米国は既に不景気だ、という見解が常識になった今日、だれもが気になるのは回復の時期だ。先ず、全米経済研究所から発表された、過去の状況から見てみよう。
上は、第2次世界大戦後、アメリカが経験した不景気の長さを示したものだ。戦後初めての不景気は、1948年11月から1949年10月にわたる11カ月間。そして、最近2度の不景気は、それぞれ8カ月の長さだった。
アレン・サイナイ氏(Decision Economics)は、今回の不景気は予想以上に長引き、厳しいものになる理由として五つ挙げている。
1、極端な信用収縮
2、いまだに下げが止まらない住宅市場
3、銀行が抱える膨大な評価損
4、悪化する雇用状況
5、上昇が続くエネルギー価格と食品価格
GDPの75%を握るのは消費者だ。ガソリン高、食料品の値上がり、失業率の上昇は、言うまでもなく個人消費に悪影響となる。ピーター・モリシ氏(メリーランド大学教授)は、こう述べている。
「現在のアメリカには、信用収縮と商品インフレという致命的な組み合わせが存在する。はっきり言えば、これ以上悪い組み合わせは無い。今回の不景気は、数年間続く可能性がある。」
ビル・ハンペル氏(信用組合全国協会)はこう語っている。
「住宅市場がスランプの今日、消費者たちは、住宅を担保にして簡単に銀行から金を借りることができなくなった。もちろん、たとえ担保にできる自宅があっても、深刻な信用収縮だから銀行はそう簡単に貸すことはないだろう。こんな状況では、個人消費が上向きになるには、かなりの時間がかかりそうだ。」
ポール・カスリエル氏(経済学者)も指摘していることだが、これ以上インフレがが進むと、連銀は金利を引き上げる可能性がある。しかし、不況下で利上げとなれば、経済の回復はますます遅れることだろう。
(参考にしたサイト: http://money.cnn.com/2008/04/14/news/economy/how_bad/index.htm?postversion=2008041415)