もう5年以上前の話だが、不動産のセールスをする知人の重要なお客さんが病院に担ぎ込まれた。肝臓がかなり悪く、早急な移植が必要という深刻な状態だった。
たとえ臓器の提供者が見つかったとしても、長い順番待ちリストがあるから、そう簡単に移植手術を受けることはできない。しかし、この人は入院した翌日、肝臓を手に入れることができた。
知人よれば、全てはとんとん拍子に進んだと言う。「10万ドルほど寄付したい」、という重要なお客さんの言葉で、病院側は迅速に対応してくれた、ということだ。
キヨサキ氏の話に戻ろう。
連銀は、ベアー・スターンズを助けたように、私たちを助けてくれるだろうか?あなたが、小会社のオーナーだったとしよう。経営が苦しくなり、税金の支払いにも困ってしまったら、連銀はあなたの代わりに税金を払ってくれるだろうか?
今回のベアー・スターンズの一件で、連銀が明確な態度で示したことは、ウォール街のためなら連銀は何でもする、ということだ。違った言い方をすれば、ウォール街がどんなにバカな間違いを犯しても、連銀が後始末をしてくれる、ということになる。
ウォール街の金持ち企業を救うために、連銀は8000億ドル以上の金を金融市場へ流し込んだ。たしかに、これで応急手当はできたが、問題回避に成功したわけではない。
金融機関を救済するために、米国は膨大な量の紙幣を印刷することになる。もちろん、それは違法ではないが、その結果起きることは更なるエネルギー価格と食品価格の上昇だ。言うまでもなく、ますます庶民の暮らしは苦しくなる。
インフレ対策として、金や銀への投資が選ばれる。現に、金は1オンスあたり2500ドルを突破する、と予想する人たちもいる。しかし、ここで考えてほしいのは、急騰する金価格の意味だ。金の著しい上昇は、言うまでもなく、米国資本主義の行き詰まりを表している。
中流階級を無視して、金持ちを優遇した最悪の結果として、キヨサキ氏はこんな例を挙げている。
「第1次大戦後、ドイツから中流階級は消え去り、1933年、国民はヒットラーをリーダーとして選んだ。」
キヨサキ氏
(参考にしたサイト:http://finance.yahoo.com/expert/article/richricher/76669)