US Market Recap

悪いタイミング

ガッカリな金利引下げ幅で急落、と思えば、水曜のマーケットは打って変わって、威勢の良いスタートだ。いったい何が起きたのか?「電撃発表」といったヘッドラインもあったが、簡単に言えば、連銀は海外の中央銀行と協力して、信用収縮問題を解決するために、大量な現金を金融市場へ注入することになった。

なるほど、それで強い寄付きになったのか、と納得しようとしたが、どうもシックリしない。あれだけ長い陰線の後、こうも簡単に跳ね上がると、何かバカにされたような気分になってしまう。

シャーク・アセット・マネージメントの、ジェームズ・デポーレ氏は、こう語っている。

今朝発表された連銀の新対策が、本当に効果的なものかどうかは分からないが、発表のタイミングが悪すぎる。マーケットは、昨日の0.25ポイントの利下げニュースをまだ完全に消化していない状態だから、連銀は少なくとも数日待つべきだった。

もちろん、株式市場の機嫌をとるのは連銀の仕事ではない。しかし、連銀は、消費者信頼感と密接な関係にある、投資心理を理解しなくてはいけない。昨日の今日といった形で、こんな発表をされると、連銀は投資心理など全く気にしていないようだ。

デポーレ氏に同感する人は多いと思う。0.25ポイントの金利引下げは、予想されていたとはいえ、期待されていた0.5を下回り、投資心理に悪影響を与えた。投資心理が冷え込めば、デポーレ氏の言うように消費者信頼感も落ち込んで、結果的には個人消費の減少に結びつく。

ジム・クレーマー氏(マッド・マネー)の意見はこうだ。

連銀の新プランは、金融機関のためでなく、国債市場のために作られたようなものだ。十分な金を金融市場に流し込む、というのが目的のようだが、金融機関は連銀からの金など要らない。現に、サブプライムで大きな損を出したカントリーワイドは、バンク・オブ・アメリカから20億ドルの金を借りることができた。

とにかく、連銀は宿題をしていない。連銀は、アナリ・キャピタルのマイク・ファーレル氏や、ゴールドマン・サックスの国債専門家たちから話を聞いて、金融業界の現状を正確につかむことだ。ここまでのバーナンキ議長を見てみると、机上の理論ばかりで、実践的な問題解決策が無い。

もちろん、皆が皆クレーマー氏のように連銀を非難していないが、こんな見方もある。

「世界の中央銀行が協力するのは良いことだ。しかし、この協力が意味するのは、現在の信用危機は、思っている以上に深刻な状態だ、ということではないだろうか。」 フレデリック・ラフィ氏(オプショネティクス)

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デポーレ氏

(参考にしたサイト: http://www.marketwatch.com/news/story/us-stocks-off-daily-highs/story.aspx?guid=%7B9C867456%2D3094%2D49F3%2D9935%2DD37F3529F9EF%7D

http://www.businessweek.com/investor/content/dec2007/pi20071212_418780.htm?campaign_id=rss_daily

http://www.cnbc.com/id/15838459

狙いは食品セクター

連銀は、予想されたとおり、FF金利と公定歩合を、それぞれ0.25ポイント引き下げた。
(FF金利: 4.25%、公定歩合: 4.75%)

今年、急騰した原油価格が話題になったように、来年は食料品の値上がりが顕著になる、とジム・ジューバック氏(MSNマネー)は言う。消費者には嫌な話だが、違う立場から見ると、食品価格の上昇は投資チャンスだ。ジューバック氏の説明を聞いてみよう。

 

先ず、私たちは、食品セクターに関する考え方を変える必要がある。2008年、世界が消費する穀物は生産量を上回ることが予想され、3年連続で供給量が不足となる。2008年10月時点の、世界穀物備蓄量は3億1900万トンが予測され、これは2006年を18%ほど下回る。3億1900万トンは膨大な量に聞こえるが、たった56日間で消費されてしまう。

