救済案の一項目に、金融機関からの不良不動産担保証券の買い取りがある。既に、バーナンキ議長は、たとえ政府がそれらを買い取ったとしても、最終的にそれらを売却できると述べているが、いったい政府はいくらで不良証券を買うつもりなのだろうか?
アレサンドロ・パガ二氏(ルミス・セイレス)によれば、今日のような状況でも、不動産担保証券を扱う市場が完全に死んでしまったわけではない。問題は、買い手が表示する価格が、かなり低いことだ。現に、メリル・リンチが膨大な量の不動産担保証券を売却した時は、78%も割引く必要があった。はたして政府は、金融機関に、不動産担保証券の叩き売りを命ずるのだろうか?
どちらにしても、誰もが満足する解決方法はありえない。そもそも不良証券なのだから、タイヤ無し、エアコン無し、エンジン無しの車を買ってください、と頼むようなものだ。あまり高い金額で買い取りなら、納税者たちが黙っていない。かと言って、叩き売りを強要するような低価格では倒産する企業が出てくることだろう。
CNNなどの報道で分かることは、アメリカ国民の憤りだ。金融機関の大失敗を、なぜ国民の税金で救う必要があるのだろうか?現に、ワシントンの議員たちのオフィスは、7000億ドルの救済案に反対する人々からの電話対応に、かなり忙しいようだ。
「偽りの無い事実は、アメリカ国民は激怒している。当然のことだと思う。超党派的姿勢で、経済救済案を検討していくつもりだ。」 チャールズ・シュマー上院議員(経済委員会議長)
「ブッシュ政権の提案する救済案には、いくつかの疑問な点がある。政府が金融機関から不良不動産担保証券を買い取るわけだから、シュマー上院議員が言うように、納税者たちに、それらの金融機関の株を分け与えるべきだと思う。」 サム・ブラウンバック上院議員
さて、APの報道によると、早急に経済救済案を通過させたいブッシュ大統領は、今夜テレビを通じて国民に訴えるようだ。更に、この報道の中には、こんな一文もあった。
「ポールソン財務長官は、両党からの要求を受け入れて、救済対象になる企業の経営陣の給料を規制する、という項目を救済案に付け加える。」
以前から、経営陣に支払われる法外なボーナスや給料が問題視されていたが、いよいよアメリカは、政府が最高経営責任者の給料を決定する時代が訪れるようだ。正に、俗に言う自由資本主義の終わりが近づいている。
http://biz.yahoo.com/ap/080924/financial_meltdown.html
http://money.cnn.com/2008/09/24/news/economy/bernanke_testimony/index.htm?postversion=2008092412)