US Market Recap

ナスダックの人気日本株、インターネットイニシアティブジャパン

ナスダックに上場している、インターネットイニシアティブジャパン(IIJI)に買いが集まっている。インターネットネットワークサービスを主要業務内容とする、東京に本社を置く会社だが、なぜ突然買い人気がついたのだろう。6月13日には13ドル93セントの高値を記録したのだが、新株式発行が東京証券取引所マザーズの上場規定を満たすことができなかったため中止のニュースがきっかけとなり、6月24日には6ドル31セントまで下げてしまった。

さっそく今日の買い人気を調べてみると、こんな記事が見つかった。フールズドットコムという、アメリカの一般個人投資家たちに好評なホームページがある。そこに昨日「倍になりそうな四銘柄」というコラムが載った。簡単に推測ができると思うが、インターネットイニシアティブはその四銘柄の一つとしてあげられていたわけだ。

さて倍になりそうだという理由を要約してみよう。

アメリカオンラインがラテンアメリカで失敗した原因は、地元企業との競争に負けてしまったことにある。特にインターネットアクセス業は、地元企業に圧倒的な強みがある。インターネットイニシアティブには、すでに約12年の経営歴があり、株も取り引きが始まって6年になる。過去2か月間の株価はローラーコースターのような動きだが、一年前の夏から見れば現在の値は倍以上だ。最近の株価低迷はタイミングの悪い株式上場の失敗だが、このニュースはインターネットイニシアティブに将来性が無いという証明にならない。今営業年度は11%の伸びが予測され、マージンも好転していることから、28%の収益率も期待される。

日足チャートを見てみると、大きな空白(窓、ギャップ)が目に飛び込んでくる。この穴埋めから始めなければならないわけだから、ひとまず株価の目標は10ドル15セント近辺だ。現在の株価はまだ9ドル台だから、区切りのよい数字、10ドルちょうどのところが壁になる可能性もある。これは人間心理の話になるが、投資者たちは20ドル、30ドル、100ドルといった区切りのよい節目になる数字で売り注文を入れることが多い。9ドル99セントと10ドルの差はたった1セントだが、投資者には10ドルの方がかなり高く見えるようだ。

最後に残りの三銘柄を記してコラムを終わらせよう。

イントゥーイティブサージカル(ISRG): ロボットアームを使った手術といった説明が出てくるが、この業界をほぼ独占しているようだ。

ゲーミングパートナーズ(GPIC): ラスベガスのカジノで使用される、ポーカーテーブルやチップなどを製造している。

シリウスサテライトラジオ (SIRI): スポーツ、音楽、ニュース、そしてトークショウを中心にした有料サテライトラジオサービスだ。

極端なニュースで分かるあなたのタイプ

あまりにも強烈な違いを見せる二枚の写真だ。オリンピック開催権を獲得して躍り上がるロンドン、そしてラッシュアワーを襲った爆破事件。大地震、津波、竜巻、自然現象が引き起こした暴力ならある程度のあきらめはつくが、明らかなテロ行為とあっては怒りをおぼえるだけだ。情報網を総動員させて、イギリス政府はどこまでも犯人グループを追いかけることだろう。

テロのような極端な事件が起きると、あらためて自分はどのようなタイプの投資者かが分かるのではないだろうか。テレビやインターネットでは急激に下げるマーケットのもようが次々と報道され、いかにも暴落は間違いない、そんな気分にさせられてしまう。事件後まもなく取り引きが始まったニューヨークだが、さっそく投資コンサルタントたちからのアドバイスを聞いてみよう。

CNNのインタビューで、ファイナンシャルプランナーとして個人投資家たちの相談に忙しいマリー アダムさんの第一声は「落ち着きなさい」だった。持ち株が下がり始めると、たちまち冷静さを失ってしまう投資家が多い。もちろん恐怖心に負けて、さっさとマーケット開始と同時に株を全部処分してしまう人たちもいる。こんな衝動的な行動を防ぐためには、あらかじめ持ち株の全てに損切りの値段を設定しておくことだ。

どんなに悪いニュースでも、自分の決めた損切り値に達するまでは株を手放してはいけない。アダムさんの言葉を引用しよう。「今日どうしても現金が必要という場合は別ですが、じっと我慢して情勢を見守らなくてはいけません。特にテロのニュースは、マーケットを必要以上に動かしてしまいます。よく考えてください。テロリストたちが破壊したものは製油所などの、直接経済活動に大きな打撃を与える場所ではないのです。」

今日の爆破事件で、警備防衛関連銘柄が投資テーマとしてまた台頭してきた。サベイランスシステムで軍と契約のあるL3コミュニケーションズ(LLL)、それに防弾チョッキや防弾プレートで有名なアーモア(AH)などを投資ポートフォリオの一部に組み入れるのも一案だろう。

