US Market Recap

何も買う予定はない

まだ夏休みは終わっていないが、ウォールストリートは、back to school sale(新学期セール)の売上を心配している。ガソリン高、食品高の今日、節約ムードが高まり、親たちの格安品志向がいっそう強くなるのは間違いない。


調査結果から見てみよう。

・America's Research Group社: 今年の新学期セールは2%の減少になりそうだ。正規の値段を払う、と回答した消費者はたった1.5%に過ぎず、11%だった2007年から大きく下がっている。

・全米小売連盟: 全体的に見れば、売上は去年とほぼ同レベルになると思われるが、例外は電子機器だ。低迷する経済は、特に大学生たちに悪影響を及ぼし、電子機器の売上高は22%ほど下がるだろう。

・International Council of Shopping Centers(国際ショッピングセンター協議会): 90%の世帯が、買い物はディスカウント店ですると回答し、去年の数値を16%上回った。

・デロイト社(国際的な会計、コンサルティング会社): ほぼ10人中9人が、買い物はディスカウント店を利用すると回答し、子どもが欲しいものを買うのではなく、本当に必要なものだけを買うと答えている。

ブリット・ビーマー氏(America's Research Group社)は、こう語っている。

「消費者たちは、こうするつもりだ、と回答しても実際にそうしない場合があります。しかし、10月からの傾向を見ると、消費者たちは、本当に回答どおりの行動をしています。何も買う予定はない、と回答している人も結構いましたから、今年の新学期セールは厳しい結果になりそうです。」

ビーマー氏は、更にこんなことも指摘している。

「学生たちは、夏休みはアルバイトですが、問題は肝心な仕事が見つかりません。雇用状況は、ここ30年間で最悪な状態です。」

こんな状況だから、各小売店は、大幅な安売りを実行して、消費者の獲得に必死になることだろう。しかし、ビーマー氏が言うように、肝心な仕事が見つからないのでは、どんな安売りも効果は無い。

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(情報源: http://www.marketwatch.com/news/story/strain-household-budgets-crimp-back-to-school/story.aspx?guid={2DC0A419-D1E2-4D6F-ADB9-2DFCB66AD825})

ターミネーターはカリフォルニアを救えるか?

ハリウッドやショービジネスのおかげで、他州の人たちは、カリフォルニアは華やかで金持ちの州と思っているようだ。しかし現実は、経営危機に直面している政府系の住宅金融会社、ファニーメイやフレディマックと全く変わりが無い。


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この顔を覚えている人も多いと思うが、アーノルド・シュワルツェネッガー氏(カリフォルニア州知事)は、州を財政難から救うために(事実上カリフォルニアは破産状態)次のような計画を発表をした。

約20万人の州政府職員の時給を、正式な予算が議会で通過するまで、法律で定められている最低賃金6ドル55セント(約700円)に引き下げる。(正式な予算が決まれば、失われた分の時給は払い戻される。)更に、1万9000人のパートタイマーの解雇、全職員に対する残業手当も廃止する。

この州知事の計画は、来月から実施される見込みだが、労働組合が裁判沙汰にする可能性があるとも報道されている。

ロサンゼルス・タイムズの掲示板に書き込まれた、読者の意見を、いくつか見てみよう。

・「州知事の計画に賛成!一般企業にとって、経営状態が悪くなれば、解雇や給料の削減は当たり前のことだ。この計画が実施されることで、州政府に勤める人たちも、やっと現実に直面することができるだろう。」 Grantさん

・「この6ドル55セントの時給は、州政府の議員たちにも適用されるのだろうか?しかし、何もしない議員に、6ドル55セントは払いすぎだ。」 FHBILLさん

・「ふざけた計画だ。州政府の職員には家族があり、家賃や食費、子どもの教育費を払わなくてはいけない。私たちは、シュワルツェネッガー州知事のような金持ちではない。」 alan winさん

・「私も州知事に賛成だ。州政府には無駄が多すぎる。教職員組合などは、州政府の金を使って、豪華リゾートで休暇をとっている。」 pete sommerさん

・「人間には、荷車を実際に押すタイプと、荷車に乗る二つのタイプがある。州政府の職員は、後者の荷車に乗るタイプであり、単に納税者の負担になっているだけだ。この際、徹底的に無駄な部門を切り捨てるべきだ。」 Mikeさん

・「6ドル55セントに引き下げ?それでも払いすぎだ!」 woodwoseさん

・「私は州政府の職員だが、皆さんが思っているような高級は取っていない。財政難を、職員の責任にする州知事は間違っている。それよりも、正式な予算が決まるまで、議員たちの給料を削減するべきだ。」 Charlesさん

・「そもそも、20万人の正規職員は本当に必要なのだろうか?不景気な今日、消費者たちは節約しているのだから、州政府も当然そうするべきだ。」 Allanさん

(情報源: http://www.latimes.com/news/local/la-me-budget24-2008jul24,0,7487129.story


株の話、経済の話、何の話だろう?

