来年1月早々から資金不足に陥ることを主な理由に挙げ、月曜、ドイツ銀行のアナリストがGM株の目標株価を4ドルから$0に引き下げた。GMに限らず、フォード、クライスラーも経営が苦しい今日、いったい米国自動車産業の将来はどうなるのだろうか?
ドブロミア・ストヤノフ氏(dividendgrowthinvestor.com)は、三つのシナリオを挙げている。
1、自動車メーカーは、連邦政府から膨大な融資を受けて、経営状況の改善に成功する。コスト効率の高い、消費者に魅力的な車を生産し、景気回復に伴い企業収益が向上する。その結果、政府への資金返済、そして株主たちにも配当金やキャピタルゲインで、利益の配分が可能になる。実例では、1980年代、政府がクライスラーを救済したことがあった。株価は2ドルを割っていたが、経営の好転で50ドルまで上昇した。
2、もし政府が、ファニーメイやフレディマックを救済した時のように、普通株と優先株を取得するという形で自動車メーカーを政府の管理下に置くなら、株式の希釈化が起きて株主は更なる損害を受けることになる。
3、会社更生法を申請して破産する。言うまでもなく、こうなれば株主は全てを失う。
マシュー・ラファット氏(労働法専門の弁護士)は、こう書いている。
社員が退職した後、死ぬまで健康保険や企業年金を与え続ける企業など、今日のアメリカに存在しない。それなのに、そんな事をいまだにしているフォードとGMは、ゆっくりと倒産への道を歩むだけだ。
それにしても、ストヤノフ氏の1番目のシナリオは、あまりにもバラ色であり現実離れしている。GMの目標株価を$0に引き下げたアナリスト、ロッド・ラシェー氏は、こう述べている。
「GMを破綻から救うためには、政府は少なくとも100億ドル、多ければ250億ドルの資金を融資しなければならない。しかし倒産が回避できたとしても、GMの経営内容は破綻企業と同様だから、GM株には全く何の価値も無い。」
M&A(合併と買収)の専門家、ジョン・スレーター氏の意見も記しておこう。
300万にのぼるGMとGM関連の従業員、それに強い労働組合を考えれば、とうぜん政治家たちが関与してくる。しかし、私の経験から言えることは、同じ経営陣、役員が存続する限り、企業の好転は決してありえない。ゼネラル・モーターズが本当に経営危機から脱したいなら、自動車業界で成功しているトヨタやホンダからの投資を得て、GMの経営陣に参加して貰うべきだ。
http://seekingalpha.com/article/105361-3-scenarios-for-the-future-of-the-auto-industry)