US Market Recap

全く信じられないこと

upsidetraderという人気ブログがある。書いている人の名前は不明だが、プロフィールによると、ヘッジファンド・マネージャーを辞めて、現在自分の口座で株のトレードをしているようだ。


べつに推薦銘柄が紹介されているわけではないが、冗談と本音をまぜた簡潔なコメントが面白い。例えば「全く信じられないこと」、と題して、こんなことが挙げられている。

・バーナンキ連銀議長は、「米国は既に不景気だ」、と相変わらず言うことができない。

・こんな状況になっても、投資家たちは、まだアナリストの言うことを聞いている。

・Potash Corp (POT)が245ドルの時、正気とは思えない格上げを発表し、目標株価を355ドルに設定したアナリストは、今日もアナリストとして働いている。(金曜、POTは80ドル57セントで終了。)

・このあいだまで、数百万ドルの口座残高があった人たちは、今日の残高は数千ドルしかない。

・401K(企業年金制度)が201Kになってしまった。

・FF金利がゼロ%になろうとしているのに、住宅ローンの利子は全く下がらない。

・ここ6カ月間、ブリトニー・スピアーズは何も剃っていない。(自ら頭を剃って、スピアーズは話題になったことがある。)

・Las Vegas Sands Corp. (LVS)は、122ドルから6ドルまで下がってしまった。

・Alcoa, Inc. (AA)が30ドル台だった頃、この株をよくトレードしたが、今日の株価は10ドル台だ。

・いよいよGMとフォードが危ない。

・いまだにジム・クレーマーの番組を見ている人がいる。(クレーマー氏は、「マッド・マネー」という株番組を担当し、先月、持ち株を全て処分しろ、とNBCの朝の番組「TODAY」で発言し、大きな反響を呼んだ。)

・私のブログへのアクセス数が増えているが、私には、HTMLが何であるか分からない。

 

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(情報源: http://upsidetrader.blogspot.com/2008/11/things-that-i-cant-friggin-believe.html

 

更なる悪化が予想される米国失業率

思ったとおり悪かった、というのが投資家たちの、今朝発表された雇用統計に関する感想だ。10月、24万におよぶ人たちが職を失い、これで米国失業率は6.1%から6.5%に上昇した。


更に、前回発表された非農業部門雇用者数は15万9000人減だったが、28万4000人減に修正された。ブリーフィング・ドット・コムによれば、今年の10カ月間で失業した人は120万人におよび、特に最近の3カ月間では60万人以上の人たちが失業している。

AOLマネーのオンライン調査を見てみよう。

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質問: あなたは、どの程度失業の心配をしていますか?

回答:

・全く失業の心配はしていない  43%

・既に失業している  22%

・やや心配になる  18%

・とても心配になる  17%

総回答数: 19120

ゴールドマン・サックスのアナリストは更なる雇用状況の悪化を予想し、2009年の終わりまでに、失業率は8.5%に達すると予測している。

掲示板の書き込みを見てみよう。

・「ゴールドマン・サックスの予想は低すぎるような気がする。向こう12カ月間で、自動車業界、そしてそれに関連する企業が100万人に近い従業員削減をする可能性があるから、失業率は10%に上昇するのではないだろうか。」 ELCUERVOMEJICANOさん

・「何も心配する必要は無い。オバマ新大統領が、我々消費者のガソリン代、住宅ローン、クレジットカードの支払い、それに食費の面倒をみてくれる。」 AmericanSoldierさん

・「最初から無い金を使い、必要の無いものを買い、あなたのことなど全く気にしていない人に強い印象を与えるために高価なものを買う。アメリカが、こうなってしまったのは当たり前だ。」 yer ol palさん

・「失業、破産、絶望。これは死んだ方が良さそうだ。」 invergency さん

・「労働省というのは、いったい何のために存在しているのだろう?」 good dogさん

・「アメリカを救うために、我々は輸入品を買うのをやめるべきだ。」 SOFTOUCHさん

ELCUERVOMEJICANOさんが、自動車業界のことを指摘しているが、ゼネラル・モーターズ(GM)の決算はひどかった。極端な言い方をすれば、何とか資金繰りをしないと、来年の中頃までにGMは倒産だ。

