11月27日は感謝祭。オンラインの辞書に、こういう説明が付け加えられていた。「この日前後からクリスマス明けの新年早々まで、米国はお祭ムードに包まれ、さまざまな催しやバーゲンなどが開催される。」
感謝祭の翌日は「ブラック・フライデイ」と呼ばれ、小売業者にとって年間で最も重要な、クリスマスの買い物シーズンがスタートする。ブラック・フライデイという名前が付いた理由は、この日からクリスマス商品を買い求める客が大幅に増え、赤字だった店も黒字になるためだ。
しかし不景気な今年、小売業者には厳しい年末になることは既に予想されているのだが、更に商売の妨害になりそうな、こんなヘッドラインがあった。
「ブラック・フライデイで買い物を避ける8つの理由」
さっそく理由を見てみよう。
1、安売りされているのは不要なものばかり
広告に表示されている値段は、たしかに安い。あなたが魅力を感じているのは値段であり、商品その物ではない。
2、時間の無駄
その安い商品を手に入れるために、あなたは長い列に並ばなければならない。そんなことに時間を使うより、あなたの家計を見直して、金の節約方法を検討するべきだ。
3、目当ての商品を手に入れることができない
もう一度、広告をよく見てほしい。その値段で販売されるのは先客200名などという断り書きがないだろうか?
4、目当ての商品を手に入れることができない その2
割安商品のほとんどは、ブラック・フライデイを専門とする、プロのショッパーたちに取られてしまう。
5、安売りされているのは不要なものばかり その2
いったん店に入ってしまえば、あなたは要らない物ばかりで、買い物かごを一杯にすることだろう。
6、時間の無駄 その2
長時間列に並んで、目当ての品を手に入れたとしよう。問題は、その商品には、列に並んで買うほどの価値が無いことだ。
7、価格は思っているほど割安ではない
50%割引、などと書かれていると、つい買ってしまうが、他の店と値段を比較することが大切だ。
8、価格は思っているほど割安ではない その2
わざわざ店に行く必要は無い。多くの場合、同じ品物をオンラインでもっと安く買うことができる。
(情報源: http://eow.alc.co.jp/Thanksgiving+day/UTF-8/
http://www.walletpop.com/specials/the-street/8_reasons_you_should_skip_black_friday_sales)
積極的な買い手が、なかなか現れない。不景気なのだから当然だ、と片付けてしまう人もいるが、やはりこれだけウォール街の醜態を見せつけられては、株を買おうなどという気になれない投資家が多い。
複雑な、訳の分からない不動産ローン証券/不動産担保証券で膨大な損を出し、挙句の果ては経営難に陥り、ポールソン財務長官(ゴールドマン・サックス最高経営責任者歴任)に泣き込んで、7000億ドルの金融安定化法案を可決させた。
金融市場の混乱で株は大きく下げ、401K(企業年金制度)は201Kになってしまった、というジョークがあるくらい庶民の口座残高は大打撃を受けた。しかし、7000億ドルの可決直後、ウォール街のしたことは700億ドルにおよぶ幹部連中へのボーナスの支払いだ。
ウォール街が失った信用を回復するには、かなりの時間がかかると思うが、マーケット関係者が語る、投資家が積極的になれない他の理由を見てみよう。
・ランディー・フレデリック氏(チャールズ・シュワブ): 11月13日の動きで分かるように、マーケットはサポートレベルに接するたびに、一転反発するというパターンが、ここ2カ月ほど続いている。問題は、このサポートレベルが崩れた場合、マーケットは、いったいどこまで下げるだろうかという不安感がある。
・ジェームズ・リード氏(UMBスカウト・ファンド): 選挙が終わり、次の大統領は誰になるか、という疑問は解決した。しかし現時点では、オバマ氏が、実際にどのような政策を実施できるかは分からない。
・スティーブ・ニーメス氏(AIGサン・アメリカ・アセット・マネージメント): 10月、米国失業率は6.1%から6.5%に上昇しただけでなく、多数の企業が年末から年始にかけて社員を削減することを発表している。もし失業率が8%を超えるような事態となれば、個人消費はいっそう冷え込み、予測されている2009年度経済回復は難しくなる。