歓喜するロンドン、落胆のパリ、ほっとするニューヨーク

競争相手に負けるわけにはいかない。さっそくフォードそしてクライスラーも、ゼネラルモータースを真似て「社員割引セール」を導入した。社員と同じ金額で車が買えるのだから、消費者には嬉しいニュースだ。この社員割引セールだが、他の業界にも広がるだろうか。航空会社を例にあげれば、「8月2日までに航空券お求めの方には社員割引をさしあげます」、といった感じになる。

さて、次は競争相手に負けてよかった、そんな話題を紹介しよう。ご存知のように2012年のオリンピックはロンドンに決定したが、実はニューヨークもオリンピック誘致運動をしていた。ロンドンが開催権を獲得した瞬間をテレビで見られた方もいると思うが、あれほどまでに感激する価値はオリンピックにあるのだろうか。これでロンドンオリンピックは三度めになるが、この三回めは世界初の記録ということだ。

開催国になったのだからそれなりの準備をしなくてはいけない。新しい競技場やホテルの建設、それに多数の観光客を運ぶ交通機関の改善も必要だ。当然これらは買い材料、さっそくロンドン市場では建築のハンソンPLC、ケータリング業(仕出し業)のコンパスグループ、そしてホテルのヒルトンなどが中心に買われたようだ。

問題はオリンピックに必要な設備投資には膨大な資金がかかる。もちろん国のメンツが関わることだから、きらびやかな豪華なものは要らないとしても、ユニークな最新機能を備えた施設は最低限必要だ。さて肝心な資金はどこから来るのだろう。冬季オリンピックを開催した長野市民の方ならお分かりと思うが、税金が重要な資金源だ。CNNマネーから引用すれば、「オリンピックの栄光は一時的なもの、しかし財政負担は20年以上続くことも考えられる」、ということになる。

結果的には承認されなかったが、ニューヨーク市長のブルーンバーグ氏は20億ドルを投入してマンハッタンにオリンピックスタジアムの建築を提案した。これを聞いたロンドン市長は、40億ドルのオリンピックコロシアムを提唱した。もちろん、この40億ドルはイギリス国民が負担しないといけない。コロシアム、ホテル、地下鉄、テロ対策、まだまだ必要なものはある。いったい最終的なイギリス市民への請求書はいくらになるのだろう。

割安、割高の判断方法

先月ゼネラルモータース(GM)の自動車販売数は、ここ18年間で最高の水準に達した。2004年の6月と比較すると、なんと41%の伸びだ。べつに新しい車種が発表されたわけではない。この突然なゼネラルモータース人気の秘密をご存知だろうか。先月GMは一大キャンペーンを実施した。社員割引を、一般消費者にも適用したのだ。

社員と同じ金額で車が買える。こんな話なら、あなたもGMを試してみようと思うのではないだろうか。違った表現をすれば、社員割引のおかげでGMの車が割安になったわけだ。この割安、そして割高という言葉はよく株式市場で引用されるが、いったい「割安」や「割高」は何を基準に判断するのだろうか。

2カ月前まで20ドルだった銘柄が今日60ドルなら、たいていの投資者は「割高」だと言うことだろう。逆に5ドルならがぜんと「割安感」が生まれるわけだ。もちろんキャッシュフローや一株収益などのファンダメンタル的な要素で、この「割安」「割高」を判断しようとする人たちもいる。

それでは現在マーケット全体、たとえばSP500指数の水準が「割安」なのか「割高」なのかを見きわめるにはどうしたらいいのだろう。これが分かれば指数の「買い」と「空売り」のタイミングをあるていど計ることができる。そんなとき役にたつのがボラティリティー指数だ。

このボラティリティー指数の別名は「恐怖指数」とも呼ばれ、SP500と反対の動き方をする。例は悪いかもしれないが、あの人が買ったならそろそろ売りだ、といった逆指数だと思っていただければいい。下のSP500とボラティリティー指数の10分足チャートを見比べてほしい。見事な正反対の動きが分かっていただけると思う。

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独立記念日に食べてはいけないもの

連休も今日でお終い。火曜のマーケットをジリジリしながら待っている人たちもいることだろうが、たまには相場のことをいっさい忘れて頭を休めることは良いことだ。独立記念日でアメリカは連休になったわけだが、ここで面白い統計を紹介しよう。

NPDグループが300人のアメリカ人に次の質問をした。「独立記念日に絶対食べないものは何ですか?」べつに嫌いだから食べないということではないが、独立記念日に敬遠される食べ物は三つある。まず筆頭はフレンチトーストだ。朝食として人気のあるフレンチトーストだが、なぜか独立記念日にはもっとも似合わない食べ物のようだ。