悪材料リスト

マーケットは、7月15日に底を打った、と言う人たちが多い。大きく叩かれていた銀行、証券株は強力なラリーを展開し、たしかに投資家たちはホッとしている。ここで、必要以上に楽観的にならないために、バリー・リットホルツ氏(リットホルツ・リサーチ)の指摘する現状リストを見てみよう。


・ゼネラル・モーターズやフォードに限らず、トヨタまでもが、2008年度の自動車販売台数は予想以下になると発表。

・iPodとiPhoneで好調なアップルだが、個人消費の下降を理由に、2008年度後半と2009年度の利益減少を予想している。

・高収入な客層で知られるアメリカンエキスプレスからの発表によれば、月々の支払いが不可能になる人たちが増えている。これが示していることは、信用度の高い消費者にも、経済低迷の悪影響が表れ始めているということだ。

・最近の原油価格下落で、多くの投資家が株式市場に対して強気になった。しかし、原油下落が意味するのは、世界的な経済スランプで原油需要が減るということだから、これは株の買い材料にならない。

・不況に耐えることができる、と言われていた大型ディスカウント店、コストコが売上の下方修正をした。リチャード・ガランティ氏(最高財務責任者)は、悪化するインフレ、特に予想以上に値上がったエネルギー・コストを指摘している。

・相変わらず住宅ローンの申込み者数は減り続け、住宅市場回復の兆しが見えない。

ジョン・マークマン氏(The Daily Advantage)は、こう述べている。

「これはベルキン氏から学んだことだが、株や指数が200週移動平均線を割ると、200月移動平均線まで下げてしまうことが多い。好例は、インテル、シスコ・システムズ、オラクル、そして銀行株指数だ。もう一つ知っておいてほしいのは、2002年、ナスダックが底を打った場所も200月移動平均線だった。」

現在、ダウ指数は11431、ナスダック指数は2300、S&P500指数は1261だが、どれも既に200週移動平均線を割っている。下記が、現時点における、気になる200月移動平均線の位置だ。

・ダウ指数 8360

・ナスダック指数 1771

・S&P500指数 981

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ジョン・マークマン氏

(情報源: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/SuperModels/MarketAtBottomDontBelieveIt.aspx

http://bigpicture.typepad.com/comments/2008/07/no-recession-no.html

 

株の話、経済の話、何の話だろう?

 

高配当銘柄の選び方

株価が下がると上昇するものは何でしょうか?

1、血圧  2、空売りの利益  3、配当利回り  4、飲み代


ベアマーケットのおかげで、多くの銘柄が下げ、その結果10%を超える配当利回りが目につくようになった。問題は、どの高配当銘柄が投資対象になるかを確認することだが、ハリー・ドマッシュ氏(winninginvesting.com)は次の条件を挙げている。

・現在の配当利回りは8%から20%あること。(20%を超える利回りは、経営内容に問題があることを示している場合が多い。)

・小型株を避けて、時価総額が10億ドル以上の銘柄だけを対象にする。

・株主資本利益率は10%以上あること。

・機関投資家による所有率が30%以上あること。

・アナリストによる推奨平均はホールド以上あり、売りが推奨されていないこと。

・来年度の一株利益成長率は、少なくとも1%以上が予想されていること。

・ファンダメンタル内容はCクラス以上であること。

下が、上記条件を全て満たす高配当銘柄だ。(もちろん、これは買い推奨ではなく、銘柄選びの一アイディアであることを強調しておきたい。)

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(Dividend yieldが配当利回り)

(情報源: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/SimpleStrategies/7StocksPayingOutsizedDividends.aspx?page=1

 

やはり助けるしかない、、、

政府からの助けがなければ潰れてしまうような会社は倒産させるべきだ、というジム・ロジャーズ氏(投資家)のような意見もあるが、実際問題として、米国はファニーメイとフレディマックを倒産させるわけにはいかない。