・ランディー・フレデリック氏(チャールズ・シュワブ): 明確になった景気の後退で、ほぼ全ての主要小売業者が、年間で最も重要なクリスマスの売上予想を下方修正し、株式市場に悪材料となっている。しかし、かなり大幅な修正だから、この低くおさえられた予想を上回る売上結果が発表されれば、マーケットに好影響となる可能性はある。
・ジェームズ・リード氏(UMBスカウト・ファンド): 株式市場の低迷で、ヘッジファンドも大きな損を出している。そのため解約者が殺到しただけでなく、経営危機から脱するために、株を売って資金繰りをしなければならないヘッジファンドもある。問題は、私たちには、ヘッジファンドによる売りが、いつになったら終了するのかが分からない。
・ラルフ・シーブ氏(ファースト・ソース・ファンド): 世界の政府が、膨大な資金を注入して、金融市場の安定化を図っているが、それが成功するかは、まだ誰にも分からない。
(情報源:http://www.businessweek.com/investor/content/nov2008/pi20081114_324602.htm
http://www.huffingtonpost.com/2008/10/18/wall-street-banks-pay-bon_n_135878.html)
週末の話題は、何と言ってもゼネラル・モーターズ(GM)だ。金融機関を救済したのだから、政府はGMを見捨てるべきではない、という声もあるが、CNNのオンライン調査では半数近い人たちがGM救済に反対している。
ジム・クレーマー氏は、金曜の「マッド・マネー」で、こう語っている。
GMの経営状況が、日に日に悪化しているのは誰でも知っていることだ。それに、政府が数十億ドルという救済資金をGMに貸しても、GMには返済能力が無いことも誰もが承知している。しかし、GMを破綻させてしまえば、それは米国経済に大きな悪影響を与えることは明らかだ。
GMの倒産は、単にGMが潰れるだけでなく、それに関連した企業の破綻を引き起こし、結果的に数百万人の失業者を生むことになる。そんなことになれば、ただでさえ冷え込んでいる個人消費が更に大きく落ち込み、ダウ指数は2000ポイントを超える下げになるだろう。
次期大統領のオバマ氏(民主党)、そして、議会の過半数を占める民主党議員はオバマ氏支持だから、GMが救済資金を受け取ることは、ほぼ間違いないのだが、やはり実際に可決されるまでは不安になる投資家が多い。そこでクレーマー氏は、こんな提案をしている。
はっきり言って、たとえ政府がGMの救済を決めたとしても、どう救済するのかという詳しい内容は現時点では分からない。投資家にできることは、政府からの決定を待って、今の段階では何もしないこと。または、ニュースが発表される前に持ち株を処分してしまうこと。どちらにしても、政府がGMを救済する、というはっきりした態度を示すまでマーケットに戻ることはできない。
最初に記したように、約半分の人たちは、GM救済に反対だ。救済反対者の一人、ラリー・マクドナルド氏(canadianbusiness.com)は、こう述べている。
国民の税金を使ってGMを救ったとしても、高い生産コストが改善されることはなく、GMの競争力が強化されることはない。要するに、今ここでGMを救済することは単なる短期的な対策であり、長期的な問題解決にならない。
GMにとって、そして米国消費者にとって一番良いのは、GMが連邦破産法第11章の適用を申請することだ。そうすることで、GMは極めて高い労働コストから解放され、会社再建に向けて一からやり直すことができる。
政治的に見れば、ここでGMを破産させるのは適切な措置ではない。もしGM救済が議会で可決するなら、労働組合は現状を正しく把握して、経営陣から要求されている労働コスト削減計画を受け入れる必要がある。世界の人々が厳しい経済状況に直面する今日、GMだけを特別扱いするのは理解できない。
(ジム・クレーマー氏)
(情報源: http://www.thestreet.com/story/10448166/1/cramers-mad-money-recap-nov-14.html?puc