2008年は、食品価格の上昇が目につくようになる、と最初に指摘したジューバック氏だが、今年の状況にも目を見張るものがある。

12月1日現在の価格を1年前と比べると、小麦は+50%、大豆+60%、そして牛乳は100%も上がっている。国連食料農業機関の発表によれば、2006年、食品価格指数は+9%、そして2007年9月30日時点で、同指数は既に37%の上昇だ。

穀物の全てが人間の食料になるわけではない。ジューバック氏は、こんな例をあげている。

453グラムの豚肉を生産するには、約2300グラムの穀物が必要になる。中国では、既に70%のトウモロコシと大豆、それに50%のサツマイモが家畜の餌に使われている。世界の50%のブタを保有する中国は、近い将来、トウモロコシの純輸入国になることだろう。

供給量が不足し、毎年消費量は増え続けているわけだから、食品価格のアップトレンドは続きそうだ。それでは、どの株を買ったらよいのだろうか?

5銘柄が投資対象になる。商品市場の動きに注意して、一時的な穀物価格下落が、株の買い足しタイミングになる。下記が5銘柄だ。

・Deere & Co. (DE)

・Monsanto Co. (MON)

・Potash Corp. of Saskatchewan, Inc. (POT)

・EI DuPont de Nemours & Co. (DD)

・Syngenta AG (SYT)

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ジューバック氏

参考にしたサイト: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/JubaksJournal/ProfitFromRisingFoodPrices.aspx?page=1

二つの金利引け下げシナリオ

火曜の連邦公開市場委員会で、0.5ポイントは無理でも、0.25ポイントの金利引下げが実施される、と予想するアナリストが圧倒的に多い。まるで100%利下げを確信したように、現在マーケットは0.7%ほど上げているが、シャーク・アセット・マネージメントの、ジェームズ・デポーレ氏はこう語っている。

「感謝祭後から、利下げを見込んで、マーケットの上昇が続いている。もし、予想以上に0.5ポイントの金利引下げを期待している人が多い場合は、0.25ポイントの利下げだと失望売りといった事態が起きることだろう。」

ミラー・タバックの債券アナリスト、トニー・クレシェンジ氏は、こんなことを指摘している。

先週の月曜と同様に、連銀は、今日も50億ドル分の国債を放出した。違った言い方をすれば、連銀は金融機関に国債を買わせたわけだ。しかし、ただでさえ出費の増えるこの時期に、連銀はなぜ金融機関から現金を吸い上げる必要があるのだろうか?

分かりきったことだが、クリスマスが迫り、消費者にはギフト用の現金が要る。更に、特に今年は投資ポートフォリオの調整のために、どこの金融機関も例年以上に資金が必要だ。普通なら、連銀は12月に銀行から国債を買って、十分な現金を銀行に与えるものだ。しかし、今年は正反対なことが起きている。

たしかに、おかしな連銀の動きだが、クレシェンジ氏はこう結論している。

この時期に、こんなことをする連銀には、大きな計画があると思われる。たとえ、国債を放出して金融機関から現金を吸い上げても、それ以上の金額の現金を金融機関に与える方法だ。それは何か?ご察しのとおり、金利引下げでそれを実現することができる。

クレシェンジ氏は、二つの金利引下げのシナリオを予想している。

1、フェデラル・ファンド金利を0.5ポイント引き下げ、同時に公定歩合を0.75ポイント引き下げる。

2、0.25ポイントのフェデラル・ファンド利下げと、0.5ポイントの公定歩合の引き下げ。

「2番目の方法が実施されるなら、引き下げ幅が不十分、という反論が出て来ることでしょうから、とうぜん1月の利下げも期待されてしまいます。ですから、驚きの要素も含めて、連銀は積極的な姿勢を示すことが大切です」、とクレシェンジ氏は付け加えている。

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(参考にしたサイト: http://www.thestreet.com/p/

年末に狙える株

12月も、あと3週間を残すのみとなったが、年末に起きる現象を利用した投資方法を紹介しよう。考案者は、逆張りで有名なジョージ・パットナム氏だが、先ず、年末に起きる現象から説明しよう。

