ドイツ証券の推奨は買い、プルーデンシャル証券もオーバーウェイトと言葉は違うが、基本的には買い。同様にUBS証券、そしてバンクオブアメリカも買い推奨だ。これだけ大手が強気なら、この銘柄は上がるはず、と思ってしまっても当然なのだが、実際は開始ベル早々から売り物が殺到した。木曜の終値は39ドル58セント、今朝の寄り付きは36ドル56セントだから、一夜で7.7%の被害が出たわけだ。
こんな強烈な下げを見せたのは、全米ナンバー1のPCメーカー、デルだ。木曜夕方に発表された決算は、予想と一致する一株あたり38セントの収益だった。しかし、アナリストが注目していたのは一株収益よりも総収入の方だ。見込まれていたのは137億ドルなのだが、結果は134億ドルにとどまり、今期来期の売上見通しが暗くなってしまった。
記者会見の席上でケビン ロリンズ氏(最高経営責任者)は、次のように述べている。「デルはIBMのようなヨーロッパや日本での業績不振はなく、急騰の続くオイル価格も当社には悪影響を与えていない。売上の面では、ラップトップコンピュータが好調だ。二つ指摘すれば、イラク再建を優先させたため、政府はハイテク企業から、予定されていた新製品を買うことが不可能になってしまった。また当社が米国内で実施した値下げは、あまりにも積極的すぎたようだ。」さらにロリンズ氏は、141億ドルから145億ドルほどの総収入を第3四半期に見込み、これはアナリストの期待する146億ドルを下回っている。これだけ材料が揃っては、今朝の買い推奨など、投資者の耳に入らなかったわけだ。
さてここで、デルの月足チャートを見てみよう。
今日一日だけなら大変な下げなのだが、長期的な立場で見れば、デルはなだらかな上昇チャンネルの中で推移している。ここで売る、というよりも、底辺近くでの反発を狙った方が面白そうだ。いくらなんでも月足は長すぎる、と言われるかもしれないが、ジックリと腰をすえて投資するなら、月足チャートは長期トレンドを読むのに欠かせない。