両社は、単に大手住宅金融会社であるだけでなく、政府系機関でもあるから、たとえどんなに国民の重荷になっても、米政府は二社を救済することだろう。

ジム・ジューバック氏(MSNマネー)は、こう書いている。

米国の投資家だけでなく、海外からの投資家も含めて、政府系機関は米政府が100%保証しているから倒産することはないと思っている。それだけに、米政府は今回のファニーメイとフレディマック問題に対して、適切な措置方法を明確に示さなければ大変なことになる。

もし米政府が、確実性の低い救済計画を発表すれば、海外からの投資家はドル売りを実行することだろう。当然の結果として、更なるドル安が起き、原油や米国へ輸入される製品の値段が上昇する。もちろん、米国株式市場、国債市場も低迷となり、米政府は海外からの資金を得ようとして金利を上げることになるだろう。しかし、金利引き上げは米国経済に悪影響だ。

ビル・フレッケンスタイン氏(ヘッジファンド・マネージャー)の意見はこうだ。

一時的に資金を注入しても、フレディマックとファニーメイの長期的な負債問題を解決することはできない。既に、リーマンブラザーズ、ワシントン・ミューチュアル、シティグループなどの金融機関が連銀の窓口貸し出しを利用したが、経営を好転させるだけの効果は無かった。

現在、アメリカが直面しているのは悪化する不景気だ。住宅価格の下落は続き、住宅ローンの支払いが不可能になる人もいっそう増えることだろう。しかし、こんな現状にあっても、強気な株投資家が多い。おそらく、長く続いたグリーンスパン連銀の弊害だと思うが、投資家は何か起きても連銀が救ってくれると確信しているようだ。

始末の悪いことに、米国住宅市場の低迷で金融株が大きく下げたが、これは空売りの責任だ、という意見が支持されるようになった。例を挙げれば、破綻したベアー・スターンズだ。言うまでもなく、ベアーを潰したのは売り手ではなく、無謀なレバレッジを利用した投資に膨大な資金をつぎこんだ経営陣の責任だ。どんなに徹底して売っても、ファンダメンタルズの裏づけのない空売りなど成功しない。

こんな書き込みがあった。

「私は、ファニーメイとフレディマックなど倒産させるべきだと思っていましたが、ジューバック氏のコラムを読んで考え直しました。しかし、無責任な一部の人たちのために、消費者がこれだけ大きな犠牲を受けることは許すことができません。」 neohguyさん

(情報源: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/JubaksJournal/TheHugeThreatToTheUSEconomy.aspx?page=1

http://moneycentral.msn.com/community/message/thread.asp?board=MarketTalkwithJimJubak&threadid=730423

http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/ContrarianChronicles/FedsCantFixFannieAndFreddie.aspx

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1ドルストアは割高

日本の100円ストアのように、アメリカにも、1ドルストアというものがある。名前が示すように、全商品どれでも1ドルという店だが、マーリーン・アレクサンダーさんは、こんなことを指摘している。


「1ドルストアには、計算してみると割高な商品も売られていますから、1ドルという値段に誤魔化されてはいけません。」

それでは、さっそく割高商品を見てみよう。

1、練り歯磨き: 有名ブランドの「クレスト」、それに「コルゲート」の練り歯磨きは、ウォルマート(大型ディスカウント店)で同じサイズのものが37%安い63セントで売られている。

2、ボトル入りの水: 4本1ドルは割高だ。ウォルマートでは、1ケース(24本入り)2ドル65セントだから、1本あたりの値段は11セントになる。

3、サンドイッチ用のビニール袋: 1箱13入って1ドルだから、一袋あたりの値段は約8セントになる。しかし、コストコでは同じ物が1箱(150袋入り)12ドル58セントで販売され、一袋あたりの値段は2セントだ。

4、食器用洗剤: 1ドルストアで売られている洗剤は、大型ディスカウント店で売られているものよりサイズが小さい。

5、袋入りキャンディー: ウォルマートで、一袋(約900グラム入り)2ドル94セントで売られてキャンディーを1ドルストアで買うと4ドル必要になる。

6、乾電池: 1ドルストアでは、AAまたはAAAサイズの電池が4本1ドルで販売されている。しかし、ウォルマートでは、48本9ドル88セントだから、1本あたり21セントとなり1ドルストアは割高だ。

7、ナプキン: 1ドルストアで売られているナプキンは、1袋に100枚入っているから1枚あたりの値段は1セントになる。しかし、ウォルマートに行けば、1袋(350枚入り)2ドル94セントだから、1枚あたりの値段は0.84セントだ。