Crowe Horwath社のアナリスト、エリック・マークル氏は、こう語っている。「GMが存続するには、連邦政府からの助けが必要だ。しかし消費者の立場から見れば、GMに公的資金を使うだけの価値があるかどうかは疑問だ。」

(参考にしたサイト: http://money.aol.com/news/articles/jobs/_a/bbdp/employers-cut-240000-jobs-in-october/241091

http://www.briefing.com/GeneralContent/Investor/Active/ArticlePopup/ArticlePopup.aspx?SiteName=Investor&ArticleId=NS20081107085247HeadlineHits

http://www.usatoday.com/money/economy/2008-11-07-employment-october_N.htm?loc=interstitialskip

http://www.247wallst.com/2008/11/gm-gm-first-hal.html

 

悪材料が無くなってからでは遅い

10月10日の安値が、マーケットの大底だった可能性がある、とラリー・エーデルソン氏(ファイナンシャル・アドバイザー)は言う。強気論者が、また一人増えたわけだが、氏の話を少し聞いてみることにしよう。


株式市場はファンダメンタルズより先に動く。実例を挙げれば、1932年、大恐慌の真っ只中でダウ指数は底打ちになったが、経済回復の兆しは1935年まで見えなかった。

最近の例ではスウェーデンがある。1990年代、スウェーデンは、最悪な住宅市場のスランプに襲われた。最終的な損額はGDPの12%に達し、現在アメリカが経験している住宅問題など比べ物にならない。

1992年、スウェーデン政府は、経営危機に直面する銀行に資金を注入し、更に預金口座の保証を約束した。こんな惨たんたる状態だったが、次の12カ月間で、スウェーデンの株式市場は低迷する経済状態に関係なく42%の上昇となった。

上記の実例が顕著に示しているのは、悪材料が無くなるのを待っていたのでは、投資の絶好なタイミングを逃してしまうということだ。

これは何度も言うことだが、ダウ指数や他の株式指数を過去の数値と比較する時は、インフレ率を考慮する必要がある。10月10日、ダウの安値は7884.82だったが、インフレを計算に入れると約2550に相当するから、ダウ指数は既に77%の下落だ。言い換えれば、1932年以来、ダウがここまで売られ過ぎレベルに陥ったことは無い。

そして10月10日、ニューヨーク証券取引所に上場された銘柄の87%が、12カ月ぶりの安値を記録した。これほど悪い数字、50%以上の銘柄が12カ月ぶりの安値となったのは1962年、1966年、1970年、そして暴落のあった1987年の4回しかない。

ということで、今日のマーケットは歴史的な売られ過ぎレベルだから、そろそろラリーがあってもおかしくないというわけだ。さて、では何を買うべきだろうか?エーデルソン氏は4つの上場投信を挙げている。

・The iShares MSCI BRIC Index Fund (BKF): ブラジル、ロシア、インド、そして中国の株に投資。

・The Dow Diamonds ETF (DIA): ダウ30銘柄に投資。

・The Energy Select Sector SPDR (XLE): エネルギー株に投資。

・The SPDR S&P Metals and Mining ETF (XME): 金属、資源、鉱山関連に投資。

アジア株投資アドバイザーとして有名なトニー・サガミ氏は、日本株に対して強気な見方を発表し、長期投資対象として次の上場投信を挙げている。

・iShares MSCI Japan Index Fund (EWJ)

・WisdomTree Japan Total Dividend (DNL)

・streetTRACKS Russell Nomura Prime (JPP)

・streetTRACKS Russell Nomura Small (JSC)

 

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(サガミ氏)

(参考にしたサイト: http://www.moneyandmarkets.com/big-moolah-to-be-made-27918

http://www.moneyandmarkets.com/nikkei-hits-26-year-low-bargains-galore-27886


オバマ銘柄の選び方

オバマ氏が当選ならこの銘柄が行ける、マケイン氏の勝利ならこの銘柄が有望だ、と投資家たちはあれこれ詮索していたが、選挙結果は大差でオバマ氏の勝ちとなった。


次期政権が明確になった今日、ハリー・ドマッシュ氏(「プロの銘柄選択法を盗め! 上がるバリュー株、儲かるグロース株」の著者)がオバマ銘柄の選び方を紹介しているので、さっそく見てみよう。

条件:

長期的な成長、過去の実績などが大切なのは言うまでもないが、現在の経済環境を考慮すると、買い候補となる企業は豊富な現金を保有し、負債がゼロであることが好ましい。

・時価総額は10億ドル以上あること。

・株価は10ドル以上であること。10ドル未満の株は、一般的にリスクが高く、機関投資家から避けられる傾向がある。 

・当座比率は3以上あること。この数値に設定することで、保有する現金(流動資金)が、短期負債を3倍以上上回る企業を選ぶことができる。

・負債資本比率は0.1以下であること。

・総資産利益率は、過去5年平均で年15%以上あること。

・アナリストの推奨は、ホールド(中立)またはそれ以上であること。普通なら、買いと強い買い推奨だけに注目するが、今日のようなマーケット環境では多くの銘柄が既に格下げされているから、ホールドも買い候補に含める。

・向こう5年間で予想される一株利益の成長率は、年15%以上あること。

下記が条件を満たす10銘柄だ。もちろん、これらは買い推奨ではなく、単なる投資アイディアの一例であることをお断りしておきたい。

Adobe Systems (ADBE)、Cognizant Technology Solutions (CTSH)、Ensco International (ESV)、

Immucor (BLUD)、Infosys Technologies (INFY)、Intuitive Surgical (ISRG)、Netease.com (NTES)、

Qualcomm (QCOM)、Satyam Computer Services (SAY)、Simpson Manufacturing (SSD)

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(情報源: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/SimpleStrategies/if-obama-wins-be-ready-for-a-rally.aspx?page=1

予想していたのは、たった2、3人の経済学者?

投票結果を待たず、現在マーケットは力強いラリーを展開し、ダウ指数は3%近く上げている。先ず、Bespokeインベストメントからのデータを見てみよう。


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http://bespokeinvest.typepad.com/bespoke/2008/11/presidential-election-day-returns.html

上は、過去6回の大統領選挙で、ダウ指数がどう動いたが示されている。

例えば一番上、レーガン氏が当選した1984年の選挙の日、ダウ指数は1.21%上昇した。最後の選挙、ブッシュ氏が再選された2004年はマイナス0.19%だった。ということで、今日このまま強くダウが引けると、上昇率の新記録が達成される。

新大統領は、さっそく金融問題に取り組むことになるわけだが、ニューヨーク・タイムズが著名経済学者ジェームズ・ガルブレイス氏に、こんな質問をしている。

NY: 米国には、少なくとも1万5000人の経済学者がいますが、今日の金融危機を予想できたのは、たった2、3人しかいなかったのですか?

ガルブレイス: 2、3人は大袈裟だ。10人から12人くらいの経済学者が予想していた。

NY: 10人から12人、、、経済学は科学の一分野ではないのですか?

ガルブレイス: 経済学者のほとんどは、大学などで根本的に役に立たない理論を教えている。要するに、彼らが経済学者の評判を落としているのだ。

NY: 金融安定化法案を草案した、ポールソン財務長官をどう思いますか?

ガルブレイス: 財務長官は、金融問題が大きく広がり、手に負えなくなった時点で、やっと動き始めた。全く適切な準備は無かったわけだ。

さて、あと10時間もすれば選挙結果が分かる。既にオバマ氏の勝利は間違いない、と見られているが、マーケット関係者が語る、新政権で期待できそうな銘柄を記しておこう。

オバマ銘柄: SunPower Corporation (SPWR)、AeroVironment, Inc. (AVAV)、Industrial Select Sector SPDR (XLI)、
Cosan Ltd. (CZZ)、Geron Corporation (GERN)、Dr. Reddy's Laboratories Ltd. (RDY)、Kinder Morgan Energy Partners LP (KMP)、
Apple Inc. (AAPL)

マケイン銘柄: Comcast Corp. (CCW)、Elbit Systems Ltd. (ESLT)、Market Vectors Nuclear Energy ETF (NLR)、
Barclays plc (BCS)、Eaton Vance Tax Advantaged Dividend Income Fund (EVT)、SPDR Gold Shares (GLD)、
General Dynamics Corp. (GD)

 

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(情報源: http://www.bloggingstocks.com/2008/11/04/election-stocks-advisors-offer-their-picks-for-if-obama-or-mcca/

http://www.nytimes.com/2008/11/02/magazine/02wwln-Q4-t.html?ref=magazine&pagewanted=all

