先ず、時事のヘッドライン。「金融安定法案、大筋合意=米政府、75兆円の公的資金投入へ」 もちろん、この法案が可決したとしても、米国経済が直ぐ上向きになることはない。現時点で、米国消費者が気にしている、五つの点を見てみよう。
1、住宅ローン:
「法案が可決され実施されれば、住宅ローン市場が正常化に向けて動き出すことは言うまでもないが、7000億ドルに及ぶ国債発行は国債利回りを上昇させ、結果的に住宅ローン金利が高くなる。これだけ膨大な資金が注入されるわけだから、長期的にはインフレが大きな心配になり、どちらにしても住宅ローン金利は上昇するだろう。短期的には、下降する経済の影響で、住宅ローン金利は下がることも考えられる。」 グレッグ・マクブライド氏(Bankrate.com)
2、雇用状況:
「救済計画の実施で、失業率が大幅に上昇することはないだろう。もし法案が可決されなければ、失業率は、おそらく12%くらいまで上がってしまうだろう。適切な救済案が可決すれば、来年の失業率は、8%を超えることはないだろう。」 ブラッド・ディロング氏(カリフォルニア州立大学)
3、所得税:
「これだけ巨大な金額の法案だから、言うまでもなく、税金は大幅に引き上げられることになるだろう。ただでさえ問題の多い財政状況が、今回の法案でいっそう大きく悪化することは間違いない。」 ディーン・ベーカー氏(センター・フォー・エコノミック・アンド・ポリシーリサーチ)
現在、大統領に立候補しているマケインとオバマの両氏は、4兆から6兆ドルにおよぶ減税を提唱している、
4、自宅所有者は無視される?:
「政府が、金融機関から不良住宅ローン担保証券を買いあげることで、最終的には月々の住宅ローン支払いに困っている自宅所有者たちも恩恵を受ける、と考えられているようだが、この見方は間違っている。なぜなら、住宅ローン担保証券を保持する金融機関には、住宅ローン金利を変更する決定権が無いからだ。」 ヘンリー・サマー氏(破産法専門弁護士)
5、自己破産法改正の必要:
「現状において、住宅ローンの支払いが不可能になった人たちが、住宅ローンの金利や支払い方法を変更するには、自己破産を申告するしかない。」 ヘンリー・サマー氏(破産法専門弁護士)
ポールソン財務長官 (写真:AP)
(情報源: http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008092900002&m=rss