http://seekingalpha.com/article/105960-better-to-let-automakers-go-bankrupt)
不景気のアメリカ、ショッピング・センターの駐車場はガラガラだ。個人消費が冷えこみ、クリスマスを控えて小売業者は頭が痛い状態なのだが、こんな状況の中でピストルやライフルの売上が好調だ。
早速このことを掲示板に書いたら、こういう返答があった。
・不景気になって、治安が悪くなると見込んでの護身用なのでしょうが、物騒な話ですね。
・「おい、前のやつ早くしろ」
「こら、割り込むんじゃない!」
「いったい何時間待たせるんだ!!」
と、銀行の窓口で銃を片手に行列を作って
順番待ちをしている銀行強盗たち。
…という場面が頭に浮かびました。
実は私も、「不景気になって、治安が悪くなると見込んでの護身用」、と思っていた。しかし、ニュースを読んでみると、理由はそうではなかった。
火曜の選挙で、オバマ氏が次期大統領に当選して以来、拳銃の売上が全米で急上昇している。原因は、オバマ氏の就任が決定したことで、銃器所持に関する法律の改正が予想され、拳銃の購入が難しくなる可能性があるためだ。
なるほど、そういう事情があったのか。ということで、拳銃銘柄を少し調べてみた。
・スミス・アンド・ウェッソン(SWHC)
通称S&Wは1852年にホーレス・スミス(1808年 ー 1893年)とダニエル・ウェッソン(1825年5月18日ー 1906年8月4日)が設立した、アメリカ合衆国最大規模の銃器メーカー。マサチューセッツ州スプリングフィールドに本社をもつ。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)から)
さて、11月10日、メリマン・カーハン・フォード社のアナリスト、エリック・ウォルド氏は、スミス・アンド・ウェッソン株をニュートラルから買いに格上げした。
選挙の前、特に10月頃から、オバマ氏優勢という報道で、銃器売上の伸びが顕著になり始めた。実際に10月を見てみると、拳銃を買う前に行われるFBIによる身元調査が、15%という大幅な上昇になった。
現在株価は2ドル38セント、ウォルド氏の設定した目標株価は4ドルから5ドルだ。
日足チャートを見てみよう。(11月13日、マーケット終了約2時間前時点)
50日平滑移動平均線(1)がレジスタンスになって、株価は短期トレンドライン(2)を既に割り、現在サポートライン(3)がテストされている。もし買うなら、4の高値突破がシグナルになり、利食いは壁になることが予想されるギャップ(5)だ。
具体的に書くと、買いは3ドル30セント、そして目標株価は4ドル35セント。損切りを甘く設定した場合は、サポート割れ(3)で行うから2ドル26セント。お分かりのように、これではリスク/リワード比があまりに悪いから買うだけの魅力は無い。
MSNマネーのストック・スカウターで調べたら、スミス・アンド・ウェッソン(SWHC)は、10段階中4という低い得点だった。特に、最近発表された収益は、アナリストたちの平均予想を大きく下回り、ファンダメンタルはFという最悪の評価になっていた。
スティーブン・シアーズ氏(barrons.com)は、こう述べている。
「本格的な狩猟シーズンだが、ハンターたちは、新しい銃や狩猟用具に大した金を使っていない。スミス・アンド・ウェッソンの売上上昇は、選挙にからんだ単なる一時的な現象だろう。」
(参考にしたサイト: http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=96799346
http://online.barrons.com/markets?mod=9_0033)
ポールソン財務長官は、7000億ドルの使い道を変更した。金融安定化法案の大きな目的は、銀行からサブプライムに関連した不良資産を買い取ることなのだが、それは良策ではない、と財務長官は言う。
ダグラス・マッキンタイア氏(247wallst.com)は、こう書いている。
今日の議会は、選挙に敗れた任期をわずかに残した議員が多く、それに感謝祭やクリスマスの休暇が近い。だから、ポールソン財務長官は、こう言っているのだ。「議会がこんな状態ですから、私が議会に代わって、国家にとって最善の対策を決定します。」
では、どう金を使うのだろうか?