空売り専門ETFに見える共通点

いよいよ火曜日は大統領選挙。intrade.comは、92.6%の確率で、オバマ氏(民主党)の当選を予想している。たしかに、選挙は水物と言われているが、あまりにもマケイン氏(共和党)が劣勢だ。


さて、景気後退が顕著な今日のアメリカ、新大統領は積極的な経済刺激策を実施して、極めて低いレベルに陥った消費者信頼感を回復させねばならない。

11月3日、ウォールストリート・ジャーナルに、更に悪化する米国民の暮らしを物語る、電気やガスを切られる世帯数上昇の記事がある。

ペンシルベニア州の電力会社、PPLコープが今年9カ月間で電気を切った件数(一般住宅と商業用を含む)は、去年の同時期を78%も上回っている。PPL社の話によると、この大幅な上昇は、以前のように長期間待つことをやめて、滞納金が増えすぎる前に電力を切る、という方針に変えたため起きたという。

以前のように長期間待つことをやめた、ということなのだが、何故そうしたのだろうか?

収益見通しが下方修正されただけでなく、大幅な株価の下落で、電力、ガス会社は企業利益に悪影響となる、料金滞納者数の削減を決定した。 

ということで株価が原因の一つになったようだが、maoxian.comは、低迷する株式市場に関して、こんなことを指摘している。

投資家やトレーダーに人気がある、11の空売り専門上場投信(ETF)のチャートを調べて、ある一つのことに気がついた。これが大底を意味するかは分からないが、11中8つから売りサインが出ている。

下記が、売り警報が出ているという、8つの空売りスタイルETFだ。

UltraShort QQQ ProShares (QID)、UltraShort S&P500 ProShares (SDS)、

UltraShort Financials ProShares (SKF)、UltraShort Dow30 ProShares (DXD)、

UltraShort Russell2000 ProShares (TWM)、UltraShort Basic Materials ProShares (SMN)、

UltraShort FTSE/Xinhua China 25 Proshare (FXP)、UltraShort MSCI Emerging Mrkts ProShares (EEV)

売りサインは週足チャートで見ることができるが、最も顕著に表れている、UltraShort MSCI Emerging Mrkts ProShares (EEV、新興市場株の空売り専門ETF)の週足を見てみよう。

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超大陰線が形成され、投資家たちは、新興市場株は底を打ったと読んでいるようだ。EEVほど大袈裟ではないが、各チャートには、前週の線を包み込む陰線が出来ている。maoxian.comで記されているように、ここが大底かは分からないが、積極的な空売りを控える投資家が増えていることは事実だ。

(参考にしたサイト: http://www.intrade.com/

http://online.wsj.com/article/SB122567355463991711.html

http://maoxian.com/archive/do-bear-and-bond-fund-reversals-mean-the-bottom-is-in/

(注:電気やガスを切られる世帯数は、抜粋したペンシルベニア州に限ったことではなく、全米で見られる現象。更に、この現象は、所得の低い世帯だけでなく、中間所得層にも広がっている。)

10月のマーケットを振り返ってみよう

Sell in May and go awayという格言に従って、5月に株を売った人たちは、11月にマーケットへ戻ってくる。歴史的に見ると、11月から4月は、株が大きく成長する6カ月間だ。


波乱な10月が去ったところで、さっそく10月のマーケットを復習してみよう

・1987年の暴落があった10月以来、先月は、S&P500指数にとって、21年ぶりの最悪な月となった。(ニューヨーク・タイムズ)

・先月、世界の株式市場が失った総額は9兆5000億ドル。(バロンズ誌)

・2008年10月、S&P500指数のボラティリティは、ここ80年間で最高の数値を記録した。(ニューヨーク・タイムズ)

・先月、主要株式指数が、たった1日で9%を超える上昇を見せたことが2回あった。これと同様なことは、過去80年間で9回しか起きていない。(ニューヨーク・タイムズ)

・先月、株式市場が下げた日数は、1973年8月以来最高となった。(marketwatch.com)

・先月、米ドルはユーロに対して14.3%、カナダ・ドルに対して22.3%、そして豪ドルに対して31.8%の上昇となった。これは史上4番目の好成績。(marketwatch.com)

