proshares (EFU)、そして新興市場用にUltraShort MSCI Emerging Mrkts ProShares (EEV)に投資したと仮定しよう。(注:全てウルトラだから、1%下がると2%の利益がある。)
もし、株が10%修正すると、7万5000ドル(75%)の株は6万7500ドルに下がる。もちろん、単純計算になるが、2000ドルずつ投資したウルトラ・ファンドは2400ドルになるから合計利益は1200ドルだ。債券の部分は変化がなかったとして、全部足してみると、2万5000ドル(債券)+1200ドル(ウルトラファンドの利益)+6万7500ドル(10%修正後の株残高)=9万3700ドルだから、ポートフォリオ全体の下げは6.3%だ。
ここが肝心になる。ミドルトンの勧めているのは、ウルトラ・ベアファンドで儲けよう、ということではなく、もしものために備えた保険だ。逆にマーケットが上がってしまえば、とうぜんベアファンドは下がるから、掛け捨て保険を買うようなつもりでベアファンドを利用したい。
ウルトラファンドの種類は下記を参照してほしい。
http://www.proshares.com/funds
ミドルトン氏
(参考にしたサイト: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/MutualFunds/UseETFsToHedgeYourBets.aspx?page=1)
一分で100万ドル、というAP通信の見出しがあった。何のことかと思って読んでみると、米国の抱える赤字は、1分間に100万ドル(約1億1000万円)の割合で増えている。言い換えると、現在アメリカが持つ国家債務は、国民一人当たりに換算すると3万ドル(約330万円)、というから驚きだ。
12月11日のFOMCで、金利が引き下げられることは既に株価に織り込まれ、現在マーケット関係者が議論しているのは、利下げ幅は0.25ポイントかそれとも0.5ポイントになるかだ。こんな状況だから、逆に利下げが無ければ、ちょっとした混乱になるだろう。