US Market Recap

上昇するガソリン、低下する道徳観

ガソリンの値段が、無視できない水準まで上がってきた。1ガロン(3.785リットル)の全米平均は2ドル60セントに達し、ここ一年間で39%の上昇だ。ロサンゼルスやサンフランシスコなど一部の都市では既に3ドルを突破し、消費者たちの生活スタイルに影響を及ぼし始めている。

ガソリンが値上がった、といっても給料が上がるわけではないから、先ず皆ガソリン代の節約方法を考える。手っ取り早いのは、無鉛ハイオクをやめて無鉛レギュラーに替えることだ。ディスカバリーチャンネルで、自動車番組を担当するボイド・コディングトン氏は、「ほとんどの車は無鉛レギュラーを使っても問題は起きません。例外はベンツ500SELのような、高性能エンジンを搭載した車です」、と述べている。

ほとんどの人たちは正当な方法でガソリン問題に対処するが、AP通信からこんなニュースが報道された。先週金曜日の出来事だが、アラバマ州でガソリンスタンドを経営するトニー・カディ氏が、52ドルのガソリン代を払わない運転手を止めようとして、ジープに轢き逃げされ死亡した。たった52ドルのために殺人が犯されたわけだが、業界の専門家たちは、このような事故が増えることを予測している。

2004年、ガソリン代を払わずに逃走する事件は、1100台に対して1台の割合(0.09%)で発生した。全米コンビニエンスストア協会の調べによれば、1ガロンで約1セントの利益が得られるガソリンスタンドは、もし30ドル分のガソリンが盗まれると3000ガロン(11355リットル)余分に売らないと、その穴埋めができない。

たった52ドルなどと軽率な表現をしてしまったが、逃げる車を止めようとした、カディ氏の気持ちが少し分かるような気がする。52ドルの損失を取り戻すためには、さらに5200ガロン(19682リットル)にも及ぶガソリンを売らなくてはならない。

ガソリンの入れ逃げ防止策として、代金前払いシステムを導入するガソリンスタンドが増えている。しかし、これは思わぬ悪影響を引き起こした。アメリカでは、ミニマートと呼ばれるコンビニのような店を併設しているガソリンスタンドが多い。代金前払いを実施した結果、ミニマートの利用客が減少し、重要なガソリンスタンドの収益源に打撃を与えてしまった。

最後に全米コンビニエンスストア協会、ジェフ・レオナード氏の言葉を引用しよう。「ガソリン価格の上昇は、道徳観の低下につながったようです。」

覚えておきたいもう五つのルール

情報の集めすぎは株トレードに弊害だ、というジェイク・バーンスタイン氏(MBHコモディティ社長)の意見を昨日紹介したが、氏はそれ以外に五つの注意点を挙げている。さっそく見てみよう。

1、常識的に考えすぎる。

大衆と同じ常識的な売買では、平均以上の利益を獲得することはできない。これは株の世界に限ったことではなく、人と同様なことをしていたのでは、人並な結果に終わることは目に見えている。秀でた成績を上げたければ、大衆の逆を行くことだ。常に大衆心理を疑問視する態度を身につけ、ニュースなどもあまり聞かない方が良い。とにかく理屈は簡単だ。ほとんどの人たちは損を出しているのだから、一般投資家たちのやり方は間違っている。

2、分析のしすぎ。

これをよく覚えておいてほしい。マーケットでは滅多に複雑なことは起きない。値動きは一見デタラメのように思われるかもしれないが、ほとんどの場合、事前に何らかのヒントが出ているものだ。ランダムな動きは全体の2割くらい。多くても4割を超えることはない。複数のチャートソフトで銘柄を分析することで、勝率を向上させようとしている人たちがいる。慎重に時間をかけて分析すれば勝てる、と信じているようだが、とんでもない思い違いだ。

3、損切りの幅がきつすぎる。

損切り設定の大切さをここで言うつもりはない。問題は設定場所だ。大きな損を出したくないから、買値にあまりにも近い所で損切ってしまう。きつすぎる損切りは、いたずらに損切りの回数を増やすだけだ。適切に損切りを設定をするためには、取引している銘柄や商品のボラティリティを正しく把握する必要がある。800ドルの損切り幅がある銘柄で適当でも、それがSP500指数にあてはまるという保証は無い。

4、損切りはトレードシステムの一部。

300ドルや500ドルほどの損なら大して口座に響かない。しかし、1000ドルはちょっと痛い。だから損切りは一律1000ドルにしよう、という決め方をする人がいるが、これは間違ったやり方だ。上記したように、先ず損切りで考慮するのはボラティリティだが、もう一つチャートパターンを忘れてはいけない。買った後アップトレンドが崩れるなら、たとえその時点で損が100ドルでも、素早い損切りが必要だ。

5、自分のスタイルを確立させる。

他人の意見に頼るのではなく、自分の目を信じてほしい。自分の好みに合ったトレード方法を見つけたら、それを改善して完全に自分のものにすることだ。最初は単にプロのまねから始まるが、経験を積むにしたがって、自分のスタイルに合うようにうまく調整されていることだろう。

成功への鍵、技は一つで十分だ!