・金融危機の最悪な事態は去ったようだ。10月9日、5.09%だったLibor金利は、ここ6年間で最低の0.73125%まで下落した。(Bespokeインベストメント・グループ)

・先月の銅、そして原油の下げ率は史上最高。(バロンズ誌)

・先月、金価格は18%の下げとなり、これは1980年以来最高の下げ幅。

・小麦価格は、先月、22年ぶりの下げ幅を記録した。(ウォールストリート・ジャーナル)

・先月、日経225は26年ぶりの安値に転落。

・アイスランドの株式市場は、先月、81%の大暴落。(marketwatch.com)

バリー・リットホルツ氏(ritholtz.com)は、こう書いている。

「たしかに大幅に売り込まれていた、という事実もあるが、先週の株式市場は悪くなかった。何と言っても11%の上昇だ。」

なるほど、11月を待たずに、既に底値拾いは始まっていたようだ。

(参考にしたサイト:http://www.ritholtz.com/blog/2008/11/bad-month-to-stop-sniffing-glue/

 

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こんな株が買えるのか?

「Trading with TK」というブログがある。TKという私と同じイニシャルということもあって、毎日読むようになってしまったのだが、書いているのは、ニューヨーク証券取引所スペシャリストを務めたケビン・フィーハン氏だ。


オッサン、といった感じのフィーハン氏だが、木曜のブログでこう語っている。(動画だから、書いているのではなくて、本当に語っている様子を見ることができる。)

「頭の切り換えをしなくてはいけない。投資家たちは、ベアマーケットという見方に固執してしまっているが、マーケットは底を打ったと思う。ブレイクアウトは時間の問題だ。」

更に氏は、買い候補として二銘柄を挙げ、実際にチャートを見ながら、なぜ買いなのかを簡単に説明している。下は候補の一つ、First Marblehead Corp. (FMD)の日足チャートだ。

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(木曜の終了時点  終値1ドル41セント)

50ドル、100ドルといった株価に慣れている人には、この株価を見ただけで嫌になってしまうと思うが、First Marblehead Corp. (FMD)はニューヨーク証券取引所に上場されている。

繰り返しになるが、氏はチャートを使って、なぜ買えるのかを説明したわけだから、収益などのファンダメンタルズは全く考慮していない。しかし、これだけダウントレンドがハッキリした株が、どうして買い候補なのだろうか?

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・先ず、明確なサポートレベル(1)が出来ている。

・買いパターンである、上昇トライアングル(3)が形成されている。

・買いは、木曜の終値(1ドル41セント)近辺。目標株価は4ドル50セント(2)。損切りはサポートレベル割れ(1ドル17セント)。

ということで、翌日金曜、この株を追ってみた。

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(10分足)

・金曜の寄付きはAの陰線。(もしフィーハン氏が有名人だったら、大きな窓を開けて、取引が始まったことだろう。)

・最初の30分間は何もなかったが、抵抗線(赤)を上放れたBの陽線の終値(1ドル56セント)で買い。

・思惑が外れて、抵抗線(赤 1ドル49セント)を割ってしまったら損切り。

・上昇するトレンドライン(青)を割った、Cの終値で利食い(1ドル71セント)。

単純計算すると利益は9.6%ほどになるが、言うまでもなく、買い材料になるようなニュースは発表されていない。それに、この株を追っているアナリストは3人だけだから、証券業界では全く注目されていない銘柄だ。

しかし、だからと言って、日足チャートを見た全ての人に、フィーハン氏のように上昇トライアングルが見えたわけではない。おそらく、ほとんどの人たちは、アップトレンドが明瞭にならなければ買うことはないだろう。

ここで、ラリー・ウィリアムズ氏の言葉を思い出した。「誰が見ても、明らかに買いだ、という時点での買いは遅すぎる。買いは、黄信号が青に変わる寸前にするべきだ。」

(情報源:フィーハン氏のサイトhttp://www.tradingwithtk.com/2008/10/picking-up-bargains-2-new-ideas-jbl-fmd.html

 

あと一つ、これが確認できれば底は近い

アンドリュー・ミッキー氏(Q1 Publishing)によると、マーケットが完全に底打ちとなるには、五つの条件が揃う必要がある。興味深いのは、既に四つの条件が出揃った、と氏は言う。


