ベアー・スターンズのニュースと並んで、もう一つ話題になったのは、2.9%増となった2月の米国中古住宅販売件数だ。さっそくジョエル・ナロフ氏(ナロフ・エコノミック・アドバイザーズ)は、「住宅価格の下げは続いているが、販売件数に底打ちの兆しが見える」、と慎重な楽観論を発表した。
たしかに、どのサイトも「7カ月ぶりの上昇」、というタイトルで販売件数の伸びを報道しているが、ここで引用したいのがバリー・リットホルツ氏(リットホルツ・リサーチ)だ。
全米不動産業界から発表された、2月の中古住宅販売件数が上がった、というのはフィクションにすぎない。1月と2月を比べるのは、単に季節差を見るようなもので、適切な比較方法ではない。正確に状況を把握するためには、前年度の同時期と比べる必要がある。事実はこうだ。2008年2月の中古住宅販売件数は、2007年2月を23.8%下回り、中間住宅価格は8.7%下がって19万3900ドルとなった。
グラフで見るとこうなる。
(USA TODAYから)
1の1月より、たしかに販売数は上がっているが、去年の同時期(2)からは大幅下落だ。
掲示板の書き込みも見てみよう。
・中古住宅販売件数が上昇した、というのは信じられない。私自身、もう長いこと住宅を探しているが、去年の秋に売りに出されていた物件は、今日も相変わらず売りに出されている。販売件数が上がった、というのはウソだと思う。 全米不動産業協会に騙されてはいけない。彼らは、見せかけだけの良い数字を発表して、我々に住宅を買わせようとしているのだ。 chillynorthwindsさん
・2007年の2月と比べれば、実際の販売件数は23%も下がっている。全米不動産業協会は詐欺師だ。 sartreさん
・言うまでもなく、全米不動産業協会は、少しでも住宅市場を上向きにさせようと躍起になっている。 NAFTASUX さん
・全米不動産業協会によれば、住宅市場に好転が始まった、ということになる。しかし彼らは、去年から同じことを言い続けている。 longjohn さん
・私は不動産業界で働いている。業界内部者として言えることは、現在の住宅価格は、まだ高すぎる。住宅市場が底打ちになるには、少なくとも、あと1年の月日が必要だと思う。 JonathanAlbertさん
・全米不動産業協会から発表されたデータは全く信用できない。 toratoraさん
・2月の販売件数が上がったのは本当かもしれない。大量に差し押さえとなった物件が、金融機関によって買い戻されたのではないだろうか? 0rbital さん
・住宅が売れないのは当たり前だ。たしかに住宅市場は低迷しているが、まだ住宅価格は高すぎる。 mercuriusさん
http://bigpicture.typepad.com/comments/2008/03/february-existi.html)