ウッディーの愛称で呼ばれる初老デイトレーダー、ケン・ウッド氏のチャットルームには、毎日400人以上の人たちが集まるという。皆の目標は一つ。プロデイトレーダーとしての成功だ。希望に燃える同志たちに、ウッディーは時々こんな話をする。

「最近読んだ記事ですが、これは交通事故で左腕を失った10才の少年が、柔道大会で見事に優勝した話です。日本から来た黒帯の先生が実際に指導してくれたのですが、道場通いが始まって3ヶ月経っても、先生は一つの技しか教えてくれません。とうとう我慢ができなくなった少年は、新しい技を習いたい、と先生に懇願しました。しかし、先生は少年の願いを聞き入れません。理由は、技は一つで十分、というのです。

さらに数ヶ月の月日が流れ、先生は少年を大会に参加させる決意をしました。もちろん、少年が習得したのは、たった一つの技だけです。一回戦、二回戦、三回戦、順調に少年は勝ち続け、ついに優勝の栄冠を勝ち取ったのです。大会の後、少年は先生にこう言いました。先生は僕が、たった一つの技だけで優勝できることを知っていたのですね。

先生は微笑みながら、こう返答しました。確かにたった一つの技だけど、これは柔道で一番難しい技なんだ。君はそれを完璧にマスターした。相手が君の技から身を守るには、君の左腕をつかまなきゃいけないんだ。」

はっきりしたデータが無いから、正確な数字ではないが、デイトレーダーとして生き残ることができるのは、15%程度だと言われている。多数の人たちが挫折してしまうわけだが、ジェイク・バーンスタイン氏(MBHコモディティ社長)は、その理由をこう説明している。

「一般的なトレーダーに共通していることなのですが、皆さん沢山の情報を集めすぎです。毎朝2つから3つのニュースレターを読んで、そして次は大手証券アナリストのコメントをチェックします。もちろんテレビは一日中CNBCがつけられ、絶えず何がホットなのかを確かめます。それだけではありません。チャート分析ソフトも数種類揃え、自分の気に入った結果が出るまで、同じ銘柄を分析(?)し続けるのです。」

最後にもう一度繰り返そう。技は一つだけで十分だ。

ポーカーが教える株必勝法

ポーカーが大人気だ。一昔前では考えられないことだったが、夜7時から9時の時間帯で、ポーカートーナメントが放映されるようになった。あまりの人気に、ここロサンゼルスでは、週末ポーカーセミナーも始まっている。もちろん、プロのポーカープレーヤーとして、真剣に独立を考える人たちも増えている。

ポーカーで勝つためには、配られたカードをよく検討しなければならない。悪い手なら、サッサとあきらめる。無理な賭けをしても、軍資金をいたずらに失くすだけだ。全てのゲームに参加する必要は無い。早い話が、勝算のある時だけ勝負をすればよい。

株式投資にも、ポーカーの法則を当てはめることができる。損を出した時のことを思い出してほしい。スリルやアクションだけを求めて売買しなかっただろうか。今までの損を一度に取り戻そうとして、通常以上の株数を買わなかっただろうか。株でうまく利益を出している人には、ある共通点がある。先程の表現を繰り返すなら、悪い手ならサッサとあきらめる。勝算のある時だけ勝負するわけだ。

株売買のうまい人は、儲けのパターンを知っている。全ての人たちが同じパターンを使うわけではないが、上手な人には得意とするパターンがある。ようするに、自分の好きなパターンが見える時だけ買って、周りがどんなに騒いでも、自分の知らないパターンなら無視する。野球を例にとるなら、ストライク全てを振るのでなく、あらかじめ狙い球を決めておく。

利益を出しやすいパターンの一つに、ブレイクアウト(上放れ)がある。下はキャップストーン社の日足チャートだ。

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きれいな横ばいを展開して、今月初めに見事なブレイクアウトになったが、よく見ると面白いことが分かる。上放れの前日は、出来高が増えていたのだ。出来高はニュースを先取りする、という言葉があるが、正にこのチャートはその好例だ。とにかく株で勝つためには、セミナーなどに参加して、有効な儲けのパターンを身につけることだと思う。

革新的な解雇方法?

