先日、ゴールドマン・サックスのアナリストが、1バレル200ドルという原油の目標価格を発表した。そこまで高くなるの!?、と皆を驚かせるのに十分な数字だったから、あの日はどのチャンネルもこの話題で一日が終わった。
ここで紹介したいのが、「もし、原油が200ドルにならなかったらどうする?」、と題されたデービッド・ペン氏(TradingMarkets.com)のコラムだ。要点を見てみよう。
ゴールドマン・サックス、それにニューヨーク・ポスト紙のお陰で、世界中の人たちが、原油が200ドルに達するということを知っている。しかし万が一、この的中確実な予想が実現しない場合はどうしたらよいだろうか?4つの対策があるが、3つだけ書いてみよう。
1、先物市場で原油を空売る、またはエクソン(XOM)などのオイル会社株を空売る。
これは最も分かりやすい方法だが、難点がある。急騰する原油やオイル株を空売ることは、まるで全速力で走る電車の前に飛び出すようなものだ。幸運にも、うまく天井で空売ることができれば話は別だが、間違ってしまったら膨大な損を出すことになる。
2、先ず、上記したように空売りをする。そして、空売りポジションを守るために、次のことをしてほしい。
ABCという、オイル銘柄を空売った場合なら、それと同時に、この銘柄のアウト・オブ・ザ・マネー・コール・オプションを買う。
(アウト・オブ・ザ・マネー Out-of-the-money: 「本質的価値」のないオプションのこと。Callであれば、現在の原資産価格?権利執行価格<0。Putであれば、権利執行価格?現在の原資産価格<0 『オプション売買の用語集』より)
こうしておけば、たとえ株価が上がってしまっても、コールオプションに利益が出るから、株での損をおさえることができる。思惑どおりに空売りが成功なら、あなたの利益は、保険として掛けたオプション代分だけ減る。しかし、1よりずっと慎重な投資方法だ。
3、UltraShort Oil & Gas ProShares(DUG)の買い。
この上場投信は、原油が1%下がると、2%上昇する仕組みになっている。空売りをする必要が無いから、無限大の損を出す心配がない。
原油価格は現在1バレル123ドル90セント。
(ゴシップ紙で有名なニューヨーク・ポスト紙)
(参考にしたサイト: http://www.forbes.com/personalfinance/2008/05/14/xom-dug-gs-pf-trades-in_dp_0514dailytrades_inl.html
http://www.optionclub.net/yougo.html)
同じ銘柄を見ていても、これは買いだ、売りだ、と意見が分かれてしまうように、経済学者たちも正反対の結論を発表する傾向がある。具体的に言えば、今日の米国経済状態だ。アメリカは不景気だろうか、それとも成長のスピードが、単に遅くなっただけだろうか?
先ず、チャートを見てみよう。
(Bespoke Investment Groupより)
2本の線は、向こう12カ月以内に、アメリカは不景気に陥る可能性がどれくらいあるか、という質問に対する回答を表している。
青い線は、経済学者の回答を示し、4月の70%の確率で不況になる、という高数値から55%に下がっている。赤い線は、Intradeで取引されている経済予想コントラクトの動きを表し、4月の72.9%から27.3%に大きく下落している。
(注: intrade.comは正式な先物市場ではなく、誰もが参加できる予想相場だ。経済の動向だけでなく、次の大統領は誰か、などといったことにも賭けることができる。)
アメリカは既に不景気だ、と主張する経済学者は、4カ月連続で悪化している雇用状況を挙げている。しかし、経済が衰えているとは言っても、GDPは依然としてプラス成長だから、不景気という結論を引き出すのは早すぎる、と反論する専門家も当然多い。
ベン・スタイン氏(経済学者、著述家、タレントと様々な分野で活躍)は、こう語っている。
「4月、アメリカは雇用者数が2万人減った。アメリカの総労働人口は1億6000万だから、8000人に1人が職を失った、ということになる。言うまでもなく微々たる数字だ。
更に付け加えれば、不景気の定義は、2四半期連続でのGDPマイナス成長だから、今の米国経済には全くあてはまらない。しかし、マスコミは躍起になって、アメリカは既に不景気だ、と報道している。
事実は、アメリカの雇用状況は健全であり、住宅市場もマスコミが言うような悲惨な状態ではない。経済レポーターたちの経験は浅く、彼らは単に自己の栄誉を求めて、偏見に満ちた報道をしているだけだ。」
結論: 「経済学は陰気な科学だ。」 トーマス・カーライル
追伸: 岡本氏のブログは陽気です。
ベン・スタイン氏
(参考にしたサイト: http://bespokeinvest.typepad.com/bespoke/2008/05/economist-reces.html
http://www.msnbc.msn.com/id/24542696/
http://finance.yahoo.com/expert/article/yourlife/81478)
BLUNT MONEYというブログを見つけた。先ず、書いている人の自己紹介が面白い。「私は、アメリカ南西部に住む再婚した母親です。クレジットカードの借金が1万5000ドル以上(約154万円)あったこともあります。離婚、失業、起業、それに不満足な仕事をしていた経験もあります。
最近、私が力を入れているのは、自分の小さなビジネスを大きくすることと貯蓄です。投資の勉強も始めました。夫婦共稼ぎで、毎月住宅ローンの支払いをしていますが、これが現在私たちにある唯一の借金です。」
「私」としか書かれていないから、この女性の名前は分からない。BLUNT(単刀直入)MONEYというブログのタイトルで分かるように、一個人の率直な意見が書かれているのは確かだ。
たとえば、5月12日のブログには「簡単な一つの質問で、あなたの人生を変える方法」という壮大な見出しが付いている。そんな旨い方法がある筈が無い、と思いながら読んでみたが、彼女の言っていることは間違っていない。