救済策の次の段階では、クレジットカード、自動車ローン、そして学生ローンなどを取り扱う金融機関が対象になり、問題となっている不良資産を銀行から買い取ることは棚上げになる。
クレジットカード、自動車ローン、学生ローン、、、問題だらけだ。
掲示板の書き込みを見てみよう。
・「ということは、政府が私のクレジットカードの借金を買い取ってくれるのだろうか?」 bluecollardollarさん
・「財務長官の発言で明らかになったことは、政府は、全く状況の把握ができていなかったのだ。」 Xavier2008さん
・「国民の金融機関に対する信頼感を回復させることが大切なのだが、政府のすることは正反対だ。」 sheltcoさん
・「クレジットカードや自動車ローンの支払いが出来ない人たちを、なぜ助ける必要があるのだろう?これでは、真面目に月々の支払いをするのがバカらしくなる。」 Gars250 さん
・「金融安定化法案など名ばかりで、これは単なる罠だ。」 gasolineさん
・「いったい財務長官は何をしているのだ!このままでは、ダウ指数は6500まで下落するかもしれない。」 stevelbsさん
・「誰も自分の責任を果たそうとしない。これが今日の米国の大きな問題だ。」 LossAngelesさん
・「7000億ドル、と言っているけれども、最終的には4兆ドルに達してしまうのではないだろうか。」 Pat101 さん
・「財務長官の判断は正しいと思う。政府は銀行に資金を注入したが、銀行は金を握っただけで、全く融資しようとはしなかった。苦しんでいるのは消費者なのだから、クレジットカードや自動車ローンに焦点を合わせるのは正解だ。」 oriocookie9さん
(ポールソン財務長官)
(情報源: http://biz.yahoo.com/ap/081112/wall_street.html
http://www.247wallst.com/2008/11/paulson-compete.html
http://www.usatoday.com/money/economy/2008-11-12-financial-crisis_N.htm?loc=interstitialskip)
2000年、インフレ率調整済みの、米国世帯の中間所得は5万557ドルだった。そして7年後、その数値は5万233ドルに下落し、国民の生活レベルは全く向上していない。
5万557ドルから5万233ドルなら、ほぼ同額なのだが、多くの消費者は暮らしは苦しくなる一方だと言う。なぜ、そう感じるのだろうか?ビジネス・ウィーク誌は、こんな物価比較をしている。
(数値はインフレ率調整済み)
・一世帯の平均電気代(月)
2001年: 104ドル15セント
2008年: 117ドル59セント
上昇率: 12.9%
・平均的な車を満タンにするのに必要なガソリン代\n
2001年: 29ドル9セント
2008年: 44ドル48セント
上昇率: 53%
・ハンバーガー用の肉1ポンド
2001年: 2ドル52セント
2008年: 2ドル98セント
上昇率: 18.3%
・たまご1ダース
2001年: 1ドル25セント
2008年: 1ドル99セント
上昇率: 59.2%
・コルゲート大学の授業料(教科書代や他の教材費を含む)
2001年ー2002年: 3万3385ドル
2007年ー2008年: 3万9545ドル
上昇率: 18.5%
・プロ野球観戦(シカゴ・カブスの外野席)
2001年:24ドル71セント
2008年:36ドルー45ドル
上昇率: 46ー82%
・ニューヨークからデンバーまでのバス代
2001年:127ドル
2008年:139ドル
上昇率: 9.4%
・所得税申告書作成費(H&R Block社を利用した場合)
2001年: 134ドル41セント
2008年: 172ドル58セント
上昇率: 28.4%
逆に、大きく下がったのは薄型テレビだ。
Sony Trinitron WEGA32インチ
2001年: 2718ドル
2008年: 1199ドル
下落率: 55.9%
(情報源: http://www.businessweek.com/investor/content/oct2008/pi20081027_597415.htm?campaign_id=aol)