エスコートというフォード社から出されている小型車がある。エスコートは同伴するとか付き添う、といった意味なのだが、フォード社が苦笑いの種になっている。コスト削減対策として、ここ数年間フォードは、社員たちに自発的な退職を勧めてきた。しかし、思ったほど退職希望者の数が集まらない。

言い方は悪いが、自主的に辞めないなら首にしよう、正にこれがフォードの取った態度だった。普通なら解雇通知を社員に渡して会社から去ってもらうが、フォードのやりかたはもっと徹底している。解雇通知を持った警備員が、社員の机に向かう。簡単な事情説明の後、社員は即刻持ち物をまとめるように指示される。数分後、社員は警備員にエスコートされ社外へ送り出される。

苦笑いになっているのはフォードだけではない。オーバーストック・ドット・コム社長、パトリック・バーン氏は、氏の会社株を大きく空売っている機関を告訴した。売り手たちは共謀して、株価の下げを企んでいる、というのが告訴の理由だ。ストリート・ドット・コムのエディター、コリン・バー氏によれば、現在オーバーストック・ドット・コムは収益の170倍まで買われているという。S&P500指数に名を連ねる会社の平均は18倍だから、オーバーストック・ドット・コムは超割高だ。高すぎるものは売る、これがルールなのだが。

あまりにも割高だから売れ、よくアナリストが口にする言葉だが、だからといってそう簡単に売れるものではない。特に昨夜は富士山の夢を見たばかり、きっと良いことがあるに違いない。馬鹿らしい話かもしれないが、結構この迷信じみたものを、真実と受け止めている人が多いのではないだろうか。

たとえば、「満月は人を狂わせる」、というのがある。看護婦は「満月の日に患者が増える」、と言い、警官たちも「満月の夜に犯罪が多い」、と語る。だが、スケプティック誌の調査によれば、満月だからといって、特別なことが起きることはない。編集長の言葉を引用すれば、「満月の夜に急患が多いとか、赤ちゃんが普通の日より多く生まれる、それに犯罪が増えるなどといったことはありません」、ということだ。

「満月は人を狂わせる」、で分かるように、私たちは物事をパターン化しようとして関係のない二つの物を、無理やり関係付けてしまう癖がある。テレビに出演している人だから、この人の言うことは信用できる。医者の言うことだから間違いないだろう。A社は自社株を市場で買っているから、今が絶好の買い時だ。本当だろうか。無関係な二つを、無理に関係付けしているだけではないだろうか。

チップ廃止は愚策

アメリカを旅行された方なら覚えておられると思うが、レストランで食事をすると、15%から20%をチップとしてテーブルに置く。気の利いたテキパキとしたウェイトレスならチップ代など問題にしないが、時々あからさまに失礼なウェイトレスに巡り合うこともある。アメリカ社会の習慣だから仕方がない、と渋々チップを払うわけだが、こんなニュースがCNNから報道された。

ニューヨーク、マンハッタンの高級レストランはチップ制度を止めて、勘定に20%をサービス料金として自動的に上乗せするところが増えている。自動的だから、もちろんウェイトレスの良し悪しは全く関係が無い。今のところマンハッタンに限られた話だが、これは近い将来、全米のレストランに広がる可能性があるようだ。

なぜチップを廃止して、サービス料金制を導入する必要があるのだろう。CNNによれば、これは表方(ウェイトレスやウェイター)と裏方(コックなどのキッチンスタッフ)の争いが原因らしい。毎晩チップが手に入るウェイトレスの収入と、同様に忙しく働くコックの収入が、あまりにかけ離れてしまった。事実上レストランの評判はコックの腕にかかっているのだが、肝心なレストラン経営者はウェイトレスの機嫌ばかりを取っている。ようするに、コックたちの不満が爆発してしまったわけだ。

料理学校で講師を務めるビル・グフォイル氏は、「マンハッタンの高級レストランの場合、ウェイトレスやウェイターなどの表で働く人たちは年間で10万ドルに近い収入があります。しかし裏で働くキッチンスタッフは、せいぜい3万ドルがいいところです」、と述べている。サービス料金を実施することで、レストラン側は、この大きな収入格差を解決しようというわけだ。

単にチップと言うが、これを使って客はサービスに対する意思表明ができる。言わなくても客の心を察することができるウェイトレスなら、客は喜んで20%以上のチップを残していく。逆にいい加減なもてなしなら、10セント(約10円)をテーブルに置いて不快な気持ちを伝えることも可能だ。サービス料金制度、これは一番大切な客を無視した愚策だ。

隠されたマーケットの習性、統計を有利に使え!