株で出した損は、税金で処分することが出来るが、そうするためには損の出ている株を今月中に売らなくてはいけない。同様に、ファンドマネージャーも、ポートフォリオの見栄えを良くするために、損の出ている株を年末に売る傾向がある。

ようするに、パットナム氏が目をつけているのは、今から年末の間に、税金処理やポートフォリオの調整で売られそうな銘柄だ。しかし、何故そんな下がると分かっている銘柄を注目するのだろうか?理由はこうだ。

考えて欲しいのは、どんな株が売りの対象になるかだ。あなたの口座に20の銘柄があるとしよう。税金で処分できるのは、損の出ている株だけに限られるから、とうぜん儲けの出ている株は対象にならない。それでは、売られるのは、一番損額の大きな株だろうか、それとも損が最も少ない銘柄だろうか。答えは、前者の損が最も多く出ている株が処分の対象になる。

損が最も大きい株は、既に株価がかなり下がっている傾向があり、上記のような理由で年末に売られると、とうぜん更に株価は下落する。しかし、同時に見逃せないのは、売りの結果、株価に割安感が生じるという事実だ。言うまでもなく、割安株を狙う投資家は多く、来年1月早々、年末に叩かれた株が買われる可能性がある。

それでは、パットナム氏が注目している、年末の10銘柄をあげよう。

・ArvinMeritor Inc. (ARM)

・Aviza Technology, Inc. (AVZA)

・Circuit City Stores Inc. (CC)

・Dillard's Inc. (DDS)

・La-Z-Boy Inc. (LZB)

・OfficeMax Inc. (OMX)

・On Assignment Inc. (ASGN)

・Spanish Broadcasting System Inc. (SBSA)

・Sun-Times Media Group Inc. (SVN)

・YRC Worldwide Inc. (YRCW)

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参考にしたサイト: http://www.marketwatch.com/news/story/stocks-likely-enjoy-bounce-early/story.aspx?guid=%7B9A5044D1%2D14D1%2D4A88%2DAA12%2DB8A617F961E7%7D

悩むトレーダー

最近トレードがうまく行かない、とブレット・スティンバーガー氏のもとに、相談に来る人たちが増えている。それも、トレードを始めてまだ6カ月といったルーキーではなく、数年以上の経験を持つベテラントレーダーたちだ。何故、こんなことが起きているのだろうか?スティンバーガー氏の話を聞いてみよう。

似た状況を設定してみよう。あなたは、いたって健康だった。いつもエネルギーに溢れ、滅多に疲れを感じることはなかった。しかし、今のあなたは違う。爽快感が全く無く、体がいつもだるい。どうしたら良いだろうか?言うまでもなく、そんな時は医者に診てもらうことだ。やる気を出させる言葉を何度も読んで、頑張ろうとする人もいるが、問題は全て心理的なものとは限らない。同様に、経験のあるトレーダーがスランプに陥るのも、心理的要素だけが原因になっているわけではない。

スティンバーガー氏は、ベテラントレーダーがリズムを崩す、三つの要因を指摘している。

1、好トレード機会の減少

あなたは、ある銘柄だけを専門にトレードしているとしよう。以前と比較してみて、一日の値幅に変化はないだろうか?三カ月前までは、一日平均で7ポイント動いていたのに、この頃は4ポイントに減っていないだろうか。このように、ボラティリティの変動は、トレード結果に大きな影響を及ぼす。

2、変化した値動き

短期的な値動きパターンと、出来高を併用したトレードがうまく行かなくなった、と言う人がいる。ようするに、今までに見られなかったパターンが顕著になっているのだが、これはオートマチック・トレードが原因になっていることが多い。人間の手を通さない、100%コンピュータによる売買が、新しいパターンを作り上げている。

3、マーケットの相互関係

以前から言われるように、先物指数に個別銘柄は左右されるだけでなく、新金融商品が増え、マーケットの相互関係がよりいっそう複雑になった。たとえば、ヘッジファンドは上場投信を空売ることが多くなり、そのためその投信に属する銘柄が、一斉に下げるといったことが起きている。