中華料理、そして日本料理などのアジア系食品が二番めに敬遠される。「今日は独立記念日、うまい寿司でも食いに行こう!」アメリカに住む日本人ならそんなことを言うかもしれないが、アジア料理はアメリカ人にはご法度らしい。中華レストランは交差点ごとにあるような気がするが、独立記念日は閉店が正解だろう。

三番めはラザニアなどのパスタだ。ここで当然の疑問は、イタリア系のアメリカ人も独立記念日にはパスタを食べないのだろうか。なぜかよく分からないが、スパゲティも独立記念日にはしっくりとこないようだ。

絶対に食べないものだけの紹介で終わったら不公平だ。独立記念日に最も好まれる食べ物を記して終わろう。最大の人気食品はポテトサラダだ。まったく地味なメニューだが、500%以上の確率で、この日ポテトサラダは食べられるらしい。次がべークトビーンズ、そしてホットドックと続く。愛国精神の謎はポテト、豆、そしてホットドックということらしい(笑)。

不動産は株よりゼッタイ確実?

連休を目前にして、マーケットは思ったとおりの静かな展開となった。昨日はFOMC会議で揺り動かされただけに、今日は最初から休むと決め込んだ投資者が多かったようだ。4日は独立記念日、ロサンゼルスからニューヨークまで、街の大小にかかわらずあちこちで花火が打ち上げられる。不思議とこの日は皆アメリカ人としての誇りを感じるようだ。

さてこのアメリカ、そろそろ不動産バブルがはじけるのではないかと心配する人たちが増えている。ロイターからの報道だが、35%のアメリカ経済を支える15州の不動産が超過熱状態だという。ドットコムに代表されるインターネット株の暴落を憶えているかたもいると思うが、現在の不動産状況はインターネット株などとは比較にならないようだ。

経済学者のトーマス ヘルブリング氏によれば、これら15州の不動産が下落すれば国内総生産(GDP)に大きなインパクトを与えるという。株式市場の下げもたしかに経済にはマイナスだが、株は不動産と違って上げ下げのテンポがきわめて速い。言い方をかえれば、株式市場は不動産よりも回復力が強いということになる。控え目に見積もっても、不動産が引き起こす経済ダメージは、株の二倍以上あるということだ。

ある新聞の不動産コーナーにこんな質問が読者から寄せられていた。
「サンディエゴの物件購入を考えていますが不動産バブルが気になります。しかし金利が上がり始めているので待つよりも、やはり今のうちに買ってしまったほうがいいような気もします。不動産ローンは利子だけを返済するインタレストオンリーを利用する予定です。この物件を今すぐ買うべきでしょうか。」

この質問への回答を聞いてみよう。
「サンディエゴは向こう24か月で値下がりが予想されるトップ5に入っています。だからといって、現在の不動産ブームが始まる前の値段まで下がるわけではありません。あくまでも正当価格までの修正が予期されるということです。不動産に株のような急激な下げはありません。株の下げは風船が破裂するような勢いがありますが、不動産の場合は空気がゆっくりと抜けていくようなものです。もちろん不動産はこの高値でしばらく横ばいするだけかもしれません。」

どうやらプロも不動産熱にやられてしまったようだ。

削除されなかった二つの単語

また金利が上がった。ここ一年間で、九回めの引き上げだ。フェデラルファンズと呼ばれる短期金利が3%から3.25%になったわけだが、これはだれもが予想していたことだ。だったら、なぜダウ指数は99ポイントも下げたのだろう。すでに織り込み済みの事実なら、なにもわざわざ下げる必要はないはずだ。

マーケットを動かすためには新しいニュース(材料)が要る。今日の下げには、どんな材料があったのだろう。簡単に言ってしまえば「失望売り」だ。予想どおりの金利引上げにがっかりしたわけではない。マーケット参加者たちは、ふたつの単語「measured pace」に最大の関心をよせていた。直訳すれば規則正しいゆっくりした歩調ということだが、投資者たちはこのニ単語がFOMC後の声明文から消えることを願っていた。

measured paceの意味することは、FOMC会議が開かれるたびに実施される規則正しい0.25ポイントの短期金利引上げだ。この二つの単語が声明からなくなってしまえば、それは金利引き上げサイクルが終わりに近い証明になる。しかし今回もmeasured paceは声明から削除されていなかった。これが失望売りの原因だ。

いったいどこまで金利は上がるのだろうか。JPモルガンのストラテジスト、ジャンロイスさんはこんな見かたをしている。「海外の企業は投資に消極的なため、これが長期金利に歯止めをかける結果になっていますが、この余剰資金が米国に流入しています。これが米国景気を支えるひとつの要素になっているわけですから連邦準備理事は来年の春までに金利を4.5%まで引き上げることでしょう。」

measured paceは毎回0.25ポイント、4.5%まであと5回のFOMC会議が必要だ。

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