8、発泡スチロールの皿: 1ドルストアで販売されている発泡スチロールの皿は、1枚あたり5セントになる。同じサイズの物が、ウォルマートでは1枚4セント未満で売られている。

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(サンドイッチ用のビニール袋)

(情報源: http://www.walletpop.com/specials/worst-dollar-store-deals

週末の話題から

1、銀行株は底を打った:

バリー・リットホルツ氏は、大手三紙の、共通したヘッドラインを指摘している。


・ウォールストリート・ジャーナル: 「シティ・グループ、他銀行に底打ちの兆しが見え始め、市場の緊張感が和らぐ」

・ニューヨーク・タイムズ:「希望とヒント、金融株ついに底打ち」

・バロンズ:「選んで銀行株を買え」

http://bigpicture.typepad.com/comments/2008/07/its-unanimous-b.html

月曜から、大手金融19銘柄の空売りが規制される。期間は7月21日から7月29日まで実施され、場合によっては延長される可能性もあり、更にSEC(証券取引委員会)は他銘柄にもこの空売り制限を実施することを考慮している。

今回の措置は規制であり、指摘された19銘柄の空売りを完全に禁止するものではない、と言う人たちがいるが、実質的には完全禁止に等しい。

ブログにも書いたが、月曜から19銘柄は完全な特別扱いとなり、空売るのにやたらと時間がかかるだけでなく、最低で5%の特別料金も取られる。こんなやり方を、他銘柄にも採用することをSECは考慮しているわけだから、大手新聞の強気なヘッドラインにはうなずける。

ニューヨーク証券取引所で、スペシャリストの経歴を持つケビン・フィーハン氏は、こう語っている。

「今回の措置は、完全にえこひいきのようなものだ。例えば、フレディマックとファニーメイ(両銘柄とも19銘柄の一つ)だが、多くの当選できなかった議員、そして彼らの親戚や兄弟や友人が、これら二社で働いている。こんな二社が破綻の危機に瀕しているのだから、政府が助けるのは当たり前の結果だ。」

2、誰か鐘を鳴らした?:

http://tradinggoddess.blogspot.com/2008/07/did-someone-ring-bell.html

Trading Goddessさんからのブログだが、下の日足チャートで分かるように、ダウ指数に連動するDIA、S&P500指数に連動するSPY、そしてナスダック100指数に連動するQQQQには買いシグナルが出ている。(使われている指標は、12/26/9に設定されたMACD)

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サマー・ラリー

さすがに夏休みの金曜日、トレーダーたちは、もう遊びに行ってしまったようだ。今週のマーケットを振り返ってみると、何と言っても目立つのが、金融セクターの強力な回復ラリーだ。先ず、銀行株指数の日足チャートを見てみよう。


(大引けまで2時間)

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下降するトレンドライン(2)を突破して、V字型(1)の底が形成されている。順調に回復が進んだとしても、頭上には、レジスタンスになる可能性がある、50日移動平均線(3)と古いサポートライン(4)が控えている。

今日のローソク足には元気が無いが、実は既に、あるレジスタンスレベルにぶつかっている。

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これは、5月2日の高値から、7月15日の安値を使ってフィボナッチの値戻しレベルを入れたものだが、現在銀行株指数が突破に苦労しているのは38.2%レベルだ。

(機会があれば、いつか説明しようと思うが、フィボナッチの専門家たちは2007年が終了した時点で、7月15日の安値を予測していた。)

ここで、ジェームズ・デポーレ氏(シャーク・アセット・マネージメント)を引用しよう。

金融市場は、最悪な事態から脱した、と判断した人たちが多いようだ。もちろん、その考え方が金融銘柄のラリーを作り上げたことは言うまでもない。問題は、このような強力なラリーが起きると、投資家はあまりにも楽観的になり、このラリーは下げ基調における単なる一時的現象である可能性を考えてみようとしない。

私自身、これが上昇トレンドに転換するサインかどうかは分からないが、金融市場を混乱させた要因がまだ存在する今日、やや懐疑的な目でマーケットを監視しようと思う。

「この上昇は続くだろうか?」というコラムに対して、marcusprattさんは、こんなことを掲示板に書き込んでいる。

1、今日のインフレは、ここ27年間で最悪だ。

2、住宅市場は相変わらずスランプ状態だ。

3、失業率が悪化している。

4、自動車産業、金融業界、航空業界は相変わらず難問が山積みだ。

5、貿易赤字は全く下がる気配が無い。

6、その他にも、まだまだ悪材料はある。

(情報源: http://www.usatoday.com/money/markets/2008-07-17-stocks-thursday_N.htm

http://www.thestreet.com/p/rmoney/revsharkblog/10427577.html 注:これは有料サイトです)

 

株の話、経済の話、何の話だろう?