では、どう対処したら良いのだろうか?強調したいのは、さっさと諦めてトレードは全てロボットに任せろ、などとスティンバーガー氏は言っていない。先ず、自分と同様なスタイルのトレーダーの話を聞いてみること。彼らも、あなたのように最近不調なら、間違いなくマーケット自身が変化している。しかし、彼らが今日も好調なら、あなた自身に問題がある。

たとえマーケットが変わっている状態でも、あなたは100戦100敗ではないはずだ。必ず、利益が出ているトレードがあるはずだ。その、うまく行っているトレードを徹底的に研究してほしい、とスティンバーガー氏はアドバイスしている。間違いだけに目を向けるのではなく、あなたの強みに焦点を当ててみよう。

日本では、「精神科医が見た投資心理学」というタイトルで、スティンバーガー氏の本が販売されている。

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(参考にしたサイト: http://traderfeed.blogspot.com/2007/12/when-trading-performance-falls-off.html

個人投資家たちの声を聞いてみよう

今年も、ウォール街にサンタクロースが訪れるだろうか?ストック・トレーダーズ・アルマナックに、こんな統計がある。1969年以来、12月最後の5日間と1月最初の2日間で、マーケットは平均で1.6%の伸びがあり、逆にこの数日間が下げになると、マーケットは下げ基調に転ずる傾向がある。

更に、今月がそうであるように、大統領選挙前年の12月は、過去14年間を振り返ると、下げたことはたった2回しかない。はたして、今年も強い12月になるだろうか?そこで今日は、MSNマネーの掲示板に書き込まれた、個人投資家たちの意見を見てみよう。

・色々な見方が発表されていますが、私は慎重な楽観視、といった姿勢です。エンロン社が倒産する寸前まで、アナリストたちは買い推奨を発表していました。故ルイス・ルーカイザー氏が言っていたように、当たる確率が半分以下でも、アナリストはプロと呼ばれています。ようするに、私たちの予想と、アナリストの予想には大した違いはないのです。 Duca Contadinoさん

・明るい見方も報道されていますが、私は、米国が近い将来、不景気に陥る可能性があると思います。増え続ける財政赤字、それにサブプライム問題で明らかになった非道徳的な企業などを考えると、ばら色な将来は見えてきません。 GLENMBAさん

・向こう6カ月で、マーケットは15%から20%ほど下げると思います。利下げの期待だけで、現在のマーケットはどうにか頑張っていますが、結果的に金利の引き下げは、インフレを促進させることになるでしょう。 max lufkinさん

・マーケットは下げます。米国経済の7割は個人消費によって支えられていますが、住宅市場の低迷で、消費者たちは以前のように簡単に現金を手に入れることができません。簡単にクレジットを使える時代は終わりました。 frank qさん

・住宅市場のスランプが、毎日のように報道されていますが、そろそろ底打ちになると思います。ですから、不動産と株は買いです。 MARKNAZARETHさん

・よく見てください。現在の株式市場には、たくさんの割安株で溢れています。ここは買いしか考えられません。 SONIC BOATERさん

・長期的なアップトレンドに変化はありません。エネルギー株と、新興市場を中心に投資しています。 gcb.austinさん

・二銘柄だけ残して、持ち株を全て売りました。不況の心配は無い、と言うアナリストは、歴史を完全に無視しています。アメリカだけでなく、世界は大きな不況に襲われることでしょう。 cva11さん

・実質的なアメリカのインフレ率は6%から8%です。そんな状況なのに、ウォール街は、ウォルマートの売上が1.5%上昇した、と言って騒いでいます。私たちは騙されているのです。 augustine974

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(参考にしたサイト: http://moneycentral.msn.com/community/message/thread.asp?threadid=488532&boardname=Hide&header=SearchOnly&footer=Show&boardsparam=Page%3D1&linktarget=_parent&pagestyle=money1&forumid=18&board=StartInvesting

http://www.stocktradersalmanac.com/sta/home.do

もしもの場合に備えて

米国経済は、ビジネスサイクルの最終段階が終わろうとしている、とT. Rowe Priceのチーフ・エコノミスト、アラン・レベンソン氏は言う。2008年、企業利益の成長率は、今年の+3.3%から+0.6%に減少し、失業率は現行の4.7%から5%に上昇する、というのが氏の見方だ。