出揃った4項目

1、記録的に高いボラティリティ指数(VIX)

金曜、恐怖指数という異名を持つボラティリティ指数(VIX)が、史上最高値の89.53を記録した。前回の底では40台、その前の底ではVIXは50台だった。

2、弱い投資家たちの退散

トリム・タブズ社の調べによると、今年8月、9月、10月のミューチュアル・ファンド解約数は史上最高だ。大衆が、マーケットから逃げているわけだが、大衆の売買タイミングの悪さには定評がある。

3、クローズドエンド型ファンド指標

二週間前、上場されている597のクローズドエンド型ファンドで、純資産価額以上で取引されているのは、たった18しかなかった。投資家たちは極めて弱気だ。

4、万年ベアがブルに変身

どんなにマーケットが好調な時でも、弱気論を主張し続ける著名投資家たちがいる。そんな一人として有名なジェレミー・グランサム氏が、最近こんなことを言った。「これほど魅力的な株価を、ここ20年来、私は見たことがない。」 底が近いようだ。

まだ確認されていない1項目

悪材料が悪材料でなくなる

最近のマーケットは、悪いニュースに素直に反応している。失業率上昇、と発表されれば株は売られ、不景気のヘッドラインが出る度にマーケットは下げている。更に、好材料と思える、連銀による膨大な資金注入が報道されてもマーケットは下げてしまう。とにかく、悪いニュースが発表されてもマーケットは下げない、という現象が出てくることを待つ必要がある。

ということで、ミッキー氏は、最後にこう付け加えている。

「やがて訪れる、絶好の買いチャンスに備えて、現金を十分に蓄えておいてほしい。」

 

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(情報源:http://seekingalpha.com/article/102632-five-signs-of-a-market-bottom?source=feed

ターゲットは地方銀行

予想されたとおり、0.5ポイントの金利引き下げが実施され、FF金利は1%、そして公定歩合は1.25%に設定された。

先ず、オンライン調査の結果から見てみよう。


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(AOLより)

質問: 政府から救済資金を受け取った企業の幹部たちに、年末のボーナスは支払われるべきだろうか?

回答:

支払われるべきではない  97%

支払うべきだ  2%

分からない  1%

総回答数: 5692

救済資金の行き先は、銀行や証券会社などの金融機関なのだが、ブルームバーグの報道によれば、政府は経営に切羽詰った銀行を避け、さほど差し迫った危機の無い銀行に資金を渡しているという。 

全米の銀行を対象に、政府は1600億ドルの救済資金を割り当てたが、そのほとんどは比較的まだ余裕のある銀行が受け取り、今すぐ現金が必要な銀行には送られていない。そのため、弱い銀行の経営は更に悪化し、倒産またはライバルに吸収合併されるしかない、と多くのアナリストは見ている。

「強い者は更に強くなり、弱い者は更に弱くなる、という事態が起きている。現に、あまりにも評価の低い銀行は、資金の申請をすることすら難しい。」 ギャリー・メドリン氏(Carson Medlin Co)

ということで、PNCファイナンシャルが、救済資金を受け取った直後、競争相手のナショナル・シティ・コープを買収した一例が示すように、公的資金の注入は買収活動を活性化させる結果となった。

ブライン・ケリー氏(カヌンドラム・リサーチ)は、こう述べている。

銀行は、受け取った救済資金を企業や消費者に融資するのではなく、ライバル会社の買収に使うことを決めた。政府関係者は、ウォールストリート・ジャーナルの記事で分かるように、買収活動に対して好意的な態度を示しているから、今後も地方銀行の吸収合併が続くことになりそうだ。

では、一般投資家たちは、この地方銀行買収というテーマに、どんな形で投資したら良いだろうか?ケリー氏の話に戻ろう。

「地方銀行を一つ一つ調べて、有望な銘柄を買う手もあるが、一番手っ取り早いのは、地方銀行に投資をしている上場投信、Regional Bank HOLDRS ETF (RKH)を買うことだ。」

公的資金が買収に使われることに対して反感を抱く消費者も多いが、こんな形で救済資金が利用されることで、金融、株式市場は少しずつ上向きになっていくことだろう。

 

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(情報源: http://money.aol.com/

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601109&sid=amABF5wPNrf0&

http://kanundrumperceptionisreality.blogspot.com/

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