待望された大型新規公開株、クレジットカードでお馴染みの、ビザの取引が始まった。公募価格は44ドル、59ドルの初値をつけて、好調なスタートを切った。上場先はニューヨーク証券取引所、Vという勝利を想像させる、縁起の良い一文字がビザのティッカー・シンボルだ。
ビザ(V)が注目される理由の一つとして、順調に株価を上げている、競争相手のマスターカード(MA)を挙げることができる。2006年に市場にデビューして以来、マスターカードの株価は約3倍の成長を遂げ、投資家はビザにも同様な伸びを期待しているわけだ。
IPOファイナンシャル・ネットワークのデービッド・メンロー氏は、この業界でビザほどファンダメンタルズの優れた企業は無く、今日の上場で、マスターカードは首位の座をビザに奪われた、と語っている。
しかし、株式市場が低迷している今日、なぜビザはこんな環境で新規公開に踏みきったのだろうか?MSNマネーのコラムで、マイケル・ブラッシュ氏は、こんなことを指摘している。
一言で言えば、金融収縮(クレジット・クランチ)が原因だ。ビザ(V)の新規公開株発行で、利益を得る企業のリストを見てほしい。JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ、・シティグループ、USバンコープ、ウェルズ・ファーゴー、どれもサブプライム問題で大損を出した企業だ。今回の新規公開に関与することで、約102億ドルの収益を手に入れることができるから、是が非でもビザの新規公開を早急に実現させる必要があったわけだ。
と聞くと、何か嫌がるビザを皆で説得して、無理やり新規公開を承諾させた、というイメージがある。ファンダメンタルズでは超一流、とメンロー氏は言っているが、今この時点でビザに投資するのは正解だろうか?ブラッシュ氏の話に戻ろう。
クレジットカードの利用者数は毎年増え続け、スパーマーケットやガソリンスタンドでも、クレジットカードを使う人たちが増えている。JPモルガンの調べによれば、1992年以来、クレジットカードとデビットカードによる買い物は、毎年二桁の率で増加している。ビザの場合、去年の第4四半期、91億回に及ぶ利用回数があり、低調な経済状況にもかかわらず前年度を13%上回った。
ビザが好調な理由の一つは、アジアや南米の新興市場で現金離れが顕著になり、クレジットカードの利用者が年々増えていることだ。ニルソン・レポートによれば、全世界で使われているクレジットカードの63%がビザ、そして31%がマスターカードだ。2006年、ビザが扱った買い物回数は440億回にのぼり、この回数はマスターカード、アメリカン・エクスプレス、そしてディスカバー・カードの総合利用回数を45%も上回っている。
なるほど、ビザは世界的に利用されているのは確かなようだ。しかし、同じ質問になるが、今ビザに投資する意味はあるだろうか?ブラッシュ氏の結論はこうだ。
現在、ライバル会社マスターカードの予想PERは25ほどある。もし本当に、ビザの収益が20%上昇して、一株利益が2ドル40セントから2ドル50セントを達成できるなら、ビザの株価は1、2年で簡単に60ドル以上になるだろう。
大引けまであと10分弱。ビザは56ドル84セントで取引されている。
参考にしたサイト: http://www.smartmoney.com/onedaywonder/?story=20080319-visa-ipo&afl=yahoo&hpadref=1
http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/CompanyFocus/WhyVisasIPOShouldChargeYouUp.aspx?page=1