と聞くと、来年は株がスランプに陥るような気がしてしまうが、大切なのは状況に応じた投資を選ぶことだ。もちろん、何をどう選ぶかが問題になるから、ここでティム・ミドルトン氏(ファイナンシャル・コラムニスト)の意見を聞いてみよう。

株には、上昇と下降の局面がある。プロはいつもやっていることだが、皆さんには、下げマーケットに対する準備はあるだろうか。言い換えれば、万が一のために備えた保険だ。下げ相場に役立つ、株と同様に売買できる上場投信を紹介しよう。

・Short S&P500 ProShares (SH): 一般的なベアファンドだが、これはS&P500指数が、1%下がると1%上がる仕組みになっている。

・UltraShort S&P500 ProShares (SDS): これも上と同じベアファンドだが、違いはSDSはレバレッジされているため、S&P500指数が1%下がると2%上がる仕組みになっている。(注:レバレッジされていると言っても、投資金額以上の損を出すことはない。)

単純に考えれば、二番目のUltraShort S&P500 ProShares (SDS)の方が得だ。現に、一日の平均出来高を調べてみると、Short S&P500 ProShares (SH)は17万6000株、そして後者は1660万株だから、明らかにSDSに圧倒的な人気がある。

サブプライムで金融関連銘柄が叩かれたが、ミドルトン氏は、こんな例をあげている。

もし、UltraShort Financials ProShares (SKF)に、1月から9月30日まで投資したとすると、14.4%の利益があった。(注: UltraShort Financials ProShares (SKF)は1月から取引が始まった新上場投信。これは、金融セクターが1%下がると、2%上がる仕組みになっている。Ultra(ウルトラ)が付くファンドはレバレッジされている。)

さて、実際には、どの程度の金額をベアファンドに割り当てたら良いだろうか。ミドルトン氏の話に戻ろう。

株75%、債券25%の割合で投資された、計10万ドルのポートフォリオがあったとしよう。株は、米株、外国株、そして新興市場に同等に投資されている。この場合、2000ドルずつ(ポートフォリオの2%)米株用にUltraShort S&P500 ProShares (SDS)、外国株用にUltrashort MSCI EAFE Proshares (EFU)、そして新興市場用にUltraShort MSCI Emerging Mrkts ProShares (EEV)に投資したと仮定しよう。(注:全てウルトラだから、1%下がると2%の利益がある。)

もし、株が10%修正すると、7万5000ドル(75%)の株は6万7500ドルに下がる。もちろん、単純計算になるが、2000ドルずつ投資したウルトラ・ファンドは2400ドルになるから合計利益は1200ドルだ。債券の部分は変化がなかったとして、全部足してみると、2万5000ドル(債券)+1200ドル(ウルトラファンドの利益)+6万7500ドル(10%修正後の株残高)=9万3700ドルだから、ポートフォリオ全体の下げは6.3%だ。

ここが肝心になる。ミドルトンの勧めているのは、ウルトラ・ベアファンドで儲けよう、ということではなく、もしものために備えた保険だ。逆にマーケットが上がってしまえば、とうぜんベアファンドは下がるから、掛け捨て保険を買うようなつもりでベアファンドを利用したい。

ウルトラファンドの種類は下記を参照してほしい。

http://www.proshares.com/funds

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ミドルトン氏

(参考にしたサイト: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/MutualFunds/UseETFsToHedgeYourBets.aspx?page=1

金、銀、鉄

11月から4月の相場は強いことで有名だが、今年は、いきなり11月につまずいてしまった。先月、ダウ指数は4%減、そしてS&P500指数はマイナス4.4%になり、マーケットの先行きを心配する人たちが増えている。

弱い11月は、本当に悪材料だろうか?マーク・ハルバート氏(ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト)の意見を聞いてみよう。

1896年までさかのぼって、ダウ指数を調べてみたが、11月の下げマーケットから、意味のある結論を引き出すことはできない。しかし、11月、12月と連続で下げる場合は、翌年のマーケットが全体的に弱くなる傾向がある。

