SECの決定を予測していた人は多かったと思う。具体的に言えば、昨日(木曜)午後1時にシグナルが出ていた。ニュースレターでも書いたことだが、その部分を抜粋してみよう。
下は、SPY(S&P500指数に連動する銘柄)の5分足チャートだ。
マーケットは1時に底を打ち、1時5分に大陽線(A)を形成した。何が起きたのだろうか?三つのニュースがあった。
1、英国の金融取締り機関が、金融銘柄の空売り禁止を発表した。
2、ニューヨーク州検事総長事務局は、金融銘柄空売り禁止を実現させたい、という意見を発表した。
3、何社かの米国年金ファンドが、金融銘柄の貸し出しを止める、と発表した。
言うまでもなく、買い手が金融株に殺到した。下は、シティグループと、モルガンスタンレーの5分足チャートだが、見てのとおり、両銘柄とも1時に底を打って、反発ラリーを開始した。
空売り禁止は、米国が唱える自由市場に反する措置だけに、論争になっているのは皆さんにも簡単に想像がつくことだろう。何人かの声を聞いてみよう。
・「政府の金融市場への介入は不可欠だ。」 ブッシュ大統領
・「短期的な空売り禁止は、金融機関の回復に有効だと思う。この期間を利用して、各金融機関は、問題になっている不動産担保証券などを処分できると思う。」 アート・ホーガン氏(ジェフリーズ&カンパニー)
・「今回の措置は、政府がいかに無能であるかが示されている。既に、ファニーメイ、フェレディマックと救済を続けてきただけに、空売り禁止発表のタイミングは政治的意図があったことが丸見えだ。金融テロリズムだ。」 バリー・リットホルツ氏(リットホルツ・リサーチ)
・「空売りは、言論の自由の象徴だ。」 crossingwallstreet.com
・「1年前、SECは空売りをしやすいように、アップティックルールを廃止した。そして今日、都合が悪くなったから空売りの禁止だ。これがアメリカだろうか?まるで独裁政権のようだ。」 ケビン・フィーハン氏(証券取引所のスペシャリスト歴任)
・「アメリカは自由市場のルールを曲げた。」 デービッド・リンチ氏(USA Today)
とここまで書いてきたら、デービッド・ワイドナー氏のコラム(7月31日)を思い出した。たしか、タイトルは「損切り売り禁止令」だったような気がする。要旨はこうだ。
「証券取引委は、空売りの規制だけでなく、持ち株を買った値段より安く売ることを禁止するべきだ。これを実施すれば、株で損をする人がいなくなり、全ての投資家が利益を上げることが可能になる。」
もちろん風刺コラムだから、本人は半分冗談のつもりで書いたことだろう。しかし、今回の決定を見る限り、政府は金融市場保護の名目で、何をやっても不思議ではない。
現に、ブルームバーグはこんな報道をしている。
「米証券取引委員会は、各ヘッジファンドに空売りポジション報告の義務付け、そしてトレード記録を召喚することを計画している。」
この一文を読んだ人気トレーダーが、こう語っている。
「まるで魔女狩りだ、、、、」
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http://www.nwt-jp.com/sec1/index.shtml
(情報源: http://www.usatoday.com/money/perfi/funds/2008-09-19-treasury-insure-money-market-funds_N.htm
http://money.cnn.com/2008/09/19/markets/markets_newyork2/index.htm?postversion=2008091910
http://www.tradingwithtk.com/2008/09/goverment-tilts-game-in-their-favor.html
http://www.crossingwallstreet.com/archives/2008/09/sec_plans_to_te.html
http://www.usatoday.com/money/economy/2008-09-18-free-market-bailout_N.htm
http://bigpicture.typepad.com/comments/2008/09/terror-attack-o.html
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=a38SHbVm3Ox0)