金曜、米下院は修正された7000億ドルの金融安定化法案を263対171で可決した。
ウェルズ・ファーゴ銀行、ワコビアを買収、というヘッドラインに一番驚いたのはシティグループだろう。
経営難に瀕し、倒産の可能性まで報道されていたワコビアは、月曜(9月29日)、シティグループとの合併に合意している。こんな事実がありながら、ワコビアは、さっさとウェルズ・ファーゴに相手を乗り換えてしまった。
先ず、ウェルズ・ファーゴが提示した買収内容を見てみよう。
買収価格は151億ドル。ワコビアの株主は、ワコビア株1株に対して、0.1991株のウェルズ・ファーゴ株を受け取ることになり、これは3ドル91セントで木曜終了したワコビアの株価を約80%上回る。
月曜、シティグループが発表した買収価格は21億6000万ドルだった。ウェルズ・ファーゴの示した金額に、全く追いつかない額だが、この買収はFDIC(連邦預金保険会社)からのバックアップを受けて、上記したようにワコビアは合意した。
とうぜんシティグループは黙っていない。さっそく、「ワコビアのウェルズ・ファーゴとの交渉は、シティグループが持つ独占交渉権を侵害するものである」、と声明を発表して裁判沙汰になりそうな雰囲気だ。
アンドリュー・スナイダー氏(Today's Financial News)は、多くの投資家が見落としていた、こんなことを指摘している。
「数日前、ワコビア買収を見送ったウェルズ・ファーゴが、木曜の終値を8割も上回る金額でワコビアを吸収合併すると発表した。このニュースが示唆していることは、ウォーレン・バフェット氏(大投資家)の割安株漁りが始まったということだ。バフェット氏は、ウェルズ・ファーゴの大株主であり、今回のワコビア買収に絡んでいることは間違いないだろう。」
法的に違反があったかどうかは別にして、米国消費者の立場から見ると、ワコビアはウェルズ・ファーゴに買収された方が都合が良い。シティグループが買収するといっても、これはFDIC(連邦預金保険会社)のバックアップ付きだから、要するに納税者に負担がかかる。しかし、ウェルズ・ファーゴは株を使って買収するわけだから、消費者の重荷にはならない。
フィリックス・サーモン氏(portfolio.com)は、こう述べている。
「長期的に見ると、この買収で、ウェルズ・ファーゴは巨大銀行の仲間入りを果たすことができるでしょう。この買収に反対なのはシティグループと、その株主だけでしょう。現在、シティの株価は13%も下げています。」
(情報源: http://www.247wallst.com/2008/10/citi-cries-out.html
http://www.bloggingstocks.com/2008/10/03/citigroup-says-wells-fargo-cant-buy-wachovia/
http://seekingalpha.com/article/98420-breaking-news-wells-fargo-buys-wachovia
http://seekingalpha.com/article/98439-wells-wachovia-good-for-everybody-but-citi
http://www.usatoday.com/money/industries/banking/2008-09-29-wachovia_N.htm)