ということで、今月のマーケットが重要になるのだが、ジム・ジューバック氏(MSNマネー)はこう述べている。

ヨーロッパのインフレが加速し、欧州中央銀行は、金利を現行の4%から4.25%に引き上げる可能性がある。逆に、米国の金利は引き下げ/据え置き方向だから、ますますドル安が進むことになりそうだ。そうなれば、とうぜん次のことが予想できる。

・原油の値上がり。(原油はドルで取引されている。)

・ユーロ高。

・金価格の上昇。

・連銀による利下げは、一時的に米国株式市場に好影響になるが、最終的には上げ幅のほとんどが失われることになるだろう。なぜなら、安いドルに嫌気のさした外国人投資家が、米国金融市場から一部の資金を撤退させるためだ。

それでは、どう投資するべきだろうか?ジューバック氏の話に戻ろう。

米国の投資家は、外国人の資金が向かう金、銀、鉄、それにカナダとオーストラリア株に注目したい。また、インドと中国の不動産も魅力的な投資先だ。

もちろん、レージー・ポートフォリオの信奉者、ポール・ファーレル氏(ファイナンシャル・コラムニスト)のように、何も気にすることは無い、という楽観的な投資姿勢もある。氏の推奨するミューチュアル・ファンドの一部を紹介しよう。(数字は過去5年間の年間平均利益)

・Vanguard STAR (VGSTX) 11.44%
・T. Rowe Price Spectrum Growth (PRSGX) 15.34%
・T. Rowe Price Personal Strategic Income (PRSIX) 9.85%
・T. Rowe Price Spectrum International (PSILX) 21.64%

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モルガン1ドル銀貨 1895年

(参考にしたサイト: http://www.marketwatch.com/news/story/how-long-novembers-stock-market-woes/story.aspx?guid=%7B2A688662%2D8EFE%2D4BEE%2DA059%2D11654BFDB670%7D

http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/JubaksJournal/TheDollarsPerfectStormWorsens.aspx?page=1

http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/JubaksJournal/5WaysToRideOutTheMarketsStorm.aspx

http://www.marketwatch.com/news/story/one-fund-lazy-offerings-low-initial/story.aspx?guid=%7BB5C22C7F%2DBA25%2D4516%2D86FB%2DD1DC37EA73AD%7D

最近のヘッドラインから

一分で100万ドル、というAP通信の見出しがあった。何のことかと思って読んでみると、米国の抱える赤字は、1分間に100万ドル(約1億1000万円)の割合で増えている。言い換えると、現在アメリカが持つ国家債務は、国民一人当たりに換算すると3万ドル(約330万円)、というから驚きだ。

消費者はクレジット・カードの借金で苦しみ、国家は債務で首が回らないのだから、全く困った状況だ。(信じられない、呆れた状態だ、と言う人たちもいる。)

信じられない、と書いたついでに、少し信じ難いニュースを紹介しよう。

先ず、間抜けな犯罪者の話から。(サバンナ・モーニング・ニュース11月30日)

ニセ札製造の疑いで、3人が指名手配中だったが、アッケなく逮捕された。マイケル・チャットマン(容疑者35才)は、プリンターをターゲット(小売店)に返品に行った。担当者がプリンターを調べていると、中から偽造された20ドルと10ドル紙幣が出てきた。動転した容疑者は店から飛び出したが、外にいた警官に捕まり、共犯者の二人も逮捕された。

11月30日付けのデトロイト・フリー・プレスには、ビル・ジマーマンさん(ホームレスの男性 50才)が、ケンタッキー・フライド・チキンを訴えたことが報道されている。

なぜ訴訟を起こしたのか?ジマーマンさんが、ケンタッキー・フライド・チキンの前で物乞いをしていたら、いきなり支店長から煮え湯を浴びせられ、やけど治療のために近くの病院に13日間入院したという。

次の話題も、ちょっと首をかしげたくなる内容だ。(シアトル・タイムズ 12月1日)