米国株式市場の地位は後退した???

19の金融銘柄を対象に、7月21日から空売り規制が実施されることについて昨日書いたが、人気ブロガーMaoxianは「悪質な企て」と早速SEC(証券取引委員会)を非難している。一般投資家たちの声も聞いてみよう。


「フレディマックとファニーメイが経営危機に陥ったのは、空売りが原因ではなく、経営陣がつまらない間違いを犯したためだ。今回のSECの措置は、自由市場の妨げだ。」  RealityCheck   さん

「空売りが企業の問題になるのではない。問題のある企業が空売りの原因を作っているのだ。」 Dow36000 さん  

次のコメントに移る前に、空売り規制の内容を、簡単に説明しておこう。今回SECが禁じたのは、Naked short selling(裸の空売り)と呼ばれる、株券を借りずに行う取引だ。そんな空売りは最初から違反だ、と思われるかもしれないが、場合によってはマーケットの流動性を高めるとして、裸の空売り全てが違法になるとは限らない。(注:ヘッジファンドなどが、株価の下落を目的として行う裸の空売りは違法。)

「空売りを規制するなら、買い手には株券の受け取りを義務付けるべきだ。」 donethatさん

「なぜ、これらの19銘柄だけが対象になったのだろうか?言うまでもなく、これらはウォール街にとって、とても重要な機関だからだ。今回のSECの措置で、米国株式市場の地位は大きく後退した。」 dlsyさん

「SECは当然のことをしたまでだ。何と言っても、今年は大統領選挙の年なのだから。」 sivereさん

「SECは、単に売り手を脅しているだけだ。一時的に、特定の空売りを禁じる、と言っているだけだから、実際に変えられた法律は無い。」 drop73さん

「連銀が大手金融機関の味方であることは知っていたが、今回の一件で、SECも連銀と同様であることが分かった。」 NAFTASUXさん

以前、マーティン・ツバイク氏は、投資家にこう警告したことがある。

You Can’t Fight the Fed. (連銀に逆らうな)

この有名な言葉を、「悪質な企て」と非難したMaoxianは、こう書き換えた。

You Can’t Fight the Fed(s). 

Fedにsを付けて複数形に変え、正にNAFTASUXさんと同意見だ。

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(SEC)

(情報源: http://maoxian.com/archive/maliciously-manufactured-short-covering/

http://www.marketwatch.com/news/story/can-wall-street-survive-summer/story.aspx?guid={E55F5FF7-FD71-4699-863E-B3034F6CD41D})

空売り制限命令

米証券取引委員会(SEC)は、不安定な金融市場を考慮して、7月21日から7月29日まで、19の金融銘柄空売りを制限すると発表した。更に、証券取引委は、空売りの制限を株式市場全体に適用することも考えているという。


下記が、空売りが制限された19銘柄だ。(Daiwa Securities Group Inc 大和証券の名前も見える。)

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実際に発表された、証券取引委からの文書を読んでみると、空売りを制限する理由の一つとして、破綻したベアー・スターンズ(投資銀行)が挙げられている。極めて簡単に要点を言えば、証券取引委は、ベアーを経営危機に陥れたのは、空売りの責任だと結論している。

ダグラス・マッキンタイア氏(247wallst.com)を引用しよう。

空売りは、投資家が利用できる有効な一手段だ。企業の経営陣は、株価を上げるために全力を尽くす。売り手(空売り)が暴き出すことは、王様は裸だ、という事実だ。

今回の措置は、マスコミ、投資家、そしてアナリスト達に影響を与えるのは売り手(空売り)であり、買い手にはそのような影響力は無いと仮定している。正に、武器を持っているのは一方だけだ、というわけだ。

ファニーメイ、そしてメリルリンチが問題を抱えていることは事実であり、ウソや作り上げられた話ではない。売り手がしていることは、経営陣の間違いに気付き、株を空売ることで利益を得ようとすることだ。空売りを制限することは、単に買い手を優勢にさせるだけにすぎない。

空売り制限期間は、7月21日から7月29日までと限定されているが、証券取引委は延長される可能性があることも付け加えている。

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米証券取引委員会のマーク

(情報源: http://www.sec.gov/news/press/2008/2008-143.htm

http://www.sec.gov/rules/other/2008/34-58166.pdf

http://www.247wallst.com/2008/07/damaging-the-ma.html

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