低迷する株式市場とは裏腹に、原油が、連日のように高値を更新している。ドル安に対する防衛策として、海外の投資家が積極的に原油を買っている、と報道されているが、どちらにしても高い原油は消費者に迷惑だ。
ここで5カ月前に戻ってみよう。先物市場では、原油が90ドルに迫り、関連した灯油やガソリンの値上がりも話題になっていた。マスコミは、不平をこぼす消費者の姿を、ガソリンスタンドからよく報道したものだ。
誰もが、エネルギー価格の高騰は、米国経済に悪影響になる、と思っていたが、経済学者たちはこう述べていた。「1970年代とは違い、今日のアメリカは効率的に原油を使っている。たしかに、ガソリンの値上がりは嬉しいことではないが、ガソリン代が家計を占める割合はごく一部だ。エネルギー価格の上昇は、米国経済に大した影響を与えることは無いだろう。」
そして2008年、原油価格は100ドルを突破し、105ドル15セントで金曜の取引を終了した。まるで新高値に動揺するように、エコノミストたちの意見が、こう変化している。
「急騰する原油は、明らかに消費者に大きな重荷となっている。エネルギー代の値上がりは、正に増税に等しい。原油が1ドル上がるたびに、消費者は年間で、50億ドルの余分な金を使うことになる。」 クリス・ラファキス氏(Moody's Economy.com)
言い訳のように聞こえるが、原油の値上がりは米国経済に悪影響にならない、という結論は、1バレルあたり80ドルの原油が基盤になっていた。しかし、もし原油価格が100ドル台に定着すると、消費者は年間で1000億ドルをエネルギー代に回すことになる。言い換えれば、1000億ドル分の金がショッピングセンターから消えるわけだ。
ラファキス氏は、こう付け加えている。
「政府は経済救済案として、税金の払い戻しという形で1200億ドルを消費者に還元しますが、このほとんどはエネルギー代で消えてしまいます。これでは経済を救うことはできません。アメリカは軽い不景気ではなく、もっと重症な不景気に陥る可能性があります。」
それでは、最近発表された、1バレルあたりの原油予想価格を見てみよう。
・ユナイテッド・エネルギー: 120ドル
・ドイツ銀行: 150ドル
・ゴールドマンサックス: 135ドル (場合によっては200ドルもありえる)
(参考にしたサイト:http://money.cnn.com/2008/03/07/news/economy/oil_recession/index.htm?postversion=2008030715