プライバシーの保護、ということで名前は公表されていないが、ある女性が養育費を求めて、精子提供者を訴えた、というニュースだ。

訴えられた男性(医師)は、当時ナソー郡の病院に勤務しており、この女性は研修医として同じ病院に働いていた。レズビアンの彼女は、当時愛人と同居しており、子どもが欲しいという彼女たちの願いにこたえて、この男性は精子を提供した。文書という形では残さなかったが、生まれた子どもに対して、この男性は養育に関して何の義務や権利が無いことを口約束した。

現在、子どもは18才になり、母親は、この子どもが21才になるまでの養育費を求めている。1993年、母親、母親の愛人、そして子どもはオレゴン州に引っ越した。その時、この男性は「父親より」と記してカードや金を子どもに送った。その後も、電話で子どもと7回ほど話したようだ。

まだ、具体的な養育費の金額は決まっていないが、もし人工授精に関与するなら、必ず文書で記録を残すべきだ、と専門家たちは述べている。

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(参考にしたサイト: http://news.yahoo.com/s/ap/20071203/ap_on_go_ot/nation_in_debt_4

http://www.freep.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20071130/NEWS02/711300342/1004/NEWS02

http://seattletimes.nwsource.com/html/nationworld/2004046062_sperm01.html

http://savannahnow.com/node/407250

今日のマーケットは1990年の再現!?

12月11日のFOMCで、金利が引き下げられることは既に株価に織り込まれ、現在マーケット関係者が議論しているのは、利下げ幅は0.25ポイントかそれとも0.5ポイントになるかだ。こんな状況だから、逆に利下げが無ければ、ちょっとした混乱になるだろう。

なぜ、利下げは確実視されたのだろうか。理由は、先週木曜のバーナンキ氏(連銀議長)のコメントだ。

雇用状況は健全だ。しかし、住宅市場の低迷は相変わらず続き、個人消費にも下降が見られる。ガソリン高、住宅市場のスランプ、信用収縮、それに不振な株式市場を総合すると、消費者は経済的な逆風を経験することになりそうだ。

それでは、どのセクターが狙いだろうか。金曜、人気番組「マッド・マネー」で、ジム・クレーマー氏はこう語っている。

金融銘柄に焦点を合わせたい。現在、マーケットに展開されているのは、1990年のマーケットだ。1990年、連銀はマーケットに積極的に関与し、アラブ諸国からの資金的な救済もあった。まったく暗い環境だったが、そんな中で、金融銘柄が買われ、今回も同様なことが起きそうだ。

具体的には、どの銘柄が行けるのだろうか?

ワコビア(WB)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、シティグループ(C)。それに、サブプライムで大打撃を受けた、カントリーワイド(CFC)も買いだ、とクレーマー氏は言う。更に、アナリ・キャピタル・マネージメント(NLY)も魅力的だ、とクレーマー氏は付け加えている。

先週のマーケット・ラリーで、少し気になることを言うトレーダーが増えている、とブレット・スティーンバーガー氏(投資心理研究家)は指摘する。

「底を逃してしまった。今からマーケットに参加するのは遅すぎる」、と嘆く声が聞こえてきます。この言葉が意味するのは、千里眼の持ち主だけがマーケットで成功できる、という完全主義的な考え方です。成功しているトレーダーを見てください。彼らは、実現不可能な、非現実的なゴールなど設定することはありません。

「もう、これ以上損をすることはできない」、という切羽つまった声も聞こえてきます。冷たい言い方かもしれませんが、本当にこれ以上損を出すことが許されないお金なら、即刻口座を閉鎖して、資金を銀行へ移すべきです。間違ったトレードを復習して、新たな対策を練るのは、単に損を重ねて精神的につらい、という人たちだけに限られます。

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ジム・クレーマー氏

(参考にしたサイト: http://seekingalpha.com/article/55895-bernanke-hints-at-another-rate-cut?source=d_email

http://www.thestreet.com/_tscnav/funds/madmoneywrap/10392501.html

http://traderfeed.blogspot.com/2007/11/seven-questionable-things-i-hear-from.html

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