簡単な一つの質問というのはこれだ。「今これから自分がしようとしていることは、ゴール達成にどう影響するだろうか?」この質問は、色々な状況で利用することができる。たとえば、あなたは家を購入するために、毎月貯金しているとしよう。ある日、ショッピングセンターに行くと、好きなゴルフクラブが10%割引セールされている。ここで、自分にこう質問する。「このゴルフクラブを買うことは、毎月の貯蓄にどう影響するだろうか?」
5月6日は「ぬるま湯」の話だ。
カエルを沸騰する湯に入れたら、あまりの熱さに、カエルは当然そこから飛び出そうとする。しかし、ぬるま湯に入れて、ゆっくりと加熱していけば、カエルはかなりの熱い湯にも平気でいることができるようになる、という話を皆さんも聞かれたことがあると思う。
要するに、この「ぬるま湯」の法則を実生活に応用すれば、ゴールを達成することができる、ということなのだが、段階を追って物事を進めることは大切なことだと思う。何気なく車の運転をする私たちだが、最初は教習所に通って運転を習った。野球の選手だって、先ず速球を投げることから始めて、いきなりフォークボールを覚えようとする人はいない。
これは、機会があればいつか書こうと思うが、トレードがうまくいかない一原因は、段階を飛ばしているためだ。もちろん、これを買ったら儲かりますよ、と人から聞いた話で株を始める人が多いから、段階を飛ばしてしまっても仕方ないかもしれない。
さて、大引けまで30分。証券会社と銀行が好調な月曜だ。
(参考にしたサイト: http://www.bluntmoney.com/)
金曜、原油は1バレル125ドル96セントの新高値で終了し、早速こんな報道があった。「国際宅配業者フェデラル・エクスプレス(FDX)は、高騰する燃料費を主な理由にして、1ドル60セントから1ドル80セントが見込まれていた第4四半期の一株利益を、1ドル45セントから1ドル50セントに下方修正した。」
もちろん、この下方修正に驚いた人はいないだろう。これだけ原油が上昇した今日、同様にガソリンやジェット燃料も上がっているわけだから、運送業者は大変だ。
ここで下のチャートを見てほしい。
上昇する矢印で分かるように、はっきりとしたアップトレンドだ。iShares Dow Jones Transportation Average (IYT)という上場投信の日足なのだが、これは、ダウ輸送株指数に連動する仕組みになっている。
とうぜん不思議なのは、高騰する原油や燃料費にもかかわらず、輸送株指数が好調だった、とい事実だ。
もう少し、iShares Dow Jones Transportation Average (IYT)を調べてみよう。
(ヤフー・ファイナンスから)
上は、iShares Dow Jones Transportation Average (IYT)が投資している、上位10銘柄だ。金曜下方修正の、フェデラル・エクスプレス(FDX)が、4番目に見える。FDXの右横の数字は9.26、と示され、これは9.26%の資金がフェデラル・エクスプレス(FDX)に投資されている、という意味だ。
金曜大引け後の時間外取引を見てみると、フェデラル・エクスプレス(FDX)は3.25%の下げ、そしてライバル会社United Parcel Service, Inc. (UPS 表の一番下)は、1.25%ほど下げている。
(nasdaq.comから)
これは、アナリストが、フェデラル・エクスプレス(FDX)をどう推奨しているかを表している。6人が強い買い、2人が買い、そして8人がホールド、という状況だが、会社側から予想以下の見通しが発表されているだけに、格下げの可能性がある。今週は、輸送セクターに注目してみようと思う。
(参考にしたサイト: http://biz.yahoo.com/ap/080510/fedex_outlook.html?.v=2)
ブレット・スティンバーガー氏(「精神科医が見た投資心理学」の著者)が、水曜のコラムで、トレード心理の中核になる10項目を簡単に説明している。さっそく見てみよう。
1、状況の変化で苦しい状態に陥ると、トレーダーは衝動的な行動を起こし、トレードの計画やルールを簡単に破ってしまう傾向がある。
2、苦しい状況に直面したら、トレーダーは二つのことを適切に把握する必要がある。それは、状況自体の正しい分析と、その状況を自分がどう受け取っているかの分析だ。
3、トレードをコントロールするためには、トレーダーは、苦しい状況に瀕した際に生じるストレスを減らす方法を学ぶ必要がある。
4、ストレスを減らす方法の一つは、トレード株数の適切な調整だ。(いつも同株数で売買するのではなく、状況に応じてポジションを変える必要がある。)
5、悪い状況で落ち着いて行動するためには、そんな状況で、どんな行動をとるべきか、どう考えるべきかをあらかじめ準備しておこう。
6、苦しい状況では、正しいトレード方法を身に付けることはできない。トレード技術の習得は、ストレスの少ないトレード環境が必要になる。
7、トレードに対する意欲、そして正しい心がけがなければ、どんなに環境が揃っていてもトレードを習得することはできない。
8、トレードを習得するには、それなりの時間と努力が要るだけでなく、効果的な練習方法も必要になる。
9、トレードの練習には、適切な数段階のゴールの設定、そしてタイムリーな評価やアドバイスも必要だ。
10、練習したからといって、100%完璧なトレーダーになれることはない。重要なことは、トレードに対する意欲を保ち続けて、間違いを直ぐに修正していく態度だ。
(参考にしたサイト: http://traderfeed.blogspot.com/2008/05/ten-core-ideas-of-trading-psychology.html)
http://kabukeizainani.blogspot.com/
原油が1バレル122ドルを突破し、またまた高値の更新だ。おまけに、ゴールドマン・サックスからは、1バレル150ドルから200ドルの新予想も発表され、なかなか原油のブルマーケットは終わりそうにない。