「今朝のニュースが示しているのは、状況は悪化していない、ということです」、とフェデレーテッド・インベスターズのリンダ・ジュッセル氏は言う。何故、そんな結論を出したのだろうか?
今朝(金曜)、二つの経済指標が発表された。
消費者物価指数(5月分)は、予想された+0.5%を上回る、+0.6%という最近6カ月間で一番の上昇となった。12カ月間で見ると、+4.2%というアナリストの予想を超える数値となり、これは1月以来の高水準だ。
そして、6月分のミシガン大学消費者信頼感指数は、予想された59.5に満たない56.7という結果になり、ほぼ30年ぶりの低レベルに陥った。インフレが悪化するにもかかわらず、肝心な給料はなかなか上がらず、インフレ率を考慮すると、5月分の個人所得は1.2%減だった。
繰り返しになるが、こんな報道にもかかわらず、リンダ・ジュッセル氏は、どうして「今朝のニュースが示しているのは、状況は悪化していない、ということです」、などと言ったのだろうか?氏は、こう説明している。
「今朝の数値を見る限り、投資家たちは、インフレ状況が好転している、と思うことはないでしょう。しかし、今朝の数値からは、アメリカが悪性のインフレに襲われる、と結論することはできませんから、連銀が短期金利を引き上げる心配はありません。」
なるほど、しかしジュッセル氏も、これを見たら考えを変えるのではないだろうか。下は、ジム・ジューバック氏(MSNマネー)のコラムからだが、アジアの国別に見たインフレ率だ。
中国 7.7%、インド 8.2%、何と言っても25.0%のベトナムが目立つ。ジューバック氏の話を要約してみよう。
「サブプライム問題が完全に片付かない今日、アジアの悪性インフレは、世界経済に大きな悪影響になりそうだ。アメリカの歴史を振り返ると、悪性インフレに対抗する方法として、連銀は金利をインフレ率以上に引き上げた。
例を挙げれば、1979年、米国のインフレ率は13.3%あり、金利引き上げ政策のお陰で、人々は銀行から金を借りる場合、20%以上の利子を払わなくてはならなかった。当然、米国は不景気に陥った。
問題は、深刻なインフレ状態にあるにもかかわらず、アジアの国々の金利(日本は除く)はインフレ率以下であり、これはインフレ問題を更に悪化させることになるだろう。
もちろん、インフレ抑制のために、アジアの国家は金利引き上げ政策に転じるから経済成長は低下し、当然の結果として世界経済も冷え込むことだろう。」
ジム・ジューバック氏
(参考にしたサイト: http://www.usatoday.com/money/economy/2008-06-13-consumer-prices_N.htm