株式市場心理の研究で有名なブレット・スティーンバーガー氏(ニューヨーク州立大学助教授)が、次のような興味深い統計を発表している。対象になったのは2003年7月からのダウ指数だが、氏は4つの数字を弾き出した。

1、ダウ指数の合計変動幅。
2、前日(昨日)の終値から、当日(今日)のマーケット開始1時間後までのダウ指数増減幅。
3、マーケット開始1時間後から、マーケット終了1時間前までのダウ指数増減幅。
4、マーケット終了間際1時間内におけるダウ指数の増減幅。

さて結果だが、ダウは2003年7月以来1559.36ポイントの上げだから、1番の答えは1559.36。2番は+1966.54ポイント、3番はマイナス956.76ポイント、そして4番は+549.58ポイントだ。思わず「これがマーケットの秘密だ!」、と叫びたくなるかもしれないが、上記結果についてスティーンバーガー氏から少し説明してもらおう。

「これで、マーケットの多重性格が分かっていただけたと思います。もしダウ指数を終了1時間前に買って、翌日のマーケット開始1時間以内に売っていたなら、そのトレーダーは大きな利益を上げることができました。言い方を換えるなら、この時間帯のマーケットはブルマーケットだったわけです。しかし最初と最後の一時間を除いて、中間の時間帯だけで売買していた人は、ほとんどの場合下げマーケットに直面していたことになります。」

さらにスティーンバーガー氏は、こんな統計も付け加えている。中間の時間帯が強いと、ダウ指数は翌日最初の一時間で、平均1.84ポイントの下げを記録した。逆に中間の時間帯が弱かった場合は、平均8.73ポイントの上昇が観測できた。どちらにしても小さな変動幅だから、真ん中の動きを使って翌日の寄り付き動向を予想するのは難しいようだ。

よくこんなことを言う人たちがいる。「持ち株を売ろうとしていたのですが、ついタイミングを逃してしまいました。さっきまで好調に上げていたので安心していたのですが、ちょっと売り物が出てきたようです。」株を処分するなら最初の一時間に限る。二時間めからはベアの時間帯なのだから。

豊かな国アメリカ?

一ヶ月955ドル(約10万4500円)、これはソーシャルセキュリティーベネフィットと呼ばれる、退職後にアメリカ人が政府から受け取る、社会保障給付金の平均額だ。会社に勤めていた人なら、401Kのような企業年金制度からの収入もあるから、ソーシャルセキュリティーベネフィットが追加されることで、退職前とあまり変わりのない生活ができる。

しかしUSAトゥデイ紙によれば、53%の働くアメリカ人には企業年金制度がない。さらに32%は、老後のための貯蓄をしていない、と答えている。現在、社会保障給付金を受け取っている人は約4800万人にのぼるが、その22%に相当する1060万人は、社会保障給付金以外の収入がない。

想像してみてほしい。毎月受け取る約10万円の社会保障給付金だけで、どんな生活ができるのだろうか。USAトゥデイは、元看護婦だった今年74才になるメリー・ラスバーンさんの話を載せている。「毎月809ドルの給付金と、100ドル分のフードスタンプ(食料補助券)を受け取っています。アパート代の550ドルを払うと、残りは400ドルもありません。節約しなくてはいけませんから、ソーダやコーラなどは飲みません。」

どのような人たちが、社会保障給付金だけで暮らしているのだろう。こんな統計が、全米退職者協会から発表されている。

・25%の退職した女性。
・46%の退職した未婚ヒスパニック系女性、そして45%の退職したヒスパニック系男性。
・33%の退職した黒人。
・67%に相当する65才以上の人たちは、収入の半分以上を社会保障給付金に頼っている。

どちらにしても、毎月10万円の生活は厳しい。ファイナンシャルプランナーのアレクサンドラ・アームストロングさんの言葉を引用しよう。「親戚や兄弟の所に同居できないかぎり、給付金だけでやっていくことは無理です。」前記したラスバーンさんには、近所に住む娘がいる。もはや運転をしなくなったラスバーンさんにとって、娘が大きな助けになっていることは言うまでもない。

暗い話になってしまったが、ここは当たり前な結論を書いておこう。人が年をとるかぎり、老後の問題は他人事ではない。快適な引退生活には、それなりの金が必要だ。ファイナンシャルプランナーに相談して、今から老後に備えるのも一案だと思う。

将来性より重要なトレンド

中間住宅価格24万3400ドル、ここ12ヶ月間で47%の値上がりを記録したのは、アメリカで最もホットな不動産マーケット、アリゾナ州フィニックス市だ。全米のようすを見てみると、中間価格は20万8300ドル、そして平均上昇率は13.6%になり、フィニックス市の不動産ブームが分かっていただけると思う。この13.6%という数字について、エコノミスト、デービッド・レレア氏は「1年間で不動産がこれほど伸びたのは、今回が初めてです」、と述べている。

不動産に限らず、資金は効率の良い投資に集まる。株を例にすれば、上げ基調の銘柄に資金が流入するのは、それが短期間で利益を上げやすいからだ。空売りをするなら話は別だが、下げ基調の株が買い手に嫌われるのは、大切な資金が塩漬けになる可能性が高いためだ。買った株が倍になるのは嬉しい。しかし10年もかかったのでは、それを素直に喜ぶ人はいないだろう。だから成績の悪いものは早めに処分して、効率の良いものに乗り換えることが重要だ。

皆さんはピーター・リンチという名前を聞いたことがあるだろうか。氏は以前、フィデリティーのマゼランファンドを統率し、13年間で25倍の実績を残した、アメリカで最も成功したファンドマネージャーだ。マーケットの最中に氏がテレビに出演すると、だれもが氏の言葉に耳を傾けた。ピーター・リンチ氏ほど大衆から慕われ、尊敬されたファンドマネージャーは氏が最初で最後のような気がする。

時は流れ、リンチ氏の築き上げたマゼランファンドが、また話題になっている。米国企業のほとんどは、401Kと呼ばれる確定拠出型年金を導入しているが、ロイターの報道によれば、マイクロソフト社はマゼランファンドを401Kプランから取り外してしまった。今までは社員が毎月の給料の一部から、年金用としてマゼランファンドに投資をすることができた。しかし、マイクロソフトはマゼランの成績低迷を理由に、401Kから削除してしまった。

1996年、ロバート・スタンスキー氏がリンチ氏の後任に指名されたが、中々思うような実績を上げることができない。スタンスキー氏が任命された年、、マゼランに1万ドル投資したとすると、今日それは18483ドルになっている。年利に換算すると7.1パーセントだが、S&P500指数は8.3パーセントの伸びだから、マイクロソフトのような大手企業がマゼランを去る結果になってしまった。資金は効率の良い場所を常に求める。将来性だけを重視するのではなく、先ずトレンドを確認しよう。

季節的な心配要素

ひょっとしたらオイルは1バーレル100ドルを達成するのでは、そんなことを真剣に考える人が多くなった。金曜の終値は66ドル86セント、今年に入って既に52パーセントの上昇だ。毎日OPECやカナダなどの産油国から供給されるオイル量は8412万バーレルにおよぶが、需要量の8438万バーレルには追いつかない。こんな需給関係が続くかぎり、オイル価格上昇に歯止めはかからないわけだ。

オイルアナリストも冷静さを失ってしまったらしい。CNNのインタビューで、オッペンハイマー社ファデル・ガイト氏は「このラリーは完璧な嵐です。まるで映画でも観ているような、とにかく超現実的と言うしかありません」、と述べている。MKMパートナーズのケイティー・タウンシェンド氏は、68ドルの目標価格を発表しているが、もはや達成されたも同然だ。

高いオイルはインフレ懸念を呼び、株式市場にはマイナス材料となる。それに季節的要素を考慮すれば、だれでも心配になってしまう。マーケットの歴史を振り返ると、8月と9月は株が最も冴えない時期という統計がある。1950年以来、9月の成績が最も悪く、最近15年間だけを見るなら8月が最悪だ。現在S&P500指数は高値近辺で推移しているだけに、買いポジションを抱える人たちは、少し嫌な気分を味わっているかもしれない。

ストックトレーダーズアルマナック社の調べによれば、株は各四半期の一ヶ月めが強く、残りの二ヶ月は弱くなる習性があるという。とすれば四半期最初の7月は好調になり、8月9月は衰えることになるわけだ。またブリンマワー社のピーター・ブローディー氏は、次のように語っている。「雇用統計などの経済指数が表すように、健全な米国経済が強い株式市場の原動力になっています。しかし短期的に見た場合は、自然な利食いのサイクルが迫っていると言えるでしょう。」

最後にS&P500指数を検討してみよう。

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今のところ横ばいを展開しているが、季節的な要素を重視して、ブレイクダウンに気をつけたい。

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